JP4922224B2 - 多段自動変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、油圧クラッチ及びブレーキを用いて制御する自動変速機に関し、原動機に入力軸が直結する入力継ぎ手のない多段自動変速機に関する。
近年急速に高まった地球温暖化による自動車の省燃費の要求により、トルクコンバータと遊星歯車列及び油圧クラッチ、ブレーキを用いた現在主流を占める多段自動変速機である所謂AT(Automatic Transmission)は前進6速(6AT)への多段化が進められ、前進4速(4AT)と比べ5〜6%の燃費向上が報告されている。一方ATに対し、燃費が最も良いとされる従来の手動変速機を自動化した所謂AMT(Automated Mechanical Transmission)と呼ばれるものが実用化されているが、変速の際一旦クラッチで動力を断つため連続的な走行ができない問題があった。そこでクラッチを2個用い、一方のクラッチで動力が伝達されている時、他方のクラッチを次の変速段に切り換えて待機させ、2個のクラッチを繋ぎ換えることで連続的な走行が可能となる変速機が考案されている。前者の1個のクラッチを用いるSCT(Sngle Clutch AMT)に対しDCT(Dual Clutch AMT)と呼ばれ、2個の油圧クラッチを用いた前進6速後進1速、更に前進7速後進1速のDCTが近年相次いで実用化された。これはATにおける燃費悪化の最大の要因となるトルクコンバータを用いないことで燃費の向上を図ったものである。
歴史を辿ると、DCTは自動変速機の黎明期にあってKegresseが前進3速後進1速として実用化したものであり、機械的なギア切り換え準備を必要としない自動変速機も実用化されている。カウンターギア方式として4個のクラッチを用いたConteの自動変速機や、遊星歯車方式として特許文献1に示すWilsonの半自動変速機及び特許文献2に示すHobbsの自動変速機である。しかし、流体伝導装置を入力継ぎ手に用いた現在のATに繋がる自動変速機の台頭により姿を消した。自動変速機には車両のスムースな発進及び変速の基本機能や寸動となるインチング機能が要求され、原動機である内燃機関と変速機の出力軸との間に滑りが必要となる。流体伝導装置はこの発進及びインチング状態で一定のクリープ力を持たせる耐久性に優れた滑り機能があり、クラッチやブレーキではこれに敵わなかったからである。又、車両の動力性能向上により手動変速機は多段化されるが、ATは流体伝導装置にトルク増幅作用のあるトルクコンバータを用いて手動変速機より少ない変速段数で対応出来たことも現在のATが発展した大きな要因である。
ATでは、発進及びインチング状態でトルクコンバータを滑らせ、変速状態で油圧クラッチ又はブレーキを滑らせている。トルクコンバータは車両が停止しているストール状態で一定のクリープ力を出し車両が動き出すに連れてクリープ力が低下する、優れたクリープ特性を有している。但し、クリープ力は内燃機関の回転速度とトルクコンバータの容量により機械的に決められてしまうもので、状況によりクリープ力が不適切な場合が生じる。もしクラッチやブレーキの滑りを適切に制御出来たなら、クリープ力を変える事が可能となる。近年実用化されたDCTではトルクコンバータのストールでパワー全開のような滑らせ方は出来ないが、内燃機関の回転及びトルクとクラッチの滑りをECUで統合制御することで適切なクリープ機能を実現している。むしろ、トルクコンバータのような大きな滑りがないためドライバビリティが良くなる利点がある。しかしながら、DCTでは待機させる変速段が1種類しかなく、特に飛び越し変速が必要となるキックダウン変速や手動操作での任意の変速、及び前後進の切り換え時においてスムースな変速が出来なく車両の使い勝手に問題が生じる。加えて、シンクロ装置の切り換え機構等がATほどシンプルではなく、コスト安とはならない。尚、6ATではクラッチ又はブレーキの1個のみの繋ぎ代えで変速可能な変速段が、増速と減速側の次段と次々段の合わせて4種類準備可能で、キックダウン変速や手動変速及び前後進の切り換えで問題を生じさせない。
このように変速特性に優れたATであるが、現状の実用化された6ATでは依然として4ATで用いられている応答性とトルク伝達容量に難のあるトーラス内部圧で締結させるロックアップクラッチを装着したトルクコンバータが用いられており、トルクコンバータは滑りが大きくロックアップ前後に内燃機関の回転速度が大きく変化し違和感を与えることもあり、ロックアップは多用されていない。加えて、内燃機関の回転変動を吸収するダンパ特性も不十分なためロックアップ領域を大きく広げることが出来ずDCTとの燃費の差を縮めることは出来ていない。ロックアップクラッチの改良も望まれるがロックアップ前後の違和感を完全に解消することは出来ず、高性能ダンパにより内燃機関の低回転域を利用することが出来ないことも手伝って燃費向上の妨げとなっている。尚、ギア変速装置の多段化はCVTのような滑りよるひどい効率悪化はないにしても伝達効率の悪化を招き、多段化するに当たってはこの伝達効率に留意しなければならない。
そこで、トルクコンバータに代えてダンパを装着した湿式クラッチを入力継ぎ手に用いる提案がなされている。乗用車の手動変速機では一般的に前進の変速段は5、6速であり、6ATではトルク増幅作用のあるトルクコンバータを使用しなくとも牽引力が確保できるからである。つまり、多段化はトルクコンバータを必要としなくなる。しかしながら、入力側に湿式クラッチを用いると変速機内部のロスが湿式クラッチに負荷され、クリープ制御のような湿式クラッチの摩擦部材を常時滑らさなければならない厳しい状態で余分な負荷がかかり耐久的に不利となる。又、最低限自動変速機としての機能を果たすには遊星歯車列とその構成要素を制御するクラッチ及びブレーキだけでよく、クリープ力を確保しスムースな発進をする入力継ぎ手の役目を内部のクラッチ又はブレーキに持たせれば入力継ぎ手は不要となる。現に前述した前進4速のWilson変速機や前進3速のHobbsの自動変速機はそういった構造となっている。しかしながら、摩擦部材の耐久性を維持しつつ摩擦部材を滑らせ適切なクリープ力とスムースな発進性能を得るには、内燃機関と変速機のECUによる統合制御があって初めて可能になるもので、WilsonやHobbsの50年以上も前の変速機では類似した構造であってもこのような制御はなされていなく、変速段数も足りないことから近代の車両には対応出来ない。当然入力継ぎ手をなくせばそれだけ回転ロスが少なくなり燃費の向上に役立つばかりではなく、LCA(Life Cycle Assesment)の面でも環境負荷を低減するものとなる。近年進められてきたATの5、6速あるいは7、8速への多段化及びSCTのDCT化は燃費や走行性能の向上に繋がるが、逆に部品点数を増やし環境負荷を増大させる結果となっている。又、内燃機関をフロント側に横置きに配するFWD(Front Wheel Drive)車では変速機の軸方向の短縮化が要求される。それは衝突安全性確保のためフロント側車体のサイドメンバを直線に保ちたいからであり、現状の4気筒内燃機関と4ATの組み合わせでは満足できるものは少なく、片方のサイドメンバを湾曲させて干渉を避けている状況にある。したがって入力継ぎ手をなくせば一段と軸方向の短縮化ができ安全上も寄与することになる。
近年実用化された6ATは3種あり、4個の構成要素を持った2個の遊星歯車列の、3個の構成要素に選択的に非減速回転と減速回転を入力し、そのうちの2個の構成要素にブレーキを配し、残りの1個の構成要素を出力する方式が大部分を占め、減速回転の入力個数を1個とした特許文献3と2個とした特許文献4の2種類存在する。残りの1種は変速段により3個の遊星歯車列の組換えを行う特許文献5に示されたもので、何れも5個のクラッチ及びブレーキの2個を選択的に締結することにより変速段が決定され、発進段となる前進1速段と後進段では同じブレーキを締結する構造となっている。更に特許文献3と4の4個の構成要素を持った2個の遊星歯車列の、同一構成要素に非減速回転と減速回転を入力し前進8〜10速を得るATも提案されており、これらも発進段となる前進1速段と後進段では同じブレーキを締結する構造となっている。したがってクリープ力を確保しスムースな発進を行うには、この特定1個のブレーキの滑り制御を行えば入力継ぎ手は要らないことになる。加えて特許文献3及び4による6ATの前進1速段では、締結しない他のクラッチ又はブレーキの連れ回りトルクが出力に付加され、特定1個のブレーキの滑りエネルギーを減少さす効果がある。本発明はこの特定1個のブレーキを滑らす利点に着目したものである。
一般的に湿式で用いられるクラッチやブレーキはペーパ材からなる摩擦部材を金属板の両面に貼った複数のドライブプレートと金属板からなる複数のドリブンプレートを押付けて摩擦力によるトルクの伝達を行うもので、摩擦熱による温度上昇は断熱材であるペーパ材が貼られたドライブプレートではなくドリブンプレートの金属板で発生する。通常ATでは変速時においては一時的にクラッチ又はブレーキを滑らすだけでよいから、ドリブンプレートの板厚を大きくしヒートマスを上げて一時的な発熱を吸収させ、その後油で冷却することで対応してきた。しかしながら、トルクコンバータに代わり摩擦部材を常時滑らすクリープ状態では、油によるドリブンプレートの強制冷却を考えなければならない。
一般的な油による冷却方式はペーパ材からなる摩擦部材の摩擦面に油溝を設け、変速機室内に放出した油を複数のドライブプレートとドリブンプレートの内周部から遠心力で飛沫冷却する方式が採られているが、十分な冷却効果が得られない。尚、発進段で締結するブレーキではドライブプレートとドリブンプレートの内周側には別の潤滑すべき部材があり、非締結時もドライブプレートとドリブンプレートに油が飛沫されて連れ回りロスが大きくなる欠点が生じる。連れ回りロスの要因は種々あるが、油量及び油粘度が大きな要因を占める。特にこのブレーキは減速比が大きいため締結トルク容量を大きくしなければならず、ドライブプレートとドリブンプレートの径及び枚数も増え油による連れ回りロスを顕著に受ける。加えて、遠心力で油が排出され易いクラッチと違って、ブレーキのドリブンプレートが係止されるハウジングは油が排出され難いため非締結時に油を飛沫すると油が溜まり連れ回りロスは増大する。更に、ATのパワートレンでは高速連続走となる最高速段において、発進段で締結するブレーキは被制動側の回転が入力軸と同じ回転となり大きな連れ回りロスを発生する。このように複数のクラッチ、ブレーキを有するATでは発進段で締結するブレーキが一番大きな連れ回りロスを発生するが、非締結時において油の飛沫を止めることが出来ず燃費悪化の一要因ともなっている。
ところで、自動変速機の開発には膨大な費用が掛かり、入力継ぎ手(トルクコンバータ)も必要なため、ATとの互換性を考えなければならない。一般的にATでは発進段のブレーキにワンウェイクラッチを併用させており、この両スペース内でブレーキを滑らす構造とする必要がある。又、入力部の連結方法が変わるため入力軸の軸支方法や油圧を供給するチャージングポンプの駆動方法も変わり、ATの変速機構成部品の配置と互換性が保てる構造が要求される。
US1404675 US2509820 特開昭52−149562 特開平4−219553 特開2003−35341
本発明の第1の課題は、複数の遊星歯車列と油圧クラッチ及びブレーキからなる多段自動変速機の、車両の適切なクリープ力とスムースな発進性能が可能となる原動機と変速機の出力軸との間の滑り機構を、トルクコンバータ等入力継ぎ手を使用しないシンプルでコンパクトな構造とし、燃費を向上させることである。
本発明の第2の課題は、原動機と変速機の出力軸との間の滑り機構の耐久性を確保することである。
本発明の第3の課題は、複数の遊星歯車列と油圧クラッチ及びブレーキからなる多段自動変速機の、大きなロスとなる非締結状態における発進段で締結するブレーキの連れ回りロスを低減し、燃費を向上させることである。
本発明の第4の課題は、トルクコンバータ等入力継ぎ手を用いる場合との互換性を考慮した配置構造とするとともに内燃機関の低回転領域を使用可能にし、コストを下げ燃費を向上させることである。
請求項1に係わる本発明は、原動機である内燃機関と変速機の出力軸との間に滑りが必要となる部位をブレーキB1とし、多段自動変速機のシンプルコンパクト化と燃費の向上及び適切なクリープ力とスムースな発進制御を行うもので、第1、第2及び第3の課題を解決するための手段であり、複数の遊星歯車列と遊星歯車列の構成要素を制御する複数の油圧クラッチ及びブレーキからなり、遊星歯車列の、少なくとも動力が出力される遊星歯車を構成する構成要素を制動するブレーキB1を締結することにより発進段となる前進1速段と後進段を得る多段自動変速機の、原動機を変速機の入力軸に回転変動吸収ダンパ10を介して連結し、変速機の出力軸の回転が一定回転速度以下の発進段となる前進1速段と後進段において、ブレーキB1の締結油圧を電気的に任意に制御することによりブレーキB1の断接及び滑り制御をなすとともに、ブレーキB1の非締結状態を除く一定締結油圧範囲内においてのみブレーキB1の摩擦部材に調圧された冷却油を供給するようになした。
請求項2に係わる本発明は、ブレーキB1の具体的な制御と冷却に関するもので、第1と第2及び第3の課題を解決するための手段であり、ブレーキB1のピストン55を押付ける締結油圧を、デューティソレノイドバルブ160とB1シフトバルブ150或いは電圧又は電流の大きさに比例して該締結油圧を変えることのできるリニアソレノイドバルブ等で電気的に任意の油圧に制御可能とするとともに、締結油圧で作動する第1及び第2のスプールと、スプールを締結油圧とは反対方向に押す第1及び第2のスプリングとで構成され、締結油圧がピストン55のリターンスプリング56の荷重相当油圧で第1のスプールを作動させ、リターンスプリング56の荷重相当油圧より高い一定の油圧で第2のスプールを作動させるよう第1及び第2のスプリングを設定し、第1のスプールが作動し第2のスプールが非作動状態でのみB1潤滑調圧弁130で調圧された冷却油をブレーキB1の摩擦部材に供給するB1潤滑切り換弁140を設けた。
請求項3に係わる本発明は、ブレーキB1の摩擦部材の強制冷却に関し、第2の課題を解決するための手段であり、ブレーキB1の摩擦部材である交互に配された複数のドライブプレート51とドリブンプレート52の同一径円周部の摩擦面に複数の貫通穴X,Yを設け、複数のドライブプレート51とドリブンプレート52の重なりあった端部側面の少なくとも一方の側面に、B1潤滑調圧弁130により調圧された冷却油が供給される油通路を設け、油通路と貫通穴X,Yとを連通するようになした。
請求項4に係わる本発明は、ブレーキB1の冷却性を考えたドライブプレートとドリブンプレートの形状に関する実施例で、第2の課題を解決するための手段であり、ドライブプレート51の金属板の両面に摩擦部材を貼るとともに同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の貫通穴Xを設け、遊星歯車列の構成要素となる回転部材に回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52の金属板の貫通穴Xと同一径円周部の摩擦面に貫通穴Yを設け、変速機ケースに回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52を軸方向に2枚重ねて配するとともに、2枚のドリブンプレート52の間に、貫通穴Yを含有し、ドリブンプレート52の外周部より外周側に広がってドリブンプレート52の外周部との間に小さな開口部を生じ、小さな開口部から貫通穴Yからの冷却油を制限して排出する貫通穴Zが設けられた間座53を配するようになした。
請求項5に係わる本発明は、ブレーキB1の冷却性を考えたドライブプレートとドリブンプレートの形状に関する別の実施例で、第2の課題を解決するための手段であり、ドライブプレート51の金属板の両面に摩擦部材を貼るとともに同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の貫通穴Xを設け、摩擦部材の摩擦面に貫通穴Xを含有し、貫通穴Xからの冷却油を制限して排出する円周溝Vと円周溝Vから外周に連通する溝Wを形成し、遊星歯車列の構成要素となる回転部材に回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52の金属板の貫通穴Xと同一径円周部の摩擦面に貫通穴Yを設け、変速機ケースに回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止するようになした。
請求項6に係わる本発明は、ブレーキB1の摩擦部材の強制冷却及び冷却性を考えたドライブプレートとドリブンプレートの形状に関する更に別の実施例で、第2の課題を解決するための手段であり、ドライブプレート51の金属板の両面に摩擦部材を貼るとともに同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の貫通穴Xを設け、遊星歯車列の構成要素となる回転部材に回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52の金属板の貫通穴Xと同一径円周部の摩擦面に貫通穴Yを設け、変速機ケースに回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52を軸方向に2枚重ねて配するとともに、2枚のドリブンプレート52の間に貫通穴Yを含有しドリブンプレート52の間で密閉された大きな貫通穴Zが設けられた間座53を配し、複数のドライブプレー51とドリブンプレート52及び間座53を挟み押圧する端部2箇所の側面に油通路を設け、一方の側面の油通路に冷却油を供給するとともに他方の側面の油通路から冷却油を排出するようになした。
請求項7に係わる本発明は、非締結時のブレーキB1の連れ回りロスに関するもので、第3の課題を解決するための手段であり、ブレーキB1の交互に配された複数のドライブプレート51とドリブンプレート52を遊星歯車列の外周径方向外側に配し、ドライブプレート51を係止する遊星歯車列の構成要素となる回転部材の係止円筒部に内周から外周への油貫通穴を設けないようになした。
請求項8に係わる本発明は、原動機を低回転で使用可能とする回転変動吸収ダンパ10の配置と連結に関するもので、第4の課題を解決するための手段であり、
原動機は内燃機関であって内燃機関の出力軸に爆発による回転変動を吸収する回転変動吸収ダンパ10を装着し、入力軸1を変速機と内燃機関の隔壁となる隔壁2dの変速機側保持部材2eの内周に軸受け7aで軸支し、隔壁2dと保持部材2eの間に油圧制御に用いる駆動ロータ21と被駆動ロータ22からなるチャージングポンプ20を配し、端部が蓋12で密閉された回転変動吸収ダンパ10の出力ハブ11と入力軸1をスプライン連結するとともに出力ハブ11の変速装置側ボス部外周を、隔壁2dに装着された回転シール23でシールして変速機内部を密閉し、出力ハブ11が連結される入力軸1の変速機側スプラインにチャージングポンプ20の駆動ロータ21を連結するようになした。
請求項1記載の構成では、複数の遊星歯車列と遊星歯車列の構成要素を制御する複数の油圧クラッチ及びブレーキからなり、遊星歯車列の、少なくとも動力が出力される遊星歯車を構成する構成要素を制動するブレーキB1を締結することにより発進段となる前進1速段と後進段を得る多段自動変速機の、原動機を変速機の入力軸に回転変動吸収ダンパ10を介して連結し、変速機の出力軸の回転が一定回転速度以下の発進段となる前進1速段と後進段において、ブレーキB1の締結油圧を電気的に任意に制御することによりブレーキB1の断接及び滑り制御をなすとともに、ブレーキB1の非締結状態を除く一定締結油圧範囲内においてのみブレーキB1の摩擦部材に調圧された冷却油を供給するようになしたので、ブレーキB1の滑りと強制冷却制御が原動機となる内燃機関との統合制御により可能となり、適切なクリープ力とスムースな発進性能を得ることが出来る。又、多段自動変速機が入力継ぎ手を不必要とするシンプルコンパクトな構成になるとともに、トルクコンバータ等大きな滑りを伴う効率の悪い流体伝導装置を用いないため燃費を大幅に向上させることが出来る。更に、前進1速段で締結していない他のクラッチ又はブレーキの連れ回りトルクが出力軸に付加されるため、ブレーキB1の耐久性が増す。
請求項2記載の構成では、ブレーキB1のピストン55を押付ける締結油圧を、デューティソレノイドバルブ160とB1シフトバルブ150或いは電圧又は電流の大きさに比例して該締結油圧を変えることのできるリニアソレノイドバルブ等で電気的に任意の油圧に制御可能とするとともに、締結油圧で作動する第1及び第2のスプールと、スプールを締結油圧とは反対方向に押す第1及び第2のスプリングとで構成され、締結油圧がピストン55のリターンスプリング56の荷重相当油圧で第1のスプールを作動させ、リターンスプリング56の荷重相当油圧より高い一定の油圧で第2のスプールを作動させるよう第1及び第2のスプリングを設定し、第1のスプールが作動し第2のスプールが非作動状態でのみB1潤滑調圧弁130で調圧された冷却油をブレーキB1の摩擦部材に供給するB1潤滑切り換弁140を設けたので、ブレーキB1の冷却油による強制冷却を発熱状態でなすとともに、非締結状態で冷却油を供給しないことで油圧クラッチ、ブレーキの内最大となるブレーキB1の連れ回りロスを減少させることが出来る。又、ブレーキB1の締結圧と冷却油をシンプルに電子油圧制御することで内燃機関との統合制御が可能となり、適切なクリープ力とスムースな発進性能を得ることが出来る。
請求項3記載の構成では、ブレーキB1の摩擦部材である交互に配された複数のドライブプレート51とドリブンプレート52の同一径円周部の摩擦面に複数の貫通穴X,Yを設け、複数のドライブプレート51とドリブンプレート52の重なりあった端部側面の少なくとも一方の側面に、B1潤滑調圧弁130により調圧された冷却油が供給される油通路を設け、油通路と貫通穴X,Yとを連通するようになしたので、ブレーキB1の強制冷却が確実となり耐久性を確保することが出来る。
請求項4記載の構成では、ドライブプレート51の金属板の両面に摩擦部材を貼るとともに同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の貫通穴Xを設け、遊星歯車列の構成要素となる回転部材に回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52の金属板の貫通穴Xと同一径円周部の摩擦面に貫通穴Yを設け、変速機ケースに回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52を軸方向に2枚重ねて配するとともに、2枚のドリブンプレート52の間に、貫通穴Yを含有し、ドリブンプレート52の外周部より外周側に広がってドリブンプレート52の外周部との間に小さな開口部を生じ、小さな開口部から貫通穴Yからの冷却油を制限して排出する貫通穴Zが設けられた間座53を配するようになしたので、2枚のドリブンプレート52の間から一様に冷却油が排出され、ドリブンプレート52を摩擦面裏側の広い面積で効率よく冷却して耐久性を確保することが出来る。
請求項5記載の構成では、ドライブプレート51の金属板の両面に摩擦部材を貼るとともに同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の貫通穴Xを設け、摩擦部材の摩擦面に貫通穴Xを含有し、貫通穴Xからの冷却油を制限して排出する円周溝Vと円周溝Vから外周に連通する溝Wを形成し、遊星歯車列の構成要素となる回転部材に回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52の金属板の貫通穴Xと同一径円周部の摩擦面に貫通穴Yを設け、変速機ケースに回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止するようになしたので、摩擦面の円周溝VとWから一様に冷却油が排出され、ドリブンプレート52を摩擦面で冷却して耐久性を確保することが出来る。
請求項6記載の構成では、ドライブプレート51の金属板の両面に摩擦部材を貼るとともに同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の貫通穴Xを設け、遊星歯車列の構成要素となる回転部材に回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52の金属板の貫通穴Xと同一径円周部の摩擦面に貫通穴Yを設け、変速機ケースに回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、ドリブンプレート52を軸方向に2枚重ねて配するとともに、2枚のドリブンプレート52の間に貫通穴Yを含有しドリブンプレート52の間で密閉された大きな貫通穴Zが設けられた間座53を配し、複数のドライブプレー51とドリブンプレート52及び間座53を挟み押圧する端部2箇所の側面に油通路を設け、一方の側面の油通路に冷却油を供給するとともに他方の側面の油通路から冷却油を排出するようになしたので、ドリブンプレート52を摩擦面裏側から冷却した高温の油を循環し効率の良い油の冷却により耐久性を確保することが出来る。
請求項7記載の構成では、ブレーキB1の交互に配された複数のドライブプレート51とドリブンプレート52を遊星歯車列の外周径方向外側に配し、ドライブプレート51を係止する遊星歯車列の構成要素となる回転部材の係止円筒部に内周から外周への油貫通穴を設けないようになしたので、非締結状態においてドライブプレート51とドリブンプレート52には軸受け及び遊星歯車を潤滑した油が供給されず、油圧クラッチ、ブレーキの内最大となるブレーキB1の連れ回りロスを減少させることが出来る。尚、本項は請求項2を補助するものである。
請求項8記載の構成では、原動機は内燃機関であって内燃機関の出力軸に爆発による回転変動を吸収する回転変動吸収ダンパ10を装着し、入力軸1を変速機と内燃機関の隔壁となる隔壁2dの変速機側保持部材2eの内周に軸受け7aで軸支し、隔壁2dと保持部材2eの間に油圧制御に用いる駆動ロータ21と被駆動ロータ22からなるチャージングポンプ20を配し、端部が蓋12で密閉された回転変動吸収ダンパ10の出力ハブ11と入力軸1をスプライン連結するとともに出力ハブ11の変速装置側ボス部外周を、隔壁2dに装着された回転シール23でシールして変速機内部を密閉し、出力ハブ11が連結される入力軸1の変速機側スプラインにチャージングポンプ20の駆動ロータ21を連結するようになしたので、入力軸1と隔壁2d及び駆動ロータ21の入力側連結部、及びブレーキB1構成部以外は入力継ぎ手を用いたATと共通となり互換性を持たすことが出来るとともに、十分なスペースが確保出来る回転変動吸収ダンパ10により内燃機関の低回転領域を使用して燃費を向上させることが出来る。
本発明は入力軸と出力軸が同一軸となるRWD(Rear Wheel Drive)車にも適用出来るが、実施例は本発明の特徴を活かしたコンパクトさが要求される前進6速以上の入力軸と出力軸がオフセットするFWD(Front Wheel Drive)車用の多段自動変速機とした。尚、海外向けとしては350mm前後のものもあるが国内のFWD普通乗用車に用いられる4ATの軸長は370〜395mm(アイシンAW社カタログ)であり、本発明の軸方向の短縮化を表す目安として、入力トルクを300Nmとしたコンセプト図には軸方向の寸法を記入した。
滑り制御がなされるブレーキB1が配され、相応しいギア比を有した本発明の原動機直結の多段自動変速機として、ブレーキB1の種々の配置及び構造を示すため、前進6速後進1速のA−1、B−1、B−2の3例、前進8速後進2速のC−1の1例を挙げる。現在最も多く実用化されている前進6速後進1速の変速形態はAとBタイプの2種であるが、実用化されている遊星歯車列はB−2のみである。A、Bタイプの違いは、前進1速から4速段で入力される構成要素にクラッチC1を介して減速回転を入力するか非減速回転を入力するかだけの違いであり、非減速回転を入力するAタイプの方が減速用遊星歯車列を介して減速回転を入力するBタイプより減速用遊星歯車列の動力伝達のロスとクラッチC1のトルク容量アップによる摩擦部材の連れ回りトルクのロス分効率が良くなる。但しパワートレンにはそれぞれ特徴があるため、Aタイプを1例、Bタイプを2例示した。図6、図7、図8に示したA−1は遊星歯車列も含めて最も伝達効率の良い代表例でありFWD車に適用するには入力軸が変速機の両端で軸支される必要もあることから、今まで提案されていない遊星歯車列と油圧サーボの配列を用いた。図9、図10、図11に示したB−1は大きな範囲の駆動力を確保出来る遊星歯車列の代表例で、図12、図13、図14に示したB−2の遊星歯車列は変速段のギア比のステップがクロスとなる代表例である。実用化された6ATには、高速連続走行となる最高速段で2個の遊星歯車を動力が通過する伝達効率上問題のあるものや、クラッチの外周ドラムをブレーキで制動し潤滑油排出不足による摩擦部材の連れ回りロスが増大するものが多く、実施例はこの点に留意し効率を向上させたものである。前進8速後進2速となる図15、図16、図17に示したC−1は既に特開2001−182785で提案されている方式でRWD車用として実用化されているが、FWD車用としての油圧サーボの配列及び構造は本件出願人がB−1とともに特願2006−306162で提案したものを用いた。
本発明のブレーキB1の制御回路を図1と図4に示す。図1の制御回路はB−1、B−2及びC−3のブレーキB1に適用するもので、図1に示した多段自動変速機はB−1であり、その摩擦部材の形状詳細を図2に示し、B−2及びC−3の摩擦部材の形状詳細を図3に示す。図4の制御回路はA−1のブレーキB1に適用するもので、その摩擦部材の形状詳細を図5に示す。本発明におけるブレーキB1の滑り状態の速度線図を図24に示し、この状態で締結していないクラッチ及びブレーキの連れ回りトルクの出力に与える影響を説明する。入力継ぎ手が装着されたATと比較し互換性を示すために、本発明のB−1に対するB−0を図19と図20に示し、本発明のC−1に対するC−0を図21と図23に示す。図22はB−2、C−1、C−0に適用した大きな負荷がかかるラビニョー遊星歯車列の断面で特殊な構造となるので参考として記載した。尚、本発明の原動機直結の多段自動変速機は、内燃機関の出力軸に装着した回転変動吸収ダンパと連結し、A−1、B−1、B−2、C−1共通の連結部詳細を図18に示す。
現在実用化されている内燃機関の回転変動を吸収する主なダンパとしては、乾式、湿式及び油圧(ハイドロ)式があり、実施例ではA−1に乾式ダンパ、B−2に湿式ダンパ、B−1とC−1にハイドロダンパを用いた。いずれもATのトルクコンバータのロックアップダンパよりスペースに余裕があるため回転変動吸収性能は良く、内燃機関の低回転を利用することにより燃費を向上させることが出来る。当然、実施例以外のものをどのタイプに使用しても良い。乾式ダンパは広角、低剛性でマルチステージのねじり特性を持ったトーションスプリングとクーロン摩擦による減衰機構を持たせたものであり、湿式ダンパはグリースを注入して音を遮断し、広角、低剛性となるアークスプリングを用い回転変動の増減に応じたアークスプリングの「セリヒス」による摩擦減衰特性を持たせたもので乾式ダンパより振動吸収特性が良い。ハイドロダンパはトーションスプリングで連結された2室に油(グリース)を注入してオリフィス(スキマ)で連通して回転変動速度の2乗に比例した減衰作用を持たせたもので湿式ダンパを上回る振動吸収特性を持っている。尚、回転変動吸収にはイナーシャとの組み合わせが効果的であり、変速機側の回転イナーシャが大きくなる本願構造は内燃機関の回転変動吸収に有利となり、ダンパには内燃機関側のみにイナーシャを付加した。内燃機関の爆発による出力軸の曲げ振動に関しては特別の配慮はしていないが、回転変動吸収ダンパの入出力部に薄板を用いて吸収させてもよい。
<A−1>
本発明におけるA−1タイプの構造を表す図6と図6の模式図を示す図7において、図の左側前方の図示しない原動機の出力軸9にボルトで固定されたの回転変動吸収の乾式ダンパ10からスプライン連結により変速装置の入力軸1に動力が導かれる。変速装置全体を収めるハウジングは前部のフロントケース2aと中央部の変速機ケース2bと後部のリアケース2cとからなり、入力軸1と並行に配された中継軸5及び出力軸を含んだディファレンシャル装置30とを軸支する母体となる。入力軸1は保持部材2eに配された軸受け7aとリアケース2cに配された軸受け7bで軸支される。隔壁2dは乾式の原動機側と湿式の変速機ケース2bを隔てる隔壁であり、隔壁2dがフロントケース2a及び変速機ケース2bにボルト締めされ、軸受け7aを圧入した保持部材2eが隔壁2dにボルト締めされ、隔壁2dと保持部材2eの間で変速装置のチャージングポンプ20を保持する。中継軸5は一端がフロントケース2aに配された軸受け7dで、もう一端が変速装機ケース2bに配された軸受け7eで軸支され、入力軸1と同軸上の出力となるカウンターギア3と噛合うカウンターギア4がスプラインで連結されるとともに、出力軸8a、8bを含んだディファレンシャル装置30に動力を伝達するカウンターギアが一体成形されている。又、ディファレンシャル装置30のキャリアは一端がフロントケース2aに配された軸受け7fで、もう一端が変速装機ケース2bに配された軸受け7gで軸支され、カウンターギアと一体の中継軸5と噛合うカウンターギア6がボルトで締結されている。そして、出力軸8a、8bはディファレンシャル装置30のキャリアで軸支される。周知の如く、ディファレンシャル装置30はピニオンギアとサイドギアからなり、サイドギアには自動変速装置の出力軸8a、8bが連結される。
変速機ケース2bの軸方向中央部にはカウンターギア3の軸受け7cを軸支する側壁が設けられ、この側壁とリアケース2cの間に側壁側から順に第2及び第1遊星歯車列と減速用遊星歯車列が配され、これら遊星歯車列の外周径方向外側には側壁側から順にブレーキB1とB2及びクラッチC3が配され、側壁と隔壁2d及び保持部材2eの間には側壁側から順にカウンターギア3とクラッチC1、C2が配される。
クラッチC1、C2はクラッチドラムを共有した2連クラッチであり、入力軸1に一体として溶着され保持部材2eの円筒外周部に延材されるクラッチドラムと、クラッチドラムの側壁の両側に保持され保持部材2eからクラッチ作動油が供給されるピストンと、ピストンに作用する遠心油圧キャンセラープレート及びリターンスプリングと、摩擦部材及びクラッチハブからなり、クラッチドラムの外周円筒部内側スプラインの中央部に固定されるエンドプレートを挟んでクラッチC2とC1の各一方の摩擦部材が係止されもう一方の各摩擦部材がクラッチC2とC1のクラッチハブに係止される。ここで、クラッチドラムの外周のピストンがクラッチC1の摩擦部材を図面左方向に押圧し、内周のピストンがクラッチC2の摩擦部材を図面右方向に押圧し、内周のピストンの右側には外周のピストンとスタッドピンで連結された遠心油圧キャンセラープレートが配され、遠心油圧キャンセラープレートと内周のピストンの間にはリターンスプリングが配され2つのピストンをクラッチドラムの側壁に戻す力が作用する。したがって、1個の遠心油圧キャンセラープレートとリターンスプリングが2個のピストンに作用するシンプルな2連クラッチとなり、本件出願人が特開2007−51651で提案したものである。
変速機後端のリアケース2c側に配される減速用遊星歯車列は互いに噛合う遊星ピニオンギアを軸支する遊星キャリアP0と、一方の遊星ピニオンギアと噛合うサンギアS0と、もう一方の遊星ピニオンギアと噛合うリングギアR0とからなるダブル遊星歯車であり、サンギアS0がリアケース2cの内周ボス部に固定され遊星キャリアP0の図左側サイド部材が入力軸1にスプライン連結される。
クラッチC3は軸方向が規制されリアケース2cの内周ボスの外周部で回転自在に軸支されるクラッチドラムと、クラッチドラムに保持されリアケース2cの内周ボスからクラッチ作動油が供給されるピストンと、ピストンに作用する遠心油圧キャンセラープレート及びリターンスプリングと、摩擦部材及びクラッチハブからなり、クラッチドラムの外周円筒部内側スプラインにはリアケース2c側から順にリングギアR0の逆L字型延材部がリティニングリングで固定されるとともに一方の摩擦部材が係止され、もう一方の摩擦部材がサンギアS1と一体のクラッチハブに係止される。リングギアR0のクラッチドラムへの延材部には円周方向に複数の貫通穴が明けられ、ピストンがこの貫通穴を通して摩擦部材を押圧する。
第1及び第2遊星歯車列はそれぞれ遊星ピニオンギアを軸支する遊星キャリアP1、P2と、遊星ピニオンギアと噛合うサンギアS1、S2と、同じく遊星ピニオンギアと噛合うリングギアR1、R2とからなるシンプル遊星歯車であり、リングギアR1が遊星キャリアP2の図右側サイド部材に溶着され、リングギアR2がリングギアR1の外周径方向外側に延材され遊星キャリアP1の図右側サイド部材に連結される。遊星キャリアP1の図左側サイド部材は内周部で入力軸1の外周に軸支されクラッチC2のクラッチハブが溶着される円筒連結部材にスプライン連結されるとともにサンギアS1を軸支し、サンギアS2はクラッチC2のクラッチハブが溶着される円筒連結部材に軸支されクラッチC1のクラッチハブにスプライン連結される。遊星キャリアP2の図左側サイド部材は変速機ケース2bの軸方向中央部に設けられた側壁の内周部に軸受け7cで軸支されるカウンターギア3のスプラインに連結されるとともに回り止めが施されたナットで固定され、サンギアS1にはクラッチC3のクラッチハブが溶着されるとともにリングギアR1の外周径方向外側に延材されるブレーキB2のハブが溶着される。
ブレーキB2はピストンと、ピストンのリターンスプリングと、摩擦部材及びブレーキハブからなり、一方の摩擦部材が変速機ケース2bの円筒部内側スプラインに係止されもう一方の摩擦部材が、サンギアS1と一体のブレーキハブに係止される。ブレーキB2のピストン及びリターンスプリングはリアケース2cに配されクラッチC3の外周径方向外側に延材され摩擦部材を押圧する。
ブレーキB1はピストンと、ピストンのリターンスプリングと、摩擦部材及びブレーキハブとなるリングギアR2からなり、一方の摩擦部材が変速機ケース2bの円筒部内側スプラインに係止されもう一方の摩擦部材がリングギアR2の外周に係止される。ブレーキB1のピストン及びリターンスプリングは変速機ケース2bの軸方向中央部に設けられた側壁に配され摩擦部材を押圧する。後述する図4、5で詳細を説明するが、摩擦部材の摩擦面の同一円周部には貫通穴が明けられておりピストンとエンドプレートの摩擦部材の接触面にはこの貫通穴と連通し押圧時に接触面から油が飛散しない円周溝が設けられている。ピストンの円周溝はピストンの内部の油穴を通って変速機ケース2bとの間でシールされたピストンの外周溝を介し、ピストンの移動代範囲で変速機ケース2bの油通路と連通する。エンドプレートの円周溝は内部の円周方向油穴に装着され変速機ケース2bとの間でシールされたパイプを介し、変速機ケース2bの油通路と連通する。尚、通常のATではリングギアR2の歯底から外周までブレーキB1の摩擦部材を冷却潤滑する複数の貫通油穴が明けられているが、本リングギアR2には貫通油穴を設けていない。
前進6速後進1速のAタイプにおける2個の遊星歯車列の組み合わせのうち、A−1は互いの遊星キャリアとリングギアを連結して4個の構成要素としたもので、4ATで最も多く使われているギア効率の良い遊星歯車列の組み合わせである。図6、図7及び図8の模式図において、原動機の出力軸9にボルトで固定されたの回転変動吸収ダンパ10からスプライン連結により変速装置の入力軸1に導かれた動力は、チャージングポンプ20とクラッチC1、C2のクラッチドラムと減速用遊星歯車列の遊星キャリアP0を駆動する。入力軸1の回転はクラッチC1とC2のクラッチドラムを介してサンギアS2と、リングギアR2に連結する遊星キャリアP1に入力され、減速用遊星歯車列の減速回転はリングギアR0と連結したクラッチC3のクラッチドラムを介してサンギアS1に入力される。サンギアS1はブレーキB2で制動され、遊星キャリアP1に連結するリングギアR2はブレーキB1で制動され、リングギアR1に連結する遊星キャリアP2はカウンターギア3と連結し動力が出力される。カウンターギア3の動力は中継軸5に連結されたカウンターギア4に減速して伝達され、中継軸5と一体のカウンターギアからディファレンシャルキャリアに連結されたカウンターギア6に減速して伝達され、ディファレンシャル装置30のピニオンギアとサイドギアを介して出力軸8a、8bに伝達されて左右のタイヤを駆動する。
A−1の特色は変速機ケース2bの軸方向中央部の側壁と隔壁2dの間にクラッチC1、C2とカウンターギア3しか配されないということである。カウンターギアの噛合いは歯数比が大き過ぎると効率が悪化し、特にモジュールを大きくしなければならない終減速歯車となる中継軸5とカウンターギア6の噛合いは効率が悪化する。本構造ではカウンターギア3と4及び中継軸5とカウンターギア6のスペースに余裕があるため、カウンターギア3と4の減速比を大きくし、中継軸5とカウンターギア6の減速比をその分小さくして効率悪化を押さえることが出来る。又減速用遊星歯車列のリングギアR0を直接クラッチC3のクラッチドラムの外周円筒部内側スプラインに連結させたので構造がコンパクトになると同時にクラッチドラムは常時減速回転をし、摩擦部材の冷却潤滑油は遠心力で吐き出され連れ回りロスが低減される。尚、変速機ケース2bの側壁と隔壁2dの間に余裕を持たせた分軸方向は長くなるが、入力継ぎ手を必要としないので入力トルク300Nmで既存の変速機では類のない軸長335mmに押さえることが出来る。
速度線図とギア比を示す図8において、前進1速段から4速段では入力軸1の回転がクラッチC1を介してサンギアS2に入力され、前進5、6速段ではクラッチC2を介して連結された遊星キャリアP1とリングギアR2に入力される。このようにAタイプは前進段で非減速回転が直接変速されるとともに前進4速段では直結の1:1となり、減速用遊星歯車列を一部の動力が通過するのは前進3速段と5速段のみであることより、ギアの噛合いロスが小さく効率の良い伝達となる。加えて4個の構成要素からなるA−1の2個の遊星歯車列の組み合わせにおいて、2個の遊星歯車列を動力が通過するのは前進2速段と3速段のみで、その他の前進段では1個の遊星歯車列しか動力が通過しない動力伝達上効率の良い組み合わせとなる。
変速段は5個のクラッチ又はブレーキの2個を締結することにより決まり、その内の1個のみの繋ぎ換えで次段及び次々段及び前進1速段と後進段への変速が出来る。この時、締結側を滑らせて締結すると同時に開放側を滑らせて開放させればスムースな変速が可能となる。発進段となる前進1速段から前進2速段及び3速段への変速又はその逆の変速では、クラッチC1が締結状態のままブレーキB1とブレーキB2及びブレーキB1とクラッチC3を滑らせながら繋ぎ換えれば良い。又、クラッチC1とブレーキB1が締結する前進1速段と、クラッチC3とブレーキB1が締結する後進段の発進段では車両をクリープさせる機能が必要となり、それぞれクラッチC1及びC3を締結してブレーキB1を滑らせればその滑りトルクの反力がクリープ力となる。尚、前進1速段と後進段の変速はブレーキB1を滑らせた状態でクラッチC1とクラッチC3を滑らせて繋ぎ換えれば良い。
<B−1>
本発明におけるB−1タイプの構造を表す図9と図9の模式図を示す図10において、図の左側前方の図示しない原動機の出力軸9にボルトで固定されたの回転変動吸収のハイドロダンパ10からスプライン連結により変速装置の入力軸1に動力が導かれる。変速装置全体を収めるハウジングは前部のフロントケース2aと中央部の変速機ケース2bと後部のリアケース2cとからなり、入力軸1と並行に配された中継軸5及び出力軸を含んだディファレンシャル装置30とを軸支する母体となる。入力軸1は保持部材2eに一体となり圧入された円筒部材2fに配された軸受け7aとリアケース2cに配された軸受け7bで軸支される。隔壁2dは乾式の原動機側と湿式の変速機ケース2bを隔てる隔壁であり、隔壁2dがフロントケース2a及び変速機ケース2bにボルト締めされ、軸受け7aが圧入された円筒部材2fと一体の保持部材2eが隔壁2dにボルト締めされ、隔壁2dと保持部材2eの間で変速装置のチャージングポンプ20を保持する。中継軸5は一端がフロントケース2aに配された軸受け7dで、もう一端が変速装機ケース2bに配された軸受け7eで軸支され、入力軸1と同軸上の出力となるカウンターギア3と噛合うカウンターギア4がスプラインで連結されるとともに、出力軸8a、8bを含んだディファレンシャル装置30に動力を伝達するカウンターギアが一体成形されている。又、ディファレンシャル装置30のキャリアは一端がフロントケース2aに配された軸受け7fで、もう一端が変速装機ケース2bに配された軸受け7gで軸支され、カウンターギアと一体の中継軸5と噛合うカウンターギア6がボルトで締結されている。そして、出力軸8a、8bはディファレンシャル装置30のキャリアで軸支される。周知の如く、ディファレンシャル装置30はピニオンギアとサイドギアからなり、サイドギアには自動変速装置の出力軸8a、8bが連結される。
変速機ケース2bの軸方向中央部にはカウンターギア3の軸受け7cを軸支する側壁が設けられ、この側壁とリアケース2cの間に側壁側から順にカウンターギア3と第1及び第2遊星歯車列が配され、これら遊星歯車列の外周径方向外側には側壁側から順にブレーキB1とクラッチC2が配され、側壁と隔壁2d及び保持部材2eの間には減速用遊星歯車列と減速用遊星歯車列の外周径方向外側には側壁側から順にクラッチC3、C1が、更に外周径方向外側にはブレーキB2が配される。
減速用遊星歯車列は遊星ピニオンギアを軸支する遊星キャリアP0と、遊星ピニオンギアと噛合うサンギアS0と、同じく遊星ピニオンギアと噛合うリングギアR0とからなるシンプル遊星歯車であり、サンギアS0が保持部材2eに圧入された円筒部材2fに固定されリングギアR0に連結されたハブが入力軸1にスプライン連結される。
クラッチC1、C3はクラッチドラムを共有した2連クラッチであり、減速用遊星歯車列の遊星キャリアP0の図左側サイド部材にスプライン連結されるとともに保持部材2eの外周部に延材されて円筒部材2fの外周に軸支されるクラッチドラムと、クラッチドラムの側壁の両側に配され保持部材2eからクラッチ作動油が供給されるピストンと、ピストンに作用する遠心油圧キャンセラープレート及びリターンスプリングと、摩擦部材及びクラッチハブからなり、クラッチドラムの外周円筒部内側スプラインの中央部に固定されるエンドプレートを挟んでクラッチC1とC3の各一方の摩擦部材が係止されもう一方の各摩擦部材がクラッチC1とC3のクラッチハブに係止される。ここで、クラッチドラムの外周のピストンがクラッチC3の摩擦部材を図面左方向に押圧し、内周のピストンがクラッチC1の摩擦部材を図面右方向に押圧し、内周のピストンの右側には外周のピストンとスタッドピンで連結された遠心油圧キャンセラープレートが配され、遠心油圧キャンセラープレートと内周のピストンの間にはリターンスプリングが配され2つのピストンをクラッチドラムの側壁に戻す力が作用する。したがって、1個の遠心油圧キャンセラープレートとリターンスプリングが2個のピストンに作用するシンプルな2連クラッチとなり、A−1で使用した2連クラッチC1、C2と同じ構造である。
ブレーキB2はピストンと、ピストンのリターンスプリングと、摩擦部材及びブレーキハブからなり、一方の摩擦部材が変速機ケース2bの軸方向中央部に設けられた側壁端の円筒部内側スプラインに係止され、もう一方の摩擦部材がクラッチC3のクラッチハブに連結され2連クラッチC1,C3の外周径方向外側に延材されたブレーキハブに係止される。ブレーキB2のピストン及びリターンスプリングは隔壁2dに配され、2連クラッチC1,C3の外周径方向外側に延材され摩擦部材を押圧する。
第1及び第2遊星歯車列はそれぞれ遊星ピニオンギアを軸支する遊星キャリアP1、P2と、遊星ピニオンギアと噛合うサンギアS1、S2と、同じく遊星ピニオンギアと噛合うリングギアR1、R2とからなるシンプル遊星歯車であり、サンギアS1とリングギアR2がサンギアS1に溶着されたプレートで連結され、遊星キャリアP2の図右側サイド部材がリングギアR2の外周径方向外側を通りリングギアR1の外周径方向外側まで延材され遊星キャリアP1の図右側サイド部材に連結される。サンギアS2は入力軸1の外周に軸支されクラッチC1のクラッチハブが溶着される円筒連結部材にスプライン連結され、サンギアS1はサンギアS2の円筒連結部材に一端が軸支されてクラッチC3のクラッチハブにスプライン連結され、リングギアR1はカウンターギア3に連結される。尚、遊星キャリアP2の図左側サイド部材が筒状にサンギアS1の内周径方向内側に延材され入力軸1の外周に軸支されるとともにサンギアS1の一端を軸支する。
クラッチC2は入力軸1に溶着されリアケース2cの内周ボスの外周部に延材されるクラッチドラムと、クラッチドラムに保持されリアケース2cの内周ボスからクラッチ作動油が供給されるピストンと、ピストンに作用する遠心油圧キャンセラープレート及びリターンスプリングと、摩擦部材及びクラッチハブからなり、クラッチドラムはリングギアR2の外周径方向外側に延材される。クラッチドラムの外周円筒部内側スプラインには一方の摩擦部材が係止され、もう一方の摩擦部材がクラッチハブとなる遊星キャリアP2の図右側サイド部材の外周スプラインに係止される。
ブレーキB1はピストンと、ピストンのリターンスプリングと、摩擦部材及びブレーキハブからなり、一方の摩擦部材が変速機ケース2bの円筒部内側スプラインに係止されもう一方の摩擦部材が遊星キャリアP2のブレーキハブとなる筒状延材部の外周スプラインに係止される。ブレーキB1のピストン及びリターンスプリングはリアケース2cに配されクラッチC2の外周径方向外側に延材され摩擦部材を押圧する。後述する図1、2で詳細を説明するが、摩擦部材の摩擦面の同一円周部には摩擦部材の前端に位置しディッシュプレートを保持するL字型のフロントプレートまで貫通穴が明けられており、変速機ケース2b側壁の摩擦部材の接触面にはこの貫通穴と連通し押圧時に接触面から油が飛散しない円周溝が設けられている。変速機ケース2b側壁の円周溝は変速機ケース2bの油通路と連通する。尚、通常のATでは遊星キャリアP2の筒状延材部には内周から外周までブレーキB1の摩擦部材を冷却潤滑する複数の貫通油穴が明けられているが、本構造は貫通油穴を設けていない。
前進6速後進1速のBタイプにおける遊星歯車列の組み合わせのうち、B―1は前進1速段を前進6速段のギア比で除したギアレンジが大きくなる遊星歯車列の組み合わせである。図9、図10及び図11の模式図において、原動機の出力軸9にボルトで固定されたの回転変動吸収ダンパ10からスプライン連結により変速装置の入力軸1に導かれた動力は、チャージングポンプ20と減速用遊星歯車列のリングギアR0とクラッチC2のクラッチドラムを駆動する。入力軸1の回転はクラッチC2のクラッチドラムを介して遊星キャリアP1、P2に入力され、減速用遊星歯車列の減速回転は遊星キャリアP0に連結した2連クラッチC1、C3のクラッチドラムを介してサンギアS2とS1に入力される。サンギアS1はブレーキB2で制動され、遊星キャリアP1、P2はブレーキB1で制動され、リングギアR1はカウンターギア3と連結し動力が出力される。カウンターギア3の動力は中継軸5に連結されたカウンターギア4に減速して伝達され、中継軸5と一体のカウンターギアからディファレンシャルキャリアに連結されたカウンターギア6に減速して伝達され、ディファレンシャル装置30のピニオンギアとサイドギアを介して出力軸8a、8bに伝達されて左右のタイヤを駆動する。
B−1の特色は各クラッチ及びブレーキの摩擦部材が各遊星歯車列の外周径方向外側に配すことが出来てコンパクトになることと、効率の面では不利となるが前進の減速段で2個の遊星歯車列に動力が通るため減速比が大きく採れることである。又、次段へのステップもそれほど大きくはならない。尚、ブレーキB2はクラッチC3のクラッチハブを制動する構造としたので2連クラッチのクラッチドラムの冷却潤滑油は遠心力で吐き出され連れ回りロスが低減される。尚、軸長はA−1より一段と短くなり300Nmで310mmとなる。
速度線図とギア比を示す図11において、前進1速段から4速段では入力軸1の減速回転がクラッチC1を介してサンギアS2に入力され、前進3、5速及び後進段ではクラッチC3を介して連結されるサンギアS1とリングギアR2に入力される。このようにBタイプは前進段で減速用遊星歯車列を介した減速回転が変速されるため減速用遊星歯車列を動力が通過しないAタイプと比べ効率的に不利となるが、ギア比を大きく採ることが出来る。尚、高速連続走行となる前進6速段ではA−1と同じく、入力軸1の回転がクラッチC2を介して遊星キャリアP1に入力され、サンギアS1固定によりリングギアR1から出力される第1遊星歯車列しか動力が通過しない効率の良い伝達となる。
変速段は5個のクラッチ又はブレーキの2個を締結することにより決まり、その内の1個のみの繋ぎ換えで次段及び次々段及び前進1速段と後進段への変速が出来る。各変速段で締結する2個のクラッチ又はブレーキはA−1と全く同じとなり制御方法も同じとなる。つまり、締結側を滑らせて締結すると同時に開放側を滑らせて開放させればスムースな変速が可能となる。発進段となる前進1速段から前進2速段及び3速段への変速又はその逆の変速では、クラッチC1が締結状態のままブレーキB1とブレーキB2及びブレーキB1とクラッチC3を滑らせながら繋ぎ換えれば良い。又、クラッチC1とブレーキB1が締結する前進1速段と、クラッチC3とブレーキB1が締結する後進段の発進段では車両をクリープさせる機能が必要となり、それぞれクラッチC1及びC3を締結してブレーキB1を滑らせればその滑りトルクの反力がクリープ力となる。尚、前進1速段と後進段の変速はブレーキB1を滑らせた状態でクラッチC1とクラッチC3を滑らせて繋ぎ換えれば良い。
<B−2>
本発明におけるB−2タイプの構造を表す図12と図12の模式図を示す図13において、図の左側前方の図示しない原動機の出力軸9にボルトで固定されたの回転変動吸収の湿式ダンパ10からスプライン連結により変速装置の入力軸1に動力が導かれる。B−2タイプはB−1タイプと4個の構成要素からなる2個の遊星歯車列の組み合わせが異なるのみであることより、説明は2個の遊星歯車列の組み合わせに留める。
第1及び第2遊星歯車列は遊星キャリアPを共有し、第1遊星歯車列は遊星キャリアPに軸支されるロング遊星ピニオンギアとロング遊星ピニオンギアと噛合うサンギアS1と、同じくロング遊星ピニオンギアと噛合うリングギアRとからなり、第2遊星歯車列は遊星キャリアPに軸支されるロング遊星ピニオンギアとロング遊星ピニオンギアと噛合うショート遊星ピニオンギアとショート遊星ピニオンギアと噛合うサンギアS2とからなる所謂ラビニョー遊星歯車列である。サンギアS2は入力軸1の外周に軸支されクラッチC1のクラッチハブが溶着される円筒連結部材にスプライン連結され、サンギアS1はサンギアS2の円筒連結部材に軸支されてクラッチC3のクラッチハブにスプライン連結され、リングギアRはカウンターギア3に連結される。遊星キャリアPは図左側サイド部材がクラッチC3のクラッチハブに軸支され、図右側サイド部材がロング遊星ピニオンギアの外周径方向外側を通りリングギアRの外周径方向外側まで延材されクラッチC2とブレーキB1の一方の摩擦部材を係止する。
ブレーキB1に関し摩擦部材のみB−1と異なる実施例とした。詳細は後述する図3で説明する。尚、通常のATでは遊星キャリアPの筒状延材部には内周から外周までブレーキB1の摩擦部材を冷却潤滑する複数の貫通油穴が明けられているが、本構造は貫通油穴を設けていない。
前進6速後進1速のBタイプにおける遊星歯車列の組み合わせのうち、B―2は、次段へのギア比のステップが小さくなる遊星歯車列の組み合わせである。図12、図13及び図14の模式図において、原動機の出力軸9にボルトで固定されたの回転変動吸収ダンパ10からスプライン連結により変速装置の入力軸1に導かれた動力は、チャージングポンプ20と減速用遊星歯車列のリングギアR0とクラッチC2のクラッチドラムを駆動する。入力軸1の回転はクラッチC2のクラッチドラムを介して遊星キャリアPに入力され、減速用遊星歯車列の減速回転は遊星キャリアP0に連結した2連クラッチC1、C3のクラッチドラムを介してサンギアS2とS1に入力される。サンギアS1はブレーキB2で制動され、遊星キャリアPはブレーキB1で制動され、リングギアR1はカウンターギア3と連結し動力が出力される。カウンターギア3の動力は中継軸5に連結されたカウンターギア4に減速して伝達され、中継軸5と一体のカウンターギアからディファレンシャルキャリアに連結されたカウンターギア6に減速して伝達され、ディファレンシャル装置30のピニオンギアとサイドギアを介して出力軸8a、8bに伝達されて左右のタイヤを駆動する。
B−2の特色は基本的にB−1と同じであるが、ラビニョー遊星歯車列を使うことでギア比をクロスに出来ることである。但しダブル遊星歯車となるため、遊星ピニオンギアの数が限定されることやロング遊星ピニオンギアが第1及び第2遊星歯車列の両方で噛合う場合、噛合いベクトルの違いにより歯当たりが悪くなる問題があり、減速された大きなトルクが入力するサンギアS2はギア幅を大きくしなければならない。尚、ラビニョー遊星歯車列では通常3個用いる遊星ピニオンギアを本構造では図22で示したように遊星ピニオンギアが4個の組み合わせで強度を増す構造とする。これはロングピニオンギアとショートピニオンギアを軸支するシャフトをスタッドピンの如く用いて遊星キャリアの左右のサイド部材を連結固定したものである。軸長はB−1と同じく、300Nmで310mmとなる。
速度線図とギア比を示す図14において、前進1速段から4速段では入力軸1の減速回転がクラッチC1を介してサンギアS2に入力され、前進3、5速及び後進段ではクラッチC3を介してサンギアS1に入力される。このようにBタイプは前進段で減速用遊星歯車列を介した減速回転が変速されるため減速用遊星歯車列を動力が通過しないAタイプと比べ効率的に不利となるが、ギア比を大きく採ることが出来る。但しB−2はB−1と異なり前進段で減速用遊星歯車列を介した減速回転がダブル遊星歯車を通過するためB−1程ギア比は大きくならない。尚、高速連続走行となる前進6速段ではA−1と同じく、入力軸1の回転がクラッチC2を介して遊星キャリアPに入力され、サンギアS1固定によりリングギアRから出力される第1遊星歯車列しか動力が通過しない効率の良い伝達となる。
変速段は5個のクラッチ又はブレーキの2個を締結することにより決まり、その内の1個のみの繋ぎ換えで次段及び次々段及び前進1速段と後進段への変速が出来る。各変速段で締結する2個のクラッチ又はブレーキはA−1及びB−1と全く同じとなり制御方法も同じとなる。つまり、締結側を滑らせて締結すると同時に開放側を滑らせて開放させればスムースな変速が可能となる。発進段となる前進1速段から前進2速段及び3速段への変速又はその逆の変速では、クラッチC1が締結状態のままブレーキB1とブレーキB2及びブレーキB1とクラッチC3を滑らせながら繋ぎ換えれば良い。又、クラッチC1とブレーキB1が締結する前進1速段と、クラッチC3とブレーキB1が締結する後進段の発進段では車両をクリープさせる機能が必要となり、それぞれクラッチC1及びC3を締結してブレーキB1を滑らせればその滑りトルクの反力がクリープ力となる。尚、前進1速段と後進段の変速はブレーキB1を滑らせた状態でクラッチC1とクラッチC3を滑らせて繋ぎ換えれば良い。
<C−1>
本発明におけるC−1タイプの構造を表す図15と図15の模式図を示す図16において、図の左側前方の図示しない原動機の出力軸9にボルトで固定されたの回転変動吸収のハイドロダンパ10からスプライン連結により変速装置の入力軸1に動力が導かれる。変速装置全体を収めるハウジングは前部のフロントケース2aと中央部の変速機ケース2bと後部のリアケース2cとからなり、入力軸1と並行に配された中継軸5及び出力軸を含んだディファレンシャル装置30とを軸支する母体となる。入力軸1は保持部材2eに一体となり圧入された円筒部材2fに配された軸受け7aとリアケース2cに配された軸受け7bで軸支される。隔壁2dは乾式の原動機側と湿式の変速機ケース2bを隔てる隔壁であり、隔壁2dがフロントケース2a及び変速機ケース2bにボルト締めされ、軸受け7aが圧入された円筒部材2fと一体の保持部材2eが隔壁2dにボルト締めされ、隔壁2dと保持部材2eの間で変速装置のチャージングポンプ20を保持する。中継軸5は一端がフロントケース2aに配された軸受け7dで、もう一端が変速装機ケース2bに配された軸受け7eで軸支され、入力軸1と同軸上の出力となるカウンターギア3と噛合うカウンターギア4がスプラインで連結されるとともに、出力軸8a、8bを含んだディファレンシャル装置30に動力を伝達するカウンターギアが一体成形されている。又、ディファレンシャル装置30のキャリアは一端がフロントケース2aに配された軸受け7fで、もう一端が変速装機ケース2bに配された軸受け7gで軸支され、カウンターギアと一体の中継軸5と噛合うカウンターギア6がボルトで締結されている。そして、出力軸8a、8bはディファレンシャル装置30のキャリアで軸支される。周知の如く、ディファレンシャル装置30はピニオンギアとサイドギアからなり、サイドギアには自動変速装置の出力軸8a、8bが連結される。
変速機ケース2bの軸方向中央部にはカウンターギア3の軸受け7cを軸支する側壁が設けられ、この側壁と内周ボス部が側壁付近まで延材されたリアケース2cの間には減速用遊星歯車列と減速用遊星歯車列の外周径方向外側には側壁側から順にクラッチC1と摩擦材を2階建てに有した2連クラッチC3、C4が、更に外周径方向外側にはブレーキB2が配される。側壁と隔壁2d及び保持部材2eの間には側壁側から順にカウンターギア3と第1及び第2遊星歯車列が配され、これら遊星歯車列の外周径方向外側には側壁側から順にブレーキB1とクラッチC2が配される。尚、側壁と隔壁2d及び保持部材2eの間のカウンターギア3と第1及び第2遊星歯車列及びブレーキB1とクラッチC2の配置構造はB−1の側壁とリアケース2cの間の配置構造を側壁に対し対象としたものである。又、前進8速となる側壁とリアケース2cの間に配された減速用遊星歯車列とクラッチC1と2連クラッチC3、C4及びブレーキB2の配置構造は本件出願人が特願2006−306162の図24で提案したものである。
減速用遊星歯車列は互いに噛合う遊星ピニオンギアを軸支する遊星キャリアP0と、一方の遊星ピニオンギアと噛合うサンギアS0と、もう一方の遊星ピニオンギアと噛合うリングギアR0とからなるダブル遊星歯車であり、サンギアS0がリアケース2cの内周ボスに固定され遊星キャリアP0の図左側サイド部材が入力軸1にスプライン連結される。入力軸1にスプライン連結する遊星キャリアP0のハブはリアケース2cの内周ボスの外周部に円筒状に配され、リアケース2cに通じる油路を有する。リングギアR0にはリングギアR0の軸方向移動を制限するとともに外周円筒部にスプラインが形成された保持部材が連結される。
クラッチC1は入力軸1と遊星キャリアP0のハブに軸支される円筒部材に溶着されリングギアR0の外周径方向外側に延材されたクラッチドラムと、クラッチドラムに保持されリアケース2cの内周ボスから遊星キャリアP0のハブを介してクラッチ作動油が供給されるピストンと、ピストンに作用する遠心油圧キャンセラープレート及びリターンスプリングと、摩擦部材及びクラッチハブからなり、クラッチドラムの外周円筒部内側スプラインに一方の摩擦部材が係止されもう一方の摩擦部材がクラッチハブとなるリングギアR0に連結された保持部材の外周スプラインに係止される。
摩擦材を2階建てに有した2連クラッチC3、C4はリアケース2cの内周ボスの外周部に軸支されクラッチC1のクラッチドラムの外周に延材されたクラッチC3のクラッチドラムと、クラッチC3のクラッチドラムの側壁に複数のスタッドピンで軸方向及び径方向が一定間隔に内包固定されたクラッチC4のクラッチドラムと、クラッチC3のクラッチドラムに保持されリアケース2cの内周ボスからクラッチ作動油が供給されるクラッチC3のピストンと、クラッチC3のピストンに重なって配されリアケース2cの内周ボスからクラッチ作動油が供給されるクラッチC4のピストンと、クラッチC4のピストンに作用する遠心油圧キャンセラープレート及びリターンスプリングと、摩擦部材及びクラッチハブからなり、クラッチC3のクラッチドラムの外周円筒部内側スプラインには一方の摩擦部材が係止されされもう一方の摩擦部材がクラッチC3のクラッチハブとなるリングギアR0に連結された保持部材の外周スプラインに係止され、クラッチC4のクラッチドラムの円筒部内側スプラインには一方の摩擦部材が係止されされもう一方の摩擦部材がクラッチC4のクラッチハブとなる遊星キャリアP0の図右側サイド部材の外周スプラインに係止される。ここで、クラッチC3のピストンはクラッチC3,C4のクラッチドラムの間に配され、クラッチC4のクラッチドラムを連結する複数のスタッドピン部に貫通穴を設けて外周まで延材されクラッチC3の摩擦部材を図面左方向に押圧し、クラッチC3のピストンに重なって配されたクラッチC4のピストンはクラッチC3の摩擦部材の内周径方向内側に配されたクラッチC4の摩擦部材を図面左方向に押圧し、遠心油圧キャンセラープレート及びリターンスプリングはクラッチC4及びC3の両ピストンに作用する。尚、この前進8速として用いた2連クラッチクラッチC3,C4の2重ピストン構造とその制御は本件出願人が特開2008−8432の図11と図29で提案したものである。
ブレーキB2はピストンと、ピストンのリターンスプリングと、摩擦部材及びブレーキハブからなり、一方の摩擦部材が変速機ケース2bの円筒部内側スプラインに係止され、もう一方の摩擦部材がブレーキハブとなるクラッチC3のクラッチドラムの外周スプラインに係止される。ブレーキB2のピストン及びリターンスプリングはリアケース2cに配され摩擦部材を押圧する。
第1及び第2遊星歯車列は遊星キャリアPを共有し、第1遊星歯車列は遊星キャリアPに軸支されるロング遊星ピニオンギアとロング遊星ピニオンギアと噛合うサンギアS1と、同じくロング遊星ピニオンギアと噛合うリングギアRとからなり、第2遊星歯車列は遊星キャリアPに軸支されるロング遊星ピニオンギアとロング遊星ピニオンギアと噛合うショート遊星ピニオンギアとショート遊星ピニオンギアと噛合うサンギアS2とからなる所謂ラビニョー遊星歯車列である。サンギアS2は入力軸1と遊星キャリアP0のハブに軸支されるクラッチC1のクラッチドラムと一体の円筒部材にスプライン連結され、サンギアS1は2連クラッチC3、C4のクラッチC3のクラッチドラムと連結する連結部材にスプライン連結され、リングギアRはカウンターギア3に連結される。遊星キャリアPは図右側サイド部材がサンギアS1の連結部材に軸支され、図左側サイド部材がロング遊星ピニオンギアの外周径方向外側を通りリングギアRの外周径方向外側まで延材されクラッチC2とブレーキB1の一方の摩擦部材を係止する。
クラッチC2は入力軸1に溶着され保持部材2eの円筒外周部に延材されるクラッチドラムと、クラッチドラムに保持され保持部材2eからクラッチ作動油が供給されるピストンと、ピストンに作用する遠心油圧キャンセラープレート及びリターンスプリングと、摩擦部材及びクラッチハブからなり、クラッチドラムはリングギアR2の外周径方向外側に延材される。クラッチドラムの外周円筒部内側スプラインには一方の摩擦部材が係止され、もう一方の摩擦部材がクラッチハブとなる遊星キャリアPの図左側サイド部材の外周スプラインに係止される。
ブレーキB1はピストンと、ピストンのリターンスプリングと、摩擦部材及びブレーキハブとからなり、一方の摩擦部材が変速機ケース2bの円筒部内側スプラインに係止されもう一方の摩擦部材がブレーキハブとなる遊星キャリアPの筒状延材部の外周スプラインに係止される。ブレーキB1のピストン及びリターンスプリングは隔壁2dに配されクラッチC2の外周径方向外側に延材され摩擦部材を押圧する。摩擦部材の摩擦面の同一円周部には摩擦部材の前端に位置しディッシュプレートを保持する逆L字型のフロントプレートまで貫通穴が明けられており、エンドプレートの摩擦部材の接触面にはこの貫通穴と連通し押圧時に接触面から油が飛散しない円周溝が設けられている。エンドプレートの円周溝は内部の円周方向油穴に装着され変速機ケース2bとの間でシールされたパイプを介し、変速機ケース2bの油通路と連通する。この摩擦部材の貫通穴はB−2と同一であり詳細は後述する図3で説明する。尚、通常のATでは遊星キャリアPの筒状延材部には内周から外周までブレーキB1の摩擦部材を冷却潤滑する複数の貫通油穴が明けられているが、本構造は貫通油穴を設けていない。
前進8速後進2速のCタイプにおける遊星歯車列の組み合わせは本件出願人が特願2006−306162で提案したB−1と同じ組み合わせのものもあるが、C―1は次段へのギア比のステップがクロスに出来るB−2と同じ遊星歯車列の組み合わせである。図15、図16及び図17の模式図において、原動機の出力軸9にボルトで固定されたの回転変動吸収ダンパ10からスプライン連結により変速装置の入力軸1に導かれた動力は、チャージングポンプ20と減速用遊星歯車列の遊星キャリアP0とクラッチC2のクラッチドラムを駆動する。入力軸1の回転はクラッチC2のクラッチドラムを介して遊星キャリアPに入力されるとともに減速用遊星歯車列の遊星キャリアP0を通ってクラッチC4のクラッチドラムに入力され、減速用遊星歯車列の減速回転はリングギアR0の保持部材を介してクラッチC1とクラッチC3のクラッチドラムに連結したサンギアS2とS1に入力される。尚、クラッチC3のクラッチドラムとクラッチC4のクラッチドラムは連結されるため、サンギアS1には入力軸1の回転と入力軸1の減速回転がクラッチC4とクラッチC3を介して入力されることになる。サンギアS1と連結した2連クラッチC3、C4のクラッチドラムはブレーキB2で制動され、遊星キャリアPはブレーキB1で制動され、リングギアRはカウンターギア3と連結し動力が出力される。カウンターギア3の動力は中継軸5に連結されたカウンターギア4に減速して伝達され、中継軸5と一体のカウンターギアからディファレンシャルキャリアに連結されたカウンターギア6に減速して伝達され、ディファレンシャル装置30のピニオンギアとサイドギアを介して出力軸8a、8bに伝達されて左右のタイヤを駆動する。
C−1の特色は各クラッチ及びブレーキの摩擦部材が各遊星歯車列の外周径方向外側に配すこと及び2連クラッチC3、C4を2階建で2重ピストンにすることでコンパクトになることと、ギアレンジが大きく採れるとともにギア比のステップが小さくなる理想的なギア比を採れることである。但し前進6速後進1速の変速機よりもクラッチC4が1個増えること及び前進8速段で2連クラッチC3,C4のクラッチドラムを制動することで冷却潤滑油が吐き出され難くなるため2連クラッチC3,C4の連れ回りロスが大きくなり、効率の面では不利となる。尚、クラッチが1個増えたのもかかわらず軸長はA−1とほぼ同じの300Nmで340mmとなる。
速度線図とギア比を示す図17において、前進1速段から5速段では入力軸1の減速回転がクラッチC1を介してサンギアS2に入力され、前進3、7速及び後進1速段ではクラッチC3を介してサンギアS1に入力される。又、サンギアS1にはクラッチC4を介して入力軸1の回転も入力されることより、前進6速後進1速の変速機より前進で2段、後進で1段変速段が増え前進8速後進2速の変速機となる。減速用遊星歯車列はA−1と同じダブル遊星歯車でB−1のよりも減速回転が大きく採れるためギア比を更に大きく採ることが出来ることに加え、B−2と同じ第1及び第2遊星歯車列を用いたので次段へのギア比のステップが小さくなり理想的なギア比を得ることが出来る。但し減速回転が大きくなることよりクラッチC1及びサンギアS2の強度的負担が大きくなりB−2と同じようにラビニョー遊星歯車列は図22で示したように遊星ピニオンギアが4個の組み合わせで強度を増す構造とする。これはロングピニオンギアとショートピニオンギアを軸支するシャフトをスタッドピンの如く用いて遊星キャリアの左右のサイド部材を連結固定したものである。前進6速段で動力が遊星歯車列を通過しない1:1のギア比となる変速段が出来ることでB−1、B−2より伝達効率が良くなる面もあるが、クラッチC4が増えることで総合的にはB−1、B−2より伝達効率は悪化する。尚、高速連続走行となる前進8速段ではA−1と同じく、入力軸1の回転がクラッチC2を介して遊星キャリアPに入力され、サンギアS1固定によりリングギアRから出力される第1遊星歯車列しか動力が通過しない効率の良い伝達となる。
変速段は6個のクラッチ又はブレーキの2個を締結することにより決まり、その内の1個のみの繋ぎ換えで次段及び次々段及び前進1速段と後進1速及び2速段への変速が出来る。変速に際しては、締結側を滑らせて締結すると同時に開放側を滑らせて開放させればスムースな変速が可能となる。発進段となる前進1速段から前進2速段及び3速段への変速又はその逆の変速では、クラッチC1が締結状態のままブレーキB1とブレーキB2及びブレーキB1とクラッチC3を滑らせながら繋ぎ換えれば良い。又、クラッチC1とブレーキB1が締結する前進1速段と、クラッチC3とブレーキB1が締結する後進1速段の発進段では車両をクリープさせる機能が必要となり、それぞれクラッチC1及びC3を締結してブレーキB1を滑らせればその滑りトルクの反力がクリープ力となる。尚、前進1速段と後進1速及び2速段の変速はブレーキB1を滑らせた状態でクラッチC1とクラッチC3及びC4を滑らせて繋ぎ換えれば良い。
<内燃機関との連結>
内燃機関との回転変動吸収ダンパ10を介した変速機の連結詳細を示す図18において、変速機の入力軸1は保持部材2eに一体となり圧入された円筒部材2fに配された軸受け7aで軸支され、軸支部から内燃機関側にスプラインが形成され、回転変動吸収ダンパ10の出力ハブ11がスプライン連結される。出力ハブ11は隔壁2dに装着された回転シール23及び出力ハブ11に装着された蓋12で入力軸1側が密閉される。隔壁2dと保持部材2eの間には駆動ロータ21と被駆動ロータ22からなるチャージングポンプ20が装着され、出力ハブ11が連結する入力軸1の変速機側スプラインにチャージングポンプ20の駆動ロータ21が連結される。この構造はA−1、B−1、B−2、C−1共通であり、回転変動吸収ダンパの種類が変わっても同一となる。
<B−0、C−0>
ここでATとの互換性を示すために、本発明におけるB−1タイプに対抗したB−0タイプとしてフルードカップリングを装着した構造図と模式図を図19と図20に、同じくC−1タイプに対抗したC−0タイプとしてフルードカップリングを装着した構造図と模式図を図21と図23に参考例として示す。B−1とB−0及びC−1とC−0は遊星歯車列とクラッチ、ブレーキ及び出力カウンターギアの配列とギアの歯数が全く同じにしてあり、図11と図20及び図17と図23を対比させれば明らかなようにギア比は同じとなる。又、B−0、C−0とも、前進の最低速段を最高速段のギア比で除したギアレンジが7を越え十分大きな牽引力を得ることが出来るため、トルクコンバータの代わりにフルードカップリングを装着した。これは「背景技術」で述べた「多段化はトルクコンバータを必要としなくなる」と言う考えに基づくもので、このフルードカップリングのロックアップ装置は本件出願人が特願2007−034941で提案した独立ピストン型の応答性の良いものであり、そこで示した図3と図4を本発明の図19と図20に用いた。又B−2同様、C−1、C−0においても減速回転が入力することよりラビニョー遊星歯車列は図22で示したような遊星ピニオンギアが4個の組み合わせで強度を増す構造とする。これはロングピニオンギアとショートピニオンギアを軸支するシャフトをスタッドピンの如く用いて遊星キャリアの左右のサイド部材を連結固定したものである。
B−1とB−0及びC−1とC−0の基本的な違いは内燃機関と入力軸1との間を直結にするか流体伝導装置であるフルードカップリングを用いるかの違いであるが、それによりブレーキB1の構造が異なってくる。B−0とC−0はブレーキB1の制動部に入力回転とは逆の回転を阻止するワンウェイクラッチを併用したもので、ワンウェイクラッチは前進1速段から前進2速段への変速及びその逆の変速をスムースに行わせる役目と、ニュートラルから前進段への切り換えがクラッチC1の締結時間のみのため応答性を早くする役目を担う。特にクラッチやブレーキは締結時ピストンへの管路抵抗のためピストン移動抵抗より高い元圧が必要となり、内燃機関のパワーオフ変速状態でこの余計な元圧が締結時のショックとなり、本発明では一部ディッシュプレートで対応しているがワンウェイクラッチを使うと問題が出ない。本発明ではニュートラルから前進段への切り換えがクラッチC1とブレーキB1の締結となりワンウェイクラッチより締結時間が大きくなる可能性があり、ブレーキB1のピストンを2重構造にする等対策案はあるが本図面の構造では提案はしていない。ワンウェイクラッチを使った場合の欠点として当然コストやスペースが必要となる問題はあるが、前進1速段から後進段への切り換え時間が本発明のようにブレーキB1が締結していないので長くなる点と、後進段から前進1速段への切り換えも含めて本発明のようにブレーキB1の滑り制御がなくクラッチC1、C3の締結時にショックを招く可能性が高くなることである。
本発明のB−1とC−1はB−0とC−0のブレーキB1とワンウェイクラッチの配置スペース内にブレーキB1を収めたものである。図19と図21に示したように、ワンウェイクラッチはインナーレースとアウターレースを必要とするため、ブレーキB1の摩擦部材の内外径スペースより大きなスペースを必要とする。本発明の図9と図15は摩擦部材の摩擦面に貫通穴X、Yを明け、摩擦部材の摩擦面積が縮小した分摩擦部材内径をワンウェイクラッチのインナーレース部まで下げたもので、軸方向は余裕があることよりドリブンプレート52の板厚を大きくしたり、ドリブンプレート52を2枚にしその間に間座53を挿入したりしたもので、ブレーキB1とワンウェイクラッチの配置スペース内にブレーキB1を収めることが出来る。尚、トルクコンバータよりステータがない分軸長が短くなるフルードカップリングを装着したB−0とC−0は軸長がそれぞれ350mmと380mmで6AT、8ATとしては極めて短いが、本発明では310mmと340mmとなり、現存の変速機では得られない軸長となる。
<ブレーキB1の構造と制御>
本発明におけるブレーキB1の構造とその制御の実施例を示す図1において変速機部は図9に示したB−1タイプであるが、制御部はB−2及びC−1タイプ共通のものである。図1の2点鎖線で囲ったコントロールバルブ100の制御部はブレーキB1の締結をコントロールする主調圧弁(メインレギュレターバルブ)110と減圧弁(レデューシングバルブ)120とB1切り換弁(B1シフトバルブ)150及びB1ソレノイド弁160と、ブレーキB1の摩擦部材の潤滑(冷却)をコントロールするB1潤滑調圧弁(B1ルブリケーションレギュレターバルブ)130とB1潤滑切り換弁(B1ルブリケーションレシフトバルブ)140からなっており、その他の制御弁は記載していない。
図1のブレーキB1の締結制御に関し、チャージングポンプ20から供給された油は図の2点鎖線に囲まれたコントロールバルブ100のライン圧回路101に導かれ、主調圧弁110のスプールを負荷するスプリングで一定圧に保たれた後リリーフされ油は油路104に導かれる。この時ライン圧回路101のライン圧はクラッチ及びブレーキ締結の元圧となる。油路103の油圧は減圧弁120のスプールを負荷するスプリングで一定圧に保たれ、オリフィスを介して連通したライン圧回路101のライン圧は油路103で減圧される。減圧された油路103の油圧はオリフィスを介してB1ソレノイド弁160に導かれる。B1ソレノイド弁160はデューティ弁でありON、OFFのデューティ率により電気的に油路103の油圧を更に任意に減圧してB1切り換弁150に導く。B1切り換弁150のスプールはスプリングにより図右方向に押され、図左端の小面積部にはブレーキB1のピストン55に通じる油路102の油圧が作用し、図右端の大面積部にはブレーキB1のピストン55に通じる油路102の油圧が作用し、B1ソレノイド弁160からの油圧が作用する。ここで油路102の油圧はB1切り換弁150のスプール左右端の面積比分B1ソレノイド弁160からの油圧に対抗し一定に保たれる。ライン圧回路101のライン圧はB1ソレノイド弁160からの油圧で任意に減圧され油路102の油圧となる。尚、B1ソレノイド弁160からの油圧が0の時はB1切り換弁150のスプールはスプリングで図右方向に押し戻され油路102がドレン回路と連通し油路102の油圧は0となり、B1ソレノイド弁160はブレーキB1の作動圧を調圧するとともに切り換える役目をする。ここで、油路102の作動圧が図示しない油圧センサーにより検出され、B1ソレノイド弁160は図示しない変速機のECUによりフィードバック制御がなされる。変速機のECUには各クラッチ、ブレーキの作動圧、変速機の入出力軸の回転速度、油温、シフトタワーポジション及び車両のアクセルペタル開度や原動機からの情報が入力され、ブレーキB1を含めたクラッチ及びブレーキの作動圧の調圧及び切り換え制御を行う役目を担う。それと同時に原動機を制御するECUにも変速機のECUから情報が送られ、クラッチ、ブレーキの調圧及び切り換え制御の間は原動機の出力トルクを制限する等の原動機と変速機の統合制御がなされる。尚、図1では電気的に圧力制御をするB1ソレノイド弁をデューティ弁としたが、ダイレクトに制御が出来るリニアソレノイドを用いても良い。
ブレーキB1の摩擦部材の潤滑(冷却)制御に関し、チャージングポンプ20から供給された油は主調圧弁110から油路104とコントロールバルブ100の外に配されたクーラ60と油路105を通り、コントロールバルブ100の内部に配されたB1潤滑調圧弁130とB1潤滑切り換弁140に導かれる。油路105の油はオリフィスを通って直接油路107に導かれると同時に、B1潤滑調圧弁130のスプールを負荷するスプリングで一定圧に保たれた後リリーフされ油路107に導かれる。そして油路107から変速機の潤滑部に油が送られる。B1潤滑切り換弁140は2個のスプールと各スプールに作用するスプリングからなっており、ブレーキB1の作動圧となる油路102の油圧により油路105と油路106の連結と遮断を行う。油路102の油圧がブレーキB1のピストン55を開放させるリターンスプリング56のリターンスプリング力相当油圧以下の時第1スプールはスプリングで図左に押され油路105と油路106を遮断し、油路102の油圧がブレーキB1のリターンスプリング力相当油圧から一定圧力まで高くなる時第1スプールは図右に第2スプールに当接するまで移動し油路105と油路106を連通し、油路102の油圧が一定圧力以上になる時第1及び第2スプールが更に図右に移動し油路105と油路106を遮断する。この一定圧力はブレーキB1の摩擦部材を滑らす圧力を目安として第1及び第2スプールのスプリング力により選定される。又、このスプリングにより任意に調整可能でもある。油路106は変速機ケース2bの側壁に設けられた摩擦部材の貫通穴に通じる円周溝に導かれ、ピストン55によりブレーキB1の摩擦部材が押圧され滑っている間のみ一定の圧力に保たれた油路105の冷却油を圧送して摩擦部材を強制冷却する。
図2は図1におけるブレーキB1の摩擦部材の詳細を示したもので、図9のB−1に用いた形態である。図1と図2において、摩擦部材は複数のドライブプレート51とドリブンプレート52及び間座53からなり、ドライブプレート51の間に間座53を挟んでドライブプレート51と摩擦接触するドリブンプレート52が配され、ピストン55側にはディッシュプレート57を保持するL字型のフロントプレート54が配される。ドライブプレート51は金属板の両面に摩擦部材が貼られ径方向中央に位置する同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の貫通穴Xが設けらており、遊星歯車列の発進段の制動構成要素となる回転部材のスプライン部に回り止めされるとともに軸方向に移動可能に係止され、ドリブンプレート52は金属板で貫通穴Xと同一径円周部の摩擦面に貫通穴Yが設けらており、変速機ケース2bのスプライン部に回り止めされるとともに軸方向に移動可能に係止され、ドライブプレート51の間でドリブンプレート52を軸方向に2枚重ねて配するとともに2枚のドリブンプレート52の間に、貫通穴Y部を含有し外周部のドライブプレート52との間に小さな開口部を生じる大きな貫通穴Zが設けられた間座53が配される。貫通穴X、Yは円周方向の長穴であり変速機ケース2bの側壁に設けられた円周溝に通じ、コントロールバルブ100の油路106から供給される冷却油がドライブプレート51とドリブンプレート52の貫通穴X、Yを通過し間座53の貫通穴Zを通りドリブンプレート52との小さな開口部から排出される。この時、変速機ケース2bの側壁に設けられた円周溝とドリブンプレート52の間とドリブンプレート52とドライブプレート51の間及びフロントプレート54とドライブプレート51の間は密着されるため、この間で冷却油が排出される量は極めて少なく冷却油にはB1潤滑調圧弁130により排出圧が発生し、複数のドリブンプレート52は全域に亘りドライブプレート51との摩擦面の裏側の広い面積で隈なく冷却油により冷却される。
図3は図1におけるブレーキB1の、別の形態をした摩擦部材の詳細を示したもので、図12のB−2と図15のC−1で用いた形態である。図1と図3において、摩擦部材は複数のドライブプレート51とドリブンプレート52からなり、ドライブプレート51とドリブンプレート52は交互に配されるとともにピストン55側にはディッシュプレート57を保持するL字型のフロントプレート54が配される。ドライブプレート51は金属板の両面に摩擦部材が貼られ径方向中央に位置する同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の貫通穴Xが設けらており、摩擦部材の摩擦面には貫通穴Xを含有する円周溝Vと円周溝Vから外周に連通する溝Wが形成され、遊星歯車列の発進段の制動構成要素となる回転部材のスプライン部に回り止めされるとともに軸方向に移動可能に係止され、ドリブンプレート52は金属板で貫通穴Xと同一径円周部の摩擦面に貫通穴Yが設けらており、変速機ケース2bのスプライン部に回り止めされるとともに軸方向に移動可能に係止される。貫通穴X、Yは円周方向の長穴であり変速機ケース2bの側壁に設けられた円周溝(C−1の場合はエンドプレートの円周溝)に通じ、コントロールバルブ100の油路106から供給される冷却油がドライブプレート51とドリブンプレート52の貫通穴X、Yを通過し、ドライブプレート51の摩擦面に設けられた円周溝Vと円周溝Vから外周に連通する溝Wから排出される。この時、変速機ケース2bの側壁に設けられた円周溝とドリブンプレート52の間は密着されるため、この間で冷却油が排出される量は極めて少なく冷却油にはB1潤滑調圧弁130により排出圧が発生し、複数のドライブプレート51の摩擦面は全域に亘り隈なく冷却油により冷却される。
図4は図1におけるブレーキB1の摩擦部材の潤滑(冷却)を循環型とした実施例で、変速機部は図6に示したA−1タイプである。コントロールバルブ100の制御部は基本的に図1で用いたブレーキB1の締結をコントロールする主調圧弁(メインレギュレターバルブ)110と減圧弁(レデューシングバルブ)120とB1切り換弁(B1シフトバルブ)150及びB1ソレノイド弁160と、ブレーキB1の摩擦部材の潤滑(冷却)をコントロールするB1潤滑調圧弁(B1ルブリケーションレギュレターバルブ)130とB1潤滑切り換弁(B1ルブリケーションレシフトバルブ)140は同じものを使用しており、これらの説明は省略する。
図4のブレーキB1において、摩擦部材の両端面となるピストン55とエンドプレート54には摩擦部材との押圧面に円周溝が設けられ、変速機ケース2bとピストン55の間はピストン55の円周溝に連通する外周溝がOリングでシールされピストン55の移動代範囲で油路106と連通し、変速機ケース2bとエンドプレート54の間は円周溝に連通するエンドプレート54に挿入されたパイプ58がOリングでシールされ油路108に連通している。油路108は油路108方向からの油しか流さない逆止弁(ワンウェイフローバルブ)170を介して油路105に連通しクーラ60を通って油路107から変速機の潤滑部に油が送られる。図1では主調圧弁110から油路104を通った油がクーラ60に回されるが、ここでは油路104から直接B1潤滑調圧弁130とB1潤滑切り換弁140に導かれ、オリフィスを通って直接油路105に導かれると同時に、B1潤滑調圧弁130のスプールを負荷するスプリングで一定圧に保たれた後リリーフされ油路105に導かれる。油路106はピストン55の摩擦部材との押圧円周溝から摩擦部材の貫通穴とエンドプレート54の摩擦部材との押圧円周溝及びパイプを介して油路108と連通し、ピストン55によりブレーキB1の摩擦部材が押圧され滑っている間のみ一定の圧力に保たれた油路104の冷却油を圧送して摩擦部材を強制冷却する。
図5は図4におけるブレーキB1の摩擦部材の詳細を示したもので、図6のA−1で用いた形態である。図4と図5において、摩擦部材は複数のドライブプレート51とドリブンプレート52及び間座53からなり、ドライブプレート51の間に間座53を挟んでドライブプレート51と摩擦接触するドリブンプレート52が配され、ピストン55の反対側にはエンドプレート54がリティニングリング59で移動が阻止され配される。ドライブプレート51は金属板の両面に摩擦部材が貼られ径方向中央に位置する同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の貫通穴Xが設けらており、遊星歯車列の発進段の制動構成要素となる回転部材のスプライン部に回り止めされるとともに軸方向に移動可能に係止され、ドリブンプレート52は金属板で貫通穴Xと同一径円周部の摩擦面に貫通穴Yが設けらており、変速機ケース2bのスプライン部に回り止めされるとともに軸方向に移動可能に係止され、ドライブプレート51の間でドリブンプレート52を軸方向に2枚重ねて配するとともに2枚のドリブンプレート52の間に貫通穴Y部を含有しドリブンプレート52の間で密閉された大きな貫通穴Zが設けられた間座53が配される。貫通穴X、Yは円周方向の長穴でありピストン55とエンドプレート54の摩擦部材との押圧面に設けられた円周溝に通じ、コントロールバルブ100の油路106から供給される冷却油がピストン55からドライブプレート51とドリブンプレート52の貫通穴X、Yと間座53の貫通穴Zを通り、エンドプレート54に装着されたパイプ58から油路108に導かれる。この時、各接触面は密着されるため、大部分の冷却油が変速機内部に排出されることなくドリブンプレート52の摩擦面裏側の熱を吸収してクーラに導かれるので、変速機の油圧系全体が効率の良い冷却システムとなる。
<ブレーキB1の滑り>
図24は代表例としてB−1タイプの発進段におけるクリープと発進の状態を示した速度線図で、A−1とB−2タイプ及びC−1タイプも同じ形態となる。本発明の実施例において、クラッチC1とブレーキB1を締結して得られる前進1速段とクラッチC3とブレーキB1を締結して得られる後進段では車両の停止からある一定速度まではブレーキB1のみを滑らせる制御がなされる。前進1速段と後進段を示す図24の速度線図において、入力軸と一体の減速用遊星歯車列のリングギアR0に入力された動力は減速されて遊星キャリアP0から、前進1速段ではクラッチC1を介してサンギアS2に入力され、後進段ではクラッチC3を介してサンギアS1とリングギアR2の連結要素に入力される。この時、クラッチC1、C3は滑りのない締結となる。前進1速段において車両が停止となるリングギアR1の回転が0の状態では、ブレーキB1で制動される遊星キャリアP1、P2はH1だけ逆回転をし、遊星キャリアP1、P2の回転が0となりリングギアR1の回転がH1′となる間でブレーキB1を滑らせクリープと発進制御が行われる。同様に、後進段において車両が停止となるリングギアR1の回転が0の状態では、ブレーキB1で制動される遊星キャリアP1、P2はH2だけ正回転をし、遊星キャリアP1、P2の回転が0となりリングギアR1の回転がH2′となる間でブレーキB1を滑らせクリープと発進制御が行われる。
内燃機関のアイドル回転の設定はクリープ力を想定して決定され、内燃機関負荷状態でのアイドル回転速度を予め設定しておき、その回転範囲内でクリープ制御を行う。概算ではあるが、因みに車両のクリープ力を1000N、タイア半径0.3m、終減速比4とすると、図24における出力構成要素となるリングギアR1のトルクは75Nm(1000×0.3/4)となり、前進1速段ではブレーキB1の滑りトルクは50Nm(75×1.971/2.971)、後進段では110Nm(75×2.847/1.847)となる。内燃機関負荷状態でのアイドル回転速度から車両が停止時の前進1速段及び後進段のブレーキB1の滑り速度H1、H2が判明し、それぞれ50Nm及び110Nmの滑りトルクを掛ければブレーキB1の摩擦部材の仕事が判明する。これは摩擦部材の材質や枚数の決定及び冷却容量等エネルギー計算の基本となる。
ここで図24から各クラッチ及びブレーキの連れ回りトルクが出力となるリングギアR1に及ぼす影響を考察する。
「前進1速段における連れ回り力」
車両が停止となるリングギアR1の回転が0の状態の速度線において、サンギアS1,リングギアR2に作用するクラッチC3及びブレーキB2の連れ回りトルクはクラッチC1が締結されるサンギアS2を支点として図上方向に働き、同じく遊星キャリアP1、P2に作用するクラッチC2とブレーキB1の連れ回りトルクも図上方向に働き、この速度線をサンギアS2のクラッチC1締結ポイントを支点として上に引っ張り揚げようとする。つまり、ブレーキB1の制動を助ける方向に働き、その分ブレーキB1の負荷が小さくなる。因みに連れ回りトルクにより出力されるサンギアS2のクラッチC1締結ポイント回りのモーメント力は、以下の如くなる。
[クラッチC3及びブレーキB2の連れ回りトルク]×4.818/1.971
[クラッチC2及びブレーキB1の連れ回りトルク]×2.971/1.971
通常1個のクラッチ又はブレーキの連れ回りトルクは0.6〜1.5Nmであり、出力換算で約8Nmとなり必要クリープトルク75Nmの10%に相当する。前進のクリープが頻繁に使用されるためブレーキB1の摩擦材の耐久にとり有利に働く。
「後進段における連れ回り力」
車両が停止となるリングギアR1の回転が0の状態の速度線において、サンギアS2に作用するクラッチC1の連れ回りトルクと、遊星キャリアP1、P2に作用するクラッチC2の連れ回りトルクはクラッチC3が締結されるサンギアS1、リングギアR2を支点として図上方向に働き、同じく遊星キャリアP1、P2に作用するクラッチC2と連れ回りトルクも図上方向に働き、遊星キャリアP1、P2に作用するブレーキB1の連れ回りトルクだけが図下方向に働く。後進段の場合はこの速度線をサンギアSS1、リングギアR2のクラッチC3締結ポイントを支点として下方向に押し下げなければならず、前進1速段とは逆にその分ブレーキB1の負荷が大きくなる。因みに連れ回りトルクにより出力されるサンギアSS1、リングギアR2のクラッチC3締結ポイント回りのモーメント力は、以下の如くなる。
−[クラッチC1の連れ回りトルク]×4.818/2.847
−[クラッチC2−ブレーキB1の連れ回りトルク]×1.847/2.847
連れ回りトルクは出力換算で−2Nmとなる。ブレーキB1の制動が−2Nm増えることになるが、必要クリープトルク75Nmの3%と小さく後進段の使用頻度も少ないことからブレーキB1の摩擦材の耐久にとり悪影響とはならない。
「クリープ制御」
クリープ制御は内燃機関のアクセルペタル開度及び変速機の入力軸と出力軸の回転速度、即ち内燃機関の回転速度と車速を検出し、ECUで車速に応じてブレーキB1を滑らせ制御を行う。ブレーキB1を滑らせる制御はB1ソレノイド弁160でブレーキB1のピストンに通じる油路102の油圧を任意に変化させ行う。したがって、車両の状況に応じたクリープ力を発生させることが出来、一定のクリープ力しか出せないトルクコンバータを用いたATより利便性が増す。この状態で冷却油がブレーキB1の摩擦部材に供給され強制冷却が行われる。
「発進制御」
発進制御はクリープ制御と同じで、内燃機関のアクセルペタル開度における内燃機関負荷状態での回転速度を予め設定し、その回転速度をベースにECUでブレーキB1を滑らせ制御を行う。この状態で冷却油がブレーキB1の摩擦部材に供給され強制冷却が行われる。当然滑り終わりは内燃機関直結となり、滑り終わりが内燃機関直結とはならないトルクコンバータより内燃機関の回転と加速が一致し発進フィーリングが良くなる。但し、トルクコンバータを用いたATのような全負荷発進は摩擦部材の耐久に問題が出るので、内燃機関のトルクを押さえる制御が必要となる。これらはアクセルペタルと内燃機関を切り離してECUで内燃機関を制御し、内燃機関のECUと変速機のECUを統合制御すれば可能となる。
本発明のブレーキB1の構造とその制御を示す第1実施例 図1におけるブレーキB1の第1摩擦部材詳細図 図1におけるブレーキB1の第2摩擦部材詳細図 本発明のブレーキB1の構造とその制御を示す第2実施例 図4におけるブレーキB1の摩擦部材詳細図 本発明の多段自動変速機A−1の実施構造図 図6における模式図 図6におけるパワートレン模式図と速度線図及びギア比 本発明の多段自動変速機B−1の実施構造図 図9における模式図 図9におけるパワートレン模式図と速度線図及びギア比 本発明の多段自動変速機B−2の実施構造図 図12における模式図 図12におけるパワートレン模式図と速度線図及びギア比 本発明の多段自動変速機C−1の実施構造図 図15における模式図 図15におけるパワートレン模式図と速度線図及びギア比 本発明の入力部となる回転変動吸収ダンパを介した連結詳細図 B−1と比較した従来型多段自動変速機B−0の構造図 図19におけるパワートレン模式図と速度線図及びギア比 C−1と比較した従来型多段自動変速機C−0の構造図 図12、図15、図21における遊星歯車列の断面図 図21におけるパワートレン模式図と速度線図及びギア比 前進1速段と後進段におけるクリープ及び発進状態を示す速度線図
符号の説明
1 入力軸
2a、2b、2c ケース
3、4、5,6 カウンターギア
7 軸受け
8 出力軸
10 回転変動吸収ダンパ
20 チャージングポンプ
51 ドライブプレート
52 ドリブンプレート
53 間座
100 コントロールバルブ
110 主調圧弁
120 減圧弁
130 B1潤滑調圧弁
140 B1潤滑切り換弁
150 B1切り換弁
160 B1ソレノイド弁
S0、S1、S2 サンギア
P0、P1、P2 遊星キャリア
R0、R1、R2 リングギア
C1、C2、C3 クラッチ
B1、B2 ブレーキ

Claims (8)

  1. 複数の遊星歯車列と該遊星歯車列の構成要素を制御する複数の油圧クラッチ及びブレーキからなり、該遊星歯車列の、少なくとも動力が出力される遊星歯車を構成する構成要素を制動するブレーキ(B1)を締結することにより発進段となる前進1速段と後進段を得る多段自動変速機であって、
    原動機を変速機の入力軸に回転変動吸収ダンパ(10)を介して連結し、該変速機の出力軸の回転が一定回転速度以下の発進段となる前進1速段と後進段において、前記ブレーキ(B1)の締結油圧を電気的に任意に制御することにより前記ブレーキ(B1)の断接及び滑り制御をなすとともに、前記ブレーキ(B1)非締結状態を除く一定締結油圧範囲内においてのみ前記ブレーキ(B1)の摩擦部材に調圧された冷却油を供給するようになした多段自動変速機。
  2. 前記ブレーキ(B1)のピストン(55)を押付ける締結油圧を、デューティソレノイドバルブ(160)とB1シフトバルブ(150)、或いは電圧又は電流の大きさに比例して該締結油圧を変えることのできるリニアソレノイドバルブで電気的に任意の油圧に制御可能とするとともに、
    該締結油圧で作動する第1及び第2のスプールと、該スプールを該締結油圧とは反対方向に押す第1及び第2のスプリングとで構成され、該締結油圧が前記ピストン(55)のリターンスプリング(56)の荷重相当油圧で前記第1のスプールを作動させ、前記リターンスプリング(56)の荷重相当油圧より高い一定の油圧で前記第2のスプールを作動させるよう前記第1及び第2のスプリングを設定し、前記第1のスプールが作動し前記第2のスプールが非作動状態でのみB1潤滑調圧弁(130)で調圧された冷却油を前記ブレーキ(B1)の摩擦部材に供給するB1潤滑切り換弁(140)を設けた請求項1記載の多段自動変速機。
  3. 前記ブレーキ(B1)の摩擦部材である交互に配された複数のドライブプレート(51)とドリブンプレート(52)の同一径円周部の摩擦面に複数の第1及び第2貫通穴(X)、(Y)を設け、
    前記複数のドライブプレート(51)とドリブンプレート(52)の重なり合った端部側面の少なくとも一方の側面に、前記B1潤滑調圧弁(130)により調圧された冷却油が供給される油通路を設け、
    該油通路と前記第1及び第2貫通穴(X),(Y)とを連通するようになした請求項1又は2記載の多段自動変速機。
  4. 前記ドライブプレート(51)の金属板の両面に摩擦部材を貼るとともに同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の第1貫通穴(X)を設け、前記遊星歯車列の構成要素となる回転部材に回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、
    前記ドリブンプレート(52)の金属板の前記第1貫通穴(X)と同一径円周部の摩擦面に第2貫通穴(Y)を設け、変速機ケースに回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、
    前記ドリブンプレート(52)を軸方向に2枚重ねて配するとともに、2枚の前記ドリブンプレート(52)の間に、前記第2貫通穴(Y)を含有し、前記ドリブンプレート(52)の外周部より外周側に広がって前記ドリブンプレート(52)の外周部との間に小さな開口部を生じ、該小さな開口部から前記第2貫通穴(Y)からの冷却油を制限して排出する第3貫通穴(Z)が設けられた間座(53)を配するようになした請求項1〜3いずれか1項記載の多段自動変速機。
  5. 前記ドライブプレート(51)の金属板の両面に摩擦部材を貼るとともに同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の第1貫通穴(X)を設け、該摩擦部材の摩擦面に前記第1貫通穴(X)を含有し、前記第1貫通穴(X)からの冷却油を制限して排出する円周溝(V)円周溝(V)から外周に連通する溝(W)を形成し、前記遊星歯車列の構成要素となる回転部材に回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、
    前記ドリブンプレート(52)の金属板の、前記第1貫通穴(X)と同一径円周部の摩擦面に第2貫通穴(Y)を設け、変速機ケースに回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止するようになした請求項1〜3いずれか1項記載の多段自動変速機。
  6. 前記ドライブプレート(51)の金属板の両面に摩擦部材を貼るとともに同一径円周部の摩擦面に摩擦部材と金属板を貫通する複数の第1貫通穴(X)を設け、前記遊星歯車列の構成要素となる回転部材に回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、
    前記ドリブンプレート(52)の金属板の、前記第1貫通穴(X)と同一径円周部の摩擦面に第2貫通穴(Y)を設け、変速機ケースに回り止めするとともに軸方向に移動可能に係止し、
    前記ドリブンプレート(52)を軸方向に2枚重ねて配するとともに、2枚の前記ドリブンプレート(52)の間に前記第2貫通穴(Y)を含有し前記ドリブンプレート(52)の間で密閉された大きな第3貫通穴(Z)が設けられた間座(53)を配し、
    前記複数のドライブプレー(51)とドリブンプレート(52)及び間座(53)を挟み押圧する端部2箇所の側面に油通路を設け、一方の側面の油通路に冷却油を供給するとともに他方の側面の油通路から冷却油を排出するようになした請求項1〜3いずれか1項記載の多段自動変速機。
  7. 前記ブレーキ(B1)の交互に配された前記複数のドライブプレート(51)とドリブンプレート(52)を前記遊星歯車列の外周径方向外側に配し、前記ドライブプレート(51)を係止する前記遊星歯車列の構成要素となる回転部材の係止円筒部に内周から外周への油貫通穴を設けないようになした請求項1〜3いずれか1項記載の多段自動変速機。
  8. 前記原動機は内燃機関であって該内燃機関の出力軸に爆発による回転変動を吸収する回転変動吸収ダンパ(10)を装着し、
    変速機の入力軸を変速機と該内燃機関の隔壁となる隔壁(2d)の変速機側保持部材(2e)の内周に軸受け(7a)で軸支し、
    前記隔壁(2d)と保持部材(2e)の間に油圧制御に用いる駆動ロータ(21)と被駆動ロータ(22)からなるチャージングポンプ(20)を配し、
    端部が蓋(12)で密閉された前記回転変動吸収ダンパ(10)の出力ハブ(11)前記入力軸(1)をスプライン連結するとともに前記出力ハブ(11)の変速装置側ボス部外周を、前記隔壁(2d)に装着された回転シール(23)でシールして変速機内部を密閉し、前記出力ハブ(11)が連結される前記入力軸(1)の変速機側スプラインに前記チャージングポンプ(20)前記駆動ロータ(21)を連結するようになした請求項1記載の多段自動変速機。
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