JP4862794B2 - スプライン部材の製造方法 - Google Patents
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Description
このようなスプライン部材は、通常、貫通穴を設けた板状の素材をバーリング加工等によって円筒状のボス部を形成し、そのボス部の先端面から軸方向に沿ってスプライン部を形成することによって製造される。
上記ボス部の先端面のうちの内周側部分又は外周側部分を軸方向に押圧して、形成しようとするスプライン部の軸方向端面位置に相当する位置にスプライン基点面を形成するスプライン基点面形成工程と、
上記ボス部の内周面又は外周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って形成された山部と該山部の間に形成された谷部とを交互に設けたスプライン部を形成するスプライン形成工程と、
上記ボス部のスプライン形成領域を切削しないように、上記ボス部における上記スプライン形成領域よりも先端側の不要部を切削する切削工程とを有することを特徴とするスプライン部材の製造方法にある(請求項1)。
この場合には、上記スプライン形成工程において、上記ボス部の内周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って上記スプライン部を容易に形成することができる。
上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角が45°未満の場合には、上記スプライン形成工程において、上記スプライン基点面側にて欠肉が生じるおそれがある。一方、60°を超える場合には、上記切削工程において、上記ボス部の不要部を切削する際にバリが発生するおそれがある。
この場合には、上記スプライン形成工程において、上記ボス部の内周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って上記スプライン部を精度良く確実に形成することができる。
この場合には、上記スプライン形成工程において、上記ボス部の外周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って上記スプライン部を容易に形成することができる。
上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角が45°未満の場合には、上記スプライン形成工程において、上記スプライン基点面側にて穴肉が生じるおそれがある。一方、60°を超える場合には、上記切削工程において、上記ボス部の不要部を切削する際にバリが発生するおそれがある。
この場合には、上記スプライン形成工程において、上記ボス部の外周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って上記スプライン部を精度良く確実に形成することができる。
上記スプライン基点面の径方向の幅が1mm未満の場合には、上記スプライン形成工程において、上記スプライン部を形成する際に肉のまくれ込みが生じるおそれがある。一方、3mmを超える場合には、上記スプライン形成工程において、上記スプライン部の長さのばらつきが大きくなる。そのため、上記切削工程において、上記ボス部の不要部を切削する際にバリが発生するおそれがある。
この場合には、例えば上記素材の板厚が薄い場合であっても、上記ボス部を容易に形成することができる。
また、この場合には、単なる塊状の素材を用いて加工を行ってもよいし、上記バーリング加工のように貫通穴を設けた素材を用いて加工を行ってもよい。また、貫通穴を設けた素材を用いた場合には、所定の位置に金型(マンドレル)を差し込むことで実施することができる。
この場合には、上記キャリアカバーの生産性の向上を図ることができる。
なお、上記スプライン部材は、上記スプライン部を有するその他の様々な部品に適用することができる。
本発明の実施例にかかるスプライン部材の製造方法について、図を用いて説明する。
本例において製造するスプライン部材1は、図1に示すごとく、自動変速機のプラネタリギア用のキャリアカバーである。
スプライン部材1は、基板部11と基板部11から突出して設けられた円筒状のボス部2とを有している。そして、ボス部2の内周面201には、軸方向に沿って形成された山部31と山部31の間に形成された谷部32とを交互に設けたスプライン部3が形成されている。
スプライン基点面形成工程では、ボス部2の先端面21のうちの内周側部分を軸方向に押圧して、形成しようとするスプライン部3の軸方向端面位置に相当する位置にスプライン基点面22を形成する。
スプライン形成工程では、ボス部2の内周面201に、スプライン基点面22から軸方向に沿って形成された山部31と山部31の間に形成された谷部32とを交互に設けたスプライン部3を形成する。
切削工程では、ボス部2のスプライン形成領域30を切削しないように、ボス部2におけるスプライン形成領域30よりも先端側の不要部200を切削する。
以下、これを詳説する。
本工程は、図3、図4に示すごとく、ボス形成装置4を用いてバーリング加工により行う。ボス形成装置4は、同図に示すごとく、素材100にボス部2を形成するためのボス形成用パンチ41及びボス形成用ダイス42と、ボス形成用パンチ41の外周側に設けられたボス形成用板押え43と、ボス形成用ダイス42の内周側に設けられたノックアウト部材44とを有する。
これにより、図5(a)、(b)に示すごとく、先端面21が自由形状のボス部2を板状の基板部11の第1表面111から突出するように形成した第1中間体101を得る。
本工程は、図7、図8に示すごとく、スプライン基点面形成装置5を用いて行った。スプライン基点面形成装置5は、同図に示すごとく、第2中間体102にスプライン基点面22を形成するためのスプライン基点面形成用カウンターパンチ51及びスプライン基点面形成用パンチ52と、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51の外周側に設けられたスプライン基点面形成用ダイス53と、スプライン基点面形成用パンチ52の外周側に設けられたスプライン基点面形成用板押え54と、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51とスプライン基点面形成用ダイス53との間に設けられたノックアウト部材55とを有する。
このとき、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51の相対的な移動距離を機械的に制御しておくことにより、形成しようとするスプライン部3の軸方向端面位置に相当する位置にスプライン基点面22を形成する。本例では、基板部11からスプライン基点面22までの距離を形成するスプライン部3の長さに合わせて調整する。また、スプライン基点面形成部511の形状を傾斜させておくことにより、スプライン基点面22をその内径がボス部2の先端に向かって徐々に拡径するように傾斜させる。
なお、本例では、図9(b)に示すごとく、基板部11の第1表面111からスプライン基点面22の内周端221までの距離が一定となるように調整しており、その距離dは12.2mmである。また、スプライン基点面22の最大内径aは、スプライン基点面22の外周端222の内径であり、36.2mmである。
また、図9(c)に示すごとく、スプライン基点面22の軸方向に対する傾斜角αは60°であり、スプライン基点面22の径方向の幅bは1.3mmである。
本工程は、図10、図11に示すごとく、スプライン形成装置6を用いて行った。スプライン形成装置6は、同図に示すごとく、第3中間体103における基板部11の外周部に切り欠き部13を形成するためのシェービングパンチ61及びシェービングダイス62と、ボス部2の内周面201に挿入してスプライン部3を形成するためのスプラインパンチ63と、基板部11の第1表面111及びボス部2の外周面202を支持するストリッパー64と、ストリッパー64の後退を規制する受圧部材65と、スプラインパンチ63とストリッパー64との間に設けられたノックアウト部材66とを有する。
本工程では、図13(a)、(b)に示すごとく、自由形状となっているボス部2の先端面21を研削し、第4中間体104のボス部2の先端面21の形状を整える。このとき、ボス部2のスプライン形成領域30を切削しないように、ボス部2のスプライン形成領域30よりも先端側の不要部200を切削する。
以上により、スプライン部材1(図1)を得る。
本発明のスプライン部材の製造方法は、スプライン形成工程の前に、スプライン基点面形成工程を行う。すなわち、ボス部2にスプライン部3を形成する前に、スプライン部3を形成する基点となるスプライン基点面22をボス部2の先端面21に予め設けておく。そして、スプライン形成工程において、ボス部2のスプライン基点面22を基点として、スプライン基点面22がそのままスプライン部3の軸方向端面となるように、スプライン部3を形成する。
また、この場合には、単なる塊状の素材を用いて加工を行ってもよいし、本例のバーリング加工のように貫通穴を設けた素材を用いて加工を行ってもよい。また、貫通穴を設けた素材を用いた場合には、所定の位置に金型(マンドレル)を差し込むことで実施することができる。
本例は、実施例1のスプライン部材1をプラネタリギア8に組み込んだ例である。
プラネタリギア8は、図14に示すごとく、中空軸81の外周にインプットフランジ85を介してスプライン部材1であるキャリアカバーが配設されている。そして、スプライン部材1のボス部2の後端側には、ベアリング82が配設されている。
11 基板部
2 ボス部
201 内周面(ボス部の内周面)
21 先端面(ボス部の先端面)
22 スプライン基点面
3 スプライン部
30 スプライン形成領域
Claims (10)
- 素材を塑性変形させる塑性加工を行い、先端面を拘束することなく自由状態で延伸させてなる円筒状のボス部を形成するボス形成工程と、
上記ボス部の先端面のうちの内周側部分又は外周側部分を軸方向に押圧して、形成しようとするスプライン部の軸方向端面位置に相当する位置にスプライン基点面を形成するスプライン基点面形成工程と、
上記ボス部の内周面又は外周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って形成された山部と該山部の間に形成された谷部とを交互に設けたスプライン部を形成するスプライン形成工程と、
上記ボス部のスプライン形成領域を切削しないように、上記ボス部における上記スプライン形成領域よりも先端側の不要部を切削する切削工程とを有することを特徴とするスプライン部材の製造方法。 - 請求項1において、上記ボス形成工程では、上記ボス部の先端面のうちの内周側部分に上記スプライン基点面を形成する場合には、該スプライン基点面をその内径が上記ボス部の先端に向かって徐々に拡径するように傾斜させることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
- 請求項2において、上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角は、45°〜60°であることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
- 請求項2又は3において、上記スプライン基点面の最大内径は、上記スプライン部の上記谷部の内径と同じ又はそれより大きいことを特徴とするスプライン部材の製造方法。
- 請求項1において、上記ボス形成工程では、上記ボス部の先端面のうちの外周側部分に上記スプライン基点面を形成する場合には、該スプライン基点面をその外径が上記ボス部の先端に向かって徐々に縮径するように傾斜させることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
- 請求項5において、上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角は、45°〜60°であることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
- 請求項5又は6において、上記スプライン基点面の最小外径は、上記スプライン部の上記谷部の外径と同じ又はそれより小さいことを特徴とするスプライン部材の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項において、上記スプライン基点面の径方向の幅は、1〜3mmであることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項において、上記ボス形成工程では、貫通穴を設けた板状の上記素材を準備し、該素材の上記貫通穴近傍における該貫通穴の周囲を円筒状に塑性変形させるバーリング加工を行い、上記ボス部を板状の基板部から突出するように形成することを特徴とするスプライン部材の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項において、上記スプライン部材は、自動変速機のプラネタリギア用のキャリアカバーであることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
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