以下、本発明をその実施の形態に基づいて説明する。
{第1の発明群}
本発明群は、主に画素の絶縁膜の構造に工夫を凝らして、液晶層の転移用に高い電圧が加わる様にしたものである。
以下、本発明群をその実施の形態に基づいて説明する。
(第1−1の実施の形態)
ここに「(第1−1の実施の形態)」とは、「第1の発明群の第1の実施の形態」という意味である。このため、「本発明群の第2の実施の形態」ならば、「(第1−2の実施の形態)」と記す。他の発明群でも同様である。
なお、実際には、この様な回路構成の画素が基板上に縦、横、幾列、幾行にも、更にケースによっては多段にまで形成されているが、これは自明かつ煩雑となるので、図示は省略する。そしてこれは、他の発明群や実施の形態でも同様である。
図2は、従来の液晶パネルの1画素分の構造の平面(1)と、トランジスタ素子部のA−Aの断面(2)を示したものである。本図において、21は、透明画素電極である。3は、画素電極である。5は、液晶層である。64は、チャネル保護膜である。65は、a−Si(アモルファスシリコン)層である。66は、n+ a−Si層である。7は、ソース線電極である。76は、ソース線電極と液晶層間の絶縁膜である。8は、ゲート線電極である。86は、ゲート線電極とa−Si層間の絶縁膜である。9は、対向電極である。
図2に、図3で示す液晶パネルのゲート線電極、対向電極間の容量性負荷を模式的に示す。
本図において、8は、ゲート線電極である。9は、対向電極である。C1は、液晶層の容量性負荷である。C2は、ソース線電極と液晶層間の絶縁膜の容量性負荷である。C3は、ゲート線電極とa−Si層間の絶縁膜の容量性負荷である。
図4に、本実施の形態の液晶パネルの1画素分の構造の平面(1)とそのA−Aの断面(2)を示す。
本図において、8はゲート線電極、7はソース線電極、3は画素電極、64はチャネル保護膜、65はaーSi層、66はn+aーSi層、86はゲート線電極とaーSi層間の第1の絶縁膜、762はソース線電極と液晶層間の第2の絶縁膜、5は液晶層、9は対向電極、21は透明画素電極、862はゲート線電極とaーSi層間の第2の絶縁膜、761は、ソース線電極とa−Si層間の第1の絶縁膜である。
以下、これら3図を用いて本実施の形態における動作を説明する。
図2において、ゲート線電極8と対向電極9に電圧Vを印加すると、液晶層5とソース線電極7と液晶層間の絶縁膜762とゲート線電極とa−Si層間の絶縁膜86それぞれの容量性負荷値の比で決まる電圧が各層にかかる。その分圧をV1、V2、V3とする。これらの関係を、図3を用いて説明する。
単位面積Sあたりの容量性負荷値Cは、層の比誘電率をε、層の厚みをl、真空の誘電率をε0とすると、以下の(1−1式)で表される。
C=ε0×ε×S/1 …(1−1式)
一方、直列に接続した容量性負荷C1、C2、C3の分圧V1は、以下の(1−2式)で表される。
V1=V*C2*C3/(C1*C2+C2*C3+C3*C1)(1−2式)となる。
液晶層5、絶縁膜762、86それぞれの比誘電率、厚みをε1、ε2、ε3l1、l2、l3とすると、(1−2式)の分圧V1は
V1=V*ε2*ε3*l1/(ε1*ε2*l3+ε2*ε3*l1+ε3*ε1*l2) (1−3式)
となり、電界強度E1は
E1=V1/l1
=V*ε2*ε3/(ε1*ε2*l3+ε2*ε3*l1+ε3*ε1*l2)
=V/(l1+l2*ε1/ε2+l3*ε1/ε3) (1−4式)
となる。
図4の構造では、ゲート線電極とa−Si層間の絶縁膜とソース線電極と液晶層間の絶縁膜をそれぞれ2層にしてパターニングすることでゲート線電極とa−Si層間、ソース線電極と液晶層間の絶縁は従来同等のまま、ゲート線電極と液晶層間の絶縁膜を薄くしている。このような構造にすることにより、(1−4式)であらわす電界強度E1の分母が小さくなり、結果的に液晶層にかかる電界強度を高くすることができ、ベンド配向への高速な転移が可能になる。
液晶層の比誘電率は液晶の透過率によって3〜8程度に変化し、絶縁膜として使用するSiOx、SiNx、TaOxの比誘電率はそれぞれ約3.9、約6.4、約23で、液晶の比誘電率のばらつきが均等な場合、図13の液晶層にかかる電界強度の方が従来の構造の電界強度(1−4式)よりも高くなることが多い。ベンド配向を有する液晶層を、初期のホモジニアス状態からベンド配向に高速に転移させるためには液晶層にできるだけ高い電界強度を与えることが非常に有効であるため、本実施の形態のように絶縁膜を薄くすることは大変有効な手段となる。
(第1ー2の実施の形態)
図5に、本発明の第1ー2の実施の形態の構造図を示す。
本図において、8はゲート線電極、7はソース線電極、3は画素電極、64はチャネル保護膜、65はa−Si層、66はn+a−Si層、86はゲート線電極とa−Si層間の絶縁膜、76はソース線電極と液晶層間の絶縁膜、5は液晶層、9は対向電極、21は透明画素電極であり、Aは断面部を示す線である。
先の第1の実施の形態(誤解が生じ無いので第1ー1の実施の形態をこの様に略記する。以下同様である。)では絶縁膜をそれぞれ2層にしたが、本図5に示すようにパターニングによりゲート線電極と液晶層間の絶縁膜厚みを薄くしても同等の効果が得られる。
(第1ー3の実施の形態)
図6に第1ー3の実施の形態の構成図を示す。
本図においても、8はゲート線電極、7はソース線電極、3は画素電極、64はチャネル保護膜、65はa−Si層、66はn+a−Si層、86はゲート線電極とa−Si層間の絶縁膜、76はソース線電極と液晶層間の絶縁膜、5は液晶層、9は対向電極、21は透明画素電極であり、Aは断面を示す線である。
この構造では、ゲート線電極の膜厚を厚くした所定部厚膜型ゲート線とすることでゲート線上の液晶層の厚みが薄くなり、液晶層にかかる電界強度が高くなり、ベンド配向への転移を高速にすることができる。
ゲート線電極の膜厚は、通常0.2μmから0.6μm程度だが、これを約2倍にすることで、液晶層の厚みを0.5μm程度薄くすることができる。
(第1−4の実施の形態)
図7に第1−4の実施の形態の構成図を示す。
本図においても、8はゲート線電極、7はソース線電極、3は画素電極、64はチャネル保護膜、65はa−Si層、66はn+a−Si層、86はゲート線電極とa−Si層間の絶縁膜、76はソース線電極と液晶層間の絶縁膜、5は液晶層、9は対向電極、21は透明画素電極であり、Aは断面部を示す線であり、70はゲート線電極の上に電気的に接触させて積層したソース線形成金属である。
この構造では、ゲート線形成金属の上にソース線形成金属を電気的に接触させて積層する一部接触型ゲート線とすることにより実質的にゲート線電極の膜厚を厚く、ゲート線上の液晶層の厚みを薄くし、液晶層にかかる電界強度を高くすることでベンド配向への転移を高速にすることができる。
ソース線電極の膜厚は通常0.2μmから0.6μm程度であるため液晶層の厚みをそれだけ薄くすることができる。
(第1−5の実施の形態)
図8に第1−5の実施の形態の構成図を示す。
本図においても、8はゲート線電極、7はソース線電極、3は画素電極、64はチャネル保護膜、65はa−Si層、66はn+a−Si層、86はゲート線電極とa−Si層間の絶縁膜、76はソース線電極と液晶層間の絶縁膜、5は液晶層、9は対向電極、21は透明画素電極であり、Aは断面部を示す線であり、713はゲート線電極の上に電気的に接触させずに積層したソース線形成金属である。
この構造では、ゲート線電極と対向電極の間にソース線形成金属を電気的に絶縁して介在させる非接触型ゲート線とすることでゲート線上の液晶層の厚みを薄くし、液晶層にかかる電界強度を高くすることでベンド配向への転移を高速にすることができる。
(第1−6の実施の形態)
図9に第1−6の実施の形態の構成図を示す。本図において、1は第1の基板、8はゲート線電極、7はソース線電極、6は画素トランジスタ、2は第2の基板、91は第1の基板のゲート線電極と向かい合う位置に形成した第1の対向電極、92は第1の対向電極とは電気的に絶縁された第2の対向電極である。この分割型対向電極の構造では、第1の対向電極と第2の対向電極を電気的に絶縁しているため、電圧変動が液晶層や絶縁膜の容量性負荷を介して画素電極や画素トランジスタに影響することを防ぎながらゲート線電極上の液晶層に任意の電界強度を与えることができ、ベンド配向への転移を高速に行うことができる。通常の映像表示時には第1の対向電極と第2の対向電極を同電位にすることにより、対向電極がパターニングされていない従来の液晶表示装置と全く同等の画質を得ることができる。
(第1−7の実施の形態)
図10に第1−7の実施の形態の液晶表示装置の断面図を示す。本図において1は第1の基板、8はゲート線電極、7はソース線電極、87は絶縁膜、2は第2の基板、11は第1の基板のゲート線電極と向かい合う位置に形成したブラックマトリクス用金属、12はカラーフィルター、5は液晶層、91は第2の基板上全面にほぼ均一に形成した1層目の対向電極、92は第1の基板のゲート線と向かい合う位置に形成した2層目の対向電極である。この対峙部厚膜対向電極の構造では、ゲート線上と向かい合う対向電極を2層にすることでゲート線上の液晶層の厚みが薄くなり電界強度を高くすることができ、ベンド配向への転移を高速に行うことができる。
(第1−8の実施の形態)
図11に第1−8の実施の形態の液晶表示装置の断面図を示す。本図においても1は第1の基板、8はゲート線電極、7はソース線電極、87は絶縁膜、2は第2の基板、11は第1の基板のゲート線電極と向かい合う位置に形成したブラックマトリクス用金属、121は赤等第1の色彩のカラーフィルター、122は青等他の第2の色彩のカラーフィルター、9は対向電極、5は液晶層である。
この構造では第2の基板上で、第1の基板のゲート線電極と向かい合う部分でカラーフィルター形成樹脂を積層することによりこの部分の対向電極を盛り上げゲート線上の液晶層の厚みを薄くすることにより、液晶層の電界強度を高くすることができ、ベンド配向への転移を高速にすることができる。
(第1−9の実施の形態)
図12に第1−9の実施の形態の液晶表示装置の断面図を示す。本図においても1は第1の基板、8はゲート線電極、7はソース線電極、87は絶縁膜、2は第2の基板、11は第1の基板のゲート線電極と向かい合う位置に形成したブラックマトリクス用金属、12はカラーフィルター、111は第1の基板のゲート線に向かい合う部分に形成した柱状スペーサ、9は対向電極、5は液晶層である。
この構造では第2の基板上で、第1の基板のゲート線電極と向かい合う部分に柱状スペーサを形成し、この柱状スペーサと液晶層の間に対向電極を形成することによりゲート線上の液晶層の厚みを薄くし、液晶層の電界強度を高くすることができ、ベンド配向への転移を高速にすることができる。
なお、ここに第1の実施の形態から第9の実施の形態まで9つの実施の形態で液晶パネルの構造を説明したが、各実施の形態のうち複数を組み合わせてゲート線上の液晶層の厚みを薄くすることはいずれか単独で実施するよりもより高い効果を得やすく、かつ、対向電極を分割してゲート線に向かい合う電極に任意の電圧を印加すればさらに効果は増大する。
{第2の発明群}
本発明群は、液晶層の転移のために、画素電極と対向電極間に通常の映像の表示時よりも高い電圧をかけたり、2種の電圧をかけたりし、更にそのための手段、デューティ比等に工夫を凝らしたものである。
(第2−1の実施の形態)
図13に、本実施の形態の液晶装置の画素の回路を中心とした構成を示す。本図において、3は、画素電極である。6は、画素トランジスタである。7は、ソース線である。71は、次のソース線である。8は、ゲート線である。81は、前のゲート線である。9は、対向電極である。10は、全蓄積容量に接続する共通電極である。Cgdは、画素トランジスタのゲート・ドレイン間の容量である。Cstは、画素電極に接続し、共通電極との間に形成する蓄積容量である。Clcは、液晶層の容量である。Cgsは、画素トランジスタのゲート・ソース間の容量である。
図14に、この画素の構造を中心とした平面と断面の概略を示す。本図において、6は画素トランジスタ、21は透明画素電極、Cstは画素電極に接続し、共通電極との間に形成する蓄積容量、Clcは液晶層の容量、7はソース線、71は次のソース線、8はゲート線、81は前のゲート線、9は対向電極、10は全蓄積容量に接続する共通電極である。
図15に、1画素当たりの寸法の1例を示す。本図において、Wtは、画素の幅である。Ltは、画素の長さである。Wpは、画素電極の幅である。Lpは、画素電極の長さである。Wsは、ソース線の幅である。Wgは、ゲート線の幅である。そして、1画素当たりの面積30000[μm2 ]中で、画素電極の面積は18224μm2 となり、1画素の60.7%となる。
これら図13、14、15に示す本実施の形態の液晶装置の動作を図16に示す。
図16において、Vgは、ゲート線の電圧である。Vsは、ソース線の電圧である。Vpは、画素電極の電圧である。Vccは、共通電極の電圧である。Vcは、対向電極の電圧である。
通常映像表示時には、ゲート線の電圧Vgを画素トランジスタがオン状態になるまで変化させて、ソース線の電圧Vsを画素電極21、蓄積容量Cst、液晶容量Clcに充電する。画素電極の電圧Vpはソース線の電圧Vsと等しくなる。
対向電極の電圧Vcは画素電極の電圧Vpとの間で液晶の透過率が十分に変化する範囲であれば良く、通常VcとVpの電位差Vpcは0V〜5V程度に設定する。液晶層をベンド配向させるには更に高い電位差を連続的に液晶層にかける異電位差連続印加ステップが必要である。ベンド配向に転移するために必要な電位差、時間は液晶材料によって異なるが、6V以上の電位差を画素電極と対向電極の間に与えることで1秒以内に転移が完了する材料があることが実験的に確認できている。液晶表示装置としては、この転移時間が短いほど良く、数秒から10秒以内であることが望ましいが、そのためにはより大きな電位差(20Vから30V程度)を与えたり、液晶材料を選択することとなる。液晶層がベンド配向に転移するための電位差はできるだけ広い面積で与えることが望ましく、画素電極と対向電極の間に与えることが図15に示すように面積的にもっとも有効である。
(第2−2の実施の形態)
図13、図14、図15を用いて第2の実施の形態における動作を図17で説明する。
図17においてVgはゲート線の電圧である。Vsはソース線の電圧である。Vpは画素電極の電圧である。Vccは共通電極の電圧である。Vcは対向電極の電圧である。このような構成の液晶パネルにおける通常映像表示時の動作は第1の実施の形態と同様で、VcとVpの間の電位差Vpcは0V〜5Vである。ベンド配向に転移させるために画素電極と対向電極との間に6V以上の第1種の電位差を連続的に与えた場合、液晶パネルの構造や液晶材料によっては、転移状態が進まず膠着する部分が発生し、そこだけが10秒以上かかっても転移できないことがある。そのようなパネルあるいは液晶材料の条件の場合には対向電極の電圧Vcを画素電極の電圧Vpに近づけ、液晶層にかかる電位差Vpcを小さい第2種の電位差にして液晶素子の配向を初期状態に戻してから再度高い第1種の電位差を与える。このことにより、元々ベンド状態に転移していた液晶素子は初期状態に戻してから再度電位差をかけ直しても転移しやすいためすぐに転移し、転移状態が膠着していた部分は新たに電位差をかけ直すことで転移しやすくなるため、結果的にパネル全面において短時間にベンド配向に転移させることができる。
図18に本発明による液晶装置の制御手段の構成の一例を示す。本図において、205は液晶パネル、204は液晶パネルコントローラ、203は各種電源電圧発生回路である。液晶パネルコントローラ204には外部より起動スイッチ210が接続されている。この起動スイッチ210は液晶パネルコントローラ204の内部のカウンタ211とそれに続く212の切換手段Aが接続され、起動直後はこのカウンタにより、所定の期間をカウントした後、通常映像信号発生部213からの映像信号を液晶パネル205へ印加する。所定の期間をカウント中は、214の電圧発生手段1と215の電圧発生手段2を周期カウンタ216で設定された所定の周期で、217の切換手段Bにより切換える。これらの電圧発生手段は単一の電圧を発生するとは限定されない。液晶パネル205がアクティブ・マトリクスであり、この中の画素電極−対向電極間の液晶印加実効電位差がポイントであるため、対向電極電圧は勿論、画素電極電圧を決める要因となるソース線電圧、ゲート線電圧、後述する蓄積容量の共通電極電圧の内、必要な電圧を組み合わせて切換えることとなる。
また、ここで述べた起動直後の所定の期間とは約0.1秒ないし10秒程度の時間であり、周期カウンタ216で設定された所定の周期とは約0.1秒から5秒程度の時間である。
本実施の形態において、画素電極と対向電極の間の電位差Vpcを第2種の電位差にする時間はベンド配向への転移を初期状態に戻すための時間であるため、画素電極と対向電極の間に第1種の電位差を付与する時間に比べて同等以下の短い時間にするほうが液晶パネル全体でのベンド配向への転移は短時間で終了する。図19に示すように、Vpcに高い第1種の電位差をかけている第1種の電位差印加ステップのデューティ比が0.5を超えると転移時間は格段に短くなる。この第1種の電位差印加ステップは大体0.1秒から3秒程度である。また、第1種の電位差印加ステップと第2種の電位差印加ステップの切り替え時に発生する対向電極の電圧変化のスルーレートの高低はベンド配向への転移時間に直接影響しない。このため、対向電極のように高い負荷の電極を駆動する場合であっても小さい電流駆動能力しか持たない駆動素子を用いて緩やかに電圧を変化させても同様の効果を得ることができる。図20に示すように、周期Tの繰り返し制御ステップで電位差Vpcを変化させるとき、電位差の変化に要する時間tr、tfはそれぞれ周期Tの30%まで達しても速やかな転移が行える。
図21で示すような回路で容量C[F]をt秒でV[V]変化させるために必要な電流i[A]は次式で得られ、
i=C*V/t
10[uF]の容量の対向電極を、300ミリ秒で10[V]変化させるために必要な電流駆動能力は0.33[mA]となり、汎用的なオペアンプないしは低消費電力型のオペアンプ等の電流駆動素子で回路を構成することができる。また、図示はしないが、パルス状信号源と直列抵抗によって容量素子を駆動しても良い。
(第2−3の実施の形態)
図13、図14、図15を用いて第1の実施の形態において共通電極の電位変化により第1種の電位差を大きくする共通電極電位変動利用型の場合を第3の実施の形態としてその動作を図22で説明する。構成は第1の実施の形態と同じである。
図22においてVgはゲート線の電圧である。Vsはソース線の電圧である。Vpは画素電極の電圧である。Vccは共通電極の電圧である。Vcは対向電極の電圧である。
画素トランジスタがオンの期間、画素電極にはソース線の電位Vsが書き込まれ、画素トランジスタがオフになるとき、ゲート線の電圧変化ΔVgに合わせて(2−1式)で算出される突き抜け電圧分ΔVp1だけ画素電極の電位Vpは変化する。さらに、画素トランジスタがオフの期間に蓄積容量の電極となっている共通電極の電位VccをΔVccだけ変化させると(2−2式)で算出される突き抜け電圧ΔVp2が画素電極に発生する。本図に示す信号変化の場合、ΔVp1よりもΔVp2を大きくすることでソース線から書き込んだ電位Vsよりも高い電位を画素電極に与えることができ、画素電極と対向電極との間の電位差Vpcがより大きくなり、液晶層のベンド配向への転移時間を短くすることができる。
ΔVp1=ΔVg*Cgd/(Cst+Clc+Cgd) (2−1式)
ΔVp2=ΔVcc*Cst/(Cst+Clc+Cgd) (2−2式)
この時、図23に示すように共通電極の電圧をゲート信号の電圧と同じにしてもVpcを十分大きくでき、かつ、電圧の共用により電源回路の規模を小さくすることができる。
(第2−4の実施の形態)
図24は液晶パネルの1画素分の構成図を示す。本図において6は画素トランジスタ、3は画素電極、Cgdは画素トランジスタのゲート・ドレイン間容量、Cstは画素電極に接続し、前段のゲート線との間に形成する蓄積容量、Clcは液晶層の容量、Cgsは画素トランジスタのゲート・ソース間容量、7はソース線、71は次のソース線、8はゲート線、81は前のゲート線、11は対向電極である。このような構成の液晶パネルは前段ゲート方式と呼ばれ、図13、図14に示す構成に比べて共通電極を削除できるため開口率を高くできる。
図25に画素構造の平面・断面概略図を示す。6は画素トランジスタ、21は透明画素電極、Cstは画素電極に接続し、前段のゲート線との間に形成する蓄積容量、Clcは液晶層の容量、7はソース線、71は次のソース線、8はゲート線、81は前のゲート線、9は対向電極である。
図26に1画素当たりの寸法の1例を示す。Wtは画素の幅、Ltは画素の長さLt、Wpは画素電極の幅、Lpは画素電極の長さ、Wsはソース線の幅、Wgはゲート線の幅、Wstは蓄積容量部の長辺、Lstは画素電極とゲート線の間隙であり、1画素当たりの面積30000[μm^2]中、画素電極の面積は18564[μm^2]で1画素の61.9%となる。
図24、図25、図26を用いて第2の実施の形態において前段のゲート線の電位変化により第1種の電位差を大きくするゲート線電位変動利用型の場合を第4の実施の形態としてその動作を図27で説明する。
本図においてVgはゲート線の電圧、Vsはソース線7の電圧、Vpは画素電極の電圧、Vg−は前段のゲート線81の電圧、Vcは対向電極の電圧である。
通常映像表示時には、ゲート線の電圧Vgを画素トランジスタがオン状態になるまで変化させて、ソース線の電圧Vsを透明画素電極21、蓄積容量Cst、液晶容量Clcに充電する。透明画素電極21の電圧Vpはソース線7の電圧Vsと等しくなる。
画素トランジスタがオフになるとき、ゲート線の電圧変化ΔVgに合わせて(2−3式)で算出される突き抜け電圧分ΔVp3だけ画素電極の電位Vpは変化する。さらに、画素トランジスタがオフの期間に蓄積容量の電極となっている前段のゲート線の電位Vg−をΔVg−だけ変化させると(2−4式)で算出される突き抜け電圧ΔVp4が画素電極に発生する。図27に示す信号変化の場合、ΔVp3よりもΔVp4を大きくすることでソース線から書き込んだ電位Vsよりも高い電位を画素電極に与えることができ、画素電極と対向電極との間の電位差Vpcがより大きくなり、液晶層のベンド配向への転移時間を短くすることができる。
ΔVp3=ΔVg*Cgd/(Cst+Clc+Cgd) (2−3式)
ΔVp4=ΔVg−*Cst/(Cst+Clc+Cgd) (2−4式)
図26に示すように一画素中で画素電極が占める面積割合は61.9%とかなり大きいため、画素電極と対向電極との間に大きい電位差をかけることは非常に有効である。
このような構成の液晶パネルにおける通常映像表示時のVcとVpの間の電位差Vpcは0V〜5Vである。ベンド配向に転移させるために画素電極と対向電極との間に6V以上の電位差を直流で与えた場合、液晶パネルの構造や液晶材料によっては、転移状態が進まず膠着した液晶素子が10秒以上かかっても転移できないことがある。そのようなパネルあるいは液晶材料の条件の場合には対向電極の電圧Vcを画素電極の電圧Vsに近づけ、液晶層にかかる電位差Vpcを小さい第2種の電位差にして液晶素子の配向を初期状態に戻してから再度高い第1種の電位差を与えることにより、転移状態が膠着していた部分に新たに電位差をかけ直し、結果的にパネル全面において短時間にベンド配向に転移させることができる。
本実施の形態では前段のゲート線との間に蓄積容量を設けたが後段のゲート線との間に蓄積容量を設けた場合でも同等の動作で同等の効果が得られる。
(第2−5の実施の形態)
図28に示す画素の電極電位のタイムチャートと図13の接続図を用いて第2ー5の実施の形態における動作を説明する。
図28において、太い点線は対向電極電位を、細い点線はゲート線電位を、細い実線はソース線電位を、太い実線は画素電極電位を示す。下部のVpcは画素電極・対向電極間電位差の変動を示す。Tcは通常映像表示期間、T12は1回目の第2種の電位差印加ステップ、T11は1回目の第1種の電位差印加ステップ、T22は2回目の第2種の電位差印加ステップ、T21は2回目の第1種の電位差印加ステップである。各種の画素電極電位の変動要因を示している。
本図において、T12、T11、T22、T21は繰り返し制御ステップで繰り返している。液晶層をベンド配向させるための駆動期間の1回目の第2種の電位差印加ステップT12が開始すると、対向電極電位を通常映像表示期間とは異なる第2の電位とする。画素電極電位は、液晶容量を介して対向電極と接続し、この瞬間には画素トランジスタがオフで電流の供給がないため、対向電極電位の変化分ΔVcomに対して、(2−5式)に示すΔVp5だけ、本図の期間T12の左側に示すように対向電極電位が変化した方向に電位が変化する。
ΔVp5=ΔVcom*Clc/(Clc+Cst+Cgd) (2−5式)
ゲート線電位が画素トランジスタをオンからオフにするときの電位変動分ΔVgが画素電極に影響を与える電位変動分は(2−6式)に示すΔVp6となる。
ソース線電位を、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位とし、画素トランジスタをオフにすると、画素電極電位は本図の期間T12の中央ゲート電極電位変動に示すようにΔVp6だけ下がり、対向電極電位との電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。
ΔVp6=ΔVg*Cgd/(Clc+Cst+Cgd) (2−6式)
以降、1回目の第2種の電位差印加ステップT12中は、画素トランジスタがオンで画素電極にソース線電位を充電している充電小ステップ中を除いては画素電極電位と対向電極電位との電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。
1回目の第2種の電位差印加ステップT12から1回目の第1種の電位差印加ステップT11に移行すると、画素電極電位と対向電極電位との電位差を第1種の電位差にするために対向電極電位を第1の電位に変化させ、画素電極電位はその影響を受けて本図の期間T11内左側に示す対向電極電位変動のように対向電極電位が変化した方向に変化する。
ソース線電位を1回目の第2種の電位差印加ステップT12同様、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位として画素トランジスタを充電小ステップで一度オン・オフすると、画素電極電位は第2種の電位差印加ステップの対向電極電位とほぼ等しい電位までは下がるが、第1種の電位差印加ステップでは画素電極電位と対向電極電位の間の電位差が液晶層がベンド配向に転移するのに必要な十分に大きい第1種の電位差になるように対向電極電位を設定する。以降、1回目の第1種の電位差印加ステップT11中は、画素電極電位と対向電極電位の間の電位差は、液晶層のベンド配向への転移に必要な第1種の電位差が与えられている。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22が開始すると、対向電極電位が変化するため画素電極電位はその影響で本図の期間T22の左側の対向電極電位変動(注、この文の記載は期間T12内に在る。)に示すように対向電極電位が変化した方向に電位が変化する。充電小ステップで画素トランジスタのオン・オフを一度行うと、1回目の第2種の電位差印加ステップT12と同様に、画素トランジスタがオンになり画素電極にソース線電位を充電している時以外は画素電極・対向電極間の電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22から2回目の第1種の電位差印加ステップT21に移行すると、1回目の第1種の電位差印加ステップ同様に画素電極・対向電極間の電位差は、液晶層のベンド配向への転移に必要な第1種の電位差が与えられている。
以降、液晶層のベンド配向への転移が完了するまで繰り返し制御ステップで第2種の電位差印加ステップと第1種の電位差印加ステップを交互に繰り返し、第2種の電位差印加ステップでは期間開始後1回目の画素トランジスタがオンするまでの間および充電小ステップで画素トランジスタがオンしている時以外は画素電極・対向電極間の電位差はほとんどゼロの第2種の電位差になり、第1種の電位差印加ステップでは期間開始後1回目の画素トランジスタがオンするまでの間以外は画素電極・対向電極間は液晶層がベンド配向へ転移するために必要な十分に大きな第1種の電位差が与えられている。
画素電極と対向電極の間の電位差を大きくし,ベンド配向の核の発生とベンド領域の拡大を行う第1種の電位差印加ステップと、画素電極と対向電極の間の電位差を小さくしてベンド配向の核が発生しなかったりベンド領域の拡大が行われなかった部分の液晶層の再整列を行う第2種の電位差印加ステップを交互に与えることで、パネル全面を高速にベンド配向に転移させることができる。
第2種の電位差印加ステップ中の画素電極・対向電極間の第2種の電位差はゼロであることが望ましいが、図29に示すように±1Vの範囲内であれば面内転移完了時間にあまり影響しない。蓄積容量Cst、液晶容量Clc、ゲート・ドレイン間容量Cgdはその膜厚、膜質によってパネル内部でもパネル相互にもバラツキがあり、ゲート線電位の変化の影響を受ける画素電極電位の変化分ΔVp6にもバラツキが生じるが、そのバラツキが±1V以内に収まれば、第2種の電位差印加ステップのソース線電位をパ37毎に調整する必要はなくソース線電位を固定した駆動方法を決定できる。
(第2−6の実施の形態)
図30、図13を用いて第5の実施の形態の第2種の電位差印加ステップに画素トランジスタのオン・オフタイミングに合わせてソース線電位を変化させる場合の第6の実施の形態の動作を説明する。
図30に、図13で示す画素の電極電位のタイムチャートを示す。
本図において、太い点線は対向電極電位を、細い点線はゲート線電位を、細い実線はソース線電位を、太い実線は画素電極電位を示す。下部のVpcは画素電極・対向電極間電位差、Vscはソース線・対向電極間電位差である。Tcは通常映像表示期間、T12は1回目の第2種の電位差印加ステップ、T11は1回目の第1種の電位差印加ステップ、T22は2回目の第2種の電位差印加ステップ、T21は2回目の第1種の電位差印加ステップである。また、各種の画素電極電位の変動要因を示す。
本図において、液晶層をベンド配向させるための駆動期間の1回目の第2種の電位差印加ステップT12が開始すると、対向電極電位を通常映像表示期間とは異なる第2の電位とする。画素電極電位は、対向電極電位変動分をΔVcomとすると(2−5式)に示す様にΔVp5だけ、本図の対向電極電位変動に示すように対向電極電位が変化した方向に電位が変化する。ソース線電位を、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位とし、充電小ステップで画素トランジスタを一度オン・オフすると、画素電極電位は本図のゲート電極電位変動に示すように、ΔVp6だけ下がり、対向電極との電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。ソース線電位は画素トランジスタがオフしている間は対向電極電位とほぼ等しい電位とし、Vscのように、充電小ステップで画素トランジスタのオン・オフタイミングに合わせて変動させる。
以降、1回目の第2種の電位差印加ステップT12中は、通常映像表示期間と同様のタイミングで画素トランジスタがオン・オフし、その都度ソース線電位は変化し、画素トランジスタがオフしているときには画素電極・対向電極および画素電極・ソース線電位間は電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。
この画素トランジスタがオフしているときのソース線電位は、対向電極との間の電位差が±1Vの範囲内であれば面内転移完了時間に何ら変わりはない。このことは第5の実施の形態で画素電極と対向電極の間の電位差が±1Vの範囲内であれば面内転移完了時間にあまり影響しないと図29を用いて述べたのと同様である。
1回目の第2種の電位差印加ステップT12から1回目の第1種の電位差印加ステップT11に移行すると、画素電極と対向電極の間の電位差を第1種の電位差にするため対向電極電位を第1の電位にし、画素電極電位はその影響を受けて本図の期間T11左側対向電極電位変動に示すように対向電極電位の変化した方向にΔVp5だけ変化する。ソース線電位を1回目の第2種の電位差印加ステップT12同様、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位として充電小ステップで画素トランジスタを一度オン・オフすると、画素電極電位は第2種の電位差印加ステップの対向電極電位とほぼ等しくなる。
この第1種の電位差印加ステップにおいてもソース線電位は画素トランジスタのオン・オフのタイミングで電位を変化し、第1種の電位差印加ステップでは画素電極・対向電極間およびソース線・対向電極間の電位差は、第2種の電位差印加ステップの対向電極電位と第1種の電位差印加ステップの対向電極電位の電位差とほぼ等しい。そこで、第1種の電位差印加ステップの対向電極電位と第2種の電位差印加ステップの対向電極電位の電位差が液晶層の転移に必要な第1種の電位差になるようそれぞれの期間の対向電極電位を設定する。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22が開始すると、対向電極電位が変化するため画素電極電位はその影響で本図の期間T22内左側の対向電極電位変動で示す(説明の記載は期間T12内。)ように対向電極電位の変化した方向に電位が変化する。その後の画素トランジスタによる充電動作で画素電極電位は1回目の第2種の電位差印加ステップと同様の変化をし、対向電極電位とほぼ等しくなる。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22から2回目の第1種の電位差印加ステップT21に移行すると、対向電極電位は1回目の第1種の電位差印加ステップと同様に変化し、この期間中も画素トランジスタによる画素電極の充電で、1回目の第1種の電位差印加ステップT11と同様の第1種の電位差が画素電極・対向電極間に与えられる。
以降、液晶層のベンド配向への転移が完了するまで繰り返し制御ステップで第2種の電位差印加ステップと第1種の電位差印加ステップを交互に繰り返し、第2種の電位差印加ステップでは画素電極・対向電極間およびソース線・対向電極間の電位差はほとんどゼロの第2種の電位差になり、第1種の電位差印加ステップでは画素電極・対向電極間には液晶層がベンド配向に転移するために必要な十分に大きな第1種の電位差が与えられる。
この例では、第5の実施の形態で述べた動作に加えて、第2種の電位差印加ステップ中に、面内の大部分の面積を占める画素電極およびソース線と対向電極との電位差をゼロにするので、ソース線電位を変動させる煩雑さはあるが、第5の実施の形態よりも液晶層のベンド配向への転移を更に高速化できる。
(第2−7の実施の形態)
図31、図13を用いて第5の実施の形態の画素トランジスタのオンによる画素電極充電を液晶層をベンド配向させるための駆動期間の初期に1回行う場合の第2−7の実施の形態の動作を説明する。
図31に、図13で示す画素の電極電位のタイムチャートを示す。
図31において、太い点線は対向電極電位を、細い点線はゲート線電位を、細い実線はソース線電位を、太い実線は画素電極電位を示す。下部のVpcは画素電極・対向電極間電位差である。Tcは通常映像表示期間、T12は1回目の第2種の電位差印加ステップ、T11は1回目の第1種の電位差印加ステップ、T22は2回目の第2種の電位差印加ステップ、T21は2回目の第1種の電位差印加ステップである。また、各種の画素電極電位の変動要因をも示す。
本図において、液晶層をベンド配向させるための駆動期間の1回目の第2種の電位差印加ステップT12が開始すると、対向電極電位を通常映像表示期間とは異なる第2の電位とする。画素電極電位は、対向電極電位変動の影響を受けて、本図の期間T12内の対向電極電位変動に示すように対向電極電位が変化した方向にΔVp5だけ電位が変化する。ソース線電位を、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位とし、画素トランジスタを一度オン・オフすると、画素電極電位は本図のゲート電極電位変動に示すようにΔVp6だけ下がり、対向電極電位とほぼ等しくなる。以降、1回目の第2種の電位差印加ステップT12中は、ゲート線電位の変化はなく、画素電極電位と対向電極電位1の電位差はほぼゼロの第2種の電位差のままである。
1回目の第2種の電位差印加ステップT12から1回目の第1種の電位差印加ステップT12に移行すると、画素電極・対向電極間の電位差を第1種の電位差にするため対向電極電位を第1の電位にし、画素電極電位はその影響を受けて本図の期間T12内左側対向電極電位変動に示すように対向電極電位の変化した方向にΔVp5だけ変化する。第1種の電位差印加ステップに移行しても画素トランジスタオンによる画素電極の充電は行われないため画素電極の電位は対向電極電位の変動により影響を受けた電位を維持し、画素電極・対向電極間の電位差が液晶層のベンド配向への転移に必要な十分に大きい第1種の電位差になるように対向電極電位を設定する。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22が開始すると、対向電極電位を第2の電位に変化するため画素電極電位はその影響で本図の期間T12から期間T22への移行部に示す対向電極電位変動に示すように対向電極電位が変化した方向に電位が変化するが、その電位は1回目の第2種の電位差印加ステップT12のゲート電極電位変動での画素電極電位と等しく、対向電極電位との電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22から2回目の第1種の電位差印加ステップT21に移行すると、対向電極電位は1回目の第1種の電位差印加ステップと同様に第1の電位に変化し、この期間中も画素電極の充電は行われず、1回目の第1種の電位差印加ステップと同様の第1種の電位差が画素電極・対向電極間には与えられる。
以降、液晶層のベンド配向への転移が完了するまで繰り返し制御ステップで第2種の電位差印加ステップと第1種の電位差印加ステップを交互に繰り返し、第2種の電位差印加ステップでは画素電極・対向電極間の電位差はほとんどゼロの第2種の電位差になり、第1種の電位差印加ステップでは画素電極・対向電極間には液晶層が転移するために必要な十分に大きな第1種の電位差が与えられる。
この例では、画素トランジスタのオン・オフタイミングを通常映像表示期間とは変えるという煩雑さはあるが、第2種の電位差印加ステップ中の画素トランジスタオンによる画素電極充電回数が通常タイミングよりも少ないため、画素電極・対向電極間電位差がゼロの時間が第2種の電位差印加ステップ中に多くなり、第5の実施の形態よりも液晶層のベンド配向への転移を高速化できる。
なお、画素電極の充電が1回の画素トランジスタのオンでは不十分な場合や、液晶層をベンド配向に転移させるための駆動期間が通常の映像表示期間に対して非同期に開始し、画素トランジスタを確実にオンにするために回数のマージンが必要な場合には、液晶層をベンド配向に転移させるための駆動期間の初めの画素トランジスタオンによる画素電極充電を1回ではなく数回行っても効果にあまり影響しない。
また、1回目の画素トランジスタのオンは、通常の映像表示タイミングから、液晶層をベンド配向させるための駆動への切り替えを済ませた後、1フィールド期間(通常16.7ミリ秒)以内に行なわれる。
(第2−8の実施の形態)
図32、図13を用いて第5の実施の形態の充電小ステップでの画素トランジスタのオンによる画素電極充電を液晶層をベンド配向させるための駆動期間内の第1種の電位差印加ステップ、第2種の電位差印加ステップそれぞれの初期に1回行う場合の第8の実施の形態の動作を説明する。
図32は、図13で示す画素の電極電位のタイムチャートを示す。
本図において、太い点線は対向電極電位、細い点線はゲート線電位、細い実線はソース線電位、太い実線は画素電極電位である。下部のVpcは画素電極・対向電極間電位差である。Tc通常映像表示期間、T12は1回目の第2種の電位差印加ステップ、T11は1回目の第1種の電位差印加ステップ、T22は2回目の第2種の電位差印加ステップ、T21は2回目の第1種の電位差印加ステップである。また、各種の画素電極電位の変動要因を示す。
図32において、液晶層をベンド配向させるための駆動期間の1回目の第2種の電位差印加ステップT12が開始すると、対向電極電位を通常映像表示期間とは異なる第2の電位にする。画素電極電位は対向電極電位変動の影響を受けて、本図の期間T12内の左側の対向電極電位変動に示すように対向電極電位が変化した方向に電位がΔVp5だけ変化する。
ソース線電位を、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位とし、充電小ステップで画素トランジスタを一度オン・オフすると、画素電極電位は期間T12内中央のゲート電極電位変動に示すようにΔVp6だけ下がり、対向電極電位とほぼ等しくなる。以降、1回目の第2種の電位差印加ステップT12中は、ゲート線電位の変化はなく、画素電極・対向電極間の電位差はほぼゼロの第2種の電位差のままである。
1回目の第2種の電位差印加ステップT12から1回目の第1種の電位差印加ステップT11に移行すると、画素電極・対向電極間の電位差を第1種の電位差にするため対向電極電位を第1の電位にし、画素電極電位はその影響を受けて期間T11の左側対向電極電位変動に示すように対向電極電位が変化した方向にΔVp5だけ変化する。ソース線電位を1回目の第2種の電位差印加ステップT12同様、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位として充電小ステップで画素トランジスタを一度オン・オフすると画素電極電位はゲート電極電位変動と同様に、第2種の電位差印加ステップの対向電極電位とほぼ等しくなる。
以降、1回目の第1種の電位差印加ステップT11中は画素トランジスタオンによる画素電極の充電がないので画素電極電位は変化しない。このように第1種の電位差印加ステップでは画素電極と対向電極間の電位差は、第2種の電位差印加ステップの対向電極電位と第1種の電位差印加ステップの対向電極電位の電位差とほぼ等しい。そこで、第1種の電位差印加ステップの対向電極電位と第2種の電位差印加ステップの対向電極電位の電位差が液晶層のベンド配向への転移に必要な電位差になるよう各期間の対向電極電位を設定する。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22が開始すると、対向電極電位が変化するため画素電極電位はその影響で期間T12と期間T22の境部の対向電極電位変動に示すように対向電極電位が変化した方向に電位が変化する。その後の画素トランジスタオンによる画素電極充電動作でその電位は1回目の第2種の電位差印加ステップでの画素電極電位となり、対向電極電位との電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22から2回目の第1種の電位差印加ステップT21に移行すると、対向電極電位は1回目の第1種の電位差印加ステップと同様に変化するが、この期間中も初期の画素トランジスタオンにより、1回目の第1種の電位差印加ステップと同様の第1種の電位差が画素電極・対向電極間には与えられる。
以降、液晶層のベンド配向への転移が完了するまで繰り返し制御ステップで第2種の電位差印加ステップと第1種の電位差印加ステップを交互に繰り返し、第2種の電位差印加ステップでは画素電極・対向電極間の電位差はほとんどゼロの第2種の電位差になり、第1種の電位差印加ステップでは画素電極・対向電極間の電位差は液晶層が転移するために必要な十分に大きな第1種の電位差が与えられる。
画素電極へのソース線電位の充電を各期間の初期に1回しか行わないことにより、第7の実施の形態よりも画素トランジスタオン・オフタイミングの制御はより煩雑になるが、第2種の電位差印加ステップ中に画素トランジスタがオンになり画素電極と対向電極の電位差がゼロでなくなる時間を減らしつつ、画素電極電位を各期間の初期に確定して対向電極電位の変動の影響を排除し、第5の実施の形態・第7の実施の形態よりもパネル全面でのベンド配向への転移を高速化している。
第7の実施の形態と同様に、画素電極の充電が1回の画素トランジスタのオンでは不十分な場合や、液晶層をベンド配向に転移させるための駆動期間が通常の映像表示期間に対して非同期に開始し画素トランジスタを確実にオンにするために回数のマージンが必要な場合には、各期間の初めの画素トランジスタオンによる画素電極充電は1回ではなく数回行っても効果にあまり影響しない。
(第2−9の実施の形態)
図33と図24を用いて第5の実施の形態の液晶層をベンド配向させるための駆動期間中、ゲート線のオフ電圧を直流にする場合の第9の実施の形態の動作を説明する。
図33に、図24で示す画素の電極電位のタイムチャートを示す。
本図において、液晶層をベンド配向させるための駆動期間の電気的動作タイミングは第5の実施の形態と同様である。図24の構造の液晶パネルでは、前段のゲート線81と透明画素電極21との間に蓄積容量Cstを形成し、通常映像表示期間には画素の隣り合う行の間に電位差を与えるために、前段のゲート線の電位と対向電極の電位をおなじ方向に変化させている。この動作はゲート線が画素トランジスタをオフにする電位すなわちオフ電圧を選択している間中行われる。
液晶層をベンド配向させるための駆動期間中もこの動作が継続すると、前段のゲート線のオフ電圧の変動で式(6)のΔVp6だけ画素電極電位が変動し、特に第2種の電位差印加ステップで画素電極・対向電極間の電位差をほぼゼロの第2種の電位差にしたいにもかかわらず、数ボルトの電位差が生じる。第2種の電位差印加ステップでの画素電極・対向電極間の電位差は図29に示すように1ボルトを超えると、転移完了時間が長くなる。
そこで、図33のように液晶層をベンド配向させるための駆動期間中、ゲート線オフ電圧直流保持ステップでゲート線のオフ電圧を直流にすることにより、第2種の電位差印加ステップでの画素電極の電位変動を回避でき、パネル全面でのベンド配向への転移を高速化できる。
(第2−10の実施の形態)
図34、図13を用いて第10の実施の形態における動作を説明する。
図34に、図13で示す画素の電極電位のタイムチャートを示す。
本図において、太い点線は対向電極電位を、細い点線はゲート線電位を、細い実線はソース線電位を、太い実線は画素電極電位を示す。下部のVpcは、画素電極・対向電極間電位差であり、Vscはソース線・対向電極間電位差である。Tcは通常映像表示期間、T12は1回目の第2種の電位差印加ステップ、T11は1回目の第1種の電位差印加ステップ、T22は2回目の第2種の電位差印加ステップ、T21は2回目の第1種の電位差印加ステップである。また、各種の画素電極電位の変動要因を示す。
図34において、液晶層をベンド配向させるための駆動期間の1 回目の第2種の電位差印加ステップT12が開始すると、対向電極電位を通常映像表示期間とは異なる第2の電位とする。画素電極電位4は液晶容量Clcを介して対向電極と接続し、この瞬間には画素トランジスタがオフで電流供給がないため、対向電極電位変動分ΔVcomに対して式(5)のΔVp5だけT12の左端の対向電極電位変動に示すように対向電極電位の変化した方向に電位が変化する。ソース線電位を、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位とし、充電小ステップで画素トランジスタを一度オン・オフすると、画素電極電位は期間T12中央のゲート電極電位変動に示すように、ΔVp6だけ下がり、対向電極電位とほぼ等しくなる。
1回目の第2種の電位差印加ステップT12から1回目の第1種の電位差印加ステップT11に移行すると、画素電極・対向電極間の電位差を第1種の電位差にするため、対向電極電位を第1の電位に変化させ、画素電極電位はその影響を受けて期間T11と期間T12の境部の対向電極電位変動に示すように対向電極電位の変化した方向にΔVp5だけ変化する。ソース線電位を1回目の第2種の電位差印加ステップT12同様、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位として充電小ステップで画素トランジスタを一度オン・オフすると、画素電極電位は期間T11のゲート電極電位変動と同様に、ゲート線電位の電位変動の影響で下がる。
第1種の電位差印加ステップでは画素電極と対向電極の間の電位差が大きいほど液晶層のベンド配向への転移を高速化できるため、第2種の電位差印加ステップから第1種の電位差印加ステップへの対向電極電位の変動とは逆方向にソース線電位を変動させる。対向電極電位は、画素電極電位との電位差が液晶層のベンド配向への転移に必要な第1種の電位差になるように設定する。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22が開始すると、対向電極電位が変化するため画素電極電位はその影響で期間T12と期間T22の境界部の対向電極電位変動に示すように対向電極電位の変化した方向に電位が変化する。その後の画素トランジスタオンによる画素電極充電動作でその電位は1回目の第2種の電位差印加ステップでの画素電極電位となり、対向電極電位との電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22から2回目の第1種の電位差印加ステップT21に移行すると、対向電極電位は1回目の第1種の電位差印加ステップと同様に変化するが、この期間中も画素トランジスタオンによる画素電極充電により、1回目の第1種の電位差印加ステップと同様の第1種の電位差が画素電極・対向電極間には与えられる。
以降、液晶層のベンド配向への転移が完了するまで繰り返し制御ステップで第2種の電位差印加ステップと第1種の電位差印加ステップを交互に繰り返し、第2種の電位差印加ステップでは期間開始後1回目の画素トランジスタオンまでの間および充電小ステップで画素トランジスタがオンして画素電極を充電している時以外は画素電極・対向電極間の電位差はほとんどゼロの第2種の電位差になり、第1種の電位差印加ステップでは期間開始後1回目の画素トランジスタオンまでの間以外は画素電極・対向電極間は液晶層がベンド配向へ転移するために必要な十分に大きな第1種の電位差が与えられる。
第2種の電位差印加ステップと第1種の電位差印加ステップとでソース線電位を変動することにより、第1種の電位差印加ステップには画素電極・対向電極間の第1種の電位差をより大きくすることができるため、液晶層のベンド配向への転移を高速化できる。
図35に、第5の実施の形態および第6の実施の形態で液晶層をベンド配向させるための駆動期間を第1種の電位差印加ステップから開始した場合と、第2種の電位差印加ステップから開始した場合での転移が完了するまでの所要時間の測定結果を示す。
横軸に第1種の電位差印加ステップでの画素電極・対向電極間の第1種の電位差を示し、この電位差が大きければ転移完了時間は短くなっているが、いずれの電位差においても第2種の電位差印加ステップから開始した場合の方がより早くベンド配向への転移が完了する。
(第2−11の実施の形態)
図36と図13を用いて第11の実施の形態における動作を説明する。
図36において、太い点線は対向電極電位を、細い点線はゲート線電位を、細い実線はソース線電位を、太い点線は画素電極電位と示す。Vpcは、画素電極・対向電極間電位差である。3つのTcは通常映像表示期間、T12は1回目の第2種の電位差印加ステップ、T11は1回目の第1種の電位差印加ステップ、T22は2回目の第2種の電位差印加ステップ、T21は2回目の第1種の電位差印加ステップである。また、各種の画素電極電位の変動要因を示す。
本図において、液晶層をベンド配向させるための駆動期間の1回目の第2種の電位差印加ステップT12が開始すると、対向電極電位を通常映像表示期間とは異なる第2の電位とする。画素電極電位は、液晶容量Clcを介して対向電極と接続し、この瞬間には画素トランジスタがオフで電流の供給がないため、対向電極電位変動分ΔVcomに対してΔVp5だけ本T12の左端に示すように対向電極電位が変化した方向に電位が変化する。
ソース線電位を、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位とし、充電小ステップで画素トランジスタを一度オン・オフすると、画素電極電位は本T12の中央に示すようにΔVp6だけ下がり、対向電極電位とほぼ等しくなる。以降、1回目の第2種の電位差印加ステップ中は、充電小ステップで画素トランジスタがオンになり画素電極にソース線電位を充電している時以外は画素電極電位と対向電極電位との電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。
1回目の第2種の電位差印加ステップT12から1回目の第1種の電位差印加ステップT11に移行すると、画素電極電位と対向電極電位との電位差を第1種の電位差にするために対向電極電位を第1の電位に変化させ、画素電極電位はその影響を受けて対向電極電位が変化した方向にΔVp5だけ変化する。ソース線電位を1回目の第2種の電位差印加ステップT12同様、対向電極電位にΔVp6を上乗せした電位として充電小ステップで画素トランジスタを一度オン・オフすると、画素電極電位はゲート線電位の電位変動の影響で第2種の電位差印加ステップの対向電極電位とほぼ等しい電位までは下がるが、第1種の電位差印加ステップでは画素電極電位と対向電極電位の間の電位差が液晶層がベンド配向に転移するのに必要な十分に大きい第1種の電位差になるように対向電極電位を設定する。以降、1回目の第1種の電位差印加ステップT11中は、画素電極電位と対向電極電位の間の電位差は、液晶層のベンド配向への転移に必要な第1種の電位差が与えられている。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22が開始すると、対向電極電位が変化するため画素電極電位はその影響でT22の最初の対向電極電位変動に示すように対向電極電位が変化した方向に電位が変化するが、画素トランジスタを一度オン・オフすると、1回目の第2種の電位差印加ステップT12と同様に、画素トランジスタがオンになり画素電極にソース線電位を充電している時以外は画素電極・対向電極間の電位差はほぼゼロの第2種の電位差になる。
2回目の第2種の電位差印加ステップT22から2回目の第1種の電位差印加ステップT21に移行すると、対向電極電位は1回目の第1種の電位差印加ステップと同様に変化するが、画素トランジスタがオンになり画素電極にソース線電位を充電している時も画素トランジスタがオフしている時も画素電極電位と対向電極電位の間の電位差は、液晶層のベンド配向への転移に必要な第1種の電位差が与えられている。
以降、液晶層の転移がほぼ完了するまで繰り返し制御ステップで第2種の電位差印加ステップと第1種の電位差印加ステップを交互に繰り返し、第2種の電位差印加ステップでは期間開始後1回目の画素トランジスタがオンするまでの間および画素トランジスタがオンしている時以外は画素電極・対向電極間の電位差はほとんどゼロの第2種の電位差になり、第1種の電位差印加ステップでは期間開始後1回目の画素トランジスタがオンするまでの間以外は画素電極・対向電極間は液晶層がベンド配向へ転移するために必要な十分に大きな第1種の電位差が与えられている。
液晶層のベンド配向への転移がほぼ完了した時点で通常映像表示期間Tcに移行する前に、移行用高電位差印加ステップで画素電極・対向電極間の電位差が大きい映像情報(通常は黒か白の表示)を1フィールド表示すると、液晶層のベンド配向領域の拡大が完了し、以降、本来の入力映像情報を表示するその次の通常映像表示期間Tcに移行する。
通常、第1種の電位差印加ステップ、第2種の電位差印加ステップは数フィールド以上、時間にして数百ミリ秒以上になることが多く、液晶層のベンド配向への転移を完了するために第1種の電位差印加ステップもしくは第2種の電位差印加ステップを1回追加すると、転移完了時間は数百ミリ秒単位で増加する。新たなベンド核の発生は不要でベンド領域の拡大のみで転移が完了する場合には、画素電極・対向電極間の電位差が大きい映像情報を表示することで数十ミリ秒の時間追加で良くなり、転移完了時間を短縮することができる。
{第3の発明群}
本発明群は、電源投入時の各部の立上げの制御に関する。
以下、その実施の形態に基づいて本第3の発明群を説明する。
以下、本発明群の実施の形態を、図37と図38を参照しつつ説明する。なお、本発明群は、実施の形態は1つである。
図37において、Vgは、ゲート線電位である。Vsは、ソース線の電位である。Vpは、画素電極の電位である。Vpcは、画素電極と対向電極間の電位差である。また、Toは、電源オフ期間であり、T12は1回目の第2種の電位差印加ステップである。T11は1回目の第1種の電位差印加ステップであり、Tcは、通常の映像の表示期間である。また、各種の画素電極電位の変動要因を示す。
図38において、3801は主電源、3802は電源回路コントローラ、3803は各種電源電圧発生回路、3804は液晶パネルコントローラ、3805は液晶パネルである。主電源3801と液晶パネルコントローラ3804には外部より起動スイッチ3810が接続されている。この起動スイッチ3810は液晶パネルコントローラ3804の内部のカウンタ3811とそれに続く3812の切換手段Aが接続され、起動後、液晶パネルコントローラ3804に電源が供給された後は、このカウンタにより、所定の期間をカウントした後、通常映像信号発生部3813からの映像信号を液晶パネル3805へ印加する。所定の期間をカウント中は、3814の電圧発生手段1と3815の電圧発生手段2を周期カウンタ3816で設定された所定の周期で、3817の切換手段Bにより切換える。
図38の回路で、電源オフ期間Toは液晶パネルに入力するすべての信号は不定である。起動スイッチ3810を投入して電源をオンにすると、まず3802の電源回路コントローラにのみ電源が供給され、3802のコントローラが各種電源電圧発生回路を順次制御して液晶パネルコントローラの動作が開始する。このような液晶層安定保持立ち上げ制御ステップを有する回路構成にすることにより、液晶パネルに入力する信号を電源投入後、直ちに第2種の電位差印加ステップの電圧設定にすることが可能になり、電圧無印加状態での液晶層の整列状態を壊すことなく液晶層のベンド配向への転移期間を開始することができ、電源投入後の転移完了時間を短くすることができる。
電圧無印加状態での液晶層はスプレイ配向状態で基板のラビング溝に沿って整列しているが、何等かの電位差印加があると、ベンド配向に転移しやすい液晶素子から順に転移が開始する。液晶パネル面内でスプレイ配向のままの液晶素子と、ベンド配向に移転しかけている液晶素子が無秩序に混在すると、それらの液晶素子に同時に大きい電位差を印加しても潤滑なベンド配向への転移が行なわれない場合がある。本実施の形態では、液晶装置の電源投入直後に無作為な電位差印加によりベンド配向への転移を始める液晶素子の発生を抑えて、全面がスプレイ配向状態の液晶素子に対してベンド配向への転移のための駆動を開始することを目的としている。
表1に本実施の形態の駆動方式による実験結果の一例を示す。
本実施の形態の駆動方式とは、電源投入後、液晶パネルに入力する対向電極電位、ゲート線電位、ソース線電位が全て、第2種の電位差印加ステップで出力されるべき電圧を出力するものである。一方、第2種の電位差印加ステップ前に通常の映像の表示期間がある従来の方式では、電源投入後各種電源電圧発生回路が無制御のまま立ちあがり、第2種の電位差印加ステップの前に通常映像表示期間と同様の電圧が対向電極電位、ゲート線電位、ソース線電位に出力される。これら2方式で第2種の電位差印加ステップの所要時間を変えて転移完了状態を観測すると、本実施の形態の駆動方式のほうが短時間で転移が完了することがわかった。
なお、第2の発明群と本発明群の実施の形態では、第1種の電位差印加ステップと第2種の電位差印加ステップとでソース線電位は同様に変化する必要はなく、各期間において異なるタイミング、異なる電位で変化しても何ら差し支えない。
以上、本発明をその幾つかの実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は何もこれらに限定されないのは勿論である。すなわち例えば以下の様にしていても良い。
1)液晶装置は、液晶表示装置でなく、液晶プラズマディスプレイ、有機EL等である。
2)液晶表示装置は、反射型、いわゆるROCBと言われる型のものである。
3)液晶装置は、光スイッチや光論理素子等である。