以下に、本発明の画像形成装置に係る実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
まず、第1実施形態に係る画像形成装置10の全体構成について、図1に基づき説明する。本実施形態に係る画像形成装置10は、図1に示すように、箱状の装置本体12を備え、この装置本体12には、装置本体12の上部を開閉する開閉部50が設けられている。開閉部50は、その一端部(図1において右端部)が支持部50Aによって回動可能に支持されており、この支持部50Aを中心に回動することにより、装置本体12の上部が開放される。開閉部50には、原稿の画像を読み取り電気的な画像信号に変換する画像読取部52が設けられている。
画像読取部52は、読み取り対象となる原稿を載せるガラス製のプラテン54を備えている。このプラテン54の上部には、プラテン54上に載せられた原稿を保持するプラテンカバー56が開閉可能に取り付けられている。この画像読取部52は、プラテン54に載せられた原稿へ照射される照射光を横方向(例えば、図1における左右方向)へ沿って走査し、原稿から反射した反射光を検出し、電気的な画像信号に変換するようになっている。また、この画像信号は、後述する露光装置34へ送られるように構成されている。
一方、装置本体12には、その上部にある角部(図1において右斜め上にある端部)に、用紙(記録媒体)Pが束状に積層される給紙トレイ14が配置されている。
この給紙トレイ14の先端側(図1において左端側)の直上には、用紙Pの上面の先端側に圧接して給紙トレイ14から用紙Pを送り出すフィードロール16が配置されている。
また、装置本体12には、給紙トレイ14の先端部から延出して、横方向へ向かって略水平に延びる搬送路22が形成されている。
この搬送路22に沿って、用紙搬送方向の上流側から順に、用紙Pを挟持搬送する搬送ロール対24、画像が形成される用紙Pに密着して、その用紙Pを搬送する無端状の転写ベルト26が配置されている。
転写ベルト26は、用紙搬送方向上流側に配置された張架ローラ27と、用紙搬送方向下流側に配置された張架ローラ29に張架されており、張架ローラ27及び張架ローラ29のいずれかが、所定方向(図1において、時計回り方向)へ回転駆動することにより、転写ベルト26が所定方向(図1において、時計回り方向)へ回転(循環駆動)する。
また、搬送路22を間に挟んで、転写ベルト26に対向する下方には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した複数のプロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28K(以下、28Y、28M、28C、28Kをまとめて28と記す)が、搬送路22に沿って、装置本体12に略水平方向へ横列配置されている。すなわち、プロセスカートリッジ28Kは、モノクロ画像を形成するためのモノクロカートリッジであり、開閉部50の自由端に近い位置に配置され、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cは、カラー画像を形成するためのカラーカートリッジであり、開閉部50の自由端から遠い位置に配置されている。
各プロセスカートリッジ28には、それぞれ、所定方向(図1において反時計回り方向)へ回転する感光体ドラム30が設けられている。
感光体ドラム30の周囲には、感光体ドラム30の回転方向上流側から順に、それぞれ、感光体ドラム30上を帯電させる帯電ローラ32と、帯電した感光体ドラム30を露光して感光体ドラム30上に潜像を形成する露光装置34と、感光体ドラム30上に形成された潜像へ各色のトナーを付着させて現像する現像ローラ36と、が設けられている。
この帯電ローラ32及び現像ローラ36は、各プロセスカートリッジ28に、それぞれ、設けられている。
感光体ドラム30に対向する上方には、転写ベルト26の内周側に、それぞれ、感光体ドラム30上に形成されたトナー画像を用紙Pへ所定の転写位置で転写する転写装置38が設けられている。
転写ベルト26より用紙搬送方向下流側には、転写されたトナー画像を用紙Pへ定着させる定着装置40、用紙Pを排出トレイ20へ排出する排出ロール対44が、この順で配置されている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置における、画像を形成する画像形成動作について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置において、画像読取部52において、プラテンに載せられた原稿から画像を読み取り、電気的な画像信号に変換する。この画像信号は、露光装置34へ入力される。
一方、用紙Pは給紙トレイ14から送り出され、搬送ロール対24によって搬送路22を横方向へ搬送され、転写ベルト26へ送り込まれる。転写ベルト26へ送り込まれた用紙Pは、転写ベルト26に密着されて、横方向へ搬送され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した所定の転写位置へ順次送り込まれる。
所定の転写位置へ送り込まれた用紙Pは、感光体ドラム30上に形成された各色のトナー画像が転写装置38によって転写され、フルカラー画像が形成される。さらに定着装置40へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置40により定着される。トナー画像が定着された後、用紙Pは排出ロール対44により排出トレイ20へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
ここで、開閉部50の開放動作に連動して、プロセスカートリッジ28を開閉部50の開放側へ移動させるための移動機構60について説明する。
本実施形態に係る移動機構60は、図2(A)及び図2(B)に示すように、プロセスカートリッジ28Kを収容するカートリッジケース62及びプロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを収容するカートリッジケース63を備えている。
プロセスカートリッジ28K及びプロセスカートリッジ28Y、28M、28Cは、カートリッジケース62及びカートリッジケース63のそれぞれに、ラッチ機構等により、着脱可能に固定されている。
カートリッジケース62、63は、図2(A)に示すように、上端が開口されており、プロセスカートリッジ28の感光体ドラム30は、この開口を通じて、転写ベルト26との間を通過する用紙Pに接触するように構成されている。また、カートリッジケース62、63は、下端が開口されており、プロセスカートリッジ28は、この開口を通じて、着脱されるようになっている。
カートリッジケース62の下部の両側面には、図2(B)に示すように、横方向に突出する突起部64がそれぞれ形成されている。この突起部64をガイドするガイド溝65が、装置本体12の内壁にそれぞれ形成されている。このガイド溝65は、縦方向に延びると共に、上部に差込口が形成されており、突起部64は上部の差込口からガイド溝65に差し込まれる。
これにより、カートリッジケース62は、装置本体12に収容された際に、ガイド溝65に沿って下方に移動すると共に、突起部64がガイド溝65の底面に当接して所定の位置に位置決めされる。また、カートリッジケース62は、装置本体12から取り出される際に、ガイド溝65に沿って上方に案内されるようになっている。
また、カートリッジケース62の上部の両側面には、リンク部材66の一端部が回動可能にそれぞれ連結されており、リンク部材66の他端部は、開閉部50の下部の両側面に回動可能にそれぞれ連結されている。
これにより、開閉部50を所定の開放角度θ1まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、カートリッジケース62は、リンク部材66に引っ張り上げられるようになっている。カートリッジケース62が引っ張りあげられて上方へ移動することにより、開閉部50の開放側、すなわち、開閉部50が開放されることで形成される開放空間へ移動することになる(図3(A)及び図3(B)参照)。
また、カートリッジケース62は、リンク部材66により、開閉部50の閉鎖動作に連動して、ガイド溝65に沿って下方へ移動するようになっている。
一方、カートリッジケース63の下部の両側面には、図2(B)に示すように、横方向に突出する突起部67が左右に2つ並んで、それぞれに形成されている。この突起部67をガイドするガイド溝68が、装置本体12の内壁にそれぞれ形成されている。
このガイド溝68は、カートリッジケース62側に傾斜して斜め上方向に延びると共に、上部に差込口が形成されており、突起部67は上部の差込口からガイド溝68に差し込まれる。
これにより、カートリッジケース63は、装置本体12に収容された際に、ガイド溝68に沿って斜め下方に移動すると共に、突起部67がガイド溝68の底面に当接して所定の位置に位置決めされる。また、カートリッジケース63は、装置本体12から取り出される際に、ガイド溝68に沿って斜め上方に案内されるようになっている。
また、カートリッジケース63の上部の両側面であって、プロセスカートリッジ28K寄りの位置(図2(B)において左寄りの位置)には、リンク部材69の一端部が回動可能にそれぞれ連結されている。リンク部材69の他端部は、リンク部材70の一端部に回動可能にそれぞれ連結され、リンク部材70の他端部は、開閉部50の下部の両側面にそれぞれ回動可能に連結されている。
また、カートリッジケース63の上部の両側面であって、プロセスカートリッジ28Kから離れた位置(図2(B)において右寄りの位置)には、横方向に突出する突起部71が形成されている。開閉部50には、開閉部50の開閉時において突起部71を支持する支持アーム72が設けられている。支持アーム72の先端部には、コの字状のフック72Aが形成されており、このフック72Aに突起部71を係合して保持するようになっている。
これにより、開閉部50を所定の開放角度θ1まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、折り畳まれていたリンク部材69及びリンク部材70が伸展すると共に、支持アーム72のフック72Aに突起部71が係合するようになっている。このとき、カートリッジケース63は、位置不動のままとなっている(図3(A)及び図3(B)参照)。
開閉部50を所定の開放角度θ2まで開放すると、図4(A)及び図4(B)に示すように、開閉部50の開放動作に連動して、カートリッジケース63は、カートリッジケース62が移動することができるスペースを利用して回動し、回動しながらリンク部材69、70及び支持アーム72に引っ張り上げられるようになっている。
開閉部50を開放角度θ2まで開放すると、カートリッジケース62、63の下端側にスペースが確保され、カートリッジケース62、63の下端の開口からプロセスカートリッジ28K及びプロセスカートリッジ28Y、28M、28Cをそれぞれ取り外すことができるようになっている。
なお、図5(A)及び図5(B)に示すように、カートリッジケース62は回動可能にリンク部材69に連結されているので、開放角度θ1まで開放した段階で、カートリッジケース62を回動させて、プロセスカートリッジ28Kを取り外すようにしてもよい。
また、図2(B)、図3(B)、図4(B)及び図5(B)において、突起部64、ガイド溝65、リンク部材66、突起部67、ガイド溝68、リンク部材69、70、突起部71及び支持アーム72は、一方のみを図示している。
次に、移動機構を機能させるか否かを選択する選択手段について説明する。
本実施形態では、選択手段として、リンク部材66の連結状態を解除する解除手段90が用いられている。
解除手段90は、リンク部材66の上端部に形成された被係合部としての突起部91を備えている。開閉部50には、リンク部材66を開閉部50と連結する連結部材92が設けられている。連結部材92は、その中央部が支軸92Aにより回動可能に支持されており、連結部材92の一端部には、開閉部に変位可能に設けられた係合部としてのフック93が形成されている。
フック93は、突起部91と係合することにより、リンク部材66と開閉部50とを連結するようになっている。フック93の下方には、フック93を突起部91との係合方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング94が設けられている。
連結部材92の他端部には、スプリング94の付勢力に対抗してフック93を係合方向と反対方向へ移動させる操作部としての操作レバー95が形成されている。
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
本実施形態の構成によれば、フック93は、リンク部材66に設けられた突起部91と係合する係合方向に付勢されている。これにより、開閉部50とプロセスカートリッジ28Kとを連結するリンク部材66の連結状態が維持されている。
この状態において、開閉部50を所定の開放角度θ1まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、カートリッジケース62が上方へ引っ張りあげられ、開閉部50の開放側、すなわち、開閉部50が開放されることで形成される開放空間へ移動する(図3(A)及び図3(B)参照)。
また、開閉部50を所定の開放角度θ1まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、折り畳まれていたリンク部材69及びリンク部材70が伸展すると共に、支持アーム72のフック72Aに突起部71が係合する。(図3(A)及び図3(B)参照)。
次に、開閉部50を所定の開放角度θ2まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、カートリッジケース63は、リンク部材69、70及び支持アーム72によって、回動しながら引っ張り上げられる。
また、開閉部50を所定の開放角度θ2まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、カートリッジケース62は、さらに上方へ持ち上げられる。
そして、プロセスカートリッジ28の下端部(感光体ドラム30がない端部)から引き出して、プロセスカートリッジ28をカートリッジケース62、63から取り外して交換する。これにより、感光体ドラム30の表面に触れずに、プロセスカートリッジ28の取り外しができるので、手が汚れることがなく、また、感光体ドラム30の表面に傷をつけることがない。プロセスカートリッジ28を交換した後は、開閉部50を閉鎖し、カートリッジケース62、63を元の位置に戻す。
このように、本実施形態によれば、装置本体12に設けられた開閉部50を開放すると、その開閉部50の開放動作に連動して、プロセスカートリッジ28が開閉部50の開放側へ移動する。これにより、プロセスカートリッジ28を装置本体12から取り出すのが楽になり、装置本体12にあるプロセスカートリッジ28を交換する際の操作性がよい。
特に、本実施形態では、装置本体12にプロセスカートリッジ28が略水平方向へ配置されているので、プロセスカートリッジ28の交換操作する者が、プロセスカートリッジ28の配置方向から装置本体12に対面してプロセスカートリッジ28にアクセスする場合は、すなわち、開閉部50の自由端側(排出トレイ20側)からプロセスカートリッジ28にアクセスする場合は、各プロセスカートリッジ28までの距離が異なり、各プロセスカートリッジ28の取り出しやすさが異なる。すなわち、手前にあるプロセスカートリッジ28Kよりも、奥にあるプロセスカートリッジ28Yが取り出しにくい。
そこで、本実施形態では、交換頻度の高いモノクロカートリッジであるプロセスカートリッジ28Kを、開閉部50の自由端側に配置し、開放側へ回動できるようにしたので、開閉部を大きく開放することなく、交換できる。また、本実施形態のように、開閉部50に重量のある画像読取部52や転写ベルト26が設けられた構成であっても、開閉部を大きく開放せずに、プロセスカートリッジ28Kを交換できるので、プロセスカートリッジ28Kを交換する際の操作性がよい。
また、本実施形態によれば、開閉部50の開放角度に応じて、プロセスカートリッジ28Kと、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cとが別個に移動するので、時間差でプロセスカートリッジ28Kとプロセスカートリッジ28Y、28M、28Cとが移動する。これにより、プロセスカートリッジ28Kがあったスペースを利用して、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを移動させられ、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを移動させるためのスペースを別途確保する必要がないので、複数のプロセスカートリッジ28をコンパクトに配置できる。
また、プロセスカートリッジ28Kが移動したことでできるスペースを利用して、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを回動させながら移動させるので、機構が複雑とならず、小型化できる。
また、プロセスカートリッジ28Kと転写ベルト26との間に挟まった用紙Pの除去を行う場合は、操作レバー95を操作することにより、スプリング94の付勢力に対抗してフック93を係合方向と反対方向へ移動させる。
これにより、リンク部材66の連結状態を解除され、開閉部50を開放しても、プロセスカートリッジ28Kが移動せず、プロセスカートリッジ28Kと転写ベルト26との間が開放される(図6(A)及び図6(B)参照)。
このように、プロセスカートリッジ28Kと転写ベルト26との間に挟まった用紙Pの除去を行う場合に、操作レバー95を操作すればよいので、プロセスカートリッジ28Kの交換作業性及び用紙Pの除去作業性がよい。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、画像形成装置の全体構成は、第1実施形態と同一であるので、説明を省略する。また、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態に係る移動機構80は、図7(A)及び図7(B)に示すように、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを収容するカートリッジケース82を備えている。
プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cは、カートリッジケース82に、ラッチ機構等により、着脱可能に固定されている。
カートリッジケース82は、図7(A)に示すように、上端が開口されており、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cの感光体ドラム30は、この開口を通じて、転写ベルト26との間を通過する用紙Pに接触するように構成されている。また、この開口を通じて、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cが着脱されるようになっている。
この第2実施形態では、プロセスカートリッジ28Kは、カートリッジケースに収容されておらず、プロセスカートリッジ28Kの両側面の下部及び中央部には、横方向に突出する突起部84、87がそれぞれ形成されている。この突起部84、87をガイドするガイド溝85が、装置本体12の内壁にそれぞれ形成されている。このガイド溝85は、縦方向に延びると共に装置本体12の上部で、開閉部50の自由端側(図7(A)において左側)に湾曲している。また、ガイド溝85の上部には、差込口が形成されており、突起部84、87は上部の差込口からガイド溝85に差し込まれる。
これにより、プロセスカートリッジ28Kは、装置本体12に収容された際に、ガイド溝85に沿って下方に移動すると共に、突起部84がガイド溝85の底面に当接して所定の位置に位置決めされる。また、プロセスカートリッジ28Kは、装置本体12から取り出される際に、ガイド溝85に沿って上方に案内されながら回動して、開閉部50の開放側、すなわち、開閉部50が開放されることで形成される開放空間へ向きを変えるようになっている。
また、プロセスカートリッジ28Kの両側面にある突起部84をそれぞれ支持する支持アーム86が設けられている。支持アーム86の先端部には、突起部84を引っ掛けるフック86Aがそれぞれ形成されている。
支持アーム86の後端部には、リンク部材83の一端部が回動可能にそれぞれ連結され、リンク部材83の他端部は、開閉部50の下部にそれぞれ回動可能に連結されている。
これにより、開閉部50を所定の開放角度θ1まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、プロセスカートリッジ28Kは、支持アーム86に引っ張り上げられるようになっている。プロセスカートリッジ28Kが引っ張りあげられて上方へ移動することにより、開閉部50の開放側、すなわち、開閉部50が開放されることで形成される開放空間へ移動することになる(図8(A)及び図8(B)参照)。
また、プロセスカートリッジ28Kは、支持アーム86により、開閉部50の閉鎖動作に連動して、ガイド溝85に沿って下方へ移動するようになっている。
一方、カートリッジケース82の下部の両側面であって、プロセスカートリッジ28K寄りの位置(図7(B)において左寄りの位置)には、図7(B)に示すように、支軸87がそれぞれ設けられている。この支軸87により、カートリッジケース82は、回動可能に装置本体12に支持される。
カートリッジケース82の下部の両側面であって、プロセスカートリッジ28Kから離れた位置(図7(B)において右寄りの位置)には、図7(B)に示すように、リンク部材88の一端部がそれぞれ回動可能に連結されている。リンク部材88の他端部には、リンク部材89の一端部が回動可能に連結され、リンク部材89の他端部は、開閉部50の下部の両側面にそれぞれ回動可能に連結されている。
これにより、開閉部50を所定の開放角度θ1まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、リンク部材88、89は伸展し(図8(A)及び図8(B)参照)、開閉部50を所定の開放角度θ2まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、カートリッジケース82がリンク部材88、89により、引っ張りあげられる(図9(A)及び図9(B)参照)。
カートリッジケース82が引っ張りあげられると、支軸87を中心に回動し、端部が持ち上げられて、上部の開口が開放側へ傾けられ、開閉部50の開放側へ移動する。上部の開口を通じて、感光体ドラム30側からプロセスカートリッジ28Y、28M、28Cをそれぞれ取り外すことができるようになっている。
なお、図7(B)、図8(B)及び図9(B)において、突起部84、87、ガイド溝85、支持アーム86、リンク部材83、支軸87、リンク部材88、89は、一方のみを図示している。
次に、移動機構を機能させるか否かを選択する選択手段について説明する。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、選択手段として、リンク部材66の連結状態を解除する解除手段90が用いられている。
解除手段90は、リンク部材66の上端部に形成された被係合部としての突起部91を備えている。開閉部50には、リンク部材66を開閉部50と連結する連結部材92が設けられている。連結部材92は、その中央部が支軸92Aにより回動可能に支持されており、連結部材92の一端部には、開閉部に変位可能に設けられた係合部としてのフック93が形成されている。
フック93は、突起部91と係合することにより、リンク部材66と開閉部50とを連結するようになっている。フック93の下方には、フック93を突起部91との係合方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング94が設けられている。
連結部材92の他端部には、スプリング94の付勢力に対抗してフック93を係合方向と反対方向へ移動させる操作部としての操作レバー95が形成されている。
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
本実施形態の構成によれば、フック93は、リンク部材66に設けられた突起部91と係合する係合方向に付勢されている。これにより、開閉部50とプロセスカートリッジ28Kとを連結するリンク部材66の連結状態が維持されている。
この状態において、開閉部50を所定の開放角度θ1まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、プロセスカートリッジ28Kは、引っ張りあげられ、開閉部50の開放側、すなわち、開閉部50が開放されることで形成される開放空間へ移動する(図8(A)及び図8(B)参照)。開閉部50の開放側へ移動したプロセスカートリッジ28Kを取り外して、プロセスカートリッジ28Kを交換する。
次に、開閉部50を所定の開放角度θ2まで開放すると、開閉部50の開放動作に連動して、カートリッジケース82がリンク部材88、89により、引っ張りあげられ、支軸87を中心に回動し、端部が持ち上げられて、上部の開口が開放側へ傾けられる(図9(A)及び図9(B)参照)。開閉部50の開放側へ傾けられた上部の開口を通じて、感光体ドラム30側からプロセスカートリッジ28Y、28M、28Cをそれぞれ取り外して、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを交換する。
本実施形態によれば、装置本体12に設けられた開閉部50を開放すると、その開閉部50の開放動作に連動して、プロセスカートリッジ28が開閉部50の開放側へ移動する。
これにより、プロセスカートリッジ28を装置本体12から取り出すのが楽になり、装置本体12にあるプロセスカートリッジ28を交換する際の操作性がよい。
特に、本実施形態では、装置本体12にプロセスカートリッジ28が略水平方向へ配置されているので、プロセスカートリッジ28の交換操作する者が、プロセスカートリッジ28の配置方向から装置本体12に対面してプロセスカートリッジ28にアクセスする場合は、すなわち、開閉部50の自由端側(排出トレイ20側)からプロセスカートリッジ28にアクセスする場合は、各プロセスカートリッジ28までの距離が異なり、各プロセスカートリッジ28の取り出しやすさが異なる。すなわち、手前にあるプロセスカートリッジ28Kよりも、奥にあるプロセスカートリッジ28Yが取り出しにくい。
そこで、本実施形態では、交換頻度の高いモノクロカートリッジであるプロセスカートリッジ28Kを、開閉部50の自由端側に配置し、開放側へ回動するようにしたので、開閉部を大きく開放することなく、交換できる。また、本実施形態のように、開閉部50に重量のある画像読取部52や転写ベルト26が設けられた構成であっても、開閉部を大きく開放せずに、プロセスカートリッジ28Kを交換できるので、プロセスカートリッジ28Kを交換する際の操作性がよい。
また、本実施形態によれば、開閉部50の開放角度に応じて、プロセスカートリッジ28Kと、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cとが別個に移動するので、時間差でプロセスカートリッジ28Kとプロセスカートリッジ28Y、28M、28Cとが移動する。これにより、プロセスカートリッジ28Kがあったスペースを利用して、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを移動させられ、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを移動させるためのスペースを別途確保する必要がないので、複数のプロセスカートリッジ28をコンパクトに配置できる。
また、プロセスカートリッジ28Kが移動したことでできるスペースを利用して、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを回動させながら移動させるので、機構が複雑とならず、小型化できる。
さらに、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cが収容されたカートリッジケース82は、装置本体12側で支持されているため、開閉部50の荷重が過大とならず、開閉部50を開閉する際の操作性がよい。
また、プロセスカートリッジ28Kと転写ベルト26との間に挟まった用紙Pの除去を行う場合は、操作レバー95を操作することにより、スプリング94の付勢力に対抗してフック93を係合方向と反対方向へ移動させる。
これにより、リンク部材66の連結状態を解除され、開閉部50を開放しても、プロセスカートリッジ28Kが移動せず、プロセスカートリッジ28Kと転写ベルト26との間が開放される(図10(A)及び図10(B)参照)。
このように、プロセスカートリッジ28Kと転写ベルト26との間に挟まった用紙Pの除去を行う場合に、操作レバー95を操作すればよいので、プロセスカートリッジ28Kの交換作業性及び用紙Pの除去作業性がよい。
また、第1及び第2実施形態では、プロセスカートリッジ28Kを移動させた後、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを積極的に移動させる構成であったが、プロセスカートリッジ28Kを移動させた後、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを移動可能となるように構成し、交換操作する者が手動により、開閉部50の開放側に移動させてプロセスカートリッジ28Y、28M、28Cを交換してもよい。
また、第1及び第2実施形態では、プロセスカートリッジ28Y、28M、28Cが、一体に移動していたが、別個に開閉部50の開放側に移動するように構成してもよい。
また、第1及び第2実施形態では、プロセスカートリッジ28が水平方向に沿って配置されていたが、本発明に係る横方向へ配置されたプロセスカートリッジとしては、これに限られず、例えば、図13(A)及び図13(B)に示すように、プロセスカートリッジ28を上方又は下方に徐々にずらしながら横方向に配置した構成でもよい(図13(A)及び図13(B)においては、右方にいくにつれた徐々に上方にずれている)。図13(A)は、プロセスカートリッジが上下方向を向いた例を示し、図13(B)は、プロセスカートリッジが斜めに傾けられた例を示す。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図11に示すように、装置本体112を備え、装置本体112の下部には、用紙(記録媒体)Pが束状に積層されて収納される給紙トレイ114が配置されている。
この給紙トレイ114の先端側(図1において右端側)の直上には、用紙Pの上面の先端側に圧接して給紙トレイ114から用紙Pを送り出すフィードロール116が配置されている。フィードロール116の下方には、重送を防止するためのリタードロール118が対向配置されている。
また、装置本体112には、給紙トレイ114の先端部から延出して、緩やかに湾曲し、装置前方側(図1において右側)で上方へ向かって略垂直に延びる搬送路122が形成されている。
この搬送路122に沿って、用紙搬送方向の上流側から順に、用紙Pを挟持搬送する搬送ロール対124、プロセスカートリッジ128が配置されている。
プロセスカートリッジ128には、所定方向(図1において反時計回り方向)へ回転する感光体ドラム130が設けられている。
感光体ドラム130の周囲には、感光体ドラム130の回転方向上流側から順に、それぞれ、感光体ドラム130上を帯電させる帯電ローラ132と、帯電した感光体ドラム130を露光して感光体ドラム130上に潜像を形成する露光装置134と、感光体ドラム130上に形成された潜像へ各色のトナーを付着させて現像する現像ローラ136と、が設けられている。なお、この帯電ローラ132及び現像ローラ136は、各プロセスカートリッジ128に設けられている。
このプロセスカートリッジ128は、装置本体112に着脱可能に設けられており、図10(A)に示すように、横方向へ引き出すことにより取り外される。
また、感光体ドラム130に対向する横方向には、それぞれ、感光体ドラム130上に形成されたトナー画像を用紙Pへ所定の転写位置で転写する転写装置138が設けられている。この転写装置138は、装置本体12の側部を開閉する開閉部150に設けられており、開閉部150が開閉されると、開閉部150と一体に移動するようになっている(図12(A)及び図12(B)参照)。開閉部150は、その一端部(図11において下端部)が支持部150Aによって回動可能に支持されており、この支持部50Aを中心に回動することにより、装置本体12の側部が開放される。
また、転写装置138より用紙搬送方向下流側には、転写されたトナー画像を用紙Pへ定着させる定着装置140、用紙Pを排出トレイ120へ排出する排出ロール対144が、この順で配置されている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置における、画像を形成する画像形成動作について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置において、用紙Pへ画像を形成する場合は、まず給紙トレイ114から取り出された用紙Pが、搬送ロール対124によって搬送路122を上方へ搬送され、所定の転写位置へ送り込まれる。
所定の転写位置へ送り込まれた用紙Pは、感光体ドラム130上に形成されたトナー画像が転写装置138によって転写される。さらに定着装置140へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置140により定着される。トナー画像が定着された後、用紙Pは排出ロール対144により排出トレイ120へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
ここで、開閉部150の開放動作に連動して、プロセスカートリッジ128を開閉部150の開放側へ移動させるための構成、及びプロセスカートリッジ128を移動させるか否かを選択するための構成について説明する。
プロセスカートリッジ128と開閉部150との間には、開閉部150の開放動作に連動して、プロセスカートリッジ128を開閉部150の開放側へ移動させる移動機構としてのリンク部材152が設けられている。リンク部材152の一端部は、感光体ドラム130にある軸部130Aに回動可能に連結され、リンク部材152の他端部は、開閉部150の上部に配置されている。リンク部材152の他端部には、被係合部としての突起部154が設けられている。
開閉部150には、リンク部材152を開閉部150と連結する連結部材156が設けられている。連結部材156は、その中央部が支軸156Aにより回動可能に支持されており、連結部材156の一端部には、開閉部に変位可能に設けられた係合部としてのフック158が形成されている。フック158は、突起部154と係合することにより、リンク部材152と開閉部150とを連結するようになっている。フック158の下方には、フック158を突起部154との係合方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング160が設けられている。
連結部材156の他端部には、スプリング160の付勢力に対抗してフック158を係合方向と反対方向へ移動させる操作部としての操作レバー162が形成されている。
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
本実施形態の構成によれば、フック158は、リンク部材152に設けられた突起部154と係合する係合方向に付勢されている。これにより、開閉部150とプロセスカートリッジ128とを連結するリンク部材152の連結状態が維持され、開閉部150の開放動作に連動して、プロセスカートリッジ128が開閉部150の開放側へ移動する(図12(A)参照)。
これにより、プロセスカートリッジ128を装置本体112から取り出すのが楽になり、装置本体112にあるプロセスカートリッジ128を交換する際の交換作業性がよい。
また、プロセスカートリッジ128と転写装置138との間に挟まった用紙Pの除去を行う場合は、操作レバー162を操作することにより、スプリング160の付勢力に対抗してフック158を係合方向と反対方向へ移動させる。
これにより、リンク部材152の連結状態を解除され、開閉部150を開放しても、プロセスカートリッジ128が移動せず、プロセスカートリッジ128と転写装置138との間が開放される(図12(B)参照))。
このように、プロセスカートリッジ128と転写装置138との間に挟まった用紙Pの除去を行う場合に、操作レバー162を操作すればよいので、プロセスカートリッジ128の交換作業性及び用紙Pの除去作業性がよい。
また、本実施形態の構成では、搬送ロール対124と、プロセスカートリッジ128を挟んで定着装置140が、搬送可能な記録媒体の送り方向長さよりも短い間隔で配置されている。したがって用紙Pが搬送ロール対124と、定着装置140とに挟持された状態で詰まることがあるが、その状態で開閉部150とプロセスカートリッジ128とを連結するリンク部材152の連結状態が維持されたまま開閉部150を開放すると、プロセスカートリッジ128が用紙Pを突き破るおそれがある。本実施形態の構成によれば、用紙Pを損傷させずに除去することができる。
本発明は、本実施形態に限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形、変更、改良が可能である。例えば本実施形態では電子写真方式のカートリッジについて説明したが、インクジェット方式のカートリッジであっても適用は可能である。