JP4877694B2 - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビルドアップ多層プリント配線板は、例えば、特開平4−55555号公報等に開示された方法により製造されている。
すなわち、まず、銅箔が貼り付けられた銅張積層板に貫通孔を形成し、続いて無電解銅めっき処理を施すことによりスルーホールを形成する。続いて、基板の表面を導体パターン状にエッチング処理して導体回路を形成し、この導体回路の表面に、エッチング等により粗化面を形成する。そして、この粗化面を有する導体回路上に樹脂絶縁層を形成した後、露光、現像処理を行ってバイアホール用開口を形成し、その後、UV硬化、本硬化を経て層間樹脂絶縁層を形成する。
【0003】
さらに、層間樹脂絶縁層に酸や酸化剤などにより粗化処理を施した後、薄い無電解めっき層を形成し、この無電解めっき層上にめっきレジストを形成し、電気めっきにより厚付けを行い、めっきレジスト剥離後、めっきレジスト下に存在している薄い無電解めっき層をエッチング液により除去することにより独立した導体回路を形成し、さらに、第二銅錯体と有機酸塩等により導体回路表面に粗化面を形成する。
この工程を繰り返した後、最後に導体回路を保護するためのソルダーレジスト層を形成し、ICチップ等との接続のために開口を形成し、露出した導体回路にめっき等を施し、半田ペーストを印刷して半田バンプを形成することにより、ビルドアップ多層プリント配線板の製造を完了する。
【0004】
しかしながら、このような方法によりビルドアップ多層プリント配線板を製造する場合、めっきレジスト下に存在している薄い無電解めっき層をエッチング液により除去すると、厚付けした電気めっき層の一部も除去されてしまうため、電気めっき層が薄くなってしまうという問題があった。
また、粗化面を形成するためにエッチングを行うと、導体回路の側面がエッチングされすぎ、その形状がアンダーカット形状になったり、該アンダーカット部分の粗化面の凹凸が小さい場合があった。
そのため、導体回路上に層間樹脂絶縁層を形成した場合に、アンダーカット部分に樹脂が充填されなかったり、アンダーカット部分と樹脂との密着性が低かったりし、層間樹脂絶縁層にクラックが発生したり、層間樹脂絶縁層と導体回路との剥離が発生するという問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、このような問題を回避するために、電気めっきによる厚付けを行う際に、電気めっき層を厚く、幅広く形成する方法もある。しかしながら、この場合以下のような問題が生じる。
即ち、電気めっき層を厚く形成する場合には、図17に示すように、樹脂絶縁層22上に薄膜導体層24を形成し(図17(a)参照)、次に、薄膜導体層24上にめっきレジスト23を形成した後(図17(b)参照)、電気めっき層25をめっきレジスト23の厚さよりも厚くなるように形成する(図17(c)参照)。その結果、電気めっき層25がめっきレジスト23の上部にまで形成され、めっきレジスト23を剥離した際に、めっきレジスト23を全部剥離させることができず、電気めっき層25側面の一部にめっきレジスト残留物23aが存在してしまう(図17(d)参照)。
【0006】
そのため、めっきレジスト23の下に存在していた薄膜導体層を除去し(図17(e)参照)、さらに、電気めっき層23表面および薄膜導体層24側面に粗化面を形成しようとした場合に、めっきレジスト残留物23aが存在し、粗化面が形成されない部分が発生してしまう(図17(f)参照)。
このように、粗化面の形成されない部分が存在すると、この部分では、導体回路と樹脂絶縁層との密着性が不充分となり、層間樹脂絶縁層と導体回路との剥離の原因となってしまう。
【0007】
また、電気めっき層25をめっきレジスト23の厚さよりも厚く形成する場合には、電気めっき層25の上面が平坦ならず、そのため、独立した導体回路とした際に、厚さが不均一になるという問題もある。
このように、導体回路の厚さが不均一であると、得られる多層プリント配線板が電気特性に劣るものとなってしまう。
【0008】
また、電気めっき層を幅広く形成する場合には、その分だけ、導体回路間が狭くなってしまうため、めっきレジストを剥離した後、該めっきレジスト下に存在する薄膜導体層を除去しようとした際に、エッチング液が導体回路間に充分に入りこめないことがある。このような場合には、薄膜導体層の一部に除去されない部分が生じ、導体回路間の短絡の原因となってしまう。
【0009】
また、電気めっき層を形成する際に、厚付けを行ってもめっきレジスト上部に電気めっき層が形成されないように、めっきレジストの厚さを厚く形成すると、めっきレジストが厚くなるため、めっきレジスト非形成部の深さが深くなり、その結果、めっきレジスト非形成部の一部に電気めっき層を形成することができない部分が発生する。
【0010】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、厚さが均一でアンダーカット等がなく、表面全体に粗化面が形成された導体回路を有し、その結果、層間樹脂絶縁層にクラックが発生したり、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生したりすることがない多層プリント配線板の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、めっきレジストを剥離する前に第一のエッチング処理を行うことにより、めっきレジスト上の電気めっき層を除去するとともに、電気めっき層をめっきレジストの厚さとほぼ同じ厚さとし、続いて、上記めっきレジストを剥離した後に第二のエッチング処理を行うとともに粗化面形成処理を行うことにより、厚さが均一でアンダーカットがなく、表面全体に粗化面を有する導体回路が形成された多層プリント配線板を製造できることを見いだし、以下に示す内容を要旨構成とする発明に到達した。
【0012】
即ち、本発明の多層プリント配線板の製造方法は、基板上に導体回路と樹脂絶縁層とが順次形成され、これらの導体回路がバイアホールを介して接続されてなる多層プリント配線板の製造方法であって、下記(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする。
(1)上記基板上および/または上記樹脂絶縁層上に薄膜導体層を形成する工程、
(2)上記薄膜導体層上の一部にドライフィルムを用いてめっきレジストを形成した後、上記めっきレジスト非形成部に上記めっきレジストの厚さよりも厚い電気めっき層を形成する工程、
(3)第一のエッチング液を用いて上記電気めっき層をエッチングする工程、および、
(4)上記めっきレジストを剥離した後、第二のエッチング液を用い、上記めっきレジストの下に存在する薄膜導体層を除去するとともに上記電気めっき層表面および上記薄膜導体層側面に粗化面を形成する工程。
【0013】
本発明の製造方法において、上記第一のエッチング液は、塩化第二銅、塩化第二鉄、過硫酸塩、過酸化水素/硫酸、アルカリエッチャントからなる群より選択される少なくとも一種を含む溶液であることが望ましい。
【0014】
また、上記第一のエッチング液は、第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液、または、過酸化水素と硫酸とを含む混合溶液であることが望ましい。
【0015】
上記製造方法において、上記第二のエッチング液は、第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液、または、過酸化水素と硫酸とを含む混合溶液であることが望ましい。
【0016】
また、上記製造方法において、上記第一のエッチング液および上記第二のエッチング液は、第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液または過酸化水素と硫酸とを含む混合溶液であり、かつ、上記第一のエッチング液および上記第二のエッチング液は、同一であることが望ましい。
【0017】
また、上記製造方法において、上記(3)の工程では、第一のエッチング液を用いて上記電気めっき層のエッチングを行った後、バフ研磨を行うことが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、基板上に導体回路と樹脂絶縁層とが順次形成され、これらの導体回路がバイアホールを介して接続されてなる多層プリント配線板の製造方法であって、
下記(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする。
(1)上記基板上および/または上記樹脂絶縁層上に薄膜導体層を形成する工程、
(2)上記薄膜導体層上の一部にドライフィルムを用いてめっきレジストを形成した後、上記めっきレジスト非形成部に上記めっきレジストの厚さよりも厚い電気めっき層を形成する工程、
(3)第一のエッチング液を用いて上記電気めっき層をエッチングする工程、および、
(4)上記めっきレジストを剥離した後、第二のエッチング液を用い、上記めっきレジストの下に存在する薄膜導体層を除去するとともに上記電気めっき層表面および上記薄膜導体層側面に粗化面を形成する工程。
【0019】
上記多層プリント配線板の製造方法によれば、めっきレジストを剥離する前に第一のエッチング処理を行うため、めっきレジストの厚さより厚く形成された電気めっき層や、めっきレジストの上部に形成された電気めっき層が除去され、その厚さが均一となる。その結果、この工程の後に、めっきレジストの剥離処理を行うと、めっきレジストは完全に剥離され、めっきレジスト残留物が導体回路の側面に存在することはない。本発明では、上記めっきレジストを剥離した後に第二のエッチング処理を行うとともに粗化面形成処理を行うため、厚さが均一でアンダーカットがなく、表面に粗化面を有する導体回路が形成された多層プリント配線板を製造することができ、このような製造方法で製造された多層プリント配線板では、上記した特性を有する導体回路が形成されているため、樹脂絶縁層が導体回路に密着し、バイアホールも下の導体回路に密着する。その結果、接続性、信頼性に優れた多層プリント配線板となる。
【0020】
図1は、本発明の製造方法において、樹脂絶縁層上に導体回路を形成する工程の一例を示す断面図である。
本発明の製造方法では、図1に示すように、まず、樹脂絶縁層22上に薄膜導体層24を形成する(図1(a)参照)。上記樹脂絶縁層とは、例えば、層間樹脂絶縁層のことをいう。
【0021】
薄膜導体層24の材質としては、例えば、スズ、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、タリウム、鉛等が挙げられる。
これらのなかでは、電気特性、経済性等を考慮すると銅が望ましい。
薄膜導体層24を形成する方法としては、例えば、スパッタリング、無電解めっき、蒸着等が挙げられる。薄膜導体層24の厚さは、0.3〜2.0μmが望ましい。上記厚さが0.3μm未満では、樹脂絶縁層表面に粗化面が形成されている場合、該粗化面の形状に薄膜導体層が追従することができない場合があり、2.0μmを超えると、後述する工程で薄膜導体層を除去する際に、薄膜導体層を完全に除去することができず、短絡の原因となる場合があるからである。
なお、上記樹脂絶縁層の材料については後述する。
【0022】
次に、薄膜導体層24上の一部にドライフィルムを用いてめっきレジスト23を形成する(図1(b)参照)。
めっきレジスト23を形成する方法としては、例えば、感光性ドライフィルムを薄膜導体層24上に貼り付けた後、露光、現像処理を施してめっきレジスト非形成部を除去する方法等が挙げられる。
上記ドライフィルムとしては特に限定されず、例えば、市販の感光性ドライフィルム等が挙げられる。
めっきレジスト23の厚さとしては特に限定されず、形成する導体回路の厚さ等を考慮して適宜選択すればよいが、通常、15〜30μmが望ましい。
【0023】
次に、薄膜導体層24上のめっきレジスト23非形成部に電気めっき層25を形成する。電気めっき層25は図1(c)に示すように、メッキレジスト23の厚さよりも厚く形成する。これは、電気めっき層25を厚く形成しておくことにより、後述するエッチング処理を施して粗化面を有する導体回路を形成する際に、該導体回路が薄くなりすぎず、所望の形状の導体回路を形成することができるからである。このとき、電気めっき層25はめっきレジスト23の上部にまで形成してもよい。
【0024】
続いて、第一のエッチング液を用いて電気めっき層25表層部を除去する(図1(d)参照)。この場合、電気めっき層25の側面はめっきレジスト23と接触しているため第一のエッチング液により除去されることがなく、電気めっき層25の表層部だけが第一のエッチング液により除去されることとなる。そのため、この工程を行うことにより、めっきレジスト23の上部に形成された電気めっき層25が除去されるとともに、電気めっき層25の上面が平坦化され、厚さの均一な電気めっき層25を形成することができる。
【0025】
上記第一のエッチング液を用いて電気めっき層25の表層部を除去した後、電気めっき層25上面のバフ研磨を行なってもよい。
特に、上記第一のエッチング液を用いて電気めっき層25の表層部を除去した際に、あまり長時間エッチングを行わなかった場合や低濃度のエッチング液を用いてエッチングを行なった場合に、バフ研磨を行なってもよい。
【0026】
これは、厚く形成した電気めっき層が、エッチングにより薄くなることを避けるために、エッチングの条件を穏やかにした場合に、めっきレジスト23の上部に電気めっき層が僅かに残留する場合があり、この場合に、めっきレジスト23の上部に残留した電気めっき層をバフ研磨を用いて除去することにより、後の工程でめっきレジスト23を確実に除去することができるからである。
【0027】
上記第一のエッチング液としては、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄、過硫酸塩、過酸化水素/硫酸、アルカリエッチャント等が挙げられる。これらの第一のエッチング液は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
このようなエッチング液を用いて、第一のエッチング処理を行う場合は、比較的薄い濃度のエッチング液を用いて短時間でエッチング処理を行うことにより、電気めっき層の厚さを確保する。そして、エッチング処理終了後にバフ研磨を行うことにより電気めっき層の上面をある程度平坦化するとともに、めっきレジストの上部に、電気めっき層の残留物が存在する場合には、これを除去してもよい。上記エッチング液を用いて第一のエッチング処理を行う際の具体的な条件は、電気めっき層の厚さや電気めっき層を構成する金属の種類等を考慮して適宜選択すればよい。
【0028】
また、上記第一のエッチング液としては、例えば、第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液や、過酸化水素と硫酸とを含む混合溶液等を用いてもよい。
上記第一のエッチング液として、第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液や、過酸化水素と硫酸とを含む混合溶液を用いた場合には、図1(d)に示すように、電気めっき層25表層部を除去するとともに、導体回路の上面に粗化面25aを形成することができる。そのため、後述する工程を経て、独立した導体回路を形成した際に、該導体回路は充分な粗さの粗化面を有することとなる。
【0029】
上記第二銅錯体としては特に限定されないが、アゾール類の第二銅錯体が望ましい。この種の第二銅錯体は、金属銅等を酸化する酸化剤として作用する。
上記アゾール類としては、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾールが望ましい。なかでも、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール等が望ましい。上記第二銅錯体の添加量は、1〜15重量%が望ましい。上記範囲の添加量では、第二銅錯体の溶解性および安定性に優れるからである。
【0030】
上記有機酸は、酸化銅を溶解させるために、上記第二銅錯体とともに配合する。アゾール類の第二銅錯体を用いる場合には、有機酸は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉相酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、スルファミン酸からなる群より選択される少なくとも一種が望ましい。また、有機酸の含有量は、0.1〜30重量%が好ましい。酸化された銅の溶解性を維持し、かつ、溶解安定性を確保するためである。
【0031】
上記第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液には、銅の溶解やアゾール類の酸化作用を補助するために、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等のハロゲンイオンを加えてもよい。上記ハロゲンイオンは、塩酸、塩化ナトリウム等として供給することかできる。ハロゲンイオンの添加量は、0.01〜20重量%が望ましい。層間樹脂絶縁層との密着性に優れた粗化面を形成することができるからである。
【0032】
上記第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液は、上記第二銅錯体と有機酸と必要に応じてハロゲンイオンとを、水に溶解することにより調製することができる。また、市販のメック社製、商品名「メックエッチボンド」を用いることができる。
また、上記第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液や上記過酸化水素と硫酸とを含む混合溶液は、添加剤や安定剤を含んでいてもよい。
【0033】
次に、めっきレジスト23を剥離し(図1(e)参照)、その後、第二のエッチング液を用い、めっきレジスト23の下に存在する薄膜導体層24を除去するとともに電気めっき層25表面および薄膜導体層24側面に粗化面25aおよび粗化面24aを形成する(図1(f)参照)。
【0034】
上記第二のエッチング液としては、例えば、第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液、過酸化水素と硫酸とを含む混合溶液等が挙げられる。
上記第二のエッチング液として、どのエッチング液を使用するかは、第一のエッチング液を考慮して選択するのが望ましく、具体的には、第一のエッチンク液および第二のエッチング液として、同一のエッチング液を用いることが望ましい。
【0035】
このような工程を経ることにより、樹脂絶縁層上に表面に粗化面を有する導体回路を形成することができる。
なお、図1を参照しながら、樹脂絶縁層上に導体回路を形成する方法について説明したが、基板上に導体回路を形成する場合にも同様の方法を用いることができる。
【0036】
次に、本発明のプリント配線板の製造方法について、工程順に説明する。
(1) 本発明のプリント配線板の製造方法においては、まず、絶縁性基板の表面に導体回路が形成された基板を作製する。
【0037】
上記絶縁性基板としては、樹脂基板が望ましく、具体的には、例えば、ガラスエポキシ基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、熱硬化性ポリフェニレンエーテル基板、フッ素樹脂基板、セラミック基板、銅張積層板、RCC基板などが挙げられる。
このとき、この絶縁性基板に貫通孔を設けてもよい。この場合、貫通孔は直径100〜300μmのドリル、レーザ光等を用いて形成することが望ましい。
【0038】
(2) 次に、上述したような方法を用いて、上記基板上に導体回路を形成する。即ち、無電解めっき等により基板上に薄膜導体層を形成し、さらに、該薄膜導体層上の一部にめっきレジストを形成した後、めっきレジスト非形成部に、電気めっき層を形成する。続いて、上記第一のエッチング液を用いて上記電気めっき層表層部を除去し、さらに、上記めっきレジストを剥離した後、上記第二のエッチング液を用いて該めっきレジスト下に存在する薄膜導体層を除去するとともに、上記電気めっき層表面および上記薄膜導体層側面に粗化面を形成する。
【0039】
上記無電解めっきとしては銅めっきが望ましい。
また、このとき形成される粗化面の平均粗度Rzは、0.1〜5μmが望ましい。さらに、導体回路と層間樹脂絶縁層との密着性、金属層のエッチングされやすさ等を考慮すると2〜4μmがより望ましい。
また、絶縁性基板に貫通孔を設けた場合には、薄膜導体層を形成する際に、該貫通孔の壁面にも同時に無電解めっきを施してスルーホールを形成することにより、基板の両面の導体回路間を電気的に接続してもよい。
【0040】
また、上記したような方法に代えて、以下のような方法を用いて基板上に導体回路を形成してもよい。
即ち、銅張基板を用いるか、基板上に無電解めっきを施してベタの導体層を形成した後、基板上に導体回路形状のエッチングレジストを形成し、エッチングを行うことにより導体回路を形成してもよい。
【0041】
さらに、この無電解めっきの後、通常、無電解めっき層表面とスルーホールを形成した場合にはスルーホール内壁との粗化形成処理を行う。粗化形成処理方法としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理等が挙げられる。
【0042】
上記黒化(酸化)−還元処理の具体的な方法としては、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行う方法等が挙げられる。
【0043】
(3) 次に、この導体回路が形成された基板上に層間樹脂絶縁層を形成する。
上記層間樹脂絶縁層の材料としては、粗化面形成用樹脂組成物、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
上記層間樹脂絶縁層は、未硬化の樹脂を塗布して成形してもよく、また、未硬化の樹脂フィルムを熱圧着して形成してもよい。さらに、未硬化の樹脂フィルムの片面に銅箔等の金属層が形成された樹脂フィルムを貼付してもよい。
【0044】
上記粗化面形成用樹脂組成物としては、例えば、酸または酸化剤に可溶性の粒子(以下、可溶性粒子という)が酸または酸化剤に難溶性の樹脂(以下、難溶性樹脂という)中に分散したものが挙げられる。
なお、上記「難溶性」および「可溶性」という語は、同一の粗化液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」といい、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0045】
上記可溶性粒子としては、例えば、酸または酸化剤に可溶性の樹脂粒子(以下、可溶性樹脂粒子)、酸または酸化剤に可溶性の無機粒子(以下、可溶性無機粒子)、酸または酸化剤に可溶性の金属粒子(以下、可溶性金属粒子)等が挙げられる。これらの可溶性粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0046】
上記可溶性粒子の形状(粒径等)としては特に限定されないが、(a)平均粒径が10μm以下の可溶性粒子、(b)平均粒径が2μm以下の可溶性粒子を凝集させた凝集粒子、(c)平均粒径が2〜10μmの可溶性粒子と平均粒径が2μm以下の可溶性粒子との混合物、(d)平均粒径が2〜10μmの可溶性粒子の表面に平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末または無機粉末のいずれか少なくとも1種を付着させてなる疑似粒子、(e)平均粒径が0.1〜0.8μmの可溶性粒子と平均粒径が0.8μmを超え、2μm未満の可溶性粒子との混合物、(f)平均粒径が0.1〜1.0μmの可溶性粒子を用いることが望ましい。これらは、より複雑なアンカーを形成することができるからである。
【0047】
上記可溶性樹脂粒子としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸あるいは酸化剤からなる溶液に浸漬した場合に、上記難溶性樹脂よりも溶解速度が速いものであれば特に限定されない。
上記可溶性樹脂粒子の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂)等からなるものが挙げられ、これらの樹脂の一種からなるものであってもよいし、2種以上の樹脂の混合物からなるものであってもよい。
【0048】
また、上記可溶性樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。上記ゴムとしては、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等が挙げられる。これらのゴムを使用することにより、可溶性樹脂粒子が酸あるいは酸化剤に溶解しやすくなる。つまり、酸を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、強酸以外の酸でも溶解することができ、酸化剤を用いて可溶性樹脂粒子を溶解する際には、比較的酸化力の弱い過マンガン酸でも溶解することができる。また、クロム酸を用いた場合でも、低濃度で溶解することができる。そのため、酸や酸化剤が樹脂表面に残留することがなく、後述するように、粗化面形成後、塩化パラジウム等の触媒を付与する際に、触媒が付与されなかったり、触媒が酸化されたりすることがない。
【0049】
上記可溶性無機粒子としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物およびケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げられる。
【0050】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、例えば、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、例えば、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0051】
上記可溶性金属粒子としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、鉛、金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムおよびケイ素からなる群より選択される少なくとも一種からなる粒子等が挙げられる。また、これらの可溶性金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0052】
上記可溶性粒子を、2種以上混合して用いる場合、混合する2種の可溶性粒子の組み合わせとしては、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。両者とも導電性が低くいため樹脂フィルムの絶縁性を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で熱膨張の調整が図りやすく、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層にクラックが発生せず、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しないからである。
【0053】
上記難溶性樹脂としては、層間樹脂絶縁層に酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する際に、粗化面の形状を保持できるものであれば特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの複合体等が挙げられる。また、これらの樹脂に感光性を付与した感光性樹脂であってもよい。
これらのなかでは、熱硬化性樹脂を含有しているものが望ましい。それにより、めっき液または種々の加熱処理によっても粗化面の形状を保持することができるからである。
【0054】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、感光化した樹脂としては、例えば、メタクリル酸やアクリル酸等と熱硬化基とをアクリル化反応させたものが挙げられる。。特に、エポキシ樹脂をアクリレート化したものが望ましい。これらのなかでは、1分子中に、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。前述の粗化面を形成することができるばかりでなく、耐熱性等にも優れてるため、ヒートサイクル条件下においても、金属層に応力の集中が発生せず、金属層の剥離などが起きにくいからである。
【0055】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
【0056】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフォン(PPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルイミド(PI)、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0057】
上記熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合割合は、熱硬化性樹脂/熱可塑性樹脂=95/5〜50/50が望ましい。耐熱性を損なうことなく、高い靱性値を確保できるからである。
【0058】
上記可溶性粒子の混合重量比は、難溶性樹脂の固形分に対して5〜50重量%が望ましく、10〜40重量%がさらに望ましい。
【0059】
上記層間樹脂絶縁層を未硬化の樹脂フィルムを用いて形成する場合、該樹脂フィルムにおいて、上記可溶性粒子は、上記難溶性樹脂中にほぼ均一に分散されていることが望ましい。均一な粗さの凹凸を有する粗化面を形成することができ、樹脂フィルムにバイアホールやスルーホールを形成しても、その上に形成する導体回路の金属層の密着性を確保することができるからである。また、粗化面を形成する表層部だけに可溶性粒子を含有する樹脂フィルムを用いてもよい。それによって、樹脂フィルムの表層部以外は酸または酸化剤にさらされることがないため、層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性が確実に保たれる。
【0060】
上記樹脂フィルムにおいて、難溶性樹脂中に分散している可溶性粒子の配合量は、樹脂フィルムに対して、3〜40重量%が望ましい。可溶性粒子の配合量が3重量%未満では、所望の凹凸を有する粗化面を形成することができない場合があり、40重量%を超えると、酸または酸化剤を用いて可溶性粒子を溶解した際に、樹脂フィルムの深部まで溶解してしまい、樹脂フィルムからなる層間樹脂絶縁層を介した導体回路間の絶縁性を維持できず、短絡の原因となる場合がある。
【0061】
上記樹脂フィルムは、上記可溶性粒子および難溶性樹脂以外に、必要に応じて、硬化剤、溶剤、その他の成分等を含有していてもよい。
【0062】
上記ポリフェニレンエーテル樹脂としては特に限定されず、例えば、PPO、PPE等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
これらのなかでは、誘電率および誘電正接が低く、GHz帯域の高周波信号を用いた場合でも信号遅延や信号エラーが発生しにくく、さらには、剛性等の機械的特性にも優れている点からシクロオレフィン系樹脂が望ましい。
【0063】
上記シクロオレフィン系樹脂としては、2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンまたはこれらの誘導体からなる単量体の単独重合体または共重合体等が望ましい。上記誘導体としては、上記2−ノルボルネン等のシクロオレフィンに、架橋を形成するためのアミノ基や無水マレイン酸残基あるいはマレイン酸変性したもの等が結合したもの等が挙げられる。
上記共重合体を合成する場合の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
【0064】
上記シクロオレフィン系樹脂は、上記した樹脂の2種以上の混合物であってもよく、シクロオレフィン系樹脂以外の樹脂を含むものであってもよい。
また、上記シクロオレフィン系樹脂が共重合体である場合には、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
【0065】
また、上記シクロオレフィン系樹脂は、熱硬化性シクロオレフィン系樹脂であることが望ましい。加熱を行って架橋を形成させることにより、より剛性が高くなり、機械的特性が向上するからである。
上記シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、130〜200℃であることが望ましい。
【0066】
上記シクロオレフィン系樹脂は、既に樹脂シート(フィルム)として成形されたものを使用してもよく、単量体もしくは一定の分子量を有する低分子量の重合体が、キシレン、シクロヘキサン等の溶剤に分散した未硬化溶液の状態であってもよい。
また、樹脂シートの場合には、いわゆるRCC(RESIN COATED COPPER:樹脂付銅箔)を用いてもよい。
【0067】
上記シクロオレフィン系樹脂は、フィラー等を含まないものであってもよく、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル等の難燃剤を含むものであってもよい。
【0068】
上記フッ素樹脂としては、例えば、エチル/テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が挙げられる。
【0069】
上記熱可塑性エラストマー樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
これらのなかでは、電気特性に優れる点からオレフィン系熱可塑性エラストマーやフッ素系熱可塑性エラストマーが望ましい。
【0070】
上記樹脂フィルムを貼り付けることにより層間樹脂絶縁層を形成する場合、該層間樹脂絶縁層の形成は、真空ラミネーター等の装置を用い、減圧下または真空下において、2.0〜10kgf/cm2 の圧力、60〜120℃の温度で圧着し、その後、樹脂フィルムを熱硬化することにより行うことが望ましい。
なお、上記熱硬化は、後述するバイアホール用開口および貫通孔を形成した後に行ってもよい。
【0071】
(4) 次に、層間樹脂絶縁層を形成した基板に、バイアホール用開口と必要に応じて貫通孔とを形成する。
上記バイアホール用開口は、レーザ処理等により形成する。また、感光性樹脂からなる層間樹脂絶縁層を形成した場合には、露光、現像処理を行うことにより、バイアホール用開口を設けてもよい。このとき、使用されるレーザ光としては、例えば、炭酸ガス(CO2 )レーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザ等が挙げられるが、これらのなかでは、エキシマレーザや短パルスの炭酸ガスレーザが望ましい。
【0072】
エキシマレーザは、後述するように、バイヤホール用開口を形成する部分に貫通孔が形成されたマスク等を用いることにより、一度に多数のバイヤホール用開口を形成することができ、また、短パルスの炭酸ガスレーザは、開口内の樹脂残りが少なく、開口周縁の樹脂に対するダメージが小さいからである。
【0073】
また、エキシマレーザのなかでも、ホログラム方式のエキシマレーザを用いることが望ましい。ホログラム方式とは、レーザ光をホログラム、集光レンズ、レーザマスク、転写レンズ等を介して目的物に照射する方式であり、この方式を用いることにより、一度の照射で層間樹脂絶縁層に多数の開口を効率的に形成することができる。
【0074】
また、炭酸ガスレーザを用いる場合、そのパルス間隔は、10-4〜10-8秒であることが望ましい。また、開口を形成するためのレーザを照射する時間は、10〜500μ秒であることが望ましい。
エキシマレーザは、バイアホール用開口を形成する部分に貫通孔が形成されたマスクの貫通孔は、レーザ光のスポット形状を真円にするために、真円である必要があり、上記貫通孔の径は、0.1〜2mm程度が望ましい。
【0075】
レーザ光にて開口を形成した場合、特に炭酸ガスレーザを用いた場合には、デスミア処理を行うことが望ましい。上記デスミア処理は、クロム酸、過マンガン酸塩等の水溶液からなる酸化剤を使用して行うことができる。また、酸素プラズマ、CF4 と酸素の混合プラズマやコロナ放電等で処理してもよい。また、低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射することにより、表面改質することもできる。
また、層間樹脂絶縁層を形成した基板に、貫通孔を形成する場合には、直径50〜300μmのドリル、レーザ光等を用いて貫通孔を形成する。
【0076】
(5) 次に、バイアホール用開口の内壁を含む層間樹脂絶縁層の表面と上記工程で貫通孔を形成した場合には貫通孔の内壁とに、酸または酸化剤を用いて粗化面を形成する。
上記酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、蟻酸等が挙げられ、上記酸化剤としては、クロム酸、クロム硫酸、過マンガン酸ナトリウム等の過マンガン酸塩等が挙げられる。
【0077】
その後、酸を用いて粗化面を形成した場合はアルカリ等の水溶液を用い、酸化剤を用いて粗化面を形成した場合は中和液を用いて、バイアホール用開口内や貫通孔内を中和する。この操作により酸や酸化剤を除去し、次工程に影響を与えないようにする。なお、この工程で形成する粗化面の平均粗度Rzは、0.1〜5μmが望ましい。
【0078】
(6) 次に、形成された粗化面に、必要により、触媒を付与する。上記触媒としては、例えば、塩化パラジウム等が挙げられる。
このとき、触媒を確実に付与するために、酸素、窒素等のプラズマ処理やコロナ処理等のドライ処理を施すことにより、酸または酸化剤の残渣を除去するとともに層間樹脂絶縁層の表面を改質することにより、触媒を確実に付与し、無電解めっき時の金属の析出、および、無電解めっき層の層間樹脂絶縁層への密着性を向上させることができ、特に、バイアホール用開口の底面において、大きな効果が得られる。
【0079】
(7) ついで、形成された層間樹脂絶縁層上に、上述した方法を用いて薄膜導体層を形成する。
また、上記(4) の工程で貫通孔を形成した場合は、この工程で貫通孔の内壁面にも金属からなる薄膜導体層を形成することにより、スルーホールとしてもよい。
【0080】
上記(7) の工程で、スルーホールを形成した場合には、以下のような処理工程を行うことが望ましい。すなわち、無電解めっき層表面とスルーホール内壁とを黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理等を用いて粗化形成処理を行う。この後、さらに、樹脂充填剤等を用いてスルーホール内を充填し、ついで、樹脂充填剤の表層部と無電解めっき層表面とをバフ研磨等の研磨処理方法を用いて、平坦化する。
さらに、無電解めっきを行い、既に形成した金属からなる薄膜導体層と樹脂充填剤の表層部とに無電解めっき層を形成することにより、スルーホールの上に蓋めっき層を形成する。
【0081】
(8) 次に、上記層間樹脂絶縁層上の一部にドライフィルムを用いてめっきレジストを形成し、その後、上記薄膜導体層をめっきリードとして電気めっきを行い、上記めっきレジスト非形成部に上記めっきレジストの厚さよりも厚い電気めっき層を形成する。
上記電気めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましい。
この時、バイアホール用開口を電気めっきで充填してフィールドビア構造としてもよく、バイアホール用開口に導電性ペースト等を充填した後、その上に蓋めっき層を形成してフィールドビア構造としてもよい。フィールドビア構造を形成することにより、バイアホールの直上にバイアホールを設けることができる。
【0082】
(9) 電気めっき層を形成した後、上記した第一のエッチング液を用いて上記電気めっき層表層部を除去する。次に、必要に応じて上記電気めっき層上面にバフ研磨を施す。
その後、上記めっきレジストを剥離し、めっきレジストの下に存在していた薄膜導体層を第二のエッチング液により除去するとともに、上記電気めっき層表面および上記薄膜導体層側面に粗化面を形成し、表面に粗化面を有する独立した導体回路とする。
さらに、必要により、酸または酸化剤を用いて層間樹脂絶縁層上の触媒を除去してもよい。触媒を除去することにより、触媒に用いたパラジウム等の金属がなくなるため、電気特性の低減を防止することができる。
【0083】
(10)この後、必要により、(3) 〜(9) の工程を繰り返し、その後、最上層の導体回路に粗化面を形成する必要がある場合には、上述した第二のエッチング液を用いて、粗化面を有する導体回路を形成する。
【0084】
(11)次に、最上層の導体回路を含む基板面にソルダーレジスト層を形成する。
上記ソルダーレジスト層としては、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、ソルダーレジスト樹脂組成物等からなるものが挙げられる。
上記ソルダーレジスト層は、未硬化の樹脂(樹脂組成物)をロールコータ法等により塗布したり、未硬化の樹脂フィルムを熱圧着したりした後、レーザ処理、露光、現像処理等による開口処理を行い、さらに、硬化処理等を行うことにより形成する。
【0085】
上記ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂および熱可塑性エラストマーとしては、例えば、層間樹脂絶縁層を形成する際に用いるものと同様のもの等が挙げられる。
また、上記ソルダーレジスト樹脂組成物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、イミダゾール硬化剤、2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー、分子量500〜5000程度の(メタ)アクリル酸エステルの重合体、ビスフェノール型エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂、多価アクリル系モノマー等の感光性モノマー、グリコールエーテル系溶剤などを含むペースト状の流動体等が挙げられ、その粘度は25℃で1〜10Pa・sに調製されていることが望ましい。
【0086】
上記ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノールノボラックやクレゾールノボラックのグリシジルエーテルをアクリル酸やメタクリル酸等と反応させたエポキシ樹脂等が挙げられる。
また、上記2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては特に限定されず、例えば、各種ジオール類やアクリル酸やメタクリル酸のエステル等が挙げられる。
【0087】
(12)次に、ソルダーレジスト層の開口部分にNi、Au等からなる耐食金属層をめっき、スパッタリングまたは蒸着等により形成し、その後、ICチップ接続面には、半田ペーストを印刷することにより半田バンプを形成し、外部基板接続面には、半田ボールやピン等を配設することによりプリント配線板の製造を終了する。
【0088】
なお、製品認識文字などを形成するための文字印刷工程やソルダーレジスト層の改質のために、酸素や四塩化炭素などのプラズマ処理を適時行ってもよい。
以上の方法は、セミアディティブ法によるものであるが、フルアディティブ法を採用してもよい。
【0089】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
A.上層の粗化面形成用樹脂組成物の調製
1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、分子量:2500)の25%アクリル化物を80重量%の濃度でジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に溶解させた樹脂液400重量部、感光性モノマー(東亜合成社製、アロニックスM325)60重量部、消泡剤(サンノプコ社製 S−65)5重量部およびN−メチルピロリドン(NMP)35重量部を容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
【0090】
2)ポリエーテルスルフォン(PES)80重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成社製、ポリマーポール)の平均粒径1.0μmのもの72重量部および平均粒径0.5μmのもの31重量部を別の容器にとり、攪拌混合した後、さらにNMP257重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合し、別の混合組成物を調製した。
【0091】
3)イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)20重量部、光重合開始剤(ベンゾフェノン)20重量部、光増感剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、EAB)4重量部およびNMP16重量部をさらに別の容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
そして、1)、2)および3)で調製した混合組成物を混合することにより粗化面形成用樹脂組成物を得た。
【0092】
B.下層の粗化面形成用樹脂組成物の調製
1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、分子量:2500)の25%アクリル化物を80重量%の濃度でジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に溶解させた樹脂液400重量部、感光性モノマー(東亜合成社製、アロニックスM325)60重量部、消泡剤(サンノプコ社製 S−65)5重量部およびN−メチルピロリドン(NMP)35重量部を容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
【0093】
2)ポリエーテルスルフォン(PES)80量部、および、エポキシ樹脂粒子(三洋化成社製、ポリマーポール)の平均粒径0.5μmのもの145重量部を別の容器にとり、攪拌混合した後、さらにNMP285重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合し、別の混合組成物を調製した。
【0094】
3)イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)20重量部、光重合開始剤(ベンゾフェノン)20重量部、光増感剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、EAB)4重量部およびNMP16重量部をさらに別の容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
そして、1)、2)および3)で調製した混合組成物を混合することにより無電解めっき用接着剤を得た。
【0095】
C.樹脂充填剤の調製
1)ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で45〜49Pa・sの樹脂充填剤を調製した。
なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0096】
D.プリント配線板の製造方法
(1) 厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図2(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に下層導体回路4とスルーホール9を形成した。
【0097】
(2) スルーホール9および下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (16g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(19g/l)、NaBH4 (5g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図2(b)参照)。
【0098】
(3) 上記Cに記載した樹脂充填剤を調製した後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルーホール9内、および、基板1の片面の導体回路非形成部と導体回路4の外縁部とに樹脂充填剤10の層を形成した。
すなわち、まず、スキージを用いてスルーホール内に樹脂充填剤を押し込んだ後、100℃、20分の条件で乾燥させた。次に、導体回路非形成部に相当する部分が開口したマスクを基板上に載置し、スキージを用いて凹部となっている導体回路非形成部に樹脂充填剤10の層を形成し、100℃、20分の条件で乾燥させた(図2(c)参照)。
【0099】
(4) 上記(3) の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充填剤10を硬化した。
【0100】
このようにして、スルーホール9や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材10の表層部および下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材10と下層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面9aと樹脂充填材10とが粗化面を介して強固に密着した絶縁性基板を得た(図2(d)参照)。この工程により、樹脂充填剤10の表面と下層導体回路4の表面が同一平面となる。
【0101】
(5) 上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路4の表面とスルーホール9のランド表面と内壁とをエッチングすることにより、下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図3(a)参照)。エッチング液として、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0102】
(6) 基板の両面に、上記Bの粗化面形成用樹脂組成物(粘度:1.5Pa・s)をロールコータで塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥を行い、粗化面形成用樹脂層2aを形成した。
さらにこの粗化面形成用樹脂層2aの上に上記Aの粗化面形成用樹脂組成物(粘度:7Pa・s)をロールコータを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥を行い、粗化面形成用樹脂層2bを形成し、厚さ35μmの粗化面形成用樹脂層を形成した(図3(b)参照)。
【0103】
(7) 上記(6) で粗化面形成用樹脂層を形成した基板1の両面に、直径85μmの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cm2 強度で露光した後、DMDG溶液でスプレー現像した。この後、さらに、この基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cm2 強度で露光し、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の加熱処理を施し、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた直径85μmのバイアホール用開口6を有する厚さ35μmの層間樹脂絶縁層2を形成した(図3(c)参照)。
【0104】
(8) バイアホール用開口6を形成した基板を、800g/lのクロム酸を含む70℃の溶液に19分間浸漬し、層間樹脂絶縁層2の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、層間樹脂絶縁層2の表面を粗面(深さ3μm)とした(図3(d)参照)。
【0105】
(9) 次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
さらに、粗面化処理した該基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、層間樹脂絶縁層2の表面およびバイアホール用開口6の内壁面に触媒核を付着させた。
【0106】
(10)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.8μmの無電解銅めっき層12を形成した(図4(a)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 40 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
35℃の液温度で40分
【0107】
(11)市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき層12に貼り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ25μmのめっきレジスト3を設けた(図4(b)参照)。
【0108】
(12)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解銅めっきを施し、電解銅めっき層13を形成した。なお、電解銅めっき層13はめっきレジスト3よりも厚く形成した(図4(c)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドGL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0109】
(13)次に、有機酸塩と第二銅錯体とからなるエッチング液を用いて、電解銅めっき層13の表層部を除去した。なお、この処理により、電解銅めっき層13の表層部を除去すると同時に、電解銅めっき層13の上面に粗化面を形成した(図4(d)参照)。
【0110】
(14)めっきレジスト3を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき層12を有機酸塩と第二銅錯体とからなるエッチング液で処理して溶解除去するとともに、無電解銅めっき層12側面と電解銅めっき層13表面に粗化面を形成することにより、表面に粗化面の形成された厚さ18μmの導体回路(バイアホール7を含む)5を形成した。
さらに、800g/lのクロム酸を含む70℃の溶液に3分間浸漬して、導体回路非形成部分に位置する導体回路間の層間樹脂絶縁層2の表面を1μmエッチング処理し、その表面に残存するパラジウム触媒を除去した(図5(a)参照)。
【0111】
(15)上記 (5)〜(14)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た(図5(b)〜図6(b)参照)。
【0112】
(16)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)6.67重量部、同じくビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコートE−1001−B80)6.67重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである2官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)4.5重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、アクリル酸エステル重合物からなるレベリング剤(共栄社化学社製、商品名:ポリフローNo.75)0.36重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてイルガキュアI−907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)2.0重量部、光増感剤としてのDETX−S(日本化薬社製)0.2重量部、DMDG0.6重量部を加えることにより、粘度を25℃で1.4±0.3Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60min-1(rpm)の場合はローターNo.4、6min-1 (rpm)の場合はローターNo.3によった。
【0113】
(17)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、直径200μmの開口を形成した。
そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジスト層14を形成した。
【0114】
(18)次に、ソルダーレジスト層14を形成した基板を、塩化ニッケル(30g/l)、次亜リン酸ナトリウム(10g/l)、クエン酸ナトリウム(10g/l)を含むpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層15を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(2g/l)、塩化アンモニウム(75g/l)、クエン酸ナトリウム(50g/l)、次亜リン酸ナトリウム(10g/l)を含む無電解めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層15上に、厚さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0115】
(19)この後、ソルダーレジスト層14の開口にはんだペーストを印刷して、200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)17を形成し、はんだバンプ17を有する多層配線プリント基板を製造した(図6(c)参照)。
【0116】
(実施例2)
A.層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリカ2重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加しエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを作製した。
【0117】
B.樹脂充填剤の調製
1)ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で45〜49Pa・sの樹脂充填剤を調製した。
なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0118】
C.プリント配線板の製造方法
(1) 厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図7(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に下層導体回路4とスルーホール9を形成した。
【0119】
(2) スルーホール9および下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図7(b)参照)。
【0120】
(3) 上記Bに記載した樹脂充填剤を調製した後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルーホール9内、および、基板1の片面の導体回路非形成部と導体回路4の外縁部とに樹脂充填剤10の層を形成した。
すなわち、まず、スキージを用いてスルーホール内に樹脂充填剤を押し込んだ後、100℃、20分の条件で乾燥させた。次に、導体回路非形成部に相当する部分が開口したマスクを基板上に載置し、スキージを用いて凹部となっている導体回路非形成部に樹脂充填剤10の層を形成し、100℃、20分の条件で乾燥させた(図7(c)参照)。
【0121】
(4) 上記(3) の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、150℃で1時間の加熱処理を行って樹脂充填剤10を硬化した。
【0122】
このようにして、スルーホール9や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材10の表層部および下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材10と下層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面9aと樹脂充填材10とが粗化面を介して強固に密着した絶縁性基板を得た(図7(d)参照)。すなわち、この工程により、樹脂充填剤10の表面と下層導体回路4の表面とが同一平面となる。
【0123】
(5) 上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路4の表面とスルーホール9のランド表面と内壁とをエッチングすることにより、下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図8(a)参照)。
エッチング液としては、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0124】
(6) 基板の両面に、上記Aで作製した層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを、以下の方法により真空ラミネーター装置を用いて貼り付けることにより層間樹脂絶縁層を形成した(図8(b)参照)。すなわち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に載置し、真空度0.5Torr、圧力0.4MPa 、温度80℃、圧着時間60秒の条件で貼り付け、その後、100℃で30分、150℃で1時間熱硬化させた。
【0125】
(7) 次に、層間樹脂絶縁層2上に、貫通孔が形成されたマスクを介して、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、2ショットの条件で層間樹脂絶縁層2に、直径60μmのバイアホール用開口6を形成した(図8(c)参照)。
【0126】
(8) バイアホール用開口6を形成した基板を、40g/lの過マンガン酸塩を含む60℃の溶液に15分間浸漬し、層間樹脂絶縁層2の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホール用開口6の内壁を含む層間樹脂絶縁層2の表面を粗面とした(図8(d)参照)。
【0127】
(9) 次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック社製)を付与することにより、層間樹脂絶縁層2の表面およびバイアホール用開口6の内壁面に触媒核を付着させた。
【0128】
(10)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6〜0.9μmの無電解銅めっき層12を形成した(図9(a)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 40 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
35℃の液温度で40分
【0129】
(11)市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき層12に貼り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ25μmのめっきレジスト3を設けた(図9(b)参照)。
【0130】
(12)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解銅めっきを施し、電解銅めっき層13を形成した。なお、電解銅めっき層13はめっきレジスト3よりも厚く形成した(図9(c)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドHL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
資時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0131】
(13)次に、有機酸塩と第二銅錯体とからなるエッチング液を用いて、電解銅めっき層13の表層部を除去した。なお、この処理により、電解銅めっき層13の表層部を除去すると同時に、電解銅めっき層13の上面に粗化面を形成した(図9(d)参照)。
【0132】
(14)めっきレジスト3を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき層12を有機酸塩と第二銅錯体とからなるエッチング液で処理して溶解除去するとともに、無電解銅めっき層12側面と電解銅めっき層13表面に粗化面を形成することにより、表面に粗化面の形成された厚さ18μmの導体回路(バイアホール7を含む)5を形成した。
さらに、800g/lのクロム酸を含む70℃の溶液に3分間浸漬して、導体回路非形成部分に位置する導体回路間の層間樹脂絶縁層2の表面を1μmエッチング処理し、その表面に残存するパラジウム触媒を除去した(図10(a)参照)。
【0133】
(15)上記 (5)〜(14)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た(図10(a)〜図11(b)参照)。
(16)次に、実施例1の(16)〜(19)と同様にして、はんだバンプ17を有する多層配線プリント基板を製造した。(図11(c)参照)。
【0134】
(実施例3)
A.樹脂充填剤の調製
実施例1と同様にして樹脂充填剤を調製した。
【0135】
B.プリント配線板の製造
(1) 厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミド−トリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図12(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、続いてめっきレジストを形成した後、この基板に無電解銅めっき処理を施してスルーホール9を形成し、さらに、銅箔を常法に従いパターン状にエッチングすることにより、基板の両面に内層銅パターン(下層導体回路)4を形成した。
【0136】
(2) 下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路4の表面とスルーホール9のランド表面と内壁とをエッチングすることにより、下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図12(b)参照)。エッチング液として、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部およびイオン交換水78重量部を混合したものを使用した。
【0137】
(3) 上記Aに記載した樹脂充填剤を調製した後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルーホール9内、および、基板1の片面の導体回路非形成部と導体回路4の外縁部とに樹脂充填剤10の層を形成した。
すなわち、まず、スキージを用いてスルーホール内に樹脂充填剤を押し込んだ後、100℃、20分の条件で乾燥させた。次に、導体回路非形成部に相当する部分が開口したマスクを基板上に載置し、スキージを用いて凹部となっている導体回路非形成部に樹脂充填剤10の層を形成し、100℃、20分の条件で乾燥させた(図12(c)参照)。
【0138】
(4) 上記(3) の処理を終えた基板の片面を、ベルト研磨紙(三共理化学社製)を用いたベルトサンダー研磨により、下層導体回路4の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残らないように研磨し、ついで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。そして、充填した樹脂充填剤10を加熱硬化させた(図12(d)参照)。
【0139】
このようにして、スルーホール9等に充填された樹脂充填剤10の表層部および下層導体回路4上面の粗化層4aを除去して基板両面を平滑化し、樹脂充填剤10と下層導体回路4の側面とが粗化面4aを介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面と樹脂充填剤10とが粗化面9aを介して強固に密着した配線基板を得た。
【0140】
(5) 次に、上記(4) の処理を終えた基板の両面に、上記(2) で用いたエッチング液と同じエッチング液をスプレイで吹きつけ、一旦平坦化された下層導体回路4の表面とスルーホール9のランド表面とをエッチングすることにより、下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図13(a)参照)。
【0141】
(6) 次に、上記工程を経た基板の両面に、厚さ50μmの熱硬化型シクロオレフィン系樹脂シートを温度50〜150℃まで昇温しながら圧力0.5MPaで真空圧着ラミネートし、シクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層2を設けた(図13(b)参照)。真空圧着時の真空度は、10mmHgであった。
【0142】
(7) 次に、層間樹脂絶縁層2上に、貫通孔が形成されたマスクを介して、波長248nmのエキシマレーザを用いてレーザ光を照射することにより、シクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層2に直径80μmのバイアホール用開口6を設けた(図13(c)参照)。この後、酸素プラズマを用いてデスミア処理を行った。
【0143】
(8) 次に、日本真空技術株式会社製のSV−4540を用い、Niをターゲットにしたスパッタリングを、ガス圧0.6Pa、温度80℃、電力200W、時間5分間の条件で行い、Ni金属層12aを層間樹脂絶縁層2の表面に形成した。このとき、形成されたNi金属層12aの厚さは0.1μmであった。
さらに、Ni金属層12a上に、Cuをターゲットにしたスパッタリングを同条件で行いCu金属層12bを形成した。このとき、形成されたCu金属層12bの厚さは0.1μmであった(図13(d)参照)。
【0144】
(9) 上記処理を終えた基板の両面に、市販の感光性ドライフィルムを貼り付け、フォトマスクフィルムを載置して、100mJ/cm2 で露光した後、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ25μmのめっきレジスト3のパターンを形成した(図14(a)参照)。
【0145】
(10)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解銅めっきを施し、電解銅めっき層13を形成した。なお、電解銅めっき層13はめっきレジスト3よりも厚く形成した(図14(b)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドGL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 度
【0146】
(11)次に、有機酸塩と第二銅錯体とからなるエッチング液を用いて、電解銅めっき層13の表層部を除去した。なお、この処理により、電解銅めっき層13の表層部を除去すると同時に、電解銅めっき層13の上面に粗化面を形成した(図14(c)参照)。
【0147】
(12)めっきレジスト3を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき層12を有機酸塩と第二銅錯体とからなるエッチング液で処理して溶解除去するとともに、無電解銅めっき層12側面と電解銅めっき層13表面に粗化面を形成することにより、表面に粗化面の形成された厚さ18μmの導体回路(バイアホール7を含む)5を形成した(図14(d)参照)。
【0148】
(13)上記 (5)〜(14)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た(図15(a)〜図16(b)参照)。
(14)次に、実施例1の(16)〜(19)と同様にして、はんだバンプ17を有する多層配線プリント基板を製造した(図16(c)参照)。
【0149】
実施例4
実施例1の(13)の工程において、塩化第二銅からなるエッチング液を用いて、電解銅めっき層の表層部を除去し、その後、シリコン製の研磨材を用いたバフ研磨を行い、めっきレジストの上部に残留する電解銅めっき層を完全に除去した以外は実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0150】
このようにして製造した実施例1〜4の多層プリント配線板について、該多層プリント配線板をクロスカットして、導体回路およびその表面に形成した粗化面の形状、導体回路と層間樹脂絶縁層との剥離の有無、並びに、層間樹脂絶縁層にクラックが発生しているか否かをその断面を顕微鏡観察することにより調べた。
【0151】
その結果、実施例1〜4で製造した多層プリント配線板においては、導体回路の形状は厚さが均一であり、アンダーカットも見られなかった。また、導体回路の表面に形成した粗化面は、層間樹脂絶縁層との密着性を確保するのに充分な粗さを有していた。
【0152】
また、実施例1〜4で製造した多層プリント配線板において、導体回路と層間樹脂絶縁層との剥離は観察されず、層間樹脂絶縁層にもクラックの発生は観察されなかった。
【0153】
また、実施例1〜4で製造した多層プリント配線板について、125℃で3分、−55℃で3分の条件によるヒートサイクル試験を1000回実施した後、上記と同様に多層プリント配線板をクロスカットして、導体回路と層間樹脂絶縁層との剥離の有無、並びに、層間樹脂絶縁層にクラックが発生しているか否かをその断面を顕微鏡観察することにより調べた。
【0154】
その結果、実施例1〜4で製造した多層プリント配線板において、導体回路と層間樹脂絶縁層との剥離は観察されず、層間樹脂絶縁層にもクラックの発生は観察されなかった。
【0155】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の多層プリント配線板の製造方法によれば、めっきレジストを剥離する前に第一のエッチング処理を行い、さらに、上記めっきレジストを剥離した後に第二のエッチング処理を行うとともに粗化面形成処理を行うため、厚さが均一でアンダーカットがなく、表面に粗化面を有する導体回路が形成された多層プリント配線板を製造することができ、このような製造方法で製造された多層プリント配線板は、上記した特性を有する導体回路が形成されているため接続性、信頼性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f)は、本発明の製造工程おいて、樹脂絶縁層上に導体回路を形成する工程を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図9】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図10】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図11】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図12】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図13】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図14】(a)〜(d)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図15】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図16】(a)〜(c)は、本発明の多層プリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図17】(a)〜(f)は、従来の多層プリント配線板の製造工程おいて、樹脂絶縁層上に導体回路を形成する工程を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 層間樹脂絶縁層(粗化面形成用樹脂層)
3 めっきレジスト
4 下層導体回路
4a 粗化面
5 導体回路
6 バイアホール用開口
7 バイアホール
8 銅箔
9、29 スルーホール
9a 粗化面
10 樹脂充填剤
12 無電解銅めっき層
12a Ni金属層
12b Cu金属層
13 電気めっき層
14 ソルダーレジスト層
15 ニッケルめっき層
16 金めっき層
17 はんだバンプ
22 樹脂絶縁層
23 めっきレジスト
24 薄膜導体層
24a 粗化面
25 電気めっき層
25a 粗化面

Claims (7)

  1. 基板上に導体回路と樹脂絶縁層とが順次形成され、これらの導体回路がバイアホールを介して接続されてなる多層プリント配線板の製造方法であって、
    下記(1)〜(4)の工
    1)前記基板上および/または前記樹脂絶縁層上に薄膜導体層を形成する工程、
    (2)前記薄膜導体層上の一部にドライフィルムを用いてめっきレジストを形成した後、前記めっきレジスト非形成部に前記めっきレジストの厚さよりも厚い電気めっき層を形成する工程、
    (3)第一のエッチング液を用いて前記電気めっき層をエッチングする工程、および、
    (4)前記めっきレジストを剥離した後、第二のエッチング液を用い、前記めっきレジストの下に存在する薄膜導体層を除去するとともに前記電気めっき層表面および前記薄膜導体層側面に粗化面を形成する工程
    を含み、
    前記第一のエッチング液および前記第二のエッチング液は異なることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  2. 前記第一のエッチング液は、塩化第二銅、塩化第二鉄、過硫酸塩、過酸化水素/硫酸、アルカリエッチャントからなる群より選択される少なくとも一種を含む溶液である請求項1記載の多層プリント配線板の製造方法。
  3. 前記第一のエッチング液は、第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液、または、過酸化水素と硫酸とを含む混合溶液である請求項1記載の多層プリント配線板の製造方法。
  4. 前記第一のエッチング液は、第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液であり、さらにハロゲンイオンを含む請求項1記載の多層プリント配線板の製造方法。
  5. 前記第二のエッチング液は、第二銅錯体と有機酸塩とを含む混合溶液、または、過酸化水素と硫酸とを含む混合溶液である請求項1〜4のいずれか1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  6. 前記(3)の工程において、第一のエッチング液を用いて前記電気めっき層のエッチングを行った後、バフ研磨を行う請求項1〜5のいずれか1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  7. 前記めっきレジストの厚さは、15〜30μmである請求項1〜6のいずれか1に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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