JP4887721B2 - 車両走行状態推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の走行状態を推定する車両走行状態推定装置の技術分野に属する。
従来の車両走行状態推定装置では、車両横滑り角とヨーレイトから車両モデルを用いて車両横滑り角を推定する車両モデルと、車両横滑り角とヨーレイトとに基づく積分演算により車両横滑り角を演算する積分演算機能とを備え、車両モデルにより算出された車両横滑り角推定値の値に応じて、積分演算の時定数を調整している(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−332934号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、車両横滑り角とタイヤ特性との関係性は、路面μにより変化するため、高精度な路面μ推定またはタイヤコーナリングパワーの推定が必要になるが、実現が困難であり、特に低μ路での横滑り角の推定精度が低いという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、路面μの推定精度に依存することなく、高精度な車両横滑り角の推定を実現できる車両走行状態推定装置を提供することになる。
上述の目的を達成するため、本発明では、
操舵角を入力変数とし、車両のヨーレイト、横加速度および車両横滑り角を状態変数とし、ヨーレイトと横加速度を参照入力とするオブザーバ手法を用いて車両横滑り角を推定するオブザーバを備えた車両走行状態推定装置において、
前記オブザーバは、少なくともオブザーバゲインから構成され、前記オブザーバゲインのヨーレイトに係る要素を、横加速度に係る要素よりも大きな値に設定し、
前記オブザーバの横加速度推定値と実際の横加速度との偏差が発生した瞬間のタイヤ横滑り角を算出し、路面μに応じたタイヤ横滑り角とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性が線形と非線形の境目となるタイヤ横滑り角と路面μとの関係を参照して路面μを推定する走行状態推定手段を備えたことを特徴とする。
本発明にあっては、オブザーバゲインのヨーレイトに係る要素が、横加速度に係る要素よりも大きな値に設定される。すなわち、オブザーバゲインのヨーレイトに係る要素を大きくし、横加速度に係る要素を小さくすることで、オブザーバのモデル化誤差を、横加速度推定値に押し込むことができる。これにより、ヨーレイト推定値および車両横滑り角推定値を、実際の値に近づけることができ、この結果、路面μの推定精度に依存することなく高精度な車両横滑り角の推定を実現できる。そして、オブザーバの横加速度推定値と実際の横加速度との偏差が発生した瞬間のタイヤ横滑り角を算出し、路面μに応じたタイヤ横滑り角とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性が線形と非線形の境目となるタイヤ横滑り角と路面μとの関係を参照して路面μを推定するため、スリップなどの不安定挙動が発生する前の段階で路面μを推定でき、路面μに応じた最適な車両挙動制御を実現できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両走行状態推定装置を適用した車両用操舵装置の構成図である。この車両用操舵装置は、手動操舵力発生装置1と、車両走行状態推定装置(走行状態推定手段)2とを備えている。ステアリングホイール3と一体結合されたステアリングシャフト4は、そのシャフト上に操舵角センサ(操舵角検出手段)5を有し、ステアリングシャフト4の先端にはラック・アンド・ピニオン機構のピニオン6が連結され、ピニオン6に噛合して車幅方向に往復運動し得るラック7の両端に、タイロッド8,9を介して左右の前輪10,11のナックルアームが連結されている。これにより、通常のラック・アンド・ピニオン式の転舵操作を可能としている。
また、実施例1の車両用操舵装置は、車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ(ヨーレイト検出手段)12と、車両の横加速度を検出する横加速度センサ(横加速度検出手段)13と、車速を検出する車速センサ(車速検出手段)14とを備えている。
車両走行状態推定装置2は、操舵角センサ5、ヨーレイトセンサ12、横加速度センサ13および車速センサ14からの情報を基に、車両横滑り角、路面μ等の車両の走行状態を推定する。推定された車両横滑り角、路面μ等は、例えば、ABSや車両挙動安定化のための制駆動力制御等に用いられる。
図2は、車両走行状態推定装置2の線形2入力オブザーバ(以下、オブザーバ)15のブロック線図であり、オブザーバ15は、操舵角θと車速Vを入力変数とし、車両のヨーレイトγ、横加速度Gyおよび車両横滑り角βを状態変数とし、ヨーレイトγと横加速度Gyを参照入力とするオブザーバ手法を用いて車両横滑り角β^を推定する。
オブザーバ15は、4つのマトリクスブロックA,B,C,Dと、比較器ブロック15aと、積分器ブロック15bと、加算器ブロック15cと、比較器ブロック15dと、オブザーバゲインブロック15eと、を備えている。
マトリクスブロックA,B,C,Dは、車両の線形2輪モデルより決まる行列である(後述の数1参照)。比較器ブロック15aは、マトリクスブロックAの出力とマトリクスブロックBの出力との加算値から、オブザーバゲインブロック15eの出力を減算した値を出力する。
積分器ブロック15bは、比較器ブロック15aの出力x'^を入力とし、x^を出力とする。加算器ブロック15cは、マトリクスブロックCの出力とマトリクスブロックDの出力とを加算し、ヨーレイト推定値γ^と横加速度推定値Gy^を出力する。比較器ブロック15dは、ヨーレイト推定値γ^と実際のヨーレイトγとの偏差Δγと、横加速度推定値Gy^と横加速度Gyとの偏差ΔGyをそれぞれ出力する。
オブザーバゲインブロック15eは、ヨーレイトの偏差Δγと、横加速度の偏差ΔGyにオブザーバゲインKを乗算し、モデル化誤差をなくすための補正量を出力する。ここで、実施例1では、オブザーバゲインKのヨーレイトに係る要素を、設計可能範囲(推定値が発散しない範囲)で最大値となるように設定している。
次に、作用を説明する。
[車両横滑り角β推定ロジック]
オブザーバ15の基となる車両の2輪モデルは、横方向の力とモーメントのつりあいより、下記の式で示される。
mV(β'+γ) = -Cpf(β + lf・γ/V - δ)-Cpr(β - lr・γ/V)
Iγ' = -Cpf(β + lf・γ/V- δ)lf + Cpr(β - lr・γ/V)lr
これを、状態方程式の形に書き直し、入力uをタイヤ舵角とし、出力方程式の出力をヨーレイトと横加速度とすると、下記のようになる。
Figure 0004887721
ただし、各記号の意味は以下の通りである。
m:車両質量
I:ヨー慣性モーメント
lf:車両重心点と前車軸間の距離
lr:車両重心点と後車軸間の距離
Cpf:前輪コーナリングパワー(左右合計)
Cpr:後輪コーナリングパワー(左右合計)
V:車速
β:横滑り角
γ:ヨーレイト
Gy:横加速度
a11,a12,b1:マトリクスA,Bの各要素
この状態方程式を元に、車両横滑り角βを推定する線形2入力オブザーバを設計する。オブザーバへの入力は横加速度Gyとヨーレイトγとし、上述したように、実施例1では、オブザーバゲインKのヨーレイトγに係る要素を設計可能な(ヨーレイト推定値γ^が発散しない)最大値とする。
すなわち、オブザーバゲインKのヨーレイトγに係る要素を最大値とすることにより、ヨーレイトモデル化誤差γ^≒0とし、同時に、車両横滑り角推定値β^の精度を高めることができる。言い換えると、モデル化誤差の影響を全て横加速度推定値Gy^に押し込むことで、精度の高い車両横滑り角推定値β^の算出が可能となる。
[路面μ推定ロジック]
実施例1の車両走行状態推定装置2では、モデル化誤差を含んだ横加速度推定値Gy^と横加速度センサ13による実測値Gyとの間の偏差ΔGyと、タイヤ特性とに着目するとことで、路面μ推定が可能となる。
図3に、路面μによるタイヤ特性の変化を、タイヤ横滑り角βtとタイヤ横力Fyのグラフで示す。一般に、タイヤ横滑り角βtが所定値以下の領域においては、タイヤ特性は路面μにかかわらず線形特性となる。しかし、タイヤ横滑り角βtが大きくなるにつれて非線形性が高くなるが、このタイヤ特性の線形域と非線形域の境目となるタイヤ横滑り角は、路面μによって一意に決まる。
実施例1では、車両走行状態推定装置2内にあらかじめ上記境界となるタイヤ横滑り角βtと路面μの関係性を、図4に示すβt−μマップで与えておく。そして、横加速度推定値Gy^と実測値Gy間に偏差ΔGyが発生したときのタイヤ横滑り角βt0を算出し、この値からβt−μマップを参照して路面μを推定する。
[路面μ推定制御処理]
図5は、実施例1の車両走行状態推定装置2で実行される路面μ推定制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、車両横滑り角推定値β^と、横加速度推定値Gy^と実測値Gyとの偏差ΔGyとを算出し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS1で算出された偏差ΔGyがゼロであるか否かを判定する。YESの場合にはリターンへ移行し、NOの場合にはステップS3へ移行する。
ステップS3では、偏差ΔGy発生時のタイヤ横滑り角βt0を算出し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、ステップS3で算出されたタイヤ横滑り角βt0から、βt−μマップを参照して路面μを算出し、リターンへ移行する。
[モデル化誤差に基づく路面μ推定作用]
従来の車両走行状態推定装置(例えば、特開平8−332934号公報等)では、車両横滑り角は不安定挙動の発生と共に増加するため、推定結果のみから不安定挙動の事前予測ができないという問題があった。
これに対し、実施例1では、車両に不安定挙動が起こる際、その前に必ずタイヤ特性は線形域から非線形域へと移行し、オブザーバにモデル化誤差が発生する点に着目し、モデル化誤差に基づいて路面μを推定するため、スリップなどの不安定挙動が発生する前に、早い段階で路面μを推定することができる。よって、不安定挙動発生前に路面μの推定が可能となることで、車両が不安定となる前に先手を打つことが可能となり、路面μに応じた制御を行う場合には大変有効である。
[車両横滑り角推定作用]
図6,7は、高μ路(μ=1.0)と低μ路(μ=0.2)とで加速円旋回(旋回半径R=15m)を行った際の車両挙動と車両横滑り角βの推定結果であり、図6,7に示すように、タイヤ限界時の横滑り角は、路面μにより異なるが、実施例1では、路面μの大小にかかわらず、特にタイヤの限界域を超えた領域においても、車両横滑り角推定値β^が計測値βとほぼ一致しているのがわかる。
また、低μ路(μ=0.5)でステップ操舵(タイヤ舵角3deg,V=100km/h)を行った場合においても、実施例1の手法を用いることで、従来手法を用いた場合と比較して、高精度の車両横滑り推定値β^が得られる(図8)。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両走行状態推定装置にあっては、以下に列挙する効果を奏する。
(1) オブザーバ15は、オブザーバゲインKのヨーレイトγに係る要素を、横加速度Gyに係る要素よりも大きな値に設定する。よって、路面μの推定精度に依存することなく高精度な車両横滑り角βの推定を実現できる。また、誤差を含んだ横加速度Gy^と実際の横加速度Gyとの偏差を用いて、高精度な路面μ、タイヤコーナリングパワーCp、不安定挙動の推定を行うことができるため、不安定挙動発生前に先手を打つことが可能となり、車両挙動の不安定化を抑制することができる。
(2) オブザーバ15は、オブザーバゲインKのヨーレイトに係る要素を、状態変数(γ^,Gy^,β^)が発散しない範囲で最大値とするため、ヨーレイトモデル化誤差γ^をほぼゼロにでき、車両横滑り角推定値β^の推定精度を最大限に高めることができる。
(3) オブザーバ15の横加速度推定値Gy^と実際の横加速度Gyとの偏差が発生した瞬間のタイヤ横滑り角βt 0 と、タイヤ特性が線形または非線形の境界となるタイヤ横滑り角β t と路面μとの関係(図4のβt−μマップ)にと基づいて、路面μを推定する走行状態推定手段(ステップS4)を備える。よって、スリップなどの不安定挙動が発生する前の早い段階で路面μを推定することができるため、路面μに対応した最適な車両挙動制御を実現できる。
実施例2は、走行中の車両状態が限界域までどの程度の余裕があるかを定量的に判別する例である。なお、構成については、図1に示した実施例1と同様であるため、図示並びに構成の説明は省略する。
次に、作用を説明する。
[車両限界余力判定作用]
実施例2では、モデル化誤差を含んだ横加速度推定値Gy^と横加速度センサ13による実測値Gyとの間の偏差ΔGyとタイヤ特性に着目することで、走行中の車両状態が限界域までどの程度の余裕があるかを定量的に判別する。
車両走行状態推定装置2は、横加速度推定値Gy^と実際の横加速度Gyとの偏差ΔGyに、タイヤ特性から算出されるしきい値を設け、このしきい値と走行中の偏差ΔGyとを比較することで、車両の限界(不安定挙動の発生)までの余力を判定する。
図9に示すように、タイヤの出せる横力には限界があり、この最大横力は路面μにより異なる。また、そのときのタイヤ横滑り角βtも路面μにより異なる。そのため、従来の車両横滑り角βやヨーレイトγの観察では、単純にタイヤ横滑り角βtだけを観察しても車両の限界判定を行うことはできない。
これに対し、実施例2では、タイヤ横力が限界となる横滑り角のとき、タイヤ特性は必ず非線形域にあることに着目する。つまり、タイヤが限界に達するのに先行して、必ずモデル化誤差が発生すると言える。また、そのモデル化誤差の影響は全て横加速度推定値Gy^に反映されていることより、横加速度推定値Gy^と実測値Gyとの偏差ΔGyと前後輪で発生する横力のモデル化誤差ΔFyf,ΔFyrは、下記の関係を満たす。
m×ΔGy=ΔFyf+ΔFyr
また、図9より、前後輪で発生する横力のモデル化誤差ΔFyf・ΔFyrがある値以上の領域では、タイヤ横力は飽和し、それ以上の力を発生できなくなることがわかる。そこで、このタイヤ特性に応じた偏差ΔGyのしきい値を設けることで、車両挙動が不安定になるまでの指標とすることができる。また、実施例1で述べたような路面μ推定も同時に行い、偏差ΔGyのしきい値を路面μの関数とすることで、より正確な限界域までの余裕を判定することも可能である。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両走行状態推定装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(3)に加え、以下の効果を奏する。
(4) オブザーバ15の横加速度推定値Gy^と実際の横加速度Gyとの偏差ΔGyに、タイヤ特性から算出されるしきい値を設け、このしきい値と走行中の偏差ΔGyとを比較することで、車両の限界(不安定挙動の発生)までの余力を判定する車両走行状態推定装置2を備える。よって、不安定挙動発生前の段階でより正確な限界域までの余裕を判定することができ、予測される不安定化にいち早く対処することが可能となる。
実施例3は、タイヤコーナリングパワーと路面μの推定を行う例である。なお、構成については、図1に示した実施例1と同様であるため、図示並びに構成の説明は省略する。
次に、作用を説明する。
[路面μ・タイヤCp推定ロジック]
実施例3では、モデル化誤差を含んだ横加速度推定値Gy^と横加速度センサ13による実測値Gyとの間の偏差ΔGyとタイヤ特性に着目することで、タイヤコーナリングパワー(Cp)と路面μの推定を行う。そして、推定したタイヤCp、路面μ等に基づいて、オブザーバ15内の各パラメータを調整する。
[路面μ・タイヤCp推定制御処理]
図10は、実施例3の車両走行状態推定装置2で実行される路面μ推定制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図5に示した実施例1と同一内容のステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS11では、ステップS1で算出された車両横滑り角推定値β^より、前輪横滑り角βfと後輪横滑り角βrをそれぞれ算出し、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、例えば、図11に示すようなMagic Formulaタイヤモデル等を用いたタイヤ特性曲線に、任意のμ(例えばμ=1.0)を代入し、ステップS13へ移行する。
ステップS13では、タイヤ特性曲線よりモデルCpに対する前輪コーナリングパワー変化量ΔCpfと後輪コーナリングパワー変化量ΔCprをそれぞれ算出し、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、ステップS12で仮定したμで計算されたモデル化誤差により求まる偏差ΔGy*と、実際の偏差ΔGyとが一致するか否かを判定する。YESの場合にはステップS15へ移行し、NOの場合にはステップS12へ移行する。
ステップS15では、ステップS12で仮定したμを路面μの推定値とし、ステップS16へ移行する。
ステップS16では、モデルCpからコーナリングパワー変化量ΔCpを減算した値を、タイヤコーナリングパワー推定値Cpとし、リターンへ移行する。
すなわち、実施例3では、横加速度推定値Gy^と実測値Gyとに偏差ΔGyが発生したときの前後輪タイヤ滑り角βf,βrを算出する(ステップS11)。次に、あらかじめ車両走行状態推定装置2に与えておいたタイヤ特性曲線(図11)に対し、任意の路面μを仮に代入し(ステップS12)、この仮のμで計算したモデル化誤差より求まる偏差ΔGy*と、実際の偏差ΔGyとを比較し(ステップS14)、両者を一致させるμを繰り返し計算する(ステップS12→ステップS14)。なお、偏差ΔGy*とタイヤ特性のモデル化誤差は、以下の関係にある。
Figure 0004887721
以上より、走行中の車両横滑り角を推定すると共に、路面μとタイヤCpの推定も行うことができる。さらに、実施例3では、推定した結果に基づいてオブザーバ15内のパラメータを調整することで、さらに精度の高い車両の状態推定も可能となる。
次に、効果を説明する。
実施例3の車両走行状態推定装置にあっては、実施例1の効果(1),(2)に加え、以下の効果を奏する。
(5) オブザーバ15の横加速度推定値Gy^と実際の横加速度Gyとの偏差ΔGyと、路面μに応じたタイヤ特性曲線とオブザーバ15で用いられるタイヤCpとの偏差から求まる横加速度推定誤差ΔGy*とに基づいて、路面μおよびタイヤCpを推定する車両走行状態推定装置2を備える。よって、路面μとあわせてタイヤCpの推定も実現できる。
(6) 車両走行状態推定装置2は、推定車両横滑り角β^から推定した路面μ、タイヤCpに基づいて、オブザーバ15内の車両パラメータを調整する。すなわち、推定した車両パラメータをオブザーバ15に返すことにより、モデル化誤差を減らすことが可能であるため、より精度の高い車両横滑り角βの推定が可能となる。

(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1〜3に限定されるものではなく、例えば、実施例1〜3では、操舵角と車速をオブザーバの入力変数とした例を示したが、操舵角のみを入力変数としてもよい。
実施例1の車両走行状態推定装置を適用した車両用操舵装置の構成図である。 車両走行状態推定装置2の線形2入力オブザーバ(以下、オブザーバ)15のブロック線図である。 路面μに応じたタイヤ特性図である。 タイヤ横滑り角と路面μの関係性を示すβt−μマップ図である。 実施例1の車両走行状態推定装置2で実行される路面μ推定制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の加速円旋回時(μ=1.0,R=15m)の車両横滑り角推定作用を示すタイムチャートである。 実施例1の加速円旋回時(μ=0.2,R=15m)の車両横滑り角推定作用を示すタイムチャートである。 実施例1のステップ操舵時(μ=0.5,V=100km/h)の車両横滑り角推定作用を示すタイムチャートである。 タイヤ横滑り角とタイヤ横力との関係を示す図である。 実施例3の車両走行状態推定装置2で実行される路面μ推定制御処理の流れを示すフローチャートである。 Magic Formulaタイヤモデル等を用いたタイヤ特性図である。
符号の説明
1 手動操舵力発生装置
2 車両走行状態推定装置
3 ステアリングホイール
4 ステアリングシャフト
5 操舵角センサ
6 ピニオン
7 ラック
8,9 タイロッド
10,11 前輪
12 ヨーレイトセンサ
13 横加速度センサ
14 車速センサ
15 2輪モデル
16 線形2入力オブザーバ

Claims (7)

  1. 操舵角を入力変数とし、車両のヨーレイト、横加速度および車両横滑り角を状態変数とし、ヨーレイトと横加速度を参照入力とするオブザーバ手法を用いて車両横滑り角を推定するオブザーバを備えた車両走行状態推定装置において、
    前記オブザーバは、少なくともオブザーバゲインから構成され、前記オブザーバゲインのヨーレイトに係る要素を、横加速度に係る要素よりも大きな値に設定し、
    前記オブザーバの横加速度推定値と実際の横加速度との偏差が発生した瞬間のタイヤ横滑り角を算出し、路面μに応じたタイヤ横滑り角とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性が線形と非線形の境目となるタイヤ横滑り角と路面μとの関係を参照して路面μを推定する走行状態推定手段を備えたことを特徴とする車両走行状態推定装置。
  2. 請求項1に記載の車両走行状態推定装置において、
    前記オブザーバは、オブザーバゲインのヨーレイトに係る要素を、状態変数が発散しない範囲で最大値とすることを特徴とする車両走行状態推定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両走行状態推定装置において、
    前記走行状態推定手段は、前記オブザーバの横加速度推定値と実際の横加速度との偏差に、前記タイヤ特性でタイヤ横滑り角の増加に対してタイヤ横力が飽和したときに前後輪で発生するタイヤ横力のモデル化誤差の和に比例したしきい値を設け、このしきい値と走行中の前記偏差とを比較することで、車両の限界までの余力を判定することを特徴とする車両走行状態推定装置。
  4. 操舵角を入力変数とし、車両のヨーレイト、横加速度および車両横滑り角を状態変数とし、ヨーレイトと横加速度を参照入力とするオブザーバ手法を用いて車両横滑り角を推定するオブザーバを備えた車両走行状態推定装置において、
    前記オブザーバは、少なくともオブザーバゲインから構成され、前記オブザーバゲインのヨーレイトに係る要素を、横加速度に係る要素よりも大きな値に設定し、
    前記オブザーバの横加速度推定値と実際の横加速度との偏差と、路面μに応じたタイヤ横滑り角とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性に任意の値の路面μを代入したときのモデル化誤差から求まる横加速度推定誤差とを比較し、両者が一致したときに前記タイヤ特性に代入した値を路面μとして推定する走行状態推定手段を備えたことを特徴とする車両走行状態推定装置。
  5. 請求項に記載の車両走行状態推定装置において、
    前記走行状態推定手段は、推定車両横滑り角からタイヤ横滑り角を算出し、推定した路面μに応じたタイヤ横滑り角とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性を参照してコーナリングパワー変化量を算出し、オブザーバのコーナリングパワーから前記コーナリングパワー変化量を減算した値をコーナリングパワーとして推定することを特徴とする車両走行状態推定装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の車両走行状態推定装置において、
    前記走行状態推定手段は、推定車両横滑り角から推定した各車両パラメータに基づいて、前記オブザーバ内の車両パラメータを調整することを特徴とする車両走行状態推定装置。
  7. 操舵角を入力変数とし、車両のヨーレイト、横加速度および車両横滑り角を状態変数とし、ヨーレイトと横加速度を参照入力とするオブザーバ手法を用いて車両横滑り角を推定するオブザーバを備えた車両走行状態推定装置において、
    前記オブザーバのオブザーバゲインのヨーレイトに係る要素を、横加速度に係る要素よりも大きな値に設定し、
    前記オブザーバの横加速度推定値と実際の横加速度との偏差が発生した瞬間のタイヤ横滑り角と、路面μに応じたタイヤ横滑り角とタイヤ横力との関係を表すタイヤ特性が線形と非線形の境目となるタイヤ横滑り角と路面μとの関係とに基づいて、路面μを推定することを特徴とする車両走行状態推定装置。
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