JP4880472B2 - プラズマディスプレイパネルとその製造方法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気体放電からの放射を利用した平面表示装置としてプラズマディスプレイ装置(以下では、「PDP装置」と記載する。)の商品化が図られている。このPDP装置には直流型(DC型)と交流型(AC型)があるが、大型表示装置として、面放電型AC型PDP装置がより高い技術的ポテンシャルを持ち寿命特性がすぐれ商品化されている。PDP装置のパネル部であるプラズマディスプレイパネル(以下では、「PDP」と記載する。)の構成について、図26(a)を用いて説明する。図26(a)は、従来の代表的な面放電型AC型PDPの一部の放電セル構造を示す展開斜視図(一部断面図)である。
【0003】
図26(a)に示すように、PDPは、前面パネル710と背面パネル720とが対向配置された構成を有する。前面パネル710は、前面基板711と、この表面上に形成された表示電極対712、およびその上に順次積層される誘電体層715および誘電体保護層716などからなる。この内、表示電極対712は、ストライプ状に延びたスキャン電極713とサスティン電極714とで構成され、その各々の電極713、714は、透明電極要素713a、714aとバスライン713b、714bとの積層により構成されている。ここで、バスライン713b、714bは、透明電極要素713a、714aの高抵抗を補うため、即ち、電気抵抗を下げるために金属材料などで細幅に形成されるものである。
【0004】
誘電体層715は、低融点ガラスから形成され、AC型PDP特有の電流制限機能を有する。誘電体保護層716は、スキャン電極713およびサスティン電極714の表面を保護すると共に、2次電子を効率よく放出し放電開始電圧を低下させる機能を有する。そして、誘電体保護層716の材料としては、2次電子放出係数γが大きく、且つ、耐スパッタ性が高く、光学的に透明な電気絶縁性材料である金属酸化物のMgO(酸化マグネシウム)が広く用いられている。
【0005】
背面パネル720は、背面基板721と、この表面上にストライプ状に複数形成され、画像データを書き込むためのデータ電極722と、さらにデータ電極722および背面基板721表面の少なくとも一部を覆うように、背面側の誘電体層723が低融点ガラスにより積層される。隣接する放電セル(図示省略)との間の誘電体層723上には、所定の高さの隔壁724が低融点ガラスによってストライプ状や井桁状(図26(a)では、一例として井桁状。)などに形成され、さらに誘電体層723の表面と隔壁724の側壁には、蛍光体層725が塗布焼成され配置された構造としている。蛍光体層725は、放電セル毎に赤、緑、青発光の3色の蛍光体材料のそれぞれが区分けされ使用されている。
【0006】
PDPは、前面パネル710と背面パネル720とを、スキャン電極713およびサスティン電極714とデータ電極722とが交差する方向に、配置され封着されて構成されている。ここで、前面パネル710と背面パネル720との間に形成される放電空間730は、製造過程で残留する大気や不純物ガスを排気した後、放電ガスとして希ガスのキセノン(Xe)・ネオン(Ne)あるいはキセノン(Xe)・ヘリウム(He)などが充填されている。放電ガスは、全圧に対するXeの分圧比率が5(%)〜6(%)であって、封入圧力(全圧)が約数十(kPa)で設定される。そして、PDPでは、表示電極対712とデータ電極722とが立体交差する各領域が放電単位である放電セルに対応し、複数の放電セルがマトリクス状に配列した構成となっている。
【0007】
さらに、PDPは、各電極713、714、722に対してマトリクス状に駆動する駆動回路やこれらを制御する制御回路などが接続され、これによってPDP装置が構成される。
上記AC型PDPは、(1)全表示セルを初期化状態にする初期化期間、(2)各放電セルをアドレスし、各放電セルへ入力データに対応した表示状態を選択・入力していくデータの書き込み期間、(3)表示状態にある放電セルを表示発光させる維持期間とから構成される駆動方式により駆動表示されている。
【0008】
表示するために直接発光させるのは、前面パネル710のスキャン電極713とサスティン電極714とを用いてであり、データ電極722は、表示発光させようとする放電セルを選択するために機能するものであって、表示発光には直接寄与していない。上記(2)の書き込み期間において、背面パネル720のデータ電極722を用いて書き込みデータが入力され、対向する前面パネル710の誘電体保護層716の表面に壁電荷が形成される。
【0009】
上記(3)の維持期間において、上記壁電荷が存在する放電セルで、表示電極対712のスキャン電極713とサスティン電極714とのそれぞれに対し、電圧パルス(例えば、約200(V)の矩形波電圧)が互いに位相が異なるように印加される。即ち、維持期間では、上記表示電極対712間に交流電圧を印加することにより、表示状態が書き込まれた放電セルに対し、電圧極性が変化するたびにパルス放電を発生させることができる。この維持放電の発生により、表示発光は、放電空間730の励起Xe原子から波長147(nm)の共鳴線が発生し、励起Xe分子からは波長173(nm)主体の分子線が放射される。
【0010】
次いで、上記紫外放射が、背面パネル720に設けられた蛍光体層725で可視放射に変換され、これにより可視光が得られる。ここで、誘電体保護層716に壁電荷が書き込まれていない放電セルでは、維持期間に交流電圧が印加されても維持放電が発生することはなく、表示状態は黒表示となる。なお、AC型PDPの表示画素単位は、通常、それぞれに赤、緑および青色発光の蛍光体層725を設けた3つの表示放電単位である放電セルから構成される。
【0011】
従来、PDPの3つの上記動作期間の内、全表示セルの壁電荷分布を初期化状態にする初期化期間において、コントラスト比を向上させるために、弱放電(初期化放電)と呼ばれる弱い小さな放電を安定して起こさせる工夫がなされている。通常、電圧−時間推移が緩やかな傾斜で上下するランプ波形高電圧を、前面パネル710のスキャン電極713と背面パネル720のデータ電極722との間に印加し、小さな放電電流を定常的に流すことにより、弱放電が安定して起きるようにしている。
【0012】
初期化期間における上りランプ波形電圧印加時の放電は、データ電極722あるいは2次電子放出係数γが小さい蛍光体層725側がカソード(陰極)となる放電であるので、放電開始電圧が高くなり弱放電が不安定となって強い放電が起きやすくなる。このため、この放電の際には、映像に無関係な初期化による誤発光(以下、初期化輝点と呼ぶ)が発生しやすいという問題がある。
【0013】
そこで、従来においては、初期化期間における弱放電を安定して発生させるために、蛍光体層725の表面を改質するという開発がなされている。このように蛍光体層725の表面を改質することにより、初期化期間では、蛍光体層725側がカソードとなる時の放電開始電圧を低下させて弱放電を安定化させ、正確な書き込み制御ができるようにして初期化輝点の発生を抑制することが考えられる。
【0014】
ところで、PDPの開発にあたっては、輝度向上のために放電ガスにおける全圧に対するXe分圧比率を上げて(高Xe化を図って)発光効率を向上させることが提案されている。しかし、PDPの放電ガスの全圧に対するXe分圧比率を上げた場合には、発光効率は向上するが放電開始電圧が上昇することや、初期化期間における上記ランプ波形印加時において弱放電が不安定になり、正確な初期化ができなくなるという大きな問題が生じる。即ち、高Xe化を図ったPDPでは、放電開始時に印加される電圧が大きくなり、また放電遅れが大きくなるので、発生する初期化放電が弱放電ではなく強い放電が発生し易くなり、不正確な壁電荷量が移動し、初期化輝点となってPDPの黒表示部分が光って白表示となり正確な表示ができなくなるという大きな問題があった。
【0015】
従来においては、駆動電圧を下げ、また隔壁724側面や蛍光体層725表面での荷電粒子の損失を低減し、発光効率を高めるために蛍光体層725、隔壁724、背面パネル720の放電空間730を臨む部分全てを、2次電子放出係数γが高い材料からなる皮膜で被覆するという技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図26(b)は、特許文献1に開示されている一実施例を示す断面図である。図26(b)に示すように、背面パネル740では、背面基板721の内側(放電空間730の側)に形成された蛍光体層725の表面の放電空間730を臨む部分全てが、2次電子放出係数γが高い材料からなる蛍光体皮膜746で被覆されている。なお、この実施例では、隔壁724の表面が放電空間730に露出する場合には、その露出部分も皮膜746で被覆する。
【0016】
図26(b)に示す特許文献1に係るPDPでは、書き込み期間以外の期間では、データ電極722の付近の蛍光体層725表面に正の壁電荷が蓄積され、さらにデータ電極722付近の放電空間730に正イオン群が浮遊し、隔壁724側面や蛍光体層725表面では放電空間730中を拡散する電粒子が損失して、発光効率に悪影響を及ぼしているとしている。そこで、背面パネル740の中で放電空間730を臨む部分(蛍光体層725の表面に対応)に、2次電子放出係数γが高い材料を用いて皮膜746を形成することにより、正イオンが皮膜746表面に衝突する際、放電空間730に放出される2次電子により浮遊している正イオン群を中和することで放電空間730の電界を強め、次の放電をより低電圧・低消費電力で引き起こすことができるとしている。
【0017】
従って、特許文献1においては、維持期間における放電の電力を下げることはある程度可能となると考えられる。
また、他の従来技術としては、従来、長時間にわたり安定してPDPの発光輝度を保つために、蛍光体層725の表面を覆ってMgOからなる膜を成膜するという技術が開発されている(例えば、特許文献2参照)。この技術では、蛍光体層725の表面をMgO膜で被覆した構成を採用することにより、2次電子放出性能を高めて放電状態の活性化が行われるとともに、蛍光体層725が放電時のスパッタから保護される。よって、この技術を採用するPDPでは、長期間にわたり安定して発光輝度を維持することができると考えられる。
【特許文献1】
特開2002−110046号公報
【特許文献2】
特開平08−212929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、上記特許文献1、2を含む従来の技術では、初期化期間における弱放電の発生を安定化させるということは困難である。具体的には、上記特許文献1の技術では、蛍光体層、隔壁の放電空間を臨む部分全てに、2次電子放出係数γが高い材料で構成した皮膜を備える構成を採用するが、このような構成では、初期化期間における弱放電の安定化を図り初期化輝点の発生を抑制するという課題を解決することは困難であると考えられる。特に、上述のように、放電ガス中における全圧に対するXe分圧比率を高めていく場合には、弱放電の安定化は困難である。
【0019】
また、上記特許文献1の技術では、蛍光体層725の表面全体を皮膜で覆っているので、放電空間730の励起Xe原子から放射される共鳴線の一部が蛍光体層725上に形成された膜で吸収されるに至り、蛍光体層725に到達する共鳴線が減少する。このため、この技術を採用するPDPでは、発光効率が低下し輝度が低下すると推定される。
また、上記特許文献2のPDPでは、蛍光体層725表面を覆ってMgO膜を成膜する構成としているが、この構成では、初期化期間における弱放電の安定化を図ることは困難であると考えられる。また、この技術のPDPにおいても、蛍光体層725の表面全体を0.5(μm)〜20(μm)の厚膜の皮膜746で覆うので、上記特許文献1のPDPと同様に、放電空間730の励起Xe原子から放射される波長147(nm)の共鳴線が皮膜746で吸収されて蛍光体層725に届き難くなり、発光効率が大幅に低下するものと推定される。
【0020】
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、放電ガスでの全圧に対するXe分圧比率を上げても、初期化期間において弱放電を常に安定化させて放電開始電圧を低下させ、初期化輝点の発生を抑制して画質を向上させ、且つ、発光効率の低下を抑え輝度の低下を抑制し輝度を向上させることが可能なPDPと、当該PDPを簡易に製造可能な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明に係るPDPは、第1の基板と第2の基板とが間に空間をあけて対向配置され、第1の基板における空間側の領域に蛍光体層が形成されてなる構成を有するものであって、蛍光体層の表面における一部領域には、蛍光体層を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが高い材料を構成要素に含む高ガンマ部(以下では、「高γ部」と記載する。)が被覆形成されており、蛍光体層の表面における残りの領域(即ち、高γ部が形成されていない領域)と、高γ部とは、ともに空間を臨む、という構成を有する。
【0022】
また、本発明に係るPDPは、第1の基板と第2の基板とが間に空間をあけて対向配置され、第1の基板における空間側の領域に蛍光体層が形成されてなる構成を有するものであって、蛍光体層の表面には、蛍光体層を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが高い材料を構成要素に含む皮膜状の高γ部が被覆形成されており、高γ部は、その膜厚が1(nm)以上10(nm)以下である、という構成を有する。
【0023】
また、本発明に係るPDPの製造方法は、第1の基板と第2の基板とが間に空間をあけて対向配置され、第1の基板における空間側の領域に蛍光体層が形成されてなるPDPを製造する方法であって、次の各ステップを有する。
※蛍光体層形成ステップ;第1の基板の上であって、第2の基板と対向させる側の表面部分に蛍光体層を形成する。
【0024】
※高γ部形成ステップ;蛍光体層の表面における一部領域に、蛍光体層を形成するのに用いた蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが高い材料を用いて、高γ部を被覆形成する。
ここで、高γ部形成ステップでは、蛍光体層の表面における残りの領域(蛍光体層の表面における高γ部が形成されていない領域)と高γ部とがともに空間を臨むように高γ部の形成を実施することを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係るPDPの製造方法は、第1の基板と第2の基板とが間に空間をあけて対向配置され、第1の基板における空間側の領域に蛍光体層が形成されてなるPDPを製造する方法であって、次の各ステップを有する。
※蛍光体層形成ステップ;第1の基板の上であって、第2の基板と対向する側の表面部分に蛍光体層を形成する。
【0026】
※高γ部形成ステップ;蛍光体層の表面に、蛍光体層を形成するのに用いた蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが高い材料を用いて、皮膜状の高γ部を被覆形成する。
ここで、高γ部形成ステップでは、高γ部を1(nm)以上10(nm)以下の膜厚を以って形成することを特徴とする。
また、本発明に係る高γ部の形成装置は、表面に電極と、当該電極を被覆する蛍光体層が形成された基板に対して、蛍光体層の表面であって電極の表面に相当する部分内に当該蛍光体層よりも2次電子放出係数γが高い材料を以って高γ部を形成する装置であって、高γ部の形成に用いる形成材料を帯電させる帯電手段と、帯電された形成材料を散布する散布手段と、散布された形成材料を、蛍光体層の表面であって電極の表面に相当する部分内に偏在して堆積させるために、電極に電圧を印加する印加手段とを備える、という構成を有する。
【発明の効果】
【0027】
本願発明者らは、従来の構成を有するPDPの駆動において、初期化期間における強い放電の発生がランプ波形印加時の中でも、特に上りランプ波形印加時に発生し易いことを見出した。即ち、初期化期間には、スキャン電極に対して正の傾きを有する上りランプ波形電圧を印加し、その後に、負の傾きを有する下りランプ波形電圧を印加して全セルの初期化を行うのであるが、上りランプ波形印加時において、背面パネルのデータ電極あるいは2次電子放出係数γが小さい蛍光体層の側がカソードとなる際に、初期化放電が不安定となり、不所望の強い放電を生じ易い。
【0028】
これに対して、本発明に係るPDPでは、高γ部が空間を臨む状態で形成されているので、パネル駆動の初期化期間において、ランプ波形印加時に蛍光体層の側がカソードとなる場合の放電開始電圧を低下させ、強い放電の発生を抑制することで安定した初期化放電の発生を生じさせることができる。
また、本発明に係るPDPでは、蛍光体層の表面の一部が空間を臨むことから、駆動時において空間内で発生した紫外線が大きく減衰することなく蛍光体層に入射し、蛍光体層の表面全体をMgOで覆ってしまう特許文献1の技術を採用した場合のPDPに比べて、パネルの発光効率が低下してしまうのを抑制することができる。
【0029】
従って、本発明に係るPDPでは、初期化期間における安定的な弱放電の発生を図ることができ、高い発光効率と高い画質性能との両立を図ることが可能である。このPDPにおいては、次のようなバリエーションを採用することが可能である。
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が、前記蛍光体層の表面において、斑点状または縞状に形成されているという構成を採用することができる。
【0030】
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が、蛍光体層の表面に粒子状の材料が付着されることで形成されているという構成を採用することができる。
上記本発明に係るPDPでは、粒子の粒径を、0.05(μm)以上20(μm)以下にすることが望ましい。
上記本発明に係るPDPでは、粒子の1次粒子の径を、0.05(μm)以上1(μm)以下にすることが望ましい。
【0031】
上記本発明に係るPDPでは、粒子の2次粒子の径を、2(μm)以上20(μm)以下にすることが望ましい。
上記本発明に係るPDPでは、第1の基板の表面上に複数本の第1電極が形成され、当該第1電極を覆うように誘電体層および蛍光体層が積層されてなる構成を採用する場合において、高γ部が、第1電極の積層上方領域を含む範囲に形成されているという構成を採用することができる。
【0032】
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が、蛍光体層の表面において偏在して形成されているという構成を採用することが望ましい。
上記本発明に係るPDPでは、具体的に、高γ部が、第1電極の表面に相当する部分に偏在して形成されているという構成を採用することができる。
上記本発明に係るPDPでは、第1の基板の表面上には、複数本の第1電極が形成され、第2の基板の表面上には、第1の基板上における第1電極と交差する方向であって、互いに平行な第2電極および第3電極で対をなす電極対が複数対形成されており、高γ部が、第1電極と表示電極対とが立体的に交差する領域に相当する部分又は当該領域付近に相当する部分で偏在しているという構成を採用することができる。
【0033】
上記本発明に係るPDPでは、第2電極と第3電極との一方がスキャン電極であり、他方がサスティン電極であって、高γ部は、第1電極(データ電極に相当)とスキャン電極とが立体的に交差する領域に相当する部分に偏在した状態で存在しているという構成を採用することができる。
上記本発明に係るPDPでは、第1電極、第2電極および第3電極の各々に対し入力映像データに基づく電圧が印加され、入力映像データに基づき選択された放電セルにおいて、第1電極と第2電極との間に電圧が印加されることによって書き込み放電が発生し、当該書き込み放電の発生により壁電荷の形成がなされるという構成を採用することができる。
【0034】
上記本発明に係るPDPでは、第1の基板の表面上に複数本のデータ電極が形成され、第2の基板の表面上にデータ電極と交差する方向であって、互いに平行なスキャン電極およびサスティン電極で対をなす電極対が複数形成されており、スキャン電極の各側縁辺から前記第1の基板の表面に対して垂線を下ろすときに、高γ部が、蛍光体層の表面の内、上記垂線によって囲まれる領域に存する部分を有するという構成を採用することができる。
【0035】
上記本発明に係るPDPでは、複数のデータ電極を覆うように第1の基板に誘電体層が形成されるとともに、当該誘電体層の表面に、隣り合うデータ電極どうしの間であってデータ電極と並行する方向に延び、当該第1の基板の表面に向けて互いの間隔が狭まっていく状態の斜面を有する隔壁が立設されており、蛍光体層が第1の基板の誘電体層の表面と隣り合う隔壁とに囲まれる各凹部の壁面に形成されているものであって、高γ部は、上記垂線で囲まれる領域を含み、隔壁の斜面上に形成された蛍光体層表面を覆う状態に形成されているという構成を採用することができる。
【0036】
上記本発明に係るPDPでは、複数のデータ電極を覆うように第1の基板に誘電体層が形成されるとともに、当該誘電体層の表面に、隣り合うデータ電極どうしの間であってデータ電極と並行する方向に延びる第1隔壁と、この第1隔壁に交差する方向であって、第2の基板に形成された隣り合う電極対どうしの間に延びる第2隔壁とが立設されているものであって、蛍光体層が第1の基板の誘電体層の表面と隣り合う第1隔壁および第2隔壁とに囲まれる各凹部の壁面に形成されているものであって、第2隔壁が第1の基板の表面に向けて互いの間隔が狭まっていく状態の斜面を有し、高γ部が上記垂線で囲まれる領域を含み、第2隔壁の斜面上に形成された蛍光体層表面を覆う状態に形成されているという構成を採用することができる。
【0037】
上記本発明に係るPDPでは、データ電極の各側縁辺から第2の基板の表面に対して第2の垂線を下ろすときに、高γ部が、上記垂線と第2の垂線とによって囲まれる領域に損する部分を有するという構成を採用することができる。
上記本発明に係るPDPでは、サスティン電極の各側縁辺から第1の基板の表面に対して第3の垂線を下ろすときに、蛍光体層の表面の内、第3の垂線によって囲まれる領域が空間を臨んでいるという構成を採用することができる。
【0038】
上記本発明に係るPDPでは、蛍光体層の表面の内、上記垂線によって囲まれる領域の外の領域が空間を臨んでいるという構成を採用することができる。
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が膜状に形成され、その膜厚が100(nm)以上3(μm)以下に設定されているという構成を採用することが望ましい。
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が金属酸化物を含み構成されているという構成を採用することができる。
【0039】
上記本発明に係るPDPでは、上記金属酸化物の具体例として、MgO、CaO、BaO、SrO、MgNOおよびZnOの物質群の中から選択される少なくとも1種を含むという構成を採用することが望ましい。
上記本発明に係るPDPでは、上記金属酸化物の別の具体例として、MgOおよびSrOの少なくとも一方を含むという構成を採用することが望ましい。
【0040】
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が、カーボンナノチューブ、ナノファイバー、フラーレンおよびAlNの物質群の中から選択される少なくとも1種を含むという構成を採用することができる。
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が、Pt、Au、Pd、Mg、Ta、WおよびNiの金属材料群の中から選択される少なくとも1種を含むという構成を採用することができる。
【0041】
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が、PtおよびMgの少なくとも1種を含むという構成を採用することができる。
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が、蛍光体層の表面に対して、1(%)以上50(%)以下の被覆率を以って形成されているという構成を採用することが望ましい。
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が、蛍光体層の表面に対して、3(%)以上20(%)以下の被覆率を以って形成されているという構成を採用することが望ましい。
【0042】
また、本発明に係るPDPは、上述のように、1(nm)以上10(nm)以下の膜厚で、蛍光体層の表面を被覆する状態に高γ部が形成された構成を採用する場合においては、パネル駆動時において、空間(放電空間)で発生した147(nm)の共鳴線を含む真空紫外線が高γ部で実質的に多く吸収されることはなく、高い効率で蛍光体層へと透過される。よって、本発明に係るPDPでは、蛍光体層の表面に高γ部を形成しているものの、その膜厚を上記数値範囲に規定することによって発光効率の低下を招き難い。なお、このように高γ部の膜厚を1(nm)以上10(nm)以下に規定する場合には、高γ部で蛍光体層の表面の略全域を覆うという構成を採用することができる。ここでいう「略全域を覆う」とは、例えば、高γ部の形成過程において、その形成ムラなどにより膜状の高γ部に若干のピンホールなどが生じても、本発明の範疇に含むということを示す。
【0043】
また、上記本発明に係るPDPでは、空間を臨むように高γ部を形成しているので、パネル駆動時の初期化期間において、ランプ波形電圧の印加時に蛍光体層の側がカソードとなる場合の放電開始電圧の低下を図ることができ、弱放電の発生を安定化させることができる。
従って、本発明に係るPDPは、初期化期間における安定的な弱放電の発生を図ることができ、高い発光効率と高い画質性能との両立を図ることが可能である。このような構成を採用する本発明に係るPDPでは、次のようなバリエーションを採用することができる。
【0044】
上記本発明に係るPDPでは、高γ部が金属酸化物を含むという構成を採用することができる。具体的な金属酸化物としては、MgOおよびSrOの少なくとも一方を含むことが望ましい。さらに、上記本発明に係るPDPでは、金属酸化物がMgOを含み、高γ部が、金属酸化物を電子ビーム蒸着法を用い蒸着形成されたものであるという構成を採用することがより望ましい。
【0045】
上記本発明に係るPDPでは、第1の基板と第2の基板との間に形成された空間(放電空間)にXeを含む放電ガスが充填されており、放電ガスの全圧に対するXe分圧の比率を、5(%)以上100(%)以下にすることができる。
上記本発明に係るPDPでは、より望ましいXe分圧比率として、5(%)以上50(%)以下の範囲を採用することができる。
【0046】
また、本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部およびこれを備える上記本発明に係るPDPを容易且つ確実に製造することができる。本発明に係るPDPの製造方法は、次のようなバリエーションを採ることが可能である。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、スプレー法、分散堆積法あるいは電子ビーム蒸着法の何れかを用いて、蛍光体層の表面に対して斑点状または縞状に皮膜を形成することで、高γ部を形成するという具体的方法を採用することができる。
【0047】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、散布法、スプレー法、分散堆積法あるいは電着法の何れかを用いて、蛍光体層の表面に対して粒子状の材料を付着させることで、高γ部を形成するという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、蛍光体層形成ステップでの蛍光体層の形成に先行して、第1の基板の表面上に複数本の第1電極を互いに平行に形成し、当該第1電極を覆うように誘電体層を積層形成し、高γ部形成ステップにおいては第1電極の積層上方領域を含む範囲に高γ部を被覆形成するという具体的方法を採用することができる。
【0048】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、蛍光体層形成ステップでの蛍光体層の形成に先行して、第1の基板の表面上に複数本の第1電極を互いに平行に形成し、当該第1電極を覆うように誘電体層を積層形成し、第2の基板の表面上に、第1の基板における第1電極と交差する方向であって、互いに平行な第2電極および第3電極で対をなす表示電極対を複数対形成し、高γ部形成ステップにおいては、第1電極と第2電極とが交差する領域を含む範囲に高γ部を形成するという手段を採用することができる。
【0049】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、MgOまたはSrOを含む材料を用いて高γ部を形成するという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、カーボンナノチューブ、ナノファイバー、フラーレンおよびAlNで構成される物質群の中から選択される少なくとも1種の材料を用いて高γ部を形成するという具体的方法を採用することができる。
【0050】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、PtまたはMgを含む材料を用いて高γ部を形成するという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、蛍光体層の表面に対する高γ部の被覆率を3(%)以上20(%)以下に規定することが望ましい。
また、高γ部形成ステップにおいて、1(nm)以上10(nm)以下の膜厚を以って蛍光体層の表面を覆う状態に高γ部を形成する上記本発明に係るPDPの製造方法では、次のようなバリエーションを採用することができる。
【0051】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、電子ビーム蒸着法を用いて高γ部を蒸着形成するという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、MgOまたはSrOを含む材料を用いて高γ部を形成するという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、第1の基板と第2の基板との互いの外周部を封止する封止ステップと、放電空間内にXeを含む放電ガスを充填するガス充填ステップとを有し、ガス充填ステップにおいては、全圧に対するXe分圧の比率を5(%)以上50(%)以下に調整された放電ガスを用いるとういう具体的方法を採用することができる。
【0052】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、高γ部の形成材料を帯電させるとともに、その帯電された形成材料を、静電力により蛍光体層の表面における上記規定された一部領域に堆積させるという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、蛍光体層形成ステップにおける蛍光体層の形成に先行して、第1の基板の表面上に、複数本の第1電極を互いに形成し、当該第1電極を覆うように誘電体層を積層形成し、高γ部形成ステップにおいては、高γ部の形成材料を正に帯電させるとともに、第1電極に負の電圧を印加することにより、帯電状態の高γ部の形成材料を堆積させるという具体的方法を採用することができる。
【0053】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、第1電極への負の電圧の印加を、時間の経過と共に負側に大きくなるように行うという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、第1電極への負の電圧の印加を、負側に連続的または段階的に大きくなるように行うという具体的方法を採用することができる。
【0054】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、上記のように帯電された形成材料を、蛍光体層の表面に向けて散布するという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、高γ部の形成材料を、プラズマ中で帯電させ、当該帯電された形成材料を、電子ビーム蒸着により堆積させるという具体的方法を採用することができる。
【0055】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、高γ部の形成材料に、プラズマビームを照射させて帯電させ、当該帯電された形成材料を成膜することにより堆積させるという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、高γ部の形成材料として、少なくともMgOを含む材料を用いることができる。
【0056】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、蛍光体層形成ステップでの蛍光体層の形成に先行して、第1の基板の表面上に複数本のデータ電極を互いに平行に形成し、当該データ電極を覆うように誘電体層を積層形成し、誘電体層の表面上に第2の基板の側に向けて、隣り合うデータ電極どうしの間で並行して延び、且つ、第1の基板の表面に向けて互いの間隔が狭まっていく状態の斜面を有する隔壁を形成するものであって、蛍光体層形成ステップでは、隣り合う隔壁間において、当該隔壁および誘電体層とで構成される凹部の内壁面に対して、蛍光体層を形成し、隔壁が第1の基板の主表面に向けて互いの間隔が狭まって行く状態の斜面を有し、第2の基板の表面上に、データ電極と交差する方向であって、互いに平行なスキャン電極およびサスティン電極で対をなす電極対が複数形成されており、スキャン電極の各側縁辺から第1の基板の表面に対して垂線を下ろすときに、高γ部形成ステップにおいて、上記垂線に対して交差する角度を以って、隔壁の斜面上における蛍光体層の表面に対して斜め蒸着法により高γ部の被覆形成を行うという方法を採用することができる。
【0057】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、第2の基板の表面上に、データ電極と交差する方向であって、互いに平行なスキャン電極およびサスティン電極で対をなす電極対が複数形成されており、蛍光体層形成ステップでの蛍光体層の形成に先行して、第1の基板の表面上に、複数本のデータ電極を互いに平行に形成し、当該データ電極を覆うように誘電体層を積層形成し、誘電体層の表面上に、第2の基板の側に向けて、隣り合うデータ電極どうしの間で並行して延びる第1隔壁を形成し、且つ、同じく誘電体層の表面上に、第2の基板の側に向けて、第1隔壁に交差する方向であって、第2の基板に形成された隣り合う前記電極対どうしの間に延びる第2隔壁(第1隔壁と第2隔壁とで、所謂、井桁状隔壁を構成する。)を形成するものであって、蛍光体層形成ステップにおいて、誘電体層および第1隔壁および前記第2隔壁とで構成される凹部の内壁面に対して蛍光体層を形成し、第2隔壁が第1の基板の表面に向けて互いの間隔が狭まって行く状態の斜面を有し、スキャン電極の各側縁辺から第1の基板の表面に対して垂線を下ろすときに、高γ部形成ステップにおいて、上記垂線に対して交差する角度を以って、第2隔壁の斜面上における蛍光体層の表面に対して斜め蒸着法により高γ部の被覆形成を行うという方法を採用することができる。
【0058】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、上記角度を維持した状態で、第1の基板をその主面方向に搬送するという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、MgOを含む金属酸化物材料を用い、電子ビーム蒸着法により高γ部を膜状に形成するという具体的方法を採用することができる。
【0059】
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、膜厚が100(nm)以上3(μm)以下の膜状に高γ部を形成するという具体的方法を採用することができる。
上記本発明に係るPDPの製造方法では、高γ部形成ステップにおいて、蛍光体層の表面の内、上記垂線で囲まれる領域の外の領域を放電空間を臨む状態に維持するという具体的方法を採用することができる。
【0060】
また、本発明に係る高γ部の形成装置は、上記構成を採用することにより、上述のような規定箇所に高γ部を形成することができる。そして、この装置を用いることで、上記本発明に係るPDPを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下では、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下の説明で用いるプラズマディスプレイパネル(以下では「PDP」と記載する。)の各構成などについては、本発明の一例として示すものであって、本発明は、上述のような特徴的部分以外について、適宜変更が可能である。
【0061】
(実施の形態1)
1.PDP1の全体構成
実施の形態1に係るPDP1の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、PDP1の要部を抜き出して描いた要部斜視図である。
図1に示すように、PDP1は、大きく分けて前面パネル10と背面パネル20とから構成されている。この内、前面パネル10は、前面基板11の一方の主面上(図1においては、Z軸方向下向きの主面)に表示電極対12が複数対形成され、この表示電極対12を覆うように誘電体層13および誘電体保護層14が順に積層され構成されている。構成要素の内、表示電極対12は、スキャン電極(以下では、「Scn電極」と記載する。)121とサスティン電極(以下では、「Sus電極」と記載する。)122とで構成されている。Scn電極121およびSus電極122の各々は、透明電極要素121a、122aにバスライン121b、122bがそれぞれ積層され構成されている。
【0062】
各電極121、122を構成する部分の内、透明電極要素121a、122aは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO2、ZnOなどから構成されており、バスライン121b、122bは、Au、Ag、Cr、Cu、Ni、Ptなどから構成されている。なお、前面パネル10における各電極121、122については、本実施の形態で示す2層構造のものに限らず、Agなどの金属からなる単層構造のものや、Cr−Cu−Crなどの3層以上の構造のものを採用することもできる。
【0063】
また、前面基板11は、例えば、ソーダライムガラスなどを用い形成され、誘電体層13は、例えば、鉛系の低融点ガラス材料を用い形成され、誘電体保護層14は、例えば、MgOを用い形成されている。なお、誘電体保護層14の形成にあたっては、通常、真空蒸着法などを用いることができるが、斜め蒸着法を用いることもできるし、また、重量密度を単結晶材料の70(%)〜85(%)程度の範囲内に設定しておくことなどもできる。
【0064】
背面パネル20は、背面基板21の一方の主面上(図1においては、Z方向上向きの主面)に複数条のデータ電極(以下では、「Dat電極」と記載する。)22がストライプ状に形成され、Dat電極22を覆うように誘電体層23が形成され構成されている。背面パネル20における誘電体層23の表面には、隣り合うDat電極22間のそれぞれ隔壁24が立設され、誘電体層23と隔壁24とで構成される凹(溝)部分の内壁面に各色に対応の蛍光体層25が形成されている。蛍光体層25は、溝毎に色分けされて構成された赤色(R)蛍光体層25R、緑色(G)蛍光体層25G、青色(B)蛍光体層25Bから構成されている。各々の蛍光体層25R、25G、25Bは、例えば、次のような蛍光体材料から形成されている。
【0065】
赤色(R)蛍光体;(Y、Gd)BO3:Eu
緑色(G)蛍光体;Zn2SiO4:Mn
青色(B)蛍光体;BaMg2Al1424:Eu
そして、本実施の形態に係るPDP1では、蛍光体層の表面上に斑点状の蛍光体皮膜26が形成されている。蛍光体皮膜26は、蛍光体層25の表面の一部領域を覆い形成されており、蛍光体層25の表面の一部と、蛍光体皮膜26の表面とが、ともに放電空間30を臨む状態となっている。
【0066】
なお、背面パネル20を構成する各部の内、背面基板21は、前面基板11と同様に、例えばソーダライムガラスから形成され、Dat電極22は、例えば、Au、Ag、Cr、Cu、Ni、Ptなどから構成されている。また、誘電体層23は、基本的には誘電体層13と同様に、鉛系の低融点ガラスを用い形成されているが、TiO2が混入されていることもある。また、背面パネル20における隔壁24については、図1に示すようなストライプ状のものだけでなく、井桁状のものなどを採用することも可能である。
【0067】
蛍光体皮膜26の構成については、後述する。
図1に示すように、前面パネル10と背面パネル20とは、各々の表示電極対12およびDat電極22などが形成された主面どうしが向き合うように、且つ、表示電極対12とDat電極22とが交差する方向に対向配置され、互いの外周部がフリットガラスなどを用いて封止されている。そして、前面パネル10と背面パネル20との間に形成される放電空間30には、Xe−Ne系の放電ガス(希ガス)が約60(kPa)の圧力を以って充填されている。なお、放電ガスについては、Xe−Ne系のもの以外に、Xe−Ne−He系の混合ガスを用いることもできる。そして、放電ガスにおける全圧に対するXe分圧の比率は、パネルの発光効率を左右する大きな要因となるが、本実施の形態では、例えば、全圧に対するXe分圧比率が5(%)以上50(%)以下に設定されている。
【0068】
2.蛍光体皮膜26の構成
本実施の形態に係るPDP1の構成要素の内でも、最も特徴的となる蛍光体皮膜26の構成について、図2を用いて説明する。図2は、(a)が背面パネル20における蛍光体層25を平面視した図であり、(b)がその断面図である。
図2(a)に示すように、PDP1では、背面パネル20における蛍光体層25の表面に斑点状に蛍光体皮膜26が形成されている。蛍光体皮膜26は、蛍光体層25の表面上において、点在する状態に形成されており、蛍光体層25の表面に対する被覆率は、1(%)以上50(%)以下の範囲内に設定されている。なお、被覆率については、3(%)以上20(%)以下の範囲内とすることがより望ましい。
【0069】
図2(b)に示すように、蛍光体皮膜26は、蛍光体層25の表面における一部領域に被覆形成されており、放電空間30に対して露出している。また、蛍光体皮膜26は、蛍光体層25の表面の一部領域に形成されているため、蛍光体皮膜26が形成されていない蛍光体層25の表面は放電空間30に対して露出されている。
蛍光体皮膜26は、蛍光体層25を構成する各蛍光体材料よりも高い2次電子放出係数γを有する材料であって、且つ、蛍光体材料とは異なる材料から構成されており、この皮膜26の形成部分が本実施の形態に係るPDP1での高γ部に相当する。蛍光体皮膜26の構成材料としては、例えば、MgO、SrO、CaO、BaO、MgNOやZnOなどの金属酸化物をあげることができる。また、蛍光体層皮膜26の構成材料としては、金属酸化物以外に、カーボンナノチューブ(CNT)などのナノファイバー、C60などのフラーレン、AlNなど、さらには、Pt、Au、Pd、Mg、Ta、W、Niなどの材料を採用することも可能である。
【0070】
蛍光体皮膜26の構成に用いることのできる材料として列挙した上記材料の内、特に、金属酸化物の場合には、MgOやSrOなどが2次電子放出係数γなどの観点から望ましく、また、上記金属材料を用いる場合には、PtやMgが望ましい。
なお、蛍光体皮膜26の形成においては、上記材料以外の材料や不純物材料が含まれていてもよい。即ち、蛍光体皮膜26の形成に用いる材料には、総合的に蛍光体材料よりも大きい2次電子放出係数γとなっていればよい。
【0071】
3.蛍光体皮膜26の形成
図2に示す蛍光体皮膜26は、例えば、MgO材料を含む混合有機溶剤によるスプレー法や分散堆積法、電子ビーム蒸着法などを用いることで形成可能である。例えば、スプレー法を用いる場合には、次のようにステップを経て蛍光体皮膜26の形成がなされる。
(1)エタノールなどにMgO材料を混合し、混合有機溶剤を作製する。
(2)蛍光体層25の表面に沿ってマスクを装着し、このマスクに形成された孔を通して、混合有機溶剤を蛍光体層25の表面の一部領域上に塗布する。
(3)蛍光体層25の表面の一部領域上に塗布された混合有機溶剤を乾燥させ、有機溶剤を揮発させる。
【0072】
以上のようにして、図2に示すような蛍光体皮膜26が形成される。
また、分散堆積法を用いる場合には、例えば、有機溶剤にMgO材料を分散させておき、このMgO材料が分散された有機溶剤を用い、この溶剤表面に浮かせたMgO材料を静かに背面パネルの蛍光体層の所定の部分に堆積させる。この後、これを乾燥させ有機溶剤を揮発させることで蛍光体表面の一部領域上への蛍光体皮膜26の被覆形成がなされる。なお、MgO材料の堆積に先行して蛍光体層表面における蛍光体皮膜26を形成したくない部分には、レジストマスクを形成しておけば、図2に示すような斑点状の蛍光体皮膜26の形成が可能である。
【0073】
4.PDP1の駆動方法
上記構成のPDP1では、図示を省略するが、各電極121、122、22に対し、各ドライバを含む制御駆動部が接続された構成となっている。このように駆動制御部が接続されたPDP1の駆動方法について、図3を用いて説明する。図3は、アドレス・表示分離駆動方式を以って表示駆動される。この駆動方法では、例えば図3に示すように、256階調を表現するために1フィールドを8つのサブフィールドSF1〜SF8に分割し、それぞれのサブフィールドSF1〜SF8に初期化期間T1、書き込み期間T2、維持期間T3の3期間を設定する。
【0074】
先ず、PDP1の駆動では、初期化期間T1において、PDP1の全放電セルに対して初期化放電を発生させ、これによって当該サブフレームよりも前のサブフレームにおける放電の有無による影響の除去や放電特性のバラツキを吸収するための初期化が実施される。初期化期間T1における初期化放電は、図3に示すように、電圧−時間推移が緩やかに傾斜して上下するランプ波形を、Scn電極121とDat電極22との間に印加し、小さな放電電流を定常的に流す。これにより、PDP1に形成された全放電セルで、上り傾斜のランプ波形部分と下りランプ波形部分とで各1回づつ弱放電である初期化放電が発生する。
【0075】
次に、書き込み期間T2において、サブフィールドデータに基づいてScn電極121(1)〜121(k)を1ライン毎に順にスキャンして行き、当該サブフィールドで維持放電させたい放電セルに対して、Scn電極121とDat電極22との間で書き込み放電(微小な放電)を発生させる。このようにScn電極121とDat電極22との間で書き込み放電を生じた放電セルでは、前面パネル10の誘電体保護層14の表面に壁電荷が蓄えられる。
【0076】
その後、維持期間T3において、Sus電極122およびScn電極121に対し、所定の周期(例えば、6μsec.)、所定の電圧(例えば、180V)で矩形波の維持パルスPsus、Pscnを印加する。Sus電極122に印加する維持パルスPsusと、Scn電極121に印加する維持パルスPscnとは、互いに同一の周期を有し、且つその位相が半周期ずれた状態となっており、PDP1における全放電セルに対して同時に印加される。
【0077】
図3に示すようなパルスの印加によって、PDP1では、書き込みがなされた放電セルにおいて、維持期間T3での交流電圧の印加を以って電圧極性が変化するたびにパルス放電が発生する。このような維持放電の発生により、表示発光は、放電空間30の励起Xe原子からは147(nm)の共鳴線が、励起Xe分子からは173(nm)主体の分子線が放射され、次いで発生の紫外線を背面パネル20における蛍光体層25で可視光変換して画像表示がなされることになる。
【0078】
5.PDP1の優位性
本実施の形態に係るPDP1では、図2(a)に示すように、蛍光体層25の表面における一部領域上に、蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが高い特性を有するMgOで高い2次電子放出係数γを有する部分(高γ部)としての蛍光体皮膜26を被覆形成し、蛍光体層25の表面の残りの領域と蛍光体皮膜26とがともに放電空間30を臨む構成となっている。このような構成のPDP1では、蛍光体層25の表面の一部が放電空間30を臨むことから、維持期間T3においてパネル駆動時において放電空間30内で発生した紫外線が大きく減衰することなく蛍光体層25に入射し、特許文献1に係るPDPのように蛍光体層の表面全体をMgO膜で被覆する場合に比べて、パネルの発光効率が低下してしまうのを抑制することができる。そして、本実施の形態では、蛍光体層25の全表面に対する蛍光体皮膜26の被覆率を1(%)以上50(%)以下、より望ましくは、3(%)以上20(%)以下に規定している。この数値範囲の規定については、後述する。
【0079】
また、本実施の形態に係るPDP1では、蛍光体皮膜26が放電空間30を臨む状態で形成されているので、パネル駆動の初期化期間T1において、ランプ波形印加時(特に、上りランプ波形印加時)に蛍光体層25の側がカソードとなる場合の放電開始電圧を低下させることができ、強い放電の発生を抑制し、安定した初期化放電(弱放電)の発生を生じさせることができる。これは、仮に蛍光体層25の表面に全く蛍光体皮膜26が形成されていない場合には、Xe分圧を高く設定すると見かけ上の電子放出が小さくなり放電が安定しないのに対し、PDP1のように蛍光体皮膜26を有する場合には、オージェ中和した際の蛍光体皮膜26が受け取るエネルギが大きく、このために弱放電を安定的に生じさせることができるためである。
【0080】
また、本実施の形態に係るPDP1では、上述のように安定的な初期化放電を発生し得るので、放電ガスでの全圧に対するXe分圧の比率を5(%)以上50(%)以下の範囲まで上げても、画質の低下を招くことがない。
従って、本実施の形態1に係るPDP1では、初期化期間T1における安定的な弱放電の発生を図ることができ、高い発光効率と高い画質性能との両立を図ることが可能である。
【0081】
6.蛍光体皮膜26の被覆率
本実施の形態に係るPDP1では、蛍光体層25の全表面に対する蛍光体皮膜26の被覆率を1(%)以上50(%)以下、望ましくは3(%)以上20(%)以下と規定したが、これは、次のような理由によるものである。
被覆率を1(%)未満にした場合には、放電空間30を臨む表面が初期化期間T1における初期化放電の発生を安定化させる機能を実質的に発揮し得ないことから、蛍光体皮膜26の被覆率は、最低でも1(%)以上、望ましくは3(%)以上とする必要がある。また、MgOなどからなる蛍光体皮膜26は、放電空間30に面する表面積に応じて放電空間30内で発生した真空紫外線を吸収してしまい、被覆率を50(%)以上にした場合には、蛍光体層25にまで届く紫外線量が少なくなり過ぎ、パネルの発光効率を実用となるレベル以下まで低下させてしまう。なお、PDP1の他の構成要素などを考慮した際の望ましい被覆率の上限値は、同様の理由から20(%)以下である。
【0082】
7.確認実験
本実施の形態に係るPDP1が有する優位性については、上述の通りであるが、以下では、その確認のために実施した実験について説明する。
実験では、上述の製造方法により本実施の形態に係る構成を有する実施例に係るPDPを作製した。即ち、背面パネル20における蛍光体層25の表面に被覆率5(%)でMgOからなる膜厚0.5(μm)〜20(μm)の蛍光体皮膜26を形成した。形成にあたっては、MgOおよびエタノールなどを含む混合分散有機溶剤によるスプレー法を用いた。そして、放電空間30には、全圧に対するXe分圧比率が約30(%)の高Xe放電ガスを充填した。
【0083】
また、本確認実験では、比較例として、上記特許文献1に係る構成を採用したPDPを作製した。即ち、蛍光体層の表面全体を膜厚0.5(μm)〜20(μm)のMgO膜で被覆した構成のPDPを比較例として作製した。
優位性の確認は、上記実施例および比較例の各PDPを表示駆動し、その発光効率および初期化期間T1における弱放電発生の安定性などを測定し、その結果を蛍光体皮膜を有さない従来のパネルと比較した。その結果によると、本形態に係る構成を有するPDPでは、従来のPDPに比べて、初期化期間T1における弱放電が安定化し、誤書き込みの低減による画質性能の向上がみられた。また、放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率を30(%)まで上昇させていることから、発光効率が約3(lm/W)まで向上した。
【0084】
一方、蛍光体層の表面全体をMgO膜で被覆した比較例PDPでは、発光効率は約0.1(lm/W)であった。これは、蛍光体層の表面上に全く膜形成をしていない従来のPDPに比べて、約1/10という低いものであった。これは、比較例PDPにおいては蛍光体層の表面上に被覆形成されたMgO膜が放電空間で発生した共鳴線を含む真空紫外線を吸収してしまうためであると考えられる。
【0085】
以上の結果より、実施例のように蛍光体層25の表面の一部領域上に2次電子放出係数γが蛍光体材料よりも大きい材料からなる高γ部(蛍光体皮膜26)を形成し、蛍光体層25と蛍光体皮膜26とがともに放電空間30を望む構成を採用することにより、発光効率の低下の抑制を図るとともに、初期化期間T1における蛍光体層25側がカソードとなるときの放電開始電圧の低減を図ることができる。よって、実施例に係るPDPでは、初期化期間T1における弱放電の安定的な発生を確保し、誤書き込みによる画質の低下を抑制することが可能となる。また、実施例に係るPDPでは、放電ガス中におけるXe分圧を5(%)以上に設定する場合においても、画質の低下を招き難いので、発光効率の向上と画質の向上とを両立できる。
【0086】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るPDP2の構成について、図4および図5を用いて説明する。なお、前面パネル10の構成、および背面パネル40の蛍光体皮膜46の形成形態を除く部分については、上記実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
図4(a)に示すように、PDP2における蛍光体皮膜46は、蛍光体層45の表面の一部領域上に形成されている点では、上記実施の形態1と同様であるが、その形成形態は、Dat電極42の上に相当する領域WDATに設定されている。また、図4(a)のA−A断面である図4(b)に示すように、蛍光体皮膜46は、前面パネル10に形成された表示電極対12の内のScn電極121の下に相当する領域WSCNに設定されている。
【0087】
図5は、PDP2を構成する各要素の内の電極121、122、42と、隔壁44と、蛍光体皮膜46とを抜き出して模式的に描いたものである。図5に示すように、蛍光体皮膜46は、各放電セルの蛍光体層45の表面上におけるScn電極121とDat電極42とが交差する領域に形成されている。ここで、PDP2では、蛍光体層45の表面に対する蛍光体皮膜46の被覆率は、上記実施の形態1と同様に、1(%)以上50(%)以下、望ましくは3(%)以上20(%)以下に設定されている。この理由に付いては、上記同様である。
【0088】
蛍光体皮膜46の構成材料には、上記実施の形態1と同様に、蛍光体層46を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが大きい材料を用いることができ、例えば、上記実施の形態1に係る蛍光体皮膜26の形成に用いることができるのと同様の材料を用いることができる。
本実施の形態では、初期化期間T1において弱放電を生じさせようとするScn電極121とDat電極42との交差部分に蛍光体皮膜46を形成することで、初期化期間T1にScn電極121とSus電極42との間にランプ波形パルスが印加された場合にも、弱放電(初期化放電)が安定的に発生する。特に、放電ガス中におけるXe分圧を5(%)以上に上昇させた場合の弱放電発生の安定性は、従来のPDPに比べて優れている。
【0089】
従って、本実施の形態に係るPDP2では、初期化期間T1における安定的な弱放電の発生を図ることができ、高い発光効率と高い画質性能との両立を図ることが可能である。
なお、本実施の形態に係るPDP2における蛍光体皮膜46も、上記実施の形態1と同様の方法を以って形成することが可能である。
また、本実施の形態では、蛍光体皮膜46を蛍光体層45の表面上におけるScn電極121とDat電極42との交差部分に形成することとしたが、Scn電極121に関係なくDat電極42の上方部分全体に形成することとしてもよい。
【0090】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るPDP3について、図6を用いて説明する。なお、PDP3の構成の内、前面パネル10および背面パネル50における高γ部を除く部分についての構成は、上記実施の形態1、2と同様であるので説明を省略する。
1.PDP3の構成
図6に示すように、本実施の形態に係るPDP3では、蛍光体層55の表面上において、粒状体56が付着配置されている。この粒状体56は、蛍光体層55を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが大きい材料からなるものであって、例えば、上記実施の形態1の蛍光体皮膜26を構成する材料などを用いることができる。本実施の形態に係るPDP3では、蛍光体層56の表面における粒状体56が付着配置された部分が、高γ部相当する。に一例として、材料にMgO、SrOなどの金属酸化物を用いる場合には、粒径が0.05(μm)以上1(μm)以下の金属酸化物粒子を、圧縮窒素ガスなどを用いて散布することで粒状体56の付着配置がなされ、蛍光体層55の表面上に高γ部の形成がなされる。
【0091】
本実施の形態においても、蛍光体層55の表面に対する粒状体56の被覆率は、1(%)以上50(%)以下、望ましくは3(%)以上20(%)以下に設定される。
このように蛍光体層55の表面上に上記数値範囲内の被覆率を以って粒状体56を付着形成したPDP3では、放電空間30に対して2次電子放出係数γが高い粒状体56と蛍光体層55とがともに露出されることになる。よって、本実施の形態に係るPDP3では、パネル駆動における初期化期間T1における安定的な弱放電の発生を図ることができ、高い発光効率と高い画質性能との両立を図ることが可能である。
【0092】
なお、蛍光体層55の表面に対する粒状体56の付着形成の方法には、上記散布法以外にも、スプレー法、分散堆積法および電着法などを用いることができる。
2.粒状体56の粒子径
高γ部を構成する粒状体56については、上述のように各粒子径が0.05(μm)以上1(μm)以下のものが散布形成されているので、複数の粒子が凝集することで2次粒子径が2(μm)以上20(μm)以下となり、高γ部は、0.05(μm)以上20(μm)以下、あるいはそれ以上の範囲の粒状体56により構成されることになる。ここで、0.05(μm)よりも小さな粒状体については、作製すること自体が困難であって、また、散布した際に凝集し難くなることから、実際に用いることはできない、。他方、20(μm)よりも大きな径の粒状体については、放電空間30内で発生する共鳴線や分子線を吸収し易くなり、パネルの発光効率を低下させるため、実際に用いることはできない。
【0093】
3.確認実験
以下では、本実施の形態に係るPDP3の上記優位性を確認するために実施した実験について説明する。
本実験用のPDPとしては、背面パネルにおける蛍光体層55の表面上に、粒径が0.1(μm)以上0.6(μm)以下のMgO粒子を散布法を用いて散布した。そして、この散布により形成された高γ部(粒状体56の形成部分)の蛍光体層55の表面に対する被覆率は、約10(%)に規定した。なお、上記方法を以って高γ部を構成した際における粒状体56の凝集粒子径は、0.2(μm)以上5(μm)以下であった。また、本実験に用いたPDPでは、放電空間30に充填の放電ガス中における全圧に対するXe分圧比率を約15(%)とした。
【0094】
実験では、以上のように構成されたPDPを表示駆動し、その発光効率および初期化期間T1における弱放電発生の安定性などを測定した。本実験に用いたPDPでは、初期化期間T1における蛍光体層55側がカソードとなる際の放電開始電圧が低下し、弱放電の安定化が図られ、誤書き込みの低減により画質が向上した。また、全圧に対するXe分圧比率を15(%)まで高めたことで、発光効率が約2(lm/W)となり、従来のPDPよりも向上した。
【0095】
以上の結果より、本実験に係るPDPでは、蛍光体層55の表面上に粒状体56を付着配置することで高γ部を形成し、これによって発光効率を高く維持しながら、初期化期間T1における弱放電の安定化を図ることができたことがわかる。そして、粒状体56の付着配置にあたっては、散布粒子単体の1次粒子径が0.05(μm)以上1(μm)以下で、凝集粒子の場合の2次粒子径が2(μm)以上20(μm)の粒子の採用が適する。
【0096】
また、このように高γ部を形成することによって、放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率を5(%)以上に高く設定する場合にも、初期化期間T1における弱放電の安定化を図ることが可能となり、発光効率を高めることも可能となる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係るPDP4について、図7および図8を用いて説明する。なお、前面パネル10の構成、および背面パネル60の粒状体66の形成形態を除く部分については、上記実施の形態1〜3と同様であるので、説明を省略する。
【0097】
1.PDP4の構成
図7(a)に示すように、PDP4における粒状体66は、蛍光体層65の表面上におけるDat電極62の上に相当する領域WDATに付着配置されており、また、図7(b)に示すように、粒状体66は、前面パネル10に形成された表示電極対12の内のScn電極121の下に相当する領域WSCNに設定されている。即ち、上記実施の形態2と同様の位置に粒状体66の形成がなされており、これによって、高γ部が形成されている。
【0098】
ここで、PDP4についても、蛍光体層65の表面に対する蛍光体皮膜46の被覆率は、上記実施の形態1と同様に、1(%)以上50(%)以下、望ましくは3(%)以上20(%)以下に設定されている。この理由に付いては、上記同様である。
蛍光体皮膜66の構成材料には、上記実施の形態1と同様に、蛍光体層66を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが大きい材料を用いることができ、例えば、上記蛍光体皮膜26、46、56の形成に用いることができるのと同様の材料を用いることができる。
【0099】
本実施の形態では、初期化期間T1において弱放電を生じさせようとするScn電極121とDat電極62との交差部分に粒状体66を付着配置し、高γ部を形成することで、初期化期間T1にScn電極121とDat電極62との間にランプ波形の電圧パルスが印加された場合にも、弱放電(初期化放電)が安定的に発生する。特に、放電ガス中におけるXe分圧を5(%)以上に上昇させた場合の弱放電発生の安定性は、従来のPDPに比べて優れている。
【0100】
従って、本実施の形態に係るPDP4では、初期化期間T1における安定的な弱放電の発生を図ることができ、高い発光効率と高い画質性能との両立を図ることが可能である。
2.粒状体66の付着配置方法
本実施の形態に係るPDP4における粒状体66の付着配置方法について、図8を用いて説明する。図8は、粒状体66の付着配置工程を示す模式断面図である。なお、図8では、図示の便宜上、背面パネルにおける隔壁64の形成個数を4条としているが、実際には、より多い隔壁64の形成がなされた背面パネルを用いる。
【0101】
図8に示すように、散布容器501内の底部分に背面基板61を載置する。このとき、背面基板61は、散布容器501内で略水平となるようにする。載置される背面基板61上には、複数のDat電極62が形成され、その上を覆うように下地誘電体層63、さらにその上に隔壁64および蛍光体層65が形成されている。
次に、散布容器501の底部分に載置した背面基板61の上に所望のパターン形状に合わせて設けられた透孔504aを有するメタルマスク504を配置する。図8は模式図のため、メタルマスク504の固定具などの図示を省略しているが、実際のメタルマスク504は、透孔504aの位置が背面基板61および散布容器501に対してずれないように固定具などを用いて固定されている。
【0102】
散布容器501の上方部分には、粒子挿入部502が設けられており、この粒子挿入部502の内方に、例えば、MgOなどの粒子660を所定量入れる。そして、粒子挿入部502に対して窒素ガスや空気などの圧縮ガスを供給し、粒子660をノズル503から背面基板61の上に設けられた蛍光体層65の表面に向けて勢いよく噴出させる。このように粒子660を噴出させた後、圧縮ガスの供給を停止し、粒子660を一定時間にわたって自然落下させる。このようにして、蛍光体層65の表面上への粒子の散布がなされる。
【0103】
以上のように蛍光体層65の表面上に散布された粒子660を乾燥させることで粒状体66の付着配置がなされ、高γ部の形成が完了する。
ここで、蛍光体層65の表面に対する粒状体66による被覆率は、上述のように1(%)以上50(%)以下、望ましくは3(%)以上20(%)以下と設定し、また、図7に示すような位置に高γ部を配置するが、これらの設定は、メタルマスク504における透孔504aの設定、および背面基板61に対するメタルマスク504の相対位置の設定などを以って実施することが可能となる。
【0104】
なお、上記散布法による粒状体66の付着配置において、散布容器501の形状やサイズ、散布条件などについては、その形成しようとする形状、サイズ、用いる粒子660の材質などによって適宜設定されるものである。また、散布時においては、帯電などの手法を用いて均一な散布を実施したり、粒子どうしの凝集を抑制するために乾式・湿式方法などの種々の方法を採用することも勿論可能である。これらは、液晶パネルを製造する際に用いられるスペーサ散布方法を用いることで容易に実施することができるものであるため、ここでの説明を省略する。
【0105】
また、粒状体66の付着配置の方法としては、上記散布法の他に、スプレー法、分散堆積法および電着法などを用いることも可能である。例えば、スプレー法を用いる場合には、蛍光体層65の表面上に所定パターンのレジストマスクなどを形成しておき、これに対して粒子660およびエタノールを含む混合有機溶剤をスプレー散布して、その後これを乾燥させる。そして、レジストマスクを除去することにより、図7に示すような所定のパターンでの粒状体66の付着配置が可能となる。
【0106】
また、分散堆積法については、蛍光体層65の表面上に所定のパターンを有するレジストマスクを形成した背面基板61を、混合有機溶剤の表面に浮いた粒子660を静かに堆積させ、これを乾燥させた後にレジストマスクを除去することで実施可能である。
さらに、電着法では、粒子660を含む電解溶液中で背面基板61上に形成されたDat電極62を用いて背面基板61の側に電圧を印加する。これにより、帯電した粒子660は、蛍光体層65の表面上におけるDat電極62上の位置に引き寄せられ固着する。このような方法によっても、粒状体66の付着配置を実施することが可能である。
【0107】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係るPDP5の構成について、図9を用いて説明する。
1.PDP5の構成
図9(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係るPDP5では、背面パネル70における蛍光体層75の表面の略全域を覆う状態に蛍光体皮膜76が形成されている。なお、この蛍光体皮膜76の形成形態以外の構成部分については、上記実施の形態1〜4に係る各PDP1、2、3、4と同様である。また、上記において、「略全域を覆う状態」とは、例えば、製造過程で生じるピンホールや形成ムラなどを許容するものである旨を示す。
【0108】
本実施の形態に係るPDP5では、上記実施の形態1〜4に係る各PDP1、2、3、4と相違し、蛍光体層75の表面全体を覆うように蛍光体皮膜76が形成されているのであるが、上記特許文献1に係るMgO膜との違いはその膜厚tを規定しているところにある。即ち、特許文献1に係るPDPでは、膜厚の規定をすることなく蛍光体層の表面を覆うようにMgO膜を形成している。このため、特許文献1に係るPDPでは、上記実施の形態1の実験の考察のように、発光効率が実際に適用できない程度に低いものとなる。
【0109】
これに対して、本実施の形態に係るPDP5では、図9(b)拡大部分に示すように、膜厚tを1(nm)以上10(nm)以下に規定した上で、蛍光体層75の表面全体を覆い蛍光体皮膜76を形成している。このように極薄い蛍光体皮膜76では、放電空間30で発生した共鳴線や分子線が膜でほとんど吸収されることなく蛍光体層75へと透過される。そのため、PDP5では、パネルの発光効率が大きく低下することはない。
【0110】
PDP5における蛍光体皮膜76は、その膜厚tが上気数値範囲と極薄いものの、パネル駆動時の初期化期間T1において、ランプ波形のパルス印加の際の蛍光体層75の側がカソードとなるときの放電開始電圧は上記実施の形態1〜4と同様に低減され、弱放電の安定的な発生を図ることができる。このような優位性は、発光効率向上のために放電ガス中におけるXe分圧を5(%)以上に高く設定する場合にも変わることはない。
【0111】
なお、本実施の形態においても蛍光体皮膜76の形成には、上記実施の形態1〜4と同様に、少なくとも蛍光体層75を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数γが高い材料を用いることが必要である。例えば、上記列挙の材料などを用いることができる。
2.蛍光体皮膜76の形成方法
蛍光体皮膜76の形成には、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法などを採用することができるが、その膜厚を極薄い範囲内に規定することから、電子ビーム蒸着法を用いることが特に望ましい。
【0112】
電子ビーム蒸着法を用いて蛍光体皮膜76を形成するのには、以下のような手順を踏むことで達成される。
電子ビーム蒸着装置内にMgOなどの皮膜材料を入れ、これに電子ビームを照射する。電子ビームの照射を受けた皮膜材料は、背面基板71上に形成された蛍光体層75の表面上に蒸着される。このようにして蛍光体皮膜76の形成がなされる。この形成方法を用いることで、蛍光体皮膜76形成時における蛍光体層75表面へのダメージはほとんどない。このため、PDP5では、蛍光体皮膜76の形成による輝度の低下を生じることはない。
【0113】
3.蛍光体皮膜76の膜厚規定
本実施の形態に係るPDP5では、蛍光体皮膜76の膜厚tを1(nm)以上10(nm)以下に規定したが、これは、次のような理由に基づくものである。
蛍光体皮膜76の膜厚tを1(nm)未満とした場合には、蛍光体皮膜形成による初期化期間T1における安定的な弱放電の維持を図ることは困難となる。即ち、膜厚が1(nm)未満の蛍光体皮膜では、初期化期間T1の蛍光体層75の側がカソードとなる際の放電開始電圧を低減することはできず、弱放電が不安定となり、強い放電を生じることもある。
【0114】
一方、図10に示すように、蛍光体皮膜76の膜厚tを10(nm)よりも厚くした場合には、紫外線透過率が約83(%)よりも小さくなってしまい、蛍光体皮膜で吸収される共鳴線や分子線の量が大きくなる。このため、例えば、放電ガス中のXe分圧を現状の5(%)から10(%)程度まで上げることで得られる輝度向上が約120(%)程度であることから、膜厚tを10(nm)よりも厚く設定することで紫外線透過率が83(%)以下まで低下してしまうと、発光効率の向上を実質的に得られなくなってしまう。従って、膜厚が10(nm)よりも厚い蛍光体皮膜を有する場合には、蛍光体皮膜を形成することによるデメリットの方が、弱放電の安定化というメリットを相殺してしまうことになり、実際に適用することができなくなってしまう。
【0115】
なお、上記図10は、BaMg2Al1424:Eu(BAM)蛍光体材料からなる蛍光体層をベースとするときの蛍光体皮膜の膜厚と紫外線透過率との関係を表すものであるが、他の蛍光体材料からなる蛍光体層をベースとするときにおいても、同様の結果が得られる。
また、本実施の形態に係るPDP5では、膜厚tを上記数値範囲内に規定した上で、蛍光体層75の表面全体を覆うように蛍光体皮膜76を形成することとしているが、ここでの膜厚tの規定は必ずしも全域で均一な厚みとする必要はない。また、部分的に僅かの領域で膜厚tが10(nm)を超えるような箇所を有する場合にあっても、実効的に上記数値範囲内にその膜厚tが1(nm)〜10(nm)の範囲に収まっていれば同様の効果を得ることが可能である。特に、実際の蛍光体層75の表面は、凹凸を有するものであるため、粒子と粒子との間の部分などで局所的に膜厚tが10(nm)を超えるようなところがあっても、本実施の形態に係るPDP5が奏する効果に大きな影響を及ぼすものではない。
【0116】
(実施の形態1〜5に関するその他の事項)
上記実施の形態1〜5については、本発明の構成およびそれより得られる効果について、分かりやすく説明するために一例として用いたものであって、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、実施の形態1〜5では、Scn電極121、Sus電極122、Dat電極22、42、52、62、72の3電極を用いてパネルの表示駆動を行う構成のPDPを一例としたが、背面パネル20、40、50、60、70に第4の電極、第5の電極を設けておき、初期化期間T1〜維持期間T3に適宜これらの電極に電圧を印加することとしてもよい。
【0117】
また、実施の形態1〜5に係る各PDP1、2、3、4、5では、背面パネル20、40、50、60、70における隔壁24、44、54、64、74をDat電極22、42、52、62、72と平行なストライプ状のものとしたが、井桁状やミアンダ状のものを採用することも可能である。
また、上記図3の印加パルスの波形図についても、種々の変形例を適用することができる。例えば、1フィールドを8つのサブフィールドSF1〜SF8に分割するのではなく、9以上のサブフィールドに分割、あるいは逆に7以下のサブフィールドに分割するような駆動方法を採用することも可能である。
【0118】
また、実施の形態1では、蛍光体層25の表面上における蛍光体皮膜26の形成形態について、図1および図2のように略規則正しく整列した状態としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、不規則に形成されたものとすることもできる。また、図2のような斑点状ではなく、縞状などとすることも可能である。
さらに、上記実施の形態におけるPDPの各構成材料、あるいは形成方法などについても適宜変更が可能である。蛍光体皮膜26、46、76の形成方法や粒状体56、66の付着配置の方法などについても、その形成形態および用いる材料などに適用して変更することが可能である。
【0119】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6に係るPDP6について説明する。
1.PDP6の全体構成
図11は、本実施の形態に係るPDP6の1画素を構成する部分を切り出して描いた要部斜視図(一部断面図)である。図12(a)は、図11のD方向から1放電セルを見た拡大図であり、図12(b)は、図11での前面パネル10を仮想的に取り除いて背面パネルを図11のE方向から見た平面図である。なお、本実施の形態に係るPDP6の構成は、背面パネル80を除き、上記実施の形態1〜5と同一であるので、同一部分についての繰り返しの説明を省略する。
【0120】
PDP6における背面パネル80は、背面基板81と、当該背面基板81の表面に形成されたDat電極82と、当該Dat電極82が形成された背面基板81の表面を覆うように形成された誘電体層83とを備える。この場合における「表面」とは、上記前面パネル10の場合と同様に、放電空間30側に位置する表面を示し、さらに換言すると、放電空間30を臨む表面をいう。具体的には、背面基板81におけるZ軸方向上側の表面となる。
【0121】
Dat電極82は、画像データを書き込むためのものであり、放電セルのほぼ中央の位置であって上記表示電極対12の延伸方向に直交する方向(図11ではY軸方向)へとストライプ状に延伸している。なお、背景技術の欄でも説明したが、表示電極対12とDat電極82とが立体交差する各箇所が、放電単位である放電セルである。
背面パネル80における誘電体層83上であって、隣接する放電空間30の間には、隔壁84が、図11、12に示すように、Dat電極82の延伸方向に沿ってストライプ状に形成されている。
【0122】
隣り合う隔壁84と誘電体層83とで構成される各凹部の内壁面には、凹部毎に発光色の異なる蛍光体層85R、85G、85Bが形成されている。さらに、これら蛍光体層85R、85G、85Bの表面の一部領域には、高γ部86が形成されている。本実施の形態に係る高γ部86についても、上記実施の形態1〜5と同様に、2次電子放出係数γが蛍光体層85R、85G、85Bよりも大きく、且つ、蛍光体層85R、85G、85Bの構成材料とは異なる材料によって構成されている。即ち、本実施の形態に係るPDP6においても、蛍光体層85R、85G、85Bの各表面に対し、偏在した状態で高γ部86が形成されている。
【0123】
高γ部86は、上記実施の形態4などと同様に、蛍光体層85R、85G、85Bの表面に偏在して形成されている。具体的に高γ部86は、蛍光体層85R、85G、85Bの表面において、Dat電極82のオモテ側に相当する部分で偏在している。なお、本実施の形態では、確認的に後述するが、高γ部86は、上記実施の形態1〜5などと同様に、MgO粒子により構成されている。このため、図12(a)では、便宜上、高γ部86を粒状で表している。
【0124】
なお、PDP6の表示駆動については、上記実施の形態1に係るPDP1と同じであるので、繰り返しての説明を省略する。
2.実施例
上記本実施の形態に係るPDP6の構成についての具体的について説明する。なお、ここでの説明は一つの例であり、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
【0125】
先ず、前面板3について説明する。
Scn電極121およびSus電極122を構成する透明電極部121a、122aは、ITO、SnO2、ZnO等からなり、また、バスライン121b、122bは、Cr−Cu−CrやAg等から形成されている。
前面パネル10の誘電体層13は低融点ガラスにより構成されており、当該構成のガラスペーストを使用して、スクリーン印刷などにより、表示電極対12が形成された前面基板11の表面を覆うように塗布され、その後焼成されて形成される。
【0126】
誘電体保護層14は、薄膜プロセスまたは印刷法を用いて形成されており、材料には電気絶縁性で透明なMgO膜が通常使用され、その厚さは例えば0.6(μm)程度である。なお、誘電体保護層14の構成材料であるMgOは、2次電子放出係数が高く、透明で耐スパッタ性に優れる。
次に、背面パネル80におけるDat電極82は、Agにより形成されている。Dat電極82の幅(図11におけるX軸方向の寸法)は、100(μm)である。
【0127】
背面パネル80の誘電体層83は、上記前面パネル10の誘電体層13と同様に、低融点ガラスで形成されており、形成方法も同じ方法を採用することができる。
隔壁84は、低融点ガラスから構成されており、誘電体層83の表面に前記低融点ガラスからなるペーストを塗布・焼成した後、Dat電極82の延伸方向に沿う放電空間30に合わせてストライプ状のパターンで、サンドブラスト法やフォトリソグラフィ法等によりリブ形状に形成される。
【0128】
蛍光体層85R、85G、85Bは、その発光色がそれぞれ赤、緑、青の3色であり、(Y、Gd)BO3:Eu、Zn2SiO4:MnおよびBaMg2Al1424:Euなどの蛍光体を含み形成されている。蛍光体層85R、85G、85Bは、上記隔壁84の側面と、誘電体層83の表面上で隔壁84が形成されていない部分に対して、上記蛍光体の発光色毎に印刷塗布、焼成工程を行うことにより、誘電体層83と隔壁84とで構成される凹部の表面に形成される。
【0129】
高γ部86は、蛍光体層85R、85G、85Bの構成材料とは異なる材料で、且つ、高い2次電子放出係数γを有する金属酸化物材料を用いて形成される。用いられる金属酸化物材料は、上記実施の形態1〜5などと同様に、例えばMgOであり、粒径が0.05(μm)〜1(μm)の範囲内にある粒子が、Dat電極82の表面上に対応する部分に、その厚さが1(μm)になるように形成されている。なお、本実施例における高γ部86の形成方法については、後で詳細に説明する。
【0130】
また、放電ガスに用いられる希ガスとしては、例えば、キセノン・ネオンを含む希ガスが用いられ、これらが約60(kPa)の圧力で封入されている。なお、放電ガスの全圧に対するXe分圧比率は、15(%)である。
4.高γ部86の形成方法
先ず、高γ部86の形成方法の概略を説明すると、高γ部86を構成する材料、つまり、2次電子放出係数γが蛍光体層85(以下では、符号85R、85G、85Bを纏めて、符号85と記載する。)よりも大きく、且つ、蛍光体層85の構成材料とは異なる材料を帯電させて、この帯電した材料を静電力によってDat電極82の上方に集積することで、高γ部86を形成する(この方法を、「電圧印加粒子散布集積法」ということにする)。
【0131】
つまり、高γ部86は、当該高γ部86を形成する材料である金属粒子を帯電させる帯電工程と、Dat電極82を帯電する金属粒子より低い電位にすることによって、蛍光体層85の表面であって、Dat電極82の上方に相当する部分に金属粒子を静電力により集積する集積工程とを経て形成される。具体的な形成方法について、図13を用いて説明する。図13は、高γ部86の形成方法を説明するための概略図である。
【0132】
以下、高γ部86を構成する材料としてMgO(粒子)を用いた例で説明する。
図13(a)に示すように、隔壁84が形成された背面パネル80用の板80a(この板に高γ部86を形成して背面パネル80が完成する(つまり、背面板が完成する前段階である)ので、この板を、「前段背面パネル」と記載する。)80aを用意し、背面基板81の主面が略水平であって蛍光体層85が上側となるように配する。この前段背面パネル80aは、上記構成の欄で説明した、背面基板81、Dat電極82、誘電体層83、隔壁84を備えるとともに、隔壁84の側面および誘電体層83の表面であって、隔壁84が形成されている部分を除く部分に蛍光体層85が形成されているものである。
【0133】
高γ部86の形成は、図13(b)に示す粒子散布装置510を利用して行われる。
この粒子散布装置510は、粒子散布容器511と、MgO粒子670を格納する格納容器512と、格納容器512内のMgO粒子を帯電させる帯電手段514と、格納容器512内で帯電されたMgO粒子670を粒子散布容器511内に散布する散布手段と、散布されたMgO粒子671を集積するために前段背面パネル80aのDat電極82に所望の電圧を印加する印加手段514とを備える。
【0134】
ここで、格納容器512は、粒子散布容器511の上壁511aの外側に配されており、散布手段は、格納容器512の内部と粒子散布容器511の内部とを連通させるノズル513と、格納容器512内に、窒素ガスや空気等の圧縮ガスを流入される流入手段(図示省略)とにより構成される。
また、帯電手段は、図13(b)に示すように、格納容器512およびノズル513に所定の電圧を印加することで、格納容器512内およびノズル513内のMgo粒子670を帯電させる。格納容器512およびノズル513への印加は、高電圧直流電源装置514により行われる。なお、Dat電極82への電圧の印加も、上記高電圧直流電源装置514により行われる。
【0135】
上記構成の粒子散布装置510を用いた高γ部86の形成方法の具体例について説明する。
図13(b)に示すように、先ず、粒子散布容器511の上壁511a上の格納容器512に、例えば、直径0.05(μm)〜1(μm)のMgO粒子670を所定量入れる。そして、MgO粒子670を格納する格納容器512やノズル513に、高電圧直流電源装置514により数千(V)〜1万(V)の正の電圧(+V1)を印加して、MgO粒子670を帯電させる。
【0136】
一方、前段背面パネル80aのDat電極82には、高電圧直流電源装置514によって、Mgo粒子670を帯電させるために印加した極性と反対である負の一定の大きさの電圧(−V2)、例えば−100(V)〜0(V)を印加する。
そして、圧縮ガスを格納容器512の内部に流入させて、帯電したMgO粒子670をノズル513から吹き出させて散布する。これにより、正に帯電して散布されたMgO粒子671が下方に向かって落下して行く。
【0137】
その後、圧縮ガスの流入を止め、正に帯電して散布されたMgO粒子671は、自然落下しつつ、負の一定の大きさの電圧が印加されたDat電極82による静電力によって吸引され、やがて、吸引されているMgO粒子671は、前段背面パネル80aの蛍光体層85の表面であってDat電極85の上方に相当する部分に堆積されてゆく。これによって、図13(c)の如く、MgO粒子670、671からなる高γ部86が蛍光体層85の表面上に偏在形成される。
【0138】
上記電圧印加粒子散布集積法による高γ部86の形成では、帯電状態のMgO粒子671は、静電力によりDat電極82に吸引されて、Dat電極82の上部に相当する部分(電極部分を含む。)に堆積され、Dat電極82から離れた部分にはMgO粒子671は付着しないので、精度良く所望の範囲に高γ部86を形成できる(高γ部86を偏在形成させることができる)と共に、略均一な厚さでしかも所望の密度で高γ部41を形成できる。
【0139】
一方、高γ部86の厚さは、Dat電極82に印加する電圧値および帯電したMgO粒子671の散布量によって決定できるので、本実施の形態に係る方法を用いた場合には、高γ部86の厚さの管理を容易に行える。しかも、図13(c)に示すように、前段背面パネル80aの蛍光体層85の表面であってDat電極82の上方に対応する部分に、絶縁物材料であるMgO粒子671が略均一に、且つ、所望の面密度で静電力により集積され、図11および図13(c)に示すような、高γ部86を形成することができる。
【0140】
なお、蛍光体層85の表面に高γ部86を偏在形成しようとすると、従来の方法では、例えば、電子ビーム蒸着法により蛍光体層表面の全体にMgO膜を形成し、そのあと、形成したMgO膜を所望のパターンにエッチング等により加工しなければならなかった。しかしながら、本実施の形態に係る形成方法では、MgO粒子670を帯電させ、Dat電極82に電圧を印加するだけで形成できるので、従来の方法に比べて、極めて簡易に、且つ、高精度に高γ部86を成形できる。
【0141】
上記の電圧印加粒子散布集積法では、粒子散布装置510の粒子散布容器511などの形状や、圧縮ガスの流入量、流入速度や、格納容器512に充填するMgo粒子670の量、Mgo粒子670に印加する電圧値等の種々の条件を適切に設定することにより、高γ部86の厚みを、さらに均一な状態で堆積させることができる。また、上記において、電圧印加粒子散布集積法と呼ぶことにしたが、構成材料を帯電させ静電力でDat電極82の上方に堆積させる方法であれば如何なる呼称の方法でもよい。
【0142】
4.評価実験
上述した方法で、実施例の高γ部86を形成してなるPDP6を作成して、当該PDP6を用いて画面の表示試験を行った。試験の内容は、初期化期間T1に、電圧−時間推移が緩やかに傾斜して上下するランプ波形の電圧を前面パネル10側のScn電極121とDat電極82との間に印加し、書き込み期間T2において、書き込みパルスの印加の有無により放電セルの選択を行い、維持期間T3において選択された放電セルでの放電を実行し、意図した画像表示が行われているかどうかを確認することである。
【0143】
実験結果によれば、本実施の形態に係るPDP6では、初期化期間T1において蛍光体層85側がカソードとなる放電であっても初期化輝点の発生が低減し、さらに輝度の低下を抑えることができた。そして、結果的に発光効率の低下は、蛍光体層の表面に高γ部86(MgO膜)がない場合に対し、約5(%)に抑えられた。
これに対して、蛍光体層85、隔壁84の放電空間30を臨む部分全てにMgOからなる皮膜(高γ部に相当)746を形成した従来のPDP(図26(b)に示す構成)でも、初期化期間T1において蛍光体層725側がカソードとなる放電であっても初期化輝点の発生が低減したが、蛍光体層725の全表面に付けた皮膜746によって共鳴線を含む真空紫外線が吸収されるため輝度低下が大きい。そして、結果的に発光効率は、蛍光体層に皮膜746がない場合に対し、約1/10に激減した。
【0144】
これは、高γ部86が、2次電子放出係数γが蛍光体層85よりも大きく、且つ、蛍光体層85の構成材料とは異なる材料によって、蛍光体層85の表面であってDat電極82の上方に相当する部分のみに偏在形成されているので、初期化期間T1において、この高γ部86から2次電子が放出される。これによって、ランプ波形電圧印加時において、蛍光体層85側がカソードとなるときの放電遅れが減少し、弱放電が安定して起きやすくなったと考えられる。
【0145】
さらに、高γ部86は、Dat電極82の上方に相当する部分のみに偏在形成されているので、蛍光体層85における高γ部86が形成されていない部分が放電空間30を直接臨むことになり、輝度の低下を少なく、結果的に発光効率の低下を少なくできたと考えられる。
5.その他
上記で説明した高γ部86は、蛍光体層85の表面であって、Dat電極82の表面に相当する部分を覆うように全範囲に形成することとしたが、上記領域の全範囲に高γ部86を形成していなくても良い。以下、Dat電極82の表面に相当する部分の全範囲に形成されていない、実施の形態1における変形例1として説明する。
【0146】
(1)構成
図14は、変形例1に係るPDPの放電セルの一部を切り欠いた平面図である。
ここでは、高γ部1086(の大きさ)と、蛍光体層1085の形成範囲以外は上記実施の形態6と同じであるため、高γ部1086および蛍光体層1085以外の部分については、上記実施の形態6と同じ符号を使用する。また、図14は、PDPの表示面(前面パネルの前面基板11における放電空間30と反対側に位置する面)と直交する方向から、1つの放電セルを見た図である。
【0147】
高γ部1086は、図14に示すように、表示電極対12のScn電極121とDat電極1082とが立体交差している蛍光体層1085の表面に形成されている。つまり、前面パネルの主面と直交する方向から当該前面パネル側を見たとき(図14となる。)に、蛍光体層1085の表面上であって、Dat電極1082の上方(前面パネル側)に相当する領域と、前面パネルのScn電極121の下方(背面パネル1080側)に相当する領域とが重なる部分(本発明の「前記Dat電極と前記表示電極対とが立体的に交差する領域に相当する部分」である。)に形成されている。
【0148】
なお、高γ部1086を構成する材料は、上記実施の形態6などと同じであり、2次電子放出係数γが蛍光体層1085の構成材料よりも大きく、且つ、蛍光体層1085の構成材料とは異なる材料(MgO)である。また、蛍光体層1085は、本変形例1では、誘電体層1083の表面であって、隔壁1084が形成されていない部分に形成されており、隔壁1084の側面には形成されていない(図14を参照)。
【0149】
(2)形成方法
本変形例に係る高γ部1086の形成方法について、図15を用いて説明する。図15は、変形例1の高γ部の形成状態を示す図である。
図15に示すように、本変形例1における高γ部1086の形成は、上記実施の形態6における電圧印加粒子散布集積法を用いて行われる。本変形例1では、高γ部1086をDat電極1082とScn電極121とが立体的に交差する部分に相当する部分に形成されているため、ここで説明する粒子散布装置550は、高γ部1086を選択的に形成するための選択手段555を備えている点で、上記実施の形態1での粒子散布装置510と異なる。
【0150】
本変形例1における粒子散布装置550は、粒子散布容器551と、MgO粒子680を格納する格納容器552と、格納容器552内のMgO粒子680を帯電させる帯電手段554と、格納容器552内で帯電されたMgO粒子680を粒子散布容器551内に散布する散布手段と、散布されたMgO粒子681を集積するために前段背面パネル1080aのDat電極1082に所望の電圧を印加する印加手段554と、高γ部1086を選択的に形成するための選択手段555とを備える。
【0151】
選択手段555は、高γ部1086の形成部分に相当する部分に貫通孔556を有するマスク557により構成される。そして、帯電状態でのMgO粒子680がノズル553から散布されると、帯電して散布されたMgO粒子681が、マスク557の貫通孔556を通って、貫通孔556の開口部分に対応する所望の範囲に堆積される。これにより、高γ部1086は、前段背面パネル1080aのDat電極1082に対応する範囲で、且つ、前面パネル10のScn電極121の背面パネル1080側に対応する部分のみに部分的に偏在形成される。
【0152】
ここで説明した形成方法によると、選択手段555を用いることで、高γ部1086を部分的に偏在した状態で容易に形成することができる。
(3)実験結果
上記変形例1におけるPDPについても、上記実施の形態6と同様に評価試験を行った。この実験によれば、本変形例1におけるPDPは、初期化期間T1において、蛍光体層1085側がカソードとなる放電であっても初期化輝点の発生が低減し、さらに輝度の低下を抑えることができ、蛍光体層、隔壁の放電空間側の部分全てに高γ部である皮膜746を形成した従来のPDP(図26(b)に示す構成)の発光効率よりも高い発光効率が得られた。
【0153】
これは、本変形例に係る高γ部1086が、2次電子放出係数γが蛍光体層1086よりも大きく、且つ、蛍光体層1085の構成材料とは異なる材料によって、Dat電極1082の上方のみで、且つ、Scn電極121の下方のみに偏在形成されているため、初期化期間T1におけるランプ波形電圧印加時において、Dat電極1082の上方で、且つ、Scn電極121の下方のみに形成された高γ部1086から2次電子が効率的に放出され、蛍光体層1085側がカソードとなる時の放電開始電圧が低下することにより、弱放電が安定して起きやすくなり、初期化輝点の発生が抑えられたと考えられる。
【0154】
また、高γ部1086は、Dat電極1082の上方のみで、且つ、Scn電極121の下方のみに偏在している。つまり、蛍光体層1085は、高γ部1086の形成されていない部分の面積が、実施の形態6よりも広くなり、それだけ広い範囲で放電空間30を直接臨むことになり、実施の形態6に比べて、発光効率の低下を抑制できたと考えられる。
【0155】
(実施の形態7)
上記実施の形態6に係る隔壁84は、Dat電極82の延伸方向に沿ってストライプ状に形成されていたが、本実施の形態では、所謂、井桁状に形成されている。
1.構成
図16は、PDP1006における1画素を構成する部分を切り出し、隔壁の様子が分かるように前面板の一部を切り欠いて描いた斜視図である。図17(a)は、図16のG−G線における断面図であって矢印方向に見た図であり、(b)は、1つの放電セル分をF方向に見た図であり、図17(b)において、高γ部1186は網掛けで示している。なお、ここでも、上記実施の形態6と構造が同じ部分・部材については同じ符号を用いる。
【0156】
図16に示すように、前面パネル10は、上記実施の形態6と同様に、前面基板11、表示電極対12、誘電体層13、誘電体保護層14を備える。また、表示電極対12は、Scn電極121とSus電極122とを備える。
背面パネル1180は、図16および図17(b)に示すように、背面基板1181、Dat電極1182、誘電体層1183、蛍光体層1185R、1185G、1185B、隔壁1184(1184a、1184b)および高γ部1186を備える。ここで、本実施の形態では、上記実施の形態6に対し、隔壁1184の形状、高γ部1186が形成される蛍光体層1185R、1185G、1185Bの形状が異なる。
【0157】
なお、前面パネル10と背面パネル1180との封着は、前面パネル10の表示電極対12と背面パネル1180のDat電極1182とが立体的に直交するようになされている。
隔壁1184は、図16および図17に示すように、各放電空間30の周りを囲むように井桁状をしており、上記実施の形態6と同様に、誘電体層1183上に形成され、隣接する放電空間30どうしの間を区画している。なお、隔壁1184は、図17(b)に示すように、4つの隔壁要素1184a、1184bから構成されている。
【0158】
なお、井桁状の隔壁1184の成形は、材料として低融点ガラスを塗布焼成し、放電セルの複数個の配列を行および列を仕切る井桁状のパターンでサンドブラスト法やフォトリソ法などの方法を使用して、隔壁1184をリブ形状に形成する。
一方、蛍光体層1185R、1185G、1185B(便宜上、符号1185Bについては、不図示。)は、誘電体層1183の表面であって隔壁1184が形成されていない部分と、隔壁1184の側面とに形成されている。このため、蛍光体層1185R、1185G、1185Bは、誘電体層1183上に形成された底部と、隔壁1184の側面から前記底部へと傾斜状に形成された傾斜部とを有する。
【0159】
前面パネル10の表示電極対12と背面パネル1180の隔壁1184との位置関係は、種々採り得るが、表示電極対12と隔壁1184とが近接する場合、表示電極対12の下方側に位置する部分の蛍光体層1185R、1185G、1185Bは、その傾斜部と当該傾斜部から少し底部に跨った部分となる。
そして、高γ部1186は、図17(a)、(b)に示すように、蛍光体層1185Bの表面であって、Dat電極1182の上方に相当する領域とScn電極121の下方に相当する領域とが立体交差する部分(平面視において、Dat電極1182とScn電極121とが重なる部分)に形成されている。
【0160】
図17(b)に示すように、特に、蛍光体層1185Bは、上述したように、隔壁1184に近い箇所では、傾斜状になっているため、蛍光体層1185BにおけるScn電極121の外側(Dat電極1182の延伸方向であってSus電極122の反対側)に位置する隔壁1184bの側面に形成された傾斜部と当該傾斜部から少し底部に跨った部分とに形成されている。
【0161】
高γ部1186は、上記実施の形態6と同様に、MgO粒子により形成され、この形成には、上記実施の形態6と同様の電圧印加粒子散布集積法を用いている。なお、高γ部1186は、蛍光体層1185R、1185G、1185Bの表面上に部分的に形成されるため、上記変形例1で用いた選択手段555等を用いる必要がある。
本実施の形態のように、Scn電極121とDat電極1182との間の蛍光体層1185R、1185G、1185Bの表面が傾斜している場合には、初期化期間T1における放電が、見かけ上、Scn電極121と蛍光体層1185R、1185G、1185Bの傾斜部の表面付近との間で生じる。このため、放電が生じている蛍光体層1185R、1185G、1185Bの傾斜部および当該傾斜部から底部とに跨る部分に高γ部1186があると、高γ部1186から放出された2次電子を有効に作用し、放電開始電圧を効果的に下げることができる。
【0162】
(実施の形態8)
上記実施の形態6および実施の形態7における高γ部86、1186は、電圧印加粒子散布集積法により形成されていたが、他の形成方法によっても形成できる。本実施の形態8では、蒸着法を利用して高γ部86、1186を形成する場合ついて説明する。なお、ここでは、実施の形態6での前段背面パネル80aに高γ部86を形成する場合について説明する。
【0163】
この高γ部86は、MgOを少なくとも含む材料によって、蒸着法、例えば、電子ビーム蒸着法により、電子ビーム蒸着装置内でターゲットであるMgOに電子ビ−ムを照射することによって、例えば、膜厚が10(nm)〜1(μm)のMgOからなる皮膜が、Dat電極82の上方にのみに蒸着され形成される。
では、電子ビーム蒸着法よる高γ部86の形成方法について、以下説明する。
【0164】
図18は、本実施の形態8に係る高γ部86の形成方法を説明するための概略図である。高γ部86の形成方法は、蒸着装置560内において、前段背面パネル80aのDat電極82に負あるいは接地電位を付与しておき、蒸着装置560内の前段背面パネル80aの下方でRFプラズマ563を発生させておく。
この状態で、電子銃567によって電子ビーム569をターゲットであるMgO690に照射させて飛散させる。この飛散するMgO粒子691は、上記RFプラズマ563中で正の電位に帯電し、その後、負あるいは接地電位のDat電極82に吸引されて、蛍光体層85の表面であって、且つ、Dat電極82のオモテ側に相当する部分に集積・堆積する。
【0165】
このように高γ部86は、電子銃567により電子ビーム569をターゲットであるMgO690に照射して蒸着させて、RFプラズマ中で正に帯電したMgO粒子691が、高電圧直流電源装置(印加手段)692によって少なくとも負あるいは接地電位に付与されたDat電極82に吸引されて蒸着するので、簡易な方法で成形できると共に、薄膜からなる高γ部86を効率よく形成することができる。
【0166】
なお、上記成形方法で形成された高γ部86を有するPDPについても、実施の形態6と同様の試験を行った。
この実験に用いたPDPは、放電セルの背面板において、蛍光体層85表面のDat電極82の上方のみに存在するように、2次電子放出係数γが蛍光体層85の構成材料よりも大きいMgO材料を、RFプラズマ563中で帯電させながら電子ビーム蒸着する電子ビーム蒸着法によって蒸着することにより、例えば、高γ部86を膜厚約0.5(μm)に形成し、その他は実施の形態6の実験と同様にして作成されている。
【0167】
本実験によって、上記実施の形態6と同様に、初期化期間T1において弱放電が常に安定して起き、初期化輝点の発生が低減し、さらに輝度の低下が最小限に抑えられることが確認できた。
以上、本発明に係る構成上および作用・効果面での特徴を各実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記各実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例をさらに実施することができる。
【0168】
1.高γ部
(1)形成範囲について
実施の形態6、7および変形例1における高γ部86、1086、1186は、蛍光体層85、1085、1185の表面であって、Dat電極82、1082、1182の表面に相当する部分にのみ形成されていたが、Dat電極82、1082、1182の表面に相当する部分以外に高γ部86、1086、1186が形成されていても良い。なお、「データ電極の表面に相当する部分にのみ」には、高γ部86、1086、1186の形成範囲が、Dat電極82、1086、1182の表面に相当する部分を若干はみ出して形成されている場合も含んでいる。
【0169】
つまり、高γ部86、1086、1186は、Dat電極82、1082、1182の表側に相当する部分を含む範囲に厚さが不均一な高γ部86、1086、1186が形成されている場合、その厚さが最も厚い位置がDat電極82、1082、1182のオモテ側に相当する部分内にあるように偏在していれば良い。
但し、この場合、Dat電極82、1082、1182の表面に相当する部分以外では、高γ部86、1086、1186の厚さを、放電ガス等から発せられた、例えば、共鳴線が殆ど吸収されない程度の厚さにする必要がある。具体的には、この厚さは、平均で0.5(μm)以下である。
【0170】
また、実施の形態6、7および変形例1における高γ部86、1086、1186は、蛍光体層85、1085、1185の表面であって、Dat電極82、1082、1182の表面に相当する部分、あるいは、Dat電極82、1082、1182の上方(前面パネル10側)に位置する部分とScn電極121の下方(背面パネル80、1080、1180側)に位置する部分との重なり部分(この部分を、単に、「データ電極と走査電極との重なり部分」という。)に均一に形成されていたが、不均一であっても良い。例えば、Dat電極82、1082、1182のオモテ側に相当する部分、またはDat電極82、1082、1182とScn電極121との重なり部分内に、高γ部86、1086、1186の形成されていない部分があっても良い(つまり、高γ部86、1086、1186が島状に偏在していても良い)。さらには、Dat電極82、1082、1182のオモテ側に相当する部分、またはDat電極82、1082、1182とScn電極121との重なり部分(立体交差部分)の略中央で、高γ部86、1086、1186の厚さが最大となるように偏在しても良い。
【0171】
また、形成範囲について別の言い方をすれば、高γ部86、1086、1186は、Dat電極82、1082、1182のオモテ側に相当する部分では、蛍光体層85、1085、1185を覆う被覆率が、Dat電極82、1082、1182のオモテ側に相当する部分よりも大きくなっている。つまり、Dat電極82、1082、1182のオモテ側に相当する部分に集中して形成されていることになる。
【0172】
(2)材料について
上記各実施の形態6〜8および変形例1では、高γ部86、1086、1186の構成材料としてMgOを用いたが、他の材料を用いることもできる。例えば、他の材料として用いることが可能であるのは、MgO、CaO、BaO、SrO、MgNOおよびZnOの内の少なくとも一種を含んだ金属酸化物材料、絶縁体としてのCNT(カーボンナノチューブ)などのナノファイバー、C60等のフラーレンおよびAlN(窒化アルミニウム)等の材料の少なくとも1種を含む絶縁物材料を使用することができる。これらには他の材料や不純物材料も含まれていても良い。
【0173】
また、上記において、高γ部86、1086、1186として絶縁物質材料であるMgO粒子670、680、690を使用して説明したが、他の粒子として、Pt(白金)、Au(金)、Pd(パラジウム)、Mg(マグネシウム)、Ta(タンタル)、W(タングステン)およびNi(ニッケル)の少なくとも1種を含む金属材料からなる粒子を使用しても同様に実施可能である。これらの粒子群は、仕事関数の値が小さくて2次電子放出係数γが蛍光体層よりも大きい値を有し、酸化されにくい金属粒子であり、初期化期間T1において蛍光体層85、1085、1185側がカソードとなる時の放電開始電圧を低下させることができ、弱放電を安定して起こさせ、初期化輝点の発生を抑えることができる。
【0174】
2.電圧印加粒子散布集積法について
上記実施の形態6〜8および変形例1において、高γ部86、1086、1186を形成する工程が、高γ部86、1086、1186を形成するための材料を正に帯電し、Dat電極82、1082、1182に負の電圧を印加するとして説明したが、高γ部86、1086、1186を形成する工程が、Dat電極82、1082、1182に一定の大きさの負の電圧を印加し続ける工程を有していても構わず、また、Dat電極82、1082、1182上に時間の経過と共に負側に大きくなるように電圧を印加する工程を有していても構わず、また、Dat電極82、1082、1182上に時間の経過と共に負側に連続的、例えば、直線状、或いは曲線状に大きくなるように電圧を印加する工程を有していても構わず、また、Dat電極82、1082、1182上に時間の経過と共に負側に段階的に大きくなるように電圧を印加する工程を有していても構わず、また、Dat電極82、1082、1182に負電圧のパルスを印加する工程を有していても構わない。
【0175】
これらの製造方法により、Dat電極82、1082、1182に負の電圧を印加する方法として、上記各種方法をとることにより、正に帯電したMgO絶縁性材料を負の電圧に印加したDat電極82、1082、1182に集積させる過程で、MgO粒子671、681、691の電荷により、Dat電極82、1082、1182の上方の表面電位が上昇し、MgO粒子がDat電極82、1082、1182の上方に堆積しにくくなるのを防止することができる。
【0176】
帯電したMgO粒子が付着することにより上昇するDat電極82、1082、1182の上部の表面電位を、例えば、Dat電極82、1082、1182に時間の経過と共に負側に大きくなるように電圧を印加する方法により、上昇するDat電極82、1082、1182の上方の表面電位を略一定の所定の電位とすることが可能となり、表面電位が下がることがないので、Dat電極82、1082、1182の上方にMgO粒子671、681、691を均一に集積させることができる。
【0177】
当然他の上記方法によっても同様に実施可能であって、効率よく簡易な方法で高γ部86、1086、1186をDat電極82、1082、1182の上方に形成することができる。また、Dat電極82、1082、1182の上部の表面電位を検出しフィードバックしながら上記負の電圧を調節する方法により、高γ部86、1086、1186をDat電極82、1082、1182の上方に形成することも可能である。
【0178】
また、各実施の形態では、高γ部86、1086、1186を形成する材料として、MgO粒子670、680、690を使用している。このMgO粒子670、680、690は、正に帯電しやすい性質を有しているため、実施の形態では、MgO粒子670、680、690を正に帯電させて、データ電極に負の電圧を印加した。
しかしながら、例えば、MgO粒子670、680、690を負に帯電させた場合は、Dat電極82、1082、1182には正の電圧を印加する必要がある。このように高γ部86、1086、1186の形成においては、当該高γ部86、1086、1186の形成する材料の帯電の極性は、その材料の帯電のし易さによって決定され、この帯電の極性によってDat電極82、1082、1182に印加する電圧の極性が決まることになる。
【0179】
さらに、各実施の形態では、高γ部86、1086、1186を形成する材料として、MgO粒子670、680、690を使用し、Dat電極82、1082、1182に負の電圧を印加させていたが、例えば、Dat電極82、1082、1182を接地電位としても、正に帯電したMgO粒子671、681、691はDat電極82、1082、1182に吸引される。これは、高γ部86、1086、1186を形成する材料を負に帯電した場合であっても同様のことが言える。
【0180】
3.高γ部86、1086、1186の形成について
上記実施の形態6、7および変形例1において、高γ部86、1086、1186を形成する工程が、電圧印加粒子散布集積法による工程であるとして説明したが、さらに、実施の形態8で説明した電子ビーム蒸着法以外の製造方法として、高γ部86を形成する工程が、高γ部86を形成する材料にプラズマビームを照射して帯電させ成膜するプラズマビーム照射成膜法による工程であっても同様に実施可能である。
【0181】
これにより、簡易な方法により、プラズマビーム照射によって正に帯電したMgO粒子690を少なくとも負あるいは接地電位に付与されたデータ電極の上部に飛散集積させて蒸着し、薄膜からなる高γ部86を効率よく形成することができる。
さらに、蒸着よりMgOからなる皮膜を形成し、フォトエッチング等によりDat電極82、1082、1182の表面に相当する部分にのみ皮膜が残るようにして高γ部86、1086、1186を形成しても良い。逆に、高γ部86、1086、1186を形成しない部分をマスキングして、蛍光体層85、1085、1185の表面であってDat電極82、1082、1182上に相当する部分にだけ、高γ部86、1086、1186を形成しても良い。
【0182】
4.Dat電極82、1082、1182について
上記実施の形態6、7におけるDat電極82、1182は、Ag(銀)により形成されていたが、他の材料を用いて形成することも可能である。他の材料としては、例えば、Au(金)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)や、これらを適宜組合わせたものがある。
【0183】
5.隔壁84、1084、1184について
上記実施の形態6、7および変形例1における背面パネル80、1080、1180は隔壁84、1084、1184を備えていたが、例えば、前面パネル10の側に隔壁84、1084、1184を備える構造であっても良い。また、隔壁84、1084、1184を、前面パネル10およ背面パネルと別の構成として成形して、前面パネル10と背面パネル80、1080、1180とを対向配置させるときに、前記隔壁84、1084、1184を両者間に介在させて、PDPを形成しても良い。
【0184】
6.蛍光体層85、1085、1185について
蛍光体層85、1085、1185を構成する各蛍光体材料は、上記実施の形態6における材料に限定するものではなく、例えば、CaMgSi26:EuやYBO3:Tbなどを採用することもできる。
7.その他について
上記蛍光体材料や放電ガス種、圧力は上記に特定するものではなく、AC型PDPで通常使用できる材料、条件が適用できる。また、上記の変形例で説明した内容をそれぞれ組合わせても良いのは言うまでもない。
【0185】
(実施の形態9)
1.PDP1の構成
本発明の実施の形態9に係るPDP7の構成について、図19を用いて説明する。図19は、実施の形態9に係るPDP7の構造を示す要部斜視図(一部断面図)である。なお、基本的な構成および前面パネル10の基本的な構成については、上記実施の形態1〜8などと変わるところがないが、確認的に以下で説明する。
【0186】
1−1.前面パネル10の構成
前面パネル10は、前面基板11における背面パネル90と対向する側の面(図19では下面)に、Scn電極121とSus電極122からなる表示電極対12が、互いに平行に複数配設され、この表示電極対12を覆うように、誘電体層13および誘電体保護層14が順に被覆形成されている。
【0187】
前面基板11は、例えば、高歪点ガラスあるいはソーダライムガラスから構成されている。また、Scn電極121およびSus電極122の各々は、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、SnO2(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)などからなる幅広であって膜厚約100nmの透明電極要素121a、122aと、高抵抗な透明電極要素121a、122aを補い電気抵抗を下げるためのバスライン121b、122bとをそれぞれ積層した状態で構成されている。バスライン121b、122bは、例えば、膜厚が数(μm)程度であって、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)あるいはパラジウム(Pd)などから構成されている。なお、透明電極要素121a、122aについては、ストライプ状あるいは突出形状に形成される(図19では、ストライプ状)。
【0188】
また、誘電体層13は、鉛系や非鉛系の低融点ガラス材料や酸化珪素(SiO2)材料などを用い、厚膜形成プロセスまたは薄膜形成プロセスで膜厚数(μm)〜数十(μm)で形成され、誘電体保護層14については、MgO(酸化マグネシウム)あるいはMgF2(弗化マグネシウム)などを主材料として膜厚が数百(nm)で構成されている。
なお、前面基板11の表面において、隣り合う表示電極対12どうしの間には、隣り合う放電セルの光が互いに漏れ出るのを防止するためのブラックストライプが設けられることもある。
【0189】
1−2.背面パネル90の構成
背面パネル90は、背面基板91における前面パネル10と対向する側の面(図19では上面)に、表示電極対12と略直交する方向において、Dat電極92が複数配置されており、このDat電極92を覆うように、誘電体層93が形成されている。また、この誘電体層93上には、隣り合うDat電極92間に主隔壁要素94aが立設され、さらに、この主隔壁要素94aと略直行する方向に補助隔壁要素94bが形成されている。
【0190】
PDP7では、これら主隔壁要素94aと補助隔壁要素94bとを以って背面パネル90における隔壁94を構成している。なお、図面上では詳細に示していないが、Z軸方向において、補助隔壁要素94bの上端は、主隔壁要素94aの上端よりも若干低く設定されている。
誘電体層93と隣り合う2条の主隔壁要素94aおよび2条の補助隔壁要素94bとで囲まれた凹部の内壁面には、蛍光体層95が設けられている。蛍光体層95は、窪み毎に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各々に分けられている。
【0191】
背面パネル90における背面基板91についても、上記前面パネル10の前面基板11と同様に、高歪点ガラスあるいはソーダライムガラスなどから構成されている。Dat電極92は、例えば、銀(Ag)などの金属材料から形成されており、背面基板91の表面上にAgペーストをスクリーン印刷して形成されている。なお、Dat電極92の形成材料としては、Agの他に、Al、Cr、Cu、Ni、Pt、Pdや、例えば、これらを積層するなどの方法で組み合わせたものも用いることもできる。
【0192】
誘電体層93は、基本的に前面パネル10の誘電体層13と同じく、鉛系や非鉛系の低融点ガラス材料、SiO2材料などから形成されているが、酸化アルミニウム(Al23)や酸化チタン(TiO2)が含まれたものでもよい。また、隔壁94は、例えば、低融点ガラス材料を用い、サンドブラスト法やフォトリソグラフィ法などの方法で形成されている。ここで、隔壁94は、各放電セルにおいて直方体形状の穴を掘るように形成されることから、その側壁が、背面基板91に対して垂直ではなく、Z軸方向の下向に隣り合う隔壁94間の間隔が狭くなるような傾斜状となっている(図19では、省略)。
【0193】
蛍光体層95は、凹部毎に、次に示すような各色蛍光体を用い形成されている。
R蛍光体;(Y、Gd)BO3:Eu
G蛍光体;Zn2SiO4:Mn
B蛍光体;BaMg2Al1424:Eu
また、本実施の形態に係るPDP7では、蛍光体層95の表面の一部を覆うように、蛍光体皮膜96が形成されている。この蛍光体皮膜96については、その形成領域を含め、後述する。
【0194】
1−3.前面パネル10と背面パネル90との配置
PDP7は、前面パネル10と背面パネル90とが、ギャップ材として背面パネル90に形成された隔壁94を間に挟み、且つ、表示電極対12とDat電極92とが略直交する方向に配され、この状態で各々のパネル10、20の外周部どうしが封止されて構成されている。これによって、前面パネル10と背面パネル90との間には、各隔壁94によって仕切られた放電空間30が形成され、両パネル10、90が密閉容器を形成することになる。PDP7における放電空間30には、Ne、Xe、He等が混合されてなる放電ガスが充填され構成されている。放電ガスの封入圧力は、例えば、50(kPa)〜80(kPa)程度である。
【0195】
なお、放電ガス中における全圧に対するXe分圧の比率については、従来、5(%)未満に設定されていたものであるが、パネルの発光輝度向上を目的として5(%)〜100(%)の範囲の高い値に設定される。
また、PDP7の製造においては、両パネル10、90を貼り合わせて組み立てた後、真空置換された放電ガス中で同時に封着封止する方法を採用しても構わない。また、上記ガス種は上記に特定するものではなく、AC型PDPで通常使用できる材料、条件も適用できる。
【0196】
PDP7では、表示電極対12とDat電極92とが立体交差する各箇所が放電セル(不図示)に対応する。そして、PDP7には、複数の放電セルがマトリックス配列された状態となっている。
2.蛍光体皮膜96
本実施の形態に係るPDP7において、構成上の特徴となる蛍光体皮膜96の構成について、図20および図21を用いて説明する。図20は、PDP7の1つの放電セルを抜き出して示す断面図であり、(a)がPDP7をXZ断面で切り取った図であり、(b)がPDP7をYZ断面で切り取った図である。
【0197】
図20(a)に示すように、PDP7では、Scn電極121およびSus電極122の延設方向(Y方向)に沿ってほぼ平行に形成配置された隔壁94の放電空間30を臨む側の傾斜部表面に、蛍光体層95が傾斜する形で形成される。また、蛍光体層95は、誘電体層93の表面を含めて他の内壁表面にも積層形成されている。
本実施の形態に係るPDP7においては、後述するように、初期化期間T1において2次電子を放出させるために、放電セル内において、2次電子放出係数γが蛍光体層95よりも大きく、且つ、蛍光体層95を構成する上記蛍光体材料とは異なる材料により、蛍光体層95の表面の一部を覆うように蛍光体皮膜96が形成されている。図20(a)および図20(b)に示すように、蛍光体皮膜96の形成領域は、Scn電極121の各側縁辺(X軸方向の両縁)から背面基板91の表面に対して垂線(Z方向)を下ろすとき、この垂線で囲まれる蛍光体層95の表面部分を含んでいる。また、PDP7では、Sus電極122の下の領域や誘電体層93の表面に積層された部分では蛍光体層95の表面が放電空間30を臨む状態となっている。
【0198】
図21に示すように、PDP7の蛍光体層95をZ方向における前面パネル10の側から見るとき、蛍光体皮膜96は、上記Scn電極121の下の領域の内でもバスライン121bの下の領域にある蛍光体層傾斜部分95aを含んで形成されている。そして、蛍光体層95の他の傾斜部分95b〜95dおよび底面(誘電体層93の表面に積層された部分)には蛍光体皮膜96が形成されていない状態となっている。
【0199】
蛍光体皮膜96は、MgO(酸化マグネシウム)を含む金属酸化物材料からなり、電子ビーム蒸着法を用いて膜厚数十(nm)〜数千(nm)で形成されている。蛍光体皮膜96の膜厚については、100(nm)〜3000(nm)の薄膜状とするのがより望ましい。蛍光体皮膜96は、蛍光体層95の表面上における傾斜部分95aで平均として上記範囲の値の膜厚でよく、一定の膜厚である必要はない。また、蛍光体皮膜96は、極めて薄い膜として島状に形成されていてもよい。なお、蛍光体皮膜96の形成方法に関しては、後述する。
【0200】
3.PDP7の駆動および優位性
以下では、本実施の形態に係るPDP7を駆動する方法について説明する。PDP7には、各電極121、14、22に対して所定タイミングで電圧を印加する駆動回路が接続されている(図示を省略)。そして、本実施の形態に係るPDP7においても、上記実施の形態1に係るPDP1と同様に、次の3つの動作期間を繰り返す、所謂、アドレス・表示分離駆動方式を用いてPDP7は表示駆動される。
(1)全表示セルを初期化状態にする初期化期間T1
(2)各放電セルごとにアドレスし、各セルへ入力データに対応した表示状態を選択・入力していくデータの書き込み期間T2
(3)表示状態にある放電セル1を表示発光させる維持期間T3
上記(3)の維持期間T3において、Scn電極121とSus電極122とで構成される表示電極対12に対して、電極電圧パルスの矩形波電圧を互いに位相が異なるように印加する。即ち、表示電極対12間に交流電圧を印加して、表示状態データが書き込まれた放電セルに、電圧極性が変化するたびにパルス放電を発生させる。
【0201】
上記維持放電により、放電空間30の中の励起キセノン原子からは147(nm)の共鳴線が、励起キセノン分子からは173(nm)主体の分子線が放射され、次いで上記紫外放射を背面パネル90の蛍光体層95で可視放射に変換することにより、PDP7の表示発光が得られる。
上述のように、蛍光体層95の表面の一部領域に蛍光体皮膜96が形成されてなる背面パネル90を有するPDP7では、次のような優位性を有する。図20、図21に示すように、Z軸方向におけるScn電極121の下の領域にある蛍光体層95の傾斜部分95aに、2次電子放出係数γが蛍光体層95よりも大きく、且つ、蛍光体層95を構成する蛍光体材料とは異なる材料によって、蛍光体皮膜96が被覆形成されてる。また、PDP7では、蛍光体層95の他の表面領域(他の傾斜部分95b、95c、95dを含む。)が放電空間30を臨む状態になっている。
【0202】
蛍光体層95の表面における傾斜部分95aに被覆されてなる蛍光体皮膜96は、2次電子放出係数γが大きく、且つ、耐スパッタ性が高い材料であるMgOを含む金属酸化物材料により形成されることにより、PDP7の駆動の初期化期間T1において、蛍光体層95側がカソードとなる時の放電開始電圧をさらに低下させて弱放電をさらに安定化させ、且つ、耐スパッタ性が高い材料であるので、高画質および高信頼性にすることができる。
【0203】
また、蛍光体皮膜96は、初期化期間T1において、蛍光体層95側がカソードとなる時の放電開始電圧を低下させ、弱放電を安定して起こさせて画質を向上させるとともに、極く薄い膜で形成されることにより、放射される147(nm)の共鳴線を含む真空紫外線をほとんど吸収することがない。よって、PDP7では、放電空間30で発生した真空紫外線が蛍光体層95に高効率に届けられ、発光効率が高く維持される。。
【0204】
また、蛍光体皮膜96は、蛍光体層95の表面における傾斜部分95aを含む少なくとも一部に設けられ、他の傾斜部分95b、95c、95dおよび誘電体層93の上に当たる部分には形成されていないので、PDP7では、弱放電を起こさせる必要な箇所には蛍光体皮膜96が形成され、不必要な個所には蛍光体皮膜96が形成されていないので、蛍光体皮膜96による紫外線放射の吸収が最小限の範囲に抑えられる。
【0205】
4.実験
実験において、上述したPDP7と同一構成のパネルを作成した。即ち、PDP7の背面パネル90の蛍光体層95までを形成した後、Scn電極121の下の領域(傾斜部分95a)を含む蛍光体層95の表面の少なくとも一部領域に、MgO材料を使用して電子ビーム蒸着法によって、蛍光体皮膜96を膜厚約1000(nm)で薄膜状に形成した。
【0206】
蛍光体皮膜96は、後述する斜め蒸着法による製造方法によって、蛍光体層95の表面における上記傾斜部分95b、95c、95dなどの部分には少なくとも形成しないようにした。そして、放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率を約15(%)の高い値として約60(kPa)で封入し、PDP7を作成し、次のような評価した。
上記PDP7に対して、全表示セルを初期化状態にする初期化期間T1において、Scn電極121とDat電極92との間に電圧−時間推移が緩やかに上下する高電圧のランプ波形を印加し評価した。
【0207】
実験結果によれば、本実施の形態に係るPDP7では、蛍光体層95の表面における傾斜部分95aを含む一部の領域に蛍光体皮膜96を形成したので、放電ガスの全圧に対するXe分圧比率を約15(%)と高く設定しているにも関わらず、初期化期間T1においてScn電極121とDat電極92との間にランプ波形高電圧が印加され、蛍光体層95側がカソードとなったときに、蛍光体皮膜96により、放電開始電圧が50(V)〜100(V)低下し、弱放電が常に安定して起きるようになって初期化輝点の発生が無くなり、画質が大幅に向上した。
【0208】
また、蛍光体皮膜96を蛍光体層95の表面における上記傾斜部分95b、95c、95dなどの部分には少なくとも形成しないようにしたので、放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率を上げても発光効率の低下が抑えられて輝度の低下を抑制させることができ、高XeのPDPとして輝度が大幅に向上した。なお、PDP7では、放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率を5(%)〜100(%)の範囲の値に上げても弱放電が常に安定して発生し、且つ、輝度はXe分圧比率に対応して向上した。
【0209】
一方、図26(b)に示すように、蛍光体層725の表面全体を覆ってMgOからなる厚みの厚い蛍光体皮膜746を成膜した従来例のPDPにおいては、放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率を上げた場合、初期化期間T1において、蛍光体層725側がカソードとなる時の放電開始電圧が下がって弱放電は安定化するものの、蛍光体層725の全表面に付けた厚い蛍光体皮膜746によって共鳴線を含む真空紫外線が吸収され、発光効率が抑制され、放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率を上げても、本実施の形態に係るPDP7に比較して輝度はその約1/10となって向上しなかった。
【0210】
以上の結果より、本実施の形態に係るPDP7では、蛍光体層95の表面における傾斜部分95aの少なくとも一部を含む部分に蛍光体皮膜96を形成し、且つ、これ以外の部分を放電空間30を臨む状態としておくことで、全表示セルを初期化状態にする初期化期間T1において、弱放電が安定して起きやすくなって初期化輝点の発生を抑制するとともに、維持期間T3における発光効率の低下を抑え輝度の低下を抑制するので、画質を向上させ、かつ高輝度とすることができる。
【0211】
上述のように、蛍光体皮膜96は、蛍光体層95の表面における傾斜部分95aの少なくとも一部を含む部分に設けられ、他の傾斜部分95b、95c、95d、特にSus電極122の下の部分(傾斜部分95bに相当。)には形成されない状態となっているので、初期化期間T1において、放電開始電圧が下がり弱放電を安定化させることができ、かつ紫外放射効率の低下を抑え発光効率の低下がおさえられる。このため、PDP7では、高画質で高輝度あるいは低消費電力という優位性を有する。
【0212】
(実施の形態10)
実施の形態10に係るPDP7の製造方法について、図22を用いて説明する。図22は、実施の形態10に係るPDP7の製造方法の内、背面パネル90の蛍光体皮膜96の形成に係る工程を示す工程概念図である。なお、本実施の形態に係る方法を以って製造しようとするPDP7の構成は、上記実施の形態9のPDP7と同一の構成のものである。
【0213】
図22(a)に示すように、背面基板91の一方の主面上にDat電極92をパターン化して形成し、Dat電極92と背面基板91表面の少なくとも一部を覆って低融点ガラスペーストを塗布焼成して誘電体層93を形成する。さらに、誘電体層93の表面上に隔壁94を立設する。隔壁94の形成に用いる材料としては、例えば、低融点ガラスを用い、隔壁94の形成においては、この材料を塗布焼成した後、放電セルの複数個の配列の行および列を仕切って、隣接放電セルとの境界周囲を仕切る例えば井桁形状などのパターンで、サンドブラスト法やフォトリソ法あるいは転写法などの方法を使用して実施する。
【0214】
上記実施の形態9のように、井桁形状の隔壁94として、Scn電極121の延設方向に沿って平行に形成した隔壁94の側壁面を、隔壁94のScn電極側傾斜部24b1(図22(b)を参照。)としている。同様に、Sus電極122側の隔壁94の側壁面を、隔壁94のSus電極側傾斜部94b2としている。もちろんその他の隔壁94の側壁面にも、隔壁の傾斜部を形成している。
【0215】
図22(a)に示すように、例えば井桁形状パターンで形成された隔壁94に対して、蛍光体材料を印刷塗布、焼成を実施し、隔壁94の側壁面および誘電体層93の表面に蛍光体層95を形成する。赤(R)、緑(G)、青(B)発光の各蛍光体層95の形成には、上記3色の蛍光体材料をRGB各放電セル単位にそれぞれ使用する。なお、用いる蛍光体材料は、上記に特定するものではなく、AC型PDPで通常使用する材料が適用できる。
【0216】
Scn電極121の延設方向(Y軸方向)に沿ってほぼ平行に形成した隔壁94の表面におけるScn電極側傾斜部94b1には、蛍光体層95を傾斜して形成している。同様に、隔壁94の表面におけるSus電極側傾斜部94b2にも、蛍光体層95を傾斜して形成している。また、蛍光体層95は、その他の隔壁94の側壁面および誘電体層93の表面にも形成ししている。
【0217】
本実施の形態に係るPDP7の製造方法での特徴は、背面パネル90の加工面形成工程が、2次電子放出係数γが蛍光体層95よりも大きく、且つ、蛍光体層95の構成材料とは異なる材料により、Scn電極121の各側縁辺から背面基板91の表面に向けて下ろす垂線で囲まれる領域において、蛍光体層95の斜面部分95a(図21を参照。)の少なくとも一部を含む部分に、蛍光体皮膜96を形成する工程を有するものであり、以下に詳述する。
【0218】
図22(b)に示すように、背面基板91上にDat電極92、誘電体層93、隔壁94や蛍光体層95を順次形成した背面板加工面を、Scn電極121およびSus電極122の延設方向をY軸方向(紙面垂直方向)に、Dat電極92の長軸方向をX軸方向(紙面水平)に配置する。そして、背面板加工面に対して、Scn電極121の延設方向(Y軸方向)と直交する方向から、2次電子放出係数γが蛍光体層95よりも大きく、且つ、これを形成する蛍光体材料とは異なる材料を使用して、斜め蒸着方法により蛍光体皮膜96を形成する。
【0219】
蛍光体皮膜96の形成に用いる材料としては、例えば、MgOを含む金属酸化物材料をあげることができる。そして、蛍光体皮膜96の形成は、上記材料を用い、電子ビーム蒸着法などの薄膜形成プロセスによりScn電極121の延設方向(Y軸方向)と直交する方向から、背面板加工面の法線方向(Z軸方向)からの傾斜角θのC方向から斜め蒸着して形成する。斜め蒸着での蛍光体皮膜96の形成に際しては、その膜厚を数十(nm)〜6000(nm)の範囲となるようにする。なお、蛍光体皮膜96の膜厚に関しては、100(nm)〜3000(nm)の範囲の値の薄膜とするのが望ましく、さらに極薄膜として島状に形成してもよい。
【0220】
図22(c)に示すように、背面板加工面の放電セル内において、Scn電極121の延設方向(Y軸方向)と直交する方向で、且つ、Sus電極122の側の隔壁94を手前に設けた遮蔽壁として利用し、Scn電極121の側の隔壁94の底辺より手前のSus電極122の側には蒸着しないような傾斜角θで斜め蒸着する。このように、本実施の形態に係る製造方法では、Sus電極122の側の隔壁94を手前に設けた遮蔽壁として利用し、Scn電極121の側の隔壁94の底辺よりSus電極122の側には蛍光体皮膜96が形成されない傾斜角θを設定することにより、斜め蒸着の傾斜角の値を適切な範囲に設定することが可能となる。このようにして、隔壁94のScn電極側傾斜部94b1に形成した蛍光体層95の傾斜表面の少なくとも一部に蛍光体皮膜96を形成し、蛍光体層95底面および隔壁94の他の傾斜部94b2の蛍光体層の表面には蛍光体皮膜96の形成を行わないようにする。
【0221】
上記の製造方法では、蛍光体皮膜96を蛍光体層95の表面の一部(Scn電極側傾斜部94b1上の部分)に形成した背面パネル90と、上記実施の形態9のように、Scn電極121とSus電極122とを交互に平行に延設した表示電極対12を少なくとも有する前面パネル10とを、間に放電空間30を挟んで対向配置し、放電セルを複数個配列し形成してPDP7が構成される。なお、放電空間30には、全圧に対する分圧比率が高い状態でXeを含む放電ガスを充填する。このようにして、高画質で高輝度のPDP7を歩留まりよく安定して製造することができる。
【0222】
本実施の形態に係るPDP7の製造方法では、背面板加工面の形成工程が、放電セル内において、2次電子放出係数γが蛍光体層95よりも大きく、且つ、蛍光体層95の材料とは異なる材料により、Scn電極121の延設方向に沿って形成した隔壁94のScn電極側傾斜部94b1上の蛍光体層95の少なくとも一部表面に蛍光体皮膜96を形成する工程を有することにより、完成したPDP7の駆動において、初期化期間T1に弱放電を安定して起こしやすく初期化輝点の発生を抑制する、且つ、維持期間T3における輝度の低下を抑えて高画質、高輝度という優位性を有することが可能となる。
【0223】
また、本実施の形態に係るPDP7の製造方法では、MgOを含む金属酸化物材料を、電子ビーム蒸着法により、背面板加工面に対して、Scn電極121の延設方向と直交する方向から、Sus電極122の側の隔壁94を遮蔽壁とする傾斜角度で斜め蒸着するという簡易な方法により、Scn電極121の延設方向に沿って形成した隔壁94のScn電極側傾斜部94b1の蛍光体層95の表面の少なくとも一部を含む部分に、金属酸化物材料を含んでなる蛍光体皮膜96を形成することができる。そして、この製造方法では、窪みの底面における蛍光体層95、隔壁94のSus電極側傾斜部94b2の蛍光体層95表面には蛍光体皮膜96を形成しないようにするので、PDP7の駆動において、初期化期間T1に弱放電を安定して起こしやすく初期化輝点の発生を抑制し、且つ、維持期間T3における輝度の低下を抑える高画質、高輝度のPDPを歩留まりよく安定して製造することができる。
【0224】
(実施の形態11)
実施の形態11に係るPDPの製造方法について、図23を用いて説明する。図23は、実施の形態11に係るPDPの製造方法の内、背面パネル90の一部を形成する別の実施例の工程を示す工程概念図である。上記図20および図22を参照しながら、実施の形態10の製造方法のさらに具体的な実施例として、実施の形態9に係るPDP7の背面パネル90の一部を形成する工程について説明する。図19〜22と同じものには同じ参照番号を付与していて、簡略のために一部省略している。
【0225】
図23において、図示を省略するが、背面パネル90における蛍光体層95までを形成した背面板加工面900fの放電セル単位の構成は、上記図20(b)、図22(a)と同じである。図23の拡大部分に示すように、井桁形状の隔壁94には、Scn電極121の延設方向に沿ってほぼ平行に形成した隔壁94の側面を、Scn電極側傾斜部94b1としている。同様に、Sus電極122の側の隔壁94側面を、Sus電極側傾斜部94b2としている。
【0226】
また、蛍光体層95として、Scn電極121の延設方向(X軸方向)に沿ってほぼ平行に形成した隔壁94のScn電極側傾斜部94b1の表面においては、蛍光体層95を傾斜して形成している。同様に、隔壁94のSus電極側傾斜部94b2の表面においても、蛍光体層95を傾斜して形成している。
図23に示すように、電子ビーム蒸着装置(図示省略)内において、背面基板91面上に複数個の放電セル単位の背面板加工面900fを形成配列した前段背面パネル900を、背面板加工面900fを下側(Z軸方向)にして水平に配置する。即ち、図23において、上記図22(a)における背面板加工面を下側(Z軸方向)に向けて配置し、Scn電極121およびSus電極122の延設方向をY軸方向(紙面垂直方向)に、Dat電極92をX軸方向になるように前段背面パネル900を配置する。
【0227】
図23に示すように、前段背面パネル900と、材料ターゲット695および電子銃577との間には、Scn電極121の延設方向と平行方向(Y軸方向)に長軸方向を有する例えば長方形状の穴である開口部572hを設けた例えばメタルマスク572を、材料ターゲット695と開口部572hを結んだ線とメタルマスク572の面法線(背面板加工面法線)とが、ほぼ傾斜角θを有するように配置する。
【0228】
次に、前段背面パネル900をScn電極121の延設方向(Y軸方向)と直交するX軸方向へ、あるいはX軸方向から一定の速度で移動させながら、例えばMgOを含む金属酸化物材料からなる材料ターゲット695に電子銃577から電子ビームを照射し、傾斜角θの下側J方向からMgOを含む金属酸化物材料を斜め蒸着する。即ち、前段背面パネル900を一定速度でX軸方向に移動させながら、背面板加工面900fに対して、メタルマスク572の開口部572hを介して、Scn電極121の延設方向と直交する方向で、且つ、背面板加工面900fの法線方向から傾斜角θを略維持して傾斜させた方向から、電子ビーム蒸着法によって、2次電子放出係数γが蛍光体層95よりも大きく、且つ、蛍光体層95の材料とは異なるMgOを含む金属酸化物材料を斜め蒸着することにより、高γ部である蛍光体皮膜96を形成する。
【0229】
以上のようにして、蛍光体皮膜96を形成する工程は、背面板加工面900fに対する傾斜角θを略一定に維持して、前段背面パネル900を一定速度で移動させながら、背面板加工面900fに対して、Scn電極121の延設方向と直交する方向で、且つ、傾斜した方向から斜め蒸着するという簡易な上記製造方法により、背面板加工面900fの各放電セル単位に対して、Scn電極121の延設方向と直交する方向から、Sus電極122の側の隔壁94を遮蔽壁として一定の蒸着速度で一定の方向から斜め蒸着することになる。
【0230】
上記による簡易な製造方法によって、放電セルとして、隔壁94のScn電極側傾斜部94b1上の蛍光体層95の少なくとも一部表面に、2次電子放出係数γが蛍光体層95よりも大きく、且つ、蛍光体層95の材料とは異なる材料による蛍光体皮膜96を形成し、凹部の底面における蛍光体層95の表面および隔壁94のSus電極側傾斜部94b2上の蛍光体層95の表面には蛍光体皮膜96を形成せず、高輝度高画質のPDPを安定してかつ安価に製造することができる。
【0231】
また、上記製造方法では、蛍光体皮膜96を形成する工程が、背面板加工面900fに対する傾斜角度θを略一定に維持したまま、前段背面パネル900を一定速度で移動させながら、背面板加工面900fに対して、Scn電極121の延設方向と直交する方向で、且つ、傾斜した方向から斜め蒸着するという簡易な製造方法により、放電セル内において、蛍光体層95の材料とは異なる2次電子放出係数γが大きい材料により、Scn電極121の延設方向に沿う隔壁94のScn電極側傾斜部94b1上の蛍光体層95の少なくとも一部に蛍光体皮膜96を形成し、凹部の底面の蛍光体層95表面および隔壁94のSus電極側傾斜部94b2上の蛍光体層95の表面には蛍光体皮膜96を形成しないので、完成したPDPの駆動において、初期化期間T1に弱放電が安定し初期化輝点の発生を抑え、かつ維持放電時の輝度の低下を抑制した、高輝度、高画質という優位性を有するパネルを、安定してかつ安価に製造することができる。
【0232】
(実施の形態12)
実施の形態12に係るPDP8の構成について、図24を用いて説明する。図24は、上記実施の形態9の変形例として、実施の形態12に係るPDP8の一部構成を示す断面図および平面概念図である。図20(c)と同じ構成のものは同じ参照番号を付与し、一部省略している。
【0233】
図24(a)に示すように、本実施の形態に係るPDP8が上記PDP7と相違するのは、蛍光体皮膜1096の形成領域である。具体的には、Scn電極121におけるバス電極121bの両側縁辺から背面基板1091の表面に向けて垂線を下ろすときに、蛍光体皮膜1096は、この蛍光体層1095上における2本の垂線で囲まれる領域Kに形成されている。
【0234】
図24(b)に示すように、Scn電極121のバス電極121bと背面パネルに形成される蛍光体層1095の表面とが平面的に重なる領域Kは、かなり緩やかな傾斜面になっている。このため、領域Kの面積はかなり広い。蛍光体皮膜1096を領域Kにおける蛍光体層1095の表面上に設けることにより、PDP8では、その駆動において、初期放電時でのScn電極121とDat電極1092との間で発生する放電に対して、蛍光体皮膜1096を強く寄与させることができ、放電開始電圧を安定して低下させ、弱放電を安定して発生させることができる。また、例え蛍光体皮膜1096がScn電極121やDat電極1092と平面的に重ならない領域に形成されるものであっても、斜め方向の電界で放電に寄与させることができる。
【0235】
また、蛍光体皮膜1096が、領域Kにおける蛍光体層95の表面上に限定して形成されるので、蛍光体皮膜1096による紫外放射の吸収が減少し、輝度を低下させることがない。
以上により、本実施の形態に係るPDP8では、領域Kにおける蛍光体層1095の表面領域にMgOを含む蛍光体皮膜1096が形成されることにより、放電空間30内の放電ガス中におけるXe分圧比率を上げても、PDP8の駆動での初期化期間T1において、Scn電極121とDat電極92との間において蛍光体層1095側がカソードとなる時の放電開始電圧を低下させ、弱放電の発生をさらに安定化させ易くすることが可能となる。
【0236】
従って、PDP8では、特に全圧に対するXe分圧比率を高い値に設定した場合において、初期化輝点の発生をさらに抑えることができるようになって、さらに高い画質を得ることができ、且つ、蛍光体皮膜1096が領域Kの蛍光体層1095の表面上に限定して形成されるので、蛍光体皮膜1096による紫外放射の吸収が上記PDP7に比べてさらに減少し、輝度をさらに低下させることがなく、特に高Xeの放電ガスを採用した場合において、放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率に応じて輝度を向上させることができる。
【0237】
なお、上記において、初期化輝点の発生を抑え、且つ、輝度の低下をさらに抑制するという本発明の効果は、放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率を上げて封入されたPDPにおいて特に顕著であるが、通常の5(%)〜6(%)のXe分圧比率を有するPDPに対しても有効である。放電ガス中の全圧に対するXe分圧比率が5(%)〜6(%)の範囲にある従来のPDPの場合のように、低輝度あるいは消費電力が高いかつ初期化期間T1における弱放電が不安定なPDPであっても、上記本実施の形態に係る構成を採用することによって、隔壁1094のScn電極側傾斜部(実施の形態9などを参照。)上の蛍光体層1095の表面に蛍光体皮膜1096を形成し、Sus電極側傾斜部(実施の形態9などを参照。)や凹部の底面(実施の形態9などを参照。)における蛍光体層1095の表面などには蛍光体皮膜1096を形成しないことにより、放電開始電圧は下がるので初期化期間T1での弱放電を安定化させ改善することができ、且つ、輝度の低下を抑制することができる。
【0238】
また、上記PDP8では、表示電極対12を、前面基板11の主面上において、透明電極要素121a、122aとバスライン121b、122bとの積層構造のものを採用したが、前面基板11の主面上にバスライン121b、122bを先に形成し、その上に透明電極要素121a、122aを形成することとしても構わない。
(実施の形態13)
実施の形態13に係るPDP9の構成について、図25を用いて説明する。図25は、PDP9の一部構成を示す断面図および平面概念図である。図20(c)および図24と同じ構成のものは同じ参照番号を付与し、一部省略している。
【0239】
図25(a)に示すように、本実施の形態に係るPDP9では、蛍光体皮膜1196が上記実施の形態12に係るPDP8と同様に、Scn電極121におけるバスライン121bの両側縁辺から背面基板1191の表面に向けて垂線を下ろすときに、この蛍光体層1195上における2本の垂線で囲まれる領域に形成されているのであるが、上記実施の形態12とは相違し、本実施の形態では、図25(b)に示すように、さらに、X−Y平面において、Scn電極121のバスライン121bとDat電極1192とが重畳する領域Eに限定して設定されている。
【0240】
このような構成を有する本実施の形態に係るPDP9では、上記実施の形態9および実施の形態12に係るPDP7、PDP8と同様の効果を有し、輝度の低下抑制という観点からより望ましいものである。
(その他の事項)
なお、上記各実施の形態9〜13では、隔壁94、1094、1194として、隣接放電セルとの境界周囲を仕切る隔壁を井桁形状のものを一例として適用したが、ミアンダ隔壁のように波形凸凹形状で隣接放電セルとの境界周囲を仕切る隔壁でもよく、Scn電極121の延設方向に沿う隔壁94、1094、1194の形状が波形凸凹形状となっていても同様に実施可能である。
【0241】
また、上記各実施の形態9〜13では、蛍光体皮膜96、1096、1196を形成する工程が、背面板加工面900fに対して、Scn電極121の延設方向と直交する方向から斜め蒸着することとしたが、Scn電極121の延設方向と略直交する方向としてよく、直交方向から約±30(°)の範囲の方向からでも構わない。
また、上記各実施の形態9〜13では、蛍光体皮膜96、1096、1196の構成材料としてMgOを採用することとしたが、この他にCaO、BaO、SrOおよびZnOの内の少なくとも一種を含んだ金属酸化物材料を使用しても構わない。また、これらには、他の材料や不純物材料が含まれていてもよい。これら材料は、蛍光体層95、1095、1195を構成する蛍光体材料とは異なる材料であり、2次電子放出係数γが蛍光体層95よりも大きく高い値を有する材料として、本発明の蛍光体皮膜96、1096、1196を形成する材料として有用である。
【0242】
また、高γ部の形成に用いる材料としては、上記実施の形態1〜13で用いたものを適用することができるのであるが、PDPにおける放電セル毎に高γ部の構成材料を買えることも可能である。例えば、R、G、Bの放電セル間では、使われている蛍光体材料などによって各々の蛍光体層の2次電子放出係数γに違いが生じるが、このような場合には、放電セルの蛍光体層に用いられる蛍光体材料種類に応じて高γ部の構成材料や被覆率などを変えるということも可能である。
【0243】
また、上記各実施の形態10、11では、電子ビーム蒸着法により電子銃577からの電子ビーム照射により斜め蒸着することとしたが、電子銃577の個数は複数個でもよくこれらを基板に平行に配列させ、同様に平行に配列させた複数個の材料ターゲット695に電子ビームをそれぞれ照射することによって、基板面により均一に蛍光体皮膜96、1096、1196を形成することになるので、高輝度高画質の大画面、高精細なPDPを製造することができる。
【0244】
また、上記各実施の形態10、11では、電子ビーム蒸着法により斜め蒸着するとして説明したが、この他にスパッタ法やイオンガン蒸着法などの方法を使用しても同様に実施可能である。
また、上記実施の形態10、11では、蛍光体皮膜96、1096、1196を形成する工程が、背面板加工面900fに対する傾斜角度θを略一定に維持したまま、前段背面パネル900を一定速度でX軸方向へ移動させながら斜め蒸着するとして説明したが、基板をY軸方向に往復させつつX軸方向へ移動させながら斜め蒸着しても同様に実施可能である。これにより、蛍光体皮膜96、1096、1196をより均一に蒸着させることができるので、より高画質、高精細のさらに均質な大画面PDPを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0245】
本発明は、高い発光効率と高い画質性能との両立が要求される、特に大型のテレビジョンや高精細なテレビジョン、あるいは大型表示装置等を実現するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0246】
【図1】 実施の形態1に係るPDP1の構成を示す要部斜視図(一部断面図)である。
【図2】 PDP1の背面パネル20を模式的に示す平面図および断面図である。
【図3】 PDP1の駆動に際し、各電極121、122、22に印加されるパルスの波形図である。
【図4】 実施の形態2に係るPDP2の構成を示す要部断面図である。
【図5】 PDP2における各電極121、122、42と蛍光体皮膜46の形成領域との位置関係を示す模式平面図である。
【図6】 実施の形態3に係るPDP3の構成を示す要部断面図である。
【図7】 実施の形態4に係るPDP4の構成を示す要部断面図である。
【図8】 PDP4における粒状体66の形成工程を示す模式装置図である。
【図9】 実施の形態5に係るPDP5の構成を示す要部断面図である。
【図10】 蛍光体皮膜の膜厚と紫外線透過率との関係を示す特性図である。
【図11】 実施の形態6に係るPDP6における1画素を構成する部分を切り出して描いた斜視図(一部断面図)である。
【図12】 (a)は、図11のD方向から1放電セルを見た拡大図であり、(b)は、図11での前面パネル10を取り除いて背面パネル80を図11のE方向から見た平面図である。
【図13】 実施の形態1に係る高γ部86の形成方法を説明するための概略図である。
【図14】 変形例1におけるPDPの放電セルの一部を切り欠いた平面図である。
【図15】 変形例1の高γ部1086の形成状態を示す模式図である。
【図16】 実施の形態7に係るPDP1006における1画素を構成する部分を切り出し、背面パネル1180の内部構成が分かるように前面パネル10の一部を切り欠いて描いた斜視図である。
【図17】 (a)は、図16のG−G断面図であり、(b)は、1放電セルをF方向に見た平面図である。
【図18】 実施の形態8に係る高γ部86の形成方法を説明するための概略図である。
【図19】 実施の形態9に係るPDP7の構成を示す要部斜視図である。
【図20】 PDP7の構成の内、1つの放電セルのみを抜き出して示す断面概念図である。
【図21】 PDP7の構成の内、1つの放電セルを平面的に示す平面概念図である。
【図22】 実施の形態10に係るPDPの製造方法の内、蛍光体皮膜96の形成に係る工程の一部を示す工程概念図である。
【図23】 実施の形態11に係るPDPの製造方法の内、蛍光体皮膜96の形成に係る工程の一部を示す工程概念図である。
【図24】 実施の形態12に係るPDP8の構成の内、1つの放電セルのみを抜き出して示す断面概念図である。
【図25】 実施の形態13に係るPDP9の構成の内、1つの放電セルのみを抜き出して示す断面概念図である。
【図26】 従来の面放電型AC型PDPの構成のを示す断面概念図である。
【符号の説明】
【0247】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、1006.PDP
10.前面パネル
11.前面基板
12.表示電極対
13.誘電体層
14.誘電体保護層
20、40、50、60、70、80、90、1080、1180、1190.背面パネル
21、41、51、61、71、81、91、1081、1181、1191.背面基板
22、42、52、62、72、82、92、1082、1182、1192.データ電極
23、43、53、63、73、83、93、1083、1183、1193.誘電体層
24、44、54、64、74、84、94、1084、1184、1194.隔壁
25、45、55、65、75、85、95、1085、1185、1195.蛍光体層
26、46、76、96、1196.蛍光体皮膜
56、66.粒状体
86、1086、1186.高γ部
121.スキャン電極
122.サスティン電極

Claims (3)

  1. 第1の基板と第2の基板とが間に空間をあけて対向配置され、前記第1の基板における前記空間側の領域に蛍光体層が形成されてなるプラズマディスプレイパネルであって、
    前記蛍光体層の表面における一部領域には、前記蛍光体層を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数が高い材料を構成要素として含む高ガンマ部が被覆形成されており、
    前記蛍光体層の表面における残りの領域と、前記高ガンマ部とは、ともに前記空間を臨み、
    前記第1の基板の表面上には、複数本の第1電極が形成され、当該第1電極を覆うように誘電体層および前記蛍光体層が形成されてなり、
    前記高ガンマ部は、前記第1電極の積層上方領域を含む範囲に形成されている
    プラズマディスプレイパネル。
  2. 第1の基板と第2の基板とが間に空間をあけて対向配置され、前記第1の基板における前記空間側の領域に蛍光体層が形成されてなるプラズマディスプレイパネルであって、
    前記蛍光体層の表面における一部領域には、前記蛍光体層を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数が高い材料を構成要素として含む高ガンマ部が被覆形成されており、
    前記蛍光体層の表面における残りの領域と、前記高ガンマ部とは、ともに前記空間を臨み、
    前記第1の基板の表面上には、複数本のデータ電極が形成され、
    前記第2の基板の表面上には、前記データ電極と交差する方向であって、互いに平行なスキャン電極およびサスティン電極で対をなす電極対が複数形成されており、
    前記スキャン電極の各側縁辺から前記第1の基板の表面に対して垂線を下ろすときに、
    前記高ガンマ部は、前記蛍光体層の表面の内、前記垂線によって囲まれる領域に存する部分を有する
    プラズマディスプレイパネル。
  3. 第1の基板と第2の基板とが間に空間をあけて対向配置され、前記第1の基板における前記空間側の領域に蛍光体層が形成されてなるプラズマディスプレイパネルであって、
    前記蛍光体層の表面における一部領域には、前記蛍光体層を構成する蛍光体材料よりも2次電子放出係数が高い材料を構成要素として含む高ガンマ部が被覆形成されており、
    前記蛍光体層の表面における残りの領域と、前記高ガンマ部とは、ともに前記空間を臨み、
    前記高ガンマ部は、前記蛍光体層の表面に対して、1%以上50%以下の被覆率を以って形成されている
    プラズマディスプレイパネル。
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