JP4869622B2 - 貼り合わせウエーハの製造方法及びそれに用いる剥離用治具 - Google Patents
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しかし、ベースウエーハとボンドウエーハを貼り合わせたとき外周には未結合部が生じているが、イオン注入層に楔を挿入するとなると、特に未結合部が狭い場合には楔によって活性層にダメージを与える可能性が極めて高い。
また、イオン注入層は極めて薄い層であるので、その部分に楔を挿入したり、ガス噴射を行うことは極めて困難である。
このようなスライド式の治具30では剥離作業を比較的容易に行うことができるが、自重により剥離を行うため、スムーズに剥離しない場合や、得られた貼り合わせウエーハの表面(活性層)にパーティクルが局所的に異常に付着している場合がある。
イオン注入されたウエーハ、すなわちボンドウエーハをベースウエーハから引き離すようにしてイオン注入層で剥離させれば、貼り合わせウエーハ等へのダメージを確実に防ぐことができるとともに、より容易に剥離を行うことができる。
すなわち、ボンドウエーハの外側領域を真空吸着すれば、一層容易に剥離させることができる。
ボンドウエーハを非対称に吸着すれば、対称に吸着して剥離する場合よりも弱い力で剥離させることができる。
ボンドウエーハとしてシリコンウエーハを用いた貼り合わせウエーハは需要が高く、本発明を適用することで、例えばSOI層にダメージが無く、パーティクルの付着も極めて抑制された高品質の貼り合わせSOIウエーハを製造することができる。
すなわち、ウエーハ吸着用ステージに位置決め用のピンを設けた治具であれば、剥離前のウエーハを所定の位置で確実に吸着することができ、剥離作業を一層容易に行うことができるものとなる。
ボンドウエーハの外側領域を吸着する位置、あるいはボンドウエーハの中心を基準として非対称に吸着する位置に吸盤が設けられていれば、小さい力で容易に剥離させることができるものとなる。
このような突出部を設けておけば、吸着用ステージと吸着盤とを一定の距離に近づけてそれぞれウエーハを確実に吸着することができ、ウエーハにウエーハ吸着盤が衝突してキズを付けてしまうこともなく、剥離作業を一層容易にかつ確実に行うことができるものとなる。
なお、吸着用ステージ2及び吸着盤3のそれぞれの本体の材質は、ウエーハ8(8a,8b)を汚染しないものであれば特に限定されず、プラスチック、セラミックス等を使用でき、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製のものを好適に使用できる。
この剥離用治具11も、ウエーハ吸着用ステージ12とウエーハ吸着盤13とを具備している。吸着用ステージ12の吸着面には、ウエーハ8aを真空吸着するための溝(不図示)とO−リング6が設けられている。また、O−リング6の外側には、吸着すべきウエーハ8aを位置決めするためのピン16が設けられている。なお、位置決め用のピン16は、図1で示した接触回避用の突出部5と兼用させてもよい。
ウエーハ吸着盤13には、図1の吸着盤3と同様、吸盤17a,17bが、吸着すべきウエーハ8bの中心から半径の3分の2より外側となる領域を非対称に吸着する位置に設けられている。
まず、支持基板となるベースウエーハ21と、デバイスが形成されるボンドウエーハ22として2枚の鏡面化されたシリコンウエーハを用意する(図5(a))。
そして、少なくとも一方のウエーハ、ここではボンドウエーハ22を熱酸化し、表面に例えば0.1μm〜2.0μm厚の酸化膜23を形成する(図5(b))。
貼り合わされたベースウエーハ21とボンドウエーハ22に対し、例えば、不活性ガス雰囲気下約500℃の熱処理(剥離熱処理)を施す。このような剥離熱処理により、イオン注入層24において原子レベルでの割れが生じる。そこで、完全に剥離させるため、本発明に係る剥離用治具1を用いる。例えば、ベースウエーハ21側を吸着用ステージ2で真空吸着し、ボンドウエーハ22側を吸着盤3で真空吸着する。次いで、吸着用ステージ2を固定した状態で吸着盤3を引上げてボンドウエーハ22をベースウエーハ21から引き離す。これにより吸盤7a,7bに吸着されたボンドウエーハ22の外側領域が反る形でボンドウエーハ22内のイオン注入層24を境界として剥離させることができる。
なお、剥離の際、ベースウエーハ21をボンドウエーハ22から引き離すようにしてもよいし、両ウエーハ21,22を互いに引き離すようにして剥離を行ってもよい。
貼り合わせ後のボンドウエーハとベースウエーハは、外周部において一般的に1mm〜2mm程度の幅の未結合部が生じているが、本発明に係る剥離用治具1では、ボンドウエーハの側面からイオン注入層を狙って楔等を差し込むことも無いので、ベースウエーハ21上に形成された酸化膜23とSOI層27、あるいは貼り合わせウエーハ26にダメージやキズを与えることもない。また、両ウエーハを真空吸着した上で強制的に引き離すので、イオン注入層で容易にかつ確実に剥離させることができ、パーティクルの付着が極めて抑制された貼り合わせウエーハ26を製造することができる。
また、ボンドウエーハ22の中心を基準に対称にあるいは全周を吸着してもよいが、中心を基準に対称にあるいは全周を吸着した場合よりも非対称に吸着した場合の方が弱い力で容易に剥離させることができる。
(実施例)
直径200mmのシリコンウエーハを用い、図5に示したフローに従ってSOIウエーハを製造した。
具体的には、ボンドウエーハに水素イオンを注入し、ベースウエーハと貼り合わせた後、剥離熱処理(アルゴンガス雰囲気、約500℃、30分間)を施した。次いで、図1に示したような剥離用治具1を用い、ベースウエーハ側を吸着用ステージで真空吸着し、さらに、ボンドウエーハ側の外縁から10mm以内の領域を吸着盤で真空吸着した。そして、吸着用ステージを固定した状態で吸着盤を引上げることによりボンドウエーハをベースウエーハから引き離すようにしてボンドウエーハ内のイオン注入層を境界として剥離させた。
図6(A)は48枚のSOIウエーハのパーティクル数と度数を示している。図6(A)に見られるように、43枚(約90%)のSOIウエーハではパーティクル数は5個以下であり、残りの5枚でもパーティクル数は最大8個であった。平均パーティクル数は2.6個であった。
また、図7(A)は吸盤の位置とパーティクルの発生状況の一例を示している。パーティクルの局所的な異常発生は見られなかった。
実施例と同様のシリコンウエーハを用いて貼り合わせ及び剥離熱処理を行った後、図8に示したようなスライド式の治具30を用いて剥離を行った。得られた貼り合わせウエーハのSOI層上のパーティクル(0.5μm以上)をカウントした。
図6(B)は132枚のSOIウエーハのパーティクル数と度数を示している。55枚(約42%)ではパーティクル数が5個以下であったが、36枚(約27%)では6〜10個、残りのウエーハでは11個以上カウントされ、最大185個のパーティクルがカウントされた。平均パーティクル数は13.3個であった。
また、図7(B)はパーティクルの発生状況の一例を示している。局所的にパーティクルが異常発生していることがわかる。
また、剥離熱処理後の貼り合わせウエーハを垂直に支持した状態で水平方向から吸着及び剥離を行ってもよい。
Claims (8)
- 少なくとも、デバイスが形成されるウエーハにイオン注入することにより内部にイオン注入層を形成する工程と、該ウエーハのイオン注入した側の面を支持基板となる他のウエーハと貼り合わせる工程と、前記貼り合わされたウエーハに対して熱処理を施し、前記イオン注入層を境界として剥離させる工程を含む貼り合わせウエーハの製造方法において、前記剥離工程として、前記熱処理を施した後、前記イオン注入されたウエーハと支持基板となるウエーハをそれぞれ真空吸着し、該真空吸着の際、前記イオン注入されたウエーハを、該ウエーハの中心から半径の3分の2より外側となる領域を真空吸着し、少なくとも一方のウエーハを引き離すようにして前記イオン注入層を境界として剥離させることを特徴とする貼り合わせウエーハの製造方法。
- 前記イオン注入されたウエーハを前記支持基板となるウエーハから引き離すようにして前記イオン注入層を境界として剥離させることを特徴とする請求項1に記載の貼り合わせウエーハの製造方法。
- 前記イオン注入されたウエーハを、該ウエーハの中心を基準として非対称に吸着することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貼り合わせウエーハの製造方法。
- 前記イオン注入するウエーハとして、シリコンウエーハを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の貼り合わせウエーハの製造方法。
- 内部にイオン注入層が形成されたウエーハを支持基板となるウエーハと貼り合わせた後、前記イオン注入層を境界として剥離させるために使用する治具であって、少なくとも、いずれか一方のウエーハを真空吸着するための吸着手段を有するウエーハ吸着用ステージと、他方のウエーハを真空吸着するための吸盤を有するウエーハ吸着盤とを具備し、該ウエーハ吸着盤の吸盤が、吸着すべきウエーハの中心から半径の3分の2より外側となる領域を吸着する位置に設けられていることを特徴とする剥離用治具。
- 前記ウエーハ吸着用ステージのウエーハを吸着する側の面に、吸着すべきウエーハを位置決めするためのピンが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の剥離用治具。
- 前記ウエーハ吸着盤の吸盤が、吸着すべきウエーハを該ウエーハの中心を基準として非対称に吸着する位置に設けられていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の剥離用治具。
- 前記ウエーハ吸着用ステージ及びウエーハ吸着盤の少なくとも一方のウエーハを吸着する側の面に、前記剥離を行う際に前記ウエーハ吸着用ステージとウエーハ吸着盤とが一定の距離以下に近づくことを回避するための突出部が設けられていることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の剥離用治具。
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