JP4851769B2 - 電解質膜および直接メタノール固体高分子型燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素系高分子基材の内部に存在するグラフト鎖にプロトン伝導性基が導入されている電解質膜、およびそれを用いて得られる直接メタノール固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、エネルギー密度が高いことから、家庭用コージェネ電源や携帯機器用電源、電気自動車の電源、簡易補助電源等の広い分野での使用が期待されている。固体高分子型燃料電池においては、電解質膜はプロトンを伝導する為の電解質として機能し、同時に燃料である水素やメタノールと酸素を直接混合させない為の隔膜としての役割も有する。この様な電解質膜としては、電解質としてイオン交換容量が高い事、電流を長時間流す為電気的化学的な安定性、電気抵抗が低い事、膜の力学的強度が強い事、燃料である水素ガスやメタノールおよび酸素ガスについてガス透過性の低い事等が要求される。
このような燃料電池の電解質膜としては、デュポン社から開発されたパーフルオロスルホン酸膜「ナフィオン(デュポン社登録商標)」等が一般に用いられていた。しかしながら、「ナフィオン」を始めとする従来のフッ素系高分子イオン交換膜は、化学的な安定性には優れるもののイオン交換容量が低く、また保水性が不充分な為イオン交換膜の乾燥が生じてプロトン伝導性が低下する問題が見られた。この対策としてスルホン酸基を多く導入すると、保水により膜強度が極端に低下し、容易に破損してしまい、プロトン伝導性と膜強度を両立するのが難しいという問題を有していた。また、ナフィオンなどのフッ素系高分子電解質膜は、原料となるフッ素系モノマーの合成が複雑な為、非常に高価であり、固体高分子型燃料電池の実用化に対し大きな障害となっている。
その為、ナフィオンを始めとするフッ素系電解質膜に替わる低コストで高性能な電解質膜の開発が進められている。例えば、炭化水素構造を含むエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)膜にスチレンモノマーを放射線グラフト反応により導入し、次いでスルホン化することにより合成した電解質膜等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、これらを始めとする従来のクロロスルホン酸や硫酸等の反応性が非常に高いスルホン化剤を使用した場合、副反応が起こり易く、更に高分子膜基材へのダメージが生じ易い。このため、副反応等によるプロトン導電性基の導入や均一性が阻害され、また、膜特性の熱的安定性も低下するという問題があった。
なお、下記の特許文献2には、トリメチルベンゼンスルホン酸によりスルホン化した芳香族系高分子を、電解質膜の構成材料として使用することが開示されているが、芳香族系高分子の溶液をスルホン化剤と反応させているため、グラフトフィルムに対する反応とは各種条件などが大きく異なるものである。
特開平9−102322号公報 特開2001−307752号公報
そこで、本発明の目的は、形状の熱的安定性が良好で、プロトン導電性基がより均一に導入されているためプロトン導電性も良好な電解質膜、およびそれを用いて得られる直接メタノール固体高分子型燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、プロトン伝導性基の導入方法について鋭意研究したところ、ビニル系のグラフト鎖が内部まで存在するグラフトフィルムを、アルキルベンゼンスルホン酸によりスルホン化することなどにより、特に電解質膜の形状の熱的安定性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の電解質膜は、ポリフッ化ビニリデン基材の内部に存在するグラフト鎖に、アルキルベンゼンスルホン酸を用いてスルホン酸基が導入され電解質膜であって、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて、プローブ径1mmφ、70g荷重、室温より昇温速度2℃/minの条件で測定したときの厚み変化について、厚み維持率50%時の熱変形温度が300℃以上であることを特徴とする。本発明における「熱変形温度」などの物性値は、具体的には実施例に記載の方法で測定される値である。
本発明の電解質膜によると、針入プローブ式熱機械的分析装置による熱変形温度が300℃以上であるため、形状の熱的安定性が良好になり、耐熱性に優れたものとなる。このような耐熱性は、選択性の高い反応に起因するものであり、グラフト鎖にプロトン伝導性基が均一に導入される結果、プロトン導電性も良好な電解質膜となる。
上記において、前記グラフト鎖は、ビニル系モノマーがグラフト重合されたものであることが好ましい。フッ素系高分子基材は、ビニル系モノマーを用いて、その内部にまでグラフト鎖を形成することができ、また、得られたグラフト鎖にプロトン伝導性基を導入する工程も容易に行うことができる。
また、前記ビニル系モノマーが芳香族基を有し、この芳香族基にスルホン酸基が導入されていることが好ましい。このように芳香族基にスルホン酸基を導入する反応では、副反応が起こり難く、高分子膜基材へのダメージも生じにくいため、プロトン導電性基の導入がより均一に行え、膜特性の熱的安定性もより確実に維持できるようになる。
一方、本発明の直接メタノール固体高分子型燃料電池は、上記いずれかに記載の電解質膜を用いた直接メタノール固体高分子型燃料電池である。従って、この燃料電池によると、用いる電解質膜が、形状の熱的安定性が良好で、プロトン導電性も良好なため、耐熱性や熱的安定性が高く、十分な電池出力が得られるようになる。
本発明の電解質膜は、フッ素系高分子基材の内部に存在するグラフト鎖にプロトン伝導性基が導入されている。この電解質膜は、フッ素系高分子基材に対して、グラフト鎖を形成してグラフトフィルムを得た後、そのグラフト鎖にプロトン伝導性基を導入することで製造することができる。このようなグラフトフィルムは、フッ素系高分子製の基材フィルムに、高エネルギー線を照射した後、ビニル系モノマーなどをグラフト重合することで得ることができる。
基材ポリマーとしては、電池内での電気化学反応等に対し耐久性の高いフッ素系高分子膜を用いることが好ましい。フッ素系高分子膜について、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと略す)、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン共重合体(以下FEPと略す)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下PFAと略す)、ポリフッ化ビニリデン(以下PVdFと略す)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下ETFEと略す)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等を使用する事ができる。本発明では、膜/電極接合体(MEA)作製の際の電極との接着性の観点から、PVdFを用いるのが好ましい。
基材フィルムとしては、微多孔質フィルムでもよいが、無孔フィルムが好ましい。基材フィルムの厚みは、機械的強度などを維持しつつ、十分なプロトン伝導性を得る観点から、10〜200μmが好ましい。微多孔フィルムを用いる場合には、プロトン伝導性基を導入後に、多孔内に樹脂を充填処理して伝導性を調整することが好ましい。
また、これらのフッ素系高分子製の基材フィルムについて、あらかじめ架橋をしておくと、保液に伴う寸法変化率を小さくすることができるため好ましい。例えばPTFEの架橋方法については特開平6−116423号公報に、FEPやPFAの架橋方法については特開2001−348439号公報に開示されている方法を採用することができる。
グラフト鎖に関しては、例えば放射線や電子線を使用し、モノマーをグラフト反応させる事により得る事が可能である。このモノマーとしてはビニル基を有するものもしくはビニル基に結合している一部の水素が異なる官能基等に置換されたものを用いる事ができる(これを本発明では「ビニル系モノマー」という)。
またこのモノマーについては、単一はもとより複数の成分を混合したものも使用する事が出来る。具体的には下記の化学式(1)で示されるものを用いる事ができる。
Figure 0004851769
スルホン化処理に関しては、芳香族系のビニル系モノマーが処理を行い易いため、化学式(1)のR1がアリール基の場合が好ましく、ビニル系モノマーがスチレンの場合がより好ましい。
また、ビニル系モノマーとして、分子中にグラフト反応性のある不飽和結合を複数有する架橋剤を用いる事も可能であり、具体的には1,2−ビス(p−ビニルフェニル)、ジビニルスルホン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、シクロへキサンジメタノールジビニルエーテル、フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、2,3−ジフェニルアセチレン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、ジアリルエーテル、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、トリアリル−1,2,4−ベンゼントリカルボキシレート、トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、ブタジエン、イソブテン、エチレンなどを挙げることが出来る。
基材ポリマーへの上記モノマーのグラフト重合は、基材フィルムを放射線等の照射後モノマーと反応させる、いわゆる前照射法によって重合させる場合、および基材とモノマーを同時に放射線照射し重合させるいわゆる同時照射法のいずれによっても可能であるが、ホモポリマーの生成量の少ない前照射法が使いやすい。
また前照射法については、2つの方法あり、基材フィルムを不活性ガス中で照射するポリマーラジカル法と、基材フィルムを酸素の存在する雰囲気下で照射するパーオキサイド法があり、いずれも使用可能である。
前照射法の一例として、基材フィルムをガラス容器中に挿入後、この容器を真空脱気、次いで不活性ガス雰囲気に置換する。その後、基材フィルムを含む容器に、電子線やγ線を−10〜80℃好ましくは室温付近で、1〜500kGy照射した後、酸素の存在しない不活性ガスのバブリングや凍結脱気などで、酸素ガスを除いたモノマーおよびその混合液、溶媒で溶解もしくは希釈したモノマー溶液を、この照射した基材フィルムを含む容器内に充填する。また必要に応じて、架橋性のコントロールのため、重合後に後照射してもよい。その照射条件は前照射と同様に行うことができる。
架橋又は未架橋のフッ素高分子フィルムに、ポリマーのグラフト鎖を導入するためのグラフト重合は、通常30〜150℃、好ましくは40〜80℃で実施する。これにより得られたポリマーのグラフト率は、重合前の高分子基材に対し、8〜70重量%が好ましく、より好ましくは10〜50重量%であり、このグラフト率については、照射線量、重合温度、重合時間等により変化させることが出来る。
本発明の電解質膜は、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて、プローブ径1mmφ、70g荷重、室温より昇温速度2℃/minの条件で測定したときの厚み変化について、厚み維持率50%時の熱変形温度が300℃以上であり、好ましくは、330〜400℃である。この熱変形温度が300℃未満であると、スルホン化の均一性が低下して耐熱性が低下すると共に、プロトン伝導性も低下傾向になる。
本発明では、このような熱変形温度を有する電解質膜を得るために、上記のようなグラフトフィルムを、アルキルベンゼンスルホン酸によりスルホン化して、プロトン伝導性基を導入することが好ましい。
グラフト鎖を導入した高分子基材に、スルホン酸基をイオン交換基として導入する公知の方法としては、特開2001−348439号公報に開示されている。この公報では、1,2−ジクロロエタンを溶媒として用い、0.2〜0.5モル/Lの濃度のクロロスルホン酸溶液にグラフト処理フィルムを室温〜60℃で、2〜24時間浸漬して反応させている。また、高分子化合物フィルムのスルホン化に関する例としては、特開2005−89608号公報に開示されており、10〜30℃、2〜100時間で反応を行うと好ましいとされている。
上記の従来法のように、クロロスルホン酸のような反応性の強いスルホン化剤を用いた場合、副反応が多く、更に均一な膜を得ることが難しい。このような不均一性のある膜では、熱的な安定性も弱く隔膜として重要な厚み方向の厚み維持が困難になる。熱破膜などによる劣化を防ぐ意味で熱的安定性は重要になる。また、発煙硫酸を用いてスルホン化可能であり、実験室レベルでは実施可能であるが、製造レベルにおいて連続処理させることは、反応時間が長くなると極めて難しくなる。
本発明では、原料フィルムをスルホン化するスルホン化剤として、アルキルベンゼンスルホン酸を使用することで、上記のような副反応等による問題を回避することができる。アルキルベンゼンスルホン酸のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、アルキル基の置換基数としては、1〜5が挙げられる。好ましいアルキルベンゼンスルホン酸の具体例としては、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタメチルベンゼン−6−スルホン酸が好ましい。
ポリスチレンのグラフト鎖に対して、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸でスルホン化する場合の反応の例を下記の化学式(2)に示す。
Figure 0004851769
スルホン化に使用される溶剤としては、スルホン化剤を溶解し、原料フィルム及びスルホン化反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されず各種のものを使用することができる。具体的には、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物類、トリメチルベンゼン、トリブチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン等のアルキルベンゼン類、スルホラン等の複素環化合物類、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の直鎖、分枝鎖又は環状の脂肪族飽和炭化水素類を例示できる。
これら溶剤は、単独で又は2種以上を混合して使用され、その使用量は、スルホン化対象化合物により異なり適宜選択されるが、通常0.05〜2.0モル/L、好ましくは0.1〜1.0モル/Lの濃度の範囲内で使用される。
また、スルホン化反応の反応温度及び反応時間もスルホン化されるべき芳香族化合物により異なり適宜選択され得るが、通常20〜200℃程度、好ましくは100〜160℃で、通常1〜120分程度、好ましくは5〜60分の範囲内で行うのが望ましい。
本発明では、原料フィルムのグラフト鎖にスルホン化剤のスルホン酸基が直接導入され、非常に穏やかな反応であるため、クロロスルホン酸や発煙硫酸のようなスルホン化力が強く酸化性も強いため、スルホン等の副生物が生成したり、得られるスルホン化物が着色したりすることが少ない。このため、反応温度を高くすることができ、反応時間を短くすることができる。
また、スルホン化剤の極性がクロロスルホン酸や発煙硫酸と比べて低いため、原料フィルムにすばやく均一に拡散することができ、速くて均一な反応を行うことができる。更にこのように均一に分散したスルホン酸基を導入することができるため、クロロスルホン酸によるスルホン化のものと比べ、形状の熱的安定性が良好で、プロトン導電性基がより均一に導入されているためプロトン導電性も良好な電解質膜を得ることができる。
本発明の電解質膜のプロトン伝導度(室温)は、好ましくは0.01S/cm以上であり、さらには0.035S/cm以上であることがより好ましい。プロトン伝導度が0.01S/cmよりも低い場合には、本発明の電解質膜を固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質膜として使用した場合に、充分な発電特性を発揮しない恐れがある。電解質膜のプロトン伝導度を前記範囲に設定するには、本発明の原料フィルムのグラフト率やスルホン化率を制御し、プロトン伝導性置換基であるスルホン酸基の導入量を制御すればよい。
本発明の電解質膜は、実用上充分なプロトン伝導性、化学的・熱的安定性、機械的特性があり、固体高分子形燃料電池やメタノールなどのアルコール類を使用する直接アルコール形燃料電池に使用可能な燃料電池用膜として好ましい。燃料としては、純水素、メタノール・天然ガス・ガソリンなどの改質水素ガス、メタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテルなどが使用可能である。
ここで、メタノール燃料電池の構成を、簡単に説明する。メタノール燃料電池は、カソード極、アノード極、及び該両極に挟まれた電解質を有してなる。メタノール燃料電池は、改質器をアノード電極側に有し、改質型メタノール燃料電池としてもよい。
カソード極は、従来公知の構成とすることができ、例えば電解質側から順に触媒層及び該触媒層を支持する支持体層を有してなることができる。触媒としては、白金触媒を用いるのが一般的である。これには、白金ブラックまたは白金触媒が導電性カーボンブラック担体の上にナノ粒子状態で担持されたカーボン担持触媒などが挙げられる。これら触媒を、プロトン交換性高分子電解質をバインダとして用いて、適宜の溶剤を加えて溶解、均一分散し、触媒塗布用ペーストを作製する。このペーストを、バーコーターやスクリーン印刷などの手法を用いて、導電性多孔質基材であるカーボンペーパー上に塗布し、熱風循環式乾燥機中で溶剤を乾燥して、カソード電極を作る。
また、アノード極も、従来公知の構成とすることができ、例えば電解質側から順に触媒層及び該触媒層を支持する支持体層を有してなることができる。触媒としては、被毒に強い白金ルテニウム合金触媒を用いるのが一般的である。これも、メタルのみからなる白金ルテニウムブラック触媒、または白金ルテニウム合金触媒が導電性カーボンブラック担体の上にナノ粒子状態で担持されたカーボン担持触媒などを用いることができる。これら触媒を、プロトン交換性高分子電解質をバインダとして用いて、適宜の溶剤を加えて溶解、均一分散し、触媒塗布用ペーストを作製する。このペーストを、バーコーターやスクリーン印刷などの手法を用いて、導電性多孔質基材であるカーボンペーパー上に塗布し、熱風循環式乾燥機中で溶剤を乾燥して、アノード電極を作る。
バインダとして用いるプロトン交換性高分子電解質としては、例えばデュポン社製ナフィオン(登録商標)を挙げることができるが、これに限られることはない。ナフィオンの場合、溶剤としては、水/アルコール混合溶剤を用いるのが一般的である。一例を挙げると、水、1−プロパノール、2−プロパノールの混合溶剤は、ナフィオンをよく溶解できるため、好適に用いることができる。
このようにして得られたカソード電極とアノード電極は、電極形状と同じ形状をした金型を用いて、電解質膜を挟むようにしてホットプレスして、MEAと呼ばれる膜電極接合体をつくる。ホットプレス条件は、優れた性能が得られるよう適宜選ばれるが、温度は80℃から200℃、好ましくは90℃から160℃、更に好ましくは100℃から150℃の範囲に設定するのがよい。プレス時間は、0.2分から60分、好ましくは0.5分から10分、更に好ましくは1分から3分くらいがよい。
燃料電池の単位セルは、上記MEAと、流路形成用セパレータと、集電部材などで一般に構成され、かかる単位セルの複数からなる積層物として所望の容量の燃料電池が一般に構成される。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(フィルム厚)
1/10000直読ダイヤル式膜厚測定器により測定した。
(グラフト率)
グラフト率(Xds)を下式により算出した。
Xds=(W2−W1)×100/W1
ここで、W1:グラフト前の高分子基材の重量(g)、W2:グラフト後の高分子基材の重量(g)である。
(プロトン伝導度)
電解質膜の電気伝導度は、交流法による測定(新実験化学講座19,高分子化学<II>、p992、丸善)で、通常の膜抵抗測定セルとLCRメーター(E−4925A;ヒューレットパッカード製)を使用し、膜抵抗(Rm)の測定を行った。1M硫酸水溶液をセルに満たして膜の有無による白金電極間(距離5mm)の抵抗を測定し、膜の電気伝導度(比伝導度)は下式を用いて算出した。
K=1/Rm・d/S (S/cm)
(針入プローブ式熱機械的分析装置)
セイコー電子製EXSTAR6000を用いて、幅5mm角のサンプル片に先端1mmφの針入プローブを乗せ、プローブ上に70gfの重荷をかけたときの厚みの変化を昇温速度2℃/minで計測した。計測後のデータから厚み50%半減時の温度を読みとった。
調製例1(グラフト膜の作製)
基材フィルムとしてPVdFフィルム(呉羽化学製P20、厚さ50μm、無孔フィルム)を10cm角に切断し、大気中にて電子線を線量8Mradで照射した。引き続いてこの容器中に、あらかじめアルゴンバブリングで溶存酸素を除去しておいた、スチレン・トルエン混合液(スチレン50体積%とトルエン50体積%の混合液)約100gをアルゴン雰囲気下で投入した。ここでフィルムは完全に混合液に浸漬した状態にあった。混合液投入後、60℃で15分加熱し、グラフト反応を行い、反応後トルエンで十分洗浄し、乾燥させグラフト膜を得た。グラフト膜の厚みは55μmであった。
[実施例1]
調整例1で作製したグラフト膜をo−ジクロロベンゼンで希釈した0.2M1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸溶液(小西化学工業製トランススルホン化剤)中に浸漬し、125℃で30分加熱した後にメタノール洗浄および水洗し、60℃×12時間乾燥して25℃で65%R.H.調湿後、膜厚63μmのスルホン化グラフト膜すなわち電解質膜1を得た。
[実施例2]
調整例1で作製したグラフト膜をo−ジクロロベンゼンで希釈した0.2M1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸溶液中に浸漬し、147℃×で15分加熱した後にメタノ−ル洗浄および水洗し、60℃×12時間乾燥して25℃×65%R.H.調湿後、膜厚64μmのスルホン化グラフト膜2を得た。
[比較例1]
調整例1で作製したグラフト膜を、1,2−ジクロロエタンで希釈した0.2Mクロルスルホン酸溶液中に浸漬し、60℃で4時間加熱した後にメタノ−ル洗浄および水洗、60℃×12時間乾燥して25℃×65%R.H.調湿後、膜厚64μmのスルホン化グラフト膜3を得た。
[比較例2]
調整例1で作製したグラフト膜を15%発煙硫酸中に浸漬し、60℃で5時間加熱した後に水洗、60℃×12時間乾燥して25℃×65%R.H.調湿後、膜厚64μmのスルホン化グラフト膜4を得た。
(評価結果)
実施例、比較例で得たスルホン化グラフト膜を熱機械的分析装置(TMA)にて測定した結果を表1に示す。また、参考までに、図1には、実施例1で得られたスルホン化グラフト膜の熱機械的分析装置による測定結果のグラフを示す。
Figure 0004851769
実施例1〜2の電解質膜は、従来の製法で得られたスルホン化膜より、膜厚方向への耐熱維持性に優れ、かつプロトン伝導性も良好な電解質膜であった。
実施例1で得られたスルホン化グラフト膜の熱機械的分析装置による測定結果のグラフ

Claims (4)

  1. ポリフッ化ビニリデン基材の内部に存在するグラフト鎖に、アルキルベンゼンスルホン酸を用いてスルホン酸基が導入され電解質膜であって、針入プローブ式熱機械的分析装置を用いて、プローブ径1mmφ、70g荷重、室温より昇温速度2℃/minの条件で測定したときの厚み変化について、厚み維持率50%時の熱変形温度が300℃以上である電解質膜。
  2. 前記グラフト鎖は、ビニル系モノマーがグラフト重合されたものである請求項1記載の電解質膜。
  3. 前記ビニル系モノマーが芳香族基を有し、この芳香族基にスルホン酸基が導入されている請求項2に記載の電解質膜。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の電解質膜を用いた直接メタノール固体高分子型燃料電池。
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