JP4883975B2 - 基体表面上の付着物の除去方法、除去用処理液および除去装置 - Google Patents
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Description
(1)EC85w%GBL15w%(以下85/15液と略称することがある)
(2)EC75w%GBL25w%(以下75/25液と略称することがある)
(3)EC65w%GBL35w%(以下65/35液と略称することがある)
(4)EC55w%GBL45w%(以下55/45液と略称することがある)
炭酸エチレンに添加した副成分のγ-ブチロラクトンは凝固点が−41.5℃で、図1は本発明者が作成した常圧におけるこの混合溶媒の凝固点図である。75/25液の凝固点は21℃で、65/35液、55/45液の凝固点はこれ以下である。空調が施されている通常の工場内では21℃以下の環境にはならないので、これらは常時液状で使用できる。また85/15液の凝固点は27℃であるが平均的な作業環境の制御温度25℃(以下室温と記載された処理は総て25℃の処理である)では過冷却により概ね液状で、若干の炭酸エチレン結晶の析出がある場合でも本出願の処理では通常問題は起こらない。
さらに、基体上の付着物の剥離処理で該剥離物質を取込んだ排出処理液にオゾンを含むガスを好ましくは22〜27℃の処理液温度で通気して該物質を低分子量物質に分解し、該分解済み処理液を別の基体を処理する再生処理液として使用し、多数回の繰返し能力を向上させる除去方法が示されている。即ち、該処理液は循環使用することができる。処理液に超音波を照射しながらオゾンを含むガスを通気することで、該付着物の低分子量物質への分解を促進させることができる。超音波としては、例えば、20〜400KHzの超音波が挙げられる。
この方法においては、オゾンを100mg/L以上の濃度で含むガスを継続的に該処理液に通気して処理液中の該オゾン濃度を維持しながら、該基体を該処理液に浸漬することにより該基体に対し該処理液を接触させてもよい。また、該基体が平板状の基体であり、該平板状の基体の少なくとも一方の片面が該有機系付着物を有する場合には、該有機系付着物を有する片面と該オゾン含有処理液との接触を、該片面のみを或いは該片面と該片面とは反対側の片面とを液膜状の該オゾン含有処理液で被った状態で、該基体を濃度100mg/L以上のオゾンを含有するガス中に保持することにより行ってもよい。このようにすることで、該処理液中のオゾン濃度を20mg/L以上に維持することができ、該付着物の除去および該付着物の低分子量物質への分解を効果的に行うことができる。
この方法によって基体表面上の付着物を除去した後の処理液においては該有機系付着物が低分子量物質に分解されているので、該処理液は別の基体を処理するための処理液として循環使用することができる。該有機系付着物の分解を更に十分に進行させるためには、付着物を除去した後の処理液にオゾンを含むガスを通気してもよい。通気時の処理液温度、オゾン濃度などの条件は上記と同様のものとすることができる。オゾン含有処理液により有機系付着物の除去・分解を行う場合、または、該付着物を除去した後の処理液にオゾンを含むガスを通気する場合には、処理液に超音波を照射してもよい。これにより、該付着物の低分子量物質への分解を促進させることができる。超音波としては、例えば、20〜400KHzの超音波が挙げられる。
更に、オゾンによる多数回再生処理が施されて廃液化した処理液を下記のとおりに再生して本発明除去方法の処理液として用いることができる。即ち、
(a)循環使用されて廃液化した処理液を−30〜−15℃の温度で放置して炭酸エチレンを含む結晶を凍結分離し、
(b)凍結分離された該結晶を正常固化法にかけて、精製された炭酸エチレンを含む結晶を得、
(c)得られた該結晶をγ−ブチロラクトンと或いは前記工程(a)の結晶を凍結分離した後の処理液の蒸留精製物と混合する
ことにより調製した、重量比85/15乃至55/45の炭酸エチレンとγ−ブチロラクトンとからなる混合溶媒を含む処理液を本発明の除去方法に用いることができる。
A.炭酸エチレンとγ−ブチロラクトンとを主成分として含む混合溶媒を含む処理液を処理区域に輸送する処理液導入手段と、
B.前記処理区域において有機系付着物を有する基体の該有機系付着物を有する表面に前記処理液を接触させる付着物接触手段と、
C.前記処理区域から排出された処理液を、1個以上の一時的貯蔵手段を経由して該処理区域に復帰させる処理液循環手段と、および
D.前記処理区域内および/または前記一時的貯蔵手段内で、処理液にオゾン含有ガスを接触させる、オゾン含有ガス接触手段とを
有することを特徴とする有機系付着物を有する基体表面の有機系付着物の除去装置も提供する。該処理液としては、例えば、本明細書に記載の処理液が挙げられる。前記Aの手段には、更に該処理液の加熱機構が付設されていてもよい。また、前記Dの手段には、更に該オゾン含有ガスの冷却機構が付設されていてもよい。さらに、前記装置は、前記処理区域内に処理液を高圧噴射ノズルおよび/または2流体ジェットノズルによって基体に注ぐ手段を有してもよい。
1.高沸点(238℃)を有する炭酸エチレンに約30℃低い沸点(204℃)を有するγ-ブチロラクトンが混在している。
2.近赤外線・可視光・近紫外線の広い領域に亘って透明である。
3.炭酸エチレンは高温では粘度が極端に低下し180℃で0.4cP程度となるが、本混合溶媒では粘度が更に0.03cP程度低下し、低い粘度が活用されている室温でのアセトン並になる。
4.室温でオゾンガスを通気すると、炭酸エチレン液よりも迅速にオゾン濃度が立ち上がりかつ約50%高い濃度でオゾンが溶解する。またオゾン溶解挙動がγ-ブチロラクトンとは大きく違い、通気が続いても濃度が低下しないので室温20分程度の連続処理にも適している。通気停止30秒後のオゾン残存率は、γ-ブチロラクトンでは0%であるのに対し、本混合溶媒では80%近くまで向上するので、オゾン溶液を輸送して利用出来る。
5.オゾンを溶解するとき発生する過酸化物量が比較的少なく、室温で20分オゾンガスを通気しても40℃炭酸エチレンに5分通気した時と同程度である。
本処理液の炭酸エチレン単独液に対する有機系付着物除去能力の優位性は液が高温になるほど高まる。これは上記の記載から当然の帰結である。クリーブランド開放式引火点試験で測定された75/25液の引火点は131℃である、即ち、130℃を超えるので、130℃以下の、好ましくは120℃以下の処理液は安全に使用できる。燐が高濃度イオン注入された硬化変質レジスト膜のような剥離の特に難しい付着物を生産性よく除くには、高温液で高圧噴射ノズルや2流体ジェットノズルで衝撃を与えつつ接触を行うことが極めて有効である。ただ、この場合、処理済液中のレジストをオゾンで分解するときには、過酸化物発生を抑制するために、液を22〜27℃に冷却することを要し、エネルギー損失が多くなる点が問題である。これに対して本発明者は、通気するオゾン含有ガスを十分に冷却してバブリングさせることにより、液を冷却することなく、実質的に過酸化物発生が抑制できることを見出した。冷却されたオゾン含有ガスの温度としては、例えば、−40〜20℃、好ましくは−30〜15℃が挙げられる。なお、上記高温液に超音波を照射しながら該基体に対し該高温液を接触させてもよい。
通常、水溶性の液におけるオゾンの分析は、この液にヨウ化カリウムを加えた時直ちに遊離するヨウ素を定量するヨウ素法が標準的である。有機溶媒にオゾンを溶解した場合は、同時に有機過酸化物が発生しやすく、ヨウ素法を実施すると過酸化物も直ちにヨウ素を遊離してオゾンによる遊離量に加算される。しかし、一般にオゾンが過酸化物より分解が早いので、この性質を利用して双方とも分析が可能である。ところが、γ−ブチロラクトンはそれ自体がヨウ化カリウムと直ちに反応するのでヨウ素法は適用出来ない。従って、他の大部分の有機溶剤と同様にオゾンは殆ど溶かさないものと推定されていた。
そこでレジスト剥離用に従来から使われている或いは発表されている有機溶媒について、夫々のビーカー内50mLに対し、25℃でオゾンガスを径25mm厚さ15mmの円筒状フッ素樹脂製バブラーを使って0.3L/分の流速で5分間通気し、その直後のオゾン濃度と過酸化物発生量の相対値(40℃炭酸エチレンに5分通気での発生量を1とする)を求めた。結果を表1に示す。因みに40℃炭酸エチレンの20分通気では過酸化物発生量は2、即ち5分通気の場合の2倍で、25℃炭酸プロピレン20分通気では略4である。
本発明の組成範囲を代表する前記4種の混合溶剤に対して、上述と同じ通気条件により室温でオゾンガス通気を行なったときの液オゾン濃度の経時測定結果を図2の点線で示す。85/15液と75/25液の5分通気では40℃の炭酸エチレン液で得られる濃度の約50%高の75mg/L程度が得られ、20分通気を続けても濃度は略一定であるか若干増加の傾向を示す。これらの組成は連続してオゾンを通気する浸漬除去処理に適する。本混合溶剤はγ-ブチロラクトンの比率が増すほど得られるオゾンの濃度が低下するが、65/35液も55/45液も通気約10分後オゾン濃度は頭を打つもののその後の低下が緩やかで、γ-ブチロラクトンの急落特性の影響が意外にも弱い。20分後で約60mg/Lの高い濃度が保たれ、この組成はレジスト以外の重合物の剥離で有効なことが多い。
前記4種の混合溶剤に対して上述と同じ通気条件により室温でオゾンガス通気を行ったときの過酸化物発生量相対値の経時測定結果を表2に示す。
上記のオゾン高濃度化と優れた循環剥離特性が活かせる除去対象有機物質は、オゾンとよく反応して低分子量物質に分解され、その低分子量物質が該混合溶剤及びリンス用の水に溶解しやすいものでなければならない。従って、分子内に二重結合やベンゼン環(縮合環を含む)或いは求核性原子等を有する分子量の大きい物質、特に重合体物質が該当する。本混合溶剤はこのオゾンの分解反応に関与するので即ち活性溶媒であるから、分解生成物の大部分は低分子量の物質である場合が多い。具体的には、本発明の方法における有機系付着物としては、例えば、フォトレジストおよび半田フラックスが挙げられ、更に具体的には下記のとおりである。
電子部品関連で使われるエポキシ樹脂の90%以上はフェノール系で硬化前のものはオゾンとの反応性があり、その他半田付けフラックスに多いロジンは多環芳香族化合物でオゾンにより分解されて、本発明のよい除去対象である。電子部品に係わらずその他表面の付着物となる重合体で、オゾンと反応性があるものは少なくない。それらは本発明の好ましい対象になる。
本発明において、基体表面上の有機系付着物を除去するために好ましく使用できる処理液としては、例えば、重量比85/15乃至55/45の炭酸エチレンとγ−ブチロラクトンとからなる混合溶媒とオゾンとの反応生成物及び前記有機系付着物とオゾンとの反応生成物を合計で0乃至5重量%含み、残余は前記混合溶媒である処理液が挙げられる。該処理液は、更に、0.1〜2重量%のシュウ酸を含んでいてもよい。これにより、本発明による処理液の有機系付着物除去作用を更に向上させることができる。
炭酸プロピレンはネガ型レジスト膜の剥離剤として知られており、表1に示したようにオゾンに対する性質はγ−ブチロラクトンに似ている。炭酸プロピレンやオゾンの溶解能が極めて大きい酢酸等のその他の溶媒を本発明の処理液に添加することは使用目的によっては新たな効果もありうる。しかし、これらの溶媒を添加しても上記の重量比が保たれる限り、本発明の本来の効果は発揮できる。従って、本発明の処理液は、この種の溶媒を含んでいても、本発明の範疇に含まれることはいうまでもない。
本発明剥離法の第2の特徴として示された室温のオゾン含有混合溶剤の基体への接触について、レジスト剥離性能を40℃のオゾン含有炭酸エチレン処理と比較する。比較用レジスト試料は、特許文献3に記載されている150℃の炭酸エチレン液で剥離に2分を要した一般に湿式処理で剥離が難しいとされている高濃度のイオン注入硬化変質膜を選び、その試料と同仕様で作成した。即ち、シリコン酸化ウェーハ上の厚さ1.5μmのノボラックレジスト(JSR(株)IX500)膜の全面において、11B+を30KeVで1×1015/cm2注入したものから2cm×2cmのチップを切出して比較実験の試料とした。
上記のように速い剥離が出来るレジスト膜は実際には半導体ウェーハの面上や液晶デバイス用ガラス基板面上で広く使われている。また浸漬処理以外の特に枚葉処理を必要とする工程は非常に多い。10秒乃至30秒程度で剥離できる場合は既存の枚葉処理装置の改造で概ね生産性と均質性を満足させ得る。浸漬法以外の処理液と基板の接触方法としては、例えば、オゾンガスを通気して得られたオゾン含有混合溶剤処理液をオゾン溶解容器から輸送して処理装置に供給し、該処理液を基板面上を流れる液膜状態にして基板と接触させる方法が挙げられる。該処理液を基板面上を流れる液膜状態にするには、基板をその面に垂直な回転軸で回転させながら、或いは基板をその面の延長方向に移動させながら、面上へ該液をノズルから供給することで実行できる。ここで問題となるのは、有機溶媒中のオゾン濃度はオゾンガスの通気がないと急速に減少することである。表3はオゾンガス通気停止後の経過秒数に対するオゾン濃度の残存率を示す。
本発明の室温オゾン処理の40℃オゾン含有炭酸エチレン処理に対する剥離性能の優位は、上述した55/45液が65/35液より僅かだが剥離が速くなることからも推測できるようにγ−ブチロラクトンの溶解能力が寄与して混合溶剤の溶解能力が向上し、溶解オゾン量の高濃度化と相俟ってその相乗効果が齎したものといえる。本来γ−ブチロラクトンは高分子に対して優れた溶解性があり、炭酸エチレンとは同じ環状エステルで、水溶性が良いこと、芳香族に対して溶解性が高いことなど性質が似ているが、溶解パラメーター(SP値)は1程度小さくて約13であり、フェノール樹脂(SP値:約12)やエポキシ樹脂(SP値:約11)に近い。従って本混合溶媒をレジストを含めてこの種の有機物質の付着に適用する場合は55/45液に近い組成がオゾンの剥離寄与を助ける。正確に比較できる試料が出来なったので、定性的であるが、一般的なフェノール樹脂系やエポキシ樹脂系塗料に対して、オゾン添加炭酸エチレン液への浸漬より室温でのこの処方の方が明らかに剥離が速かった。
本発明剥離法の第1の特徴として示された方法では、室温で準備された混合溶剤の液層が付着物のある基体表面に形成され、該液層を通して該基板に光線を照射する。この照射は液全体の温度の上昇は抑えて基体表面及び接触する液の近接領域だけの温度を急上昇させ、実質的に炭酸エチレンの高温処理より高い温度での処理を可能にするものである。この効率のよい加熱は、好ましくは、処理液に吸収されない光線を前記基体表面近傍に集光させ、該集光させた光線により該表面を走査することにより行われる。より具体的には、該加熱は、例えば、該光線を集光して焦点を含むまたは焦点から少し外れた集光部により該表面を走査することにより行なわれる。集光部のエネルギー量の調整は選ばれた光源と光学系に応じて照射の断続と走査方法の最適化で行なう。照射条件の決定は具体的な剥離性能の検討で決まるが、予備的段階では混合溶媒成分のγ−ブチロラクトンの沸点が都合よく利用できる。僅かな微泡の出現を目安にすると液全体の昇温は10℃以下に抑えて200℃をやや下回る温度での剥離処理の条件が視野に入る。
なお、基体が上記光線に対して透明な平板状の基体であり、該平板状の基体の一方の片面が有機系付着物を有する場合には、上記の光照射による剥離は、該有機系付着物を有する片面上に該処理液の液層を形成することによって該基体に該処理液を接触させ、該有機系付着物を有する片面とは反対側の片面に該光線を吸収する物質よりなる補助板の表面を密着させ、該光線を該液層および該基体を通して該補助板の表面に、断続的に、および/または該補助板と該光線とを相対的に移動させながら照射することによって行うことができる。その際の加熱は、好ましくは、該補助板の表面近傍に集光させた上記光線により該補助板の表面を走査することにより行われる。より具体的は操作は、上記と同様に行うことができる。
光線の照射に際しては、新たな処理液を基体表面上の液層に供給することにより該処理液を液層状態で該基体表面上を移動させて処理液を更新してもよい。これにより、処理液全体の昇温を抑えることができる。新たな処理液の供給は、継続的に行っても、必要に応じて間欠的に行ってもよい。
上記の未溶解膜を含んだレジスト溶解着色液は放置するだけでも短時間に室温近くになる。ここでオゾンガスを通気すると、着色が10秒以内に消失し、40KHz程度の超音波を照射しつつ2分間オゾン通気を継続すると未溶解物も消える。超音波の効果は特に強力で通気するオゾンガスの濃度を1/2に下げても分解所要時間は実用範囲である。生成した低分子量物質は分析によれば既述の分解生成物類と同様であり、過酸化物の発生量は40℃炭酸エチレンの場合のほぼ半分である。本発明の光線利用混合溶媒処理とオゾンによる分解処理は室温での多数回循環処理を可能にし、繰返し回数も炭酸エチレン処理の2倍近く向上できる。
室温で準備された本発明の混合溶剤処理液中でハロゲンランプ光の集光部で付着物のある基体表面を走査する除去法を既に説明したが、本実施例では並列させたハロゲンランプを具備した平板炉の下方に除去対象の基板を位置させて同様の光線照射浸漬処理を行なう方法を説明する。液晶デバイス用ガラス基板上のレジストを除去対象にしたので、ガラスが近赤外線エネルギーを吸収しない。そこで該基板を光を確実に吸収する補助板の上に載せて剥離を試みた。
デュアルダマシン銅配線は先端的ULSIの超微細構造における標準的プロセスの一つである。銅の埋込みを行う前のドライエッチング後の構造のモデルを図6に示す。このプロセスは銅配線25が層間絶縁膜26に埋込まれたCMP平坦化面上の配線にかかわるもので、本実施例ではSiCバリア層27の上に層間絶縁膜28とその膜内のSiCエッチングストップ膜29が積層しており、膜29にはヴィア孔用開口部が設けてあって、マスクのレジスト30により銅配線溝31とヴィア孔32が形成されたテストウェーハを利用した。膜28は低誘電率のメチルシルセスキオキサン(Methylsilsesquioxane(MSQ))が使われている。このウェーハから2cm×2cmのチップを切出して、室温で準備された2重量%のシュウ酸を含む75/25液によりドライエッチングで硬化変質したレジストのアッシング無しの除去と微細孔内の洗浄を試みた。
本実施例はローラーコンベアで搬送される液晶デバイス用ガラス基板表面のレジストを室温の剥離液で剥離する方法に関する。生産性の立場から剥離は短時間で遂行されるのが望ましいので、通常50〜70℃程度に剥離液を加熱してローラー軸方向の線上に配置されたノズルからスプレーすることが行われている。炭酸エチレン加熱液で処理する場合は蒸気圧が低いので、基板面が乾くこと無くまた直接水リンスに移行できる点でも他の剥離液より優れている。この利点がそのまま活かされる本発明混合溶媒による室温の除去を、20cm角に切断したレジスト塗布ガラス基板で実験した。実験装置の概念図を図7に示す。基板36がローラー37で矢印方向に1m/分の速さで搬送されるとき、70℃炭酸エチレン3秒のスプレーでは剥離不完全、6秒で剥離されるように基板へのノボラック型レジストの塗布条件並びにノズルおよびスプレー条件を決めた。
ノボラック型のポジレジストに対し本発明の多数回繰り返しオゾン処理を行った後の廃液には分析によって水、グリコール酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、酪酸等のレジスト分解生成物が見られ、また原子吸光分析によれば数十ppbのFeやNaが検出される。処理液として85/15液や75/25液が使われ、廃液における炭酸エチレンの比率が大きい場合の炭酸エチレン回収法として、結晶析出法と正常固化法の組合せを試みた。
電子回路基板の信頼性を左右する半田付けフラックスの洗浄に本発明を適用した実施例を示す。この種のフラックスの主成分はロジンであるから、ロジン(関東化学試薬)を銅板上に散布し150℃で20分熔融したテスト基板で実験を行った。除去の評価はロジン付着量を重量差で求めておき、洗浄後の残存量から計算した残存率によった。使用した装置の概念図を図8に示す。基板を垂直に保持して浸漬出来る為のすり合せ面の上縁48を持つ処理槽49を用い、内部の処理液50に対し、底部の供給管51からオゾンガスをバブリング(バブラーの図示省略)出来るように構成した。尚52はオゾン排ガスの放出管である。すり合せ面のある下縁53をもつキャップ槽54の中には洗浄対象基板55がセット出来て、処理液槽内に下降・上昇出来る機構(図示省略)が組込まれている。
実施例3の液晶デバイス用ガラス基板表面のレジスト剥離実施例ではイオン注入で強く硬化したレジストに対しても時間をかけて処理を反復すれば剥離は可能であった。更に生産性を上げるため、図9のように装置に僅かな変更を行った。図9では、処理液供給用配管60で供給される75/25混合溶媒液をオゾン添加せずに加熱器61で高温に加熱し、窒素ガスを使って2流体ジェットノズル62により液を微粒化し高速気流と共にレジスト硬化面に衝撃を与え加熱との相乗効果を計った。この混合溶媒では引火点が130℃を超えるため、120℃でも安全に操作できる。また排液は装置内において循環でオゾン再生できる。よって、十分の流量が使用でき、液滴速度を100m/s以上としても容易に連続稼動できる。このような操作条件ではPを1015/cm2イオン注入したレジスト膜でも経済的な基板搬送速度で剥離が可能である。
高温液で剥離してもタンク23に入るとかなり自然冷却されるが、液温は室温よりはるかに高く、これではオゾン処理にあたりγ-ブチロラクトンの分解が早い。一方、排液を再生し循環して加熱再使用する点からは排液の液温が下がりすぎるのは好ましくない。そこでタンク23の中のオゾンバブラー63を微小泡が大量に発生する構造とし、オゾンガス供給系にガス冷却器64を設けて冷却されたガスがオゾンバブラー63に入るようにした。
実施例では-20℃に冷却したガスを溶解したレジストで褐色化した液に送ったところ色は瞬時に消え、溶解した物質は短時間で分解される。細かい針状未分解物が液に分散するがこれは容易に精密フィルターで分離除去できた。オゾンの供給は無色化と同時に中止したが、30回の分解処理ではγ-ブチロラクトンへの反応は殆ど検出されなかった。この場合レジスト分解反応は泡の気液界面にごく近い低温の狭領域でおこり、γ-ブチロラクトン自体への影響は殆どないと推定される。
3. 処理液層 4. ハロゲンランプ
5. 反射鏡 6. 近赤外線
7. 回転部底板 8. 回転部底板縁
9, 断熱材 10. 底板支持体
11. 回転軸 12. 基板
13. 基板の止めピン 14. 貯蔵タンク
15. 処理液 16. スプレーノズル
17. 処理液層 18. ハロゲンランプ
19. 反射面体 20. 平板炉
21. チャンバー壁 22. チャンバー底
23. オゾン処理タンク 24. オゾンバブリング
25. 銅配線 26. 層間絶縁膜
27. SiCバリア層 28. 層間絶縁膜
29. エッチングストップ膜 30. レジスト膜.
31. 銅配線溝 32. ヴィア孔
33. 処理液層 34. レーザ光
35. 処理液の対流 36, ガラス基板
37. コンベア用ローラー 38. オゾン通気槽
39. オゾン処理液 40. オゾンガス
41. オゾン処理液用ノズル 42. 高圧噴射用ノズル
43. 処理液受け 44. 液貯蔵タンク
45. 精製前処理液 46. シリコン微粉塔
47. 石英ガラス微粉塔 48. 処理液槽上縁
49. 処理液槽 50. 処理液
51. オゾンガス供給管 52. オゾンガス排出管
53. キャップ槽下縁 54. キャップ槽
55. 基板 56. ガス導入管
57. リンス槽 58. リンス槽上縁
59. リンス用純水 60. 処理液供給用配管
61. 加熱器 62. 2流体ジェットノズル
63. オゾンバブラー 64. ガス冷却器
Claims (15)
- 表面に有機系付着物を有する基体に、重量比85/15乃至55/45の炭酸エチレンとγ−ブチロラクトンとからなる混合溶媒を含むオゾン濃度20mg/L以上のオゾン含有処理液を接触させて、前記付着物を剥離することを特徴とする基体表面上の有機系付着物の除去方法。
- 請求項1に係る方法であって、オゾンを100mg/L以上の濃度で含むガスを継続的に該処理液に通気して処理液中の該オゾン濃度を維持しながら、該基体を該処理液に浸漬することにより該基体に対し該処理液を接触させることを特徴とする方法。
- 請求項1に係る方法であって、該基体が平板状の基体であり、該平板状の基体の少なくとも一方の片面が該有機系付着物を有し、該有機系付着物を有する片面と該オゾン含有処理液との接触が、該片面のみを或いは該片面と該片面とは反対側の片面とを液膜状の該オゾン含有処理液で被った状態で、該基体を濃度100mg/L以上のオゾンを含有するガス中に保持することでなされることを特徴とする方法。
- 請求項1に係る方法であって、該基体が平板状の基体であり、該平板状の基体の少なくとも一方の片面が該有機系付着物を有し、該有機系付着物を有する片面と該オゾン含有処理液との接触が、該基体を該片面の延長方向に移動させながら或いは該片面に垂直な回転軸で回転させながら、該片面上に該オゾン含有処理液をオゾン溶解用容器から流出後30秒以内にノズルから該片面上に供給し、該片面上を液膜状に流すことでなされることを特徴とする方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に係る方法であって、基体表面上の付着物を除去した後、該処理液を別の基体を処理するための処理液として循環使用することを特徴とする方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に係る方法であって、基体表面上の付着物を除去した後、該処理液にオゾンを含むガスを通気し、該通気後の処理液を別の基体を処理するための処理液として循環使用することを特徴とする方法。
- 該処理液に超音波を照射しながらオゾンを含むガスを通気することを特徴とする請求項6に係る方法。
- 該処理液に超音波を照射しながら該基体に対し該処理液を接触させることを特徴とする請求項1または2に係る方法。
- 該処理液を循環使用する際、該基体の表面の構成材料と同質の或いは近似した材料からなる微粉を充填した1個または複数個の金属不純物吸着筒と、該微粉の流出を阻止する後続の精密フィルターとに該処理液を通すことによって、該処理液に蓄積する金属不純物の濃度を減少させることを特徴とする請求項5または請求項6に係る方法。
- 請求項5、請求項6及び請求項9のいずれか1項に係る方法であって、
(a)該循環使用された処理液を−30〜−15℃の温度で放置して炭酸エチレンを含む結晶を凍結分離し、
(b)凍結分離された該結晶を正常固化法にかけて、精製された炭酸エチレンを含む結晶を得、
(c)得られた該結晶をγ−ブチロラクトンと或いは前記工程(a)の結晶を凍結分離した後の処理液の蒸留精製物と混合する
ことにより調製した、重量比85/15乃至55/45の炭酸エチレンとγ−ブチロラクトンとからなる混合溶媒を含む処理液を使用することを特徴とする方法。 - 基体表面上の有機系付着物を除去するための処理液であって、重量比85/15乃至55/45の炭酸エチレンとγ−ブチロラクトンとからなる混合溶媒とオゾンとの反応生成物及び前記有機系付着物とオゾンとの反応生成物を合計で0乃至5重量%含み、残余は前記混合溶媒であることを特徴とする処理液。
- 更に、0.1〜2重量%のシュウ酸を含むことを特徴とする請求項11に係る処理液。
- A.炭酸エチレンとγ−ブチロラクトンとを主成分として含む混合溶媒を含む処理液を処理区域に輸送する処理液導入手段と、
B.前記処理区域において有機系付着物を有する基体の該有機系付着物を有する表面に前記処理液を接触させる付着物接触手段と、
C.前記処理区域から排出された処理液を、1個以上の一時的貯蔵手段を経由して該処理区域に復帰させる処理液循環手段と、および
D.前記処理区域内および/または前記一時的貯蔵手段内で、処理液にオゾン含有ガスを接触させる、オゾン含有ガス接触手段とを
有することを特徴とする有機系付着物を有する基体表面の有機系付着物の除去装置。 - 請求項13に係る装置であって、前記Aの手段に、更に該処理液の加熱機構が付設され、前記Dの手段に、更に該オゾン含有ガスの冷却機構が付設されていることを特徴とする装置。
- 請求項13または14に係る装置であって、前記処理区域内に処理液を高圧噴射ノズルおよび/または2流体ジェットノズルによって基体に注ぐ手段を有することを特徴とする装置。
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