JP4912594B2 - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、芳香族ポリカーボネートを含有する熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関する。
芳香族ポリカーボネートを含む樹脂組成物は、機械的特性、耐熱性、耐衝撃性に優れていることから、各種部品の成形材料として多方面で使用されている。
特に自動車外装用成形材料に関しては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂と芳香族ポリカーボネート(PC)とを混合してなるPC/ABS系樹脂組成物が広く使用されている。このPC/ABS系樹脂組成物から得られた成形品は、優れた耐衝撃性を有する上に、芳香族ポリカーボネートの欠点である成形加工性および衝撃強度の厚み依存性が改良されている。しかし、このPC/ABS系樹脂組成物およびその成形品は、熱や光により劣化しやすく、成形時の滞留により物性の低下や変色等を起こしやすいため、用途に制限があった。
その対策として、ABS樹脂の代わりに、アクリロニトリル・アクリル酸ブチル・スチレン(ASA)樹脂や、アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・非共役ジエン・スチレン(AES)樹脂等を用いることがある。
AES樹脂としては、例えば特許文献1に、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴムラテックスに芳香族ビニル系単量体を乳化グラフト重合して得たグラフト重合体を含むものが提案されている(特許文献1参照)。また、特許文献2,3には、特定ゲル分率のエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴムラテックスに特定の製法で芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を乳化グラフト重合して得たグラフト重合体を含むものが提案されている(特許文献2,3参照)。
特開昭63−291913号公報 特開昭63−291942号公報 特開昭63−291943号公報
特許文献1〜3に記載のAES樹脂と芳香族ポリカーボネートとを含有するPC/AES系樹脂組成物は、優れた耐候性を有するものの、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性が不足した。
本発明の目的は、上記課題を解決して、耐候性に優れる上に、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物および成形品を提供することにある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート(A)と、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体および低分子量変性α−オレフィン共重合体を含有し、下記の方法で測定された架橋度が15〜37質量%であるゴム質重合体(B)に、芳香族ビニル系単量体65〜90質量%およびシアン化ビニル系単量体35〜10質量%を含む単量体混合物(C)をグラフト重合してなるグラフト重合体(D)と、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体が共重合した共重合体(E)とが含まれ(ただし、芳香族ポリカーボネート(A)、グラフト重合体(D)および共重合体(E)の合計が100質量部)、ゴム質重合体(B)は、前記エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体および前記低分子量変性α−オレフィン共重合体を溶融混練し、乳化剤を含む水性媒体に添加して得られたものであることを特徴とする。
[架橋度測定方法]
ゴム質重合体のラテックスを凝固させ、水洗乾燥して得た乾燥物1gを、125℃のトルエン中に40時間浸漬した後、濾過、乾燥させる。そして、架橋度(%)を、濾過乾燥後の乾燥物質量(g)/トルエン浸漬前の試料質量(g)×100の式により求める。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、グラフト重合体(D)が、ゴム質重合体(B)45〜75質量%に単量体混合物(C)55〜25質量%をグラフト重合してなることが好ましい。
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物およびその成形品は、耐候性に優れる上に、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性に優れる。
<芳香族ポリカーボネート(A)>
芳香族ポリカーボネート(A)としては、粘度平均分子量(Mv)が16000〜30000のものが好ましい。粘度平均分子量が16000未満では耐衝撃性が低くなることがあり、30000を超えると成形性が低くなる傾向にある。
<ゴム質重合体(B)>
ゴム質重合体(B)は、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(以下、「EPDM」と略称する)および低分子量変性α−オレフィン共重合体を含有するものである。ゴム質重合体(B)は、通常、水性分散体として使用される。
ゴム質重合体(B)は架橋度が15〜55質量%である。ゴム質重合体(B)の架橋度が15〜55質量%であることで、低温耐衝撃性、特に低温ノッチ付き耐衝撃性を高くできる。しかし、架橋度が15質量%未満の場合、55質量%を超える場合のいずれであっても、耐衝撃性が低くなる。
ここで、架橋度は、ゴム質重合体のラテックスを希硫酸にて凝固させ、水洗乾燥した後、その乾燥物を1g採取して200ml、125℃のトルエン中に40時間浸漬し、次いで、200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その乾燥物の質量を測定して求められる。
架橋度(%)=乾燥物質量(g)/試料質量(g)×100
ゴム質重合体(B)の架橋度を調整するためには、未架橋のゴム質重合体を架橋処理する方法が採られる。架橋処理する方法としては、未架橋のゴム質重合体ラテックスの固形分100質量部に対して、t−ブチル−クミルパーオキサイド等の有機過酸化物を0.3〜5質量部およびジビニルベンゼン等の多官能性化合物を0.1〜5質量部添加して、60〜140℃で、0.5〜7時間程度反応させる方法などが挙げられる。
ゴム質重合体(B)に含まれるEPDM中の非共役ジエン成分としては特に制限はないが、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネンおよびジシクロペンタジエン等が好ましい。
ゴム質重合体(B)はEPDM以外のゴム成分を含有してもよい。EPDM以外のゴム成分の例としては、ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素添加物、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、SEBS等の水素添加ジエン系(ブロック、ランダムおよびホモ)(共)重合体、ポリウレタンゴムおよびシリコーンゴム等が挙げられる。
低分子量変性α−オレフィン共重合体は、α−オレフィン共重合体が官能基を有する化合物で変性され、質量平均分子量が1000〜5000のものである。例えば、α−オレフィン99.8〜80質量%と不飽和カルボン酸系化合物0.2〜20質量%とが共重合した変性ポリエチレン等が挙げられる。ここで、α−オレフィンとしては、エチレン等が挙げられ、不飽和カルボン酸系化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸およびマレイン酸モノアミドが挙げられる。
この低分子量変性α−オレフィン共重合体がゴム質重合体(B)に含まれることで、乳化安定性を高くできるので、製造安定性が高くなる。
ゴム質重合体(B)中の低分子量変性α−オレフィン共重合体の含有量は、EPDM100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましい。低分子量変性α−オレフィン共重合体の含有量が0.1質量部以上であれば、より安定に乳化グラフト重合できるが、30質量部を超えると得られる熱可塑性樹脂組成物の物性バランスが低下する傾向にある。
ゴム質重合体(B)は、得られる熱可塑性樹脂組成物の物性バランスに優れることから、平均粒子径が0.2〜1μmであることが好ましい。平均粒子径が0.2μm未満の場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低くなることがあり、1μmを超える場合には、光沢が低下して表面外観が悪化する傾向にある。
ゴム質重合体(B)はラテックスの状態で乳化グラフト重合に供される。
ゴム質重合体ラテックスを調製する方法としては、公知の溶融混練手段でEPDMと低分子量変性α−オレフィン共重合体の所定量を混練し、機械的剪断力を与えて充分に分散させ、その混練物を、乳化剤を含む水性媒体に添加する方法が挙げられる。この方法によれば、安定なゴム質重合体のラテックスを得ることができる。
このラテックスの調製方法における溶融混練手段としては特に制限はないが、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機が好ましい。また、乳化剤としては、例えば、オレイン酸カリウムや不均化ロジン酸カリウム等のアニオン系界面活性剤などが用いられる。乳化剤の添加量は、EPDM100質量部に対して1〜10質量部とするのが好ましい。なお、乳化剤は、例えばオレイン酸をEPDMと低分子量変性α−オレフィン共重合体にあらかじめ混合しておき、これに水酸化カリウム水溶液を添加して、オレイン酸カリウムを生成させて添加することもできる。
<単量体混合物(C)>
単量体混合物(C)は、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を必須成分として含み、これらと重合可能な他のビニル系単量体を任意成分として含む混合物である。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
他のビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピルおよびアクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピレンおよびメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸ブチルまたはメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、他のビニル系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体が挙げられる。
単量体混合物(C)の組成は、得られる熱可塑性樹脂組成物の物性バランスに優れることから、芳香族ビニル系単量体が65〜90質量%、シアン化ビニル系単量体が35〜10質量%、他のビニル系単量体が0〜20質量%であることが好ましい。
<グラフト重合体(D)の製造方法>
グラフト重合体(D)を製造する方法としては、ゴム質重合体(B)のラテックスに単量体混合物(C)を添加し、所定の重合温度に加熱して乳化グラフト重合させる方法が挙げられる。中でも、単量体混合物(C)にレドックス系開始剤を混合した上で、単量体混合物(C)を1時間以上にわたって、ゴム質重合体(B)のラテックスに連続的に添加することが好ましい。単量体混合物(C)の添加時間が1時間未満の場合、ラテックス安定性が低下して重合収率が低下することがある。
重合後のグラフト重合体(D)には、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。
ここで使用されるレドックス系開始剤としては、油溶性有機過酸化物と硫酸第一鉄−キレート剤−還元剤とが組み合わされたものが好ましい。油溶性有機過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。より好ましいレドックス系開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、デキストロースからなるものである。
グラフト重合体(D)においては、ゴム質重合体(B)45〜75質量%(固形分として)に、単量体混合物(C)55〜25質量%を重合する((B)と(C)の合計100質量%)。ゴム質重合体(B)が45質量%未満である(単量体混合物が55質量%を超える)と耐衝撃性が低くなり、ゴム質重合体(B)が75質量%を超える(単量体混合物が25質量%未満である)場合にも耐衝撃性が低くなる。
上記グラフト重合体の製造方法によりグラフト重合体ラテックスが得られる。グラフト重合体ラテックスからグラフト重合体(D)を回収する方法としては、例えば、グラフト重合体ラテックスに析出剤を添加し、加熱、攪拌した後、析出剤を分離し、これを水洗、脱水、乾燥する析出法が採用される。析出法における析出剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウムまたは硫酸マグネシウム等の水溶液を単独で使用あるいは併用できる。
<共重合体(E)>
共重合体(E)は、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル系単量体とが共重合したものである。また、この共重合体(E)には、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体が共重合していてもよい。
芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、他のビニル系単量体の具体例としては、単量体混合物(C)と同様のものが挙げられる。
共重合体(E)の組成には特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体65〜90質量%、シアン化ビニル系単量体35〜10質量%およびこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜20質量%を構成単位として含むものが好ましい。
共重合体(E)の製造には、乳化重合や懸濁重合等の重合法が採用される。共重合体(E)を乳化重合で製造する場合、反応器内に各単量体と乳化剤と重合開始剤と連鎖移動剤とを仕込み、加熱して重合し、得られた共重合体ラテックスから析出法により共重合体(E)を回収する。
ここで、乳化剤としては、ロジン酸カリウムおよびアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の一般的な乳化重合用乳化剤を用いることができる。また、重合開始剤としては、有機、無機の過酸化物系開始剤を用いることができ、連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等を用いることができる。析出法としては、グラフト重合体ラテックスからグラフト重合体(D)を回収するのと同様の方法を採用できる。
懸濁重合で製造する場合、反応器内に各単量体と懸濁剤と懸濁助剤と重合開始剤と連鎖移動剤とを仕込み、加熱して重合し、得られた共重合体スラリーを脱水して共重合体(E)を回収する。
ここで、懸濁剤としては、トリカルシウムフォスファイト、ポリビニルアルコール等を用いることができ、懸濁助剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が用いることができる。また、重合開始剤としては、有機パーオキサイド類を用いることができ、連鎖移動剤としては、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等を用いることができる。
<熱可塑性樹脂組成物>
熱可塑性樹脂組成物は、低温耐衝撃性をはじめとする物性バランスが良くなることから、芳香族ポリカーボネート(A)とグラフト重合体(D)と共重合体(E)の合計100質量部に対し、上述した芳香族ポリカーボネート(A)の含有量が50〜70質量部、グラフト重合体(D)の含有量が10〜23質量部、共重合体(E)の含有量が40〜7質量部であることが好ましい。グラフト重合体(D)の含有量が10質量部未満であると耐衝撃性が低くなり、グラフト重合体(D)の含有量が20質量部を超えると物性バランスが悪くなる。
熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート(A)、グラフト重合体(D)、共重合体(E)と、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、充填剤などの添加剤とを混合し、例えば、押出機、バンバリーミキサーまたは混練ロール等にてペレット化することで容易に製造される。
この熱可塑性樹脂組成物は低温耐衝撃性に優れるだけでなく、発色性が高いものであり、着色する場合に適している。熱可塑性樹脂組成物を着色する場合には、添加剤として、例えば、着色顔料、染料、カーボンブラック、酸化チタンなどの着色剤を使用する。
<成形品>
次に、本発明の成形品について説明する。本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形したものである。成形方法としては、例えば、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法などが挙げられる。
本発明の成形品は、バンパー、ドアミラー、リアスポイラーなどの自動車外装部品等に好適であるが、それ以外の用途にも適用できる。
以下、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
「製造例1」ゴム質重合体の製造(B−1)
EPDM(三井化学(株)製TP3180)100部、低分子量変性ポリエチレン(三井化学(株)製 ハイワックス2203A)9部、更に、オレイン酸カリウム2.6部を混合した。次いで、それらの混合物を2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼(株)製PCM−30型、L/D=40)のホッパーより6kg/時間で供給し、水酸化カリウム15%水溶液を110g/時間で連続的に供給しながら、加熱温度200℃で溶融混練して溶融物を押出した。引き続き、溶融物を同押出機先端に取り付けた冷却用一軸押出機に連続的に供給し、90℃まで冷却した。取り出した固体を80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、平均粒子径0.35μmのゴム質重合体ラテックスを得た。
このラテックスの固形分100部に対してt−ブチル−クミルパーオキサイドを0.5部、ジビニルベンゼンを1.0部添加し、135℃で5時間反応させて、ゴム質重合体(A−1)を調製した。
このゴム質重合体(B−1)の架橋度を測定したところ37%であった。なお、架橋度は、ゴム質重合体ラテックスを希硫酸にて凝固させ、水洗乾燥した後、これを1g採取して200mlのトルエン中に40時間浸漬し、次いで、200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その質量を測定して求めた。
「製造例2」
t−ブチル−クミルパーオキサイドの添加量を0.84部にしたこと以外は製造例1と同様にしてゴム質重合体(B−2)を調製した。ゴム質重合体(B−2)の架橋度は52%であった。
「製造例3」
t−ブチル−クミルパーオキサイドの添加量を2.0部にしたこと以外は製造例1と同様にしてゴム質重合体(B−3)を調製した。ゴム質重合体(B−3)の架橋度は87%であった。
「製造例4」
ジ−t−ブチル−クミルパーオキサイドの添加量を0.2部にしたこと以外は製造例1と同様にしてゴム質重合体(B−4)を調製した。ゴム質重合体(B−4)の架橋度は12%であった。
「製造例5」
ジ−t−ブチル−クミルパーオキサイドの添加量を0.05部にしたこと以外は製造例1と同様にしてゴム質重合体(B−5)を調製した。ゴム質重合体(B−5)の架橋度は2%であった。
「製造例6」グラフト重合体の製造方法(D−1)
攪拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水180部、ゴム質重合体(B−1)を固形分として70部、オレイン酸0.3部、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.23部およびデキストロース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。次に、アクリロニトリル7.5部、スチレン22.5部およびクメンハイドロパーオキサイド0.6部を170分連続的に添加し、重合温度を80℃一定に保ち乳化グラフト重合を行った。重合終了後のモノマー転化率は95%であった。
重合後、得られたグラフト重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉末状のグラフト重合体(D−1)を得た。
「製造例7」
ゴム質重合体(B−1)の代わりにゴム質重合体(B−2)を用いたこと以外は製造例6と同様にしてグラフト重合体(D−2)を得た。
「製造例8」
ゴム質重合体(B−1)の代わりにゴム質重合体(B−3)を用いたこと以外は製造例6と同様にしてグラフト重合体(D−3)を得た。
「製造例9」
ゴム質重合体(B−1)の代わりにゴム質重合体(B−4)を用いたこと以外は製造例6と同様にしてグラフト重合体(D−4)を得た。
「製造例10」
ゴム質重合体(B−1)の代わりにゴム質重合体(B−5)を用いたこと以外は製造例6と同様にしてグラフト重合体(D−5)を得た。
なお、表1に、製造例6〜10におけるゴム質重合体の種類および量、単量体混合物の量を示す。
Figure 0004912594
「製造例11」共重合体の製造法(E)
窒素置換した攪拌機付きステンレス重合反応槽反応器に、イオン交換水120部、ポリビニルアルコール0.1部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、アクリロニトリル23部、スチレン77部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を仕込んだ。そして、反応器の温度50℃にして5時間加熱した後、120℃に昇温し、4時間重合した後に抜き出して共重合体(E)を得た。その重合におけるモノマー転化率は98%であり、得られた共重合体(E)の質量平均分子量は1.0×10であった。
芳香族ポリカーボネート(A)としては、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製S−1000を用いた。
(実施例1、参考例2および比較例1〜3)
上述した方法で得た各成分を表2に示す配合で混合し、その混合物を押出機で溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得た。
Figure 0004912594
得られた熱可塑性樹脂組成物の機械的強度、ノッチ付耐衝撃性について以下のように評価した。評価結果を表2に示す。
機械的強度:東芝機械製射出成形機IS55FP−1.5Aを用い、ISO 3167に準拠して試験片を作成し、曲げ強度をISO 178の方法に準拠して測定した。
ノッチ付耐衝撃性:東芝機械製射出成形機IS55FP−1.5Aを用い、ISO 3167に準拠して試験片を作製し、ISO 179の方法に準拠して測定した。
本願請求項1の範囲を満たす実施例1および参考例2は、耐衝撃性と面衝撃性とが−30℃であってもともに高かった。一方、ゴム質重合体の架橋度が55%を超えた比較例1はノッチ付耐衝撃性が低く、ゴム質重合体の架橋度が15%未満の比較例2,3についてもノッチ付耐衝撃性が低かった。

Claims (3)

  1. 芳香族ポリカーボネート(A)と、
    エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体および低分子量変性α−オレフィン共重合体を含有し、下記の方法で測定された架橋度が15〜37質量%であるゴム質重合体(B)に、芳香族ビニル系単量体65〜90質量%およびシアン化ビニル系単量体35〜10質量%を含む単量体混合物(C)をグラフト重合してなるグラフト重合体(D)と、
    芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体が共重合した共重合体(E)とが含まれ(ただし、芳香族ポリカーボネート(A)、グラフト重合体(D)および共重合体(E)の合計が100質量部)
    ゴム質重合体(B)は、前記エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体および前記低分子量変性α−オレフィン共重合体を溶融混練して調製された混練物を、乳化剤を含む水性媒体に添加し、架橋処理して得たものであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
    [架橋度測定方法]
    ゴム質重合体のラテックスを凝固させ、水洗乾燥して得た乾燥物1gを、125℃のトルエン中に40時間浸漬した後、濾過、乾燥させる。そして、架橋度(%)を、濾過乾燥後の乾燥物質量(g)/トルエン浸漬前の試料質量(g)×100の式により求める。
  2. グラフト重合体(D)が、ゴム質重合体(B)45〜75質量%に単量体混合物(C)55〜25質量%をグラフト重合してなる請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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