JP4878316B2 - ポリイミド積層フィルムおよびそれを用いたプリント基板 - Google Patents

ポリイミド積層フィルムおよびそれを用いたプリント基板 Download PDF

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Description

本発明は、ポリイミド積層フィルムおよびそれを用いたプリント基板に関する。
ポリイミド、特に縮合型のポリイミドは、電気絶縁材料として、C種(最高使用温度限界180〜200℃)以上の耐熱性を有すると共に、熱膨張係数が小さいので、例えば、プリント基板の基材などに広く用いられている。
近年、通信の高周波化やコンピューターシステムの高速度化が求められており、プリント基板の基材を構成するポリイミドの誘電率を低下させると、例えば、プリント基板上に組み込まれた回路の高周波特性を向上させることができることや、ポリイミド基材上に積層された配線層を流れる信号の遅延時間を短くすることができることから、ポリイミドの誘電率を低下させる方法の開発が望まれている。
ポリイミドの誘電率を低下させる方法としては、例えば、ポリイミドにシリカなどの無機微粒子を分散させることが提案されている。しかし、このような方法では、ポリイミドに無機微粒子をナノレベルで微分散させることが困難であるので、ポリイミドをフィルム状に成形した場合にフィルムの表面平滑性や透明性が損なわれるという問題がある。表面平滑性が損なわれると、ポリイミドフィルムをプリント基板の基材に用いた場合に、金属層を構成する銅箔に対する密着性が劣り、プリント基板の品質が低下することになる。
そこで、特許文献1には、側鎖に分極率が小さいt−ブチル基を有する2個のジフェニルエーテル構造が連結基で相互に連結された芳香族ジアミン化合物を用いることにより、誘電率が低下した特定構造のポリイミドが開示されている。しかし、このような方法では、特定構造の芳香族ジアミン化合物を用いる必要があるので、様々な構造を有するポリイミドに適用できるという汎用性に欠けると共に、芳香族ジアミン化合物の構造とポリイミドの比誘電率との間に相関関係が認められないので、ポリイミドの誘電率を所望の値に調節することができないという問題がある。
また、特許文献2には、高耐熱性の芳香族ポリイミド層を有する熱圧着性多層ポリイミドフィルムに低誘電率フッ素樹脂フィルムを積層させた高耐熱性の低誘電率ポリイミド基板が開示されている。しかし、このような方法では、両者のフィルムを有機フッ素化合物の存在下に減圧プラズマ放電処理した熱圧着性の芳香族ポリイミド層面を介して熱および圧力によりラミネートする必要があるので、製造工程が煩雑になると共に、ポリイミドフィルムに加えてフッ素樹脂フィルムを用いる必要があるので、製造コストが上昇するという問題がある。
さらに、特許文献3には、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させて溶液状態のポリアミド酸を得た後、このポリアミド酸を急速に加熱し、残存溶剤や発生する縮合水を揮発させることにより、均一に発泡したポリイミド発泡体が開示されている。しかし、このような方法では、ポリアミド酸をフィルム状に成形することが困難であると共に、発泡体であることから表面平滑性や透明性が損なわれ、また、気泡を有することから機械的強度が低下するという問題がある。
一般に、ポリイミドの分子内にフッ素原子を導入すると、誘電率が低下することが知られている。例えば、特許文献4および5には、フッ素化ポリイミドフィルムの表面に形成された金属層を有するポリイミド−金属複合フィルムが開示されている。また、特許文献6には、フッ素化ポリイミドフィルムを、基材、接着層および表面保護膜からなる群から選択される少なくとも1種に用いた多層配線基板が開示されている。しかし、このような方法では、ポリイミドの分子内に導入するフッ素原子の含有率が高くなるにつれて、このポリイミドからなるフィルムの引張弾性率および引張破壊ひずみが低下し、ひいては機械的強度が低下するという問題がある。それゆえ、誘電率が低く、かつ引張弾性率および引張破壊ひずみが高く、ひいては機械的強度が高いプリント基板用材料が求められている。
特開2001−323061号公報 特開2004−216830号公報 特開2004−342541号公報 特許第2866155号公報 特許第3001119号公報 特開2001−308542号公報
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、誘電率が低く、かつ引張弾性率および引張破壊ひずみが高く、ひいては機械的強度が高いポリイミド積層フィルムおよびそれを用いたプリント基板を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、引張弾性率および引張破壊ひずみが高い低フッ素含有率のポリイミドフィルムと誘電率が低い高フッ素含有率のポリイミドフィルムとを組み合わせることにより、誘電率が低く、かつ引張弾性率および引張破壊ひずみが高いポリイミド積層フィルムおよびそれを用いたプリント基板が得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、フッ素含有率が5質量%未満であるポリイミドフィルム(A)と、該ポリイミドフィルム(A)の少なくとも片面に形成された、フッ素含有率が5質量%以上であるポリイミドフィルム(B)とを有することを特徴とするポリイミド積層フィルムを提供する。
本発明のポリイミド積層フィルムにおいて、前記ポリイミドフィルム(A)は、好ましくは、分子内にフッ素原子を含まないポリイミドフィルムである。また、前記ポリイミドフィルム(B)は、好ましくは、フッ素化ポリイミドフィルムである。
また、本発明は、上記のようなポリイミド積層フィルムと、該ポリイミド積層フィルムにおけるポリイミドフィルム(B)の表面に形成された金属層とを有することを特徴とするプリント基板を提供する。
本発明は、引張弾性率および引張破壊ひずみが高い低フッ素含有率のポリイミドフィルムと誘電率が低い高フッ素含有率のポリイミドフィルムとを組み合わせるだけであるので、誘電率が低く、かつ引張弾性率および引張破壊ひずみが高く、ひいては機械的強度が高いポリイミド積層フィルムおよびそれを用いたプリント基板を簡便に提供することができる。
≪ポリイミド積層フィルム≫
本発明のポリイミド積層フィルムは、フッ素含有率が5質量%未満であるポリイミドフィルム(A)と、該ポリイミドフィルム(A)の少なくとも片面に形成された、フッ素含有率が5質量%以上であるポリイミドフィルム(B)とを有することを特徴とする。ここで、「フッ素含有率」とは、ポリイミドフィルムの全質量に対する、ポリイミドフィルムを構成する分子内に導入されたフッ素原子および/またはポリイミドフィルムに含有されるフッ素含有添加剤に含まれるフッ素原子の全質量の割合(質量%)を意味する。なお、フッ素含有率は、ポリイミドフィルムの元素分析により求めることができる。
ポリイミドフィルム(A)のフッ素含有率は、下限が0質量%であり、上限が5質量%(5質量%を含まず)、好ましくは3質量%、より好ましくは1質量%である。ポリイミドフィルム(A)のフッ素含有率が5質量%以上であると、得られたポリイミド積層フィルムの引張弾性率および引張破壊ひずみが低下し、機械的強度が低下することがある。また、ポリイミドフィルム(B)のフッ素含有率は、下限が5質量%、好ましくは10質量%、より好ましくは20質量%であり、上限が60質量%、好ましくは50質量%である。ポリイミドフィルム(B)のフッ素含有率が5質量%未満であると、得られたポリイミド積層フィルムの誘電率が高くなることがある。逆に、ポリイミドフィルム(B)のフッ素含有率が60質量%を超えると、得られたポリイミド積層フィルムの引張弾性率および引張破壊ひずみが低下し、ひいては機械的強度が低下することがある。
本発明のポリイミド積層フィルムは、引張弾性率および引張破壊ひずみが高い低フッ素含有率のポリイミドフィルム(A)と誘電率が低い高フッ素含有率のポリイミドフィルムとを組み合わせることにより、誘電率が低く、かつ引張弾性率および引張破壊ひずみが高く、ひいては機械的強度が高いポリイミド積層フィルムを実現するものである。
<ポリイミドフィルム(A)および(B)>
本発明のポリイミド積層フィルムは、ポリイミドフィルム(A)の少なくとも片面、すなわち片面または両面にポリイミドフィルム(B)が形成され、それぞれ少なくとも2層または3層構造を有する。ここで、ポリイミドフィルム(A)および(B)は、いずれも単一の層から構成されていても複数の層から構成されていてもよい。
ポリイミドフィルム(A)の厚さ(多層フィルムの場合は全体の厚さ)は、ポリイミド積層フィルムの用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、フレキシブル基板に用いる場合には、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜300μmである。ポリイミドフィルム(A)の厚さが5μm未満であると、フレキシブル基板の機械的強度が低下することがある。逆に、ポリイミドフィルム(A)の厚さが500μmを超えると、ポリイミドフィルム(B)の厚さによっては、フレキシブル基板の可撓性が低下することがある。また、例えば、リジッド基板に用いる場合には、好ましくは500μm〜3mm、より好ましくは1〜2mmである。ポリイミドフィルム(A)の厚さが500μm未満であると、リジッド基板の剛性が低下することがある。逆に、ポリイミドフィルム(A)の厚さが3mmを超えると、ポリイミドフィルム(B)の厚さによっては、リジッド基板の経済性が低下することがある。
ポリイミドフィルム(B)の厚さ(多層フィルムの場合は全体の厚さ)は、ポリイミド積層フィルムの用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、フレキシブル基板に用いる場合には、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。ポリイミドフィルム(B)の厚さが0.5μm未満であると、フレキシブル基板の誘電率の低下が充分でないことがある。逆に、ポリイミドフィルム(B)の厚さが50μmを超えると、ポリイミドフィルム(A)の厚さによっては、フレキシブル基板の可撓性が低下することがある。また、例えば、リジッド基板に用いる場合には、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。ポリイミドフィルム(B)の厚さが0.5μm未満であると、リジッド基板の誘電率の低下が充分でないことがある。逆に、ポリイミドフィルム(B)の厚さが50μmを超えると、ポリイミドフィルム(A)の厚さによっては、リジッド基板の経済性が低下することがある。
ポリイミドフィルム(A)および(B)は、いずれも上記したような所定の範囲内のフッ素含有率を有する限り、特に限定されるものではないが、好ましくは、下記式(1):
Figure 0004878316
[式中、Xは4価の有機基、Yは2価の有機基を表す]
で示される繰り返し単位を有するポリイミドから構成される。
ポリイミドフィルムは、原料となるポリアミド酸組成物の塗膜を加熱処理または減圧乾燥することにより得られる。ポリアミド酸としては、特に限定されるものではないが、具体的には、下記式(2):
Figure 0004878316
[式中、Xは4価の有機基、Yは2価の有機基を表す]
で示される繰り返し単位を有するポリアミド酸が好適である。
上記式(1)および(2)において、Xで表される4価の有機基としては、例えば、鎖状アルキル、環状アルキル、オレフィン、グリコールなどに由来する4価の脂肪族基;ベンゼン、ビフェニル、ビフェニルエーテル、ビスフェニルベンゼン、ビスフェノキシベンゼンなどに由来する4価の芳香族基;などが挙げられる。これらの4価の有機基のうち、4価の芳香族基が好適である。
4価の芳香族基のうち、好ましい具体例としては、例えば、下記式:
Figure 0004878316
で示される4価の有機基が挙げられる。
上記5種類の式において、RおよびRは、互いに独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。4価の有機基がRおよびRを有する場合、これらのRおよびRは同一であっても異なっていてもよく、また、それぞれ、各ベンゼン環において同一であっても異なっていてもよい。
また、上記5種類の式において、Zは、直接結合または下記式:
Figure 0004878316
で示される2価の基である。上記「Z」を示す式において、X’は水素原子、フッ素原子または塩素原子を表す。上記「Z」を示す式において、2個のベンゼン環または2個の置換メチル基にX’が存在する場合、X’は、同一であっても異なっていてもよく、また、それぞれ、各ベンゼン環または各置換メチル基において同一であっても異なっていてもよい。これらの2価の基のうち、直接結合または下記式:
Figure 0004878316
で示される2価の基が好適である。
上記式(1)および(2)において、Yで表される2価の有機基としては、例えば、鎖状アルキル、環状アルキル、オレフィン、グリコールなどに由来する2価の脂肪族基;ベンゼン、ビフェニル、ビフェニルエーテル、ビスフェニルベンゼン、ビスフェノキシベンゼンなど由来する2価の芳香族基;2個以上の該脂肪族基や該芳香族基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などの炭素原子以外の異種原子で結合した2価の有機基;などが挙げられる。これらの2価の有機基のうち、2価の芳香族基が好適である。
2価の芳香族基のうち、好ましい具体例としては、例えば、下記式:
Figure 0004878316
Figure 0004878316
で示される2価の有機基が挙げられる。これらの2価の有機基のうち、耐熱性、耐薬品性、撥水性、誘電特性、電気特性および光学特性を考慮すると、下記式:
Figure 0004878316
で示される2価の有機基が好適であり、下記式:
Figure 0004878316
で示される2価の有機基が特に好適である。
上記i)において、Y’は水素原子またはフッ素原子を表す。複数個のベンゼン環または2個の置換メチル基に複数個のY’が存在するが、Y’は、同一であっても異なっていてもよく、また、それぞれ、各ベンゼン環において同一であっても異なっていてもよい。また、上記ii)において、Gは、互いに独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、pは0〜4の整数、qは0〜4の整数、p+qは4である。
ポリイミドフィルム(A)および(B)が上記のような所定の範囲内のフッ素含有率を有するように調整するには、例えば、フィルムを構成するポリイミドの分子内に導入するフッ素原子の量を調整する方法、および/または、ポリイミドフィルムを作成する際に、原料となるポリアミド酸組成物にフッ素含有添加剤を添加する方法が採用される。
<ポリアミド酸>
上記したように、ポリイミドフィルムは、原料であるポリアミド酸組成物の塗膜を加熱処理または減圧乾燥することにより得られる。ポリアミド酸の製造方法については、以下に詳しく説明する。この説明から、ポリアミド酸の末端は、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸もしくはその誘導体の使用量(モル比)によって異なるが、アミン末端または酸もしくは誘導体末端のいずれかであると考えられる。
なお、ポリアミド酸は、同一の繰り返し単位からなるものであっても異なる繰り返し単位からなるものであってもよく、後者の場合には、その繰り返し単位はブロック状であってもランダム状であってもよい。
ポリアミド酸は、従来公知の技術またはその組合せによって製造することができ、その方法は、特に限定されるものではない。一般的には、有機溶媒中で、下記式(3)で示されるジアミン化合物(以下、単に「ジアミン化合物」ということがある。)を、下記式(4)で示されるテトラカルボン酸、その酸無水物もしくは酸塩化物、またはそのエステル化物(以下、単に「テトラカルボン酸類」ということがある。)などと反応させる方法が好ましく採用される。なお、下記式(3)における「X」は上記式(1)および(2)における定義と同様であり、下記式(4)における「Y」は上記式(1)および(2)における定義と同様である。
Figure 0004878316
Figure 0004878316
ジアミン化合物は、テトラカルボン酸類と反応して上記式(2)で示される繰り返し単位を有するポリアミド酸が製造できるような構造を有するものであれば、特に限定されるものではない。ジアミン化合物としては、例えば、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5−クロロ−1,3−ジアミノ−2,4,6−トリフルオロベンゼン、2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−ジアミノベンゼン、2,4,5,6−テトラフルオロ−1,3−ジアミノベンゼン、4,5,6−トリクロロ−1,3−ジアミノ−2―フルオロベンゼン、5−ブロモ−1,3−ジアミノ−2,4,6−トリフルオロベンゼン、2,4,5,6−テトラブロモ−1,3−ジアミノベンゼンなどが挙げられる。これらのジアミン化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのジアミン化合物のうち、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,4,5,6−テトラフルオロ−1,3−ジアミノベンゼン、5−クロロ−1,3−ジアミノ−2,4,6−トリフルオロベンゼンが好適である。
他方、テトラカルボン酸類は、特に限定されるものではなく、特開平11−147955号公報に記載の方法など、従来公知の技術またはその組合せによって製造することができる。テトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリト酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ヘキサクロロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ヘキサクロロ−3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)スルフィド、ビス(3,4−ジカルボキシトリクロロフェニル)スルフィド、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリクロロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラクロロベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリクロロフェノキシ)テトラクロロベンゼン、3,6−ジフルオロピロメリト酸、3,6−ジクロロピロメリト酸、3−クロロ−6−フルオロピロメリト酸、4,4’−[(2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)]ビス[3,5,6−トリフルオロフタル酸]、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのテトラカルボン酸;対応する酸二無水物;対応する酸塩化物;メチルエステル、エチルエステルなどの対応するエステル化物;などが挙げられる。これらのテトラカルボン酸類は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのテトラカルボン酸類のうち、ピロメリト酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラクロロベンゼン、4,4’−[(2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)]ビス[3,5,6−トリフルオロフタル酸]、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ならびに、これらの対応する酸二無水物および酸塩化物が好適である。
有機溶媒中で、所定のジアミン化合物を所定のテトラカルボン酸類と反応させる方法により、所望のポリアミド酸を調製することができる。
ジアミン化合物の使用量は、テトラカルボン酸類と効率よく反応できる量である限り、特に限定されるものではない。具体的には、ジアミン化合物の使用量は、化学量論的にはテトラカルボン酸類と等モルであるが、テトラカルボン酸類などの全モル数を1モルとした場合に、好ましくは0.8〜1.2モル、より好ましくは0.9〜1.1モルである。この際、ジアミン化合物の使用量が0.8モル未満であると、テトラカルボン酸類が多量に残存してしまい、精製工程が複雑になることがあり、また、重合度が大きくならないことがある。逆に、ジアミン化合物の使用量が1.2モルを超えると、ジアミン化合物が多量に残存してしまい、精製工程が複雑になることがあり、また、重合度が大きくならないことがある。
反応は、有機溶媒中で行うことができる。有機溶媒は、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸類との反応が効率よく進行でき、かつこれらの原料に対して不活性であれば、特に限定されるものではない。使用可能な有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの極性有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、有機溶媒の量は、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸類との反応が効率よく進行できる量であれば、特に限定されるものではないが、有機溶媒中のジアミン化合物の濃度が1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%となるような量であることが好ましい。
ジアミン化合物およびテトラカルボン酸類との反応条件は、これらの反応が充分進行できる条件であれば、特に限定されるものではない。例えば、反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜50℃である。また、反応時間は、通常、1〜192時間、好ましくは2〜144時間である。また、反応は、加圧下、常圧下または減圧下のいずれの圧力下で行ってもよいが、好ましくは常圧下で行われる。また、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸類との反応は、反応効率および重合度などを考慮すると、乾燥した不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。この際の反応雰囲気における相対湿度は、好ましくは10%RH以下、より好ましくは1%RH以下である。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが使用できる。
<フッ素含有アルコキシシラン>
ポリイミドフィルムを作成する際に、原料となるポリアミド酸組成物にフッ素含有添加剤を添加することにより、得られたポリイミドフィルムのフッ素含有率を調整することができる。また、フッ素含有添加剤は、ポリアミド酸組成物から得られるポリイミドフィルムの誘電率を低下させる作用を有する。フッ素含有添加剤としては、フッ素含有量が充分であり、ポリイミドフィルムの誘電率を低下させ、かつポリイミドと相溶するものである限り、特に限定されるものではないが、例えば、フッ素含有アルコキシシランが用いられる。
フッ素含有アルコキシシランとしては、ポリイミドフィルムの誘電率を低下させることができる限り、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(5):
Figure 0004878316
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rはフッ素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、Rで表される炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基は少なくとも1個のフッ素原子を含有する;nは1〜3の整数である]
で示されるアルコキシシラン化合物が挙げられる。
上記式(5)において、Rで表される炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基は、少なくとも1個のフッ素原子を含有するが、好ましくはフッ素化アルキル基を含有する。
上記式(5)において、Rで表される炭素数1〜4のアルキル基や、Rで表される炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜10のアリール基は、置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。
フッ素含有アルコキシシランの具体例としては、例えば、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(1H、1H、2H、2H−パーフルオロオクチル)トリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、(1H、1H、2H、2H−パーフルオロオクチル)トリエトキシシラン、(1H、1H、2H、2H−パーフルオロデシル)トリエトキシシラン、{3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル}トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシラン、(1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル)メチルジメトキシシランなどが挙げられる。これらのフッ素含有アルコキシシランは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのフッ素含有アルコキシシランのうち、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランが特に好適である。
フッ素含有アルコキシシランの添加量は、ポリアミド酸に対して、1〜90質量%、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜70質量%の範囲内である。フッ素含有アルコキシシランの添加量が1質量%未満であると、得られるポリイミドの誘電率を充分に低下させることができないことがある。逆に、フッ素含有アルコキシシランの添加量が90質量%を超えると、得られるポリイミドの外観が劣ることがある。
<窒素含有アルコキシシラン>
ポリイミドフィルムを作成する際に、原料となるポリアミド酸組成物に、フッ素含有アルコキシシランに加えて、窒素含有アルコキシシランを添加することが好ましい。この窒素含有アルコキシシランは、ポリアミド酸に対する親和性が良好であることから、ポリアミド酸組成物中にフッ素含有アルコキシシランを均一に分散させる作用を有する。フッ素含有アルコキシシランがポリアミド酸組成物中に均一に分散していれば、この組成物から得られるポリイミドフィルムの誘電率を全体にわたって均一に低下させることができる。
窒素含有アルコキシシランは、ポリアミド酸組成物中にフッ素含有アルコキシシランを均一に分散させることができる限り、特に限定されるものではないが、例えば、下記式(6):
Figure 0004878316
[式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、Rで表される炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基は少なくとも1個の窒素原子を含有する;mは1〜3の整数である]
で示されるアルコキシシラン化合物が挙げられる。
上記式(6)において、Rで表される炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜10のアリール基は、少なくとも1個の窒素原子を含有するが、好ましくはアミノ基を含有する。
上記式(6)において、Rで表される炭素数1〜4のアルキル基や、Rで表される炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜10のアリール基は、置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基およびハロゲン原子などが挙げられる。
窒素含有アルコキシシランの具体例としては、例えば、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−メチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(N−メチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、{3−(2−アミノエチル)アミノプロピル}トリメトキシシラン、{3−(フェニルアミノ)プロピル}トリメトキシシラン、(2−シアノエチル)トリメトキシシラン、(3−イソシアノプロピル)トリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2−シアノエチル)トリエトキシシラン、(3−シアノプロピル)トリエトキシシラン、(3−イソシアナトプロピル)トリエトキシシラン、{3−(2−アミノエチル)アミノプロピル}メチルジメトキシシラン、(3−アミノプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アミノプロピル)ジメチルエトキシシランなどが挙げられる。これらの窒素含有アルコキシシランは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの窒素含有アルコキシシランのうち、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシランが特に好適である。
窒素含有アルコキシシランの添加量は、ポリアミド酸に対して、好ましくは0.01〜80質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは1〜20質量%の範囲内である。窒素含有アルコキシシランの添加量が0.01質量%未満であると、ポリアミド酸組成物中にフッ素含有アルコキシシランを均一に分散させる効果が小さいことがある。逆に、窒素含有アルコキシシランの添加量が80質量%を超えると、得られるポリイミドの外観が劣ることがある。
<ポリアミド酸組成物の調製>
ポリアミド酸組成物は、有機溶媒に、ポリアミド酸と、必要に応じて添加されるフッ素含有アルコキシシランや窒素含有アルコキシシランとを適当な割合で混合し、充分に攪拌し、脱泡することにより、ワニスの形態として調製することができる。ポリアミド酸組成物の調製に使用する装置や条件としては、従来公知の装置や条件を採用すればよく、特に限定されるものではない。
有機溶媒としては、ポリアミド酸を調製する際に使用可能な有機溶媒として列挙した上記のような有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の使用量は、有機溶媒がポリアミド酸と必要に応じて添加されるフッ素含有アルコキシシランや窒素含有アルコキシシランとを溶解すると共に、得られたポリアミド酸組成物がフィルム状に成形するのに適したワニスの形態を取るように適宜調節すればよく、特に限定されるものではない。
<ポリイミドフィルムの作成>
ポリアミド酸組成物をフィルム状に成形した後、加熱処理または減圧乾燥を行って、該組成物中のポリアミド酸を閉環させることにより、ポリイミドフィルムが得られる。
ポリアミド酸組成物をフィルム状に成形する方法は、従来公知の方法の中から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、スピンコーティング法、キャスティング法、ロールコーティング法、スプレーコーティング法、バーコーティング法、ディップコーティング法などが挙げられる。
ポリアミド酸組成物をフィルム状に成形する際に使用する基板としては、無機材料、有機材料を問わず、従来公知の材料を使用することができるが、例えば、ポリイミドを加熱処理して焼成する場合には、加熱処理時の温度で熱変形を起こさないという観点から、シリコンなどの半導体基板;石英、パイレックス(登録商標)などのガラス基板;アルミニウム、銅などの金属基板;金属酸化物基板;ポリイミド、ポリエーテルケトンなどの樹脂基板;有機・無機ハイブリッド基板;などを使用することが好ましい。なお、ポリイミドフィルム(A)として、市販のポリイミドフィルムを用いれば、このポリイミドフィルム上にポリアミド酸組成物をフィルム状に成形して積層フィルムを得ることができる。
フィルム状に成形されたポリアミド酸組成物に加熱処理または減圧乾燥を行う方法や条件は、該組成物中のポリアミド酸が効率よく閉環して、ポリイミドフィルムを製造できる方法や条件を採用すればよく、特に限定されるものではない。具体的には、加熱処理は、通常、空気中、好ましくは、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中、好ましくは、70℃〜350℃程度の温度で、好ましくは、2〜5時間程度行われる。また、加熱処理は、連続的に行っても、あるいは段階的に行ってもよい。減圧乾燥は、通常、常温、冷却または加熱下、好ましくは、約1.33×10−1Pa(1×10−3Torr)〜約1.01×10Pa(760Torr)未満程度の減圧下で、好ましくは、2〜24時間程度行われる。また、減圧乾燥は、連続的に行っても、あるいは段階的に行ってもよい。
本発明のポリイミド積層フィルムを作成するには、まず、上記のような方法により、ポリイミドフィルム(A)を作成するか、あるいは、ポリイミドフィルム(A)として、市販のポリイミドフィルムを用意し、次いで、ポリイミドフィルム(A)の片面または両面に、上記のような方法により、ポリイミドフィルム(B)を形成すればよい。なお、市販のポリイミドフィルムとしては、東レ・デュポン社製のカプトン(登録商標)フィルムが好適に用いられる。
≪プリント基板≫
本発明のプリント基板は、上記のようなポリイミド積層フィルムと、該ポリイミド積層フィルムにおけるポリイミドフィルム(B)の表面上に形成された金属層とを有することを特徴とする。すなわち、本発明のポリイミド積層フィルムは、プリント基板の基材として用いることができる。
金属層としては、配線層として機能するので、電気伝導率が高い金属または合金から構成されている限り、特に限定されるものではないが、例えば、銅箔、無電解メッキによる銅メッキ層などが用いられる。金属層は、例えば、ポリイミド積層フィルムに接着剤で銅箔を貼り付けるか、あるいは、ポリイミド積層フィルムに無電解メッキにより銅メッキ層を形成すればよい。また、例えば、銅箔などの金属層上に、ポリアミド酸組成物を塗布して加熱することを繰り返して、ポリイミド積層フィルムを形成してもよい。
金属層は、例えば、銅メッキ層からなる単一層であってもよいし、例えば、ニッケルメッキ層上に銅メッキ層や金・銀メッキ層を形成したような2層またはそれ以上の層からなる複数層であってもよい。なお、金属層の厚さは、フレキシブル基板やリジッド基板などの種類に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
本発明のプリント基板は、ポリイミド積層フィルムの片面または両面に金属層が積層された単層プリント基板、あるいは、複数枚の単層プリント基板を、例えば、接着剤などを用いて、貼り合わせた複層プリント基板とすることができる。また、用いるポリイミド積層フィルムの厚さに応じて、折り曲げることができるフレキシブル基板、堅い板状のリジッド基板、あるいは、その両者を組み合わせたリジッドフレキシブル基板またはフレックスリジッド基板とすることができる。
本発明のプリント基板は、金属層を積層する基材が上記のようなポリイミド積層フィルムであること以外は、従来公知のプリント基板と同様である。それゆえ、本発明のプリント基板は、上記のようなポリイミド積層フィルムを基材として用いること以外は、従来公知のプリント基板と同様にして製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
まず、ポリイミドフィルムの誘電率および引張特性を測定する方法について説明する。
<誘電率の測定>
誘電率の測定は、ポリイミドフィルムの両面に、電極として、金を厚さ300μm、面積15mm×15mmになるように真空蒸着し、インピーダンスアナライザ(HP4294A8、HEWLETT PACKERD社製)を用いて、測定周波数1.18MHzで行った。
<引張特性の測定>
引張特性の測定は、JIS K7127およびJIS K7161に準拠した測定法により、ポリイミドフィルムを寸法10mm×60mmに切断し、引張試験機(オートグラフAG−1KN1、(株)島津製作所製)を用いて、引張速度2.5mm/min、チャック間距離50mm、温度24℃で行い、引張弾性率および引張破壊ひずみを求めた。引張弾性率は、引張試験を行い、弾性係数(ひずみの値を決定する定数で圧力と同じ)を測定した数値である。引張弾性率の値が大きいほど、堅い素材であり、機械的強度が高い。引張破壊ひずみは、引張試験を行い、破断した点を破断点と呼び、ひずみ(伸び)の変化量を元の長さに対する割合で表した数値である。引張破壊ひずみの値が大きいほど、破断しにくく、機械的強度が高い。
次に、ポリイミドフィルムを作成するための原料であるポリアミド酸組成物の調製について説明する。
≪合成例1≫
容量50mLの三ツ口フラスコに、2,4,5,6−テトラフルオロ−1,3−ジアミノベンゼン2.835g(15.7ミリモル)、下記式(7):
Figure 0004878316
で示される4,4’−[(2、3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)]ビス(3,5,6,−トリフルオロフタル酸無水物)9.165g(15.7ミリモル)およびN,N−ジメチルアセトアミド18gを仕込んだ。この混合液を、窒素雰囲気中、室温で6日間攪拌することにより、ポリアミド酸組成物を得た。
≪合成例2≫
容量50mLの三ツ口フラスコに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル2.129g(6.6ミリモル)、4,4’−[(2、3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)]ビス(3,5,6,−トリフルオロフタル酸無水物)3.871g(6.6ミリモル)およびN,N−ジメチルアセトアミド24gを仕込んだ。この混合液を、窒素雰囲気中、室温で2日間攪拌することにより、ポリアミド酸組成物を得た。
≪合成例3≫
容量50mLの三ツ口フラスコに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル1.597g(5.0ミリモル)、4,4’−[(2、3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン)ビス(オキシ)]ビス(3,5,6,−トリフルオロフタル酸無水物)2.903g(5.0ミリモル)およびN,N−ジメチルアセトアミド25.5gを仕込んだ。この混合液を、窒素雰囲気中、室温で2日間攪拌することにより、ポリアミド酸組成物を得た。
次に、ポリイミド積層フィルムを実際に作成した実施例について説明する。なお、実施例で用いた市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名:カプトン(登録商標))は、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物との重合により得られるポリイミドフィルムである。
≪実施例1≫
合成例1で得られたポリアミド酸組成物を、市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名:カプトン(登録商標);厚さ13μm)の片面に滴下し、スピンコーティング法で製膜し、この塗膜を窒素雰囲気中、70℃で30分間加熱した。得られたフィルムの逆の面にも同様に、合成例1で得られたポリアミド酸組成物を滴下し、スピンコーティング法で製膜し、この塗膜を窒素雰囲気中、70℃で30分間、320℃で1時間加熱して、フッ素含有率が0質量%であるポリイミドフィルム(A)の両面に形成された、フッ素含有率が36.6質量%であるフッ素化ポリイミドフィルム(B)を有するポリイミド積層フィルムを得た。フッ素化ポリイミドフィルム(B)の厚さは6μmであった。得られたポリイミド積層フィルムの誘電率、引張弾性率および引張破壊ひずみを測定したところ、それぞれ2.96、327kg/mmおよび19.9%であった。結果を表1に示す。
≪実施例2≫
合成例1で得られたポリアミド酸組成物を、市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名:カプトン(登録商標);厚さ21μm)の片面に滴下し、スピンコーティング法で製膜し、この塗膜を窒素雰囲気中、70℃で30分間加熱した。得られたフィルムの逆の面にも同様に、合成例1で得られたポリアミド酸組成物を滴下し、スピンコーティング法で製膜し、この塗膜を窒素雰囲気中、70℃で30分間、320℃で1時間加熱して、フッ素含有率が0質量%であるポリイミドフィルム(A)の両面に形成された、フッ素含有率が35.1質量%であるフッ素化ポリイミドフィルム(B)を有するポリイミド積層フィルムを得た。フッ素化ポリイミドフィルム(B)の厚さは7.5μmであった。得られたポリイミド積層フィルムの誘電率、引張弾性率および引張破壊ひずみを測定したところ、それぞれ2.89、356kg/mmおよび20.8%であった。結果を表1に示す。
≪実施例3≫
合成例3で得られたポリアミド酸組成物を、市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名:カプトン(登録商標);厚さ21μm)の片面に滴下し、スピンコーティング法で製膜し、この塗膜を窒素雰囲気中、70℃で30分間加熱した。得られたフィルムの逆の面にも同様に、合成例3で得られたポリアミド酸組成物を滴下し、スピンコーティング法で製膜し、この塗膜を窒素雰囲気中、70℃で30分間、320℃で1時間加熱して、フッ素含有率が0質量%であるポリイミドフィルム(A)の両面に形成された、フッ素含有率が35.1質量%であるフッ素化ポリイミドフィルム(B)を有するポリイミド積層フィルムを得た。フッ素化ポリイミドフィルム(B)の厚さは4.5μmであった。得られたポリイミド積層フィルムの誘電率、引張弾性率および引張破壊ひずみを測定したところ、それぞれ2.99、381kg/mmおよび19.9%であった。結果を表1に示す。
次に、参考例として、フッ素化ポリイミド単層フィルム、実施例1〜3で用いた市販のポリイミドフィルムについて説明する。
≪参考例1≫
合成例1で得られたポリアミド酸組成物を、直径4インチ(約10.16cm)のシリコン基板上に、スピンコーティングし、窒素雰囲気中、70℃で2時間、320℃で1時間加熱した後、シリコン基板から剥離して、フッ素含有率が36.6質量%であるフッ素化ポリイミド単層フィルム(厚さ52μm)を得た。得られたフッ素化ポリイミド単層フィルムの誘電率、引張弾性率および引張破壊ひずみを測定したところ、それぞれ2.76、211kg/mmおよび8.1%であった。結果を表1に示す。
≪参考例2≫
合成例2で得られたポリアミド酸組成物を、直径4インチ(約10.16cm)のシリコン基板上に、スピンコーティングし、窒素雰囲気中、70℃で2時間、320℃で1時間加熱した後、シリコン基板から剥離して、フッ素含有率が35.1質量%であるフッ素化ポリイミド単層フィルム(厚さ24μm)を得た。得られたフッ素化ポリイミド単層フィルムの誘電率、引張弾性率および引張破壊ひずみを測定したところ、それぞれ2.77、226kg/mmおよび2.9%であった。結果を表1に示す。
≪参考例3≫
実施例1で用いた市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名:カプトン(登録商標);厚さ13μm)の誘電率、引張弾性率および引張破壊ひずみを測定したところ、それぞれ3.12、427kg/mmおよび22.1%であった。結果を表1に示す。
≪参考例4≫
実施例2および3で用いた市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名:カプトン(登録商標);厚さ21μm)の誘電率、引張弾性率および引張破壊ひずみを測定したところ、それぞれ3.13、422kg/mmおよび24.1%であった。結果を表1に示す。
Figure 0004878316
表1から明らかなように、実施例1〜3のポリイミド積層フィルムは、フッ素含有率が5質量%未満であるポリイミドフィルム(A)の両面にフッ素含有率が5質量%以上のポリイミドフィルム(B)が形成されているので、誘電率が低く、かつ引張弾性率および引張破壊ひずみが高く、ひいては機械的強度が高い。
これに対し、参考例1および参考例2のフッ素化ポリイミドフィルムは、誘電率が低い反面、引張弾性率および引張破壊ひずみが低く、ひいては機械的強度が低い。また、参考例3および4の市販のカプトンフィルムは、引張弾性率および引張破壊ひずみが高く、ひいては機械的強度が高い反面、誘電率が高い。
かくして、引張弾性率および引張破壊ひずみが高い低フッ素含有率のポリイミドフィルム(A)と誘電率が低い高フッ素含有率のポリイミドフィルム(B)とを組み合わせることにより、誘電率が低く、かつ引張弾性率および引張破壊ひずみが高く、ひいては機械的強度が高いポリイミド積層フィルムが得られることがわかる。
本発明のポリイミド積層フィルムは、誘電率が低く、かつ引張弾性率および引張破壊ひずみが高く、ひいては機械的強度が高いので、例えば、プリント基板の基材に用いれば、ポリイミド積層フィルム上に形成された配線層を流れる信号の遅延時間を短くすることができる。本発明のプリント基板は、このように信号の伝搬速度が大きいので、通信の高周波化やコンピューターシステムの高速度化に対応することができると共に、各種のエレクトロニクス機器において、その性能を飛躍的に向上させることができる。それゆえ、本発明は、通信やコンピューターハードウェア、各種のエレクトロニクス機器の分野において多大の貢献をなすものである。

Claims (4)

  1. フッ素含有率が5質量%未満であるポリイミドフィルム(A)と、該ポリイミドフィルム(A)の両面に形成された、フッ素含有率が20質量%以上であるポリイミドフィルム(B)とを有することを特徴とするポリイミド積層フィルム。
  2. 前記ポリイミドフィルム(A)が分子内にフッ素原子を含まないポリイミドフィルムである請求項1記載のポリイミド積層フィルム。
  3. 前記ポリイミドフィルム(B)がフッ素化ポリイミドフィルムである請求項1または2項記載のポリイミド積層フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリイミド積層フィルムと、該ポリイミド積層フィルムにおけるポリイミドフィルム(B)の表面に形成された金属層とを有することを特徴とするプリント基板。
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