JP4874616B2 - 油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を含有する油脂組成物、及び該油脂組成物を配合したスプレッド及びフィリング、並びにこれら油脂組成物、スプレッド及びフィリングの製造方法に関する。
パンに塗るソフトチョコレート等のスプレッド、あるいはクリームパンの中に詰められるクリーム等のフィリングには、通常、そのボディとして可塑性を有する油脂組成物が用いられている。可塑性を有する油脂組成物が配合されることで、これらスプレッド及びフィリングは、良好な可塑性と優れた口溶けを有するようになる。
また、これらスプレッド及びフィリング用の油脂組成物には、幅広い温度帯において、固体状の油脂と液体状の油脂に分離(以下、固液分離と略記)しないことが求められる。
さらに、スプレッド及びフィリングは、通常、チューブ又はカップに充填して用いるため、スプレッド及びフィリング用の油脂組成物には、幅広い温度帯、特に冷蔵時においても硬くなり過ぎずに、チューブ又はカップから容易に取り出せるよう適度な硬さを有することが求められる。
これらのスプレッド及びフィリング用の油脂組成物に要求される性質を満たす油脂組成物としては、例えば、高融点部として炭素数20以上の脂肪酸基を30%以上含有し上昇融点が55℃以上である油脂2〜8%を含む油脂組成物(特許文献1参照)、常温で液体状の油脂とベヘン酸を含有するトリ飽和脂肪酸グリセリドの混合油を添加してなるスプレッド基剤(特許文献2参照)等が提案されている。
一方、良好な可塑性をスプレッド及びフィリングに付与するためには、その製造工程において急冷混捏を行うことが多いが、コスト低減のためには、これを省略できることが望まれる。
ところで、中鎖脂肪酸を構成脂肪酸として含有する油脂組成物は、体内に吸収されると急速に分解及び代謝されてエネルギー源となり、体内に蓄積されにくいため、健康志向に合ったものである。したがって、このような油脂組成物を前記スプレッド及びフィリングに用いることができれば非常に有用である。
従来、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を含有する油脂組成物としては、例えば、油相が少なくとも約10%の中鎖脂肪酸類を含有したトリグリセリド類を含む低カロリーピーナツバター(特許文献3参照)、中鎖脂肪酸及び長鎖脂肪酸を含有するトリグセリドから製造される低カロリー脂肪(特許文献4参照)、ベヘン酸を構成脂肪酸として含有する食餌用油脂(特許文献5参照)等が提案されている。
特開昭56−110798号公報 特開2004−290035号公報 特開平2−131557号公報 特開平2−1799号公報 特開昭64−85040号公報
しかし中鎖脂肪酸を構成脂肪酸として含有する油脂組成物は、中鎖脂肪酸を含有しない油脂組成物と比較して固液分離しやすいため、特許文献1〜5に記載の油脂組成物はいずれも、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を含有する油脂組成物としては、前記のようなスプレッド及びフィリング用油脂組成物に要求される諸特性をすべて満足するものではないという問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を含有し、可塑性及び口溶けに優れ、幅広い温度帯において固液分離せず、適度な硬さを有する油脂組成物、及び該油脂組成物を配合した前記諸特性を有するスプレッド及びフィリング、並びにこれら油脂組成物、スプレッド及びフィリングの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸及びベヘン酸がランダムに含まれる油脂と、構成脂肪酸としてベヘン酸が含まれる油脂とが、特定の比率で配合された油脂組成物により、前記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決するため、
本発明の第1の発明は、油脂Aを50.0〜99.8質量%、及び油脂Bを0.2〜10.0質量%含有する油脂組成物である。
油脂A:少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドを含有する油脂であり、該油脂の全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量が30.0〜96.0質量%、ベヘン酸含量が2.0〜10.0質量%である油脂
油脂B:全構成脂肪酸中のベヘン酸含量が30.0〜60.0質量%である油脂
本発明の第2の発明は、油脂Cを50.0〜99.8質量%、及び油脂Bを0.2〜10.0質量%含有する油脂組成物である。
油脂C:中鎖脂肪酸トリグリセリド30.0〜96.0質量%及びハイエルシン菜種油の極度硬化油4.0〜26.0質量%を含む混合油をエステル交換することにより得られる油脂
油脂B:全構成脂肪酸中のベヘン酸含量が30.0〜60.0質量%である油脂
本発明の第3の発明は、油脂Bがハイエルシン菜種油の極度硬化油である第1の発明又は第2の発明に記載の油脂組成物である。
本発明の第4の発明は、第1の発明〜第3の発明のいずれか一つに記載の油脂組成物を用いたスプレッドである。
本発明の第5の発明は、第1の発明〜第3の発明のいずれか一つに記載の油脂組成物を用いたフィリングである。
本発明の第6の発明は、第4の発明に記載のスプレッドが、カップ又はチューブの容器に充填されたカップ又はチューブ容器入りスプレッドである。
本発明の第7の発明は、中鎖脂肪酸トリグリセリド30.0〜96.0質量%及びハイエルシン菜種油の極度硬化油4.0〜26.0質量%を含む混合油をエステル交換することにより得られる油脂50.0〜99.8質量%と、ハイエルシン菜種油の極度硬化油0.2〜10.0質量%とを溶解混合して得る油脂組成物の製造方法である。
本発明の第8の発明は、第1の発明〜第3の発明のいずれか一つに記載の油脂組成物を用いて、急冷混捏を行わずに製造するスプレッドの製造方法である。
本発明の第9の発明は、第1の発明〜第3の発明のいずれか一つに記載の油脂組成物を用いて、急冷混捏を行わずに製造するフィリングの製造方法である。
本発明により、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を含有し、可塑性及び口溶けに優れ、幅広い温度帯において固液分離せず、適度な硬さを有する油脂組成物を得ることができ、該油脂組成物をスプレッド及びフィリングに配合することで、前記諸特性を有する優れた品質のスプレッド及びフィリングを得ることができる。またその製造工程においては、急冷混捏を必要としないため、低コストで高品質なスプレッド及びフィリングを提供することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の油脂組成物は、油脂Aを50.0〜99.8質量%、及び油脂Bを0.2〜10.0質量%含有することを特徴とする。
ここで、油脂Aとは、少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドを含有する油脂であり、該油脂の全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量が30.0〜96.0質量%、ベヘン酸含量が2.0〜10.0質量%である油脂のことである。
また、油脂Bとは、全構成脂肪酸中のベヘン酸含量が30.0〜60.0質量%である油脂のことである。
油脂Aにさらに油脂Bを配合した本発明の油脂組成物を、スプレッド及びフィリングに用いると、得られるスプレッド及びフィリングの品質はより良好なものとなる。
油脂A中の、少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、2.8〜20.0質量%であることが好ましく、5.0〜17.0質量%であることがより好ましく、8.0〜14.0質量%であることが特に好ましい。
また、本発明の油脂組成物中の、少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、2.5〜19.9質量%であることが好ましく、4.5〜16.9質量%であることがより好ましく、7.2〜13.9質量%であることが特に好ましい。
油脂Aは、従来公知の方法に従ってエステル交換及び/又はエステル化により得られる。
従来公知のエステル交換としては、例えば、ナトリウムメトキシド等の無機触媒を使用した化学的なエステル交換、リパーゼ製剤等を使用した酵素によるエステル交換が挙げられるが、どちらの方法でも行うこともできる。また、エステル交換は、選択的エステル交換又は非選択的エステル交換のどちらの方法でも行うこともできる。
また、従来公知のエステル化としては、例えば、グリセリンと脂肪酸を用いたエステル化反応、グリセリンと脂肪酸エステルを用いたエステル化反応、グリセリンと油脂を用いたエステル化反応等が挙げられるが、いずれの方法でも行うこともできる。
前記の、少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドとは、具体的には、一分子のトリグセリド中の三つの構成脂肪酸の組み合わせが、中鎖脂肪酸/中鎖脂肪酸/ベヘン酸、中鎖脂肪酸/長鎖脂肪酸/ベヘン酸、及び中鎖脂肪酸/ベヘン酸/ベヘン酸である三つのものを挙げることができる。
なお、本発明において中鎖脂肪酸とは、炭素数6〜10の飽和脂肪酸、好ましくは炭素数8〜10の飽和脂肪酸のことを指し、長鎖脂肪酸とは、ベヘン酸を除く炭素数11以上の飽和又は不飽和脂肪酸のことを指す。
また、本発明の油脂組成物は、油脂Cを50.0〜99.8質量%、及び油脂Bを0.2〜10.0質量%含有することを特徴とする。油脂Cにさらに油脂Bを配合した本発明の油脂組成物を、スプレッド及びフィリングに用いると、得られるスプレッド及びフィリングの品質はより良好なものとなる。
ここで、油脂Cとは、中鎖脂肪酸トリグリセリド30.0〜96.0質量%及びハイエルシン菜種油の極度硬化油4.0〜26.0質量%を含む混合油をエステル交換することにより得られる中鎖脂肪酸エステル交換油のことである。このようにして得られる油脂Cは、前記油脂Aのうちの好ましいものの一つである。
また本発明において、中鎖脂肪酸トリグリセリドとは、トリグリセリド中の構成脂肪酸が、三分子とも中鎖脂肪酸である油脂のことである。
一方、油脂Bは、前記と同一である。
油脂A及び油脂Cの全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量は、30.0〜96.0質量%であるが、50.0〜91.0質量%であることが好ましく、71.0〜86.0質量%であることがより好ましい。
また、油脂A及び油脂Cの全構成脂肪酸中のベヘン酸含量は、2.0〜10.0質量%であるが、4.0〜8.0質量%であることが好ましく、5.0〜7.0質量%であることがより好ましい。
油脂Cは、中鎖脂肪酸トリグリセリド30.0〜96.0質量%及びハイエルシン菜種油の極度硬化油4.0〜26.0質量%を含む混合油をエステル交換することにより得られるが、この時の該混合油中における中鎖脂肪酸トリグリセリドの配合量は、50.0〜91.0質量%であることが好ましく、71.0〜86.0質量%であることがより好ましい。
また、前記混合油中におけるハイエルシン菜種油の極度硬化油の配合量は、6.0〜21.0質量%であることが好ましい。
中鎖脂肪酸トリグリセリド及びハイエルシン菜種油の極度硬化油を含む混合油をエステル交換する方法は、上記の従来公知の方法を適用すれば良い。
一方、ハイエルシン菜種油の極度硬化油中には、構成脂肪酸としてベヘン酸をはじめとする長鎖脂肪酸が含有されている。したがって、中鎖脂肪酸トリグリセリド及びハイエルシン菜種油の極度硬化油を含む混合油をエステル交換して得られる中鎖脂肪酸エステル交換油脂は、トリグセリド中に中鎖脂肪酸及びベヘン酸等の長鎖脂肪酸がエステルとしてランダムに分布したものである。
油脂組成物中における前記油脂A及び油脂Cの含量は、50.0〜99.8質量%であるが、70.0〜99.8質量%であることが好ましく、90.0〜99.8質量%であることがより好ましい。
本発明で用いる油脂Bとしては、ハイエルシン菜種油の極度硬化油を好ましいものとして挙げることができる。
また、油脂組成物中における前記油脂Bの含量は、0.2〜10.0質量%であるが、1.0〜9.0質量%であることが好ましい。
この場合、油脂A及び油脂C中の中鎖脂肪酸と油脂組成物中の油脂A及び油脂Cの含量から、油脂組成物中に含まれる中鎖脂肪酸の含量を算出すると、10.0〜95.0質量%であり、好ましくは35.0〜90.0質量%であり、より好ましくは64.0〜85.0質量%である。
また、油脂A、油脂B及び油脂C中のベヘン酸と油脂組成物中の油脂A、油脂B及び油脂Cの含量から、油脂組成物中に含まれるベヘン酸の含量を算出すると、2.0〜13.5質量%であり、好ましくは4.3〜9.9質量%であり、より好ましくは5.5〜8.6質量%である。
本発明の油脂組成物における炭素数16〜18の飽和脂肪酸含量は、2.0〜25.0質量%であることが好ましく、4.0〜20.0質量%であることがより好ましく、5.0〜15.0質量%であることが特に好ましい。
油脂組成物中の中鎖脂肪酸の含量が70.0質量%以下となる場合は、該油脂組成物がより適度な可塑性を有するように、不飽和脂肪酸としてリノール酸を5.0〜40.0質量%含有させることが好ましく、6.0〜30.0質量%含有させることがより好ましく、7.0〜25.0質量%含有させることが特に好ましい。
本発明の油脂組成物には、その機能を損なわない程度に必要に応じて、食用油脂製品に一般的に用いられている乳化剤、脱脂粉乳、糖類、抗酸化剤、色素及び香料等のその他の原料を配合することができる。その他の原料として具体的には、例えば、乳化剤であれば、HLBが3以下で融点が55℃以上のポリグセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
本発明の油脂組成物は、構成脂肪酸として中鎖脂肪酸を含有し、可塑性及び口溶けに優れ、幅広い温度帯において固液分離せず、適度な硬さを有するため、スプレッド及びフィリング用の油脂組成物として用いることができる。
本発明の油脂組成物をスプレッド及びフィリングに配合することで、得られるスプレッド及びフィリングは、可塑性及び口溶けに優れ、幅広い温度帯において固液分離せず、適度な硬さを有し、しかもスプレッド及びフィリング製造工程においては急冷混捏を必要としないものとなる。
スプレッド及びフィリング中の本発明の油脂組成物の含量は、30.0〜60.0質量%とすることが好ましく、35.0〜55.0質量%とすることがより好ましい。
また、本発明の油脂組成物を配合したスプレッドは、カップ又はチューブの容器に充填して好適に用いることができる。該スプレッドは、適度な硬さを有するため、カップ又はチューブへの充填を容易に行うことができ、充填後、冷蔵保存しても硬くなり過ぎることがないので、カップ又はチューブから容易に取り出すことができる。
本発明の油脂組成物は、油脂A50.0〜99.8質量%と、油脂B0.2〜10.0質量%とを溶解混合することで製造することができる。
ここで、油脂Aとは、少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドを含有する油脂であり、該油脂の全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量が30.0〜96.0質量%、ベヘン酸含量が2.0〜10.0質量%である油脂のことである。
また、油脂Bとは、全構成脂肪酸中のベヘン酸含量が30.0〜60.0質量%である油脂のことである。
油脂Aにさらに油脂Bを配合する本発明の製造方法により得られた油脂組成物を、スプレッド及びフィリングに用いると、得られるスプレッド及びフィリングの品質はより良好なものとなる。
油脂A中の、少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、2.8〜20.0質量%であることが好ましく、5.0〜17.0質量%であることがより好ましく、8.0〜14.0質量%であることが特に好ましい。
油脂Aの全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量は、30.0〜96.0質量%であるが、50.0〜91.0質量%であることが好ましく、71.0〜86.0質量%であることがより好ましい。
また、油脂Aの全構成脂肪酸中のベヘン酸含量は、2.0〜10.0質量%であるが、4.0〜8.0質量%であることが好ましく、5.0〜7.0質量%であることがより好ましい。
一方、油脂組成物の製造に際しては、油脂Aを50.0〜99.8質量%配合するが、70.0〜99.8質量%配合することが好ましく、90.0〜99.8質量%配合することがより好ましい。
また、油脂Bは、0.2〜10.0質量%配合するが、1.0〜9.0質量%配合することが好ましい。
油脂Aは、中鎖脂肪酸トリグリセリド30.0〜96.0質量%及びハイエルシン菜種油の極度硬化油4.0〜26.0質量%を含む混合油をエステル交換することにより好適に得られる。また、油脂Bとしては、ハイエルシン菜種油の極度硬化油を好適に用いることができる。
本発明の油脂組成物の製造方法としては、前記中鎖脂肪酸エステル交換油50.0〜99.8質量%と、ハイエルシン菜種油の極度硬化油0.2〜10.0質量%とを溶解混合する方法が好適である。
この時、エステル交換前の混合油中には、中鎖脂肪酸トリグリセリドを30.0〜96.0質量%配合するが、50.0〜91.0質量%配合することが好ましく、71.0〜86.0質量%配合することがより好ましい。
また、エステル交換前の混合油中には、ハイエルシン菜種油の極度硬化油を4.0〜26.0質量%配合するが、6.0〜21.0質量%配合することが好ましい。
一方、エステル交換前の混合油のエステル交換は、上記の従来公知の方法を適用すれば良い。
従来、スプレッド及びフィリングの製造工程においては、より品質を向上させるために急冷混捏を行うが、本発明の油脂組成物は、幅広い温度帯で均一に結晶化し十分な可塑性を有するため、該油脂組成物を配合してスプレッド及びフィリングを製造する工程においては、急冷混捏を省略することができる。一方、その他のスプレッド及びフィリングの製造工程には、従来公知の方法を適用できる。
急冷混捏を省略することで、コンビネーター及びボテーター等の特殊な機器を用いる必要がなくなり、さらに製造工程を簡略化できるため、高品質なスプレッド及びフィリングを低コストで製造することができる。
以下、具体的実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(参考例1、比較例1〜4)
中鎖脂肪酸エステル交換油を得るために中鎖脂肪酸トリグリセリドとエステル交換する極度硬化油の選定を行った。
全構成脂肪酸中炭素数8の飽和脂肪酸を約75質量%、炭素数10の飽和脂肪酸を約25質量%含有している中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:「ODO」、日清オイリオグループ株式会社製)、コーン油(商品名:「日清コーン油」、日清オイリオグループ株式会社製)、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(商品名:「ハイエルシン菜種極度硬化油」、横関油脂工業株式会社製、融点60℃、全構成脂肪酸中のベヘン酸含量45〜46質量%)、菜種油の極度硬化油(商品名:「菜種極度硬化油」、横関油脂工業株式会社製、融点67℃)及びパーム油の極度硬化油(商品名:「パーム極度硬化油」、横関油脂工業株式会社製、融点58℃)を原料として用い、表1に示す質量比で混合して混合油とした後、70℃に加温した混合油に対して0.2質量%のリパーゼ製剤(商品名:「リパーゼQLM」、名糖産業株式会社製)を添加し、70℃にて混合油を撹拌することでリパーゼ製剤を均一に分散させながら16時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、リパーゼ製剤を濾別し、常法に従い脱色、脱臭の精製処理を行い、参考例1、比較例1〜4の中鎖脂肪酸エステル交換油を得た。各中鎖脂肪酸エステル交換油中の少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、12.8質量%(参考例1)、0質量%(比較例1〜4)であった。
参考例1、比較例1〜4の中鎖脂肪酸エステル交換油30gをそれぞれサンプル瓶に詰め、各サンプル瓶を加温して中鎖脂肪酸エステル交換油の結晶を完全に溶解させ、60℃で1時間加温した後、30℃の恒温槽に移し、30℃で1日間静置保存後の各中鎖脂肪酸エステル交換油の結晶化の状態を観察した。結果を表1に示す。
また、参考例1、比較例1〜4の中鎖脂肪酸エステル交換油の各温度における固体脂含量(以下、SFCと略記)を、基準油脂分析法の「暫1−1996 固体脂含量 NMR法」に従って測定した。さらに、参考例1、比較例1〜4の中鎖脂肪酸エステル交換油中の脂肪酸含量をガスクロマトグラフ法で測定した。その結果をあわせて表1に示す。
Figure 0004874616
表1から分かるように、原料にハイエルシン菜種油の極度硬化油を15質量%使用した参考例1の中鎖脂肪酸エステル交換油は、30℃で結晶が均一に分散し、固液分離を起こさなかったことから、スプレッド又はフィリング用油脂のベース油として好ましいものであった。
一方、原料に菜種油の極度硬化油を15質量%使用した比較例1の中鎖脂肪酸エステル交換油は、30℃で結晶の沈殿を起こし、また、原料にパーム油の極度硬化油を15質量%使用した比較例2の中鎖脂肪酸エステル交換油は、30℃では透明で結晶量が不足していた。また、原料の菜種油の極度硬化油、パーム油の極度硬化油を31質量%まで増量した比較例3及び4の中鎖脂肪酸エステル交換油は、結晶の沈殿を起こした。
スプレッド又はフィリング用油脂のベース油は、油脂が固液分離しないことが必要であることから、中鎖脂肪酸エステル交換の原料に使用するのに適した極度硬化油は、ハイエルシン菜種油の極度硬化油であることが確認された。
(実施例1)
全構成脂肪酸中炭素数8の飽和脂肪酸を約75質量%、炭素数10の飽和脂肪酸を約25質量%含有している中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:「ODO」、日清オイリオグループ株式会社製)85質量%と、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(商品名:「ハイエルシン菜種極度硬化油」、横関油脂工業株式会社製、融点60℃、全構成脂肪酸中のベヘン酸含量45〜46質量%)15質量%とを混合して混合油とした後、70℃に加温した混合油に対して0.2質量%のリパーゼ製剤(商品名:「リパーゼQLM」、名糖産業株式会社製)を添加し、70℃にて混合油を撹拌することでリパーゼ製剤を均一に分散させながら16時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、リパーゼ製剤を濾別し、常法に従い脱色、脱臭の精製処理を行い、中鎖脂肪酸エステル交換油を得た(中鎖脂肪酸エステル交換油の脂肪酸含量:中鎖脂肪酸84.8質量%、ベヘン酸6.9質量%、パルミチン酸0.6質量%、ステアリン酸6.3質量%、その他の脂肪酸1.4質量%、中鎖脂肪酸エステル交換油中の少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量:12.6質量%)。
得られた中鎖脂肪酸エステル交換油96質量%とハイエルシン菜種油の極度硬化油4質量%とを混合し、実施例1の油脂組成物を得た。実施例1の油脂組成物中の、少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、12.1質量%であった。
(比較例5及び比較例6)
全構成脂肪酸中炭素数8の飽和脂肪酸を約75質量%、炭素数10の飽和脂肪酸を約25質量%含有している中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:「ODO」、日清オイリオグループ株式会社製)88質量部と、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(商品名:「ハイエルシン菜種極度硬化油」、横関油脂工業株式会社製、融点60℃、全構成脂肪酸中のベヘン酸含量45〜46質量%)12質量部とを混合して、比較例5の油脂組成物を得た。
さらに、前記中鎖脂肪酸トリグリセリド92質量部と前記ハイエルシン菜種油の極度硬化油8質量部とを混合して、比較例6の油脂組成物を得た。比較例5及び6の油脂組成物中の少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、いずれも0質量%であった。
(比較例7)
菜種油(商品名:「日清キャノーラ油」、日清オイリオグループ株式会社製)92質量部とハイエルシン菜種油の極度硬化油(商品名:「ハイエルシン菜種極度硬化油」、横関油脂工業株式会社製、融点60℃、全構成脂肪酸中のベヘン酸含量45〜46質量%)8質量部とを混合して、比較例7の油脂組成物を得た。比較例7の油脂組成物中の少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、0質量%であった。
実施例1、比較例5〜7の油脂組成物30gをそれぞれサンプル瓶に詰め、各サンプル瓶を加温して油脂組成物の結晶を完全に溶解させ、60℃で1時間加温した後、30℃の恒温槽に移し、30℃で1日間静置保存後の各油脂組成物の結晶化の状態を観察した。結果を表2に示す。
また、実施例1、比較例5〜7の油脂組成物の各温度におけるSFCを参考例1と同様の方法で測定した。さらに、実施例1、比較例5〜7の油脂組成物中の脂肪酸含量を参考例1と同様の方法で測定した。その結果をあわせて表2に示す。
Figure 0004874616
(実施例2、比較例8〜10)
さらに、実施例1、比較例5〜7の油脂組成物の特性を評価するために、油脂に実施例1、比較例5〜7の油脂組成物を用いて、表3に示す配合量で急冷混捏を行うことなく、きな粉スプレッドを製造した。
具体的には、油脂以外の固形分である粉糖、脱脂粉乳及びきな粉をボールに採り、溶かした状態の油脂を1/3量加えて混ぜ合わせた後、ローラーに通して粉砕、微粉末化した。微粉末化した粉体をボールに採り、湯せんした状態で、乳化剤を溶解させた残り2/3量の油脂を溶かした状態で少量ずつ加えながら、攪拌した。全体が十分に混ざり合った状態で湯せんを外し、氷水浴にて20℃まで攪拌しながら冷却し、実施例2、比較例8〜10のきな粉スプレッドを得た。得られた実施例2、比較例8〜10のきな粉スプレッドを、チューブ容器に充填した。
Figure 0004874616
そして、スプレッドを充填したチューブ容器を20℃で1週間保存後、チューブ容器からスプレッドを絞り出したときの状態とスプレッドの口溶けを以下に示す基準に従って評価した。また、チューブ容器を20℃で1週間保存後、さらに5℃で1週間保存したスプレッドついても、同様の評価を行った。結果を表4に示す。
<スプレッドの評価基準>
固液分離の状態:
固液分離が無く良好である ○
スプレッド表面に液状油が滲んでいる △
絞り出し時に分離した液状油が出る ×
絞り目の状態:
絞り目が綺麗に出ている ○
絞り目が緩んでいる △
絞り目が崩れている ×
口溶け:
異物感が残らず良好 ○
異物感がやや残る △
異物感が残るまたは固液分離で評価不能 ×
Figure 0004874616
表2及び表4の評価結果から分かるように、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合した比較例6の油脂組成物は、菜種油を配合した比較例7の油脂組成物よりも固液分離しやすく、スプレッドについても、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合した油脂組成物を使用した比較例9のスプレッドは、菜種油を配合した油脂組成物を使用した比較例10のスプレッドよりも固液分離しやすく、スプレッドの絞り目の状態及び口溶けも悪いものであった。
また、比較例6の油脂組成物よりもハイエルシン菜種油の極度硬化油の配合量を増やした比較例5の油脂組成物は、結晶が均一に分散したが、比較例5の油脂組成物を使用した比較例8のスプレッドの固液分離は改善されるが十分満足できるものではなく、スプレッドの口溶けについても十分満足できるものでなかった。
一方、中鎖脂肪酸トリグリセリドをエステル交換して得られた中鎖脂肪酸エステル交換油を配合した実施例1の油脂組成物は、結晶が均一に分散し、また、実施例1の油脂組成物を使用した実施例2のスプレッドは、固液分離、絞り目の状態及び口溶けのいずれもが十分に良好なものであった。
(実施例3、比較例11)
全構成脂肪酸中炭素数8の飽和脂肪酸を約75質量%、炭素数10の飽和脂肪酸を約25質量%含有している中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:「ODO」、日清オイリオグループ株式会社製)60質量部と、コーン油(商品名:「日清コーン油」、日清オイリオグループ株式会社製)28質量部と、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(商品名:「ハイエルシン菜種極度硬化油」、横関油脂工業株式会社製、融点60℃、全構成脂肪酸中のベヘン酸含量45〜46質量%)12質量部とを混合して混合油とした後、70℃に加温した混合油に対して0.2質量%のリパーゼ製剤(商品名:「リパーゼQLM」、名糖産業株式会社製)を添加し、70℃にて混合油を撹拌することでリパーゼ製剤を均一に分散させながら16時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、リパーゼ製剤を濾別し、常法に従い脱色、脱臭の精製処理を行い、比較例11の中鎖脂肪酸エステル交換油を得た。
比較例11の中鎖脂肪酸エステル交換油の脂肪酸含量を、参考例1と同様の方法で測定したところ、中鎖脂肪酸(オクタン酸、デカン酸)59.7質量%、ベヘン酸5.5質量%、パルミチン酸3.6質量%、ステアリン酸5.7質量%、オレイン酸8.9質量%、リノール酸14.5質量%、その他の脂肪酸2.1質量%であった。また、中鎖脂肪酸エステル交換油中の少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は10.1質量%であった。
得られた中鎖脂肪酸エステル交換油とハイエルシン菜種油の極度硬化油とを表5に示す質量比で混合し、実施例3の油脂組成物を得た。
実施例3の油脂組成物の脂肪酸含量を、参考例1と同様の方法で測定したところ、中鎖脂肪酸(オクタン酸、デカン酸)59.4質量%、ベヘン酸6.0質量%、パルミチン酸3.6質量%、ステアリン酸5.8質量%、オレイン酸8.7質量%、リノール酸14.3質量%、その他の脂肪酸2.2質量%であった。また、少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、10.0質量%であった。
実施例3の油脂組成物、比較例11の中鎖脂肪酸エステル交換油30gをそれぞれサンプル瓶に詰め、各サンプル瓶を加温して油脂組成物の結晶を完全に溶解させ、60℃で1時間加温した後、30℃の恒温槽に移し、30℃で1日間静置保存後の各油脂組成物の結晶化の状態を観察した。結果を表5に示す。
また、実施例3の油脂組成物、比較例11の中鎖脂肪酸エステル交換油の脂肪酸含量を参考例1と同様の方法で測定した。
Figure 0004874616
(実施例4、比較例12)
中鎖脂肪酸エステル交換油にハイエルシン菜種油の極度硬化油を少量添加することの必要性を評価するために、油脂に実施例3、比較例11の油脂組成物を用いて、表6に示す配合量で急冷混捏を行うことなく、チョコレートスプレッドを製造した。
具体的には、油脂以外の固形分である粉糖、全粉乳、ココア、カカオマスをボールに採り、溶かした状態の油脂を1/3量加えて混ぜ合わせた後、ローラーに通して粉砕、微粉末化した。微粉末化した粉体をボールに採り、湯せんした状態で、乳化剤を溶解させた残り2/3量の油脂を溶かした状態で少量ずつ加えながら、攪拌した。全体が十分に混ざり合った状態で湯せんを外し、氷水浴にて20℃まで攪拌しながら冷却し、実施例4、比較例12のチョコレートスプレッドを得た。得られた実施例4、比較例12のチョコレートスプレッドは、カップ容器に充填した。
Figure 0004874616
そして、スプレッドを充填したカップ容器を20℃で1週間保存後、スプレッドの状態を評価した。また、カップ容器を20℃で1週間保存後、さらに5℃で1週間保存したスプレッドついても、同様の評価を行った。結果を表7に示す。
Figure 0004874616
表5及び表7から分かるように、比較例11の中鎖脂肪酸エステル交換油は、結晶が均一に分散したが、比較例11の中鎖脂肪酸エステル交換油を使用した比較例12のスプレッドは、5℃で1週間保存することによりに粒が発生し、品質上好ましくないものとなった。
一方、中鎖脂肪酸エステル交換油にハイエルシン酸菜種油の極度硬化油を少量添加した実施例3の油脂組成物は、結晶が均一に分散した。また、実施例3の油脂組成物を使用した実施例4のスプレッドは、5℃で1週間保存しても、加えてさらに20℃で1週間保存しても、いずれも組織状態が良好であり、品質上好ましいものであった。
(実施例5及び6、比較例13及び14)
全構成脂肪酸中炭素数8の飽和脂肪酸を約75質量%、炭素数10の飽和脂肪酸を約25質量%含有している中鎖脂肪酸トリグリセリド(商品名:「ODO」、日清オイリオグループ株式会社製)と、コーン油(商品名:「日清コーン油」、日清オイリオグループ株式会社製)と、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(商品名:「ハイエルシン菜種極度硬化油」、横関油脂工業株式会社製、融点60℃、全構成脂肪酸中のベヘン酸含量45〜46質量%)とを原料として用い、表8に示す質量比で混合して混合油とした後、70℃に加温した混合油に対して0.2質量%のリパーゼ製剤(商品名:「リパーゼQLM」、名糖産業株式会社製)を添加し、70℃にて混合油を撹拌することでリパーゼ製剤を均一に分散させながら16時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、リパーゼ製剤を濾別し、常法に従い脱色、脱臭の精製処理を行い、各中鎖脂肪酸エステル交換油を得た。各中鎖脂肪酸エステル交換油中の脂肪酸含量も表8に示す。なお、中鎖脂肪酸エステル交換油中の少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、6.0質量%(実施例5)、16.9質量%(実施例6)、2.6質量%(比較例13)、24.2質量%(比較例14)であった。
各中鎖脂肪酸エステル交換油とハイエルシン菜種油の極度硬化油を表9の質量比で混合し、実施例5及び6、比較例13及び14の油脂組成物を得た。油脂組成物中の、少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドの含量は、5.6質量%(実施例5)、16.9質量%(実施例6)、2.4質量%(比較例13)、24.1質量%(比較例14)であった。
Figure 0004874616
実施例5及び6、比較例13及び14の油脂組成物30gをそれぞれサンプル瓶に詰め、各サンプル瓶を加温して油脂組成物の結晶を完全に溶解させ、60℃で1時間加温した後、30℃の恒温槽に移し、30℃で1日間静置保存後の各油脂組成物の結晶化の状態を観察した。結果を表9に示す。
また、実施例5及び6、比較例13及び14の油脂組成物中の脂肪酸含量を参考例1と同様の方法で測定した。その結果をあわせて表9に示す。
Figure 0004874616
(実施例7及び8、比較例15及び16)
中鎖脂肪酸エステル交換油中のベヘン酸含量を検討するために、油脂に実施例5及び6、比較例13及び14の油脂組成物を用いて、表10に示す配合量で急冷混捏を行うことなく、ピーナツスプレッドを製造した。
具体的には、油脂以外の固形分である粉糖、脱脂粉乳、ピーナツペーストをボールに採り、溶かした状態の油脂を1/3量加えて混ぜ合わせた後、ローラーに通して粉砕、微粉末化した。微粉末化した粉体をボールに採り、湯せんした状態で、乳化剤を溶解させた残り2/3量の油脂を溶かした状態で少量ずつ加えながら、攪拌した。全体が十分に混ざり合った状態で湯せんを外し、氷水浴にて20℃まで攪拌しながら冷却し、実施例7及び8、比較例15及び16のピーナツスプレッドを得た。
得られた実施例7と比較例15のピーナツスプレッドはチューブ容器に充填し、実施例8と比較例16のピーナツスプレッドはカップ容器に充填した。
Figure 0004874616
そして、スプレッドを充填したチューブ容器及びカップ容器を20℃で1週間保存後、チューブ容器に充填したスプレッドは実施例1の評価と同様の評価を行い、カップ容器に充填したスプレッドはスプレッドの状態、硬さ及び口溶けを評価した。また、チューブ容器及びカップ容器を20℃で1週間保存後、さらに5℃で1週間保存したスプレッドついても、同様の評価を行った。結果を表11に示す。
Figure 0004874616
表8、表9及び表11から分かるように、中鎖脂肪酸エステル交換油中のベヘン酸含量が2質量%に満たない比較例13の油脂組成物は、固液分離気味であり、また、比較例13の油脂組成物を使用した比較例15のチューブ容器入りスプレッドは、20℃保存で液体油の滲み及び絞り目の崩れが認められ、5℃保存でも液体油の滲み及び絞り目の緩みが認められ、共に満足の行く品質ではなかった。
一方、中鎖脂肪酸エステル交換油中のベヘン酸含量が2〜10質量%の範囲内である実施例5の油脂組成物は、結晶が均一に分散し、実施例5の油脂組成物を使用した実施例7のチューブ容器入りスプレッドも、20℃及び5℃での保存で共に満足の行く品質であった。
また、中鎖脂肪酸エステル交換油中のベヘン酸含量が10質量%を超える比較例14の油脂組成物は、結晶が均一に分散したが、比較例14の油脂組成物を使用した比較例16のカップ容器入りスプレッドは、20℃保存で口溶けが悪く、5℃保存でも口溶けが悪い上にスプレッドが硬くなりすぎ、共に満足の行く品質ではなかった。
一方、中鎖脂肪酸エステル交換油中のベヘン酸含量が2〜10質量%の範囲内である実施例6の油脂組成物は、結晶が均一に分散し、実施例6の油脂組成物を使用した実施例8のカップ容器入りスプレッドも、20℃及び5℃での保存で共に満足の行く品質であった。
以上のように、本発明の油脂組成物は、可塑性及び口溶けに優れ、幅広い温度帯において固液分離せず、適度な硬さを有し、スプレッド及びフィリング用油脂組成物として優れ た品質を有することが確認された。
また、該油脂組成物を配合することで、製造工程において、急冷混捏を必要とせず、前記諸特性を有する優れた品質のスプレッド及びフィリングを得られることが確認された。
本発明の油脂組成物を用いることで、優れた品質のスプレッド及びフィリングを低コストで幅広く供給できるため、本発明は種々の産業界に有用なものである。

Claims (9)

  1. 油脂Aを50.0〜99.8質量%、及び油脂Bを0.2〜10.0質量%含有する油脂組成物。
    油脂A:少なくとも中鎖脂肪酸及びベヘン酸を構成脂肪酸とするトリグセリドを含有する油脂であり、該油脂の全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含量が30.0〜96.0質量%、ベヘン酸含量が2.0〜10.0質量%である油脂
    油脂B:全構成脂肪酸中のベヘン酸含量が30.0〜60.0質量%である油脂
  2. 油脂Cを50.0〜99.8質量%、及び油脂Bを0.2〜10.0質量%含有する油脂組成物。
    油脂C:中鎖脂肪酸トリグリセリド30.0〜96.0質量%及びハイエルシン菜種油の極度硬化油4.0〜26.0質量%を含む混合油をエステル交換することにより得られる油脂
    油脂B:全構成脂肪酸中のベヘン酸含量が30.0〜60.0質量%である油脂
  3. 油脂Bがハイエルシン菜種油の極度硬化油である請求項1又は2に記載の油脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の油脂組成物を用いたスプレッド。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の油脂組成物を用いたフィリング。
  6. 請求項4に記載のスプレッドが、カップ又はチューブの容器に充填されたカップ又はチューブ容器入りスプレッド。
  7. 中鎖脂肪酸トリグリセリド30.0〜96.0質量%及びハイエルシン菜種油の極度硬化油4.0〜26.0質量%を含む混合油をエステル交換することにより得られる油脂50.0〜99.8質量%と、ハイエルシン菜種油の極度硬化油0.2〜10.0質量%とを溶解混合して得る油脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の油脂組成物を用いて、急冷混捏を行わずに製造するスプレッドの製造方法。
  9. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の油脂組成物を用いて、急冷混捏を行わずに製造するフィリングの製造方法。
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