JP4909917B2 - インスタントコーヒーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インスタントコーヒーの製造方法に関する。
活性酸素の一つである過酸化水素は、変異原性、癌原性等の他、動脈硬化症、虚血性心疾患等の循環器系疾患、消化器疾患、アレルギー疾患、眼疾患など多くの疾患に深く関与しているといわれている(非特許文献1)。
一方、コーヒーには、焙煎によって自然発生する過酸化水素が含まれており(非特許文献2)、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、抗酸化剤等を添加することにより、コーヒー中の過酸化水素を除去する技術が報告されている。
しかしながら、本出願人らが、過酸化水素を除去したコーヒーをラットに飲用させたところ、体内で過酸化水素が生成し、尿中過酸化水素濃度が上昇することが判明した。すなわち、従来の、コーヒー飲料中の過酸化水素除去技術によっては、コーヒー飲用後に体内での過酸化水素生成を抑制することはできなかった。
そこで、本出願人は、コーヒー中の何らかの成分が生体内において過酸化水素を生成させるのではないかとの仮説に基づき、種々検討した結果、コーヒー中に含まれるヒドロキシヒドロキノンに、生体内で過酸化水素を生成させる作用があること、及びヒドロキシヒドロキノンの含有量を通常含まれる量より少なくすれば、生体内で過酸化水素生成が少ないコーヒー飲料組成物が得られることを見出した(特許文献1)。
コーヒー抽出液中のヒドロキシヒドロキノンを低減する方法としては、活性炭等の吸着剤処理を用いる方法が開示されている(特許文献2)。
また、ヒドロキシヒドロキノン及び過酸化水素に関する記載はないが、ソルブルコーヒーを加熱してフレーバー及び色を増強させる方法が開示されている(特許文献3)。
栄養 評価と治療 19,3 (2002) Mutat. Res. 16,308(2) (1994) 特開2006−204192号公報 特開2006−204191号公報 特開2000−93085号公報
しかしながら、吸着剤処理では吸着剤のコストが発生し、また、香りや味といった有用成分が吸着除去される場合がある。従って、吸着剤を使用しない、あるいは吸着剤の使用量を低減できるヒドロキシヒドロキノン低減方法が求められていた。
すなわち、本発明の目的は、飲用後の体内での過酸化水素の生成を抑制するコーヒー飲料を供するインスタントコーヒーの製造方法を提供することにある。
発明者らは、ヒドロキシヒドロキノンの低減方法を検討した結果、インスタントコーヒーに特定条件下で加熱処理を施すことによって、インスタントーヒー中のクロロゲン酸類量を高濃度範囲に保持しつつ、ヒドロキシヒドロキノン含量を低減させることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、原料インスタントコーヒーに対し、酸素分圧が10kPa以下の雰囲気下で、70〜160℃の温度範囲の加熱処理(以下、単に「本発明の処理」ともいう)を行う、インスタントコーヒーの製造方法を提供する。
本発明の処理を行ったインスタントコーヒーを使用すれば、ヒドロキシヒドロキノン含量が低減し、飲用後の体内での過酸化水素の生成が抑制できるコーヒー飲料を提供することができる。
<原料インスタントコーヒー>
インスタントコーヒーとはソリュブルコーヒーとも呼ばれ、水又は湯に溶解してコーヒー飲料を提供するものである。本発明の処理を施す原料インスタントコーヒーはどのようなものでもよく、コーヒー抽出液を乾燥して得ることができ、水分が10質量%以下のものが好ましい。原料コーヒー生豆、製造方法には特に限定されないが、好適な製造方法の例を以下に示す。
<原料コーヒー生豆>
原料コーヒー生豆としては、例えばブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等が挙げられる。コーヒー豆種としては、アラビカ種、ロブスタ種などがある。コーヒー生豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。
<焙煎方法>
コーヒー生豆を焙煎により焙煎コーヒー豆とする方法についても、特に制限はなく、焙煎温度、焙煎環境についても制限はないが、好ましい焙煎方法としては直火式、熱風式、半熱風式があり、回転ドラムを有している形式が更に好ましい。
焙煎コーヒー豆の焙煎度としては、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアン等があり、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティが好ましい。焙煎度を色差計で測定したL値としては、通常10から30、好ましくは15から25である。尚、焙煎度の違うコーヒー豆を混合しても良い。
<抽出>
抽出方法も特に限定されないが、ドリップ式、連続多塔式、ニーダー式、向流式等によって得られた抽出液を使用することが出来る。また、抽出温度に関しても特に限定はない。
<多孔質吸着体処理>
コーヒー抽出液からヒドロキシヒドロキノンを低減させるために、多孔質吸着体処理を、本発明の処理と併用することができる。
<多孔質吸着体>
多孔質吸着体としては細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して10%以上である多孔質吸着体を用いる。好ましくは細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して30%以上、更に50%以上、特に70%以上のものが好ましい。細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して10%未満の多孔質吸着体は、ヒドロキシヒドロキノン除去の選択性が低くなるため好ましくない。ここで、多孔質吸着体の細孔半径及び容量は、細孔半径1ナノメーター(nm)以下域においてはMP法により測定された値であり、細孔半径1ナノメーター(nm)超過域においてはKJH法により測定された値であり、細孔半径が0.7ナノメーター(nm)以下の細孔の容量が多孔質吸着体の細孔容量全体に対して10%であるか否かはMP法及びKJH法により得られた細孔分布曲線から判定することができる。ここで、MP法とは、Colloid and Interface Science, 26,46(1968)に記載された細孔測定方法であり、KJH法とは、J. Amer. Chem. Soc., 73, 373(1951)に記載の細孔測定方法であり、株式会社住化分析センター、株式会社東レリサーチセンターにて測定可能である。
多孔質吸着体の種類としては、吸着技術便覧―プロセス・材料・設計―(平成11年1月11日、エヌ・ティー・エス発行、監修者:竹内 雍)に記載されている、炭素質吸着材、シリカ・アルミナ系吸着材、高分子吸着材、キトサン樹脂などが使用できる。コーヒー風味を残存させる観点から、炭素質吸着材が好ましい。
炭素質吸着材としては、ヒドロキシヒドロキノンを高い選択性をもって吸着する観点から、粉末状活性炭、粒状活性炭、活性炭繊維が好ましい。
粉末状及び粒状活性炭の由来原料としては、オガコ、石炭やヤシ殻などがあるが、ヤシ殻由来のヤシ殻活性炭が好ましく、特に、水蒸気などのガスにより賦活した活性炭が好ましい。このような水蒸気賦活活性炭の市販品としては、白鷺WH2c(日本エンバイロケミカルズ株式会社)、太閣CW(二村化学工業株式会社)、クラレコールGL(クラレケミカル株式会社)等を用いることができる。
粉末状及び粒状等の多孔質吸着体の粒子径は特に限定されないが、大きすぎると被吸着体との接触面積が小さくなり、吸着速度が遅くなる。小さすぎるとコーヒー抽出液と活性炭との分離に負荷がかかる。以上の点から平均粒径としては50μm以上2mm以下が好ましく、さらに150μm以上400μm以下が好ましい。
また、多孔質吸着体の形状は特に限定されず、通常の粉体・粒状はもとより吸着体を繊維に練りこんだもの、各多孔質吸着剤同士で成型したもの、セルロース、不織布、バインダーを用い成型したものでも良い。
<吸着処理条件>
当該多孔質吸着体の使用量は、コーヒー抽出液の固形分に対して0.1重量倍以上が好ましい。また2重量倍以下が好ましく、1重量倍以下がより好ましく、0.5重量倍以下がさらに好ましく、0.4重量倍以下が特に好ましい。なお、コーヒー抽出液の固形分とは、凍結乾燥などによりコーヒー抽出液から水分を除去して得られたものを示す。
接触処理手段としては、バッチ法又はカラム通液法が挙げられる。
バッチ法としては、コーヒー抽出液に、多孔質吸着剤を加え−10〜100℃で0.5分〜5時間撹拌した後、吸着剤を除去すればよい。処理時の雰囲気としては、空気下、不活性ガス下(窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素)が挙げられるが、風味の観点より不活性ガス下が好ましい。
カラム通液法としては、吸着カラム内に吸着剤を充填し、コーヒー抽出液をカラム下部又は上部から通液させ、他方から排出させる。吸着剤の充填高さL及びD(径)の比L/Dは0.1〜10が好ましい。吸着剤のカラム内への充填量は、通液前に吸着カラムに充填できる量であれば良い。吸着カラムの上段又は下段の少なくとも1つにメッシュ(網)又はパンチングメタルなど有し実質的に吸着剤が漏れ出さない分離構造体を有してることが好ましい。分離構造体の開口径は、吸着剤の平均粒径より小さければ良く、好ましくは吸着剤の平均粒径の1/2以下、特に好ましくは1/3以下の目開きが良い。具体的な開口径は、0.1〜1000μmが好ましい。
コーヒー抽出液の吸着処理温度は−10℃〜100℃が好ましく、風味の観点より0〜40℃がより好ましい。吸着カラム内の吸着剤量(K[g])対するコーヒー抽出液を含む液流量(QC[g/分])の滞留時間(K/QC)は0.5〜300分が好ましい。
<濃縮・乾燥>
コーヒー抽出液は、そのまま乾燥して原料インスタントコーヒーを得ることができるが、濃縮を行って固形分が25〜60質量%のコーヒー抽出液とし、その後に乾燥することが好ましい。乾燥は、フリーズドライあるいはスプレードライする方法が例示される。フリーズドライの場合、コーヒー抽出液を−27〜−70℃に冷却して凍結させ、凍結したまま粉砕し、1〜100Paに減圧にすることにより乾燥させて原料インスタントコーヒーを得ることが出来る。スプレードライの場合は、コーヒー抽出液を熱風に噴霧することで乾燥を行う。噴霧圧は50〜175kg/cm2が好適であり、乾燥機の条件は入口熱風温度150〜300℃、出口熱風温度100〜130℃の条件が好適に用いられる。
<加熱処理>
本発明は、原料インスタントコーヒーに加熱処理を施すことにより、ヒドロキシヒドロキノン含有量が低減されたインスタントコーヒーを製造するものである。
<処理温度・時間>
加熱処理は70〜160℃の温度範囲で行い、好ましくは100〜150℃である。150℃以下とすることで、クロロゲン酸類の減少を抑制することができる。
処理時間としては、0.5〜200時間が好ましい。より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは3時間以上である。加熱時間を十分に取ることでヒドロキシヒドロキノンの低減をより大きくすることができる。また、100時間以下がより好ましく、50時間以下がさらに好ましい。
ヒドロキシヒドロキノン含有量の低減は、低温では、処理時間を長くすると効果が高く、高温であるほど短時間で効果が得られる。従って、加熱処理は、熱負荷に相当するF値により規定することもできる。F値とは、基準温度に規格化した場合の加熱時間(分)に相当する値であり、基準温度を121.1℃とし、下記式(1)に基づき求めることができる。
Figure 0004909917
式中、Zは定数33を示し、tは加熱温度(℃)を示し、Tは加熱時間(分)を示す。F値は、50〜2000が好ましく、100〜1500がより好ましく、150〜1000がさらに好ましい。
<圧力・雰囲気>
加熱処理は、酸素分圧が10kPa以下で行う。酸素分圧が高い雰囲気下で加熱を行うと、ヒドロキシヒドロキノンの低減が効率的に進行しないのみならず、風味の劣化が著しく、好ましくない。ヒドロキシヒドロキノン含有量の低減および風味の観点より、酸素分圧は8kPa以下が好ましく、5kPa以下がより好ましい。
かかる酸素分圧条件を満足するために、低酸素雰囲気として、不活性ガスにより希釈したガスを用いることができる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、水蒸気等が挙げられ、窒素が好ましい。また、低酸素雰囲気とするために、減圧下で加熱を行うことが好ましい。減圧条件とすることでヒドロキシヒドロキノンの低減が効率的に進行する。減圧条件とする場合の全圧力は、50kPa以下が好ましく、25kPa以下がより好ましい。
酸素分圧の測定方法としては、ガルバニ電池式酸素濃度計によるものとするが、適宜校正を行うことにより、ジルコニア式酸素濃度計等を用いることもできる。酸素分圧を直接測定してもよいが、測定条件下の酸素濃度に全圧力を掛けることで酸素分圧を求めてもよい。ガルバニ電池式酸素濃度計としては、泰榮電器(株)製酸素モニタOM-25MS10などを挙げることができる。
<装置>
加熱処理を施す装置としては、特に制限はなく、静置型、移送型、攪拌型等の装置が使用でき、具体的には棚式乾燥機、コンベア式乾燥機、回転ドラム型乾燥機、回転V型乾燥機などが使用できる。加熱源としては、熱風、遠赤外線、赤外線、マイクロ波、過熱水蒸気などがあげられる。
<インスタントコーヒー>
本発明の方法によって製造されるインスタントコーヒーは、ヒドロキシヒドロキノンが低減されており、好ましくはクロロゲン酸類を0.01〜20質量%含有する。クロロゲン酸類の含有量は0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が特に好ましい。また、クロロゲン酸類の含有量は18質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、9質量%以下が特に好ましく、5質量%以下がことさら好ましい。
ヒドロキシヒドロキノン含有量は、クロロゲン酸類含有量に対して110/10000(重量比)以下が好ましく、100/10000(重量比)以下がより好ましく、80/10000(重量比)以下がさらに好ましい。ここで、当該クロロゲン酸類としてはモノカフェオイルキナ酸、フェルラキナ酸、ジカフェオイルキナ酸の三種が知られており、クロロゲン酸類の含有量はこれらの合計量で示される。モノカフェオイルキナ酸としては3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。またフェルラキナ酸としては、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。ジカフェオイルキナ酸としては3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上が挙げられる。
当該クロロゲン酸類の含有量は、UV−VIS検出器を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、実施例に記載の条件にて測定する。
当該ヒドロキシヒドロキノン含量は、電気化学検出器を用いたHPLCにより、実施例に記載の条件にて測定する。
得られたインスタントコーヒーに香料を付加し、風味をさらに向上させてもよい。また、糖成分、乳成分、乳化剤を配合してもよい。
本発明のインスタントコーヒーは、1gあたり25〜500mLの水又はお湯に溶解してコーヒー飲料を得ることができる。また得られたコーヒー飲料には、糖成分、乳成分、乳化剤を配合してもよい。
糖成分としては、グラニュー糖、上白糖、マルトース、スクラロース等が挙げられる。乳成分としては、生乳、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂乳、練乳等が挙げられる。乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセンリン脂肪酸エステルなどがが挙げられる。上記乳化剤は、キサンタンガム、カラギーナンなどの多糖類、カゼイン蛋白質と組み合わせることができる。本発明のインスタントコーヒーは、水分が10質量%以下のものが好ましい。
<クロロゲン酸類の分析方法:分析条件>
分析機器はHPLCを使用した。
・装置の構成ユニット
UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)
カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)
ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)
オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)
カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))。
・分析条件
サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、UV−VIS検出器設定波長:325nm、カラムオーブン設定温度:35℃、溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液、溶離液B:アセトニトリル。
・濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
・試料の調製方法
試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。
・クロロゲン酸類の保持時間(単位:分)
(A1)モノカフェオイルキナ酸:5.3、8.8、11.6の計3点(A2)フェルラキナ酸:13.0、19.9、21.0の計3点(A3)ジカフェオイルキナ酸:36.6、37.4、44.2の計3点。ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
<HPLC−電気化学検出器によるヒドロキシヒドロキノンの分析方法>
コーヒー飲料のヒドロキシヒドロキノンの分析法は次の通りである。分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、開発・製造:米国ESA社、輸入・販売:エム・シー・メディカル(株))を使用した。装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。
アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー、クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A、溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー、オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー、デガッサー:Degasys Ultimate DU3003、カラムオーブン:505。カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm 粒子径5μm((株)資生堂)。
・分析条件:
サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、電気化学検出器の印加電圧:0mV、カラムオーブン設定温度:40℃、溶離液C:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液、溶離液D:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液。
溶離液C及びDの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。
・濃度勾配条件
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
分析試料の調製
試料5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い上清を得た。この上清について、ボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は、6.38分であった。得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。
<風味の評価方法>
風味は専門パネラー5人で試飲し、アロマ、ノーズ、テイストを総合的に判断し、6段階評価で良いものを5点、悪いもの0点として、5人の評価の平均点を計算した。
<原料インスタントコーヒー(の製造)>
製造例1
焙煎コーヒー豆粉砕品としてブラジルサントスNo2 (焙煎度L値22)の中粗挽き0.4kgを、80メッシュの金網を備えた内径72mmのカラム抽出機に仕込み、カラム抽出機上部からイオン交換水(98℃)を供給しながらカラム抽出機下方から抽出液を抜き出し、Brix4.6%の抽出液2.4kgを得た。イオン交換水の供給流量および抽出液の抜き出し速度は6kg/hでおこなった。
該コーヒー抽出液を65℃、14.6kPaにて固形分40%まで濃縮し、凍結乾燥により原料インスタントコーヒー(1)を得た。原料インスタントコーヒー(1)の水分は4.2質量%、クロロゲン酸類量は3.81質量%、ヒドロキシヒドロキノン量は0.045質量%、ヒドロキシヒドロキノン/クロロゲン酸類(重量比)は118/10000であった。
製造例2
上記方法において、コーヒー抽出液に対し、固形分の0.35重量倍の活性炭(白鷺WH2c、日本エンバイロ社製)を充填したカラムに、コーヒー抽出液(液温度24℃)をカラム上部から通液させ、下方から排出させる工程を加えた他は同様にして、原料インスタントコーヒー(2)を得た。原料インスタントコーヒー(2)の水分は5.5質量%、クロロゲン酸類量は3.24質量%、ヒドロキシヒドロキノン量は0.00055質量%、ヒドロキシヒドロキノン/クロロゲン酸類(重量比)は1.7/10000であった。
実施例1〜5
原料インスタントとして原料インスタントコーヒー(1)を用い、80〜150℃で1〜72時間の加熱処理を実施した。加熱処理はヤマト科学(株)真空定温乾燥機ADP300を使用し、チャンバー内を空気雰囲気から22kPaに減圧して行った。このときの庫内の酸素分圧は、4.5kPaであった。
得られたインスタントコーヒーを90℃の温水に溶解し、2質量%のコーヒー溶液に調整し、該コーヒー溶液を分析試料として上記分析方法にて、溶液中のクロロゲン酸類およびヒドロキシヒドロキノン量を分析し、インスタントコーヒー単位重量あたりに含まれるクロロゲン酸類およびヒドロキシヒドロキノン量を算出した。
実施例6
原料インスタントコーヒーとして原料インスタントコーヒー(1)を用い、110℃で24時間の加熱処理を実施した。加熱処理はヤマト科学(株)真空定温乾燥機ADP300を使用し、チャンバー内を空気雰囲気から22kPaに減圧したのち、チャンバー内に窒素をフローして行った。このとき庫内の酸素分圧は0.8kPaであった。
比較例1及び比較例2
原料インスタントコーヒー(1)を用い、実施例1と同様にして、但し、それぞれ40℃で24時間、および180℃で1時間の条件で、加熱処理を実施した。
比較例3
原料インスタントコーヒー(1)を用い、110℃で24時間、大気下の条件で加熱処理を実施した。
実施例7
原料インスタントコーヒー(2)を用い、実施例1と同様の装置を用い、チャンバー内を空気雰囲気から22kPaに減圧して、110℃24時間の加熱処理を行った。このときの庫内の酸素分圧は、4.5kPaであった。
Figure 0004909917
比較例1より、低温の処理ではヒドロキシヒドロキノンの低減が起きず、比較例2より、高温ではヒドロキシヒドロキノンが減少する以上にクロロゲン酸類の減少が起き、選択的にヒドロキシヒドロキノンを低減することができなかった。また、風味も劣化した。比較例3より、酸素分圧が高い条件での加熱では、ヒドロキシヒドロキノンの減少が効率的でなく、かつ風味も劣化することが示される。
また、実施例7より、活性炭処理と加熱処理を組み合わせることで、より効率的にヒドロキシヒドロキノンの低減が実現できることが示される。

Claims (5)

  1. 原料インスタントコーヒーに対し、酸素分圧が10kPa以下の雰囲気下で、70〜160℃の温度範囲の加熱処理を行う、インスタントコーヒーの製造方法。
  2. 加熱処理を減圧下で行う、請求項1記載のインスタントコーヒーの製造方法。
  3. 加熱処理を0.5〜200時間行う、請求項1又は2記載のインスタントコーヒーの製造方法。
  4. 加熱処理による熱負荷が、式(1)で表すF値で50〜2000の範囲である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
    Figure 0004909917
    〔式中、Zは定数33を示し、tは加熱温度(℃)を示し、Tは加熱時間(分)を示す。〕
  5. 原料インスタントコーヒーが、焙煎コーヒー豆を水性溶媒にて抽出して得られるコーヒー抽出液に多孔質吸着体を接触させる工程を有する製造工程で製造されたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインスタントコーヒーの製造方法。
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