JP4862976B2 - 緑色系顔料並びに該緑色系顔料を用いた塗料及び樹脂組成物 - Google Patents

緑色系顔料並びに該緑色系顔料を用いた塗料及び樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、耐酸性及び耐アルカリ性等の耐薬品性に優れると共に、隠蔽力及び着色力が大きく、且つ、耐熱性が向上した無害な緑色系顔料を提供する。
【0002】
【従来の技術】
現在、緑色顔料としてはクロムグリーンをはじめ、酸化クロム、ジンクグリーン及びフタロシアニングリーン等が用いられ、樹脂、塗料、印刷インキ等の着色顔料として広く使用されている。
【0003】
クロムグリーンは耐光性に優れているが、酸やアルカリ等の耐薬品性が劣っており、酸化クロムは耐光性、耐熱性及び耐薬品性には優れているが隠蔽力及び着色力が小さく、高価であることが知られている。
【0004】
また、クロムグリーン、酸化クロム及びジンクグリーン等の緑色無機顔料はその構成元素として鉛やクロムを含有しているため毒性を有しているので、衛生面、安全性面及び環境汚染防止の観点から代替緑色顔料が強く要求されている。
【0005】
一方、フタロシアニングリーン等の有機緑色顔料は、色調が鮮明であるが、隠蔽力が弱いことが知られている。
【0006】
そこで、耐薬品性に優れ、しかも隠蔽力及び着色力に優れた無害な緑色顔料が強く要求されている。
【0007】
従来、顔料としての諸特性改善のために無機顔料と有機顔料とを組み合わせる技術が試みられており、例えば、黄鉛とフタロシアニンブルーを共沈させる方法や無機顔料の粒子表面に有機顔料を付着させる方法(特開平4−132770号公報、特開平10−88032号公報等)等が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
耐薬品性に優れると共に隠蔽力及び着色力が大きく、しかも耐熱性が向上した無害な緑色顔料は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0009】
即ち、前出の黄鉛とフタロシアニンブルーを共沈させる方法では、黄鉛を用いているために毒性を有していると共に、共沈で製造されているために、得られた顔料を塗料化した場合には、貯蔵安定性が十分とは言い難く、塗膜とした場合には、色浮きが生じる場合があるため好ましくない。
【0010】
また、前出特開平4−132770号公報に記載の方法は、無機顔料の存在下で有機顔料を析出させる方法であり有機顔料の付着強度が十分とは言い難いものである。また、前出特開平10−88032号公報に記載の方法は、無機顔料と有機顔料とを機械的に混合摩砕する方法であり、有機顔料の付着強度が十分とは言い難いものである。
【0011】
なお、特開平11−323174号公報には、黒色酸化鉄粒子粉末又は黒色含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物が被覆されており、該オルガノシラン化合物被覆にカーボンブラックが付着している鉄系黒色複合粒子粉末が記載されているが、黒色無機粒子に黒色のカーボンブラックを固着させる技術であり、緑色系顔料を得る技術とは異なるものである。
【0012】
そこで、本発明は、無害であって、耐酸性及び耐アルカリ性等の耐薬品性に優れると共に、隠蔽力及び着色力が大きく、且つ、耐熱性が向上した緑色系顔料を提供することを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0014】
即ち、本発明は、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面がアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンによって被覆されていると共に該被覆に有機青色顔料が付着している平均長軸径0.1〜1.0μmの複合含水酸化鉄粒子粉末からなり、前記オルガノシラン化合物又はポリシロキサンの被覆量がオルガノシラン化合物被覆含水酸化鉄粒子粉末又はポリシロキサン被覆含水酸化鉄粒子粉末に対してSi換算で0.02〜5.0重量%であり、前記有機青色顔料の付着量が前記含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して5〜30重量部であることを特徴とする緑色系顔料である(本発明1)。
【0015】
また、本発明は、本発明1の含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によって被覆されていることを特徴とする緑色系顔料である(本発明2)。
【0016】
また、本発明は、本発明1又は本発明2記載の緑色系顔料を塗料構成基材中に配合したことを特徴とする塗料である。
【0017】
また、本発明は、本発明1又は本発明2記載の緑色系顔料を用いて着色したことを特徴とする樹脂組成物である。
【0018】
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0019】
先ず、本発明に係る緑色系顔料について述べる。
【0020】
本発明に係る緑色系顔料は、芯粒子である含水酸化鉄粒子の粒子表面に、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆されていると共に、該被覆に有機青色顔料が付着している平均長軸径0.1〜1.0μmの緑色複合含水酸化鉄粒子からなる。
【0021】
本発明における含水酸化鉄粒子の粒子の形状は、針状又は直方体状である。ここで「針状」とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状及び米粒状を含む意味である。
【0022】
本発明における含水酸化鉄粒子粉末とは、ゲータイト(α−FeOOH)粒子粉末、粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含有しているゲータイト粒子粉末及びレピドクロサイト(γ−FeOOH)粒子粉末であり、得られる緑色系顔料の色相を考慮すると、ゲータイト粒子粉末及び粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含有しているゲータイト粒子粉末が好ましい。
【0023】
含水酸化鉄粒子粉末の平均長軸径は、0.1〜1.0μm、好ましくは0.15〜0.9μmである。
【0024】
平均長軸径が1.0μmを超える場合には、得られる緑色系顔料もまた粗大粒子となり、着色力が低下する。平均長軸径が0.1μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及び有機青色顔料による均一な付着処理が困難となる。
【0025】
本発明における含水酸化鉄粒子粉末の軸比(平均長軸径と平均短軸径の比)(以下、「軸比」という。)は20以下が好ましく、より好ましくは2〜15、更により好ましくは2〜10である。
【0026】
軸比が20を超える場合には、粒子の絡み合いが多くなり、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及び有機青色顔料による均一な付着処理が困難となる。
【0027】
含水酸化鉄粒子粉末の長軸径の幾何標準偏差値は2.0以下が好ましく、より好ましくは1.8以下であり、更により好ましくは1.6以下である。幾何標準偏差値が2.0を超える場合には、存在する粗大粒子によって均一な分散が阻害されるため、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及び有機青色顔料による均一な付着処理が困難となる。幾何標準偏差値の下限値は1.01であり、1.01未満のものは工業的に得られ難い。
【0028】
含水酸化鉄粒子粉末のBET比表面積値は5〜150m/gが好ましく、より好ましくは10〜120m/g、更により好ましくは15〜100m/gである。BET比表面積値が5m/g未満の場合には、含水酸化鉄粒子粉末が粗大であったり、粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、得られる緑色複合含水酸化鉄粒子もまた粗大粒子となり、着色力が低下する。BET比表面積値が150m/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及び有機青色顔料による均一な付着処理が困難となる。
【0029】
本発明における含水酸化鉄粒子粉末の色相は、L値が40〜80、a値が−57.7≦a値≦+57.7(a値≠0)、b値が0<b値≦+100及びh値が0<h値<120°の範囲のものである。L値、a値、b値及びh値が上記範囲外の場合には、本発明の目的とする緑色系顔料を得ることが困難となる。
【0030】
本発明における含水酸化鉄粒子粉末は、180℃以上の耐熱性を有していることが好ましく、より好ましくは185℃以上である。得られる緑色複合含水酸化鉄粒子粉末の耐熱性を考慮すれば、芯粒子粉末として粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含有しているゲータイト粒子粉末を用いることが好ましく、その場合、耐熱温度は250℃程度である。
【0031】
本発明におけるアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物(以下、「オルガノシラン化合物」という。)は、化1で表わされるアルコキシシランから、乾燥乃至加熱工程を経て生成するオルガノシラン化合物である。
【0032】
【化1】
Figure 0004862976
【0033】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0034】
有機青色顔料の付着効果及び脱離率を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物が好ましく、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランから生成するオルガノシラン化合物がより好ましい。
【0035】
本発明におけるポリシロキサンは、化2で表わされるポリシロキサン、化3で表わされる変成ポリシロキサン、化4で表わされる末端変成ポリシロキサン又はこれらの混合物を用いることができる。
【0036】
【化2】
Figure 0004862976
【0037】
【化3】
Figure 0004862976
【0038】
【化4】
Figure 0004862976
【0039】
有機青色顔料の付着効果及び脱離率を考慮すると、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサン、ポリエーテル変成ポリシロキサン及び末端がカルボン酸で変成された末端カルボン酸変成ポリシロキサンが好ましい。
【0040】
オルガノシラン化合物又はポリシロキサンの被覆量は、オルガノシラン化合物被覆含水酸化鉄粒子粉末、又は、ポリシロキサン被覆含水酸化鉄粒子粉末に対して、Si換算で0.02〜5.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜4.0重量%であり、更により好ましくは0.05〜3.0重量%である。
【0041】
0.02重量%未満の場合には、含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して5重量部以上の有機青色顔料を付着させることが困難である。
【0042】
5.0重量%を超える場合には、含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して有機青色顔料を5〜30重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。
【0043】
本発明における有機青色顔料は、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー等のフタロシアニン系顔料及びアルカリブルーであり、得られる緑色系顔料の耐薬品性を考慮した場合、フタロシアニン系顔料を用いることが好ましい。
【0044】
有機青色顔料の付着量は、含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して5〜30重量部である。
【0045】
5重量部未満の場合及び30重量部を超える場合には、本発明の目的とする緑色系顔料を得ることが困難となる。より好ましくは7.5〜25重量部である。
【0046】
本発明に係る緑色系顔料の粒子形状や粒子サイズは、芯粒子である含水酸化鉄粒子の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0047】
即ち、本発明に係る緑色系顔料は、平均長軸径が0.1〜1.0μm、好ましくは0.15〜0.9μmである。
【0048】
緑色系顔料の平均長軸径が1.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下する。平均長軸径が0.1μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、ビヒクル中や樹脂組成物中への分散が困難となる。
【0049】
本発明に係る緑色系顔料の形状は、針状又は直方体状である。
【0050】
本発明に係る緑色系顔料の軸比は20以下が好ましく、より好ましくは2〜15、更により好ましくは2〜10である。軸比が20を超える場合には、粒子の絡み合いが多くなり、ビヒクル中や樹脂組成物中への分散性が悪くなったり粘度が増加する場合がある。
【0051】
緑色系顔料の長軸径の幾何標準偏差値は、2.0以下であることが好ましい。2.0を超える場合には、存在する粗大粒子によってビヒクル中や樹脂組成物中への均一な分散が困難となる。ビヒクル中や樹脂組成物中への均一な分散を考慮すれば、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.6以下である。工業的な生産性を考慮すれば、緑色系顔料の粒子径の幾何標準偏差値の下限値は1.01であり、1.01未満のものは工業的に得られ難い。
【0052】
本発明に係る緑色系顔料のBET比表面積値は6〜160m/gが好ましく、より好ましくは11〜130m/g、更により好ましくは16〜110m/gである。BET比表面積値が6m/g未満の場合には、緑色系顔料が粗大であるため、着色力が低下する。BET比表面積値が160m/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、ビヒクル中や樹脂組成物中への分散性が低下する。
【0053】
本発明に係る緑色系顔料の有機青色顔料の脱離率は15%以下が好ましく、より好ましくは12%以下である。有機青色顔料の脱離率が15%を超える場合には、脱離した有機青色顔料によりビヒクル中や樹脂組成物中での均一な分散が阻害される場合があると共に、脱離した部分の含水酸化鉄粒子粉末の色相が複合含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面に現れるため、均一な色相を得ることが困難となる。
【0054】
本発明に係る緑色系顔料の色相は、L値が25〜80、a値が−100≦a値<0、b値が−100≦b値≦+100及びh値が120°≦h値≦240°の範囲のものである。
【0055】
本発明に係る緑色系顔料の耐熱性は、粒子粉末である含水酸化鉄粒子粉末の耐熱温度に対して+5〜+40℃向上する。
【0056】
本発明に係る緑色系顔料の着色力は、後出する評価方法で115%以上が好ましく、より好ましくは120%以上である。
【0057】
本発明に係る緑色系顔料の隠蔽力は、後出する評価方法で1,750cm/g以上が好ましく、より好ましくは1,800cm/g以上である。
【0058】
本発明に係る緑色系顔料の耐薬品性は、後出する評価方法で、耐酸性はΔE値が1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下であり、耐アルカリ性はΔE値が1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。
【0059】
本発明に係る緑色系顔料は、必要により、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面をあらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも1種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよく、中間被覆物で被覆しない場合に比べ、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面からの有機青色顔料の脱離をより低減することができると共に、若干、耐熱性が向上する。
【0060】
中間被覆物による被覆量は、中間被覆物が被覆された含水酸化鉄粒子粉末に対してAl換算、SiO換算又はAl換算量とSiO換算量との総和で0.01〜20重量%が好ましい。
【0061】
0.01重量%未満である場合には、有機青色顔料の脱離率の低減効果が得られない。0.01〜20重量%の被覆量により、有機青色顔料の脱離率低減効果が十分に得られるので、20重量%を超えて必要以上に被覆する意味がない。
【0062】
中間被覆物で被覆されている本発明に係る緑色系顔料は、中間被覆物で被覆されていない本発明に係る緑色系顔料の場合とほぼ同程度の粒子サイズ、幾何標準偏差値、BET比表面積値、色相(L値、a値、b値、h値)、着色力、隠蔽力及び耐薬品性を有している。また、緑色系顔料の脱離率は中間被覆物を被覆することによって向上し、脱離率は12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。また、耐熱性は、アルミニウムを含有していない芯粒子粉末を用いた緑色系顔料に対して+5〜+30℃程度向上する。
【0063】
次に、本発明に係る緑色系顔料を配合した塗料について述べる。
【0064】
本発明に係る緑色系顔料を配合した塗料は、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。塗膜にした場合には、光沢度は75〜110%、好ましくは80〜110%であり、塗膜の耐熱温度は240℃以上、好ましくは245℃以上であり、耐薬品性のうち耐酸性はΔG値で12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下であり、耐アルカリ性はΔG値で12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下であり、色相はL値が25〜85、a値が−100≦a値<0、b値が−100≦b値≦+100及びh値が120°≦h値≦240°であることが好ましい。
【0065】
本発明に係る粒子表面が中間被覆物によって被覆された緑色系顔料を配合した塗料は、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。塗膜にした場合、光沢度は80〜115%、好ましくは85〜115%であり、塗膜の耐熱温度は245℃以上、好ましくは250℃以上であって、耐薬品性のうち耐酸性はΔG値で12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下であり、耐アルカリ性はΔG値で12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下であり、色相はL値が25〜85、a値が−100≦a値<0、b値が−100≦b値≦+100及びh値が120°≦h値≦240°であることが好ましい。
【0066】
本発明に係る緑色系顔料を配合した水系塗料は、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。塗膜にした場合には、光沢度は70〜110%、好ましくは75〜110%であり、塗膜の耐熱温度は235℃以上、好ましくは240℃以上であり、耐薬品性のうち耐酸性はΔG値で12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下であり、耐アルカリ性はΔG値で12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下であり、色相はL値が25〜85、a値が−100≦a値<0、b値が−100≦b値≦+100及びh値が120°≦h値≦240°であることが好ましい。
【0067】
本発明に係る粒子表面が中間被覆物によって被覆された緑色系顔料を配合した水系塗料は、貯蔵安定性がΔEで1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下である。塗膜にした場合、光沢度は75〜115%、好ましくは80〜115%であり、塗膜の耐熱温度は240℃以上、好ましくは245℃以上であって、耐薬品性のうち耐酸性はΔG値では12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下であり、耐アルカリ性はΔG値で12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下であり、色相はL値が25〜85、a値が−100≦a値<0、b値が−100≦b値≦+100及びh値が120°≦h値≦240°であることが好ましい。
【0068】
本発明に係る塗料中における緑色系顔料の配合割合は、塗料構成基材100重量部に対し1.0〜100重量部の範囲で使用することができ、塗料のハンドリングを考慮すれば、好ましくは2.0〜100重量部、更に好ましくは5.0〜100重量部である。
【0069】
塗料構成基材としては、樹脂、溶剤、必要により消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等が配合される。
【0070】
樹脂としては、溶剤系塗料用として通常使用されるアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂等を用いることができる。水系塗料用としては、通常使用される水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂等を用いることができる。
【0071】
溶剤としては、溶剤系塗料用として通常使用されるトルエン、キシレン、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルアルコール、脂肪族炭化水素等を用いることができる。
【0072】
水系塗料用溶剤としては、水と水系塗料で通常使用されるブチルセロソルブ、ブチルアルコール等とを混合して使用することができる。
【0073】
消泡剤としては、ノプコ8034(商品名)、SNデフォーマー477(商品名)、SNデフォーマー5013(商品名)、SNデフォーマー247(商品名)、SNデフォーマー382(商品名)(以上、いずれもサンノプコ株式会社製)、アンチホーム08(商品名)、エマルゲン903(商品名)(以上、いずれも花王株式会社製)等の市販品を使用することができる。
【0074】
次に、本発明に係る緑色系顔料を用いて着色した樹脂組成物について述べる。
【0075】
本発明に係る緑色系顔料を用いて着色した樹脂組成物は、目視観察による分散状態は、後出評価法による4又は5、好ましくは5であり、樹脂組成物の耐熱温度は215℃以上、好ましくは220℃以上であって、色相はL値が25〜85、a値が−100≦a値<0、b値が−100≦b値≦+100及びh値が120°≦h値≦240°であることが好ましい。
【0076】
本発明に係る粒子表面が中間被覆物によって被覆された緑色系顔料を用いて着色した樹脂組成物は、目視観察による分散状態は、後出評価法による4又は5、好ましくは5であり、樹脂組成物の耐熱温度は220℃以上、好ましくは225℃以上であって、色相はL値が25〜85、a値が−100≦a値<0、b値が−100≦b値≦+100及びh値が120°≦h値≦240°であることが好ましい。
【0077】
本発明に係る樹脂組成物中における緑色系顔料の配合割合は、樹脂100重量部に対し0.5〜200重量部の範囲で使用することができ、樹脂組成物のハンドリングを考慮すれば、好ましくは1.0〜150重量部、更に好ましくは2.5〜100重量部である。
【0078】
本発明に係る樹脂組成物における構成基材としては、緑色系顔料と周知の熱可塑性樹脂と共に、必要により、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等の添加剤が配合される。
【0079】
樹脂としては、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、スチレン重合体、ポリアミド等)等を用いることができる。
【0080】
添加剤の量は、緑色系顔料と樹脂との総和に対して50重量%以下であればよい。添加剤の含有量が50重量%を超える場合には、成形性が低下する。
【0081】
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂原料と緑色系顔料をあらかじめよく混合し、次に、混練機もしくは押出機を用いて加熱下で強いせん断作用を加えて、緑色系顔料の凝集体を破壊し、樹脂組成物中に緑色系顔料を均一に分散させた後、目的に応じた形状に成形加工して使用する。
【0082】
次に本発明に係る緑色系顔料の製造法について述べる。
【0083】
本発明に係る緑色系顔料は、含水酸化鉄粒子粉末とアルコキシシラン又はポリシロキサンを混合し、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面をアルコキシシラン又はポリシロキサンによって被覆し、次いで、アルコキシシラン又はポリシロキサンによって被覆された含水酸化鉄粒子粉末と有機青色顔料を混合することによって得ることができる。
【0084】
含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる被覆は、含水酸化鉄粒子粉末とアルコキシシランの溶液又はポリシロキサンとを機械的に混合攪拌したり、含水酸化鉄粒子粉末にアルコキシシラン又はポリシロキサンを噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加したアルコキシシラン又はポリシロキサンは、ほぼ全量が含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面に被覆される。
【0085】
なお、被覆されたアルコキシシランは、その一部が被覆工程を経ることによって生成する、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物として被覆されていてもよい。この場合においてもその後の有機青色顔料の付着に影響することはない。
【0086】
アルコキシシラン又はポリシロキサンを均一に含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面に被覆するためには、含水酸化鉄粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0087】
芯粒子粉末とアルコキシシラン又はポリシロキサンとの混合攪拌や前記有機青色顔料と粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆されている芯粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができる。本発明の実施にあたっては、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0088】
上記ホイール型混練機としては、具体的に、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。上記ボール型混練機としては、具体的に、振動ミル等がある。上記ブレード型混練機としては、具体的に、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー等がある。上記ロール型混練機としては、具体的に、エクストルーダー等がある。
【0089】
混合撹拌時における条件は、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にアルコキシシラン又はポリシロキサンができるだけ均一に被覆されるように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5〜120分、好ましくは10〜90分の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。なお、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0090】
アルコキシシラン又はポリシロキサンの添加量は、含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。0.15重量部未満の場合には、目的とする緑色系顔料を得られるだけの有機青色顔料を付着させることが困難である。0.15〜45重量部の添加量により、含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して、有機青色顔料を5〜30重量部付着させることができるので、45重量部を超えて必要以上に添加する意味がない。
【0091】
次いで、アルコキシシラン又はポリシロキサンを被覆した含水酸化鉄粒子粉末に、有機青色顔料を添加し、混合攪拌して、アルコキシシラン被覆又はポリシロキサン被覆に有機青色顔料を付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0092】
有機青色顔料は、少量ずつを時間をかけながら、殊に5〜60分間程度をかけて添加するのが好ましい。
【0093】
混合攪拌時における条件は、有機青色顔料が均一に付着するように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5〜120分、好ましくは10〜90分の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。なお、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0094】
有機青色顔料の添加量は、含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して5〜30重量部である。有機青色顔料の添加量が上記範囲外の場合には、目的とする緑色系顔料が得られない。
【0095】
乾燥乃至加熱工程における加熱温度は、通常40〜200℃が好ましく、より好ましくは60〜150℃である。処理時間は10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
【0096】
含水酸化鉄粒子粉末は、必要により、アルコキシシラン又はポリシロキサンとの混合撹拌に先立って、あらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよい。
【0097】
中間被覆物による被覆は、含水酸化鉄粒子粉末を分散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整することにより、前記含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面を、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆し、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処理等を施してもよい。
【0098】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等が使用できる。
【0099】
ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が使用できる。
【0100】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0101】
粒子の平均長軸径、平均短軸径は、いずれも電子顕微鏡写真を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子350個の長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0102】
軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比で示した。
【0103】
粒子の長軸径の粒度分布は、下記の方法により求めた値で示した。
【0104】
即ち、上記拡大写真に示される粒子の長軸径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒子の実際の長軸径と個数から統計学的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に長軸径を、縦軸に所定の長軸径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットする。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する長軸径の値を読みとり、幾何標準偏差値=積算フルイ下84.13%における長軸径/積算フルイ下50%における長軸径(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が1に近いほど、粒子の粒度分布が優れていることを意味する。
【0105】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0106】
含水酸化鉄粒子粉末及び緑色系顔料の粒子内部や粒子表面に存在しているAl量、Si量及びアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンに含有されているSi量のそれぞれは、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0107】
尚、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面を被覆しているケイ素の酸化物、ケイ素の水酸化物及びアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物に含有されるSi又はポリシロキサンに含有されるSiの各Si量は、処理工程後の各段階でSi量を測定し、その測定値から処理工程前の段階で測定したSi量を差し引いた値で示した。
【0108】
緑色系顔料に付着している有機青色顔料の被覆量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0109】
緑色系顔料に付着している有機青色顔料の脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。有機青色顔料の脱離率が0%に近いほど、緑色系顔料の粒子表面からの有機青色顔料の脱離量が少ないことを示す。
【0110】
緑色系顔料3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、沈降速度によって緑色系顔料と脱離した有機青色顔料とを分離した。次いで、この緑色系顔料に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、緑色系顔料と脱離した有機青色顔料を分離した。この緑色系顔料を80℃で1時間乾燥させ、有機青色顔料の量を測定し、下記数1に従って求めた値を有機青色顔料の脱離率(%)とした。
【0111】
【数1】
有機青色顔料の脱離率(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:緑色系顔料の有機青色顔料付着量
We:脱離テスト後の緑色系顔料の有機青色顔料付着量
【0112】
含水酸化鉄粒子粉末及び緑色系顔料の色相は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、 該塗布片について、多光源分光測色計(MSC−IS−2D、スガ試験機株式会社製)Multi−spctro−colour−Meterを用いてL値、a値及びb値を測定した。
【0113】
なお、h値は上記測定で得られたa値及びb値を用い、下記数2に従って求めることができる。
【0114】
【数2】
h=tan−1(b/a) (a>0,b≦0 の場合)
h=180+tan−1(b/a) (a<0の場合)
h=360+tan−1(b/a) (a>0,b<0 の場合)
【0115】
緑色系顔料の耐熱性は、熱分析装置SSC5000(セイコー電子工業株式会社製)を用いて被測定粒子粉末の示差走査熱量測定(DSC)を行い、得られた該DSCチャート上に示されるピークを形成する2つの変曲点のうち、最初の変曲点を構成する2つの曲線のそれぞれについて接線を引き、両接線の交点に対応する温度を読み取って、その温度で示した。
【0116】
含水酸化鉄粒子粉末、有機青色顔料及び緑色系顔料の着色力は、下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、 該塗布片について、多光源分光測色計(MSC−IS−2D、スガ試験機株式会社製)Multi−spctro−colour−Meterを用いてL値を測色し、その差をΔL値で示し、標準試料として用いたクロムグリーン(比較例6)のΔLs値とを用いて下記数3に従って算出した値を着色力(%)として示した。
【0117】
【数3】
着色力(%)=100+{(ΔLs−ΔL)×10}
【0118】
原色エナメルの作製:
上記試料粉体10gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー6gとを配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
【0119】
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル12gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)40gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
【0120】
含水酸化鉄粒子粉末、有機青色顔料及び緑色系顔料の隠蔽力は、上記で得られた原色エナメルを用いて、JIS K 5101 8.2のクリプトメーター法に従って得られた値で示した。
【0121】
含水酸化鉄粒子粉末、有機青色顔料及び緑色系顔料の耐酸性は、試料粉体10gを5%の硫酸に10分間浸漬し、次いで、試料を硫酸水溶液中から取り出して水洗した後乾燥させ、前述と同様の方法で塗布膜を作製し、L値、a値及びb値を測色し、下記数4に従って算出した色差ΔE値によって示した。ΔE値が小さいほど、耐酸性に優れていることを示す。
【0122】
含水酸化鉄粒子粉末、有機青色顔料及び緑色系顔料の耐アルカリ性は、試料粉体10gを1%の苛性ソーダ水溶液に15分間浸漬し、次いで、試料を苛性ソーダ水溶液中から取り出して水洗した後乾燥させ、前述と同様の方法で塗布膜を作製し、L値、a値及びb値を測色し、下記数4に従って算出した色差ΔE値によって示した。ΔE値が小さいほど、耐アルカリ性に優れていることを示す。
【0123】
【数4】
ΔE値=((ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL値:試料粉体の酸又はアルカリ浸漬処理前後のL値の差
Δa値:試料粉体の酸又はアルカリ浸漬処理前後のa値の差
Δb値:試料粉体の酸又はアルカリ浸漬処理前後のb値の差
【0124】
緑色系顔料を用いて得られた溶剤系塗料及び水系塗料の各塗膜の色相は、後述する処方によって調製した各塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成することによって得られた測定用塗布片を用い、緑色系顔料を用いて着色した樹脂組成物の色相は、後述する処法によって作製した着色樹脂プレートを用いて、該塗布片及び該プレートを、それぞれ、多光源分光測色計(MSC−IS−2D、スガ試験機株式会社製)Multi−spctro−colour−Meterを用いてL値、a値及びb値の測定を行った。
【0125】
尚、h値は上記測定で得られたa値及びb値の測定を用い、上記数2に従って求めた。
【0126】
塗膜の光沢度は、上記測定用塗布片を「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて入射角60°の時の光沢度で示した。光沢度が高いほど、緑色系顔料を配合した塗料の分散性が優れていることを示す。
【0127】
緑色系顔料を用いた塗膜の耐熱性は、上記測定用塗布片を電気炉に入れ、電気炉の温度を種々変化させて各温度において15分間加熱処理を行い、塗布片の各温度における加熱前後での色相(L値、a値、b値)を、多光源分光測色計(MSC−IS−2D、スガ試験機株式会社製)Multi−spctro−colour−Meterを用いて測定し、加熱前の測色値を基準に下記数5で示されるΔE値を求め、片対数グラフを用いて横軸に加熱温度を、縦軸にΔE値をプロットし、ΔE値がちょうど1.5となるときの温度を塗膜の耐熱温度とした。
【0128】
【数5】
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する塗膜の加熱処理前後のL値の差
Δa値: 比較する塗膜の加熱処理前後のa値の差
Δb値: 比較する塗膜の加熱処理前後のb値の差
【0129】
緑色系顔料を用いて得られた塗料の貯蔵安定性は、後出の所定の組成分を所定割合で配合し、ミルベースを90分間分散させて得られた塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS−G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して製造した塗膜の色相L値、a値及びb値と、該塗料を25℃において1週間静置して得られた塗料を冷間圧延鋼板に塗布、乾燥して製造した塗膜の色相を測定し、下記数6に従って得られたΔE値で示した。
【0130】
【数6】
ΔE値=((ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL値: 比較する塗膜の静置前後のL値の差
Δa値: 比較する塗膜の静置前後のa値の差
Δb値: 比較する塗膜の静置前後のb値の差
【0131】
塗膜の耐酸性は、後出の所定の組成分を所定割合で配合して得られた塗料を、冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm:JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して製造した塗膜を有する試料を用意し、光沢度を測定しておく。次に、1000mlのビーカーに5重量%硫酸水溶液を入れ、上記塗布片を糸でつるして約120mmの深さまで浸し、25℃で24時間静置する。
【0132】
次に、塗布片を硫酸水溶液中から取り出して流水で静かに洗い、水を振り切った後、塗布片の中心部分の光沢度を測定する。そして硫酸水溶液への浸漬前後の光沢度変化(ΔG値)を測定し、これの大小で耐酸性を評価した。ΔG値が小さいほど、耐酸性に優れていることを示す。
【0133】
塗膜の耐アルカリ性は、後出の所定の組成分を所定割合で配合して得られた塗料を、冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm:JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して製造した塗膜を有する試料を用意し、光沢度を測定しておく。次に、1000mlのビーカーに1%苛性ソーダ水溶液を入れ、上記塗布片を糸でつるして約120mmの深さまで浸し、25℃で24時間静置する。
【0134】
次に、塗布片を苛性ソーダ水溶液中から取り出して流水で静かに洗い、水を振り切った後、塗布片の中心部分の光沢度を測定する。そして硫酸水溶液への浸漬前後の光沢度変化(ΔG値)を測定し、これの大小で耐アルカリ性を評価した。
ΔG値が小さいほど、耐アルカリ性に優れていることを示す。
【0135】
緑色系顔料を用いて着色した樹脂組成物の耐熱性は、後述する処方によって作製した着色樹脂プレートを5cm角に裁断し、該着色樹脂プレートをホットプレスにかけ、ホットプレス温度を種々変化させて、各温度において98MPa(1トン/cm)の荷重をかけながら10分間加熱処理を行い、着色樹脂プレートの各温度における加熱前後での色相(L値、a値、b値)を多光源分光測色計(MSC−IS−2D、スガ試験機株式会社製)Multi−spctro−colour−Meterを用いて測定し、加熱前の測色値を基準に下記数7で示されるΔE値を求め、片対数グラフを用いて横軸に加熱温度を、縦軸にΔE値をプロットし、ΔE値がちょうど1.5となるときの温度を樹脂組成物の耐熱温度とした。
【0136】
【数7】
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値:比較する着色樹脂プレートの加熱処理前後のL値の差
Δa値:比較する着色樹脂プレートの加熱処理前後のa値の差
Δb値:比較する着色樹脂プレートの加熱処理前後のb値の差
【0137】
塗料粘度については、後述する処方によって調製した塗料の25℃のおける塗料粘度をE型粘度計(コーンプレート型粘度計)EMD−R(株式会社東京計器製)を用いて、ずり速度D=1.92 sec−1における値を求めた。
【0138】
緑色系顔料の樹脂組成物への分散性は、得られた着色樹脂プレート表面における未分散の凝集粒子の個数を目視により判定し、5段階で評価した。5が最も分散状態が良いことを示す。
5: 未分散物認められず、
4: 1cm当たり1個以上5個未満、
3: 1cm当たり5個以上10個未満、
2: 1cm当たり10個以上50個未満、
1: 1cm当たり50個以上。
【0139】
<緑色系顔料の製造>
ゲータイト粒子粉末(粒子形状:針状、平均長軸径0.40μm、軸比5.3、幾何標準偏差値1.44、BET比表面積値18.8m/g、L値59.3、a値16.5、b値53.9、h値73.0°、耐熱性198℃)11.0kgをエッジランナー「MPUV−2型」(製品名、株式会社松本鋳造鉄工所製)に投入し、メチルトリエトキシシラン(商品名:TSL8123:東芝シリコーン株式会社製)220gを200mlのエタノールで混合希釈して得られるメチルトリエトキシシラン溶液を、エッジランナーを稼動させながら上記ゲータイト粒子粉末に添加し、392N/cm(40Kg/cm)の線荷重で20分間混合攪拌を行った。なお、このときの撹拌速度は22rpmで行った。
【0140】
次に、有機青色顔料A(種類:フタロシアニンブルー、粒子形状:粒状、平均長軸径0.06μm、隠蔽力240cm/g、L値17.7、a値9.7、b値−23.4、h値292.5°、耐熱性256℃)825gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に392N/cm(40Kg/cm)の線荷重で20分間、混合攪拌を行い、メチルトリエトキシシラン被覆の上に有機青色顔料Aを付着させた後、乾燥器を用いて105℃で60分間加熱処理を行い、緑色系顔料を得た。なお、このときの撹拌速度は22rpmで行った。
【0141】
得られた緑色系顔料は、平均長軸径が0.40μm、軸比が5.3の針状粒子粉末であった。幾何標準偏差値は1.44、BET比表面積値は20.1m/g、L値は39.9、a値は−13.2、b値は+19.8、h値は123.7°、着色力は141%、隠蔽力は1,950cm/gであり、耐薬品性のうち、耐酸性はΔE値で0.99、耐アルカリ性はΔE値で0.86であり、耐熱性は227℃、有機青色顔料の脱離率は7.0%であり、メチルトリエトキシシランから生成したオルガノシラン化合物の被覆量はSi換算で0.29重量%、付着している有機青色顔料の量は、C換算で4.61重量%(ゲータイト粒子粉末100重量部に対して7.5重量部に相当する)であった。
【0142】
電子顕微鏡写真観察の結果、有機青色顔料がほとんど認められないことから、有機青色顔料のほぼ全量がメチルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物被覆に付着していることが認められた。
【0143】
<緑色系顔料を含む溶剤系塗料の製造>
上記緑色系顔料10gとアミノアルキッド樹脂及びシンナーとを下記割合で配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで90分間混合分散し、ミルベースを作製した。
【0144】
緑色系顔料 12.2重量部、
アミノアルキッド樹脂 19.5重量部、
(アミラックNo.1026:関西ペイント株式会社製)
シンナー 7.3重量部。
【0145】
上記ミルベースを用いて、下記割合となるようにアミノアルキッド樹脂を配合し、ペイントシェーカーで更に15分間混合分散して、緑色系顔料を含む溶剤系塗料を得た。
【0146】
ミルベース 39.0重量部、
アミノアルキッド樹脂 61.0重量部。
(アミラックNo.1026:関西ペイント株式会社製)
【0147】
得られた溶剤系塗料の塗料粘度は1,452cP、塗料の貯蔵安定性は、ΔE値で0.92であった。
【0148】
次いで、上記溶剤系塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して得られた塗膜の光沢度は87%、塗膜の耐熱温度は249℃であり、色相はL値が40.2、a値が−12.4、b値が+20.5、h値が121.2°、耐酸性はΔG値で9.3%、耐アルカリ性はΔG値で7.9%であった。
【0149】
<緑色系顔料を含む水系塗料の製造>
上記緑色系顔料7.62gと水溶性アルキッド樹脂等とを下記割合で3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いでペイントシェーカーで90分間混合分散し、ミルベースを作製した。
【0150】
緑色系顔料 12.4重量部、
水溶性アルキッド樹脂 9.0重量部、
(商品名:S−118:大日本インキ化学工業株式会社製)
消泡剤 0.1重量部、
(商品名:ノプコ8034:サンノプコ株式会社製)
水 4.8重量部、
ブチルセロソルブ 4.1重量部。
【0151】
上記ミルベースを用いて、塗料組成を下記割合で配合してペイントシェーカーで更に15分間混合分散し水溶性塗料を得た。
【0152】
ミルベース 30.4重量部、
水溶性アルキッド樹脂 46.2重量部、
(商品名:S−118:大日本インキ化学工業株式会社製)
水溶性メラミン樹脂 12.6重量部、
(商品名:S−695:大日本インキ化学工業株式会社製)
消泡剤 0.1重量部、
(商品名:ノプコ8034:サンノプコ株式会社製)
水 9.1重量部、
ブチルセロソルブ 1.6重量部。
【0153】
得られた水系塗料の塗料粘度は2,118cP、貯蔵安定性はΔE値で1.00であった。
【0154】
次いで、上記水系塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して得られた塗膜の光沢度は82%、塗膜の耐熱温度は247℃であり、色相はL値が40.7、a値が−12.6、b値が+20.9、h値が121.1°、耐酸性はΔG値で9.6%、耐アルカリ性はΔG値で8.8%であった。
【0155】
<樹脂組成物の製造>
上記緑色系顔料2.5gとポリ塩化ビニル樹脂粉末103EP8D(日本ゼオン株式会社製)47.5gとを秤量し、これらを100mlポリビーカーに入れ、スパチュラでよく混合して混合粉末を得た。
【0156】
得られた混合粉末にステアリン酸カルシウムを0.5g加えて混合し、160℃に加熱した熱間ロールのクリアランスを0.2mmに設定した後、上記混合粉末を少しずつロールにて練り込んで樹脂組成物が一体となるまで混練を続けた後、樹脂組成物をロールから剥離して着色樹脂プレート原料として用いた。
【0157】
次に、表面研磨されたステンレス板の間に上記樹脂組成物を挟んで180℃に加熱したホットプレス内に入れ、1トン/cmの圧力で加圧成形して厚さ1mmの着色樹脂プレートを得た。得られた着色樹脂プレートの分散状態は5であり、着色樹脂プレートの耐熱温度は223℃、色相は、L値が42.2、a値が−10.8、b値が+17.9、h値が121.1°であった。
【0158】
【作用】
本発明において最も重要な点は、含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面がアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンによって被覆されていると共に、該被覆に有機青色顔料が付着している緑色系顔料は、耐薬品性に優れ、且つ、隠蔽力及び着色力が大きく、しかも耐熱性が向上した無害な緑色系顔料であるという事実である。
【0159】
本発明において緑色を呈する顔料が得られる理由としては、黄色のフィルムに青い透明フィルムを重ねると緑色を呈するのと同じ原理で、隠蔽力が弱い有機青色顔料によって黄色を呈する含水酸化鉄粒子粉末を被覆することによって、緑色に見えるものと考えている。
【0160】
本発明に係る緑色系顔料が耐薬品性に優れている理由としては、芯粒子粉末である含水酸化鉄粒子粉末が耐薬品性に優れていると共に、粒子粉末に付着させた有機青色顔料もまた耐薬品性に優れたものを選ぶことによって、粒子全体の耐薬品性がより向上したものと考えている。
【0161】
本発明に係る緑色系顔料が隠蔽力及び着色力に優れている理由としては、隠蔽力及び着色力に優れる含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にオルガノシラン化合物又はポリシロキサン被覆を介して有機青色顔料を強固に固定化して複合化できたことによって、隠蔽力と着色力が共に優れた顔料とすることができるものと考えている。
【0162】
本発明に係る緑色系顔料の耐熱性が優れている理由としては、本来耐熱性に劣る含水酸化鉄粒子粉末を耐熱性に優れたオルガノシラン化合物又はポリシロキサンによって被覆し、更に、耐熱性に優れている有機青色顔料が固定化されることによって、緑色系顔料としての耐熱性が向上したものと考えている。
【0163】
また、本発明に係る緑色系顔料は、有害な元素及び化合物を含有していないので、衛生面や安全性に優れ、また、環境汚染防止に配慮した顔料である。
【0164】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を示す。
【0165】
芯粒子1〜4:
芯粒子粉末として表1に示す特性を有する含水酸化鉄粒子粉末を用意した。
【0166】
【表1】
Figure 0004862976
【0167】
芯粒子5:
芯粒子1の針状ゲータイト粒子粉末20kgと水150lとを用いて、針状ゲータイト粒子粉末を含むスラリーを得た。得られた針状ゲータイト粒子粉末を含む再分散スラリーのpH値を、水酸化ナトリウム水溶液を用いて10.5に調整した後、該スラリーに水を加えスラリー濃度を98g/lに調整した。このスラリー150lを加熱して60℃とし、このスラリー中に1.0mol/lのアルミン酸ナトリウム溶液2722ml(針状ゲータイト粒子粉末に対してAl換算で0.5重量%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用いてpH値を7.5に調整した。この状態で30分間保持した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されている針状ゲータイト粒子粉末を得た。
【0168】
このときの製造条件を表2に、得られた表面処理済みゲータイト粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0169】
芯粒子6〜8:
芯粒子2〜4の各含水酸化鉄粒子粉末を用い、表面被覆物の種類及び量を種々変化させた以外は、前記芯粒子5と同様にして粒子表面が被覆物で被覆されている含水酸化鉄粒子粉末を得た。
【0170】
このときの製造条件を表2に、得られた表面処理済み含水酸化鉄粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0171】
【表2】
Figure 0004862976
【0172】
【表3】
Figure 0004862976
【0173】
尚、表面処理工程における被覆物の種類のAはアルミニウムの水酸化物であり、Sはケイ素の酸化物を表わす。
【0174】
有機青色顔料A、B:
有機青色顔料として表4に示す諸特性を有するフタロシアニンブルーを用意した。
【0175】
【表4】
Figure 0004862976
【0176】
実施例1〜8、比較例1〜5:
アルコキシシラン、ポリシロキサン、シリコン化合物による被覆工程における添加物の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間、有機青色顔料の付着工程における有機青色顔料の種類、添加量、エッジランナー処理の線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして緑色系顔料を得た。
【0177】
このときの製造条件を表5に、得られた緑色系顔料の諸特性を表6に示す。
【0178】
比較例6〜8
比較例6としてクロムグリーン、比較例7として酸化クロム、比較例8としてフタロシアニングリーンのそれぞれ単独での諸特性を表6に示す。
【0179】
【表5】
Figure 0004862976
【0180】
【表6】
Figure 0004862976
【0181】
実施例9〜16、比較例9〜16:
緑色系顔料の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして塗料を得た。
【0182】
得られた塗料の諸特性及び塗膜の諸特性を表7に示す。
【0183】
【表7】
Figure 0004862976
【0184】
実施例17〜24、比較例17〜24:
緑色系顔料の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして水系塗料を得た。
【0185】
得られた水系塗料の諸特性及び塗膜の諸特性を表8に示す。
【0186】
【表8】
Figure 0004862976
【0187】
実施例25〜32、比較例25〜32:
緑色系顔料の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして樹脂組成物を得た。
【0188】
このときの製造条件及び得られた樹脂組成物の諸特性を表9に示す。
【0189】
【表9】
Figure 0004862976
【0190】
【発明の効果】
本発明に係る緑色系顔料は、隠蔽力及び着色力が大きく、耐熱性及び耐候性に優れ、しかも、無害であることから緑色系顔料として好適である。
【0191】
本発明に係る塗料及び樹脂組成物は、耐熱性及び耐薬品性に優れ、且つ、無害である緑色系顔料を用いることから環境汚染を配慮した緑色系塗料及び樹脂組成物として好適である。

Claims (4)

  1. 含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面がアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンによって被覆されていると共に該被覆に有機青色顔料が付着している平均長軸径0.1〜1.0μmの緑色複合含水酸化鉄粒子粉末からなり、前記オルガノシラン化合物又はポリシロキサンの被覆量がオルガノシラン化合物被覆含水酸化鉄粒子粉末又はポリシロキサン被覆含水酸化鉄粒子粉末に対してSi換算で0.02〜5.0重量%であり、前記有機青色顔料の付着量が前記含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して5〜30重量部であることを特徴とする緑色系顔料。
  2. 請求項1記載の含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によって被覆されていることを特徴とする緑色系顔料。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の緑色系顔料を塗料構成基材中に配合したことを特徴とする塗料。
  4. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の緑色系顔料を用いて着色したことを特徴とする樹脂組成物。
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