JP4912956B2 - ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ポリエステル繊維の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、従来にはない力学的特性を有した新規なポリエステル繊維を製造する方法に関する。
ポリエステル繊維は、力学的特性、寸法安定性においてバランスがよく優れた特性を有し、かつ溶融紡糸・延伸、更には高速紡糸により安価に製造できるため、衣料用途のみならず産業用途にも広く使用されている。
ポリエステル繊維が産業用途に用いられる場合、一般に最も重要視される特性は力学的特性、例えば強度が大きいことであり、用途を広げるため、さらなる力学的特性向上への要望が高まってきている。
ポリエステル樹脂を利用した繊維の製造方法は、一般に、ポリエステル樹脂を溶融して、スピンブロックに装着された溶融紡糸口金パックへ導き、この溶融紡糸口金パックから樹脂を溶融吐出し、吐出された繊維を冷却固化させ、引取ローラによって引き取る溶融紡糸工程で行なわれることは周知である。また、タイヤコードやゴムホース、ゴムベルトなどのゴム補強用途、シートベルトなどのベルト、スリング用途、魚網、陸上ネットなどのネット用途、ロープ用途、その他高い力学特性を要求される産業用ポリエステル繊維は、一般的には高重合度の原料樹脂を溶融紡糸した後、高倍率で延伸し、必要に応じて熱セットする方法で製造される。得られる繊維は適度な破断伸度を有しつつ、破断強度が高いことが要求される。この特性をタフネスと称し、強度×(伸度)1/2で表す。
強度を向上させるためには、未延伸糸段階においてできるだけ分子鎖を低配向としておき、延伸工程で高倍率延伸を施すことにより高配向な繊維とすることが手法の一つとして挙げられる。
低配向化技術の一つとして、レーザ照射が知られている。レーザ照射により樹脂を瞬間加熱し、溶融粘度を低下させることによって低配向化させることが可能となる。ポリエステル溶融紡糸において、紡糸口金面から紡糸線に沿って15cmまでの位置で、走行する樹脂に対し20W/cm以上のエネルギー密度でレーザを照射することによって優れた延伸性、すなわち低配向化した未延伸糸を得る方法について発明者らは開示している(特許文献1、第2〜4頁参照)。
しかしながら、より低配向化した繊維を得るため、強力なレーザ照射をすると、ポリエステル樹脂が分解してしまい、得られた繊維の強度が低くなってしまう問題があり、特許文献1記載の方法で得られる繊維の強度は十分ではなかった。
また、糸条の細化が実質的に終了するまでの間にレーザを照射して糸条の片面加熱と片面冷却とを同時に行なう技術が知られている(特許文献2参照)。
該技術においては使用する樹脂の固有粘度は高々0.63程度(特許文献2、第3頁参照)である上、紡糸線において片面を冷却しつつ、強力なレーザ(実施例では100〜300W)を糸条のもう片面に短時間照射することにより、強制的に断面方向の構造差を生じさせるため、得られた繊維の強度は非常に低いレベルとなってしまう。
以上のように、溶融紡糸方法から得られるポリエステル繊維は公知であるが、この繊維において高強度で、かつ高タフネスを有するポリエステル繊維の製造方法は、いまだ存在しない。
特開2004−324017号公報 特公昭56−11762号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、従来にはない力学的特性を有したポリエステル繊維の製造方法を提供せんとするものである。
具体的には、例えば、タイヤコードやゴムホース、ゴムベルトなどのゴム補強用途、シートベルトなどのベルト、スリング用途、魚網、陸上ネットなどのネット用途、ロープ用途、その他高い力学特性を要求される産業資材用途に好適な高強度、高タフネスで優れた物性を有するポリエステル繊維を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、溶融紡糸におけるポリエステルの高温時の細化挙動について鋭意検討を重ねてきた結果、高分子量ポリエステル樹脂において、レーザ照射により樹脂を加熱し高温時の細化挙動を促進させることが、ポリエステルの構造形成に影響を与え、従来にない力学的特性を有した繊維が得られることを見出し、本発明に到達した。
上述した課題を解決する本発明のポリエステル繊維の製造方法は、以下の(1)の構成からなる。
(1)ポリエステル樹脂を溶融紡糸して繊維を製造する方法において、固有粘度0.8dl/g以上のポリエステル樹脂を紡糸口金から溶融吐出し、紡糸口金面より紡糸線にそって100mmまでの間で、下記(a)式〜(c)式の条件を満たすようにn方向からレーザを照射することを特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
Figure 0004912956
Figure 0004912956
n≧2 ……(c)
ここで、D:口金孔径(φcm)
l:レーザ受光長(cm)
:i番目のレーザのエネルギー密度(W/cm
Q:単孔当たりの吐出量(g/min)
n:2以上の整数
また、かかる本発明のポリエステル繊維の製造方法において、より具体的に好ましくは、以下の(2)または(3)の構成を有するものである。
(2)前記紡糸口金の口金孔径が、φ0.05cm未満であることを特徴とする上記(1)記載のポリエステル繊維の製造方法。
(3)レーザが、炭酸ガスレーザであることを特徴とする上記(1)または(2)記載のポリエステル繊維の製造方法。
本発明によれば、タイヤコードやゴムホース、ゴムベルトなどのゴム補強用途、シートベルトなどのベルト、スリング用途、魚網、陸上ネットなどのネット用途、ロープ用途、その他高い力学特性を要求される産業資材用途に適する、高強度、高タフネスで優れた物性を有するポリエステル繊維の製造方法が提供されるものである。
より具体的には、例えば、タイヤコードやゴムホース、ゴムベルトなどのゴム補強用途、シートベルトなどのベルト、スリング用途、魚網、陸上ネットなどのネット用途、ロープ用途、その他高い力学特性を要求される産業資材用途に好適な高強度、高タフネスで優れた物性を有するポリエステル繊維の製造方法が提供されるものである。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態を述べる。
ポリエステル樹脂は、一般に、エステル結合を繰り返し構造にもつ直鎖状高分子であり、力学的特性、寸法安定性においてバランスがよく優れた特性をもち、かつ溶融紡糸・延伸、更には高速紡糸により安価に製造できるため、産業上の利用分野が広い樹脂である。
本発明において使用されるポリエステル樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートは汎用性が高いため好ましく、高強度を達成するためには、ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。本発明で用いるポリエステル樹脂には、本発明の効果が損なわれない範囲で他の成分が共重合されていてもよい。さらに、本発明で用いられるポリエステル樹脂には、艶消剤、難燃剤、あるいは滑剤等の既知添加剤を少量含有してもよい。
本発明の効果を十分なものとするためにはポリエステル樹脂の固有粘度は0.8dl/g以上のものを用いることが必要である。この理由は、ポリエステル樹脂の固有粘度を高くすることで、得られる繊維の破断強度、タフネスを向上させるためである。さらに破断強度を向上させるためには、固有粘度を1.0dl/g以上とすることが好ましく、1.2dl/gとすることがより好ましい。固有粘度が0.8dl/g未満である場合には破断強度およびタフネスのレベルが低下し、十分な物性の糸が得られない。
本発明では、紡糸口金から吐出した高温の溶融樹脂にレーザを照射し瞬時に加熱することにより高温時の変形速度を増加させるものであり、紡糸口金より紡糸線にそって100mmまでの間で、樹脂に適度な強度のレーザを照射することが重要である。
すなわち、紡糸口金より100mmまでの間では、樹脂温度が十分高いため、レーザ照射により高温変形が促進されやすいほか、糸揺れがほとんどなく、安定してレーザ照射が行えるためである。また、100mmよりも離れた位置で、強力なレーザ照射をする場合には、加熱斑に伴う脈動が発生することとなり、繊維軸方向に物性斑が発生してしまい、得られる繊維の強度が低下する。この観点から、樹脂がより高温であり、糸揺れの少なくなる紡糸口金より50mmまでの間で照射することがより好ましく、照射位置での加熱効率を上げて樹脂温度を高めるためには、繊維が細化する以前の、紡糸口金から30mmまでの間で照射することがさらに好ましい。本発明における紡糸口金面とは、吐出された樹脂が自由表面を持って伸長変形可能となる位置を意味する。
本発明に用いられる紡糸口金の口金孔径(D(φcm))は、樹脂の安定吐出ができればよく、特に限定されるものではないが、より高強度の繊維を得るためにはφ0.05cm未満であることが好ましい。
すなわち、φ0.05cm未満であれば、口金から吐出前の高温の状態で樹脂が細化することになり、これは、紡糸線上でレーザ照射によって樹脂を加熱して細化させるという本発明の目的と近く、相乗効果として好ましいものであり、延伸糸としたときの強度およびタフネスの向上を両立させやすくなるのである。この目的のためには、φ0.03cm以下とすることがより好ましい。なお、口金孔径は、実質的に樹脂の吐出が困難になるφ0.005cmが下限である。なお、本発明における口金孔径とは口金に穿設された吐出孔の出口径のことであり、異形孔で紡糸する場合には、吐出孔断面積を丸孔と換算した値を用いる。
本発明でいうレーザ受光長(l(cm))とは、樹脂に実質的にレーザが照射される部分の繊維軸方向の長さのことであり、樹脂は受光長を通過する時間分だけレーザ照射を受けて加熱されるものである。受光長については特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂が十分に加熱されるためには0.2cm以上であることが好ましく、製糸性を安定させるために、1cm以下であることがより好ましい。
本発明で用いられるレーザとは、単色光であり、平行光線であり、コヒーレントである光線を指す。レーザのエネルギー密度(E(W/cm))は、溶融樹脂がレーザを受光する位置において測定されるレーザ出力をスポット面積によって除することにより算出されるものである。
本発明で用いるレーザの種類は特に限定されないが、レーザの波長10.6μmである炭酸ガスレーザは、ポリエステル樹脂の吸収率が高く効率的であること、また、工業的に用いるには大出力が得られること、安価なことが好ましく、この点からも炭酸ガスレーザであることが好ましい。
本発明でいう単孔当たりの吐出量(Q(g/min))とは、上記の紡糸口金1孔当たりの樹脂の吐出量である。本発明の製造方法は産業用繊維を目的としているため、樹脂の単孔あたりの吐出量は1.0g/min以上が好ましく、更に好ましくは2.0g/min以上である。
本発明では、溶融紡糸で得られる繊維をより低配向化するために、樹脂に強力なレーザを照射することが重要であり、紡糸線に沿って2方向以上から適度な強度のレーザを照射する必要がある。このとき、1方向から照射するレーザとしては、口金孔径(D(φcm))、レーザ受光長(l(cm))、i番目のレーザのエネルギー密度(E(W/cm))、単孔当たりの吐出量(Q(g/min))より求められる式(a)の値が3以下であることが必要である。
前述した式(a)で求められる値が3より大きくなる場合には、任意の1方向から高強力のレーザ照射をすることになり、ポリエステル樹脂の受光部表層部分の樹脂温度が必要以上に高温になる。このため、樹脂に含まれるオリゴマー成分の熱分解が起こり、得られる繊維に太細斑が発生する他、吐出樹脂のわずかな揺れによって繊維が溶断するなどして製糸性が悪化するのである。さらに高強力のレーザ照射を行う場合には、ポリエステル樹脂自体の熱分解により固有粘度が低下し、得られる繊維の破断強度、タフネスが著しく低下する。このため、式(a)で求められる値が3以下を満たすように、1方向からのレーザ照射で加えられる熱量を制限する必要があり、紡糸の安定性を高めて生産性を上げるためには、式(a)より求められる値が2.5以下であることがより好ましい。
また、一方で、十分な破断強度、タフネスなどの物性を有する繊維を得るためには、紡糸線上にて樹脂を十分に加熱するために、強力なレーザ照射が必須である。このため2方向以上から、式(b)で計算される値が3以上になるように、レーザ照射することが必要である。2方向以上からレーザ照射することにより、任意の一方向からのレーザ照射による紡糸不安定化要因を除去できて、式(b)を満たすようにレーザ照射を行うことにより、樹脂に十分な熱量を加えることができる。これに伴い、得られる未延伸繊維が低配向化し、延伸後には高強度、高タフネス化した繊維が得られるものである。樹脂をより加熱する方向が好ましいことから、式(b)で求められる値は3.5以上であることがより好ましい。上限としては、実質的に紡糸困難になる30以下である。
本発明においては、2方向以上からレーザを照射することにより、熱分解を抑えつつ十分に樹脂を加熱できるため、照射レーザの数については、それ以上特に限定されるものではないが、繊維の強度をさらに上げるためには、樹脂の断面方向の均一性を向上させるためにレーザ照射方向の対称性を高めることが好ましい。樹脂に対して2方向からレーザ照射する場合には、レーザの特性上、光軸を同一にできないため完全に対称にすることができない。対称性を上げるためには、レーザ照射を3方向以上から行うことが好ましい。一方で、樹脂に対してレーザ照射する方向が増加する場合には、レーザ照射スポットの厳密な位置合わせが実質的に難しくなるため、本発明においては、3方向(n=3)からのレーザ照射とすることが好ましい。
本発明に従って高温時の細化が促進された繊維は、十分に優れた力学的特性を有するが、更に製糸性向上や配向抑制を目的として従来法である冷却遅延措置、いわゆる加熱筒や保温筒を併用することは好ましいことである。本発明の製造方法において、繊維の引取方法は特に限定されるものではなく、いわゆる2工程法および直接延伸法などの任意の方法を採用することができる。ただし、紡糸線上で配向結晶化が起こると、結晶が配向の阻害点となるために、分子鎖を効率良く配向させる効果が減少してしまう可能性がある。したがって、紡糸工程において配向結晶化が起こらない引取速度とすることが好ましい。具体的には、引取速度は1000m/min未満であることが好ましい。1000m/min未満とすることにより、未延伸繊維の配向度を低くすることができ、高強度化が達成しやすくなる。更にこの傾向を顕著なものとするためには引取速度を700m/min以下とすることが好ましい。ただし、工業的観点から、好ましくは引取速度の下限は300m/minである。なお、本発明において、引取速度とは溶融樹脂が冷却固化後、接触する第一ローラの回転速度のことをいう。
産業用繊維に適した優れた特性、特に強度を有した繊維とするためには延伸熱セットを施すことにより、分子鎖を配向させ、熱的に安定した繊維構造を形成させることが好ましい。延伸方法としては、例えば、回転速度を変更した一対以上のローラ間で延伸する手法がある。また、優れた力学的特性を得るためには2段以上で延伸することが好ましい。各ローラ間の速度比および温度については必要とする力学的特性に応じ変更することができる。加熱手法としては、加熱ローラ、熱板、熱ピンおよびレーザ光照射などの加熱手法から選択することができる。なお、延伸工程での加熱手法としてレーザ光を用いることは、延伸工程の加熱時に生成する微結晶などの分子鎖配向の阻害点となるものを生成させることなく、高応力で延伸できるという点から好ましいことである。
本発明のポリエステル繊維の製造方法は、モノフィラメントおよびマルチフィラメントのいずれの製造方法にも適応することができる。
以下、実施例および比較例により、本発明を具体的かつより詳細に説明する。
ただし、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
なお、実施例および比較例中の各物性値は、以下の方法によって測定したものである。
A.破断強度、伸度
島津製作所社製オートグラフを用い、初期試料50mm(未延伸繊維)、100mm(延伸繊維)、引張速度100%/minにて応力−歪曲線を測定して求めた。測定は、n数を5として行いそれらを平均した。
B.レーザ強度
樹脂が走行していない状態で、樹脂の走行位置にレーザパワーメータを設置してレーザの照射エネルギーを測定し、これをレーザビームプロファイラにて測定した照射時のレーザスポット面積で除した。測定は、n数を5として行いそれらを平均した。
C.固有粘度
オルソクロロフェノール25℃で測定する。なお、本実施例では、昭和電工社製Shodex GPC−101を用い、溶離液HFIP、カラムHFIP−806M×2、検出器RI、流速1.0mL/minにて測定し、固有粘度既知のポリエチレンテレフタレートを用いて換算した。測定は、n数を5として行いそれらを平均した。
D.レーザ光の照射方向
本発明において、レーザ光の照射方向とは、紡糸線に対して垂直方向から見た場合にレーザ照射される方向のことであり、紡糸線に対して水平方向成分のみでレーザ照射方向として定義されるものである。すなわち、該紡糸線に対して垂直方向から見た投影図上での方向として定義される。
したがって、紡糸線に対して垂直方向から見て、レーザ照射の方向を数えるものとする。すなわち、レーザが重なる場合、つまり任意の面に対して2本のレーザを紡糸線方向にずらして照射する場合などは、直上方向(紡糸線に対して垂直方向から見た投影図上での方向)から見て1本に重なって見えるものであり、そのようなケースでは、照射方向は「1方向」となるものである。
また、本発明において、「n方向から照射する(n≧2)」ことの技術的な意味は、紡糸された繊維に対して、1方向のみからの照射により該繊維の特定の一部方向側だけが加熱されることを防ぐというものであり、したがって、一般的に、5°程度までの照射角のずれの範囲内にある複数のレーザの場合は「1方向」と考えて、本発明を実施すればよいものである。
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度:1.0dl/g)を2軸エクストルーダによって溶融し、紡糸温度320℃、紡糸口金(孔径φ0.03cm、孔数1)より単孔吐出量3.0g/minで吐出した。この紡糸口金面より下流10mmのところで、レーザ受光長0.4cmの箇所に、それぞれレーザ強度270W/cmの炭酸ガスレーザを3方向より照射し、冷却固化後500m/minの紡糸速度で引き取り、未延伸糸を得た。該未延伸糸を供給ローラに導き、第1延伸ローラ、第2延伸ローラおよび第3延伸ローラ間で2段延伸を行った後、最終ローラを経て、張力制御方式の巻取機によって巻取り、延伸糸を得た。各延伸ローラの温度は90℃、140℃、230℃とし、2段目の延伸倍率は1.6倍、延伸速度は100m/minに設定した。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
実施例2
用いた樹脂の固有粘度を1.2dl/gとし、紡糸温度330℃とした以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
実施例3
用いた紡糸口金の孔径φ0.1cm、レーザ強度270W/cmの炭酸ガスレーザを照射した以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
実施例4
炭酸ガスレーザを紡糸口金面より下流70mmのところで照射した以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
実施例5
レーザ強度200W/cmの炭酸ガスレーザを、4方向より照射した以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
実施例6
用いた紡糸口金の孔数を24とした以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
実施例7
レーザ強度400W/cmの炭酸ガスレーザを、2方向より照射した以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
実施例8
レーザ強度710W/cmの炭酸ガスレーザを用いた以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
比較例1
用いた樹脂の固有粘度を0.6dl/gとし、紡糸温度310℃とした以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
比較例2
レーザ強度800W/cmの炭酸ガスレーザを用いた以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
比較例3
炭酸ガスレーザを、紡糸口金面より下流150mmのところで照射した以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
比較例4
単孔吐出量を2g/minとし、レーザ強度60W/cmの炭酸ガスレーザを、4方向より照射した以外は、すべて実施例1と同様の方法で製糸を行い、延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の物性を表1に示す。
表1からわかるように、本発明にかかるポリエステル繊維は高強度であるとともに、高タフネスを示すものである。
Figure 0004912956

Claims (3)

  1. ポリエステル樹脂を溶融紡糸して繊維を製造する方法において、固有粘度0.8dl/g以上のポリエステル樹脂を紡糸口金から溶融吐出し、紡糸口金面より紡糸線にそって100mmまでの間で、下記(a)式〜(c)式の条件を満たすようにn方向からレーザを照射することを特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 0004912956
    Figure 0004912956
    n≧2 ……(c)
    ここで、D:口金孔径(φcm)
    l:レーザ受光長(cm)
    :i番目のレーザのエネルギー密度(W/cm
    Q:単孔当たりの吐出量(g/min)
    n:2以上の整数
  2. 前記紡糸口金の口金孔径が、φ0.05cm未満であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維の製造方法。
  3. レーザが、炭酸ガスレーザであることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル繊維の製造方法。
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