本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、該感圧性接着シート類を構成する粘着剤層が、下記の(a)成分を、単量体成分全量に対して80〜97.8重量%の割合で含み、下記の(b)成分を、単量体成分全量に対して2〜19.8重量%の割合で含み、下記の(c)成分を、単量体成分全量に対して0.2〜5重量%の割合で含んでいるとともに、カルボキシル基含有共重合性単量体を含まない単量体混合物による共重合体をベースポリマーとし、且つ前記共重合体:100重量部に対して、下記の(d)成分を0.01〜0.15重量部含んでいるとともに、下記の(e)成分を0.1〜1重量部含んでいる粘着剤組成物により形成されていることを特徴としている。
(a)成分:下記式(1)で表されるアクリル系単量体
CH
2=C(R
1)COOR
2 (1)
(式(1)において、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2は炭素数が2〜14のアルキル基を示す。)
(b)成分:下記式(2)で表されるマレイミド系化合物
(式(2)において、R
3は水素原子又は1価の有機基を示す。)
(c)成分:カルボキシル基を含有しておらず、且つ(a)成分および(b)成分と共重合が可能な単量体
(d)成分:分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物
(e)成分:分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物
このように、本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、粘着剤層を形成する粘着剤層のベースポリマーを構成する単量体成分中に、単量体主成分としての特定のアクリル系単量体[(a)成分]を含んでおり、また、前記アクリル系単量体に対する共重合性単量体成分として、特定構造のマレイミド系化合物[(b)成分]を含んでおり、さらに、ベースポリマー中に他の共重合性単量体[(c)成分]を含んでおり、しかも、カルボキシル基含有単量体(好ましくは、酸性基含有共重合性単量体)を含んでいないので、金属面に貼付した際には、金属面に対して変色や変質等の腐食を生じさせず、被着体の電磁波遮断機能や光記録等の機能が損なわれない。また、粘着剤のベースポリマー構造中にカルボキシル基を有しなくても、前記アクリル系単量体[(a)成分]とともに、前記マレイミド系化合物[(b)成分]に対応する構造単位を特定量有しているため、形成された粘着剤層は優れた凝集力を有しており、経時での良好な接着信頼性を確保することができるとともに、金属面への貼付時に異物や気泡などのかみこみにより貼付不良が生じてリワーク作業を行う際には、金属面の損傷を抑制又は防止しつつ金属面から容易に剥離させることができる。さらには、架橋剤として分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物[(e)成分]と、架橋助剤として分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物[(d)成分]とを特定量の割合で有しているので、架橋の安定性が良好である。もちろん、前記構成を有しているので、特に、粘着剤のベースポリマー構造中にカルボキシル基を有しなくても、前記アクリル系単量体[(a)成分]および前記マレイミド系化合物[(b)成分]に対応する構造単位を特定量有しているため、光学特性も良好とすることができる。
なお、本発明では、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物に係るベースポリマーとしての共重合体における単量体混合物としては、カルボキシル基含有共重合性単量体(より好ましくは酸性基含有共重合性単量体)を含有していないことが重要である。カルボキシル基含有共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。また、カルボキシル基含有共重合性単量体以外の酸性基含有共重合性単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水イコタン酸などのカルボキシル基含有共重合性単量体の無水物;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有共重合性単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有共重合性単量体などが挙げられる。このような酸性基含有共重合性単量体において、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有共重合性単量体は、前述のように、共重合性単量体として広く用いられており、特に、金属面に対する粘着特性を向上させるための改質用モノマーとして広く用いられている。
[(a)成分]
(a)成分は、前記式(1)で表されるアクリル系単量体(「アクリル系単量体(a)」と称する場合がある)である。前記式(1)において、R2に係る炭素数が2〜14のアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基などが挙げられる。R2の炭素数が2未満であると、得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなり、それにより、粘着剤(感圧性接着剤)としての濡れ性が低下し、初期接着性(タック性)が悪くなる。また、R2の炭素数が14を超えると、粘着剤の粘着力が劣り好ましくない。
具体的には、アクリル系単量体(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシルなどが挙げられる。
アクリル系単量体(a)としては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシルを好適に用いることができる。
なお、アクリル系単量体(a)は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系単量体(a)は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物のベースポリマーとしての共重合体における単量体成分全量に対して80〜97.8重量%(好ましくは84〜96.5重量%)の割合で用いられている。アクリル系単量体(a)の割合が、単量体成分全量に対して80重量%未満であると、得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなり、感圧性接着剤としての性能が低下する。一方、アクリル系単量体(a)の割合が、単量体成分全量に対して97.8重量%を超えると、(b)成分の割合(絶対量)が低下することにより、形成される粘着剤層の接着性能や耐湿特性が低下する。
[(b)成分]
(b)成分は、前記式(2)で表されるマレイミド系化合物(「マレイミド系化合物(b)」と称する場合がある)である。前記式(2)において、R3に係る1価の有機基としては、重合性や粘着特性等を損なわないものであれば特に限定されず、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基などが挙げられる。炭化水素基には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基等のアルキル基(例えば、炭素数が1〜14のアルキル基等);シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(例えば3〜12員環のシクロアルキル基等);フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基などが含まれる。前記置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ニトロ基;塩素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。置換基を有する炭化水素基の代表的な例として、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基などが挙げられる。
なお、R3の1価の有機基としては、カルボキシル基(特に、酸性基)を含有していないことが重要である。カルボキシル基以外の酸性基としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。
具体的には、マレイミド系化合物(b)としては、例えば、マレイミド;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ヘプチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−(2−エチルヘキシル)マレイミド、N−ノニルマレイミド、N−デシルマレイミド、N−ウンデシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−トリデシルマレイミド、N−テトラデシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド;N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド等のN−アリールマレイミドや、これらのマレイミド系化合物における炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基やアリール基など)に各種置換基(例えば、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子など)が置換している形態のマレイミド系化合物などが挙げられる。
なお、マレイミド系化合物(b)は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マレイミド系化合物(b)は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物のベースポリマーとしての共重合体における単量体成分全量に対して2〜19.8重量%(好ましくは3〜15.5重量%)の割合で用いられている。マレイミド系化合物(b)の割合が、単量体成分全量に対して2重量%未満であると、形成される粘着剤層の接着性能が低下し、高温多湿の雰囲気下での接着特性の改善効果が得られない。一方、マレイミド系化合物(b)の割合が、単量体成分全量に対して19.8重量%を超えると、貼付不良などにより、感圧性接着シート類を剥がしてリワークを行う際に、感圧性接着シート類の剥離性に問題が生じる。
[(c)成分]
(c)成分は、分子中にカルボキシル基を含有しておらず、且つアクリル系単量体(a)およびマレイミド系化合物(b)と共重合が可能な単量体(「共重合性単量体(c)」と称する場合がある)である。共重合性単量体(c)としては、カルボキシル基を含有しておらず(より好ましくは酸性基を含有しておらず)、アクリル系単量体(a)およびマレイミド系化合物(b)と共重合可能な単量体であれば特に制限されないが、カルボキシル基(特に酸性基)以外の官能基を有している単量体を好適に用いることができる。共重合性単量体(c)として、カルボキシル基(特に酸性基)以外の官能基を有する共重合性単量体を用いることにより、ベースポリマーとしての共重合体(アクリル系共重合体)に、架橋点となる官能基を導入することができる。このような共重合性単量体(c)としては、例えば、ヒドロキシル基含有共重合性単量体、エポキシ基含有共重合性単量体、ビニルエステル系共重合性単量体などが挙げられる。
具体的には、共重合性単量体(c)において、ヒドロキシル基含有共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシイソプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシウンデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;グリセリンジアクリレート、グリセリンジメタクリレート;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールビニルアルコール;アリルアルコール;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル;クロトン酸2−ヒドロキシエチル等のクロトン酸ヒドロキシアルキル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−エチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
ヒドロキシル基含有共重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを好適に用いることができる。
また、エポキシ基含有共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。ビニルエステル系共重合性単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
共重合性単量体(c)において、その他の共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のアルコキシ基含有共重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(t−ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドなど)、N−ビニルカルボン酸アミド類等のアミド基含有共重合性単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等のN−ビニル窒素含有複素環化合物;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド等のイタコンイミド系単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等のアミノ基含有共重合性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有共重合性単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系共重合性単量体;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのα−オレフィン系共重合性単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有共重合性単量体;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系共重合性単量体;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリル酸エステル;フッ素(メタ)アクリレート等のハロゲン原子含有共重合性単量体;シリコーン(メタ)アクリレート等のケイ素原子含有共重合性単量体;(メタ)アクリル酸メチルや、アルキル基部位の炭素数が15以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーなどが挙げられる。
なお、共重合性単量体(c)として、ヒドロキシル基等の官能基を有していない単量体を用いることにより、粘着剤の各種特性や共重合体の構造などをコントロールすることができる。
共重合性単量体(c)としては、ヒドロキシル基含有共重合性単量体を好適に用いることができる。共重合性単量体(c)は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合性単量体(c)は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物のベースポリマーとしての共重合体における単量体成分全量に対して0.2〜5重量%(好ましくは0.5〜3重量%)の割合で用いられている。共重合性単量体(c)の割合が、単量体成分全量に対して0.2重量%未満であると、架橋点となる官能基の数が少なすぎること等により、粘着剤の各種特性や共重合体の構造などをコントロールすることが困難になる。一方、共重合性単量体(c)の割合が、単量体成分全量に対して5重量%を超えると、得られる共重合体がアクリル系ポリマーとしての性能を有効に発現させることが困難になり、また、感圧性接着剤としての特性のバランスをとりにくくなる。
[単量体混合物による共重合体(アクリル系共重合体)]
粘着剤層を形成するための粘着剤組成物におけるベースポリマーとしての共重合体は、前記単量体成分[アクリル系単量体(a)、マレイミド系化合物(b)、共重合性単量体(c)]を所定の割合で含んでいる単量体混合物の重合(共重合)により得られるアクリル系共重合体である。なお、ベースポリマーとしての共重合体であるアクリル系共重合体は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アクリル系共重合体を得るための重合方法としては、例えば、アゾ系化合物(アゾ系開始剤)や過酸化物(過酸化物系開始剤)などの重合開始剤を用いて行う重合方法(溶液重合方法、エマルジョン重合方法や塊状重合方法など)、光開始剤を用いて光や放射線を照射して行う重合方法などを採用することができ、アゾ系開始剤を用いて行う重合方法が好適である。なお、重合開始剤において、アゾ系開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどが挙げられる。また、過酸化物系開始剤としては、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエート等の有機過酸化物系開始剤などが挙げられる。さらにまた、光開始剤として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α′−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;ベンジルジメチルケタール等のケタール系開始剤;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどが挙げられる。
なお、アゾ系開始剤を用いたラジカル重合により付加重合を行うと、過酸化物系開始剤やその他のラジカル重合開始剤を用いて重合を行った時よりも、開始剤の分解物に由来する感圧性接着剤成分の劣化が少なく、高温などの使用環境において透明性が変化しにくく、好適に用いることができるという利点がある。
重合開始剤の使用量は、特に制限されず、例えば、単量体成分の総量100重量部に対して、0.01〜2重量部(好ましくは0.02〜1重量部)程度である。
アクリル系共重合体の重量平均分子量は、特に制限されないが、20万〜200万が好適であり、なかでも50万〜200万(特に70万〜150万)が好ましい。なお、アクリル系共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ法(GPC法)の標準ポリスチレン換算によって、下記の測定条件で測定した値である。
GPC法の測定条件
・GPC測定装置:商品名「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)
・カラム:商品名「TSKgelSuperHM−H/H4000/H3000/H2000」(東ソー株式会社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:10μl
・流量(流速):0.6mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・検出器:示差屈折計(RI)
本発明では、前記単量体混合物を用いて重合させて得られたアクリル系共重合体を、架橋剤として、分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物(イソシアネート系化合物)[(e)成分]を用い、且つ架橋助剤として、分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物(ヒドロキシル基含有アミン系化合物)[(d)成分]を用いて架橋させて硬化させることにより、適度な凝集力と架橋の安定性とを発揮させることができ、且つ経時での接着信頼性が優れている粘着剤層を形成させている。具体的には、架橋剤としてイソシアネート系化合物[(e)成分]を用いるとともに、架橋助剤としてヒドロキシル基含有アミン系化合物[(d)成分]を用いることにより、イソシアネート系化合物のイソシアネート基と、ヒドロキシル基含有アミン系化合物のヒドロキシル基とが速やかに反応するため、良好な初期凝集力を発揮することができ、また、架橋の安定性を図ることができる。そのため、生産性に多大なる影響を及ぼす凝集力を発現させるのに必要なエージング時間を大幅に短縮させることができるとともに、優れた保持力で被着体を接着させ、接着信頼性を高めることができる。
[(d)成分]
(d)成分は、分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有するアミン系化合物[「ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)」と称する場合がある]である。ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)としては、分子中にヒドロキシル基(特にアルコール性ヒドロキシル基)を少なくとも2個有しているアミン系化合物であれば特に制限されない。また、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)において、分子中に含まれる窒素原子の数は、特に制限されず、イソシアネート系化合物(e)の種類やその割合などに応じて適宜選択することができる。ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)としては、分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有しているとともに、分子中に窒素原子を少なくとも1個含有する化合物を用いることができる。なお、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)を架橋助剤として用いることにより、架橋促進効果を高め、優れた初期凝集力を発揮させることが可能となり、エージング時間の短縮化を図ることができる。
具体的には、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)としては、分子中に窒素原子を1個含有している場合、例えば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−ブチルジイソプロパノールアミン等のジアルコールアミン類;トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のトリアルコールアミン類などが挙げられる。
また、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)としては、分子中に窒素原子を2個含有している場合、例えば、下記式(3)で表されるヒドロキシル基含有アミン系化合物などが挙げられる。
NR4R5−(X)p−NR6R7 (3)
(式(3)において、R4、R5、R6、R7は、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は[−(R8O)m(R9O)n−H]を示す。ここで、R8、R9は、異なって、それぞれアルキレン基を示す。m、nは0以上の整数であり、同時に0にならない。また、R4、R5、R6、R7のうち少なくとも2つは[−(R8O)m(R9O)n−H]である。さらに、Xは2価の炭化水素基を示し、pは1以上の整数である。)
式(3)において、R8、R9のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等の炭素数1〜6程度のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基)などが挙げられる。該アルキレン基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれの形態を有していてもよい。R8、R9のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基を好適に用いることができる。
また、m、nは0以上の整数であれば特に制限されないが、例えば、m、nのうち少なくとも一方が0〜20(好ましくは1〜10)程度の範囲から選択することができる。m、nとしては、何れか一方が0であり、他方が1以上の整数(特に1)である場合が多い。なお、mとnとは同時に0にならないが、mとnとが同時に0となる場合は、係るR4〜R7は水素原子を示すことになる。
Xは2価の炭化水素基を示している。2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基などが挙げられる。該Xのアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。また、飽和、不飽和のいずれであってもよい。Xのアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン基等の炭素数1〜6程度のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基)などが挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、例えば、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の5〜12員環程度のシクロアルキレン基などが挙げられる。アリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などを用いることができる。
pは1以上の整数であれば特に制限されないが、例えば、1〜10の整数の範囲から選択することができ、好ましくは1〜6(さらに好ましくは1〜4)の整数である。
より具体的には、前記式(3)で表されるヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)としては、例えば、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)トリメチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミンの他、エチレンジアミンのポリオキシエチレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシプロピレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物などのアルキレンジアミンのポリオキシアルキレン縮合物などを例示することができる。このようなヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)としては、例えば、商品名「EDP−300」、商品名「EDP−450」、商品名「EDP−1100」、商品名「プルロニック」(以上、旭電化株式会社製)などの市販品を利用することができる。
本発明では、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)としては、分子中に2個以上のヒドロキシル基を含有しているとともに、分子中に2個以上の窒素原子を含有しているヒドロキシル基含有アミン系化合物[特に、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)トリメチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミン]を好適に用いることができる。
ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)の使用量は、前記のアクリル系共重合体:100重量部に対して0.01〜0.15重量部(好ましくは0.03〜0.12重量部)程度である。ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)の使用量が、アクリル系共重合体:100重量部に対して0.01重量部未満であると、架橋剤としてのイソシアネート系化合物による架橋の安定性を維持させることが困難になり、経時での接着信頼性を確保することが困難になる。一方、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)の使用量が、アクリル系共重合体:100重量部に対して0.15重量部を超えると、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)と、架橋剤としてのイソシアネート系化合物との反応が過多になりすぎてしまい、本来、所望するアクリル系共重合体との架橋が進行せず、感圧性接着剤層の凝集力が得られなくなる。従って、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)の使用量が、アクリル系共重合体:100重量部に対して0.01〜0.15重量部であると、架橋の安定性、さらには、経時での接着信頼性の確保に好結果がもたらされる。
なお、本発明では、架橋助剤として、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)とともに、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)以外の架橋助剤(例えば、ヒドロキシル基以外の他の反応性官能基を複数有するアミン系化合物や、ヒドロキシル基を含有する非アミン系化合物など)を用いることも可能である。
[(e)成分]
(e)成分は、分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物[「イソシアネート系化合物(e)」と称する場合がある]である。イソシアネート系化合物(e)としては、分子中にイソシアネート基を少なくとも2個有しているイソシアネート系化合物であれば特に制限されない。イソシアネート系化合物(e)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環族ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トなどが挙げられる。なお、イソシアネート系化合物(e)を架橋剤として用いることにより、イソシアネート系化合物(e)におけるイソシアネート基と、架橋助剤として用いられているヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)におけるヒドロキシル基との速やかな反応により、良好な初期凝集力を発揮させ、且つ架橋の安定化を図ることができる。そのため、凝集力を発現させるのに必要なエージング時間を大幅に短縮させて、生産性を向上させることができるとともに、優れた保持力を発揮させることが可能となる。
具体的には、イソシアネート系化合物(e)において、脂肪族ポリイソシアネ−トには、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,2−エチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートなどが含まれる。
また、脂環族ポリイソシアネ−トには、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、シクロペンチルジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートなどが含まれる。
さらに、芳香族ポリイソシアネ−トには、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートなどが含まれる。
さらにまた、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トには、例えば、キシリレン−1,4−ジイソシアネ−ト、キシリレン−1,3−ジイソシアネ−ト等の芳香脂肪族ジイソシアネ−トなどが含まれる。
また、イソシアネート系化合物(e)としては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環族ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二重体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二重体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)なども用いることができる。
本発明では、イソシアネート系化合物(e)としては、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物を好適に用いることができる。なお、イソシアネート化合物(e)において、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物として、商品名「コロネートL」[日本ポリウレタン工業(株)製]や、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物として、商品名「コロネートHL」[日本ポリウレタン工業(株)製]などが市販されている。
イソシアネート系化合物(e)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
なお、イソシアネート系化合物(e)の使用量は、例えば、アクリル系共重合体:100重量部に対して0.1〜1重量部(好ましくは0.2〜0.8重量部)程度である。イソシアネート系化合物(e)の使用量が、アクリル系共重合体:100重量部に対して0.1重量部未満であると、必要とする架橋効果が得られなくなり、凝集力が不足する。一方、イソシアネート系化合物(e)の使用量が、アクリル系共重合体:100重量部に対して1重量部を超えると、加熱時の色度変化が起こったり、凝集力が過多となったりし、本発明における重要な機能の1つである曲面追従性が低下する。従って、イソシアネート系化合物(e)の使用量が、アクリル系共重合体:100重量部に対して0.1〜1重量部であると、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)との相乗効果による架橋の安定性、さらには経時での接着信頼性の確保に好結果がもたらされる。
なお、本発明では、架橋剤として、イソシアネート系化合物(e)とともに、イソシアネート系化合物(e)以外の架橋剤(例えば、金属キレート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、尿素系架橋剤、アミノ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、カップリング剤系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属塩系架橋剤、過酸化物系架橋剤など)を用いることも可能である。
[粘着剤組成物]
粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、ベースポリマーとして、前記単量体成分[アクリル系単量体(a)、マレイミド系化合物(b)、共重合性単量体(c)]を所定の割合で含んでいる単量体混合物の重合(共重合)により得られるアクリル系共重合体とともに、架橋助剤としてのヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)と、架橋剤としてのイソシアネート系化合物(e)とをそれぞれ所定の割合で含有している。粘着剤組成物は、単量体成分としてのアクリル系単量体(a)と、マレイミド系化合物(b)と、共重合性単量体(c)とをそれぞれ所定の割合で共重合して得られるアクリル系共重合体に、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(d)と、イソシアネート系化合物(e)とをそれぞれ所定の割合で混合することにより調製することができる。
粘着剤組成物には、必要に応じて各種添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、公知乃至慣用の粘着付与樹脂(例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂など)、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤が挙げられる。これらの添加剤の使用量は、いずれも粘着剤に適用される通常の量でよい。
粘着剤組成物としては、その調製過程でいかなる形態も取りうるが、取り扱い性の面で、溶剤系、エマルション系、ホットメルト系、光重合系などの形態で用いることが好ましい。粘着剤組成物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[金属面貼付用感圧性接着シート類]
本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、前記粘着剤組成物により形成された粘着剤層(「金属面貼付用粘着剤層」と称する場合がある)を有している。金属面貼付用粘着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。金属面貼付用粘着剤層の厚みとしては、特に制限されないが、5〜100μmであることが好ましく、なかでも10〜70μm)であることが好適である。金属面貼付用粘着剤層の厚みが、5μm未満であると、金属面貼付用感圧性接着シート類の被着体への十分な接着強度が得られにくく、一方、100μmを超えると、金属面貼付用粘着剤層自体の厚みによる光の透過率のロスが大きくなってしまうため、好ましくない。
なお、金属面貼付用粘着剤層の形成方法は、特に制限されない。例えば、慣用の塗工機(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いて、粘着剤組成物を所定の面(例えば、剥離ライナーの剥離面や基材表面など)に塗布することにより、金属面貼付用粘着剤層を形成することができる。
本発明では、金属面貼付用粘着剤層の接着強度(粘着力;対銅箔、温度:23℃、湿度:50%RH、剥離角度:90°、引張速度:300mm/分;厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わされた感圧性接着シート類を、厚さ80μmの銅箔に貼着させた後、銅箔より剥離する)としては、特に制限されないが、リワーク性の観点から1〜10(N/20mm)であることが好ましく、特に、2〜8(N/20mm)であることが好適である。金属面貼付用粘着剤層の接着強度が、1(N/20mm)未満であると、軽度な振動や衝撃により、不所望に剥離してしまう場合があり、良好な結果が得られ難くなる。一方、金属面貼付用粘着剤層の接着強度が、10(N/20mm)を超えていると、リワーク時の剥離作業が困難となり、また、被着体の表面(被着面)である金属面を含む部材にダメージを与えたり、粘着剤が金属面に残存してしまったりするなどの不具合を引き起こし易くなる。このように、本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、金属面貼付用粘着剤層の接着強度を前記範囲とすることにより、リワーク時には、貼付している金属面から容易に剥離させることができる。従って、金属面貼付用感圧性接着シート類は、金属面貼付用再剥離型感圧性接着シート類として用いることができる。
金属面貼付用粘着剤層の接着強度(粘着力)は、被着体として厚さ80μmの銅箔を用い、金属面貼付用感圧性接着シート類を厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、金属面貼付用粘着剤層に対して反対側の面がポリエチレンテレフタレートフィルムと接触する形態で貼り合わせて、ポリエチレンテレフタレートフィルムに金属面貼付用感圧性接着シート類を固定させた後、金属面貼付用感圧性接着シート類を被着体としての銅箔に、金属面貼付用粘着剤層が銅箔の表面に接触する形態で貼着させ、温度:23℃および湿度:50%RHの雰囲気下、30分間放置し、その後、温度:23℃および湿度:50%RHの雰囲気下、剥離角度:90°、引張速度:300mm/分の測定条件で、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わされた金属面貼付用感圧性接着シート類を銅箔より剥離させ、この剥離の際の応力を測定して、応力の値を20mm間隔で4点読み取り、この4点の応力の平均値を算出し、該応力の平均値を剥離強度(N/20mm)とすることにより求められた値として定義される。
本発明では、また、金属面貼付用粘着剤層は、凝集力が良好であり、長期の接着信頼性に優れている。具体的には、例えば、80℃の環境下における金属面貼付用粘着剤層の保持力(接着面積:10mm×20mm、荷重:300g、対ベークライト板における80℃で2時間後のずれの距離)としては、特に制限されないが、接着信頼性の観点から0.5mm以下であることが好ましく、特に、0.3mm以下であることが好適である。なお、金属面貼付用粘着剤層の保持力(接着面積:10mm×20mm、荷重:300g、対ベークライト板における80℃で2時間後のずれの距離)が、0.5mmを超えると、例えば、プラズマディスプレイの光学フィルターにおいて部材積層の貼付に用いる際、目視で確認できない微小な異物や気泡などが混入した場合、その後の経時で微小な異物や気泡が持つ反発力により、欠点が発生する場合があり、好ましくない。
金属面貼付用粘着剤層の保持力は、10×100mmの金属面貼付用再剥離型感圧性接着シート類を、被着体としてのベークライト板に10mm幅×20mmの接着面積で2kgのローラーを1往復させる方法で圧着し、80℃で1時間放置した後、端部に300gの荷重をかけ、JIS Z 0237に準じて、圧着時からのずれを測定し、80℃2時間後のずれの大きさ(距離)の値として定義する。
このように、本発明では、リワーク性の指標として粘着力を利用することができ、先着信頼性の指標として保持力を利用することができる。
金属面貼付用感圧性接着シート類としては、前記金属面貼付用粘着剤層を有していれば、その構成は特に制限されない。具体的には、金属面貼付用感圧性接着シート類としては、例えば、(1)金属面貼付用粘着剤層のみから形成された構成の基材レス両面感圧性接着シート類、(2)基材の少なくとも一方の面に金属面貼付用粘着剤層が形成され且つ基材の両面側に粘着面が形成された構成の基材付き両面感圧性接着シート類、(3)基材の一方の面に金属面貼付用粘着剤層が形成された構成の基材付き感圧性接着シート類などが挙げられる。
なお、金属面貼付用感圧性接着シート類が基材付き両面感圧性接着シート類である場合、基材の両面に形成された感圧性接着剤層(粘着剤層)が金属面貼付用粘着剤層であってもよく、基材の一方の面に形成された感圧性接着剤層が金属面貼付用粘着剤層であり且つ基材の他方の面に形成された感圧性接着剤層が金属面貼付用粘着剤層以外の粘着剤層(「非金属面貼付用粘着剤層」と称する場合がある)であってもよい。金属面貼付用感圧性接着シート類が、非金属面貼付用粘着剤層を有している場合、該非金属面貼付用粘着剤層は、金属面に対して用いないことが重要である。
また、金属面貼付用感圧性接着シート類は、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよい。すなわち、本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、シート状、テープ状などの形態を有することができる。従って、金属面貼付用感圧性接着シート類には、感圧性接着テープまたは感圧性接着シート(感圧性接着テープ又はシート)などが含まれる。なお、金属面貼付用感圧性接着シート類がロール状に巻回された形態を有している場合(感圧性接着テープである場合)、例えば、金属面貼付用粘着剤層などの感圧性接着剤層を、セパレータや基材の背面側に形成された剥離処理層により保護した状態でロール状に巻回することにより作製することができる。
本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、前記構成(1)の金属面貼付用感圧性接着シート類、すなわち、金属面貼付用粘着剤層のみから形成された構成の基材レス両面感圧性接着シート類が好適である。このような基材レス両面感圧性接着シート類は、剥離ライナー上に金属面貼付用粘着剤層が形成された形態を有していることが好ましい。
前記剥離ライナーとしては、粘着テープ又はシート用の剥離ライナーとして用いられているものであれば特に制限されず、公知の剥離ライナーを用いることができる。剥離ライナーとしては、両面が剥離面となっているものであってもよく、何れか一方の面のみが剥離面となっているものであってもよい。従って、金属面貼付用感圧性接着シート類は、金属面貼付用粘着剤層の一方の面に、両面が剥離面となっている剥離ライナーが積層され、且つロール状に巻回されたロール状の形態で形成されていてもよく、または、片面が剥離面となっている剥離ライナーを2つ用いることにより、金属面貼付用粘着剤層のそれぞれの面に各剥離ライナーが積層され、さらに必要に応じてロール状に巻回されたシート状又はロール状の形態で形成されていてもよい。
なお、剥離ライナーの具体例としては、例えば、剥離処理剤からなる剥離処理剤層が剥離ライナー用の基材(例えば、和紙、洋紙、グラシン紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;線状低密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ−4−メチル−1−ペンテンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどのプラスチックフィルムや、金属蒸着プラスチックフィルムなど)の表面に形成された剥離ライナー、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム[例えば、ポリエチレン(線状低密度ポリエチレン等)、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体またはランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムなど]による剥離ライナー、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂や、テフロンなど)を、各種基材(例えば、金属箔、プラスチックフィルム、紙類など)にラミネート又はコーティングして得られる剥離ライナーなどが挙げられる。
前記剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などの公知の剥離処理剤が挙げられる。これらの剥離処理剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。なお、剥離ライナーの両面が剥離処理剤により形成されている場合、両剥離面を形成するための剥離処理剤は、同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
なお、金属面貼付用感圧性接着シート類は、基材を有している場合[すなわち、前記構成(2)の基材付き両面感圧性接着シート類や、前記構成(3)の基材付き感圧性接着シート類である場合]、基材としては、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体(特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など)等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、基材としては優れた透明性を有しているものを用いることが望ましい。
基材の厚さは、例えば、1〜1000μm(好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm)程度であるが、これらに限定されない。なお、基材は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
基材の表面は、金属面貼付用粘着剤層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
また、金属面貼付用感圧性接着シート類は、金属面貼付用粘着剤層以外の感圧性接着剤層を有している場合[すなわち、前記構成(2)の基材付き両面感圧性接着シート類において、非金属面貼付用粘着剤層が用いられている場合]、非金属面貼付用粘着剤層は、公知の感圧性接着剤(例えば、他のアクリル系感圧性接着剤、ゴム系感圧性接着剤、ビニルアルキルエーテル系感圧性接着剤、シリコーン系感圧性接着剤、ポリエステル系感圧性接着剤、ポリアミド系感圧性接着剤、ウレタン系感圧性接着剤、フッ素系感圧性接着剤、エポキシ系感圧性接着剤など)を用いて、公知の粘着剤層(感圧性接着剤層)の形成方法を利用して形成することができる。また、非金属面貼付用粘着剤層の厚みは、特に制限されず、目的や使用方法などに応じて適宜選択することができる。
なお、本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、前処理、各種製造プロセス段階、製品使用中などで高温下にさらされても、高透明性を維持することができる。具体的には、金属面貼付用感圧性接着シート類における金属面貼付用粘着剤層としては、80℃で500時間の加熱処理の前後で、全光線透過率が、前記加熱処理の前後ともに、90%以上であり、また、ヘイズが、前記加熱処理の前後ともに、10%以下であり、さらに、前記加熱処理の前後における色差(ΔE*ab)が0.5以下である特性を有することができる。金属面貼付用粘着剤層が、このような特性を有していると、高熱による熱履歴を受けても、優れた光学特性を効果的に保持することができる。具体的には、金属面貼付用粘着剤層は、高温下に晒されても、黄変がなく透明性が維持(保持)されており、また色相の変化が少ないという特性を発揮することができる。
具体的には、金属面貼付用粘着剤層は、80℃で500時間の加熱処理の前、および前記加熱処理の後の両方とも、全光線透過率が90%以上(好ましくは92%以上)の特性を有することができる。
また、金属面貼付用粘着剤層は、80℃で500時間の加熱処理の前、および前記加熱処理の後の両方とも、ヘイズが10%以下(好ましくは5%以下)の特性を有することができる。
さらに、金属面貼付用粘着剤層は、80℃で500時間の加熱処理の前と、前記加熱処理の後とにおける色差(ΔE*ab)が0.5以下(0〜0.5)[好ましくは0.3以下(0〜0.3)]の特性を有することができる。前記色差(ΔE*ab)が0.5以下であるということは色の変化が極めて僅かに異なるレベルであることを意味している。
なお、本発明において、金属面貼付用粘着剤層の全光線透過率、ヘイズ、色差(ΔE*ab)は、以下の測定方法により測定される値である。
(全光線透過率・ヘイズの測定方法)
厚さ25μmの金属面貼付用粘着剤層(面積:40mm×40mm)を形成し、その金属面貼付用粘着剤層の片面に、スライドガラス(松浪硝子工業社製の「スライドガラス 白縁磨」)を貼り合わせたもの(すなわち、ガラス/金属面貼付用粘着剤層の層構成を有するもの)を評価用サンプルとする。濁度計(装置名「ヘーズメーターHM−150」村上色彩技術研究所製)を用い、JIS K7361、JIS K7136に準じて、評価用サンプルの全光線透過率(%)及びヘイズ(%)を測定する(加熱処理前)。その後、評価用サンプルに、80℃で500時間の加熱処理を施した後、前記と同様にして、評価用サンプルの全光線透過率(%)及びヘイズ(%)を測定する。
(色差(ΔE*ab)の測定方法)
前記全光線透過率・ヘイズの測定方法で作製した評価用サンプル(加熱前の評価用サンプル)と同様の評価用サンプルについて、積分球式分光透過率測定器(装置名「DOT−3C」村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系のX、Y、Zの値から、JIS Z8729に規定されるCIE L*a*b*表色系に換算して得られるL*、a*、b*を測定する(C光源、2°視野、波長:390nm〜730nm)(加熱処理前)。その後、評価用サンプルに、80℃で500時間の加熱処理を施した後、前記と同様にして、80℃で500時間の加熱処理後の評価用サンプルのL*、a*、b*を測定する。
得られたL*、a*、b*の値から、加熱処理の前後の色差(ΔE*ab)を、下記式を用いて計算する。
ΔE*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
(ここで、ΔL*は加熱処理の前後のL*の値の差を意味している。Δa*は加熱処理の前後のa*の値の差を意味している。Δb*は加熱処理の前後のb*の値の差を意味している。)
本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、前記構成を有しているので、金属面に対して直接に貼付しても金属面を腐食させず、また、リワーク時には、金属面の損傷を抑制又は防止して金属面から容易に剥離させることができ、さらに、優れた接着信頼性および光学特性で金属面に貼付することができる。従って、金属面を有する被着体における金属面に直接貼付するための感圧性接着シート類として好適に用いることができる。なお、金属面貼付用感圧性接着シート類を金属面に貼り合わせる際には、金属面に、直接に、少なくとも部分的に(部分的に又は全面的に)貼り合わせればよい。
金属面貼付用感圧性接着シート類が貼り合わせられる被着体(「金属面含有被着体」と称する場合がある)としては、少なくとも部分的に金属面を有していれば特に制限されない。このような金属面含有被着体において、金属面が形成されている部位は、金属面貼付用感圧性接着シート類を直接貼付することが可能な部位であれば特に制限されず、外側の面であってもよく、また、内側の面などであってもよい。なお、1つの金属面含有被着体に金属面が複数形成されている場合、これらの複数の金属面は同一の金属材料により形成された面であってもよく、異なる金属材料により形成された面であってもよい。
前記金属面含有被着体における金属面は、金属材料により形成された金属面含有被着体の表面であってもよく、また、各種材料により形成された基材(又は構造体)の表面に形成された金属層表面(特に、金属薄膜層表面)であってもよい。金属面は、いずれにせよ、金属材料による表面であればよい。前記金属薄膜層等の金属層は、各種材料により構成された基材(又は構造体)の表面の所定の部位に形成することができる。なお、金属面は、全面が層状に一様に形成されていてもよく、部分的にエッチング、印刷などによるパターン状に形成されていてもよい。
金属層の厚みとしては、特に制限されず、金属面含有被着体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上であってもよい。具体的には、金属層としては、5〜50μmの厚さを有するものや、100μm程度の厚さを有するものなどが例示できる。
金属面を形成するための金属材料としては、特に制限されず、例えば、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、錫、チタン、鉄、白金、モリブデン、インジウム、バナジウム、ニオブなどの金属単体による金属材料;金合金(例えば、金−銅合金など)、銅合金(例えば、銅−亜鉛合金(真鍮)、銅−アルミニウム合金など)、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム−モリブデン合金、アルミニウム−タンタル合金、アルミニウム−コバルト合金、アルミニウム−クロム合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−白金合金など)、ニッケル合金(例えば、ニッケル−クロム合金、銅−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金など)、スズ合金、ステンレス等の各種合金による金属材料などが挙げられる。金属材料は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、金属材料は、金属元素のみを含有する金属材料であってもよく、金属元素とともに非金属元素を含有する金属材料[例えば、金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物(塩化物など)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩など)等の金属系化合物]であってもよい。
具体的には、金属面含有被着体としては、例えば、少なくとも部分的に金属面を有している窓材又は該窓材を構成するための部材(例えば、窓ガラス用熱線反射フィルムや飛散防止フィルムなど)、金属薄膜層が設けられた電磁波シールド層を有する光学的製品又は該光学的製品を構成するための部材、さらには、デジタル万能ディスクなどの光学的に記録可能な記録メディア(光学的記録ディスク)などが挙げられる。電磁波シールド層を有する光学的製品における金属薄膜層としては、例えば、電子ディスプレイ(プラズマディスプレイなど)等の光学機器に用いられている光学フィルターにおいて、ポリエチレンテレフタレートフィルムやトリアセチルセルロースフィルムなどの支持フィルム上に、銀やITO(酸化インジウム錫)、酸化ニオブなどを蒸着やスパッタリングさせることによって形成した金属薄膜層や、銅又は銅合金などを特定のパターン(格子状など)にエッチングや印刷させることによって形成した金属薄膜層などが挙げられる。また、前記光学的記録ディスクとしては、いわゆる「HD DVD」、いわゆる「Blu−ray Disc」、いわゆる「DVD」、いわゆる「CD」などが挙げられる。このような光学的記録ディスクにおいて、DVDには、いわゆる「DVD−ROM」、いわゆる「DVD−RAM」、いわゆる「DVD−R(いわゆる「DVD−R」、いわゆる「DVD+R」を含む)」、いわゆる「DVD−RW(いわゆる「DVD−RW」、いわゆる「DVD+RW」を含む)」、いわゆる「DVD−Video」、いわゆる「DVD−Audio」などの形態のDVDが含まれる。また、CDには、いわゆる「CD−ROM」、いわゆる「CD−R」、いわゆる「CD−RW」、いわゆる「Video CD」などの形態のCDが含まれる。なお、これらの金属薄膜層の厚みは、各々の部材で多岐に渡っており、例えば、2nm(ナノメートル)〜100μm(ミクロン)程度である。
以下に、この発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(アクリル系共重合体の調製例1)
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート、攪拌装置を備えた反応容器に、溶媒として酢酸エチル:150重量部、単量体成分としてアクリル酸n−ブチル:85重量部、N−シクロヘキシルマレイミド:15重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート:1重量部を入れ、窒素環流を室温にて1時間行った。その後、反応容器内の単量体成分を含むモノマー組成物溶液の温度を60℃に昇温し、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部を添加して、窒素気流中で、63℃にて7時間重合を行い、アクリル系共重合体を含む溶液(「アクリル系共重合体含有溶液A」と称する場合がある)を得た。なお、該アクリル系共重合体含有溶液A中のアクリル系共重合体の重量平均分子量は、85万であった。
(アクリル系共重合体の調製例2)
表1に示されるように、単量体成分として、アクリル酸n−ブチル:90重量部、N−シクロヘキシルマレイミド:10重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート:1重量部を用いたこと以外は、アクリル系共重合体の調製例1と同様にして、アクリル系共重合体の溶液(「アクリル系共重合体含有溶液B」と称する場合がある)を得た。なお、該アクリル系共重合体含有溶液B中のアクリル系共重合体の重量平均分子量は、100万であった。
(アクリル系共重合体の調製例3)
表1に示されるように、単量体成分として、アクリル酸n−ブチル:80重量部、N−シクロヘキシルマレイミド:20重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート:1重量部を用いたこと以外は、アクリル系共重合体の調製例1と同様にして、アクリル系共重合体の溶液(「アクリル系共重合体含有溶液C」と称する場合がある)を得た。なお、該アクリル系共重合体含有溶液C中のアクリル系共重合体の重量平均分子量は、89万であった。
(アクリル系共重合体の調製例4)
表1に示されるように、単量体成分として、アクリル酸n−ブチル:95重量部、アクリル酸:5重量部を用いたこと以外は、アクリル系共重合体の調製例1と同様にして、アクリル系共重合体の溶液(「アクリル系共重合体含有溶液D」と称する場合がある)を得た。なお、該アクリル系共重合体含有溶液D中のアクリル系共重合体の重量平均分子量は、71万であった。
(実施例1)
アクリル系共重合体の調製例1により得られたアクリル系共重合体含有溶液Aに、アクリル系共重合体:100重量部(固形分)に対して、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(商品名「EDP−300」旭電化株式会社製)を0.1重量部、イソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業株式会社製)を0.3重量部(固形分)添加して、感圧性接着剤組成物(粘着剤組成物)とした。この感圧性接着剤組成物を、アプリケーターを用いて、シリコーン系剥離剤による剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(剥離ライナー;厚さ50μm)の剥離処理面上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さが25μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層上に、シリコーン系剥離剤による剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(剥離ライナー;厚さ38μm)を貼り合わせて、粘着シートを得た。
(実施例2)
表2に示されるように、アクリル系共重合体の調製例1により得られたアクリル系共重合体含有溶液Aに代えて、アクリル系共重合体の調製例2により得られたアクリル系共重合体含有溶液Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(比較例1)
表2に示されるように、アクリル系共重合体の調製例1により得られたアクリル系共重合体含有溶液Aに代えて、アクリル系共重合体の調製例3により得られたアクリル系共重合体含有溶液Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(比較例2)
表2に示されるように、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(商品名「EDP−300」旭電化株式会社製)の添加量を0.2重量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(比較例3)
表2に示されるように、ヒドロキシル基含有アミン系化合物(商品名「EDP−300」旭電化株式会社製)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(比較例4)
表2に示されるように、アクリル系共重合体の調製例4により得られたアクリル系共重合体含有溶液Dに、アクリル系共重合体:100重量部(固形分)に対して、イソシアネート系化合物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業株式会社製)を2重量部(固形分)添加して、感圧性接着剤組成物(粘着剤組成物)とした。この感圧性接着剤組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(評価)
実施例1〜2及び比較例1〜4で作製された粘着シートに関して、下記の腐食性評価方法、粘着力測定方法、全光線透過率及びヘイズの測定方法、色差の測定方法、保持力評価方法により、腐食性、粘着力(リワーク性)、透明性(全光線透過率、ヘイズ、色差)、保持力(接着信頼性)を評価した。評価結果は表2に示した。
(腐食性評価方法)
粘着シートの一方の側の剥離ライナーを剥がして、透明なポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ:25μm)に貼り合わせ、さらに、他方の側の剥離ライナーを剥がして、銅箔(厚さ:80μm)貼り合わせた後、60℃×95%RHの雰囲気下で250時間保存した。その後、目視で、ポリエチレンテレフタレート製フィルム側から銅箔の表面を観察して、粘着シートが貼り合わせられている銅箔の表面の腐食の有無を確認し、腐食がない場合を「○」とし、腐食がある場合を「×」として評価した。
(粘着力測定方法)
粘着シートの一方の側の剥離ライナーを剥がして、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ:125μm)に貼り合わせ、幅20mm、長さ100mmに切断した後、他方の側の剥離ライナーを剥がして、銅箔(厚さ:80μm)貼り合わせた。銅箔に貼付してから30分後、90°ピール粘着力(N/20mm)を測定した。なお、90°ピール粘着力の測定条件は、剥離角度:90°、引張速度:300mm/分、温度:23℃、湿度:50%RHであり、銅箔より、ポリエチレンテレフタレート製フィルムに貼り合わせられた粘着シートを剥離することにより、90°ピール粘着力(N/20mm)を測定した。
(全光線透過率及びヘイズの測定方法)
粘着シートを、40mm×40mmに切断し、一方の側の剥離ライナーを剥がして、スライドガラス(松浪硝子工業社製の「スライドガラス 白縁磨」)に貼り合わせて、加熱処理を行わずに測定するための処理前用評価サンプルを作製した。その後、他方の側の剥離ライナーを取り除き、濁度計(装置名「ヘーズメーターHM−150」村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7361、JIS K7136に準じて、全光線透過率(%)及びヘイズ(%)を測定した。
また、粘着シートを、40mm×40mmに切断し、一方の側の剥離ライナーを剥がして、スライドガラス(松浪硝子工業社製の「スライドガラス 白縁磨」)に貼り合わせて、加熱処理を行ってから測定するための加熱処理後用評価サンプルを作製した。加熱処理後用評価サンプルを80℃の雰囲気下で500時間保存した後、加熱処理後用評価サンプルにおける他方の側の剥離ライナーを取り除き、濁度計(装置名「ヘーズメーターHM−150」村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7361、JIS K7136に準じて、全光線透過率(%)及びヘイズ(%)を測定した。
なお、処理前用評価サンプル、加熱処理後用評価サンプルの各評価サンプルは、スライドガラス/粘着剤層の層構成を有しており、測定された全光線透過率(%)やヘイズ(%)の数値には、スライドガラスの全光線透過率(%)やヘイズ(%)も含まれている。
(色差の測定方法)
粘着シートを、前記全光線透過率及びヘイズの測定方法と同様にして、加熱処理を行わずに測定するための処理前用評価サンプルを作製した。その後、他方の側の剥離ライナーを取り除き、積分球式分光透過率測定器(装置名「DOT−3C」村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS Z8701に規定されるXYZ表色系のX、Y、Zの値から、JIS Z8729に規定されるCIE L*a*b*表色系に換算して得られるL*、a*、b*を測定する(C光源、2°視野、波長:390nm〜730nm)。
また、粘着シートを、前記全光線透過率及びヘイズの測定方法と同様にして、加熱処理を行ってから測定するための加熱処理後用評価サンプルを作製した。加熱処理後用評価サンプルを80℃の雰囲気下で500時間保存した後、加熱処理後用評価サンプルにおける他方の側の剥離ライナーを取り除き、処理前用評価サンプルと同様にして、L*、a*、b*を測定した。
得られたL*、a*、b*の値から、加熱処理前後の色差(ΔE*ab)を、下記式を用いて計算した。
ΔE*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
(ここで、ΔL*は加熱処理の前後のL*の値の差を意味している。Δa*は加熱処理の前後のa*の値の差を意味している。Δb*は加熱処理の前後のb*の値の差を意味している。)
(保持力評価方法)
粘着シートの一方の側の剥離ライナーを剥がして、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ:25μm)に貼り合わせ、幅10mm、長さ100mmのサイズに切断して試験片を得た。得られた試験片を、被着体としてのベークライト板に10mm幅×20mmの接着面積で2kgのローラーを1往復させる方法で圧着し、80℃で1時間放置した後、端部に300gの荷重をかけ、JIS Z 0237に準じて、圧着時からのずれを測定し、80℃2時間後のずれの大きさ(距離)で保持力を評価した。
表2より明らかなように、実施例1〜2に係る粘着シートは、金属面に直接に貼付しても金属面を腐食させることがないことが確認された。また、粘着力が適度であり、適度なリワーク特性を有していることが確認された。さらに、全光線透過率、ヘイズ、色差の値も良好であり、良好な光学特性を有していることが確認された。さらにまた、保持力が優れており、適度な凝集力を有していること(すなわち、接着信頼性が優れていること)が確認された。
一方、比較例1〜4に係る粘着シートは、金属面の腐食が生じている、接着強度が高すぎる、凝集力に劣るなどの満足いく結果が得られていない。