JP4882610B2 - 電波修正時計および電波修正時計の時刻修正方法 - Google Patents
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Description
標準電波は、例えば、1秒間隔で出力され、かつ、3種類のパルス幅によって時刻情報を特定しており、1分間で1つの時刻情報を設定している。
そして、標準電波によって時刻情報を得るには、通常、数分間連続して受信処理を行ってフルコードの時刻情報を複数取得し、各時刻情報同士を照合して正しい時刻情報が受信できているかを評価しなければならず、時刻修正に時間がかかり、消費電力も大きくなる。
このため、内部時刻の秒情報を前記誤差量で修正した際に、現実の時刻に対して正しく修正できないおそれがあるという問題があった。
と、前記パルスタイミング検出部で検出された矩形パルスの前記基準タイミングと、前記内部時刻情報の秒のタイミングとのズレ量を算出するズレ量算出部と、前記ズレ量算出部で算出されたズレ量が、前記時刻修正量記憶手段に記憶された前回の時刻修正量を基準に設定された許容範囲内であるか否かを判定するズレ量判定部と、前記ズレ量判定部においてズレ量が許容範囲内であると判定された際に、前記ズレ量に基づいて内部時刻情報の秒情報を修正する秒情報修正部と、を備えて構成され、前記時刻修正量記憶手段は、内部時刻情報を進めて修正した場合には前記時刻修正量を正の値で記憶し、内部時刻情報を遅らせて修正した場合には前記時刻修正量を負の値で記憶し、前記ズレ量算出手段は、前記時刻修正量が正の値の場合には、前記矩形パルスの基準タイミング(立ち上がりまたは立ち下がりタイミング)から次に発生する内部時刻情報の秒のタイミングまでの時間を正の値のズレ量とし、前記時刻修正量が負の値の場合には、前記内部時刻情報の秒のタイミングから次に発生する前記矩形パルスの基準タイミングまでの時間を負の値のズレ量とすることを特徴とする。
すなわち、簡易時刻修正手段は、標準電波の矩形パルスの1秒間隔の基準タイミングと、内部時刻の秒タイミングのズレ量に基づいて内部時刻の秒タイミングを修正しているため、10〜30個程度の矩形パルスを取得する時間、つまり10〜30秒間程度の受信処理で時間修正を行うことができる。このため、通常5〜10分程度必要となるフルコードの時刻情報を受信して時刻修正を行う場合に比べて、短時間の受信で時刻修正を行うことができ、消費電力を大幅に低減できる。
また、本発明では、ズレ量算出手段は、前回の時刻修正時に内部時刻が遅れていたか、進んでいたかを判定し、遅れていた場合には、矩形パルスの基準タイミングから次に発生する内部時刻情報の秒タイミングまでの時間をズレ量として算出し、進んでいた場合には、内部時刻情報の秒タイミングから次の矩形パルスの基準タイミングまでの時間をズレ量として算出しているので、ズレ量を正しく把握でき、精度の高い秒修正を行うことができる。
すなわち、標準電波の矩形パルスの1秒間隔の基準タイミングと、内部時刻の秒タイミングとでズレがある場合、内部時刻が遅れているのか、進んでいるのかを判定できない。しかし、本発明では、電波修正時計において内部時刻のずれは通常同じ方向に発生する点に着目し、前回受信成功時の時刻修正量を基準に許容範囲を設定することで、ズレ量の発生方向が進んでいるか、遅れているかを判定しているので、内部時刻のズレ量を正しく判断でき、内部時刻を正しく修正できる。
なお、前記矩形パルスとしては、1秒間隔(1秒周期)で信号レベルがLowからHighに立ち上がる矩形パルスか、1秒間隔(1秒周期)で信号レベルがHighからLowに立ち下がる矩形パルスのいずれかであり、これらは、例えば時刻情報として標準電波を受信する場合、その標準電波の種類や、受信回路の構成によって決定される。従って、受信した信号がいずれの矩形パルスであるかによって、1秒間隔で立ち上がるタイミングを基準タイミングにするか、1秒間隔で立ち下がるタイミングを基準タイミングにするかを決定すればよい。また、矩形パルスのパルス幅は、標準電波であれば、「1,0,P」の3種類を表すために3種類の長さのものが選択されて使用される。
これに対し、本発明のように、ズレ量が許容範囲外であった場合に時刻情報をフルコード受信して時刻修正を行うようにすれば、正しい時刻に確実に修正できる。
なお、前記所定範囲は±0.5秒未満であればよく、その具体的な値は適宜設定すればよい。例えば、所定範囲を広くすれば、ズレ量が多少大きくても、簡易時刻修正手段による時刻修正処理を実行できるので、消費電流減少の効果を大きくできる。一方で、所定範囲を狭くすれば、誤修正の可能性は低減できるが、例えば、前日との温度変化が大きくて内部時刻のズレが増大した場合には簡易時刻修正処理は実行されないので、消費電流減少を実現できない。従って、前記所定範囲は、これらの状況を考慮して適切な値に設定すればよい。
このような秒同期処理を行えば、1秒間隔のパルスの基準タイミングを精度良く検出することができる。
時刻情報のパルス幅は、予め数種類に決められているため、設定された最も狭い幅寸法よりもパルス幅が小さければ、そのパルスはノイズと判断できる。従って、ノイズとなるパルスの立ち上がりまたは立ち下がりタイミングデータを除いて矩形パルスの基準タイミングを算出すれば、より一層精度の高いタイミングデータを取得することができる。
前回の受信成功時から所定期間内に受信手段を駆動する場合に実施される簡易時刻修正工程と、前回の受信成功時から所定期間後に受信手段を駆動する場合に実施される通常時刻修正工程とを備え、前記通常時刻修正工程は、前記受信手段を時刻情報のフルコードを受信するのに必要な時間駆動し、受信に成功した場合には前記時刻情報更新手段によって内部時刻情報を修正し、前記簡易時刻修正工程は、前記受信手段を前記フルコード受信時よりも短い時間駆動して時刻情報の矩形パルスの前記基準タイミングを検出するパルスタイミング検出工程と、前記パルスタイミング検出工程で検出された矩形パルスの前記基準タイミングと、前記内部時刻情報の秒のタイミングとのズレ量を算出するズレ量算出工程と、前記ズレ量算出工程で算出されたズレ量が、前記時刻修正量記憶手段に記憶された前回の時刻修正量を基準に設定された許容範囲内であるか否かを判定するズレ量判定工程と、前記ズレ量判定工程においてズレ量が許容範囲内であると判定された際に、前記ズレ量に基づいて内部時刻情報の秒情報を修正する秒情報修正工程と、を備えて構成され、前記時刻修正量記憶手段は、内部時刻情報を進めて修正した場合には前記時刻修正量を正の値で記憶し、内部時刻情報を遅らせて修正した場合には前記時刻修正量を負の値で記憶し、
前記ズレ量算出工程は、前記時刻修正量が正の値の場合には、前記矩形パルスの前記基準タイミングから次に発生する内部時刻情報の秒のタイミングまでの時間を正の値のズレ量とし、前記時刻修正量が負の値の場合には、前記内部時刻情報の秒のタイミングから次に発生する前記矩形パルスの前記基準タイミングまでの時間を負の値のズレ量とすることを特徴とする。
さらに、ズレ量判定工程では、時刻修正量記憶手段に記憶された時刻修正量を基準に許容範囲を設定しているので、ズレ量を精度よく検出することができ、内部時刻を正しく修正できる。
標準電波は、日本、ドイツ、米国、英国等においてそれぞれ出力される長波帯の電波であり、タイムコードは各国で異なるが、周波数は同一又は比較的近いので、1つのアンテナを利用し、同調コンデンサを切り換えることだけで容易に検出することができる。従って、同調コンデンサおよび各タイムコードを解読するプログラム等を設けるだけで、各国で利用可能な電波修正時計を安価に構成できる。
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る電子機器としての電波修正時計1の構成を示すブロック図が示されている。
本発明の電波修正時計1は、一般的な電波修正時計と同様の構成を備えるものであり、時刻情報を含む電波情報(外部無線情報)を受信する電波受信手段2と、駆動制御手段3と、指針を駆動する機械的駆動手段4と、時刻をカウントするカウンタ手段6と、電力を供給する電力供給手段7と、りゅうず(竜頭)やボタンなどの外部操作部材8とを備えて構成されている。
磁性体コアは、例えば、コバルト系のアモルファス箔(例;Co50wt%以上のアモルファス箔)を型で打ち抜くか、エッチングで成形したものを10〜30枚程接着して重ね合わせ、焼鈍等の熱処理を行って磁気特性を安定化させたものである。なお、磁性体コアとしては、積層アモルファス箔に限定されず、フェライトを用いてもよく、この場合には、型等で成形し、熱処理して製造すればよい。
そして、駆動制御手段3から出力される周波数切替え制御信号により、前記スイッチ22Cをオンまたはオフすることで、アンテナ21で受信する電波の周波数を切り替えるように構成されている。
これにより、例えば、日本国内において、送信周波数40kHzの電波(JJY40kHz)と、送信周波数60kHzの電波(JJY60kHz)との2種類の周波数の長波標準電波を切り替えて受信することができるように構成されている。
ここで、各国の標準電波の周波数は、日本(JJY)では40または60kHz、ドイツ(DCF77)では77.5kHz、イギリス(MSF)では60kHz、アメリカ(WWVB)では60kHz、中国(BPC)では68.5kHzである。従って、40,60,68.5,77.5kHzの4種類の周波数を受信可能に構成すれば、各国での標準電波を受信でき、様々な国で利用可能な電波修正時計1を構成できる。
受信回路部23で受信され信号処理された時刻データは、図1に示すように、時刻データ記憶回路部24に出力される。
この受信回路部23は、予め設定されたスケジュールや外部操作部材による強制受信操作等によって、駆動制御手段3から出力されるパワーオン制御信号、周波数切替え制御信号に基づいて時刻情報の受信を開始する。
受信データの判定処理は、受信回路部23から出力された信号に基づき、受信したデータが正しいか、つまり受信の成功・失敗の判定を行う。
受信制御手段31は、受信スケジュール記憶手段310と、通常時刻修正手段320と、簡易時刻修正手段330とを備える。
簡易時刻修正手段330は、パルスタイミング検出部331、ズレ量算出部332、ズレ量判定部333、秒情報修正部334を備えている。
従って、24時間間隔で受信するようにスケジュールされている場合には、前回の受信スケジュールで受信に成功していれば、次の受信スケジュール(24時間後)では簡易時刻修正手段330が作動されることになる。一方、前回の受信スケジュールで受信に成功していない場合、例えば、時刻データ記憶回路部24における受信データの判定で成功していないと判断された場合や、前回の受信スケジュール時に簡易時刻修正手段330による処理が行われ、通常のフルコードの受信が行われなかった場合は、前記通常時刻修正手段320が作動されることになる。
ズレ量算出部332は、前記パルスタイミング検出部331で検出された矩形パルスの立ち上がりタイミングと、前記内部時刻情報の秒のタイミングとのズレ量を算出するものである。
秒情報修正部334は、前記ズレ量判定部333においてズレ量が許容範囲内であると判定された際に、前記ズレ量に基づいて内部時刻情報の秒情報を修正するものである。
時刻修正量記憶手段33は、通常時刻修正手段320によって内部時刻を修正した際の時刻修正量を記憶するものである。
秒カウンタ回路部61は、秒位置カウンタ611と、秒時刻カウンタ612と、一致検出回路613とを備えて構成されている。秒位置カウンタ611および秒時刻カウンタ612はともに60カウント、つまり1Hzの信号が入力された場合には60秒でループするカウンタである。秒位置カウンタ611は、駆動制御手段3から秒駆動回路41に供給される駆動パルス信号(秒駆動パルス信号PS1)をカウントしている。つまり、秒針を駆動させる駆動パルス信号をカウントすることによって、秒針が示している秒針の位置をカウントしている。
秒時刻カウンタ612は、通常は、駆動制御手段3から出力される1Hzの基準パルス信号(クロックパルス)をカウントする。また、電波受信手段2で時刻データを受信した
場合には、この時刻データのうちの秒データに合わせてカウンタ値が修正される。
時分時刻カウンタ622は、通常は、駆動制御手段3から出力される1Hzのパルス(クロックパルス)をカウントする(正確には1Hzを60回計数したところで1カウント
とする)。また、電波受信手段2で時刻データを受信した場合には、この時刻データのうちの時分データに合わせてカウンタ値が修正される。
駆動制御手段3の運針制御手段35は、各一致検出回路613,623から不一致信号が入力されると、一致信号が入力されるまで各駆動パルス信号PS1,PS2を出力し続ける。このため、通常運針時は、駆動制御手段3から1Hzの基準信号によって各時刻カウンタ612,622のカウンタ値が変化して位置カウンタ611,621と不一致となると、各駆動パルス信号PS1,PS2が出力されて各指針が動くとともに、各位置カウンタ611,621が時刻カウンタ612,622と一致することになり、この動作を繰り返すことで、通常の運針制御が行われる。
また、受信した時刻データで各時刻カウンタ612,622が修正されると、そのカウンタ値に各位置カウンタ611,621のカウンタ値が一致するまで、各駆動パルス信号PS1,PS2が出力され続け、指針が早送りされて正しい時刻に修正される。
外部操作部材8は、竜頭、ボタン等を備え、受信動作や時刻合わせなどを行うために利用される。
すなわち、図4に示す日本の標準電波(JJY)のタイムコードフォーマットでは、1秒ごとに一つの信号が送信され、60秒で1レコードとして構成されている。つまり、1フレームが60ビットのデータである。また、データ項目として分、時の現時刻情報と、現在年の1月1日からの通算日、年(西暦下2桁)、曜日等のカレンダー情報とが含まれている。各項目の値は、各秒毎に割り当てられた数値の組み合わせによって構成され、この組み合わせのON、OFFが信号の種類から判断される。
“1”以外の信号が送信されてきた場合には、“OFF”状態となり、その項目に対応付けられた数値は時分等を算出する際の加算の対象外となることを示している。
例えば、分に該当する8秒間に長波標準電波信号が“1、0、1、0、0、1、1、1”と送信されてきた場合には、現在時刻の分が“40+10+4+2+1=57”分であることを示している。長波標準電波信号のタイムコードフォーマット上に“P”が記されている項目については、固定項目であり、長波標準電波信号とタイムコードフォーマットとの同期を取るために用いられる。タイムコードの先頭の“P”は、つまり2つの“P”が連続している部分が正分(毎分0秒)の立ち上がりに対応していて、秒が“00”秒であることを示し、分が次の分に切り替わることを示している。
ちなみに、長波標準電波はセシウム原子時計を基準としているため、この長波標準電波を受信して時刻を修正する電波時計は、誤差が10万年に1秒という非常に高い精度を得ることができる。
なお、実際に受信回路部23を介して駆動制御手段3に入力される受信信号は、受信回路部23の構成により、反転して出力されることもある。このような場合には、前記JJYの各パルスの基準タイミングは、信号が立ち下がるタイミングとなる。
従って、パルスタイミング検出部331は、受信回路部23から入力される信号パルスにおいて、1秒間隔で信号レベルが変化する基準タイミングが、パルスの立ち上がりであるか立ち下がりであるかを各受信局毎に設定しておき、受信対象局が選択された際に、その局に合わせてパルスの立ち上がりを検出するか、立ち下がりを検出するかを設定すればよい。
要するに、パルスタイミング検出部331は、1秒間隔で立ち上がりまたは立ち下がることで信号レベルが変化するパルスにおいて、前記1秒間隔の信号レベルの変化タイミングを検出できるように設定されていればよい。
駆動制御手段3は、まず、利用者によってリュウズやボタンなどの外部操作部材8が操作されて強制受信操作が行われたか否かを判定する(ステップ1、以下ステップを「S」と略す)。
駆動制御手段3は、S1において、強制受信操作が行われていない場合、受信スケジュール記憶手段310に予め設定された受信スケジュールを参照し、所定の受信時期に達したかを検知する(S2)。
駆動制御手段3は、S1において強制受信操作が行われた場合や、S2において通常受信時期に達したことを検知すると、受信処理を開始する(S3)。また、受信処理S3の終了後、あるいは受信時期で無いため、S2で「No」と判定された場合には、通常運針を行う(S4)。このように、駆動制御手段3は、上記S1〜S4を繰り返し処理する。
駆動制御手段3は、受信処理を開始すると、受信スタート処理を実行する(S10)。受信スタート処理S10が実行されると、まず、運針制御手段35は、秒駆動回路41、時分駆動回路42を制御して各モータ411,421の駆動を停止する。
さらに、駆動制御手段3は、同調回路部22や受信回路部23に信号を送り、受信回路を作動し、受信局の選択処理を行う(S11)。具体的には、選択した受信局に応じて、同調回路部22で同調周波数の切り替えや、デコード回路235の設定切り替えを行う。
なお、モータを停止させるのは、モータコイルから発生する磁気ノイズが受信アンテナに入りこみ、受信に悪影響を与えることを防ぐためである。
本実施形態において、毎日午前2時に受信処理が開始された場合、フルコードの時刻情報の受信に成功するまでは5〜10分程度かかるため、受信成功時は午前2時5分〜10分程度になる。このため、前日の受信に成功している場合、前回の受信成功時から24時間未満となり、S12では「Yes」と判定される。
一方、前日、受信に失敗した場合や、後述するようにフルコードの受信を行わなかった場合は、前回の受信成功時から24時間以上経過することになり、S12では「No」と判定される。
各矩形パルスの立ち上がりタイミングは、1秒間隔であるが、受信状況が悪く、SN比が低下している場合には、各矩形パルスの立ち上がりタイミングにバラツキが生じるおそれがある。このため、本実施形態のパルスタイミング検出部331は、図9(A)に示すように、立ち上がりタイミングを検出すると(S13)、検出した値の平均値を求めている(S14)。そして、予め設定した回数(n回)分のタイミング検出が完了したか否かを判定し(S15)、完了していなければ、立ち上がりタイミング検出処理(S13)および平均値算出処理(S14)を繰り返している。
この際、ズレ量算出部332は、時刻修正量記憶手段33に記憶されている前回の時刻修正量に応じてズレ量を算出している。
すなわち、前回の時刻修正量が+0.6秒の場合、つまり内部時刻を0.6秒進めた場合、今回の受信時も内部時刻は標準電波の基準時刻よりも遅れている可能性が高い。このため、ズレ量算出部332は、図9(C1)のように、矩形パルスの立ち上がりタイミングから、その後の内部時刻の秒タイミングまでの時間差Aをズレ量とする。
一方、前回の時刻修正量が−0.3秒の場合、つまり内部時刻を0.3秒遅らせた場合、今回の受信時も内部時刻は標準電波の基準時刻よりも進んでいる可能性が高い。このため、ズレ量算出部332は、矩形パルスの立ち上がりタイミングから、その前の内部時刻の秒タイミングまでの時間差Bをズレ量とする。
ここで、許容範囲は、時刻修正量記憶手段33に記憶されている前回の時刻修正量に基づいて設定される。
例えば、前回の時刻修正量が+0.6秒の場合、つまり内部時刻を0.6秒進めた場合、この+0.6秒に対して±0.1秒の範囲を設けて許容範囲を設定している。従って、この場合、許容範囲は、+0.5秒以上でかつ+0.7秒以下となる。
また、前回の時刻修正量が−0.3秒の場合、つまり内部時刻を0.3秒遅らせた場合、許容範囲は、−0.4秒以上でかつ−0.2秒以下となる。
そして、秒情報修正部334は、ズレ量算出部332で算出したズレ量に基づいて、内部時刻の秒タイミングを修正し(S19)、受信処理を終了する。
さらに、通常時刻修正手段320は、フルコード受信によって受信成功したか否かを判定する(S21)。そして、受信に成功した場合には、時刻情報更新手段32により時刻修正が行われる(S22)。また、時刻情報更新手段32による時刻修正量は、時刻修正量記憶手段33に記憶される(S23)。
(1)本実施形態では、標準電波のフルコード受信を行う通常時刻修正手段320の他に、受信時間を短縮できる簡易時刻修正手段330を設けたので、消費電力を短縮できる。
すなわち、簡易時刻修正手段330は、標準電波の矩形パルスの1秒間隔の立ち上がりタイミングと、内部時刻の秒タイミングのズレ量に基づいて内部時刻の秒タイミングを修正しているため、10〜30回(10〜30秒間)程度の受信処理で時間修正を行うことができる。このため、通常のフルコードを受信して時刻修正を行う場合に比べて、非常に短時間で時刻修正を行うことができ、消費電力を大幅に低減できる。
すなわち、標準電波の矩形パルスの1秒間隔の立ち上がりタイミングと、内部時刻の秒タイミングとでズレがある場合、内部時刻が遅れているのか、進んでいるのかを判定できない。しかし、本発明では、電波修正時計において内部時刻のずれは通常同じ方向に発生する点に着目し、前回受信成功時の時刻修正量を基準に許容範囲を設定することで、ズレ量の発生方向が進んでいるか、遅れているかを判定しているので、内部時刻のズレ量を正しく判断でき、内部時刻を正しく修正できる。
次に、第2実施形態の電波修正時計1について説明する。
なお、以下の実施形態において、前述する各実施形態と同一または同様の構成要素には同一符号を付し、説明を省略あるいは簡略する。
第2実施形態の電波修正時計1は、パルスタイミング検出部331を改良し、図10に示すように、受信回路部23から出力される受信出力信号がS/Nが悪くノイズが含まれている場合に、矩形パルスの立ち上がりタイミングを精度よく検出するように構成されたものである。
このため、本実施形態では、図11に示すように、矩形パルスの立ち上がりタイミング検出処理S13の後、そのパルス幅を予め設定された所定値(例えば100msec)と比較している(S31)。そして、パルス幅が所定値よりも大きく、S31で「Yes」と判定された場合には前記平均値算出処理S14を行い、パルス幅が所定値以下であってS31で「No」と判定された場合には、そのパルスの立ち上がりタイミングは無効として平均値算出には用いず、パルス立ち上がり検出を続行するようにしている。
さらに、第2実施形態では、S/N比が低下して検出した矩形パルスにノイズが混入している場合でも、矩形パルスの1秒間隔の立ち上がりのみを検出できてノイズの影響を低減できるため、より正確にパルス立ち上がりタイミングを求めることができ、簡易時刻修正手段330による時刻修正処理をより高精度に行うことができる。
例えば、前記各実施形態では、前回の受信成功から24時間以内の場合に、簡易時刻修正手段330を作動させるようにしていたため、少なくとも一日おきにフルコードを受信しており、簡易時刻修正手段330による短縮受信は連続して実行することはなかったが、短縮受信を複数回連続して実行するように構成してもよい。
ただし、内部時刻の精度を向上させるため、例えば1週間に1度はフルコード受信を行うように設定し、6回連続で短縮受信を行ったら、次はフルコード受信を行うようにすることが好ましい。
要するに、本発明の矩形パルスは、1秒間隔で立ち上がりまたは立ち下がることで信号レベルが変化するため、前記信号レベルの変化タイミングをパルスタイミング検出部331で検出して基準タイミングとすればよい。
さらに、受信スケジュールに基づいて自動的に受信手段が起動して受信開始する場合(定時受信)でなくとも、ユーザーによる外部操作部材の所定の操作によって受信手段が起動して受信開始する場合(手動受信)でも本方式は有効である。
例えば、電波修正時計1内にCPUやメモリを配置してコンピュータとして機能できるように構成し、このメモリに所定の制御プログラムやデータをインターネット等の通信手段や、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体を介してインストールし、このインストールされたプログラムでCPU等を動作させて、駆動制御手段3や時刻データ記憶回路部24等の各手段を実現させればよい。
なお、電波修正時計1に所定のプログラム等をインストールするには、その時計1にメモリカードやCD−ROM等を直接差し込んで行ってもよいし、これらの記憶媒体を読み取る機器を外付けで時計1に接続してもよい。さらには、LANケーブル、電話線等を時計1に接続して通信によってプログラム等を供給しインストールしてもよいし、アンテナ21を備えていることから無線によってプログラムを供給してインストールしてもよい。
また、電波修正時計1において選択できる電波の種類の数や具体的な国(地域)は、実施にあたって適宜設定すればよい。
Claims (6)
- 矩形パルスによって変調されている時刻情報を受信するための受信手段と、
予め設定されたスケジュールに基づいて前記受信手段の駆動を制御する受信制御手段と、
前記受信手段で受信した時刻情報によって内部時刻情報を更新する時刻情報更新手段と、
前記時刻情報更新手段で内部時刻情報を修正した際の時刻修正量を記憶する時刻修正量記憶手段と、
前記内部時刻情報に基づいて時刻を表示する時刻表示手段と、を備え、
前記矩形パルスは、1秒間隔で立ち上がりまたは立ち下がるとともに、この立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングである基準タイミングから、前記立ち上がった信号が立ち下がるまで、または立ち下がった信号が立ち上がるまでのパルス幅が、1秒間隔未満でかつ複数種類の長さとされ、
前記受信制御手段は、
前回の受信成功時から所定期間内に受信手段を駆動する場合に駆動される簡易時刻修正手段と、前回の受信成功時から所定期間後に受信手段を駆動する場合に駆動される通常時刻修正手段とを備え、
前記通常時刻修正手段は、前記受信手段を時刻情報のフルコードを受信するのに必要な時間駆動し、受信に成功した場合には前記時刻情報更新手段によって内部時刻情報を修正させるように構成され、
前記簡易時刻修正手段は、
前記受信手段を前記フルコード受信時よりも短い時間駆動して時刻情報の矩形パルスの前記基準タイミングを検出するパルスタイミング検出部と、
前記パルスタイミング検出部で検出された矩形パルスの前記基準タイミングと、前記内部時刻情報の秒のタイミングとのズレ量を算出するズレ量算出部と、
前記ズレ量算出部で算出されたズレ量が、前記時刻修正量記憶手段に記憶された前回の時刻修正量を基準に設定された許容範囲内であるか否かを判定するズレ量判定部と、
前記ズレ量判定部においてズレ量が許容範囲内であると判定された際に、前記ズレ量に基づいて内部時刻情報の秒情報を修正する秒情報修正部と、を備えて構成され、
前記時刻修正量記憶手段は、内部時刻情報を進めて修正した場合には前記時刻修正量を正の値で記憶し、内部時刻情報を遅らせて修正した場合には前記時刻修正量を負の値で記憶し、
前記ズレ量算出手段は、前記時刻修正量が正の値の場合には、前記矩形パルスの前記基準タイミングから次に発生する内部時刻情報の秒のタイミングまでの時間を正の値のズレ量とし、前記時刻修正量が負の値の場合には、前記内部時刻情報の秒のタイミングから次に発生する前記矩形パルスの前記基準タイミングまでの時間を負の値のズレ量とすることを特徴とする電波修正時計。 - 請求項1に記載の電波修正時計において、
前記簡易時刻修正手段は、
前記ズレ量判定部においてズレ量が許容範囲外であると判定された際は、前記通常時刻修正手段を駆動し、時刻情報をフルコード受信させる
ことを特徴とする電波修正時計。 - 請求項1または請求項2に記載の電波修正時計において、
前記受信制御手段は、1日間隔で受信手段を駆動するスケジュールが設定され、
前記ズレ量判定部は、前記時刻修正量記憶手段に記憶された時刻修正量を1日当たりの時刻修正量に換算し、その1日当たりの時刻修正量を中心とする所定範囲によって前記許容範囲を設定し、前記所定範囲は±0.5秒未満に設定されている
ことを特徴とする電波修正時計。 - 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電波修正時計において、
前記パルスタイミング検出部は、矩形パルスの立ち上がりまたは立ち下がりを所定数検出し、その平均タイミングを算出して矩形パルスの前記基準タイミングを設定する
ことを特徴とする電波修正時計。 - 請求項4に記載の電波修正時計において、
前記パルスタイミング検出部は、前記平均タイミングを算出する際に、受信した時刻情報のパルス幅が所定値未満の矩形パルスの立ち上がりまたは立ち下がりデータを除いて算出する
ことを特徴とする電波修正時計。 - 矩形パルスによって変調されている時刻情報を受信するための受信手段と、
予め設定されたスケジュールに基づいて前記受信手段の駆動を制御する受信制御手段と、
前記受信手段で受信した時刻情報によって内部時刻情報を更新する時刻情報更新手段と、
前記時刻情報更新手段で内部時刻情報を修正した際の時刻修正量を記憶する時刻修正量記憶手段と、
前記内部時刻情報に基づいて時刻を表示する時刻表示手段と、を備えた電波修正時計の時刻修正方法であって、
前記矩形パルスは、1秒間隔で立ち上がりまたは立ち下がるとともに、この立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングである基準タイミングから、前記立ち上がった信号が立ち下がるまで、または立ち下がった信号が立ち上がるまでのパルス幅が、1秒間隔未満でかつ複数種類の長さとされ、
前回の受信成功時から所定期間内に受信手段を駆動する場合に実施される簡易時刻修正工程と、前回の受信成功時から所定期間後に受信手段を駆動する場合に実施される通常時刻修正工程とを備え、
前記通常時刻修正工程は、前記受信手段を時刻情報のフルコードを受信するのに必要な時間駆動し、受信に成功した場合には前記時刻情報更新手段によって内部時刻情報を修正し、
前記簡易時刻修正工程は、
前記受信手段を前記フルコード受信時よりも短い時間駆動して時刻情報の矩形パルスの前記基準タイミングを検出するパルスタイミング検出工程と、
前記パルスタイミング検出工程で検出された矩形パルスの前記基準タイミングと、前記内部時刻情報の秒のタイミングとのズレ量を算出するズレ量算出工程と、
前記ズレ量算出工程で算出されたズレ量が、前記時刻修正量記憶手段に記憶された前回の時刻修正量を基準に設定された許容範囲内であるか否かを判定するズレ量判定工程と、
前記ズレ量判定工程においてズレ量が許容範囲内であると判定された際に、前記ズレ量に基づいて内部時刻情報の秒情報を修正する秒情報修正工程と、を備えて構成され、
前記時刻修正量記憶手段は、内部時刻情報を進めて修正した場合には前記時刻修正量を正の値で記憶し、内部時刻情報を遅らせて修正した場合には前記時刻修正量を負の値で記憶し、
前記ズレ量算出工程は、前記時刻修正量が正の値の場合には、前記矩形パルスの前記基準タイミングから次に発生する内部時刻情報の秒のタイミングまでの時間を正の値のズレ量とし、前記時刻修正量が負の値の場合には、前記内部時刻情報の秒のタイミングから次に発生する前記矩形パルスの前記基準タイミングまでの時間を負の値のズレ量とする
ことを特徴とする電波修正時計の時刻修正方法。
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