JP4757655B2 - ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル繊維の製造方法に関するものであり、詳しくは、従来にはない力学的特性を有したポリエステル繊維を製造することを可能にするポリエステル繊維の製造方法に関する。
ポリエステル繊維は、力学的特性、寸法安定性においてバランスがよく優れた特性をもち、かつ溶融紡糸・延伸、更には高速紡糸より安価に製造できるため、衣料用途のみならず産業用途にも広く使用されている。
ポリエステル繊維が産業用途に用いられる場合、一般に最も重要視される特性は力学的特性、例えば強度が大きいことであり、用途を広げるため、さらなる力学的特性向上への要望が高まってきている。
ポリエステル樹脂を利用した繊維の製造方法は、一般に、ポリエステル樹脂を溶融して、スピンブロックに装着された溶融紡糸口金パックへ導き、この溶融紡糸口金パックから樹脂を溶融吐出し、吐出された繊維を冷却固化させ、引取ローラによって引き取る溶融紡糸工程で行なわれることは周知である。また、タイヤコードやゴムホース、ゴムベルトなどのゴム補強用途、シートベルトなどのベルト、スリング用途、魚網、陸上ネットなどのネット用途、ロープ用途、その他高い力学特性を要求される産業用ポリエステル繊維は、一般的には高重合度の原料樹脂を溶融紡糸した後、高倍率で延伸し、必要に応じて熱セットする方法で製造される。得られる繊維は適度な破断伸度を有しつつ、破断強度が高いことが要求される。この特性をタフネスと称し、強度×(伸度)1/2で表す。
強度を向上させるためには未延伸糸段階においてできるだけ分子鎖を低配向としておき、延伸工程で高倍率延伸を施すことにより高配向な繊維とすることが手法の一つとして挙げられる。
低配向化技術の一つとして、低ドラフト化技術がある(非特許文献1参照)。紡糸におけるドラフトは引取速度/吐出線速度により表される。低ドラフト化としては、通常低速紡糸とすることが主流であり、吐出線速度向上技術の技術検討例は少なく、低配向化に有効であるとの知見はこれまでなかった。特に、高重合度の原料樹脂を用いる場合には口金孔の圧力損失が極めて高く、通常の紡糸装置では吐出線速度を向上させるには限界があった。
口金孔径の細孔化の他に、低配向化技術としてレーザ照射が知られている。レーザ照射により樹脂を瞬間加熱し、溶融粘度を低下させることによって低配向化させることが可能となる。ポリエステル溶融紡糸において、紡糸口金面から紡糸線に沿って15cmまでの位置で、走行する樹脂に対し20W/cm以上のエネルギー密度でレーザを照射することによって優れた延伸性、すなわち低配向化した未延伸糸を得る方法について開示されている(特許文献1:第2〜4頁参照)。
また、糸条の細化が実質的に終了するまでの間にレーザを照射して糸条の片面加熱と片面冷却とを同時に行なう技術が開示されている(例えば特許文献2参照)。
該技術においては、使用する樹脂の固有粘度は高々0.63程度であり、紡糸線において片面を冷却しつつ、強力なレーザ(実施例では100〜300W)を糸条のもう一方の片面に短時間照射することにより、強制的に断面方向の構造差を生じさせるため、得られた繊維の強度は非常に低いレベルとなってしまう。
以上のように溶融紡糸方法から得られるポリエステル繊維は公知であるが、この繊維において高強度で、かつ高タフネスを有するポリエステル繊維の製造方法はいまだ存在しない。
「ポリエステル繊維」第130頁(コロナ社発行、ルーデビッヒ著) 特開2004−324017号公報(第2−4頁) 特公昭56−11762号公報(第3頁)
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、従来にはない高強度でかつ高タフネスを有する力学的特性を有したポリエステル繊維の製造方法を提供することである。
本発明者らは、溶融紡糸における高温時の細化挙動について鋭意検討を重ねてきた結果、高分子量ポリエステル樹脂において、吐出線速度を増加させることにより高温時の細化挙動を促進させることが、溶融体構造に影響を与え、従来にない力学的特性を有した繊維が得られることを発見し、本発明のポリエステル繊維の製造方法に到達した。
上述した目的を達成する本発明のポリエステル繊維の製造方法は、ポリエステル樹脂を溶融紡糸してポリエステル繊維を製造する方法において、固有粘度が0.8dl/g以上のポリエステル樹脂を口金孔径Φ0.5mm未満のノズルから吐出線速度0.25m/s以上となるように溶融吐出し、冷却固化後1000m/min未満の引き取り速度で引き取ることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来には得られていない高強度でかつ高タフネスを有する力学的特性を有したポリエステル繊維を製造することができる。
以下、本発明のポリエステル繊維の製造方法を実施するための最良の形態およびその効果を以下に述べる。
本発明におけるポリエステル樹脂は、エステル結合を繰り返し構造にもつ直鎖状高分子であり、特に限定されるものではないが、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、あるいはポリブチレンテレフタレートであり、より高強度を達成するためには、ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。本発明で用いるポリエステル樹脂には、本発明の効果が損なわれない範囲で他の成分が共重合されていてもよい。さらに、本発明で用いるポリエステル樹脂には、艶消剤、難燃剤、滑剤等の既知添加剤を少量含有してもよい。
本発明の効果を十分なものとするためにはポリエステル樹脂の固有粘度は0.8dl/g以上が必要である。固有粘度が0.8dl/g未満である場合には、得られる繊維の破断強度およびタフネスのレベルが低下する。さらに破断強度を向上させるためには固有粘度を1.0dl/g以上とすることが好ましく、1.2dl/g以上とすることがより好ましい。その上限は特に限定されるものではないが、溶融紡糸工程における製糸限界を考えれば5.0dl/g程度である。
また、本発明のポリエステル繊維の製造方法は、産業用繊維を目的としているため、樹脂の単孔あたりの吐出量は1.0g/min以上が好ましく、更に好ましくは2.0g/min以上である。その上限は、特に限定されるものではないが、5.0g/min程度までが実際的である。
本発明に用いる紡糸口金の孔径はφ0.5mm未満である必要がある。紡糸口金の孔径がφ0.5mm以上である場合には、延伸糸としたときの強度およびタフネスの2つの値の向上を両立させることが困難となる。この目的のためには、φ0.3mm以下とすることが好ましい。なお、本発明における口金孔径とは口金に穿設された吐出孔の出口径のことであり、異形孔で紡糸する場合には、吐出孔断面積を丸孔と換算した値を用いるものである。
吐出線速度は、口金孔径および吐出量に依存するため、口金孔径をφ0.5mm未満とすることにより、吐出線速度が大きく向上し、高温時の変形速度が大きく増加する。本発明では、固有粘度が0.8dl/g以上のポリエステル樹脂を口金孔径Φ0.5mm未満のノズルから吐出線速度0.25m/s以上となるように溶融吐出する。
一般に、分子鎖の絡み合い構造は、紡糸線上の(融点−20)℃程度で固定される。そして、一度固定された構造は、延伸工程においても変化することなく、それらが伸長することにより繊維構造を形成するため、最終的な繊維物性に大きな影響を与える。つまり、従来にはない強度とタフネスを有するポリエステル繊維を得るためには、これらの構造を固定する前、具体的には高温溶融樹脂状態での絡み合い構造、すなわち「溶融構造」の制御が重要である。本発明者らは、溶融紡糸における高温時の細化挙動について鋭意検討を重ねてきた結果、高分子量の樹脂において、吐出線速度を増加させ、高温時の細化を促進させることが、溶融構造に影響を与えることを発見した。この知見をもとに紡糸口金の孔径をφ0.5mm未満とすることにより、(樹脂の融点−20)℃以上の温度域全域において変形速度を3.0sec−1以上とすることができ、分子鎖の絡み合い構造の均質性が向上することを見出したのである。なお、本発明における変形速度とは溶融樹脂の単位距離当たりの速度変化をいう。
分子鎖の絡み合い構造は室温では固定されているため、繊維が軟化する温度、つまり、ガラス転移点以上の温度状態において評価する必要がある。絡み合い構造の評価手法の一つとして、ネットワーク延伸比に対する熱収縮応力を評価する方法がある(例えばS. D. Long and I. M. Ward, J. Appl. Polym. Sci., 42, 1911 (1991) 参照)。ネットワーク延伸比とは後述する方法によって応力−歪曲線から算出されるパラメータであり、絡み合い構造の配向を表すものである。また、非晶質な繊維におけるガラス転移点以上、つまり、軟化状態での熱収縮応力は分子鎖の絡み合い(ネットワーク)構造の収縮に起因しており、該応力のピーク値の増加は収縮に寄与する因子数の増加、つまり、絡み合いの状態が同程度の分子鎖が多いことを意味する。したがって、製造方法が異なる繊維に関して、絡み合い構造の均質性を評価する場合には、同じネットワーク延伸比(配向)での熱収縮応力を比較すれば良いのである。
各種紡糸条件におけるネットワーク延伸比と熱収縮応力の関係を図1に示す。詳細は後述をする実施例3(口金孔径φ0.3mm)と、比較例3(口金孔径φ0.6mm)とを比較すると、近似直線の傾きが0.36から0.52と大きく増加している。つまり、口金孔径の減少による高温時の細化の促進によって、ネットワーク延伸比に対する熱収縮応力は著しく増加する。このように本発明の製造方法では、ネットワーク延伸比に対する熱収縮応力値が増加するような従来技術では得ることができない絡み合い構造の均質性が向上した繊維になるのである。絡み合い構造の均質性が向上した繊維は、延伸工程において分子鎖の絡み合い構造に高い応力が伝播されるため、極めて効率の良い分子鎖配向が行われ、ミクロ構造が緻密化された優れた繊維構造が形成される。
そして、特に、高温の溶融樹脂にレーザを照射し瞬時に加熱することは、高温時の変形速度を更に増加させる点から好ましい。図1に示したネットワーク延伸比と熱収縮応力の関係を見ると、レーザ照射によって(例えば、実施例1と実施例3)、近似曲線の傾きが更に増加する。つまり、高温の溶融樹脂にレーザを照射することにより、更に高温時の細化が促進され、絡み合い構造の均質性が向上される。また、高分子量樹脂を溶融紡糸する際には紡糸応力が高くなる条件でも安定した製糸が可能となり、加熱筒等の従来手法よりも加熱効率に優れるため省エネルギー化が可能となる。レーザ光は、紡糸口金面より50mmまでの間において、適度なレーザ照射強度によって、口金から吐出された樹脂に対して照射することが好ましい。
本発明における紡糸口金面とは、吐出された樹脂が自由表面を持って伸長変形可能となる位置を意味する。50mmよりも下流においてレーザ光を照射する場合には冷却が進んでしまい、溶融樹脂温度が250℃以下にまで減少することも多いため、溶融構造を制御する効果が低下する可能性もあるのである。また、加熱斑に伴う脈動が発生することとなり、繊維軸方向に物性斑が発生してしまう可能性もある。したがって、レーザ照射は、吐出樹脂が紡糸口金面から50mmまでの範囲にあるうちに行うことが好ましく、更に照射位置での温度を高めるためには紡糸口金から30mmまでの間で照射することがより好ましい。本発明で用いるレーザとは、単色光であり、平行光線であり、コヒーレントである光線を指す。レーザの種類は特に限定されないが、大出力が得られること、安価なことから炭酸ガスレーザを用いるのが好ましい。レーザ照射は片面からの照射であっても良いが、エネルギー効率および加熱の均一性向上の点から反射要素による反射を利用することや多方面からの照射をすることも好ましいものである。
本発明におけるレーザ照射強度は、レーザ照射位置での樹脂を融点以上に加熱することができればよく、特に限定されるものではないが、本発明者らの各種知見によれば、口金孔径:D(φmm)とレーザ照射強度:E(W/cm)との関係を、20≦D×E≦100とすることが好ましく、この範囲内とすることにより、脈動を発生させることなく、樹脂温度を増加させることができる。該(D×E)値が20未満の場合には加熱効果が低く、該(D×E)値が100よりも大きい場合には溶融樹脂表層の加熱が過剰となり、吐出樹脂のわずかな揺れによって繊維が溶断するなど、製糸性が悪化する場合があるので注意を要する。なお、本発明におけるレーザ照射強度とは、溶融樹脂が照射される位置において測定されるレーザ出力をスポット面積によって除することにより算出されるものである。
本発明に従って高温時の細化が促進された繊維は十分に優れた力学的特性を有するが、更に製糸性向上や配向抑制を目的として従来法である冷却遅延措置、いわゆる加熱筒や保温筒を併用することは好ましいことである。
本発明の製造方法において、繊維の引取方法は特に限定されるものではなく、いわゆる2工程法および直接延伸法などの任意の方法を採用することができる。ただし、本発明の技術により均質性が向上した絡み合い構造においても、紡糸線上で配向結晶化が起こると、結晶が配向の阻害点となるために、分子鎖を効率良く配向させる効果が減少してしまう可能性がある。したがって、紡糸工程において配向結晶化が起こらない引き取り速度とすることが好ましい。具体的には、引取速度は1000m/min未満とすることが重要である。1000m/min未満とすることにより、未延伸繊維の配向度を低くすることができ、高強度化が達成しやすくなる。更にこの傾向を顕著なものとするためには引取速度を700m/min以下とすることが好ましい。ただし、工業的観点から好ましくは、引取速度の下限は300m/minである。なお、本発明の引取速度とは溶融樹脂が冷却固化後接触する第一ローラの回転速度のことを言う。
産業用繊維に適した優れた特性、特に強度を有した繊維とするためには延伸熱セットを施すことにより、分子鎖を配向させ、熱的に安定した繊維構造を形成させることが好ましい。延伸方法としては、例えば、回転速度を変更した一対以上のローラ間で延伸する手法がある。また、優れた力学的特性を得るためには2段以上で延伸することが好ましい。各ローラ間の速度比および温度については必要とする力学的特性に応じ変更することができる。加熱手法としては加熱ローラ、熱板、熱ピンおよびレーザ光照射などの加熱手法から選択することができる。なお、延伸工程での加熱手法としてレーザ光を用いることは延伸工程の加熱時に生成する微結晶などの分子鎖配向の阻害点となるものを生成させることなく、高応力で延伸できるという点から好ましいことである。
なお、本発明の製造方法は、モノフィラメントおよびマルチフィラメントいずれの製造方法にも適応することができる。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明のポリエステル繊維の製造方法について具体的かつより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により制限されるものではない。実施例および比較例中の各物性値は、以下の方法によって測定した。なお、いずれの測定においても、数値を求めるものの場合は、n数は20とし、それを平均化したものである。該n数は、データの出方によっては、更に増加するなどの手法を採用してもよい。
A.破断強度、伸度
島津製作所社製オートグラフを用い、初期試料長50mm(未延伸繊維)、初期試料長100mm(延伸繊維)、引張速度100%/minにて応力−歪曲線を測定して求めた。
B.ネットワーク延伸比
破断強度、伸度測定時に得られた応力−歪曲線から、下記式を用いて真応力−真歪曲線を得る。
真応力=(F×l)/(A×l
真歪み=ln{(l−l)/l
F:荷重、
l:試料長(mm)、
:初期試料長(mm)、
:初期断面積
基準サンプル(紡糸速度500m/min)の真応力−真歪曲線を基準カーブとして、紡糸速度の異なる未延伸糸から得られた真応力−真歪曲線が基準カーブの破断点に重なるように各紡糸速度の真応力−真歪曲線を横軸に沿ってシフトする。このシフト量を真応力−真歪曲線のシフト量(S)とし、各サンプルにおけるネットワーク延伸比を下記式に従ってネットワーク延伸比を求める。
λshift=exp(S)
λshrinkage={100/(100−BOS)}
λnet=λshift×λshrinkage
λshift:横軸シフト量に対する延伸比
λshrinkage:初期変形に対する延伸比
λnet:ネットワーク延伸比
S:真応力−真歪曲線のシフト量
BOS:沸水収縮率(%)
ここで用いる沸水収縮率BOS(%)とは、検尺機を用いて小かせとして、かせ長を測る。引き続き、かせを98℃沸水で30分間処理し、風乾後、再びかせ長を測定する。処理前のかせ長と処理後のかせ長から下記式に従って求めた。
BOS={(l−l)/l
:処理前のかせ長
:処理後のかせ長
C.熱収縮応力測定
カネボウエンジニアリング株式会社製熱応力測定装置(Type:KE−2S)を用い、試料長50mm、初期張力0.01cN/dtex、昇温速度75℃/min として測定した。
D.複屈折
オリンパス社製BH−2偏光顕微鏡を用い、ベレック式コンペンセータによる干渉縞法にて測定した。
E.レーザ強度
樹脂が走行していない状態で、樹脂の走行位置にレーザパワーメータを設置してレーザの照射エネルギーを測定し、これを照射時の繊維直径から求めた断面積で除した。
F.固有粘度
オルソクロロフェノール25℃で測定する。なお、本実施例では、昭和電工社製Shodex GPC−101を用い、溶離液HFIP、カラムHFIP−806M×2、検出器RI、流速1.0mL/minにて測定し、固有粘度既知のポリエチレンテレフタレートを用いて換算した。
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度:1.0dl/g)を2軸エクストルーダによって溶融し、紡糸温度300℃、紡糸口金(孔径φ0.3mm、孔数1)より吐出量3.0g/minで吐出した。この紡糸口金面より下流10mmのところでレーザ強度210W/cmの炭酸ガスレーザを照射し、冷却固化後500m/minの紡糸速度で引き取り、ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
比較例1
樹脂の固有粘度を0.75dl/gにしたこと以外は全て実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
比較例2
口金孔径をφ0.6mmとし、レーザ強度を100W/cmとしたこと以外は全て実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
実施例2
口金孔径をφ0.45mmとしたこと以外は全て実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
実施例3
レーザを照射しないこと以外は全て実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
比較例3
口金孔径をφ0.6mmとし、レーザを照射しなかったこと以外は全て実施例1と同様の方法で紡糸を行い、ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
実施例4
樹脂の固有粘度を1.2dl/gとし、紡糸温度を320℃としたこと以外は全て実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
実施例5
レーザ強度を400W/cmとしたこと以外は全て実施例1と同様の方法で溶融紡糸を行い、ポリエステル繊維を得た。得られた繊維の物性を表1に示す。
本発明のポリエステル繊維の製造方法で得られた未延伸糸は破断伸度が大きく、延伸性に優れた繊維が得られることがわかる。
各製造方法による絡み合い構造の均質性を評価するため、実施例1〜3、比較例2、3に関して引取速度だけを500、1000、2000m/minと変更し、未延伸糸を得た。得られた繊維に対してネットワーク延伸比および熱収縮応力を測定し、各製造方法におけるネットワーク延伸比と熱収縮応力との関係を求めた。
結果を図1に示す。図1から本発明のポリエステル繊維の製造方法で得られたポリエステル繊維は、近似直線の傾きから比較例により得られたポリエステル繊維と比較して、ネットワーク延伸比に対する熱収縮応力が顕著に増加していることがわかる。これから、本発明のポリエステル繊維の製造方法により得られた未延伸糸は、分子鎖の絡み合い構造の均質性が向上した優れた特性を有するものであることがわかる。
Figure 0004757655
実施例5
実施例1に従い得られた未延伸繊維を用いて、加熱ローラ延伸を行った。該未延伸糸を供給ローラに導き、第1延伸ローラ、第2延伸ローラおよび第3延伸ローラ間で2段延伸を行った後、最終ローラを経て、張力制御方式の巻取機によって延伸糸を巻取り、延伸糸を得た。各延伸ローラの温度は90℃、140℃、230℃とし、2段目の延伸倍率は1.6倍、延伸速度は100m/minに設定した。得られた繊維の物性を表2に示す。
実施例6
用いた繊維を実施例2としたこと以外はすべてに実施例5に従い延伸を行った。得られた繊維の物性を表2に示す。
実施例7
用いた繊維を実施例3としたこと以外はすべてに実施例5に従い延伸を行った。得られた繊維の物性を表2に示す。
実施例8
用いた繊維を実施例3としたこと以外はすべてに実施例5に従い延伸を行った。得られた繊維の物性を表2に示す。
比較例6
用いた繊維を比較例1としたこと以外はすべてに実施例5に従い延伸を行った。得られた繊維の物性を表2に示す。
比較例7
用いた繊維を比較例2としたこと以外はすべてに実施例5に従い延伸を行った。得られた繊維の物性を表2に示す。
比較例8
用いた繊維を比較例3としたこと以外はすべてに実施例5に従い延伸を行った。得られた繊維の物性を表2に示す。
以上の結果から本発明の製造方法により分子鎖の均質性が向上した未延伸糸を加熱下で延伸および熱セットすることにより、従来では得ることができなかった優れた強度とタフネスを有するポリエステル繊維が得ることができることがわかる。
Figure 0004757655
図1は、実施例1〜3、比較例2、3で得られた未延伸ポリエステル繊維について、ネットワーク延伸比および熱収縮応力を測定し、各製造方法例において得られる未延伸ポリエステル繊維のネットワーク延伸比と熱収縮応力との関係を図示したものである。

Claims (4)

  1. ポリエステル樹脂を溶融紡糸してポリエステル繊維を製造する方法において、固有粘度が0.8dl/g以上のポリエステル樹脂を口金孔径Φ0.5mm未満のノズルから吐出線速度0.25m/s以上となるように溶融吐出し、冷却固化後1000m/min未満の引き取り速度で引き取ることを特徴とするポリエステル繊維の製造方法。
  2. 前記口金孔径が孔径Φ0.3mm以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維の製造方法。
  3. 紡糸口金面より紡糸線に沿って50mmまでの間において、口金から吐出された樹脂にレーザを照射することを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル繊維の製造方法。
  4. 下記条件を満たすように口金から吐出された樹脂にレーザを照射することを特徴とする請求項1、2または3記載のポリエステル繊維の製造方法。
    20≦D×E≦100
    D:口金孔径(φmm)、 E:レーザ強度(W/cm2
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