JP4888861B2 - 電流検出型熱電対等の校正方法および電流検出型熱電対 - Google Patents

電流検出型熱電対等の校正方法および電流検出型熱電対 Download PDF

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Description

本発明は、熱電対を用いて温度差を検出するに当たり、熱起電力の開放電圧の大きさから求めるのではなく、熱電対を含む閉回路を構成して、そこを流れる電流から被検出温度差を求める、所謂、電流検出型熱電対において、その電流検出型熱電対の校正方法、その電流検出型熱電対の短絡電流を計測するための演算増幅器のオフセットの校正方法および電流検出型熱電対、さらに等価的な電流検出型熱電対に関するものである。
従来、温度差を検出するのに、ある基準温度に対して被検出温度差を有する箇所に熱電対の温接点と冷接点となる二つの接合部間に温度差を形成して、その開放熱起電力から温度差を求めていた。
また、本発明者は、先に「温度差の検出方法、温度センサおよびこれを用いた赤外線センサ」(特願2004-026247)を発明して、熱電対の温接点と冷接点となる二つの接合部間の温度差による熱起電力を開放電圧で測定するのではなく、短絡電流を計測して温度差を計測する方法を提案し、これを電流検出型熱電対と名づけ、実験的にその優位性を示してきた。
この電流検出型熱電対の基本原理は、次のようなことに基づくものである。半導体のゼーベック係数αsは、抵抗率ρに関し、次の数式1で表現されることが分かっている。
ここで、kはボルツマン定数、qは電荷素量であり、Siでは、ρ0=5x10−6Ωm、m=2.6である。従来は、上式から抵抗率ρが大きい方がゼーベック係数αsも大きくなるので、抵抗率ρの大きい半導体を使用して、熱電対やサーモパイルを作成する傾向にあった。しかし、余り大きな抵抗率の半導体を使用すると、内部抵抗の極めて大きなサーモパイルになり、その妥協点を探していた。しかし、上式数1は、次のことも意味していることに本発明者が気づいた。すなわち、抵抗率ρが3〜4桁下がっても、ゼーベック係数αsは、3〜9分の1程度しか下がらないことを意味する。抵抗率の逆数である導電率は、熱電対(サーモカップル)を短絡するとそこを流れる電流に比例するので、抵抗率の極めて小さい熱電対を作成し、何らかの方法でその短絡電流が計測できれば、従来のサーモカップルやサーモパイルなどの開放電圧を計測するより極めて高い感度とS/Nが得られると予想される。
しかし、電流検出型熱電対はその形状により内部抵抗が異なり、同一の熱起電力があっても流れる電流が異なること、カンチレバ、マイクロエアブリッジやダイアフラム上に温接点が形成されている場合などは、精密な温度変化を検出するための校正法が確立していなかったので、その単純な構成で容易にできる校正方法とこれを用いた電流検出型熱電対が求められていた。
また、耳式体温計などの放射温度計に用いる赤外線センサでは、熱電対を直列接続して同一の温度差があっても開放起電力が大きくできるサーモパイルを用いていた。しかし、極めて細い(2μm程度)熱電対を100本近く直列接続しているので、極めて内部抵抗が大きいためにS/N が小さくなってしまうと共に、感度が小さく、更に、製作においても高度の技術を必要としていた。
複数個の熱電対のそれぞれの出力が独立に取り出せるようにするには、それぞれの熱電対にそれぞれ演算増幅器を取り付ければ簡単であるが、個数が多くなるとその分、多くの演算増幅器を用意する必要がある。例えば、1個の演算増幅器を用いて複数個の熱電対のそれぞれの出力が独立に取り出せるようにするには、スイッチを用いて切り替えて演算増幅器に接続するようにすれば良いが、一般にスイッチのオン抵抗が市販のアナログスイッチの場合には5Ω程度もある。この大きいスイッチのオン抵抗が熱電対に直列接続になると、熱電対の内部抵抗が大きく見えて、このスイッチのオン抵抗によって電流検出型熱電対の短絡電流が制限されてしまうという問題があり、1個の演算増幅器を用いて複数個の熱電対のそれぞれの出力が独立に取り出せる簡便な方法が求められていた。
特願2004-026247 P. M. SARROら、Sensors and Actuators, Vol. 10,1986, pp.321−346
本発明は、カンチレバ、マイクロエアブリッジやダイアフラム上に温接点や冷接点が形成されている場合でも、その単純な構造で容易に、精密な温度校正や補正ができるような電流検出型熱電対の校正方法及び電流検出型熱電対の短絡電流を計測するために用いる演算増幅器の主に温度ドリフトなどによるオフセットを補正し、校正するための校正方法を提供すると共に、校正に必要な部品を備えた電流検出型熱電対と、等価的に内部抵抗が小さくできる電流検出型熱電対および複数の熱電対から特定の熱電対を選択することができるようにした電流検出型熱電対を提供すること目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係わる電流検出型熱電対の校正方法は、熱電対の短絡電流を利用して温度差を検出する電流検出型熱電対の校正方法において、検出用熱電対と同一の熱電対材料で形成した校正用熱電対を用い、加熱手段により校正用熱電対の温接点と冷接点となる二つの接合部間に任意の温度差△Trを発生させて、この前記温度差△Trを測定して、そのときの校正用熱電対の開放起電力Vrから校正用熱電対の絶対熱電能Eroを求めておくこと、検出用熱電対も同一の絶対熱電能Eroを有すると見做すこと、検出用熱電対を含む系の被測定温度付近における内部抵抗rを測定すること、検出用熱電対に発生している被測定温度差△Tsによる短絡電流値Iを計測し、上記の校正用熱電対の絶対熱電能Eroと内部抵抗rを使用して被測定温度差△Tsを求めるようにしたものである。
なお、演算増幅器は、電流検出手段の測定器の内部抵抗が等価的に打ち消されてゼロになるような測定器であれば良く、ここでは、この作用を持つ電流検出手段の代表として演算増幅器(OPアンプ)と表現している。
熱電対は、一般には、異なる2つの導体、例えば、金属同士、半導体同士(p型とn型との組み合わせ)、半金属同士、または、金属と半導体との組み合わせなどを接合して、接合部を形成し、例えば、この接合部を温接点とし、異なる2つの導体の他端を基準温度としての冷接点として用い、この冷接点にあるこれら2個の導体間の開放熱起電力を計測して、温接点と冷接点との温度差に対応させて、計測するものである。また、冷接点は、ヒートシンクに形成されることが多い。
本発明に係わる電流検出型熱電対における温度差の検出は、従来の開放熱起電力を計測する方式の場合とは異なり、熱電対を電流検出型として用いるようとしているために、電流検出手段を用いるが、演算増幅器(OPアンプ)のように、電流検出手段の測定器の内部抵抗が等価的に打ち消されてゼロになるような測定器にする方が良く、熱電対に流れる短絡電流を容易に計測できるようにしている。また、熱電対の内部抵抗は、熱電対を構成する二つの導体の材料、寸法や形状などにより異なり、同一の熱起電力に対して大きな電流が流れるように可能な限り内部抵抗が小さくなる導体材料の組み合わせとする必要があり、その中でも熱起電力が大きい熱電対、すなわち、絶対熱電能Eに相当するゼーベック係数の大きな材料を用いた方が良い。
本発明に係わる電流検出型熱電対の校正方法では、加熱手段により発生させた校正用熱電対の二つの接合部間の温度差△Tr、そのときの校正用熱電対の開放起電力Vrから校正用熱電対の絶対熱電能Eroは、Vr/△Tr として求めることができる。検出用熱電対も同一の絶対熱電能Eroを有すると見做すので、検出用熱電対自体とそのリード線などを含めた検出用熱電対を含む系の被測定温度付近における測定した内部抵抗rを利用すれば、検出用熱電対に発生している被測定温度差△Tsによる測定した短絡電流値Iを用いて、被測定温度差△Tsは、次のように表される。なお、ここで、テブナンの定理により、検出用熱電対に被測定温度差△Tsにより発生した開放起電力(△Ts・Ero)を、検出用熱電対を含む系の内部抵抗rで除した値が短絡電流値Iとなることを利用する。
本発明の請求項2に係わる電流検出型熱電対の校正方法は、校正用熱電対と検出用熱電対とは、同一の基板に形成した薄膜熱電対である場合で、両熱電対は近接配置ができるので、校正精度を上げることができるという利点がある。
本発明の請求項3に係わる電流検出型熱電対の校正方法は、加熱手段としてヒータを用いた場合である。レーザ光などを照射して基板の一部を熱して温度差△Trを生じさせることもできるが、ジュール熱によるヒータを利用した方が便利である。
ヒータを基板に形成した場合、ヒータが最初から設けてあるので、温度差△Trの発生の再現性が良く、校正が容易である。
本発明の請求項4に係わる電流検出型熱電対の校正方法は、校正用熱電対の二つの接合部間の温度差△Trを、少なくとも校正用熱電対と同一基板に形成した一対の温度センサで計測する場合である。一対の温度センサが校正用熱電対と同一基板に形成してあるので、校正が容易である。
一対の温度センサとして、pn接合ダイオードやトランジスタなどのpn接合を用いると、半導体基板に形成する場合は、ヒータや熱電対などと同一工程で、しかもフォトリソグラフィーで高精度、かつ大量に形成できるという利点がある。
一対の温度センサとして、熱電対を用いた場合には、熱電対として、例えば、純粋な金属から成る、たとえば、金とニッケル薄膜からなる既知の薄膜熱電対を用いることができる。この場合、温度差△Trは、例えば、1℃程度の大きな値にできるので、この既知の薄膜熱電対でも十分な精度が得られるから、従来の熱電対のようにして開放熱起電力から温度差を求めると良い。
本発明の請求項5に係わる電流検出型熱電対の校正方法は、熱電対を構成する導体のうち、少なくとも一方の導体を、縮退する程度に高い密度の不純物を添加して、低抵抗化した半導体を用いた場合である。一般にシリコン半導体では、p型よりも移動度が大きい多数キャリアが電子であるn型の方が低抵抗化できるので、縮退したn型半導体を用いる方が良い。他方の導体は、熱起電力が小さくとも抵抗率の小さい金属薄膜を用いた方が得策である。
本発明の請求項6に係わる電流検出型熱電対の校正方法は、検出用薄膜熱電対の接合部(例えば、温接点)を基板から熱分離した薄膜に形成し、熱電対の他端である接合部(例えば、冷接点)を基板上に形成した場合である。基板から熱分離した薄膜とは、カンチレバ、マイクロエアブリッジやダイアフラムなどの基板からの薄膜の梁などを用いた支持により宙に浮いた薄膜で基板から熱抵抗を大きくして、熱伝導が起こり難い構造にした薄膜のことである。
本発明の請求項7に係わる演算増幅器のオフセットの校正方法は、熱電対の短絡電流を利用して温度差を検出する電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法において、熱起電力が無視できる所定の抵抗を備え、この抵抗を電流検出型の熱電対と同一もしくは異なる演算増幅器の入力段に接続できるようにしてあり、この熱電対による演算増幅器の出力と、この抵抗による演算増幅器の出力とを比較できるように構成して、これらの比較データを基にして演算増幅器のオフセットを校正するようにしたことを特徴とするものである。
赤外線センサとして電流検出型熱電対を用いた場合など、温度差が極めて小さい場合は、電流検出型の熱電対の短絡電流は極めて小さく、短絡電流検出用の演算増幅器の温度ドリフトなどに伴う入力段のオフセット電流と同程度になることが多い。また、温度ドリフトなどに伴う入力段のオフセット電圧に基づく回路電流とも区別し難くなることがある。チョッパ入りの演算増幅器を使用するとその必要がないことが多いが、必要に応じて、周囲温度の変化や演算増幅器内の自己発熱などによる温度ドリフトを補正するなどして校正する必要がある。
二個の演算増幅器を用意し、一方の演算増幅器の入力段には、電流検出型の熱電対を接続し、他方の演算増幅器の入力段には、所定の抵抗を接続しておき、これらの差動回路により演算増幅器のオフセットを校正するようにすることができる。この場合、二個の演算増幅器は、同一の半導体チップに形成されたものを利用した方が、ほぼ同一の温度特性を有すること、ほぼ同一の温度環境に晒されること、などから好都合である。また、所定の抵抗の値も電流検出型の熱電対の内部抵抗に等しい方が好適である。さらに、周囲からの誘導ノイズに晒され方もほぼ同一とするために、所定の抵抗も電流検出型の熱電対が形成されている領域に形成しておくと良い。
本発明の請求項8に係わる演算増幅器のオフセットの校正方法は、上述の請求項7の演算増幅器のオフセットの校正方法のうち、一つの演算増幅器を用い、その入力段に接続している電流検出型の熱電対の代わりに所定の抵抗に切り替えることができるように構成してあり、所定の抵抗に切り替えたときのデータを基にして校正するようにした場合である。
本発明の請求項9に係わる電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法は、同一の被測定温度差△Tsが生じる箇所に、二対の熱電対が互いに逆向きの接続できるよう形成してあり、一方の熱電対で被測定温度差△Tsを計測し、熱起電力が互いに打ち消し合うように互いに逆向きの接続したときに演算増幅器のオフセットが校正できるようにしたことを特徴とするものである。
二対の熱電対は、全く独立の熱電対同士でも良いが、熱電対を構成する二つの導体のうちの一方を共通にして利用できるように構成した方が良い。特に二つの導体が、半導体と金属である場合には、抵抗率が大きいために断面積を大きくして低抵抗化したい方の導体である半導体を共通にすると良い。
本発明の請求項10に係わる電流検出型熱電対は、熱電対の短絡電流を利用して温度差を検出する電流検出型熱電対において、基板から熱分離した薄膜にこの熱電対の一端となる接合部が形成されていること、この熱電対の他端は基板に形成してあること、この熱電対を構成する導体は、5x10−2Ω・cm以下の低抵抗率を有する導体であること、この熱電対を構成する二つの導体は、絶縁膜を挟んだサンドイッチ構造であること、このサンドイッチ構造の複数の梁で上記接合部を有する薄膜を支持する構造とした場合である。
製作するごとに異なる内部抵抗や絶対熱電能も校正できるので、精度の高い電流検出型熱電対が提供できるという利点がある。複数の梁で熱電対の接合部を有する薄膜を支持しているので、熱電対としてはその内部抵抗が並列接続になり内部抵抗が小さくなるので、同一の温度差に対して熱電対に大きな電流が流れることになり、その分S/Nが向上する。また、熱電対を構成する二種類の導体は、絶縁膜を挟んだサンドイッチ構造であるので、高感度で極めてコンパクトな温度センサが提供できる。
本発明の請求項11に係わる電流検出型熱電対は、熱電対に流れる短絡電流を利用して温度差を検出する電流検出型熱電対であって、複数個のそれぞれの熱電対にそれぞれ直列接続したスイッチを用いて、それぞれの熱電対の出力が独立に取り出せるように構成したこと、これらの熱電対が演算増幅器(OPアンプ)の反転入力端子に接続されていること、熱電対に流れる短絡電流が計測できるように演算増幅器の仮想短絡が利用できるように構成したこと、を特徴とする場合である。
熱電対に直列接続するスイッチとしては、FETなどを利用したアナログスイッチでも良いし、機械的なMEMS型の接触式スイッチでも良い。熱電対に直列に接続されるので、可能な限り小さなオン抵抗のスイッチが望ましい。各ピクセルに熱電対を一次元や二次元に配列して、赤外線イメージセンサなどに使用することが出来る。なお、電流検出型熱電対を形成する半導体基板にFETなどのアナログスイッチを特別に形成すると、本センサでは耐圧が小さくて済むので、市販のアナログスイッチよりもオン抵抗が極めて小さいスイッチを設計製作できる。
本発明の請求項12に係わる電流検出型熱電対は、一対の熱電対、もしくは複数の熱電対を直列接続した熱電対を演算増幅器の非反転入力端子に接続し、抵抗rを演算増幅器の反転入力端子に接続してあること、この演算増幅器の仮想短絡を利用して、この抵抗rには、この熱電対の被測定温度差△Tsに基づく開放熱起電力Vsが直接印加され、この開放熱起電力Vsに基づく短絡電流Isが流れ、更に、その短絡電流Isの値は、この開放熱起電力Vsを等価内部抵抗rsとしての抵抗rの値で除した値となるようにしたこと、この演算増幅器の反転入力端子と出力端子間に接続した帰還抵抗Rfにもこの短絡電流Isが流れるように構成したこと、これらのことがらに基づくこの演算増幅器の出力電圧から被測定温度差△Tsが算出できるようにしたこと、を特徴とする等価的な電流検出型熱電対である。
この熱電対の開放熱起電力Vsは、別に用意した校正用熱電対を用いて、その開放熱起電力Vrと温度差との校正データと検出用熱電対の系の内部抵抗とを利用して、被測定温度差△Tsを算出することができる。校正用熱電対として、熱電対(検出用の熱電対)と不純物濃度のレベルも含めた同一の材料で作成したものを用いると良い。
詳述すると、次のようになる。電流検出型熱電対では、熱電対の実際の内部抵抗rs0を可能な限り小さくする方が良いし、その値は製作する毎に異なるので、計測しておいて使用する必要がある。しかし、本発明の請求項12に係わる電流検出型熱電対では、演算増幅器の非反転入力端子に、熱電対(サーモパイル)を接続する回路構成にしているので、実際にはここに電流は流れず、非反転入力端子には、熱電対(サーモパイルも含む)の被測定温度差△Tsに基づく開放熱起電力Vsに相当する電位のみを与えることになる。したがって、演算増幅器の反転入力端子に抵抗rを接続すると、演算増幅器の仮想短絡(イマージナリショート)ために、抵抗rに直接、熱電対の被測定温度差△Tsに基づく開放熱起電力Vsが印加されるように回路構成している。このとき抵抗rには、開放熱起電力Vsを抵抗rの値で除した短絡電流Isが流れるから、抵抗rは熱電対の等価内部抵抗rsと言える、すなわち、抵抗rは、熱電対の等価内部抵抗rsとして作用する。演算増幅器の反転入力端子と出力端子間に帰還抵抗Rfを接続しておくと、この帰還抵抗Rfにもこの短絡電流Isが流れるので、演算増幅器の出力には、被測定温度差△Tsに基づく開放熱起電力Vsに比例する出力電圧成分が現れるから、被測定温度差△Tsが算出できるようになる。予め用意してある熱電対の開放熱起電力Vs、もしくは別に用意した校正用熱電対の開放熱起電力Vrと温度差との校正データを利用して被測定温度差△Tsを推定するものである。
このことから、熱電対の実際の内部抵抗rs0が大きくとも、所望の小さな抵抗rを採用して演算増幅器の反転入力端子に接続することにより、抵抗rを熱電対の実際の内部抵抗rs0を等価的な小さな等価内部抵抗rsとして扱うことができるし、所定の小さな値にすることができる。したがって、熱電対の開放熱起電力Vsを抵抗rの値で除した短絡電流Isが、熱電対の等価内部抵抗rsである抵抗rに流れるから、短絡電流Isは、熱電対の実際の内部抵抗rs0に依らず、抵抗rの値に依存し、熱電対の開放熱起電力Vsに比例した値となる。ただし、演算増幅器の入力端子間を極端に小さな抵抗で短絡する、または、これに等価的な回路にすると、演算増幅器が動作しなくなるので、抵抗rを小さくさせるには限界がある。
演算増幅器の非反転入力端子に接続する熱電対は、一対の熱電対でも良いし、必要に応じて複数の熱電対を直列接続した熱電対であるサーモパイルでも良い。しかし、サーモパイルとした場合には、一般にその内部抵抗が大きいために大きな内部抵抗を有する信号源となるので、S/Nが小さくなってしまう。特に、演算増幅器から長いリード線で内部抵抗が大きいサーモパイルを接続したときに問題になる。したがって、可能な限り小さな内部抵抗にする方が良い。
本発明の請求項13に係わる電流検出型熱電対は、請求項12記載の電流検出型熱電対において、抵抗rが、熱電対の実際の内部抵抗rs0より小さくなるようにした場合である。抵抗rを小さくすることにより、同一の熱電対に発生した熱起電力により大きな短絡電流Isが抵抗rに流れるので、その分、大きな感度の電流検出型熱電対が提供できる。ただし、演算増幅器では、その入力端子間に小さな信号でもその内部抵抗が小さすぎると演算増幅器が飽和するなど、その機能が達成できなくなることがあるので、極端に抵抗rを小さくすることはできないことに注意を要する。
本発明の請求項14に係わる電流検出型熱電対は、請求項12または13のいずれかに記載の電流検出型熱電対において、熱電対を複数個備えてあり、これらの複数個のそれぞれの熱電対にそれぞれ直列接続したスイッチを用いて、これらの複数個のそれぞれの熱電対の出力が独立に取り出せるように構成した場合である。
1個の演算増幅器を用いて複数個の熱電対のそれぞれの出力が独立に取り出せるようにするには、スイッチを用いて切り替えて演算増幅器に接続するようにすれば良いが、一般にスイッチとしてアナログスイッチを用いた場合には、そのオン抵抗が5Ω程度もある。このスイッチの大きいオン抵抗が熱電対に直列接続になると、熱電対の内部抵抗が大きく見えて、このスイッチのオン抵抗によって電流検出型熱電対の短絡電流が制限されたり、また、スイッチをオン、オフした場合のオン抵抗値の再現性が無視できないという問題が生じる場合がある。
そこで、本発明の請求項14に係わる電流検出型熱電対では、請求項13に記載したように、固定の抵抗rを演算増幅器の反転入力端子に接続し、複数個の熱電対を演算増幅器の非反転入力端子に接続するに当たり、それぞれの熱電対に直列に接続したスイッチを通して行うものである。このように各熱電対を演算増幅器の非反転入力端子に接続すると、この各熱電対には電流が流れない(極めて小さく無視できる)ので、ここでの電圧降下が無視できる。したがって、各熱電対に直列接続した比較的大きな抵抗を有するアナログスイッチなどのスイッチでも電圧降下が無視できるので、スイッチの内部抵抗には関係なく、演算増幅器の仮想短絡のために、熱電対で発生した開放熱起電力Vsは、演算増幅器の反転入力端子に接続された抵抗rに直接印加されることになる。このようにして、スイッチのオン、オフによりスイッチの内部抵抗には無関係に所望の熱電対を選択することができる。マトリックス状やアレー状に接続した多くの熱電対をそれぞれに接続したスイッチを通して、任意に選択することができる。各熱電対の温接点に赤外線吸収膜を形成して、熱電対をマトリックス状に配置した構造の非冷却イメージセンサなどに利用するのに好適である。なお、スイッチをオフにするときには、極めて高抵抗になるので、演算増幅器が不安定になるから、スイッチをオフにすると同時に、小さな抵抗に切替えられるようにする方が良い。
本発明の請求項15に係わる電流検出型熱電対は、演算増幅器の仮想短絡を利用して、一対の熱電対に流れる短絡電流を検出して温度差を検出できるようにした電流検出型熱電対を、1つのユニットとして用いること、このユニットを複数個備えてあること、この複数個のそれぞれのユニットにそれぞれ直列接続したスイッチを用いて、それぞれのユニットの出力が独立に取り出せるように構成したこと、を特徴とした場合である。なお、1つのユニットの出力端子は、このユニットを構成している演算増幅器(OPアンプ)の出力端子と同一である。
この場合、ユニット毎にOPアンプを必要とするので、多くのユニットを配列するには困難なことがあるが、個数が少ないときには極めて有効である。スイッチとしては、アナログスイッチでも、例えば、MEMS型の機械的な接触式でも良い。
複数のユニットからのスイッチを通して、別に設けた演算増幅器の入力端に接続することができる。この場合、請求項11に記載した熱電対の代わりに、各ユニットの出力端子を、この別に設けた演算増幅器の反転入力端子に接続して良いし、または、請求項12に記載した熱電対のように、各ユニットの出力端子をこの別に設けた演算増幅器の非反転入力端子に接続して良い。
本発明の請求項16に係わる電流検出型熱電対は、基板から熱分離した薄膜に熱電対の接合部が形成されている請求項11から15に記載されている電流検出型熱電対の場合である。基板から熱分離した薄膜に形成された熱電対の接合部は温接点として、熱電対の他端は、基板上に形成し、冷接点とすると良い。また、基板から熱分離した薄膜は、熱容量が小さく、熱コンダクタンスも小さいので、小さな熱量で大きな温度変化が得られることになり、高速で高感度の温度センサとなる。赤外線吸収膜を熱分離した薄膜に形成して、熱型赤外線センサとして利用することができるし、また、熱せられたガスや液体などの流れの検出、気体や液体の熱伝導率の変化に伴う放熱状態の変化から種々の物理量を求めるセンサとしても利用できる。
本発明の請求項17に係わる電流検出型熱電対は、請求項10または16のいずれかに記載の電流検出型熱電対において、薄膜を支持している複数の梁を通して基板に導かれたこれらの二種類の導体は、基板上において5x10−2Ω・cm以下の低抵抗率を有する導体を用いて、それぞれ一括されて二端子となるように構成された場合である。
詳述すると、次のようである。基板から熱分離した薄膜(宙に浮いている薄膜)は、例えば、熱型赤外線センサの受光部として利用する場合は、S/Nの向上からその面積を大きくしたい場合が多い。この薄膜を基板から支持するには、複数の梁で支持した方が、強度の強い構造となるので都合が良い。しかし、受光部とした宙に浮いた薄膜からの基板への熱の逃げを考慮すると、細い複数の梁で支持する方が好適である。しかし、それぞれの梁は細く長いので、その電気抵抗は大きくならざるを得ない。そこで、本発明は、これらの梁の抵抗が並列接続となるようにして、更に電気抵抗の小さい導体で、基板上でそれぞれ一括されて二端子となるように接続して構成した場合である。
本発明の請求項18に係わる電流検出型熱電対は、基板に形成された薄膜の複数のカンチレバのそれぞれに、少なくとも一対の熱電対が搭載していること、これらの複数のカンチレバのそれぞれに形成されている熱電対が、さらに並列に接続されて一括して二端子となるように構成していること、演算増幅器の仮想短絡を利用して、前記二端子間の熱電対に流れる短絡電流を検出して温度差を検出できるようにしていること、を特徴とするものである。
熱型赤外線センサの受光部として熱電対を搭載した薄膜のカンチレバを利用すると、その熱時定数はカンチレバの寸法に大きく依存する。高速動作の熱型赤外線センサでは、その受光部である薄膜のカンチレバの面積を小さくせざるを得ない。しかし、受光部は大きくしたい場合が多い。本発明は、特にこのような目的のためになされたもので、例えば、極めて小型の薄膜のカンチレバ型赤外線受光部を、二次元アレー状に形成しておき、これらを並列接続することにより、受光面積を等価的に大きくなるようにすると共に、熱時定数はそれぞれのカンチレバの寸法に依存するので、高速に動作するようにしたものである。特に、テラヘルツ波のように波長が長い電磁波の受信や波長の長い赤外線受光には有効である。カンチレバの長さを5μm程度にすると、その厚みにも依るが、その熱時定数を1マイクロ秒程度にすることができる。
本発明の請求項19に係わる電流検出型熱電対は、請求項10、もしくは16から18のいずれかに記載の電流検出型熱電対において、熱電対が形成されている薄膜を支持している基板に絶対温度センサを設けて、基板温度が計測できるようにした場合である。電流検出型熱電対は、温度差だけしか計測しないので、基準となる基板の絶対温度を計測しておく必要がある場合が多い。
絶対温度センサとしては、サーミスタ、白金抵抗体、pn接合を利用したダイオードサーミスタやトランジスタサーミスタなど既存の絶対温度センサが使用できる。ダイオードサーミスタやトランジスタサーミスタなどのように、同一の半導体基板に成熟したフォトファブリケーションなどで作成できる方が好適である。
本発明の電流検出型熱電対の校正方法では、校正用熱電対を備えており、加熱手段により校正用熱電対に大きな温度差△Trを発生させることができるので、容易に校正用熱電対の絶対熱電能Eroを求めることができる。検出用熱電対も校正用熱電対と同一の条件で製作できるので、容易に高い精度で検出用熱電対を校正できるという利点がある。
本発明の電流検出型熱電対の校正方法では、校正用熱電対と検出用熱電対とが、同一の基板に薄膜熱電対として形成でき、しかも近接配置ができるので、校正精度を上げることができるという利点がある。
本発明の電流検出型熱電対の校正方法では、加熱手段としてジュール熱を利用するヒータを用いて基板の一部を熱し、温度差△Trを生じさせることもできるので、簡便な校正方法となる。
本発明の電流検出型熱電対の校正方法では、校正用熱電対の二つの接合部(温接点と冷接点)間の温度差△Trを、校正用熱電対と同一基板に形成した一対の温度センサで計測するので、高精度の校正が容易にできるという利点がある。
本発明の電流検出型熱電対の校正方法では、熱電対を構成する導体のうち、少なくとも一方の導体を、縮退する程度に高い密度の不純物を添加して、低抵抗化した半導体を用いると、高抵抗の半導体よりは熱起電力が一般に小さくなるが、それでも数分の一程度であるのに対して、抵抗は例えば4桁も小さくできるので、高感度の温度センサが提供できる。また、低抵抗化した半導体は、一般に金属よりは内部抵抗が大きいので、金属配線は抵抗が小さいので、熱電対の内部抵抗をほぼ低抵抗化した半導体の部分の抵抗(せいぜい10Ω程度)として取り扱うことができる。従って、金属配線を用いてもこの部分の抵抗が小さいので、校正時に配線抵抗が無視できると言う利点がある。また、演算増幅器(OPアンプ)を用いて電流変化を検出する際には、演算増幅器への入力抵抗を余り小さくできないので、この点からも低抵抗化した半導体を用いることは好都合である。
本発明の電流検出型熱電対の校正方法では、基板から熱分離した薄膜(例えば、宙に浮いた薄膜)であるカンチレバ、マイクロエアブリッジやダイアフラムなどに熱電対の一方の接合部(例えば、温接点)を形成した場合でも校正が容易である。
本発明の電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法により、電流検出型熱電対による微小短絡電流であっても、演算増幅器の温度ドリフトに基づくオフセットの変動を、マイクロヒータの加熱手段(電流検出型の熱電対自体をヒータとして利用してもよい)による既知の温度上昇分も利用できること、電流検出型の熱電対と同等な熱電対を新たに形成して差動動作をさせること、また、電流検出型の熱電対の内部抵抗と同等な抵抗を用いるなどして、補正し、更には校正することができるから、高精度の温度差検出センサが提供できる。
本発明の電流検出型熱電対では、同一基板に検出用熱電対と校正用熱電対および校正用熱電対の温度差検出用の一対の温度センサとを備えることができ、更にヒータも同様に形成できるから電流検出型熱電対の形状効果による内部抵抗の違いも補正して校正できるので、信頼性が高く、高感度で高精度の温度センサが提供できる。更に、MEMS技術を利用した大量生産性があり、小型で低コストの高感度、高精度の熱型の熱型赤外線センサなどへの応用も期待できる。
本発明の電流検出型熱電対では、複数個の熱電対のそれぞれに直列接続したスイッチを用いて、演算増幅器の反転入力端子に接続し、演算増幅器の仮想短絡(イマージナリショート)を利用して、それぞれの熱電対の出力を独立に取り出すことが出来るので、センサアレーである高感度の赤外線イメージセンサなどが提供できると言う利点がある。
本発明の電流検出型熱電対では、演算増幅器の非反転入力端子に熱電対(サーモパイルも含む)を接続する回路構成にでき、反転入力端子に抵抗rを接続すると、演算増幅器の仮想短絡(イマージナリショート)ために、抵抗rは熱電対の等価内部抵抗rsと見做すことができる。従って、抵抗rを10Ω程度の小さな抵抗に選べば、この小さな抵抗rが等価的に熱電対の等価内部抵抗rsとなり、実際の熱電対の内部抵抗rs0が大きくとも所望の等価的な小さな内部抵抗rsとして扱うことができるので、高感度の電流検出型熱電対が提供できると言う利点がある。
本発明の電流検出型熱電対では、熱電対に直列接続したスイッチを演算増幅器の反転入力端子に接続した回路を1つのユニットとして用い、さらに複数のユニットを備えて、それぞれの出力を独立に取り出すことが出来るようにし、これらの出力を更に別に設けた演算増幅器の仮想短絡を利用して、各熱電対に流れる電流を出力電圧として取り出すことが出来るので、センサアレーなどの高感度の温度差検出ができると言う利点がある。
本発明の電流検出型熱電対では、熱電対を搭載した薄膜の複数の小さなカンチレバを二次元アレー状に配列して、これを熱型赤外線センサに適用すれば、等価的に大面積の赤外線受光部とすることができる。これらの熱電対を並列接続して、電流を大きくなるようにすると共に、各受光部は小型であるから高速応答となり、二次元アレー配列により等価的に大面積の赤外線受光部を有する高速応答の熱型赤外線センサが提供できるという利点がある。
本発明の電流検出型熱電対の接合部を基板から熱分離した薄膜に形成できるので、熱容量と、熱コンダクタンスが小さくできる。したがって、微少の熱量で温度上昇が大きくできるので、高速で高感度の電流検出型熱電対が提供できる。
本発明の電流検出型熱電対を用いると、ヒータからの熱量を気体や液体の流れによる温度変化を高感度で、しかも高速で計測できるので、気体や液体のフローセンサ、周囲気体による放熱を計測する真空センサ、更には気体や液体の組成分析、発熱反応、赤外線や放射線の検出など、高感度で、高速応答の種々の熱型センサが提供できる。
以下、本発明の電流検出型熱電対等の校正方法および電流検出型熱電対、更にこれらを熱型赤外線センサに応用した場合の実施例について、検出用熱電対を基板から熱分離した薄膜構造であるカンチレバ型やマイクロエアブリッジ型とした場合について、それらの図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の電流検出型熱電対とその校正方法を説明するための電流検出型熱電対を搭載したセンサチップ1の一実施例の斜視概略図である。ここでは、検出用熱電対20を利用した熱型赤外線センサとして実施する場合で、校正用熱電対21、校正のための一対の温度センサ101,102および自己発熱のヒータ150を搭載している。p型のSOI層11を有する基板10(SOI基板)を用い、そのSOI層11に縮退する程度に高密度のリンなどのn型不純物を添加したn型拡散領域22を検出用熱電対20と校正用熱電対21の一方の導体20Aとし、他方の導体20Bを、例えば、ニッケル(Ni)にした場合で、SOI層11を主体して、薄膜のカンチレバ30状に検出用熱電対20を形成したときの例を示している。なお、熱電対の一方の導体21Aである縮退したn型半導体薄膜と他方の導体21BであるNiとは、それぞれ温接点26が正と負に帯電すること、更に単純な材料で、しかも縮退したn型半導体薄膜は電気抵抗が小さいにもかかわらず熱起電力が大きいので、本実施例では、熱電対材料として採用し、互いの熱起電力が相加わり大きくなるようにしている。また、図2は、図1における検出用熱電対20を通る断面の概略図である。
本発明の電流検出型熱電対の検出用熱電対20を利用して、これを熱型赤外線センサとして実施する場合は、次のようにして作成される。SOI基板の薄いp型のSOI層11(例えば、厚み2μm)を細長いカンチレバとして残して、MEMS技術でその下部に空洞40を形成してあり、このカンチレバ30にはリン不純物を1021cm−3程度の高密度に熱拡散して添加した縮退したn型半導体のn型拡散領域22にしてあり、この上に形成してある薄いSiO膜である絶縁薄膜50を介して、その上には温接点26が負に帯電する導体20BであるNi(ニッケル)薄膜を形成しておく。したがって、熱電対を構成する導体20A,20Bとして、それぞれSiの縮退したn型半導体薄膜とNi薄膜を用いており、カンチレバ30の主材料にもなっている。基板10としてのSOI基板のBOX層12であるSiO膜のうち、薄膜のカンチレバ30の下部の空洞40部分に対応する箇所は、むしろ、一度エッチング除去して、その後、保護膜として、薄いSiO膜を形成しておいた方が、熱伝導と熱容量を可能な限り小さくする観点から好ましい。熱電対(検出用熱電対20と校正用熱電対21)の温接点26となる接合部25は、カンチレバ30の先端付近に形成しておく。熱電対の他端の冷接点27は、Siの基板10(ヒートシンクとしての役目もする)上に形成したアルミニウム(Al)からなる電極60や配線110を利用する。基板10には、必要に応じ、演算増幅器などの周辺回路の一部を形成して、信号処理、増幅や温度センサとしての駆動などが行えるようにすると良い。
熱型の赤外線センサとして実施しているので、薄膜のカンチレバ30の先端付近にある検出用熱電対20の温接点26に対応の接合部25をカバーする領域に赤外線を吸収する赤外線吸収膜200を薄膜状に形成して、赤外線の受光部210としている。
ここでは、図示していないが、検出用熱電対20の温接点26付近に赤外線の受光部210としての赤外線吸収膜200を有するカンチレバや橋架構造、更にはダイアフラムをアレー状にして、それぞれを画素とするイメージセンサとして利用しても良い。
本発明の電流検出型熱電対の校正用熱電対21は、例えば、検出用熱電対20と同一のSOIを有する基板10の薄いSOI層に検出用熱電対20と同一の寸法、もしくは、少し長めの寸法にして、しかも検出用熱電対20と同一工程で、リン不純物を1021cm−3程度の高密度に熱拡散して添加した縮退したn型半導体とNi(ニッケル)薄膜を形成して作成する。ただし、校正用熱電対21は、検出用熱電対20のようなカンチレバとはせずに、すなわち下地基板15を空洞化しないでSOI基板に直に形成しておくと良い。
また、図1では、本発明の電流検出型熱電対の校正用の一対の温度センサ101,102として、それぞれ、pn接合ダイオードをダイオードサーミスタとして使用した場合を示している。この一対の温度センサ101,102と校正用熱電対21および自己発熱のヒータ150を利用して、検出用熱電対20を校正する仕方について述べる。まず、pn接合ダイオードをダイオードサーミスタとして使用するために、例えば、それぞれの温度センサ101,102としてのpn接合ダイオードの順方向電圧0.60Vにおける順方向電流Ifの温度依存性を計測しておき(Ifは、絶対温度Tの逆数1/Tに対して指数関数的な依存性を示す)、そのIfの計測から温度センサ101,102の温度が分かるようにしておく。次に、ヒータ150にその電極パッド90A,90Bを通して電流を流し、加熱して温度センサ101,102の温度差△Trを計測する。温度センサ101,102は、ヒータ150からの熱の流れに対して校正用熱電対21の温接点26と冷接点27の位置に対応した箇所に形成してあるので、校正用熱電対21の開放熱起電力Vrから校正用熱電対の絶対熱電能Eroを、Vr/△Tr として求める。このとき温度センサ101,102の温度差△Trは、例えば、3℃程度の大きな値にしておくと、校正用熱電対21の開放熱起電力Vrも誤差が少なく計測できる。次に、検出用熱電対20の被測定温度付近における測定した内部抵抗rを検出用熱電対20の電極パッド70(70A、70B)を通して計測しておく。また、検出用熱電対20も校正用熱電対21と同時に作成しているので同一の絶対熱電能Eroを有すると見做す。熱型赤外線センサとしてのカンチレバ30の先端に形成してある赤外線吸収膜200に、被測定赤外線を照射したときにその吸収熱による基板10に対する温度上昇分(温接点26と冷接点27の温度差)である被測定温度差△Tsにより検出用熱電対20に流れる短絡電流Isを計測する。短絡電流Isは、図3に示すように、演算増幅器(OPアンプ)の入力端子は、イマージナリショートとして動作することを利用して計測することが出来る。短絡電流Isが帰還抵抗Rfに流れると、演算増幅器の出力電圧Vsoは短絡電流Isと帰還抵抗Rfの積(Is・Rf)として観測される。帰還抵抗Rfは既知で、出力電圧Vsoは観測可能であるから短絡電流Isを求めることが出来る。上述の(数1)を利用して、赤外線受光による検出用熱電対20の被測定温度差△Tsを求めることが出来る。なお、図3では、演算増幅器の非反転入力端子が直接アースに直結しているが、アースとこの非反転入力端子との間に図4のように抵抗Rcを入れると出力電圧Vsoを大きくすると共に、OPアンプのオフセット電圧調整が容易となる。抵抗Rcと帰還抵抗Rfが等しい値のときは、抵抗Rcにも熱電対の短絡電流Isが流れるので、出力電圧Vsoは、図3に示した非反転入力端子が直接アースに直結している場合の2倍の出力が得られる。ただし、抵抗Rcが大きいとS/Nが悪くなるので注意を要する。
実験によると、SOI層11に形成した導体21Aとしての縮退したn型拡散領域22と導体21BとしてのNi薄膜の校正用熱電対21における絶対熱電能Eroは、約200μV/Kであり、検出用熱電対20の内部抵抗rは、約30Ωであった。帰還抵抗Rfを100KΩとしたときに、演算増幅器の出力電圧Vsoが約80mVであったので、短絡電流Isは、80μAであり、検出用熱電対20の赤外線照射による温度上昇分である被測定温度差△Tsは、上述の数式2から0.12℃となる。
熱電対の一方の導体として、上述のように金属(例えば、Ni)薄膜や半金属を用いた時には、金属や半金属の電気抵抗が、縮退した半導体薄膜に比べ、一般に極めて小さいので、縮退した半導体薄膜よりも薄く、且つ、細く形成しても良い。
図5は、本発明の電流検出型熱電対とその校正方法を説明するための電流検出型熱電対を搭載したセンサチップ1の他の一実施例の斜視概略図であって、上述の図1と同様であるが、異なる点は、校正用熱電対21の温度差を検出するための温度センサ101として異なる導体120Aと導体120Bからなる熱電対を利用した場合である。導体120Aと導体120Bを、例えば、金(Au)とニッケル(Ni)などとしてこの熱電対を形成することができる。
上述の実施例1(図1)及び実施例2(図5)における基板に形成したヒータ150の代わりに、ここでは図示しないが、ヒータ150を別に作製しておき、このヒータ150を基板に近接させて用いるか、または、基板に接触させるかなどして、校正用熱電対21と一対の温度センサ101,102(場合により温度センサ101のみ用いる)を利用して、上述の方法で検出用熱電対20を校正することができる。
図6には、本発明の電流検出型熱電対を熱型赤外線センサとして実施した場合のセンサチップの平面概略図を示す。また、図7には、図6におけるA−A線における横断面図の概略図を示す。この熱型赤外線センサでは、基板10から空洞40と溝41により熱分離されてあり、4本の梁31で支持された薄膜5に形成された受光部210に赤外線吸収膜200を形成してあり、この下に電流検出型熱電対(熱電対120)の接合部25があり、そこが温接点26となっている。4本の梁31は、それぞれ熱電対120となっており、実施例では、p型のSOI層11に縮退するほど高濃度に不純物を添加してn型にしたn型拡散領域22を形成して、この領域を熱電対120の一方の導体120Aとし、シリコン(Si)の熱酸化膜などの絶縁薄膜50を介して他方の導体120Bが形成された構造にしている。すなわち、4本の梁31と受光部210の直ぐ下の領域は、0.3μm程度の厚みの絶縁薄膜50を一方の導体120Aと他方の導体120Bとでサンドイッチにした構造になっている。このため、構造が簡単であると共に、薄く熱容量が小さい赤外線の受光部210が達成できる。また、熱電対120の冷接点27となる基板10上の電極60では、熱電対120の導体120Aと導体120Bが、それぞれ並列に接続となるように配線110を介して一括して二端子(電極パッド70A、70B)となるように構成している。導体120Aとしてのn型拡散領域22はできるだけ低抵抗になるように、少なくとも5x10−2Ω・cm以下の低抵抗率になるようにすると良いし、n型拡散領域22とは、反対の符号のゼーベック係数の材料を選ぶ方が良いが、電気抵抗を小さくしたいので、電気抵抗が大きくなってしまうp型半導体よりも、むしろ、ゼーベック係数がそれほど大きくなくともニッケル(Ni)などの金属の電気抵抗が小さい材料を選択した方が良いことがある。
図6では、更に、絶対温度センサ100として、pn接合ダイオード105を基板10上に形成して、基板10を基準温度とし、赤外線受光による受光部210の温度上昇分を検出できるようにしている。
図8は、本発明の電流検出型熱電対を高速で大受光面積となる小型の薄膜のカンチレバアレー130からなる熱型赤外線センサに応用した場合の一実施例で、熱電対120を搭載した極めて小さいカンチレバ30が二次元アレー状に形成してあり、各熱電対120は並列に接続されて一括して二端子となるように構成している場合である。なお、この熱電対120を構成する二種類の導体120A、120Bは、図5に示した赤外線受光用のカンチレバ型薄膜上に形成された検出用熱電対センサ20と同様に、絶縁膜を挟んだサンドイッチ構造の場合である。なお、図8に示す薄膜の各カンチレバ30は、実際は絶縁膜を挟んだサンドイッチ構造であるが、二種類の導体120A、120Bだけを示し、単純化して図示している。
このように、極めて小型の薄膜のカンチレバアレー130は、カンチレバ状の赤外線受光部を、二次元アレー状に形成しておき、これらを並列接続することにより、受光面積を等価的に大きくなるようにすると共に、熱時定数はそれぞれのカンチレバの寸法に依存するので、高速に動作するようにしている。
各熱電対120は、共有する垂直配線111と水平配線112を介して並列に接続されて、さらに一括して二つの端子115A、115Bとなるように構成した二端子の赤外線受光による出力は、演算増幅器の仮想短絡を利用して、二端子間の各熱電対に流れる短絡電流の総和を検出して温度差を検出できるようにしているので、高感度で高速の熱型赤外線センサとなる。演算増幅器(OPアンプ)は、カンチレバアレー130が形成されている基板と同一の基板1に形成すれば好都合である。
図9は、本発明の電流検出型熱電対の一実施例を示す概略回路図であり、熱型赤外線センサに応用した場合を示すものである。赤外線吸収膜を形成した受光部210に形成している熱電対120を複数備えてあり、各熱電対120には、スイッチ310を直列接続してあり、それぞれスイッチ310により選択されて演算増幅器(同図では、OPAmpと記載している)の反転入力端子に接続している。受光部210は、カンチレバなどの基板から熱分離した薄膜に形成した方が良い。
スイッチ310として、FETなどのアナログスイッチを用いても良いし、機械的なMEMS型の接触式のスイッチなどを用いても良い。これらのスイッチ310との組み合わせでマトリックス状に形成したカンチレバなどの受光部とした赤外線イメージセンサが提供できる。赤外線イメージセンサの受光部と同一の基板に、スイッチやOPアンプや集積回路などを形成しておくと良い。
図10は、本発明の等価的な電流検出型熱電対の一実施例を示す概略回路図であり、熱型赤外線センサに応用した場合を示すものである。熱電対120を演算増幅器(同図では、OPAmpと記載している)の非反転入力端子に接続するように構成した場合である。この構成では、実際には、熱電対120に電流がほとんど流れず、熱起電力のみ与えることになる。この回路構成では、熱電対120としては、ここには電流がほとんど流れず、熱起電力のみ与えることになるので、一対の熱電対ばかりでなく、熱電対を直列接続した熱電対(サーモパイル)を用いてもよい。
本実施例では、熱電対120を利用した熱型赤外線センサに応用した場合で、受光部210となる赤外線吸収膜200の下に熱電対120の温接点26を有している。このような回路構成により抵抗rには、この熱電対120の被測定温度差△Tsに基づく開放熱起電力Vsを抵抗rの値で除した短絡電流Isが流れるようになる。演算増幅器の帰還抵抗Rfにもこの短絡電流Isが流れるように構成してあるので、演算増幅器の出力電圧Vsoは、Vs(1+Rf/r)で表現できるから、この出力電圧Vsoと、この熱電対(検出用熱電対)の予め用意してある開放熱起電力Vsもしくは、別に用意した校正用熱電対の開放熱起電力Vrと温度差との校正データを利用して利用して、被測定温度差△Tsが算出できるようにしたものである。なお、校正用熱電対としては、検出用熱電対と不純物レベルも含めて同一熱電材料で形成してあるものを用いるか、少なくともこれに換算できるものを用いる。
更に詳述すると、このような回路構成にすることにより、熱電対120に発生した被測定温度差△Tsに基づく開放熱起電力Vsが、演算増幅器の仮想短絡(イマージナリショート)のためと、非反転入力端子には実質的に電流が流れないために熱電対120での電圧降下が無視できるから、熱電対120の本当の内部抵抗rs0の大きさによらず、反転入力端子に接続した抵抗rに全て印加されることになる。したがって、演算増幅器の入力側の熱電対120と抵抗rとアースとを含む閉回路(等価的な短絡回路)を考えると、抵抗rは等価的に熱電対120の等価内部抵抗rsのように見做すことができる。このようなことで、抵抗rを小さな値に選択することにより、等価的に小さな内部抵抗の熱電対120が達成できたことにより、同一の熱起電力Vsに対して大きな短絡電流Isが流れ、適当な帰還抵抗Rfの選択により大きな出力電圧Vsoが取り出されるので、このような回路構成は、等価的な電流検出型熱電対と呼ぶにふさわしいと考えられる。
抵抗rは、固定抵抗として、例えば、10Ωとしておくと、熱電対120の実際の内部抵抗rs0の大きさが、例えば、100Ωあったとしても、熱電対120の等価内部抵抗rsは抵抗rの値である10Ωとなる。もし、赤外線を受光して熱型赤外線センサとしての熱電対120の熱起電力Vsが、1mVであるならば、短絡電流IsはVs/r=100μAとなる。帰還抵抗Rf=10kΩに選ぶと、演算増幅器の出力電圧Vsoは、1.0Vとなる。ここで注意を要するのは、抵抗rに対して帰還抵抗Rfが大きすぎると、演算増幅器の出力電圧Vsoが演算増幅器の直流電源電圧よりも大きくなり、演算増幅器が飽和してしまうことである。また、熱電対120の実際の内部抵抗rs0が大きいと、ノイズが大きくなり、S/Nが小さくなる。特に、熱電対120として、熱電対を直列接続したサーモパイルを用いても良いが、内部抵抗が大きくなるので注意を要する。
図11は、本発明の等価的な電流検出型熱電対の一実施例で、実施例7における図10と同様であるが、複数の熱電対を一個の演算増幅器を用いて、それぞれの熱電対120の出力をスイッチ310により選択して演算増幅器の出力電圧Vsoとして取り出す場合を示している。ここでは、熱電対120を熱型赤外線センサ(赤外線の受光部210を有している)に応用して、例えば、非冷却イメージセンサに応用した場合の回路構成図を示している。非冷却イメージセンサでは、極めて多数の受光部210を小さい面積に集積して形成するので、実際のセンサチップに形成する場合、基板上の配線を可能な限り共有して、配線の混雑を避けるようにすると良い。
一般に、スイッチ310としてアナログスイッチを使用すると、このアナログスイッチの内部抵抗が100Ω程度と比較的大きいので、このアナログスイッチの内部抵抗を無視できるような回路にするために、熱電対120とこれに直列接続したスイッチ310とを演算増幅器の非反転入力端子に接続したものである。各スイッチ310のうち、オン状態のスイッチ310に接続された熱電対120の開放熱起電力Vsが選択されて、その開放熱起電力Vsが抵抗rに印加されて、短絡電流Isが上述の実施例7の図10の場合と同様にして流れることになる。
図12は、本発明の等価的な電流検出型熱電対の一実施例で、実施例6における図9における構成回路を、実施例8における図11に適用した場合を示している。ここでは、上述の実施例8における図11と同様に熱型赤外線センサのアレー、例えば、非冷却イメージセンサに応用できるようにした場合の回路構成の概略図を示している。
図13は、熱電対120と演算増幅器(OPアンプ)との組み合わせによるユニットの概略図である。すなわち、一対の熱電対120と、仮想短絡を利用する演算増幅器(OPアンプ)により熱電対120に流れる熱起電力に基づく短絡電流を電圧に変換する回路を、ユニットとして取り扱うもので、熱型赤外線センサのユニットとして受光部210に熱電対の温接点を形成している場合である。もちろん、受光部210は、基板から熱分離した薄膜上に形成した方が良い。このユニットを更に演算増幅器(OPアンプ)の反転入力端子や非反転入力端子に接続して、上述の実施例の熱電対の代わりにこのユニットを用いると良い。
図14は、本発明の電流検出型熱電対を熱型赤外線センサに応用した場合の一実施例を示す断面概略図である。熱電対120を同一の基板10上に複数個形成し、熱型赤外線センサアレーにしたもので、しかも、犠牲層55の部分的なエッチング除去による空洞部40で基板10から熱分離した受光部210となる薄膜5を形成している。更に、この空洞部40の下部に当たる領域の基板10にスイッチ310などを含む熱型赤外線センサの周辺回路の一部である集積回路300を設けてある場合の例である。熱型赤外線センサアレーの受光部210には、赤外線吸収膜200が形成されてあり、この部分は熱電対120の温接点26となっている。また、各熱電対の冷接点27はヒートシンクの役目を果たす基板10上に形成されている。熱電対120の一方の導体120Aは、n型の縮退するほどの高不純物濃度の多結晶シリコン薄膜とし、他方の導体120Bには、例えば、n型半導体(この場合、多結晶シリコン薄膜)とは、ゼーベック係数の符号が異なるニッケル(Ni)薄膜を用いると良い。図中使用した符号は、上述の他の実施例における符号と同様であること、また、公知の単結晶シリコンの基板10を用いたMEMS技術のプロセスでセンサチップ1が作成できることから、ここでは説明を省略する。
図14に示す実施例では、熱電対120の一方の導体120Aと他方の導体120Bは、架橋構造の薄膜5で、互いに反対側に延びている場合の例であるが、図1や図6に示したように、絶縁膜を一方の導体120Aと他方の導体120Bとで挟むサンドイッチ構造にし、受光部210を支持する梁も同様にサンドイッチ構造にしても良い。
熱型赤外線センサアレーを非冷却イメージセンサに応用するときなどは、各赤外線受光部210が一般に1個のピクセルになるので、これらの選択のためのスイッチや抵抗、コンデンサを含む集積回路300が各ピクセルに近傍に形成し、しかも大きな赤外線量のための受光部の面積の割合を大きくさせる必要がある。このためには、本発明のこの実施例のように赤外線受光部210の裏側に位置する箇所に集積回路300を形成することが有効である。
図15は、本発明の電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法の一実施例を説明するための電流検出型の熱電対を搭載したセンサチップ1の平面概略図とその演算増幅器の回路の概略を示したものである。同一の被測定温度差△Tsが生じる箇所であるカンチレバ30に、二対の熱電対20、120を互いに熱起電力が逆向きに接続できるように形成してあり、スイッチSWを一方の熱電対20側に切り替えたときに、カンチレバ30の先端部と支持側に生じている被測定温度差△Tsを計測できるようにしている。また、スイッチSWを他方の熱電対120の電極パッド70R側に切り替えたときには、二対の熱電対20、120の熱起電力が互いに打ち消し合うように逆向きに接続しているので、本来短絡電流が流れない。したがって、演算増幅器のオフセットがゼロになるべきであり、これを基準に演算増幅器(OP Amp)の温度ドリフトなどに基づくオフセット分を校正するものである。
なお、図15では、SOI基板からなる基板10のSOI層11の全面に深く、高濃度のn型拡散領域22を形成してあり、このSOI層11からなるカンチレバ30に、二対の熱電対20、120を形成している。それぞれの熱電対20、120では、熱電対を形成する1つの導体20Aであるn型拡散領域22の縮退した低抵抗の半導体層を、共通の導体として使用している。この温接点26は、カンチレバ30の先端部に位置する熱電対の接合部25である電極60のところであり、冷接点27は、電極パッド70Aの箇所である(基板10は同一温度とみなしており、基板10も冷接点27と考えることができる)。熱電対20、120を構成している他方の導体20B,20Rは、例えば、ニッケル(Ni)薄膜やアルミニウム(Al)薄膜などで形成できる。高温に晒すときには、白金や金などの酸化され難い金属薄膜が好適である。また、図15では、絶対温度センサ100としてのpn接合ダイオードも基板10に形成してあり、カンチレバ30に形成した電流検出型の熱電対の冷接点27の温度を計測できるようにしている。
図15では、図示しなかったが、カンチレバ30を赤外線センサの受光部として利用することができる。この場合、カンチレバ30の全面または先端部付近に金黒などの赤外線吸収膜を形成しておくと良い。もちろん、マイクロヒータと組み合わせて反応熱や流体検出用の各種の熱型センサとして使用することができる。
図16には、本発明の電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法の他の一実施例を示している。熱起電力が無視できる所定の抵抗170を備え、この抵抗170を同一もしくは異なる演算増幅器の入力段に接続できるようにしてあり、この電流検出型熱電対による演算増幅器の出力と、この抵抗による演算増幅器の出力とを比較できるように構成して、これらの比較データを基にして演算増幅器のオフセットを校正するようにした場合である。実施例12の図15と同様に、SOI層11からなるカンチレバ30に電流検出型の(検出用)熱電対20を形成した場合である。
ここでは、演算増幅器を図示しなかったが、実施例12の図15に示すように、一つの演算増幅器(OP Amp)を用い、スイッチSWを使用して、演算増幅器の入力段に電流検出型の熱電対を接続する場合と、所定の抵抗170を電流検出型の熱電対の代わりに接続する場合とに切り替えるように回路を構成する。所定の抵抗170を接続した場合は、オフセット分がゼロになるはずであるから、これを基準に短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正をする場合である。この図16では、抵抗170を基板10に形成した場合であるが、電流検出型の(検出用)熱電対20が形成してあるカンチレバ30上に抵抗温度係数が極めて小さく、酸化され難いニクロムなどの金属抵抗薄膜で形成しても良い。なお、抵抗170の大きさは、電流検出型の(検出用)熱電対20の電極パッド70A、70Bを含む系の内部抵抗に等しい抵抗値にする方が回路のバランス上、好適である。
図17は、本発明の電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法の他の一実施例を説明するための測定回路の概略図を示すものである。実施例13の図16の場合と同様に、熱起電力が無視できる所定の抵抗Rを使用して、演算増幅器(OP Amp1)のオフセットを校正する場合であるが、この抵抗Rを異なる演算増幅器(OP Amp2)の入力段に接続して、電流検出型の熱電対TCによる演算増幅器(OP Amp1)の出力と、この抵抗Rによる演算増幅器(OP Amp2)の出力とを差動増幅回路(OP Amp3)で比較できるように構成して、これらの比較データを基にして演算増幅器のオフセットを校正するようにした場合である。なお、これらの3つの演算増幅器(OP Amp1、OP Amp2、OP Amp3)は、同一の半導体チップのIC素子内に形成されているものが望ましいが、少なくとも、熱電対TC用の演算増幅器(OP Amp1)と抵抗R用の演算増幅器(OP Amp2)とは、同一の半導体チップに形成されているものが望ましい。また、抵抗Rも、実施例13の図16に図示したように電流検出型の熱電対TCが形成されている基板10に形成した場合でも良いが、可能ならば、熱電対TCが作成してあるカンチレバ30などの領域に一緒に形成することがノイズの除去の点からも望ましい。
本発明の電流検出型熱電対および電流検出型熱電対の校正方法は、本実施例に限定されることはなく、本発明の主旨、作用および効果が同一でありながら、種々の変形が許容される。
熱型赤外線センサを用いた体温計である鼓膜温度センサや放射温度計では、被測定物体の温度を小型で安価に計測するために、チョッパ無しで測定したいという要望がある。この場合、熱電対は、基本的に温度差のみを検出できるので、熱電対に赤外線吸収膜を備えた熱型赤外線センサとして利用すれば、その赤外線量を温度上昇分として検出してターゲットの温度を計測するのに好都合である。もちろん、温度センサの基準となる冷接点の絶対温度を知る必要があるが、この基準温度は、サーミスタを用いて絶対温度として検出しておき、この基準温度からの赤外線受光による温度上昇のみ(温度差のみ)を検出した方が、絶対温度だけを計測するサーミスタだけを用いるよりも、各種の校正において有利である。これは、サーミスタでは、温度差を検出するのに必ず補償素子を必要とするからである。
従来、このために1本の熱電対では、感度が極めて小さいので、熱電対を多数直列接続し、それぞれの開放熱起電力が足し算になり、出力電圧の増加が見込めるサーモパイルを用いていた。しかし、サーモパイルは、極めて細い熱電対のパターン(例えば、2μm幅)を形成する必要があり、そのラインとスペースの幅が精度を要求し、高度な技術と高価な設備を必要としていた。
これに対し、本願発明に係わる温度差の検出方法では、熱電対を電流検出型として利用するので、可能な限り内部抵抗の小さい材料で構成された熱電対を用い、ゼーベック係数が大きく、熱伝導率が小さな材料の薄膜で熱電対を構成し、この熱電対に流れる電流の内部抵抗が無視できる電流検出手段を用いて計測するものであるから、小さな熱起電力でも大きな電流が流れるので、高感度になる。しかしながら、特に半導体を利用した熱電対では、そのゼーベック係数が、不純物濃度とその分布及び不純物の種類などにより微妙に異なり、更に、内部抵抗が異なるので、何らかの校正が必要となった。
本発明の電流検出型熱電対とその校正方法では、校正用熱電対と検出用熱電対とは、同一の基板に、かつ同時に形成した薄膜熱電対を用いることができるので、ヒータなどでの温度差形成により検出用熱電対と同一の性質を有する校正用熱電対を用いて高精度で校正することができるという利点があり、更に、検出用熱電対単体では校正が困難な耳式体温計などの赤外線を利用した放射温度計などが、上述の校正用熱電対を具備した高精度なセンサチップを用いることにより安価に提供できる。
高精度の演算増幅器を用いるとそれほど問題にならないが、安価な演算増幅器を使用するときには、温度ドリフトなどに基づくオフセットの変動が生じ、極めて微小な入力電流を検出するときには、その補正と校正が必要になる。しかしながら、本願発明に係わる電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法では、別に形成した熱電対や所定の抵抗を用いて高精度に補正し、校正できるので、高精度な温度差計測用のセンサが提供できる。
温度差の検出方法では、熱電対を電流検出型として利用するので、可能な限り内部抵抗の小さい材料で構成された熱電対を用い、ゼーベック係数が大きく、熱伝導率が小さな材料の薄膜で熱電対を構成し、この熱電対に流れる電流の内部抵抗が無視できる電流検出手段を用いて計測するものであるから、小さな熱起電力でも大きな電流が流れるので、高感度になる。
また、熱電対を複数備えた熱型赤外線センサのアレーとして用いる、例えば、イメージセンサなどにおいては、各熱電対をスイッチで切り替えて時系列で選択してそれぞれの出力を表示する必要がある。本発明の電流検出型熱電対において、熱電対を演算増幅器の反転入力側に取り付ける構成でも、その各熱電対にスイッチを直列接続して用いてもよいが、スイッチの内部抵抗が大きい場合に問題となるので、各熱電対とこれに直列接続したスイッチを演算増幅器の非反転入力側に取り付けること、所望の小さい抵抗値の抵抗rを熱電対の代わりに演算増幅器の反転入力側に取り付けることによるスイッチの内部抵抗を無視できるように回路構成する、所謂、抵抗rを熱電対の等価的な内部抵抗に見えるようにする等価的な電流検出型熱電対を提案した。この等価的な電流検出型熱電対により、熱電対の内部抵抗が多少大きくなっても、また、スイッチの内部抵抗も多少大きくとも、それらの内部抵抗は、演算増幅器の反転入力側に取り付けた小さな抵抗rの値として取り扱うことができるので、好都合である。
本発明の電流検出型熱電対では、熱型赤外線センサとして利用したときにその受光部の下に熱型赤外線センサのスイッチなどを含む周辺回路を集積回路として備えることにより、受光部のセンサチップの実質的な面積割合を大きくできるので、高感度でS/Nの大きい熱型赤外線センサが提供できる。
本発明の電流検出型熱電対では、基板に絶対温度センサも組み込むことができること、また、この絶対温度センサも、ダイオードやトランジスタなどの半導体接合を用いたものにすることに好適であるので、全て、成熟した半導体微細加工技術で、しかも、現在の集積回路の主流であるシリコン単結晶を利用できるので、高精度なセンサチップが安価に提供できる。
本発明の電流検出型熱電対とその校正方法を説明するための電流検出型熱電対を搭載したセンサチップの一実施例の斜視概略図である。(実施例1) 図1における検出用熱電対20を通る断面の概略図である。(実施例1) 本発明の電流検出型熱電対の測定回路の一実施例である。(実施例1) 本発明の電流検出型熱電対の測定回路の他の一実施例である。(実施例1) 本発明の電流検出型熱電対とその校正方法を説明するための電流検出型熱電対を搭載したセンサチップの他の一実施例の斜視概略図である。(実施例2) 本発明の電流検出型熱電対を熱型赤外線センサとして実施した場合のセンサチップの一実施例の平面概略図を示す。(実施例4) 図6におけるA−A線における横断面図の概略図を示す。(実施例4) 本発明の電流検出型熱電対を高速で大受光面積となる熱型赤外線センサとしての一実施例である。(実施例5) 本発明の電流検出型熱電対の一実施例を示す概略回路図である。(実施例6) 本発明の等価的な電流検出型熱電対の一実施例の回路構成で熱型赤外線センサに応用した場合を示す。(実施例7) 本発明の等価的な電流検出型熱電対の他の一実施例の回路構成で、熱型赤外線センサに応用した場合を示す。(実施例8) 本発明の等価的な電流検出型熱電対の一実施例で、熱型赤外線センサに応用した場合を示す。(実施例9) 熱電対120と演算増幅器(OPアンプ)との組み合わせによるユニットの概略図である。(実施例10) 本発明の電流検出型熱電対を熱型赤外線センサに応用した場合の一実施例を示す断面概略図である。(実施例11) 本発明の電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法を説明するための電流検出型の熱電対を搭載したセンサチップの一実施例の平面概略図と回路の概略図を示す。(実施例12) 本発明の電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法を説明するための他の一実施例におけるセンサチップの平面概略図を示す。(実施例13) 本発明の電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法の他の一実施例の回路概略図を示す。(実施例14)
1 センサチップ
5 薄膜
10 基板
11 SOI層
12 BOX層
15 下地基板
16 カンチレバ支持部
20 検出用熱電対
20R 参照用熱電対
20A,20B、20R 導体
21 校正用熱電対
21A,21B 導体
22 n型拡散領域
25 接合部
26 温接点
27 冷接点
30 カンチレバ
31 梁
40 空洞
41 溝
50、51、51、52 絶縁薄膜
55 犠牲層
60、60A、60B 電極
61 合金層
62 オーム性コンタクト
70、70A、70B、70R 電極パッド
80、80A、80B 電極パッド
90、90A、90B 電極パッド
100 絶対温度センサ
101、102 温度センサ
105 pn接合ダイオード
110 配線
111 垂直配線
112 水平配線
115A、115B 端子
120 熱電対
120A,120B 導体
130 カンチレバアレー
150 ヒータ
170 抵抗
200 赤外線吸収膜
210 受光部
300 集積回路
310 スイッチ

Claims (19)

  1. 一対の熱電対の短絡電流を利用して温度差を検出する電流検出型熱電対の校正方法において、検出用熱電対と同一の熱電対材料で形成した校正用熱電対を用い、加熱手段により校正用熱電対の温接点と冷接点となる二つの接合部間に任意の温度差△Trを発生させて、この前記温度差△Trを測定して、そのときの校正用熱電対の開放起電力Vrから校正用熱電対の絶対熱電能Eroを求めておくこと、検出用熱電対も同一の絶対熱電能Eroを有すると見做すこと、検出用熱電対を含む系の被測定温度付近における内部抵抗rを測定すること、検出用熱電対を演算増幅器の反転入力端子に接続し、該演算増幅器の仮想短絡を利用して、検出用熱電対に発生している被測定温度差△Tsによる短絡電流値Iを計測し、上記の校正用熱電対の絶対熱電能Eroと内部抵抗rを使用して被測定温度差△Tsを求めるようにしたこと、を特徴とする電流検出型熱電対の校正方法。
  2. 校正用熱電対と検出用熱電対とは、同一の基板に形成した薄膜熱電対である請求項1に記載の電流検出型熱電対の校正方法。
  3. 加熱手段としてヒータを用いた請求項1または2のいずれかに記載の電流検出型熱電対の校正方法。
  4. 校正用熱電対の二つの接合部間の温度差△Trを、少なくとも校正用熱電対と同一基板に形成した一対の温度センサで計測した請求項1から3のいずれかに記載の電流検出型熱電対の校正方法。
  5. 熱電対を構成する導体のうち、少なくとも一方の導体を、縮退する程度に高い密度の不純物を添加して、低抵抗化した半導体を用いた請求項1から4のいずれかに記載の電流検出型熱電対の校正方法。
  6. 検出用薄膜熱電対の接合部を基板から熱分離した薄膜に形成し、熱電対の他端を基板上に形成した請求項1から5のいずれかに記載の電流検出型熱電対の校正方法。
  7. 熱電対の短絡電流を利用して温度差を検出する電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法において、熱起電力が無視できる所定の抵抗を備え、該抵抗を電流検出型の熱電対と同一もしくは異なる演算増幅器の入力段に接続できるようにしてあり、該熱電対による演算増幅器の出力と、該抵抗による演算増幅器の出力とを比較できるように構成して、これらの比較データを基にして演算増幅器のオフセットを校正するようにしたことを特徴とする演算増幅器のオフセットの校正方法。
  8. 演算増幅器のオフセットの校正方法において、一つの演算増幅器を用い、その入力段に接続している熱電対の代わりに所定の抵抗に切り替えることができるように構成してあり、所定の抵抗に切り替えたときのデータを基にして校正するようにした請求項7記載の演算増幅器のオフセットの校正方法。
  9. 熱電対の短絡電流を利用して温度差を検出する電流検出型熱電対の短絡電流検出用の演算増幅器のオフセットの校正方法において、同一の被測定温度差△Tsが生じる箇所に二対の熱電対が互いに逆向きの接続できるよう形成してあり、一方の熱電対で被測定温度差△Tsを計測し、熱起電力が互いに打ち消し合うように互いに逆向きの接続したときに演算増幅器のオフセットが校正できるようにしたことを特徴とする演算増幅器のオフセットの校正方法。
  10. 熱電対の短絡電流を利用して温度差を検出する電流検出型熱電対において、基板から熱分離した薄膜に該熱電対の一端となる接合部が形成されていること、該熱電対の他端は基板に形成してあること、該熱電対を構成する導体は、5x10−2Ω・cm以下の低抵抗率を有する導体であること、該熱電対を構成する二つの導体は、絶縁膜を挟んだサンドイッチ構造であること、該サンドイッチ構造の複数の梁で上記接合部を有する薄膜を支持する構造であることを特徴とする電流検出型熱電対。
  11. 熱電対に流れる短絡電流を利用して温度差を検出する電流検出型熱電対であって、複数個のそれぞれの熱電対にそれぞれ直列接続したスイッチを用いて、それぞれの熱電対の出力が独立に取り出せるように構成したこと、これらの熱電対が演算増幅器の反転入力端子に接続されていること、熱電対に流れる短絡電流が計測できるように演算増幅器の仮想短絡が利用できるように構成したこと、を特徴とする電流検出型熱電対。
  12. 一対の熱電対、もしくは複数の熱電対を直列接続した熱電対を演算増幅器の非反転入力端子に接続し、抵抗rを演算増幅器の反転入力端子に接続してあること、該演算増幅器の仮想短絡を利用して、該抵抗rには、該熱電対の被測定温度差△Tsに基づく開放熱起電力Vsが直接印加され、該開放熱起電力Vsに基づく短絡電流Isが流れ、更に、その短絡電流Isの値は、等価内部抵抗rsとしての抵抗rの値で該開放熱起電力Vsを除した値となるようにしたこと、該演算増幅器の反転入力端子と出力端子間に接続した帰還抵抗Rfにも該短絡電流Isが流れるように構成したこと、これらのことがらに基づく該演算増幅器の出力電圧から被測定温度差△Tsが算出できるようにしたこと、を特徴とする等価的な電流検出型熱電対。
  13. 抵抗rが、熱電対の実際の内部抵抗rs0より小さくなるようにした請求項12記載の電流検出型熱電対。
  14. 熱電対を複数個備えてあり、該複数個のそれぞれの熱電対にそれぞれ直列接続したスイッチを用いて、それぞれの熱電対の出力が独立に取り出せるように構成した請求項12または13のいずれかに記載の電流検出型熱電対。
  15. 演算増幅器の仮想短絡を利用して、一対の熱電対に流れる短絡電流を検出して温度差を検出できるようにした電流検出型熱電対を、1つのユニットとして用いること、該ユニットを複数個備えてあること、該複数個のそれぞれのユニットにそれぞれ直列接続したスイッチを用いて、それぞれのユニットの出力が独立に取り出せるように構成したこと、を特徴とする電流検出型熱電対。
  16. 基板から熱分離した薄膜に該熱電対の接合部が形成されている請求項11から15のいずれかに記載の電流検出型熱電対。
  17. 熱電対を構成している二種類の導体であって、薄膜を支持している複数の梁を通して基板に導かれたこれらの二種類の導体は、基板上において5x10−2Ω・cm以下の低抵抗率を有する導体を用いて、それぞれ一括されて二端子となるように構成した請求項10または16のいずれかに記載の電流検出型熱電対。
  18. 基板に形成された薄膜の複数のカンチレバのそれぞれに、少なくとも一対の熱電対が搭載していること、これらの複数のカンチレバのそれぞれに形成されている熱電対が、さらに並列に接続されて一括して二端子となるように構成していること、演算増幅器の仮想短絡を利用して、前記二端子間の熱電対に流れる短絡電流を検出して温度差を検出できるようにしていること、を特徴とする電流検出型熱電対。
  19. 熱電対が形成されている薄膜を支持している基板に絶対温度センサを設けて、基板温度が計測できるようにした請求項10、もしくは16から18のいずれかに記載の電流検出型熱電対。
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