JPH05193510A - 車両用舵角制御装置 - Google Patents

車両用舵角制御装置

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JPH05193510A
JPH05193510A JP766192A JP766192A JPH05193510A JP H05193510 A JPH05193510 A JP H05193510A JP 766192 A JP766192 A JP 766192A JP 766192 A JP766192 A JP 766192A JP H05193510 A JPH05193510 A JP H05193510A
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Akira Higashimata
章 東又
Yoshiki Yasuno
芳樹 安野
Takeshi Ito
健 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車輪横滑り角が大となる高速・大舵角時の領
域でも、操安性の一層の向上が図れ、制御領域を拡大し
得て制御効果を十分に発揮させる装置を得る。 【構成】 制御装置は、走行中の車両の前輪及び後輪の
横滑り角を算出する機能、算出横滑り角に応じ車輪のコ
−ナリングパワ−に相当する値を推定または補正する機
能、予め車両諸元及び運動方程式によって設定され、か
つ前記の推定または補正されたコ−ナリングパワ−相当
値に応じて可変する車両モデルを有する。車両運動目標
設定部5aは、車両モデルに操舵角、車速検出値を与えた
とき定常的に発生する値を目標定常値とする。車輪横滑
り角が大となる高速・大舵角時においても車両の運動に
関する被制御量の目標値は現実的な値となり、オーバシ
ュートなどが生じず、車両操縦性、安定性を改善でき
る。制御領域は拡大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両の操安性を向上させ
るための舵角制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両の舵角制御装置として、例えば特開
昭61-67665号公報に記載の如くの舵角制御が、本出願人
によって提案されている。上記技術においては、例え
ば、後輪舵角制御の場合なら、車速及び操舵角等から走
行状態を判別し、この走行状態から、狙いとすべき車両
平面運動に関する被制御量としての目標ヨ−レイト (挙
動目標値) を演算し、発生ヨ−レイトをその目標値とな
すのに必要な後輪舵角を、車輪コ−ナリングパワ−を含
む車両諸元に基づく運動方程式 (車両モデル) により算
出し、その算出舵角だけ後輪を補助操舵して車両の挙動
を上記挙動目標値で狙った通りのものにするようになす
ものである。これによれば、2WS 車の場合と比較して、
操縦性、安定性に新たな車両性能を付加するのに寄与で
きる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかして、こうした舵
角制御において、車輪コ−ナリングパワ−を車輪横滑り
角によらず一定であるとして制御車輪である後輪の補助
舵角の算出を行うと、車速、操舵角の大きさ、制御領域
等如何によっては、実際の車輪のコ−ナリングパワ−と
車両モデル中のコ−ナリングパワ−にずれが生じ、発生
ヨ−レイトを目標ヨ−レイトに一致させにくくなる場合
がある。特に、車輪の横滑り角が大となる高速・大舵角
入力時は、それらコ−ナリングパワ−が一致しない結
果、目標ヨ−レイトの設定が不適切なものとなり、非現
実的な値となってしまい、そうしたときは発生ヨ−レイ
トを一致させることができなくなり、十分な制御効果を
得にくいものとする。従って、例えば車速150Km/h 、操
舵角60deg 程度の領域まででも舵角制御を行わんとする
ときは、その意味で限界があり、改良の余地がある。
【0004】本発明の目的は、上記を改良し、たとえ車
輪横滑り角が大となる高速・大舵角時の領域でも、操安
性の一層の向上が図れ、制御領域を拡大することのでき
る車両用舵角制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記の
車両用舵角制御装置が提供される。前輪または後輪の少
なくとも一方の舵角を補助操舵可能で、制御手段により
制御舵角が目標値に一致するよう制御をする車両におい
て、車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、車
両の前後方向速度を検出する速度検出手段と、走行中の
車両の前輪及び後輪の横滑り角を算出する車輪の横滑り
角算出手段と、該横滑り角算出手段より算出される前後
輪の横滑り角に応じて車輪のコ−ナリングパワ−に相当
する値を推定または補正する手段と、予め車両諸元及び
運動方程式によって設定され、かつ前記の推定または補
正されるコ−ナリングパワ−相当値に応じて可変する車
両モデルと、前記操舵状態検出手段及び速度検出手段の
検出値に基づいて車両の運動に関する被制御量の定常特
性及び過度特性の目標値を設定する目標設定手段であっ
て、前記車両モデルに該操舵状態検出値及び速度検出値
を与えたとき定常的に発生する値を目標定常値とする車
両運動目標設定手段と、該車両運動目標設定手段で設定
される運動目標値を制御対象となる車両で実現するため
に必要な補助操舵角を前記車両モデルに基づく演算によ
り算出して目標値とする目標補助舵角算出手段とを具備
してなる車両用舵角制御装置、前輪または後輪の少なく
とも一方の舵角を補助操舵可能で、制御手段により制御
舵角が目標値に一致するよう制御をする車両において、
車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、車両の
前後方向速度を検出する速度検出手段と、走行中の車両
の前輪及び後輪の横滑り角を算出する車輪の横滑り角算
出手段と、該横滑り角算出手段より算出される前後輪の
横滑り角に応じて車輪のコ−ナリングパワ−に相当する
値を推定または補正する手段と、予め車両諸元及び運動
方程式によって設定され、かつ前記の推定または補正さ
れるコ−ナリングパワ−相当値に応じて可変する非線形
車両モデルと、前記操舵状態検出手段及び速度検出手段
の検出値に基づいて車両の運動に関する被制御量の定常
特性及び過度特性の目標値を設定する目標設定手段であ
って、前記非線形車両モデルに、該操舵状態検出値と、
該速度検出値と、車両諸元及び運動方程式によって設定
される線形車両モデルから計算される線形定常被制御量
とを与えて得られる制御車輪の定常舵角が、所定のしき
い値以下のときは線形車両モデルから計算される定常値
を目標定常値とし、また該しきい値をこえるときは非線
形車両モデルから計算される定常値を目標定常値とする
車両運動目標設定手段と、該車両運動目標設定手段で設
定される運動目標値を制御対象となる車両で実現するた
めに必要な補助操舵角を前記非線形車両モデルに基づく
演算により算出して目標値とする目標補助舵角算出手段
とを具備してなる車両用舵角制御装置、前輪または後輪
の少なくとも一方の舵角を補助操舵可能で、制御手段に
より制御舵角が目標値に一致するよう制御をする車両に
おいて、車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段
と、車両の前後方向速度を検出する速度検出手段と、予
め車両諸元及び運動方程式によって設定される線形車両
モデルと、前記操舵状態検出手段及び速度検出手段の検
出値に基づいて車両の運動に関する被制御量の定常特性
及び過度特性の目標値を設定する目標設定手段であっ
て、予めタイヤの横滑り角に対するコ−ナリングフォ−
ス特性を考慮した非線形車両モデルと線形モデルとの両
車両モデルから夫々操舵角に対して計算される目標定常
値がともに等しくなるように非線形車両モデルより制御
車輪の定常舵角を求め、この定常舵角と操舵角を線形車
両モデルに入力して得られる定常値を目標値とする車両
運動目標設定手段と、該車両運動目標設定手段で設定さ
れる運動目標値を制御対象となる車両で実現するために
必要な補助操舵角を前記線形車両モデルに基づく演算に
より算出して目標値とする目標補助舵角算出手段とを具
備してなる車両用舵角制御装置である。
【0006】
【作用】請求項1 記載の舵角制御では、走行中の車両の
前輪及び後輪の横滑り角を算出する車輪の横滑り角算出
手段、かく算出される前後輪の横滑り角に応じて車輪の
コ−ナリングパワ−に相当する値を推定または補正する
手段、予め車両諸元及び運動方程式によって設定され、
かつ前記の推定または補正されたコ−ナリングパワ−相
当値に応じて可変する車両モデル、操舵状態検出手段及
び速度検出手段の検出値に基づいて車両の運動に関する
被制御量の定常特性及び過度特性の目標値を設定する車
両運動目標設定手段を有して、目標補助舵角算出手段
が、車両運動目標設定手段で設定される運動目標値を制
御対象となる車両で実現するために必要な補助操舵角を
前記車両モデルに基づく演算により算出してこれを指令
目標値とするが、その場合に車両運動目標設定手段は、
前記車両モデルに該操舵状態検出値及び速度検出値を与
えたとき定常的に発生する値を目標定常値とする。これ
により、たとえ車輪横滑り角が大となる高速・大舵角時
においても車両の運動に関する被制御量の目標値は現実
的な値となり、よって発生値にオーバシュートなどが生
じず、本制御非採用車に比べ車両操縦性、安定性を改善
でき、制御領域を更に拡大することを可能ならしめる。
【0007】請求項2 の場合は、同様に、その車輪の横
滑り角算出手段、車輪のコ−ナリングパワ−に相当する
値を推定または補正する手段、予め車両諸元及び運動方
程式によって設定され、かつ前記の推定または補正され
たコ−ナリングパワ−相当値に応じて可変する非線形車
両モデル、車両運動目標設定手段、及び目標補助舵角算
出手段をもって、指令目標値の設定をするが、その場合
において車両運動目標設定手段は、前記非線形車両モデ
ルに、操舵状態検出値と、速度検出値と、車両諸元及び
運動方程式によって設定される線形車両モデルから計算
される線形定常被制御量とを与えて得られる制御車輪の
定常舵角が、所定のしきい値以下のときは線形車両モデ
ルから計算される定常値を目標定常値とし、また該しき
い値をこえるときは非線形車両モデルから計算される定
常値を目標定常値とする。これにより、この場合も、た
とえ車輪横滑り角が大となる高速・大舵角時においても
本制御非採用車に比し車両の運動に関する被制御量を目
標値によく一致させることができ、よって車両操縦性、
安定性を改善でき、制御領域を更に拡大することを可能
ならしめる。
【0008】請求項3 記載のものでは、予め車両諸元及
び運動方程式によって設定される線形車両モデル、操舵
状態検出手段及び速度検出手段の検出値に基づいて車両
の運動に関する被制御量の定常特性及び過度特性の目標
値を設定する車両運動目標設定手段を有して、その目標
補助舵角算出手段が、車両運動目標設定手段で設定され
る運動目標値を制御対象となる車両で実現するために必
要な補助操舵角を前記車両モデルに基づく演算により算
出してこれを指令目標値とするが、その場合に車両運動
目標設定につき、予めタイヤの横滑り角に対するコ−ナ
リングフォ−ス特性を考慮した非線形車両モデルと線形
モデルとの両車両モデルから夫々操舵角に対して計算さ
れる目標定常値がともに等しくなるように非線形車両モ
デルより制御車輪の定常舵角を求め、この定常舵角と操
舵角を線形車両モデルに入力して得られる定常値を目標
値とする。これにより、たとえ車輪横滑り角が大となる
高速・大舵角時においても本制御非採用車に比べ定常特
性が改善でき、よって同様に車両操縦性、安定性の向上
が図れて制御領域を更に拡大することを可能ならしめ、
また、舵角演算に線形車両モデルを用いても上記を実現
することを可能ならしめる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1は、本発明舵角制御装置の一実施例であ
る。適用できる車両の舵角制御システムは前輪及び/ 又
は後輪の舵角を補助的に操舵可能な補助操舵手段と、そ
の補助操舵手段の舵角を制御可能な補助操舵制御手段を
有し、その補助操舵制御手段が目標補助舵角と補助操舵
手段の舵角が一致するよう、制御を行うシステムによる
ものとでき、ここでは後輪を操舵する舵角制御システム
に適用した場合を示す。
【0010】図1 中、20L,20R は夫々左右後輪を示す。
図1 では図示しない前輪は、ステアリングホイ−ル21に
よりステアリングギヤを介して転舵可能とする。前輪舵
角は、ステアリングホイ−ル操舵角をθ、ステアリング
ギヤ比をN とすると、θ/Nで表される。
【0011】後輪舵角制御系は、ここでは、後輪操舵用
のアクチュエ−タとしての後輪操舵用油圧シリンダ22を
有し、これにより後輪20L,20R を転舵可能とする。油圧
シリンダ22は、制御弁としての圧力サ−ボ弁23を介して
圧力源に接続する。圧力源には、シリンダ22の油圧源と
してエンジン24によって駆動されるオイルポンプ (後輪
操舵用循環ポンプ)25 を設ける。該ポンプは、オイルリ
ザ−バ (後輪操舵用リザ−バ)26 の作動油を吸入して吐
出し、吐出油をアンロ−ド弁27により調圧してアキュム
レ−タ (後輪操舵用アキュムレ−タ)28 に蓄圧する。か
かる圧力源の油圧供給路29及びドレン路30と、油圧シリ
ンダ22の室22L,22R との間に前記圧力サ−ボ弁23を介装
接続する。
【0012】圧力サ−ボ弁23は、舵角制御でのサ−ボ系
を構成し、そのため、シリンダ22のストロ−ク、即ち後
輪舵角 (実舵角) δr を検出する後輪舵角センサ31を設
けて、当該センサからのフィ−ドバック信号が示す後輪
舵角値が後述の後輪目標舵角算出手法での演算値 (目標
後輪舵角) と一致するよう、サ−ボ弁を制御する。即
ち、圧力サ−ボ弁23は、そのソレノイドのOFF 時図示の
位置となり、シリンダ室22L,22R を供給路29及びドレン
路30から遮断してシリンダ22のストロ−クを禁じ、後輪
舵角を保持する。また、圧力サ−ボ弁23は一方向の電流
でONされる時、上側図示のポ−ト位置となり、供給路29
の圧力をシリンダ室22L に供給して後輪を左転舵し、他
方向の電流でONされる時、下側図示のポ−ト位置とな
り、供給路29の圧力をシリンダ室22R に供給して後輪を
右転舵するものとする。かかる転舵により、後輪舵角セ
ンサ31で検出した後輪舵角が前記演算値に一致すると
き、サ−ボ弁23をOFF して当該後輪舵角を維持する。
【0013】圧力サ−ボ弁23に対する上記の制御はコン
トローラ40により行い、該コントローラには、操舵角を
検出する操舵角センサ3 からの信号、車速を検出する車
速センサ4 からの信号を入力すると共に、前記後輪舵角
センサ31からの信号を入力する。コントローラは、操舵
角入力と車速によって設定される運動目標値を後輪舵角
の制御によって実現させるにあたり、車両運動目標値と
して、検出操舵角及び検出車速値に基づいて車両の運動
の目標値を設定し、かく設定される目標値を制御対象と
なる車両で実現するために必要な後輪の補助操舵量を車
両モデルに基づく演算により算出する。
【0014】この場合において、コントローラは、第一
には、予め車両諸元及び運動方程式によって設定される
車両モデルとしては、走行中の車両の車輪横滑り角を算
出し、算出横滑り角に応じて車輪のコ−ナリングパワ−
に相当する値を推定または補正し、かく推定または補正
されたコ−ナリングパワ−相当値に応じて可変する車両
モデルを用い、また第二には、車両運動目標値の設定に
おいて、上記車両モデルに検出操舵角値と検出車速値を
与えたとき定常的に発生する値を目標定常値とする。上
記において、車両の運動目標値はヨ−レイトとできる。
【0015】図 2をみると、これは機能ブロック線図と
して表した制御系の構成を示すもので、1aは車両、2aは
補助操舵機構 (ここでは、後輪操舵機構) を示す。補助
操舵機構2aは、図 1のシステムにおける油圧シリンダ2
2、サ−ボ弁23を含んで構成される。本実施例におい
て、車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段3a、車
両の前後方向を検出する速度検出部4aは、夫々、該当す
るセンサ3,4 及びコントローラ40の一部を含んで構成さ
れる。更に、コントローラ40は、ここでは、目標ヨ−レ
イト設定部としての車両運動目標設定部5aと、該設定部
で設定される運動目標値(ヨ−レイト目標値) を実現す
るための後輪の舵角を計算する舵角演算部6aの各機能を
有する。
【0016】目標設定部5aは、規範モデルを用い、車両
の定常特性及び過度特性の目標値を設定する。具体的に
は、検出部3a,4a の検出値に基づき定常ゲイン (ここで
は、規範モデル中のヨ−レイトゲイン) 及び過度応答特
性を設定するが、この場合に、規範モデルのコ−ナリン
グパワ−特性をタイヤ (車輪) の横滑り角に基づき修正
し、設定する。
【0017】舵角演算部6aは、本制御例に従うときは、
走行中の車両の前輪及び後輪の横滑り角を算出する車輪
の横滑り角算出手段、該横滑り角算出手段より算出され
る前後輪の横滑り角に応じて車輪のコ−ナリングパワ−
に相当する値を推定または補正する推定手段、予め車両
諸元及び運動方程式によって設定され、かつ該推定手段
により推定 (補正) されるコ−ナリングパワ−相当値に
応じて可変する車両モデル、目標設定部5aで設定される
目標ヨ−レイトを自車で実現するのに必要な後輪補助舵
角 (目標補助舵角) を前記車両モデルに基づく演算によ
り算出する目標補助舵角算出手段をもって、後輪の制御
舵角を計算する (なお、他の例では、舵角演算部は、上
記に代え、予め車両諸元及び運動方程式によって設定さ
れる車両モデル (線形車両モデル) に基づく演算により
後輪補助舵角を算出する方法によるものとされる) 。
【0018】舵角演算部6aは、かように、本例では、前
後輪の車輪横滑り角が算出可能で、かつその横滑り角と
の関係に応じてモデルの車輪コ−ナリングパワ−が可変
となる車両モデル (非線形モデル) を舵角計算に用い
る。更に、この場合において、当該舵角演算部6aでの演
算に適用される目標ヨ−レイトの設定に関しては、かか
る車両モデルに操舵角と車速を与えて定常的に発生する
ヨ−レイトを目標ヨ−レイトとして設定する。
【0019】以下、図3 〜図5 をも参照し、図2 に示し
た制御ブロック図における目標とするヨ−レイト(d/dt)
φの設定方法及び目標後輪舵角値の算出方法等につい
て、夫々具体的に述べるに、これらは下記する如き演算
によって行うことができる。
【0020】まず、上記についての説明に先立ち、車両
の運動を図 3に示すヨ−イング及び横方向の2 自由度と
考え、運動方程式について説明すると、次のようであ
る。なお、ヨ−イングと横方向の2 自由度をもつ車両運
動モデル (線形2 自由度車両モデル) の説明図である図
3中、並びに後出の該当式における該当する各符号は、
夫々次を意味するものである。
【表1】 M: 車両重量 IZ : 車両ヨ−慣性モ−メント Cf : 前輪コ−ナリングフォ−ス Cr : 後輪コ−ナリングフォ−ス Lf : 車両重心〜前車軸間距離 Lr : 車両重心〜後車軸間距離 Vx : 車両前後方向速度 (車速) Vy : 車両横方向速度 (横速度) L : Lf + Lr
【0021】車両のヨ−イング及び横方向に関する運動
方程式は、時間t の連続系で表現した場合、以下の(1),
(2) 式で表せることが知られている。
【数1】 IZ ・(d2/dt2)φ(t) = Cf ・ Lf − Cr ・ Lr ---(1)
【数2】 M・ (d/dt)V y (t)=2( Cf + Cr ) − M・ Vx (t) ・(d/dt)φ ---(2) ここで、 Cf , Cr の各々前輪、後輪コ−ナリングフォ
−スは、前輪コ−ナリングパワ− Kf , 後輪コ−ナリン
グパワ− Kr 、前輪横滑り角βf , 後輪横滑り角βr
用いて、次式で表せる。
【数3】Cf = Kf ・βf ---(3)
【数4】Cr = Kr ・βr ---(4) また、前後輪横滑り角βf , βr は、次式で定義される
量である。
【数5】 βf =θ(t)/N −(Vy + Lf ・(d/dt)φ)/ Vx (t) ---(5)
【数6】 βr =δr (t) −(Vy − Lr ・(d/dt)φ)/ Vx (t) ---(6)
【0022】ここで、上記(3) 〜(6) 式を(1),(2) 式に
代入し、ヨ−レイト(d/dt)φ、横速度 Vy に関する微分
方程式と考えると、次の(7) 、(8) 式のように表現でき
る。
【数7】 (d2/dt2)φ(t) =a11 (d/dt)φ(t) +a12Vy (t) + bf1θ(t) + br1δr (t) ---(7)
【数8】 (d/dt)Vy (t) =a21 (d/dt)φ(t) +a22Vy (t) + bf2θ(t) + br2δr (t) ---(8) ただし、上記各式中の各係数は以下を表す。
【数9】 a11=− 2・ ( Kf ・ Lf 2 + Kr ・ Lr 2 )/(IZ ・ Vx ) ---(9)
【数10】 a12=− 2・ ( Kf ・ Lf − Kr ・ Lr )/(IZ ・ Vx ) ---(10)
【数11】 a21=− 2・ ( Kf ・ Lf − Kr ・ Lr )/(M・ Vx ) − Vx ---(11)
【数12】 a22=− 2・ ( Kf + Kr )/(M・ Vx ) ---(12)
【数13】 bf1= 2・ Kf ・ Lf /( IZ ・ N) ---(13)
【数14】 bf2= 2・ Kf /(M ・ N) ---(14)
【数15】 br1=−2 ・ Kr ・ Lr /IZ ---(15)
【数16】 br2= 2・ Kr /M ---(16) こうして、車両のヨ−イング及び横方向に関する運動方
程式を線形2 自由度モデルで表現し、ヨ−レイトと横速
度に関する微分方程式として整理すると、上記(7) 及び
(8) 式のように表現できる。
【0023】ここで、操舵角入力に対するヨ−レイト、
横速度の特性を考える。前記(7),(8) 式より、まず、操
舵角入力θ(t) に対する発生ヨ−レイト(d/dt)φ(t) の
関係は、微分演算子S を用いると、次の(17)式のように
表せる。
【数17】 (d/dt)φ(S)/θ(S) ={ bf1S + (a12bf2−a22bf1) }/ { S2 −(a11+a22)S +(a11a22 −a12a21) } ---(17) 一方、同様に、操舵角入力θ(t) に対する発生横速度 V
y (t) の関係は、微分演算子S を用いて次の(18)式のよ
うに表せる。
【数18】 Vy (S)/θ(S) ={ bf2S + (a21bf1−a11bf2) }/ { S2 −(a11+a22)S +(a11a22 −a12a21) } ---(18) ここに、上記(17),(18) 式をみると、これら式は、いず
れも(1次)/(2次) の形であり、車速 Vx が大きくなるほ
ど操舵角入力に対する発生ヨ−レイト(d/dt)φ(t) 及び
横速度 Vy (t) は振動的になり、車両操縦性、安定性が
悪化することが分かる。
【0024】そこで、例えば目標ヨ−レイト(d/dt)φr
(t) を操舵角入力に対してオ−バ/アンダシュ−トのな
い1次遅れ系とし、かつ定常値をノ−マル(ベース車
両) と等しくなるよう設定すれば、下記にて定義される
スタビリティファクタA,及び下記にて定義される定常ヨ
−レイトゲインH0を用いることにより、目標ヨ−レイト
(d/dt)φr (t) は下記(19)式にて定義される。
【数19】 (d/dt)φr (t) = H0 θ(t)/(1+τS) ---(19) τ: 時定数
【数20】 H0= Vx /(1 +A ・ Vx 2)LN ---(20)
【数21】 A=−M (Lf Kf0− Lr Kr0)/(2L2 Kf0 Kr0) ---(21) 上記(19)式で表される目標ヨ−レイト(d/dt)φr (t)
は、その Kf , Kr ((21) 式中) を一定 (線形領域) と
して扱っており、従ってまた(20)式の定常ヨ−レイトゲ
インH0も車速 Vx が一定なら一定値となることから、操
舵角入力に比例する線形ヨ−レイトである。
【0025】しかして、車輪コ−ナリングパワ−を車輪
横滑り角によらず一定とすると、他方、横滑り角の大き
い大舵角入力時など目標値が非現実的な値となる場合が
あり、発生ヨ−レイトを一致させることができず、結
果、車両挙動が不安定な傾向のものとなるケースが生じ
てしまい、その意味で制御領域に限界がある。これがた
め、本制御では、目標ヨ−レイト(d/dt)φr (t) の設定
を一次遅れ系は同じとし、定常値をコ−ナリングパワ−
の横滑り角依存性を考慮した上でベース車両の2WS 特性
と等しくなるように設定する。
【0026】以下、目標ヨ−レイトの算出方法を説明す
る。まず、2WS の定常特性は、前述の2 自由度運動方程
式より、前記 (1),(2),(5),(6)式において、(d2/dt2
(t) 、(d/dt)V y (t) 、δr (t) を夫々ゼロとおくと、
これら式は次のようになる。
【数22】 Cf ・ Lf = Cr ・ Lr ---(1A)
【数23】 M・ Vx (t) ・(d/dt)φ(t) = 2( C f + Cr ) ---(2A)
【数24】 βf =θ/N−(Vy + Lf ・(d/dt)φ(t)/ V x(t) ---(5A)
【数25】 βr =−(Vy0− Lr ・(d/dt)φ(t)/ V x(t) ---(6A)
【0027】また、前後輪コ−ナリングパワ− Kf 、 K
r の車輪横滑り角依存性は図4 で説明することができ、
一般に、車輪横滑り角とコ−ナリングフォ−スは、同図
で代表される特性となっており、コ−ナリングパワ−は
横滑り角の増大に伴い、減少傾向を示す。そこで、前後
輪コ−ナリングパワ− Kf 、 Kr を車輪横滑り角βf ,
βr 依存の変数として取扱、目標定常特性は、かように
車輪横滑り角に応じて車輪コ−ナリングパワ−が変化す
ることを考慮して、定常的に発生するヨ−レイトを演算
する。例えば図5 (a),(b) に示す特性のように、夫々前
輪、後輪各々につき夫々前輪横滑り角βf 、後輪横滑り
角βr の図示の該当する範囲において、下記(22)式、
(23)式の如くに近似する。
【数26】 Cf = Kfi・βf − Cfi (i=0,1,2) ---(22)
【数27】 Cr = Krj・βr − Crj (j=0,1,2) ---(23) ただし、上記近似式において、βf , Kfi , Cfiの関
係、βr , Krj, Crjの関係は、同図(a),(b) に示す各
定数を下記の如くにとるものとする。
【0028】
【数28】 0 ≦|βf |≦βf1 Kfi= Kf0、 Cfi=0 ---(24a)
【数29】 βf1<|βf |≦βf2 Kfi= Kf1、 Cfi= Cf1 ---(24b) (βf <0 のとき、 Cfi=-Cf1)
【数30】 βf2<|βf | Kfi= Kf2、 Cfi= Cf2 ---(24c) (βf <0 のとき、 Cfi=-Cf2)
【数31】 0 ≦|βr |≦βr1 Krj= Kr0、 Cri=0 ---(24d)
【数32】 βr1<|βr |≦βr2 Krj= Kr1、 Cri= Cr1 ---(24e) (βr <0 のとき、 Cri=-Cr1)
【数33】 βr2<|βr | Krj= Kr2、 Cri= Cr2 ---(24f) (βr <0 のとき、 Cri=-Cr2) なお、各定数の大小関係については以下の条件を満たす
値である。
【数34】 Kf0> Kf1> Kf2>0 Kr0> Kr1> Kr2>0
【数35】Cf2> Cf1>0 Cr2> Cr1>0
【数36】βf2>βf1>0 βr2>βr1>0
【0029】前記(22),(23) 式で算出されるコ−ナリン
グフォ−ス Cf 、 Cr より、前後輪コ−ナリングパワ−
Kf , Kr は下記(25),(26) 式にて算出される。
【数37】(25)式 Kf = Cf / βf f ≠0) ---(25a)
【数38】Kf = Kf0f =0) ---(25b)
【数39】(26)式 Kr = Cr / βr r ≠0) ---(26a)
【数40】Kr = Kr0r =0) ---(26b)
【0030】次に、目標定常ヨ−レイトの算出方法を説
明する。まず、前記(1A),(2A),(5A),(6A) 式に基づき定
常横滑り角を求める。前記(1A),(2A) 式に照らし、(d/d
t)φ0 を目標定常ヨ−レイトとして、
【数41】 ( M ・ Vx (t) ・(d/dt)φ0)/2=(1+ Lf / Lr ) Cr が得られ、よって、上式から(d/dt)φ0 は、次式で表さ
せる。
【数42】 (d/dt)φ0 =2(1 +p) Cf / M Vx ---(27) ただし、、p = Lf /L r
【0031】一方、(5A)式−(6A)式に照らし、
【数43】 βf −βr =θ/N− L(d/dt)φ0/ V x ---(28) であり、上記(28)式に前記(27)式の(d/dt) φ0 を代入
し、前輪コ−ナリングフォ−ス Cf に注目して整理する
と、次のようになる。
【数44】 βf −βr =θ/N− 2L(1 +p) Cf / M Vx 2d
【数45】 ∴ Cf =k0・θ/N−( βf −βr ) ---(29) ただし、k0=MVx 2/2L(1+p)
【0032】また、後輪コ−ナリングフォ−ス Cr は、
前記(1A)及び上記(29)式より、次式のようになる。
【数46】 Cr = p Cf = pk0・θ/N−( βf −βr ) ---(30) 従って、これら(29),(30) 式、及び前述した近次式であ
る(23),(24) 式をまとめると、次の行列式が得られる。
【0033】
【数47】
【数48】
【0034】上記(31)式より Kfi , Cfi, Krj , Crj
順次与えて得られたβf , βr が(24a) 〜(24f) 式で定
義された存在条件を満たす値を選択する。βf , βr
求められれば前記(22),(23) 式より定常的なコ−ナリン
グフォ−ス Cf ,Cr が求まり、更に(27)式より定常発生
ヨ−レイト(d/dt)φ0 が得られる。そして、目標ヨ−レ
イトは、(27)式の定常値に対してオ−バ/ アンダシュ−
トのない一次遅れ系に設定するので次の(32)式のように
表せる。
【数49】 (d/dt)φr (t) =(d/dt)φ0(t)/(1+τS) ---(32) ここに、上記(32)式において、前記(19)式に対し、(d/d
t)φ0 が前述の(27)式による定常ヨ−レイトである。こ
うして目標ヨ−レイトは、その定常値を、コ−ナリング
パワ−が車輪横滑り角に応じ変化するのを考慮した上で
ベース車両の2WS 特性と等しくなるように設定すること
ができる。
【0035】更に、後輪舵角δr (t) を用いて車両の発
生ヨ−レイト(d/dt)φ(t) を、上記の目標ヨ−レイト(d
/dt)φr (t) に一致させる方法について述べる。上記(3
2)式を変形すれば、その目標ヨ−レイトの微分値(d2/dt
2r (t)(ヨ−角加速度)は、次の(33)式にて求めら
れる。
【数50】 (d2/dt2r (t) ={(d/dt)φ0(t)−(d/dt)φr (t) }/ τ ---(33) ここで、操舵角θ(t) 、後輪舵角δr (t) の2 入力によ
る発生ヨ−レイト(d/dt)φ(t) が、目標ヨ−レイト値(d
/dt)φr (t) と一致すると仮定すれば、夫々、その微分
値(d2/dt2)φ(t) と(d2/dt2r (t) も一致する。従っ
て、(d/dt)φr (t) =(d/dt)φ(t) 、かつ(d2/dt2r
(t) =(d2/dt2)φ(t) と仮定し、また(d/dt)φr (t) =
(d/dt)φ(t) が成り立つ時の車両横方向速度 Vy (t) を
Vyr(t)と定義すれば、前記の運動方程式の(7),(8) 式
より、下記(34),(35) 式が得られる。
【数51】 (d2/dt2r (t) =a11 (d/dt)φr (t) +a12Vyr(t) + bf1θ(t) + br1δr (t) ---(34)
【数52】 (d/dt)Vyr(t) =a21 (d/dt)φr (t) +a22Vyr(t) + bf2θ(t) + br2δr (t) ---(35) 従って、上記より、次の(36)式でδr (t) が求められ
る。
【数53】 δr (t) ={(d2/dt2r (t) −a11 (d/dt)φr (t) −a12Vyr(t) − bf1θ(t) }/br1 ---(36) 上記(36)式で求められる後輪舵角を入力することによ
り、車両の発生ヨ−レイトを目標ヨ−レイトに一致させ
ることができる。
【0036】従って、本制御による目標後輪舵角の算出
は、これを上述のようにして行うものであり、これを目
標値として後輪舵角制御を実行する。
【0037】以上 (1)〜(36)式に基づいて説明した目標
後輪舵角算出までに必要な演算は、コントローラ40内の
マイクロコンピュ−タで行うことができ、例えば、図6
乃至図 8に示すフロ−チャ−トに従って目標後輪舵角を
演算する。本プログラムは、一定時間ΔT 毎に実行さ
れ、かつマイクロコンピュ−タでの処理に対応させるた
め、これまでの説明に用いた連続系演算 (t)に代えて、
以下のプログラム処理では、離散系演算であることを示
す(n) を付した記号を用いている。ここに、該当する演
算値について (n-1)を付記したものは、今回値(n) に対
する前回値を表す。以下、フロ−チャ−トでの処理と、
前述した式を対応させつつ説明する。
【0038】図6 において、まず、ステップ200 では、
各センサ3,4 からの出力を基に車速Vx (n) 、操舵角θ
(n) を読込む。次に、ステップ201 〜203 で車輪コ−ナ
リングパワ−演算を実行する。即ち、ステップ201 で
は、夫々後述の如くに求められている前回の前後輪の車
輪横滑り角算出値( 図8のステップ209 の演算値) より
コ−ナリングフォ−スの近次式(前記(22),(23) 式)の
各係数 Kfi, Cfi , Krj, Crjを選択する。具体的に
は、夫々の前回値βf (n-1) , βr (n-1) に応じ、それ
が図 5の近似特性上いづれかの領域に該当するものかを
判断し((24a) 〜(24f) 式) 、当該各係数を決定す
る。
【0039】ステップ202 では、上記ステップ201 で決
定した係数に基づいて、前記(22),(23) 式より前後輪の
コ−ナリングフォ−ス Cf (n) , Cr (n) 値を算出す
る。更に、ステップ203 で上記の前回値βf (n-1) , β
r (n-1) 、及び算出値 Cf (n) , Cr (n) に応じ、前記
の(25),(26) 式の基づく演算を行い、次のステップ204
の演算に用いる前後輪のコ−ナリングパワ− Kf (n) ,
Kr (n) を算出する。
【0040】ステップ204(図 7) は、かく計算された K
f (n) , Kr (n) に応じ、車両モデルの各係数を補正す
るもので、 Kf, Kr に夫々算出値 Kf (n) , Kr (n) を
用い、また車速 Vx (n) を用いて、前記の(9) 〜(16)式
に基づく演算を行い、後記のステップ207 以降で実行す
る目標後輪舵角演算に適用する係数a11 〜a22, bf1〜b
r2を算出する。
【0041】ここに、上述の算出前回値βf (n-1) , β
r (n-1) に基づく Kf (n) , Kr (n) 値までの一連の処
理は、次の目標ヨ−レイト演算での処理も含めて、車両
モデルを用いて前輪及び後輪の横滑り角を算出し、算出
された横滑り角と前輪及び後輪各々独立に予め設定した
横滑り角とコ−ナリングパワ−の関係( 本例では、図5)
に応じ車両モデルのコ−ナリングパワ−を補正し、こ
の車両モデルに操舵角と車速を与え定常的に発生するヨ
−レイトを目標ヨ−レイトと設定することを意味する。
【0042】即ち、次のステップ205(図 7) において、
前記(27),(31) 式に従い目標定常ヨ−レイト(d/dt)φ
0(n)を計算する処理が実行される。該定常ヨ−レイト算
出サブル−チンは図9 〜11に示すもので、図 9における
ステップ300 は、前記の(31)式に基づく演算を行う際の
後輪横滑り角の存在範囲の条件を設定するステップ、ス
テップ311 は、前記の(31)式に基づく演算を行い前後輪
の横滑り角βf,βr を算出すると共に、その算出値βf,
βr を用いて前記の(22),(23)式の演算を行うことで前
後輪の定常的なコ−ナリングフォ−ス Cf, C r を算出す
るためのステップであり、また図10のステップ320 は、
上記ステップ311 で算出した横滑り角値βf,βr が、上
記ステップ300 で仮定した存在条件を満たすかについて
のチェックをするステップである。
【0043】ステップ300 は、例えば図示の如きステッ
プ301 〜305 からなる。ステップ301 の処理は、読み込
み値車速 Vx (n) を用い、βf,βr 算出 (ステップ311)
に適用すべき値p 及び値k0を演算すると共に、同じくそ
の算出( 及び Cf, Cr 算出)に適用する Kfi, Cfi , K
rj , Crjに関し、最初のル−プでは Kf0 , Kr0をまず選
択し、これを適用することを内容とする( Cfi , C
rjは、0)。ステップ301 でのi =0,j =0 は、このこと
を意味するものとする。また、同様にして、ステップ30
1 、ステップ304 の夫々の答がNOの場合になされるステ
ップ303 、ステップ305 ( これらステップ302 〜305 に
ついては、図10のステップ323 〜325 、327 〜329 の判
別結果に応じて選択される) におけるi=i+1 、j =j+1
についての処理は、適用する Kfi, Cfi, Krj , Crj
として、前記 (22),(23),(24a)〜(24f) 式の説明並びに
近似特性図 5 (a),(b)で示された各定数のうち、夫々該
当するものに順次切換え変更して適用していくことを意
味するものとする。
【0044】ステップ311 では、上述のようにして得ら
れるp ,k0 並びに Kfi, Cfi, Krj, Crj、及び読み込
み値操舵角θ(n) を用いて横滑り角βf,βr についての
算出を行い、また、ここでは、該βf , βr 値を基に
その算出に適用した Kfi, C fi, Krj , Crjに応じて、
前記(22),(23) 式によって、前後輪の定常的なコ−ナリ
ングフォ−ス Cf , Cr を算出することとする。しかし
て、かく算出された C f 値 , Cr 値は、一旦記憶され
る。
【0045】ステップ320 は、図示の如きステップ321
〜329 からなり、ここでは図 5(a),(b) の近似特性上車
輪横滑り角に関して設定した各定数βf1, βf2, βr1,
βr2を判別値として用いて、前記ステップ311 での算出
βf,βr 値が、その演算において適用した Kfi, Cfi,
Krj , Crjに対応する図 5(a),(b) の夫々のβf,βr
在範囲内の値に当てはまるものであるかどうか、チェッ
クが行われる。
【0046】Kfi, Cfi, Krj , Crjを与えて得られた
βf,βr 値が前記(24a) 〜(24f) 式で定義された存在条
件を満たす値のものとして得られて、かつその算出βf,
βr 値を用いて対応関係式で Cf ,Cr 値が求められてい
るなら、それは次の処理( ステップ331)で適用できる定
常的なコ−ナリングフォ−ス( 前記の(27)式に基づき、
θ(n) 、 Vx (n) のときに定常的に発生するヨ−レイト
を算出 (推定) するのに用いることのできるコ−ナリン
グフォ−ス Cf ,Cr ) とすることができる。
【0047】従って、上記ステップ320 で条件を満たし
ていると判断された場合は、前記のステップ311 の処理
で算出し、一時記憶した Cf ,Cr 値を、次の目標定常ヨ
−レイト算出処理に適用させるべく、処理を次のステッ
プ330 での演算処理に進め、他方、満たしていなければ
前記ステップ300 に戻り、既に述べた通り、 Kfi,
C fi, Krj , Crjに関し別の条件を設定し、前述のステ
ップ311,320 の処理を実行する。かかる過程でβf,βr
が、またそれに伴い Cf ,Cr が新たに算出され、β f,β
r につき存在範囲内の値に当てはまると判断された場合
に、処理が上記と同様次のステップ330 に進められる。
【0048】ステップ330(図11) に進むと、ここでは、
前記ステップ311 で算出された定常的なコ−ナリングフ
ォ−ス Cf ,Cr ( βf,βr の領域、及びその大きさに応
じて求められている Cf ,Cr 値) を用いて、前記の(27)
式に基づく演算、即ち、ここでは、 Cf ・ Lf = Cr
Lr の関係( 前記(1A)式) を用いて表される次の(d/dt)
φ0(n)
【数54】 (d/dt)φ0(n)=2( Cf +Cr )/(M・ Vx (n)) ---(41) なる演算を行い、θ(n) 、 V x (n)に対する目標定常ヨ
−レイト(d/dt)φ0(n)を算出する(ステップ331)。更
に、操舵の方向性をθ(n) の正負で判断し(ステップ33
2)、θ(n) <0 でないならそのまま本サブル−チンを終
了する一方、θ(n)<0 なら(d/dt)φ0(n)を−(d/dt)φ0
(n)に設定して(ステップ333)、本サブル−チンを終了
する。
【0049】こうして、目標ヨ−レイトの目標定常特性
については、上記の Cf ,Cr 値が用いられる結果、車輪
横滑り角に応じて車輪コ−ナリングパワ−が変化するこ
とを考慮して、定常的に発生するヨ−レイトの演算がな
されることになる。
【0050】図 7に戻り、次のステップ202 では、上記
で得られる(d/dt)φ0(n)を用い、前記の(32)式に基づく
演算を行い、目標ヨ−角加速度、目標ヨ−レイトを算出
する。具体的には、目標ヨ−角加速度、目標ヨ−レイト
の夫々の今回値(d2/dt2r (n),(d/dt)φr (n) の算出
は、夫々、
【数55】 (d2/dt2r (n) =(1/ τ) {(d/dt)φ0(n)−(d/dt)φr (n-1)} ---(42)
【数56】 (d/dt)φr (n) =(d/dt)φr (n-1)+(d2/dt2r (n) ・ΔT ---(43) によって行うものとする。目標ヨ−レイトは、目標ヨ−
角加速度を積分することにより算出するが、ここでは離
散系の矩形積分により、積分動作を行っており((43)
式) 、これで近似させる( かかる方法は、以後の同様な
処理が必要な場合も、同様の手法で行う)。
【0051】次のステップ207(図 8) では、前記の(35)
式に基づく演算により横速度の微分値 (d/dt)Vyr(n) を
算出し、及びその積分により横速度 Vyr(n) を算出し、
また続くステップ208 で前記(36)式に基づく演算により
目標ヨ−レイトに一致するように目標後輪舵角δrm(n)
を算出する。具体的には、これらは、前記ステップ204
で算出の各係数値( 即ち、ステップ201 〜203 の演算で
得られる Kf (n), Kr (n) に応じて補正される車両モデ
ルの各係数) を用い、次のように行っている。
【数57】 (d/dt)Vyr(n) =a21 (d/dt)φr (n) +a22Vyr(n-1) + bf2θ(n) + br2δrm(n-1) ---(44)
【数58】 Vyr(n) = Vyr (n-1)+ (d/dt)Vyr(n) ・ΔT ---(45)
【数59】 δrm(n) ={(d2/dt2r (n) −a11 (d/dt)φr (n) −a12Vyr(n) − bf1θ(n) }/br1 ---(46) かくして、目標後輪舵角δrmFF(n) が設定される。
【0052】目標後輪舵角δrm(n) 算出後、本プログラ
ム例では、次回演算サイクルにおいて前記のステップ20
1 〜203 による車輪コ−ナリングパワ−演算に用いる車
輪横滑り角を、前記(5),(6) 式に照らし、上記で得られ
た Vyr(n) 、δrm(n) 、及び(d/dt)φr (n)(前記(45)、
(46)、(43)式) を用い、次式により求めておくものとす
る。
【数60】 βf (n) =θ(n)/N −{(Vyr(n) + Lf ・(d/dt)φr (n) }/Vx (n)---(47)
【数61】 βr (n) =δrm(n) −{(Vyr(n) − Lr ・(d/dt)φr (n) }/Vx (n)---(48)
【0053】かくて、図1 のシステムにおいて、コント
ローラ40は図 6〜11のフロ−チャ−トの実行で得られる
目標後輪舵角δrm(n) に基づき、舵角センサ31の検出後
輪舵角δr が上記目標値δrm(n) に一致するよう、圧力
サ−ボ弁23を制御する。
【0054】以上のような舵角制御によれば、予め制御
対象の車両諸元と運動方程式によって設定され、かつ前
輪・後輪の横滑り角に応じたコ−ナリングパワ−の推定
値により可変とした車両モデルを用い、操舵角と車速の
検出値を与えたとき定常的に発生するヨ−レイトを目標
ヨ−レイトとすることができる。このため、たとえ車輪
横滑り角が大となる高速・大舵角時においても目標ヨ−
レイトは現実的な値となり、発生値にオーバシュートな
どが生じず、車両操縦性及び安定性を改善できる。
【0055】図12には本制御による場合の制御効果の一
例を表すシミュレーション計算結果が示されている。ま
た、図13は、前記(19)〜(21)式で定義される目標ヨ−
レイトを与えて後輪舵角の制御をする場合の制御方法に
よる効果を図12と対比させるべくシミュレーション計算
によって求めた比較例を示してある。いずれも、シミュ
レーション条件は、車速 Vx =150Km/h 、操舵角θ=60
degで、レーンチェンジの場合である。比較例では、図1
3( イ) 〜( ハ) にみるように、上記の如くの高速・大
舵角の走行条件のため、目標ヨ−レイトの設定が不適切
になって発生ヨ−レイトにオーバシュートが生じている
( 同( ハ))。これに対し、本制御による場合は、前記図
6 〜11のフロ−チャ−トに基づき制御を行った場合の結
果を図12( イ) 〜( ハ) に示すように、発生ヨ−レイト
にオーバシュートが抑えられていることが分かる( 同(
ハ))。
【0056】こうして、上述の結果にも示される通り、
本制御に従えば、比較例による比し更に車両操縦性及び
安定性の向上を図ることができる。制御領域は広がり、
高速・大舵角時でも、車両の発生ヨ−レイトを目標値に
一致させ得て、車両の挙動を安定したものとすることが
できる。
【0057】次に、本発明の他の実施例について説明す
る。本実施例も、コ−ナリングフォ−ス特性をタイヤの
横滑り角に基づき修正し、横滑り角が大となる高速・大
舵角においても過度・定常時に車両運動の被制御量の目
標値に一致させるように後輪舵角を制御するもので、ま
た、同様に、走行中の車輪横滑り角算出手段、かく算出
される横滑り角に応じて車輪のコ−ナリングパワ−に相
当する値の推定または補正をする手段、推定( 補正) さ
れたコ−ナリングパワ−相当値に応じて可変する車両モ
デルを用いるが、車両運動目標値の設定については、前
記の例に係る手法によるものに対し、次のようにする。
即ち、上記コ−ナリングパワ−相当値に応じて可変する
非線形車両モデルに操舵状態検出値と速度検出値及び線
形車両モデル (予め車両諸元及び運動方程式によって設
定される線形車両モデル) から計算される線形定常被制
御量を与えて得られる定常後輪舵角を目標値設定のため
に導入し、該定常後輪舵角を所定のしきい値と比較し、
しきい値以下の時は、目標定常値として、線形車両モデ
ルから計算される定常値を、またしきい値を超える時は
非線形車両モデルから計算される定常値を、夫々選択し
て、車両運動目標値の設定をするようになすものであ
り、本実施例による場合、図 2の車両運動目標値の設定
部5aは上記機能を有するものとする。
【0058】その場合も、車両の運動目標値はヨ−レイ
トとし、規範モデル中の定常ゲインはヨ−レイトゲイン
とする。好ましくはまた、上記において、定常後輪舵角
がしきい値を超えた場合は、後輪舵角=しきい値とおい
た時に生じる定常ヨ−レイトを目標定常値とする。
【0059】本例による場合の目標ヨ−レイトの設定は
次のようである。既に述べたように、前記(17),(18) 式
によるときは車両操縦性、安定性が悪化することから、
そこで、例えば目標ヨ−レイト(d/dt)φr (t) の設定に
ついて、オ−バ/ アンダシュ−トのない1次遅れ系と
し、定常値をコ−ナリングパワ−の横滑り角依存性を考
慮した上でベース車両の2WS 特性と設定するが、その場
合に以下のような観点からこれを行う。
【0060】まず、4WS 、2WS 車両の定常横滑り角を考
え、それらを前述の2 自由度運動方程式より算出する。
定常状態なので微分項をゼロとおくと、前記(1),(2) 式
については、既に示した前述の(1A),(2A) 式のようにな
る。 「2WS の定常横滑り角」さて、2WS の定常横滑り角につ
いてであるが、前記(1A),(2A) 式より、前記例と同様、
M・ Vx ・(d/dt)φ0/2 =(1+ Lf /Lr ) Cf が得られ
((d/dt) φ0:定常ヨ−レイト) 、ここでは、かかる関係
を基に Cf に着目して上式を変形することとすると、次
のようになる。
【数62】Cf = k01・(d/dt)φ0/(1+p) ---(50) ただし、k01 = M Vx /2、p = Lf /Lr
【0061】更に、本例でも、前記図5 、並びに前記(2
2),(23),(24a) 〜(24f) 式で説明した如くの近似特性を
適用することとし、上記(50)式を前記(22)式に代入し、
前輪の横滑り角についてまとめると、次式となる。
【数63】 βf ={ k01・(d/dt)φ0/(1+p)− Cfi}/Kfi ---(51) また、後輪横滑り角は、上記(51)式、及び前記(1A),(2
2),(23)式から、次の(52)式となる。
【数64】 βr =( pKfi・βf + p Cfi− Cfj)/ Krj ={ pk01 ・(d/dt)φ0/(1+p)− Cri}/Kfj ---(52) こうして、2WS の定常横滑り角は、(d/dt)φ0 を含んだ
上記式で表される。
【0062】「4WS の定常横滑り角」次に、4WS の定常
横滑り角は、次のようになる。4WS の定常横滑り角は、
後輪舵角が既知量として与えられるので、δr0を定常後
輪舵角として、前記(5),(6) 式に照らし、βf , βr
次のようになる。
【数65】 βf =θ(t)/N −(Vy + Lf ・(d/dt)φ0(t))/V x (t) ---(5B)
【数66】 βr =δr0−(Vy − Lr ・(d/dt)φ0(t))/V x (t) ---(6B) ここで、これら式の差((5B) 式−(6B)式) を考えると、
βf −βr は次のように表すことができる。
【数67】 βf −βr =θ/N−δr0− L(d/dt)φ0/ Vx ---(53) 更に、前記(23)式、及び上記(53)式をβf について整理
した式より、 Cr は次の(54)式となる。
【数68】 Cr = Krj{βf −θ/N+δr0+L(d/dt) φ0/ Vx }+ Crj ---(54)
【0063】よって上記(54)式、及び前記(2A),(22) 式
をまとめると、次のようになる。
【数69】 k01・(d/dt)φ0 =(Kfi+ Krj) βf +(Cfi+ Crj) − Krj{θ/N−δr0− L(d/dt)φ0/ Vx
【数70】 ∴βf = k01(d/dt) φ0- Cfi-Crj+ K rj{θ/N -δr0-L(d/dt)φ0/ Vx } /(Kfi+ Krj) ---(55)
【数71】 βr =βf −{θ/N−δr0− L(d/dt)φ0/ Vx } ---(56) こうして、4WS の定常横滑り角は、上記(55),(56) 式の
関係で表される。本実施例では、これらの関係に着目
し、目標ヨ−レイトの設定を行う。
【0064】設定すべき目標ヨ−レイトの具体的な算出
方法は、以下の如きものとすることができる。まず、車
速と操舵角及びコ−ナリングパワ−( 線形値:Kf
Kf0,Kr = Kr0)から線形定常ヨ−レイトを、次により算
出する。即ち、(d/dt)φL0を線形定常ヨ−レイト、H0
定常ヨ−レイトゲインH0、A をスタビリティファクタと
して、次式で算出する。
【数72】 (d/dt)φL0= H0 ・θ ---(19)
【数73】 H0= Vx /((1+A ・ Vx 2)LN) ---(20)
【数74】 A=−M (Lf Kf0− Lr Kr0)/(2L2 Kf0 Kr0) ---(21)
【0065】しかして、算出された定常ヨ−レイトを前
記(51),(52) 式の(d/dt)φ0 に適用し、夫々の式に従い
前後輪の横滑り角を次のように求める。
【数75】 βf ={ k01・(d/dt)φL0/(1 +p)− Cfi}/Kfi ---(51A)
【数76】 βr ={ pk01 ・(d/dt)φL0/(1 +p)− Cri}/Kfj ---(52A) 実際の計算( コントローラ内) にあたっては、上記(51
A),(52A) 式中の Kfi,C fi,Kfj,Crjを順次与えて計算さ
れたβf , βr が前記(24a) 〜(24f) 式で定義された存
在条件を満足する時の各値(K,C, β) を選択する( その
手順の一例は、前記実施例に係る図 9,10 の手法に準じ
たものであってよい) 。
【0066】更に、上記(51A),(52A) 式で得られた横滑
り角値βf , βr を前記(53)式の関係に適用し、定常
後輪舵角δr0を計算して、そのδr0値が或るしきい値(
δr0 max ) 以下の場合は、上記(51A),(52A) 式のβf ,
βr ,Kfi,Cfi,Kfj,Crjを用いてコ−ナリングフォ−ス C
f ,Cr ( 前記(22),(23) 式) を計算する。一方、δr0
がそのしきい値をこえる場合は、値δr0=しきい値とし
て前記(55),(56) 式の関係を用いて、横滑り角につき次
の如くに再計算する。
【数77】 βf = k01(d/dt) φL0- C fi-Crj+ K rj{θ/N -δr0-L(d/dt)φL0/ V x } /(Kfi+ Krj) ---(55A)
【数78】 βr =βf −{θ/N−δr0− L(d/dt)φL0/Vx } ---(56A) そして、この場合は、上記(55A),(56A) 式で再計算した
βf , βr からコ−ナリングフォ−ス Cf ,Cr を求める
こととする。
【0067】かくして、本例では以上の手順により
Cf ,Cr を求めるものであり、こうして得られる Cf ,C
r と、前記(2A)式の関係からヨ−レイトを計算し、これ
を次式で目標ヨ−レイトの定常値とする。
【数79】 (d/dt)φrS(t) =2( Cf + Cr )/(M・ Vx (t)) ---(60) 更に、過度特性については、上記(60)式の定常値に対し
てオ−バ/ アンダシュ−トのない1次遅れ系に設定する
ため目標ヨ−レイト(d/dt)φr (t) は、次式のようにな
る。
【数80】 (d/dt)φr (t) =(d/dt)φrS(t)/(1+τS) ---(61) 本例では、こうして目標ヨ−レイトを設定する。
【0068】図14〜16には、上記で説明した目標ヨ−レ
イト設定処理を含んだ目標後輪舵角値算出プログラムの
一例が示されている。設定された目標ヨ−レイトに対
し、後輪舵角を用いて発生ヨ−レイトを一致させるため
の目標後輪舵角の計算については、前記実施例と同様の
方法((33) 〜(36)式) であってよく、以下、要部につき
説明する。
【0069】図14において、まず、ステップ400 で前記
例と同様の車速 Vx (n) 及び操舵角θ(n) の読込みを実
行し、次のステップ401 で、予め設定しておいた車両諸
元(L,N,A) と読込み Vx (n) 値から、前記(58)式に基づ
く定常ヨ−レイトゲイン H0 を計算する。更に、ステッ
プ402 で前記()式に基づき上記の定常ヨ−レイトゲイン
H0 値と読込みθ(n) 値より定常ヨ−レイト(d/dt)φL0
(n) を計算する。こうして、 Vx (n),θ(n) に応じ線形
定常ヨ−レイトを得ることができ、次に、これから線形
定常横滑り角と定常後輪舵角を算出する。
【0070】ステップ403 では、前記(51A),(52A) 式に
従い、上記定常ヨ−レイト(d/dt)φ L0(n) 値を基に定常
横滑り角βf (n) , βr (n) を求め、ステップ404 にお
いて、次式で定常後輪舵角δr0(n) を算出する。
【数81】 δr0(n) =θ(n)/N −{L(d/dt) φL0/Vx (n) } −( βf (n)-βr (n)) ---(71) 次のステップ405(図15)では、上記ステップ404 で計算
した定常後輪舵角δr0(n) の絶対値が所定のしきい値δ
r0max ( >0)以下か否かをチェックし、δr0max 以下で
あれば直接ステップ408 以降の処理へ進む一方、δ
r0max を上回るときはステップ406,407 による横滑り角
の再計算を経てステップ408 以降へ進む。
【0071】ステップ408 は、前記(22),(23) 式による
近似式( 図 5) に基づく前後輪のコ−ナリングフォ−ス
Cf (n) , Cr (n) の算出、及びその算出値を用いた前
後輪のコ−ナリングパワ− Kf (n) = Cf (n)/βf (n),
Kr (n) = Cr (n)/βr (n)の算出処理であり、ステッ
プ409 が目標ヨ−レイトの算出処理であるが、上記のよ
うに、直接ステップ408 へ進むときは、前述のステップ
403 で算出のβf (n),βr (n) がそのまま適用される結
果、定常後輪舵角δr0(n) に応じ、それがδr0 max 以下
のときは Cf (n) , Cr (n) の算出に際し、その線形定
常横滑り角βf (n),βr (n) を用い、予めモデル化した
コ−ナリングフォ−ス特性に応じて補正したコ−ナリン
グフォ−スから計算されるヨ−レイトを目標値として設
定することとなる。他方、δr0max を超えるケースで
は、上記の線形定常横滑り角ではなく、後輪舵角をδ
r0max として生じる定常横滑り角を用いて、予めモデル
化したコ−ナリングフォ−ス特性に応じて補正したコ−
ナリングフォ−スから計算されるヨ−レイトを目標値と
して設定することとなる。即ち、ステップ405 からステ
ップ406 以下へ進められるとき、それらステップでは、
δr0(n) =δr0max とおいて、前記(55A),(56A) 式に基
づく演算を行い、後輪をδr0切った状態で定常的に生じ
る横滑り角βf (n),βr (n) を計算するのである。
【0072】かくして、ステップ408 へ進むと、ここで
は、ステップ403 または407 で計算された横滑り角と夫
々そのとき適用( 選択))された近似特性の定数 Kfi, K
rj ,Cfi, Crjから、前後輪のコ−ナリングフォ−ス C
f (n) , Cr (n) を求め((22),(23)式) また、ここで、
それら Cf (n) , Cr (n) とβf (n),βr (n) 値より、
後述のステップ410 の演算に適用する Kf (n) , K
r (n) を求めてステップ409 へ進む。ステップ409 で
は、上記算出値 Cf (n) , Cr (n) を用い、前記(60)式
に基づき目標ヨ−レイトの定常値(d/dt)φrS(n) を算出
するとともに、これを基に目標ヨ−角加速度(d2/dt2
r (n) 及び目標ヨ−レイト(d/dt)φr (n) についての演
算を前記実施例におけると同様の手法( 図 7のステップ
206)で行う。
【0073】次いで、ステップ410(図16) で、前記ステ
ップ408 で計算された Kf (n) , K r (n) 値及び車速 V
x (n) を用いて前記実施例と同様にして車両モデルの各
希有数( 前記(9) 〜(16)式) の補正をし、更にステップ
411,412 において、上記目標ヨ−レイト、及び係数を適
用して、前記実施例の図 8のステップ207,208 と同様の
演算処理を実行し、目標ヨ−レイトに一致するように目
標後輪舵角δrm(n) を算出して本プログラムを終了す
る。こうして算出される目標後輪舵角に基づき、図 1の
システムにおいて圧力サ−ボ弁により舵角制御が行われ
る。
【0074】図17,18 が、上記の制御による場合の効果
をシミュレーション計算によって求めた例を示すもの
で、図17がステップ操舵による場合、図18がレーンチェ
ンジの場合であり、また、図19は図17と対比して示す前
記と同様の比較例( 目標ヨ−レイトを前記(19)〜(21)式
によるものとする場合) での結果である。いずれも、走
行条件( シミュレーション条件) は、車速 Vx =150Km/
h 、操舵角θ=60deg の場合である。ステップ状の操舵
の場合、比較例では図19にみるように、発生ヨ−レイト
と目標値が一致せず、定常偏差が生じているのに対し、
本制御による場合は図17のように目標値とよく一致して
いることが分かる。また、図18のレーンチェンジの結果
でも、前記図13の場合に比し、本制御によるときは、同
様に、ヨ−レイトにオーバシュートなどが発生せず、高
速・大舵角の走行条件でも車両の挙動が安定しているこ
とが分かる。
【0075】本実施例によっても、同様に、車輪横滑り
角が大となる高速・大舵角時に実際のコ−ナリングパワ
−と車両モデル中のコ−ナリングパワ−が一致せずに目
標ヨ−レイトが非現実的な値となってしまうことが避け
られる。予め制御対象の車両諸元と運動方程式によって
設定された非線形車両モデルに車速・操舵角を与えて得
られる線形定常ヨ−レイトから線形定常横滑り角及び定
常後輪舵角を求め、この後輪舵角がしきい値以下の場合
はその線形定常横滑り角を用いて、また後輪舵角がしき
い値を超える場合は、後輪舵角をしきい値として生じる
定常横滑り角を求めそれを用いて、予めモデル化したコ
−ナリングフォ−ス特性より上記の適用すべきこととな
った横滑り角に応じたコ−ナリングフォ−スから計算さ
れるヨ−レイトを目標ヨ−レイトとすることのできる本
制御では、たとえ高速・大舵角時においても過度・定常
時に発生ヨ−レイトを目標値に一致させることができ、
比較例に比し更に車両操縦性及び安定性を改善できる。
【0076】次に例をもって示すのは、車両運動目標設
定手段が、予めタイヤの横滑り角に対するコ−ナリング
フォ−ス特性を考慮した車両モデル( 非線形モデル) と
車両諸元及び運動方程式によって設定される線形モデル
との両車両モデルから各々舵角に対して計算される目標
定常値がともに等しくなるように非線形車両モデルより
定常後輪舵角を求め、この定常後輪舵角と前輪舵角を線
形モデルに入力して得られる定常値を目標値とする場合
のものである。この場合も、運動目標値はヨ−レイトと
し、規範モデル中の定常ゲインはヨ−レイトゲインとす
る。好ましくはまた、規範モデルは、上記で定義される
目標定常値を、各車速、各操舵角に対応したデ−タとし
て記憶しておくようにする。
【0077】本実施例は、以下のような観点からのもの
である。前記に示した(19)〜(21)式で目標ヨ−レイトを
設定して後輪舵角の制御をする比較例の場合は、定常制
御なし、即ち定常時に後輪舵角はゼロとなる( 前記図19
( ロ))制御則である。また、コ−ナリングパワ− (
Kf ,Kr ) を先に触れた如く一定( 線形領域) とした線
形規範モデルから目標ヨ−レイト((d/dt) φr (t))を操
舵角に比例するよう計算しおり( 後輪舵角の算出方法
は、前記(7) 〜(16)式で示される運動方程式中のコ−ナ
リングパワ−を固定( 線形値) として定義される線形車
両モデルから計算する) 、車輪横滑り角が大となる大舵
角入力時はコ−ナリングフォ−スが飽和してしまい、そ
の分ヨ−レイトについて発生値と目標値に定常誤差が生
じてしまう( 例えば、前記図19( ハ) 参照) 。本実施例
は、コ−ナリングフォ−スが飽和する非線形領域で、ヨ
−レイトが線形目標値になるよう定常後輪舵角を計算し
定常制御をすることによって定常特性を改善せんとす
る。
【0078】この場合において、規範目標値はタイヤの
非線形性を考慮した舵角と車速による定常特性をマップ
化して実現する。これは、以下による。比較例に示した
ような定常誤差等に対する改善は、タイヤの非線形特性
を考慮した非線形規範モデル及び非線形車両モデルを用
いることでも実施できるところ、非線形モデルをコント
ローラで実現する場合に、ソフトウェアは線形モデルの
場合に比し複雑となり、メモリや演算時間もその分必要
とされる。そこで、これらの点を重視する場合、非線形
モデルによるソフトウェアの複雑化等を避けつつ、上記
の定常特性の改善を達成するため、車両モデルには線形
モデルを用いる一方で、規範モデルは下記する如き定常
ヨ−レイト特性についてのデ−タをマップ化して記憶さ
せておくこととしたものであり、かような方法を採るこ
ともでき、本実施例ではそうしている。従って、本実施
例の場合、図 2の目標値設定部5aはマップからの検索で
目標値の設定が行われ、舵角演算部6aでは線形車両モデ
ルに基づく演算により目標舵角が算出される。
【0079】以下、規範モデルのマップ化方法等につい
て、図20以下を参照し説明する。なお、図20,21 は規範
モデルのマップ計算のフロ−チャ−トの一例であり、図
22は或る車速における操舵角−定常ヨ−レイト特性図の
一例である。まず、2WS の定常特性を求めるにあたっ
て、前記各実施例と同様に、タイヤ特性のモデル化を行
うことを考える。本例でも、前記図 4の特性に対し前記
図 5の如き近似特性を適用することとすれば、前記(2
2),(23),(24a) 〜(24f) 、及び(25),(26) 式で示した各
式が夫々成り立つ。また、2WS の定常特性は、同様に前
述の2 自由度運動方程式より、(d2/dt2)φ(t) 、(d/dt)
Vy (t) 、δr (t) をゼロとおくと、前記で示した(1
A),(2A),(5A),(6A) 式が成り立ち、これらから前記第1
実施例の説明において示した(27),(28),(29),(30) 式に
基づき、定常横滑り角についての前記(31)式が誘導され
る。即ち、定常横滑り角βf , βr は、前記(31)式か
ら、
【数82】 βf ={( pCfi+ Krjθ/N− Crj) k0− Krj Cfi}/a0 ---(81)
【数83】 βr ={( pCfi+pKfiθ/N− Crj) k0− Kfi Crj}/a0 ---(82) ただし、a0=(Krj+pKfi) k0+ Kfi・ Krjである。
【0080】上記(81),(82) 式から車速 Vx と舵角θを
与え( 上記において k0 は、 k0 =MVx 2 /2L(1 +p)で
表される車速 Vx の変数( 前記(29)式)) 、前記第1 実
施例で説明したのと同様に、 Kfi , Cfi, Krj , Crj
順次入力して計算されるβf , βr が前記(24a) 〜(24
f) 式で定義された存在条件を満たした時の値を選択す
る。そして、βf , βr が求められれば、これも同様に
前記(22),(23) 式より定常的なコ−ナリングフォ−ス C
f ,Cr が求まり、更に前記(2A)式より2WS 時の定常ヨ−
レイト(d/dt)φ0 が、
【数84】(d/dt)φ0 =2( Cf + Cr )/MVx ---(83) で計算できる。
【0081】ここで、上記定常ヨ−レイトは、上述のよ
うに車速と舵角の2 変数関数であるため、マップ化にあ
たっては、図22の如く或る車速毎に舵角を変化させたヨ
−レイト特性を求める。また、同様の条件形式で線形定
常ヨ−レイト(d/dt)φL0を、
【数85】(d/dt)φL0=H0θ ---(84) ただし、定常ヨ−レイトゲイン:H0 = Vx /((1+A ・ V
x 2)LN)で求める。
【0082】しかして、実ヨ−レイトが線形定常ヨ−レ
イト(d/dt)φL0になるべく定常後輪舵角δr0は、前記
(5),(6) 式、及び(81)〜(83)式より次式のように表せ
る。
【数86】 δr0=θ/N− L・(d/dt)φL0/Vx −( βf −βr ) ---(85) 上記後輪舵角を定常的に車両に与えればコ−ナリングフ
ォ−スが飽和する領域においても線形定常ヨ−レイトに
等しくなる。従って、規範モデルのマップは線形モデル
にこの後輪舵角を入力したときの定常ヨ−レイトを目標
定常値とし、その目標定常値は次式となる。
【数87】 (d/dt)φr0= Vx ・( θ/N−δr0)/(L・ (1 +A ・ Vx 2) ---(86) 以上で説明した目標定常値(d/dt)φr0を各車速毎にマッ
プ化し規範モデルのデ−タとすることで定常特性を改善
できる。
【0083】図20,21 では、上記のマップ化を次の手順
で行っている。車速 Vx として任意の車速値 Vにおける
(d/dt)φr0デ−タを得る場合、まず、θ=0 、 Vx =0
の条件を設定し( ステップ500)、次にステップ501 〜50
5 の処理を行う。ここに、定常横滑り角計算( ステップ
502)を含むこれらの処理の具体的な内容は、前記図 9,1
0 と基本的に同じである( 本プログラム例のように、β
f , βr 境界条件判断後に、 Cf ,Cr 演算をしてもよ
い) 。前後輪コ−ナリングフォ−ス Cf ,Cr の計算( ス
テップ505)後、前記(83),(84) 式による定常ヨ−レイト
(d/dt)φ0 の計算( 非線形) 、定常ヨ−レイト(d/dt)φ
L0の計算( 線形) を行い( ステップ506,507)、更に定常
後輪舵角δr0の計算を行い(ステップ508)、前記(86)式
による目標定常ヨ−レイト計算をする( ステップ509)。
上記の演算を、θ値が例えば360degになるまでθを代え
て繰り返し( ステップ510,511)、その過程でステップ50
9 で求められる値(d/dt)φr0をデ−タとして得る。更
に、車速 Vx として順次他の値V に代えて設定し( ステ
ップ500)、車速毎のθの0 〜360degの範囲での(d/dt)φ
r0をデ−タとして得る。
【0084】こうして、予めタイヤ特性を考慮した日線
形車両モデルとコ−ナリングパワ−を一定とした線形規
範モデルの両モデルから得られる操舵角−定常ヨ−レイ
ト特性がともに一致するように非線形車両モデルから定
常後輪舵角を計算し、この後輪舵角を線形車両モデルに
入力して得られる操舵角−定常ヨ−レイト特性を規範モ
デル中にマップ化して目標定常値の設定をする。規範モ
デルとして、かかる目標定常値が車速、操舵角に対応し
たデ−タとして記憶されているコントローラでは、後輪
舵角制御時、検出操舵角及び車速値に応じてこれを読み
出すことができ、それを制御対象となる車両で実現する
ために必要な目標後輪舵角を車両モデルに基づく演算に
より算出して、舵角制御が行われることになる。
【0085】図23が本実施例による場合の効果をシミュ
レーション計算によって求めた例を示すものである。シ
ミュレーション条件は、車速 Vx =150Km/h 、操舵角θ
=60deg と高速・大舵角であるが、同様の条件の場合の
前記図19の比較例による場合のものに対し、本制御では
定常状態が改善されていることが分かる。また、コント
ローラでのソフトウェアの複雑化などを避けつつ上記を
実現することもできもので、予め制御対象の車両諸元と
運動方程式及びタイヤ特性から或る車速、舵角における
定常ヨ−レイト特性と、線形規範モデルから得られる定
常ヨ−レイトを基に、タイヤのコ−ナリングフォ−スが
飽和する領域でもヨ−レイトが一致する定常後輪舵角を
求め、この後輪舵角と操舵角より計算される線形定常ヨ
−レイトを規範モデルの目標定常値とするため、コント
ローラに線形車両モデルを用いても車輪横滑り角が大と
なる高速・大舵角時でも定常特性が改善できる。
【0086】なお、本発明は、以上に述べた実施例に限
定されるものではない。例えば、各実施例は、後輪舵角
を制御する方式を例に採り説明したが、前輪の操舵機構
に舵角の増減を行える機構を追加することにより、前輪
舵角により同様の制御を行うことも可能である。また、
車速センサ (4)の代わりに、車輪速度、車両前後方向加
速度等を検知して車両前後方向速度を算出することも可
能である。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、操舵状態検出値と車両
前後方向速度検出値に基づき設定される運動目標値を補
助舵角の制御によって実現させる舵角制御において、適
切に目標値を設定して操安性の向上を図ることができ
る。請求項1 では、予め車両諸元及び運動方程式によっ
て設定され、かつ前輪・後輪の横滑り角に応じたコ−ナ
リングパワ−相当値により可変する車両モデルを用い
て、それに操舵状態検出値及び速度検出値を与えたとき
定常的に発生する値を車両の運動に関する被制御量の目
標定常値とすることができ、たとえ車輪横滑り角が大と
なる高速・大舵角時においても被制御量の目標値は適切
なものとなり、その発生値にオーバシュートなどを生ず
るのを抑制し得、車両操縦性及び安定性を改善できる。
請求項2 では、予め車両諸元及び運動方程式によって設
定された線形車両モデルに操舵状態検出値及び速度検出
値を与えて得られる線形定常被制御量から線形定常横滑
り角、定常舵角を求め、この定常舵角がしきい値以下の
ときは線形車両モデルから計算される定常値を、またし
きい値をこえるときは非線形車両モデルから計算される
定常値を、夫々選択して、車両の運動に関する被制御量
の目標定常値とすることができ、たとえ車輪横滑り角が
大となる高速・大舵角時においてもその発生値を被制御
量の目標値に一致させることができ、車両操縦性及び安
定性を改善できる。請求項3 の場合、車両の運動に関す
る被制御量の目標定常値につき、予めタイヤの横滑り角
に対するコ−ナリングフォ−ス特性を考慮した非線形車
両モデルと線形モデルとの両車両モデルから夫々操舵角
に対して計算される目標定常値がともに等しくなるよう
に非線形車両モデルより制御車輪の定常舵角を求め、こ
の定常舵角と操舵角を線形車両モデルに入力して得られ
る定常値を目標値とするとしたため、たとえ線形車両モ
デルを用いても車輪横滑り角が大となる高速・大舵角時
でも定常特性が改善でき、これによる車両操縦性及び安
定性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すシステム構成図であ
る。
【図2】同例における舵角制御系の一例を示す機能ブロ
ック線図である。
【図3】ヨ−イングと横方向の2 自由度をもつ車両運動
モデルの説明図である。
【図4】車輪横滑り角とコ−ナリングフォ−スの一般的
な特性を示す図である。
【図5】実施例装置に適用できる前輪横滑り角と前輪コ
−ナリングフォ−スの近似特性、及び後輪横滑り角と後
輪コ−ナリングフォ−スの近似特性の夫々の一例を示す
図である。
【図6】コントローラにより実行される制御プログラム
の後輪目標舵角算出フロ−チャ−トの一例を分割して示
す図にして、その一部を示す図である。
【図7】同じく、他の一部を示す図である。
【図8】同じく、更に他の一部を示す図である。
【図9】図7 中のサブル−チンの一例のフロ−チャ−ト
を分割して示す図にして、その一部を示す図である。
【図10】同じく、他の一部を示す図である。
【図11】同じく、更に他の一部を示す図である。
【図12】実施例装置による制御効果の一例をシミュレ
−ション計算により示す図である。
【図13】比較例での制御内容を示す図である。
【図14】本発明の他の実施例に係る後輪目標舵角算出
フロ−チャ−トの一例を分割して示す図にして、その一
部を示す図である。
【図15】同じく、他の一部を示す図である。
【図16】同じく、更に他の一部を示す図である。
【図17】同例での制御効果の一例をシミュレ−ション
計算により示す図である。
【図18】同じく、制御効果の他の例をシミュレ−ショ
ン計算により示す図である。他の一部を示す図である。
【図19】比較例での制御内容を示す図である。
【図20】本発明の更に他の実施例に係るマップ化のた
めのフロ−チャ−トの一例を分割して示す図にして、そ
の一部を示す図である。
【図21】同じく、他の一部を示す図である。
【図22】同例で説明に供するヨ−レイト特性等を示す
図である。
【図23】同例での制御効果の一例をシミュレ−ション
計算により示す図である。
【符号の説明】 1a 車両 2a 補助操舵機構 3 操舵角センサ 3a 操舵状態検出部 4 車速センサ 4a 前後方向速度検出部 5a 車両運動目標設定部 6a 舵角演算部 20L,20R 左右後輪 21 ステアリングホイ−ル 22 後輪操舵用油圧シリンダ 23 圧力サ−ボ弁 31 後輪舵角センサ 40 コントローラ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪または後輪の少なくとも一方の舵角
    を補助操舵可能で、制御手段により制御舵角が目標値に
    一致するよう制御をする車両において、 車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、 車両の前後方向速度を検出する速度検出手段と、 走行中の車両の前輪及び後輪の横滑り角を算出する車輪
    の横滑り角算出手段と、 該横滑り角算出手段より算出される前後輪の横滑り角に
    応じて車輪のコ−ナリングパワ−に相当する値を推定ま
    たは補正する手段と、 予め車両諸元及び運動方程式によって設定され、かつ前
    記の推定または補正されるコ−ナリングパワ−相当値に
    応じて可変する車両モデルと、 前記操舵状態検出手段及び速度検出手段の検出値に基づ
    いて車両の運動に関する被制御量の定常特性及び過度特
    性の目標値を設定する目標設定手段であって、前記車両
    モデルに該操舵状態検出値及び速度検出値を与えたとき
    定常的に発生する値を目標定常値とする車両運動目標設
    定手段と、 該車両運動目標設定手段で設定される運動目標値を制御
    対象となる車両で実現するために必要な補助操舵角を前
    記車両モデルに基づく演算により算出して目標値とする
    目標補助舵角算出手段とを具備してなることを特徴とす
    る車両用舵角制御装置。
  2. 【請求項2】 前輪または後輪の少なくとも一方の舵角
    を補助操舵可能で、制御手段により制御舵角が目標値に
    一致するよう制御をする車両において、 車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、 車両の前後方向速度を検出する速度検出手段と、 走行中の車両の前輪及び後輪の横滑り角を算出する車輪
    の横滑り角算出手段と、 該横滑り角算出手段より算出される前後輪の横滑り角に
    応じて車輪のコ−ナリングパワ−に相当する値を推定ま
    たは補正する手段と、 予め車両諸元及び運動方程式によって設定され、かつ前
    記の推定または補正されるコ−ナリングパワ−相当値に
    応じて可変する非線形車両モデルと、 前記操舵状態検出手段及び速度検出手段の検出値に基づ
    いて車両の運動に関する被制御量の定常特性及び過度特
    性の目標値を設定する目標設定手段であって、前記非線
    形車両モデルに、該操舵状態検出値と、該速度検出値
    と、車両諸元及び運動方程式によって設定される線形車
    両モデルから計算される線形定常被制御量とを与えて得
    られる制御車輪の定常舵角が、所定のしきい値以下のと
    きは線形車両モデルから計算される定常値を目標定常値
    とし、また該しきい値をこえるときは非線形車両モデル
    から計算される定常値を目標定常値とする車両運動目標
    設定手段と、 該車両運動目標設定手段で設定される運動目標値を制御
    対象となる車両で実現するために必要な補助操舵角を前
    記非線形車両モデルに基づく演算により算出して目標値
    とする目標補助舵角算出手段とを具備してなることを特
    徴とする車両用舵角制御装置。
  3. 【請求項3】 前輪または後輪の少なくとも一方の舵角
    を補助操舵可能で、制御手段により制御舵角が目標値に
    一致するよう制御をする車両において、 車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、 車両の前後方向速度を検出する速度検出手段と、 予め車両諸元及び運動方程式によって設定される線形車
    両モデルと、 前記操舵状態検出手段及び速度検出手段の検出値に基づ
    いて車両の運動に関する被制御量の定常特性及び過度特
    性の目標値を設定する目標設定手段であって、予めタイ
    ヤの横滑り角に対するコ−ナリングフォ−ス特性を考慮
    した非線形車両モデルと線形モデルとの両車両モデルか
    ら夫々操舵角に対して計算される目標定常値がともに等
    しくなるように非線形車両モデルより制御車輪の定常舵
    角を求め、この定常舵角と操舵角を線形車両モデルに入
    力して得られる定常値を目標値とする車両運動目標設定
    手段と、 該車両運動目標設定手段で設定される運動目標値を制御
    対象となる車両で実現するために必要な補助操舵角を前
    記線形車両モデルに基づく演算により算出して目標値と
    する目標補助舵角算出手段とを具備してなることを特徴
    とする車両用舵角制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113928402A (zh) * 2021-11-29 2022-01-14 安徽合力股份有限公司 一种自动驾驶车辆人机共驾转向装置以及控制方法

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