JP4866382B2 - 複合金属ガラス水素分離膜及びその製造方法 - Google Patents
複合金属ガラス水素分離膜及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4866382B2 JP4866382B2 JP2008077292A JP2008077292A JP4866382B2 JP 4866382 B2 JP4866382 B2 JP 4866382B2 JP 2008077292 A JP2008077292 A JP 2008077292A JP 2008077292 A JP2008077292 A JP 2008077292A JP 4866382 B2 JP4866382 B2 JP 4866382B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- separation membrane
- metal glass
- hydrogen
- hydrogen separation
- composite metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
- Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
Description
従来、このようなメンブレンとして、水素吸蔵性を有するパラジウム合金(Pd−Ag等)箔が使用されていた。パラジウム合金箔は優れた水素透過性を有しているが、パラジウムは比較的高価であるため、パラジウム合金箔よりも安価な材料から成る代替製品が求められている。そして、パラジウム合金の代替材料としてバナジウム合金やニオブ合金が検討されてきた(例えば特許文献1〜4参照)。
尚、ニオブ合金箔については、これまでに、耐水素脆化性を高めるためにTa、Co、Mo、Ni等を添加することが知られているが(上記特許文献4参照)、例えばNiの場合、冷間圧延法によりニオブ合金箔を製造する際、ニオブに対するNiの割合が10〜20重量%を越えると水素透過性が著しく低下するという問題点があった。
上記課題は、耐水素脆性に優れた金属ガラス母相に、高水素透過性能を有するNb、Ta、V、Ti粒子が分散した複合組織を有し、非Pdを主成分とする水素分離膜によって解決することが可能である。
尚、本発明では、上記添加金属が添加される金属ガラス母相としては、Ni系合金、Co系合金又はCu系合金が好適であり、具体的な合金組成としては、Ni−Nb−Ti−Zr系、Ni−Nb−Zr系、Co−Zr−Nb−B系、Co−B−Si−Nb系、Cu−Zr−Ti系、Cu−Hf−Ti系等が挙げられる。
図1の左側に示されたホットプレス法にあっては、上述の混合物(粉末)を超硬合金等で作られたダイに詰め、チャンバー内部でヒーターにより昇温し、上下のパンチを介して圧力をかけて、圧粉成形した試料を得る。一方、図1の右側に示された放電プラズマ焼結法にあっては、上述の混合物を超硬合金等で作られたダイに詰め、上下のパンチを介してパルス電流を与えて、放電プラズマにより発生した熱およびパンチによる加圧により、圧粉成形を行う。この放電プラズマ焼結法は、ホットプレス法と比較して、昇温時間が短く、より低温で相対密度の高い試料が得られる可能性があるため、金属ガラス相の結晶化を避ける上で都合がよいと考えられる。
使用する金属ガラスのガラス遷移温度に対し、作製温度が低すぎると、金属ガラスの粘性流動が十分に得られず、密に詰まった試料を得ることができず、結果としてピンホールのない良好な分離膜を得ることができない。一方、作製温度が高すぎると、先述のように金属ガラス相の結晶化を招くため、結晶化の生じない範囲とすることが必要となる。よって使用する金属ガラスにより、最適な温度範囲が存在すると考えられる。また、結晶化を防ぐという観点から、押し固める際の時間も重要で、最高温度で長時間保持しないことが望まれる。望ましくは最高温度での保持時間が5分以下となるように作製条件を設定する必要がある。圧力に関しては、低すぎると十分な相対密度が得られないため、高圧にする方が望ましいが、装置が大規模になってしまう問題も生じるため、作製温度との兼ね合いも考慮して特には限定しない。
このようにして得られた本発明の複合金属ガラス水素分離膜は、高い相対密度を有しており、水素分離膜として十分に使用可能な緻密性を有している。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
ガスアトマイズ法で作製した平均粒径20μmのCu60Zr30Ti10金属ガラス粉末と市販のNb粉末を表1のような割合となるようそれぞれ秤量した後、乳鉢を用いて十分混合した。混合した粉末を、超硬合金製のダイに詰め、ホットプレス(HP)装置の炉内にセットした。真空引き後、Arを導入して不活性雰囲気とした状態で昇温した。Cu60Zr30Ti10金属ガラスの過冷却液体領域近傍である440℃において、圧力470,780MPaで粉末を押し固め、外径20mm、高さ5mmのコイン状の試料を得た。得られた試料は、密度測定、組織観察を行った。
その結果、圧力470MPaの条件では、Nb添加量の多いNo.5について十分な相対密度が得られず、組織観察でも空隙が数多く観察された。一方、780MPaでは、No.1〜5全ての試料で97%以上の高い相対密度が得られ、組織観察でも密な組織を有していることを確認し、水素分離膜として十分に使用可能な緻密性を有していることが確認された。
ガスアトマイズ法で作製した平均粒径20μmのCu60Zr30Ti10金属ガラス粉末と市販のNb粉末を表1のような割合となるようそれぞれ秤量した後、乳鉢を用いて十分混合した。混合した粉末を、超硬合金製のダイに詰め、放電プラズマ焼結(SPS)装置内にセットした。Cu60Zr30Ti10金属ガラスの過冷却液体領域近傍である400、420℃において、圧力600MPaの条件で粉末を焼結し、外径20mm、高さ5mmのコイン状の試料を得た。得られた試料は、密度測定、組織観察を行った。さらにこの試料から、厚さ0.2〜0.3mmの薄い円盤状試料を切り出し、機械研磨後、表面にPdの表面処理を施した後、実際に水素ガスを透過させるガス透過法により、水素透過性能を評価した。
図2は、SPS法で作製したCu−Zr−Ti+Nbの水素透過性能を示すグラフであり、図3は、HP法及びSPS法で作製したCu−Zr−Ti+Nbの相対密度を示すグラフである。
その結果、温度400℃では、Nb添加量の高い試料でやや相対密度が低い傾向が認められたが、420℃では97%以上の高い相対密度が得られた。またその透過性能を評価したところ、Nb添加量が40wt%以上のNo.4、5については、水素脆化が起因と考えられる膜の破損により、透過性能評価に至らなかったが、30wt%までの試料については評価が可能であった。その透過係数は、Nb添加量の増加と共に向上する傾向があり、400℃において最大で純Pd並の1.1×10−8(mol・m−1sec−1Pa−1/2)の透過係数が得られた。
ガスアトマイズ法で作製した平均粒径30μmのNi53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3金属ガラス粉末と市販のV、Nb、Ta粉末を表2のような割合となるようそれぞれ秤量した後、乳鉢を用いて十分混合した。混合した粉末を、超硬合金製のダイに詰め、ホットプレス(HP)装置の炉内にセットした。真空引き後、Arを導入して不活性雰囲気とした状態で昇温した。Ni53Nb20Ti10Zr8Co6Cu3金属ガラスの過冷却液体領域近傍である540、560℃において、圧力780MPaで粉末を押し固め、外径20mm、高さ5mmのコイン状の試料を得た。得られた試料は、密度測定、組織観察を行った。さらにこの試料から、厚さ0.2〜0.3mmの薄い円盤状試料を切り出し、機械研磨後、表面にPdの表面処理を施した後、実際に水素ガスを透過させるガス透過法により、水素透過性能を評価した。
その結果、温度540、560℃共に、概ね97%以上の高い相対密度が得られた。またその透過性能を500℃において評価したところ、それぞれV、Nb、Ta添加量の増加と共に透過性能の向上が認められ、最も高い透過性能を示したNo.14の試料では3.0×10−8(mol・m−1sec−1Pa−1/2)の透過係数が得られた。
Claims (3)
- アモルファス構造を有する金属ガラス母相に、Nb、Ta、V及びTi粒子からなるグループより選ばれた添加元素の少なくとも1種が分散した構造を有することを特徴とする複合金属ガラス水素分離膜。
- 前記金属ガラス母相が、Ni系合金、Co系合金又はCu系合金のいずれかであり、前記添加元素の添加量が5〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の複合金属ガラス水素分離膜。
- 優れた水素透過性能と耐水素脆性を有した複合金属ガラス水素分離膜を製造するための方法であって、当該方法が、母相となる金属ガラス粉末と、Nb、Ta、V及びTi粒子からなるグループより選ばれた添加元素の少なくとも1種とを混合し、前記金属ガラス粉末の過冷却液体領域近傍の温度で加熱、圧縮を行い、複合金属ガラスバルク材を作製する工程、及び、前記複合金属ガラスバルク材を更に過冷却液体領域近傍の温度で薄膜化する工程を含むことを特徴とする複合金属ガラス水素分離膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008077292A JP4866382B2 (ja) | 2007-03-26 | 2008-03-25 | 複合金属ガラス水素分離膜及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007078472 | 2007-03-26 | ||
JP2007078472 | 2007-03-26 | ||
JP2008077292A JP4866382B2 (ja) | 2007-03-26 | 2008-03-25 | 複合金属ガラス水素分離膜及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008264775A JP2008264775A (ja) | 2008-11-06 |
JP4866382B2 true JP4866382B2 (ja) | 2012-02-01 |
Family
ID=40045028
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008077292A Expired - Fee Related JP4866382B2 (ja) | 2007-03-26 | 2008-03-25 | 複合金属ガラス水素分離膜及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4866382B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3935851B2 (ja) * | 2002-05-20 | 2007-06-27 | 福田金属箔粉工業株式会社 | 水素分離膜及びその製造方法 |
JP4018030B2 (ja) * | 2003-05-27 | 2007-12-05 | 株式会社日本製鋼所 | 水素透過膜及びその製造方法 |
JP2006159108A (ja) * | 2004-12-08 | 2006-06-22 | Topy Ind Ltd | 複合積層体、これを用いたガス分離膜ならびにその製造方法 |
JP4836136B2 (ja) * | 2004-11-15 | 2011-12-14 | Jx日鉱日石金属株式会社 | 金属ガラス膜作製用スパッタリングターゲット及びその製造方法 |
JP4756450B2 (ja) * | 2005-03-31 | 2011-08-24 | 日立金属株式会社 | 水素分離・精製用複相合金 |
-
2008
- 2008-03-25 JP JP2008077292A patent/JP4866382B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008264775A (ja) | 2008-11-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN103906850B (zh) | 形成烧结的镍‑钛‑稀土(Ni‑Ti‑RE)合金的方法 | |
JP4989636B2 (ja) | 高強度極微細ナノ構造のアルミニウム及び窒化アルミニウム又はアルミニウム合金及び窒化アルミニウム複合材料の製造方法 | |
JP4037901B2 (ja) | アルミニウム複合材の製造方法 | |
US20110123384A1 (en) | Method of manufacturing powder injection-molded body | |
JP5152433B2 (ja) | 水素分離合金及びその製造方法 | |
JP2006519928A5 (ja) | ||
JP2013083000A (ja) | 焼結Mo合金スパッタリングターゲット材の製造方法 | |
US10159920B2 (en) | Sintered Fe—Al based porous alloy material with high-temperature oxidization resistance and filtering elements | |
JP2006283075A (ja) | 水素分離・精製用複相合金 | |
JP3749953B1 (ja) | 複相水素透過合金および水素透過合金膜 | |
JP2006118035A (ja) | 結晶質複相水素透過合金および結晶質複相水素透過合金膜 | |
JP4742269B2 (ja) | 複相水素透過合金の製造方法および複相水素透過合金 | |
WO2011125663A1 (ja) | モリブデン合金およびその製造方法 | |
CN101084056A (zh) | 氢分离膜、氢分离膜形成用溅射靶及其制造方法 | |
EP2478952A1 (en) | Hydrogen separation membrane and method for separating hydrogen | |
JP4953337B2 (ja) | 水素分離・精製用複相合金 | |
JP4866382B2 (ja) | 複合金属ガラス水素分離膜及びその製造方法 | |
TW573016B (en) | Processing of iron aluminides by pressureless sintering of elemental iron and aluminum | |
JPWO2008111516A1 (ja) | 水素透過合金、並びに水素透過膜及びその製造方法 | |
JP4577775B2 (ja) | 水素分離・精製用複相合金の製造方法 | |
JP2004074070A (ja) | 水素透過膜 | |
JPS5857502B2 (ja) | 靭性および耐摩耗性を有する焼結材料 | |
JP2012087042A (ja) | 二硼化チタン系焼結体及びその製造方法 | |
TW200307583A (en) | Stabilized grain size refractory metal powder metallurgy mill products | |
KR101410490B1 (ko) | 분말사출 성형체 제조방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110131 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20111014 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111019 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111111 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141118 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |