本発明は、炉内構造物の搬出方法に係り、特に、沸騰水型原子力プラント(以下、BWRプラントという)における原子炉圧力容器(以下、RPVという)内の炉心シュラウドの搬出に適用するのに好適な炉内構造物の搬出方法に関する。
BWRプラントでは、原子炉がRPV内に炉心を配置して構成される。核燃料物質を有する複数の燃料集合体が炉心に装荷されており、RPV内に設置された環状の炉心シュラウドが炉心を取り囲んでいる。BWRプラントは、定期的にBWRプラントの運転を停止して保守点検を行っている。炉内構造物である炉心シュラウドも保守点検の対象になっている。炉心シュラウドにき裂等の損傷が生じている場合、または予防保全の観点から炉心シュラウドの取り替えが望まれた場合には、RPV内の炉心シュラウドを新しい炉心シュラウドに取り替える炉心シュラウドの取り替えが行われる。
新しい炉心シュラウドに取り替えるために既存の炉心シュラウドをRPVから搬出する一つの方法が、特開平8−240693号公報に記載されている。特開平8−240693号公報に記載された炉心シュラウドの搬出方法は、冷却水で満たされたRPV内で炉心シュラウドを粗く切断し、この切断片を冷却水で満たされた原子炉ウエル内でさらに細かく切断して容器に詰め込んで搬出している。しかしながら、特開平8−240693号公報に記載された炉心シュラウドの搬出方法は、炉心シュラウドの切断を粗い切断及び細かい切断の二段階に亘って行う必要があり、炉心シュラウドの搬出に長時間を要する。
この問題を解決した炉心シュラウドの搬出方法が、特開2000−46983号公報及びWO00/60607号公報に記載されている。これらの炉心シュラウドの搬出方法は、BWRプラントにおけるRPV内の炉心シュラウドを対象にしたものである。
特開2000−46983号公報では、切断した炉心シュラウドを、細かく切断することなく、原子炉建屋の天井に設けた開口部からクレーンを用いて搬出している。この炉心シュラウドの搬出を具体的に説明する。原子炉の運転が停止された後、RPVの蓋が外され、RPV内の蒸気乾燥器及び気水分離器がRPVから機器プール内に取り出される。さらに、炉心内の燃料集合体が燃料貯蔵プールに取り出される。炉心シュラウドは、炉心支持板よりも下方で切断され、放射線遮蔽体であるキャスクによって取り囲まれる。炉心シュラウドを収納したキャスクが、クレーンによって吊り上げられ、原子炉建屋の天井に設けられた開口部を通して原子炉建屋外に搬出される。その後、新しい炉心シュラウドが、クレーンで吊られて天井の開口部を通して原子炉建屋内に搬入され、RPV内の所定の位置に設置される。
WO00/60607号公報も、炉心支持板よりも下方で切断され、放射線遮蔽体で取り囲まれた炉心シュラウドを、原子炉建屋の天井に形成された開口部を通して原子炉建屋外に搬出する炉心シュラウドの搬出方法を記載している。この搬出方法では、炉心シュラウド内に設置された炉心支持板の上方で炉心シュラウド内に、取り外されたジェットポンプ、及び切断された配管等の搬出物を収納し、これらの搬出物と共に炉心シュラウドを原子炉建屋外に搬出している。
特開2002−131483号公報は、炉心シュラウドを内蔵した原子炉を、クレーンに吊り下げて、原子炉建屋の天井に設けられた開口を通して原子炉建屋外に搬出する方法を記載している。この原子炉の搬出方法では、搬出される原子炉の燃料貯蔵プール側への転倒を防止する防護装置を原子炉ウエル内に設置し、原子炉を、防護装置内を通して搬出している。
特開平8−240693号公報
特開2000−46983号公報
WO00/60607号公報
特開2002−131483号公報
特開2000−46983号公報及びWO00/60607号公報に記載された炉心シュラウドの搬出方法は、炉心シュラウドを細かく切断する必要が無いので、炉心シュラウドの搬出に要する時間を特開平8−240693号公報に記載されたその搬出方法よりも短縮することができる。しかしながら、特開2000−46983号公報及びWO00/60607号公報に記載された炉心シュラウドの搬出方法においても、炉心シュラウドの搬出時において炉心シュラウドが燃料集合体を保管している燃料貯蔵プールに転倒することを防止し、安全性を高める必要がある。このため、特開2002−131483号公報に記載された防護装置を特開2000−46983号公報またはWO00/60607号公報の炉心シュラウドの搬出方法に適用して原子炉ウエル内または運転床に設置し、防護装置内を通して炉心シュラウドを搬出することが考えられる。
吊り出す炉心シュラウドの転倒による燃料貯蔵プール内の燃料集合体の損傷を避けるために、燃料貯蔵プール内の全ての燃料集合体を別のBWRプラントの燃料貯蔵プールに移送する案が存在する。この案は、燃料集合体のその移送に約30日を要する。したがって、炉心シュラウドを搬出するための事前作業に長時間を要し、結果として炉心シュラウドの搬出が完了するまでに長時間を要することになる。
上記の防護装置を適用した特開2000−46983号公報またはWO00/60607号公報の炉心シュラウドの搬出方法は、別のBWRプラントの燃料貯蔵プールに燃料集合体を移送する場合よりも、炉心シュラウドを原子炉建屋外に搬出するまでに要する時間を短縮することができる。しかしながら、炉心シュラウドの転倒を防止する強固な防護装置の設置にも、時間を要する。
本発明の目的は、炉内構造物の搬出時における安全性を高め、かつ、その搬出作業に要する時間をさらに短縮することができる炉内構造物の搬出方法を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、原子炉建屋内の機器プールの真上の位置で原子炉建屋の天井に第1開口部を形成し、原子炉圧力容器内の炉心を取り囲む筒状炉内構造物を軸方向の一箇所で切断し、切断した筒状炉内構造物の周囲を放射線遮蔽体で取り囲み、及び放射線遮蔽体によって取り囲まれた筒状炉内構造物を前記第1開口部から原子炉建屋外に搬出し、
放射線遮蔽体の切断された筒状炉内構造物への取り付けは、切断された筒状炉内構造物を原子炉圧力容器内から機器プール内に移送する工程、及び機器プール内に置かれた放射線遮蔽体底部の上に機器プール内に移送された筒状炉内構造物を載せ、筒状炉内構造物に被せられた放射線遮蔽体胴部を放射線遮蔽体底部に結合する、機器プール内で筒状炉内構造物に放射線遮蔽体を取り付ける工程を含んでいることにある。
燃料貯蔵プールから遠い位置である機器プールの真上に形成された開口部から、切断された筒状炉内構造物を搬出するので、筒状炉内構造物の搬出時にこの筒状炉内構造物が燃料集合体を保管している燃料貯蔵プール内に落下することを防止できる。このため、筒所炉内構造物の搬出時における安全性を向上させることができる。また、筒状炉内構造物の搬出時に燃料貯蔵プール内の燃料集合体を搬出する必要が無く、筒状炉内構造物の燃料貯蔵プールへの落下を防止する防護装置の設置が不要であるため、筒状炉内構造物の搬出が完了するまでに要する期間をさらに短縮することができる。
本発明によれば、原子炉圧力容器内の筒状炉内構造物の搬出時における安全性を高めることができ、かつ、その搬出作業に要する時間をさらに短縮することができる。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の炉内構造物の搬出方法を、図面を用いて以下に説明する。まず、その搬出方法が適用されるBWRプラントの概略の構造を図2、図3及び図4により説明する。
BWRプラントは、原子炉建屋25内に設置された原子炉格納容器(以下、PCVという)26、及びPCV26内に設置された原子炉を有している。この原子炉は沸騰水型原子炉である。原子炉建屋25内でPCV26よりも上方には、原子炉ウエル28、機器プール29及び燃料貯蔵プール30が配置される。原子炉ウエル28は原子炉の真上に位置しており、機器プール29及び燃料貯蔵プール30は原子炉ウエル28の両側に位置して原子炉ウエル28にそれぞれつながっている。運転床27が、原子炉建屋25の上部に形成され、原子炉ウエル28、機器プール29及び燃料貯蔵プール30を取り囲んでいる。天井クレーン33が、運転床27の上方に配置され、原子炉建屋25内に設置される。燃料交換機32が原子炉ウエル28を跨いで運転床27上に移動可能に設置される。
BWRプラントの原子炉は、原子炉圧力容器(以下、RPVという)1、複数の燃料集合体10が装荷される炉心、炉心を取り囲む炉心シュラウド(筒状炉内構造物)4、燃料集合体10の相互間に出し入れされる複数の制御棒11を有する。炉心、炉心シュラウド4及び制御棒11はRPV1内に配置される。炉心支持板8及び上部格子板9が、炉心シュラウド4内に配置されて炉心シュラウド4に取り付けられている。燃料集合体10の下端部は炉心支持板8に保持され、燃料集合体10の上端部は上部格子板9に保持される。炉心支持板8の下方に設置された複数の制御棒案内管22は、各制御棒11のガイドの役目を果たしている。複数の炉内核計装案内管23が、制御棒案内管22の間に配置され、インコアスタビライザ24で連結されている。
炉心シュラウド4はシュラウドサポートシリンダ5に取り付けられ、シュラウドサポートシリンダ5はシュラウドサポートレグ6によってRPV1の底部内面に設置される。水平方向に配置されてRPV1の内面に設置されたバッフルプレート7も、シュラウドサポートシリンダ5に取り付けられる。
複数のジェットポンプ12が、RPV1と炉心シュラウド4の間に形成される環状空間に配置され、バッフルプレート7に設置される。ジェットポンプ12は、ジェットポンプライザ13、インレットミキサ14及びディフューザ15を有する。ディフューザ15がバッフルプレート7に設置される。
炉心の上方に配置されたシュラウドヘッド21が、炉心シュラウド4の上端部に設置される。気水分離器16がシュラウドヘッド21から上方に向かって伸びており、蒸気乾燥器17が気水分離器16の上方に配置される。気水分離器16及び蒸気乾燥器17がRPV1内に配置される。炉心スプレイスパージャ20がシュラウドヘッド21に設置される。
本実施例の炉内構造物の搬出方法を、炉心シュラウド4の取り替え作業の一環として行われる炉心シュラウド4の搬出を例に挙げて説明する。この炉内構造物の搬出方法は、図1に示す工程に基づいて行われ、ステップS1〜S19の各作業が順次行われる。
揚重機(第1搬送装置)の据付が行われる(ステップS1)。RPV1内に設置された蒸気乾燥器17、気水分離器16及び炉心シュラウド4等を原子炉建屋25外に吊り出す揚重機18(図7参照)が、原子炉建屋25の外側で地面(または道路)の上に据え付けられる。原子炉建屋25の天井に開口部を形成する(ステップS2)。炉心シュラウド4等を搬出するための開口部34(図2及び図7参照)が、機器プール29の真上で原子炉建屋25の天井37(図7参照)に形成される。開口部34には開閉可能な扉35(図7参照)が設けられる。扉35は、開口部34から機器等を搬出入するときに開けられ、その搬出入が行われないときには閉じられている。さらに、開口部34にはエアカーテンが設けられ、扉35が開いているときに、原子炉建屋25から開口部34を通して外部に放射性物質が放出されることを防止している。
RPVの蓋を運転床上に移送する(ステップS3)。蓋3はRPV1の上部に位置するフランジ2に複数のボルトで取り付けられている。蓋3を外す前に、原子炉ウエル28及び機器プール29には、放射線を遮蔽するために水が張られている。それらのボルトが取り外され、蓋3が、天井クレーン(第2搬送装置)33により吊り上げられて原子炉ウエル28を通って運転床27上まで移送される。蓋3は、放射性物質の飛散を防止するためにシートで被って運転床27上に保管される。
蒸気乾燥器が移送される(ステップS4)。RPV1内の蒸気乾燥器17は、取り外されて天井クレーン33によって吊り上げられてRPV1外に取り出される。この蒸気乾燥器17は、天井クレーン33により、機器プール29内に移送され、機器プール29の底部に一時的に置かれる。気水分離器が移送される(ステップS5)。気水分離器16が取り付けられたシュラウドヘッド21が炉心シュラウド4から取り外される。気水分離器16は、シュラウドヘッド21と共に天井クレーン33で吊り上げられてRPV1から取り出され、機器プール29まで移送される。この気水分離器16及びシュラウドヘッド21は、機器プール29内の一つの角部で機器プール29の底面に置かれる。この角部は、機器プール29の4つの角部のうち原子炉ウエル28から最も遠い位置に存在する1つの角部である。機器プール29内に置かれた蒸気乾燥器17が気水分離器16の上に積み重ねられる。その後、直交する2つの側壁を有する仕切り壁78(図2参照)が、天井クレーン33によって積み重ねられた気水分離器16及び蒸気乾燥器17等の周囲に配置される。蓋3、蒸気乾燥器17及び気水分離器16等は、機器プール29の2つの側面及び仕切り壁78の2つの側壁によって取り囲まれる。気水分離器16の上方は、仕切り壁78に設置された放射線遮蔽体(図示せず)で被われている。この放射線遮蔽体は、仕切り壁78の2つの側壁の上端から各側壁の1/2の高さまで伸びている。
燃料集合体を燃料貯蔵プールに移動する(ステップS6)。燃料交換機32の掴み装置(図示せず)は炉心に装荷されている燃料集合体10を把持する。燃料集合体10は、燃料交換機32によって、RPV1から取り出されて原子炉ウエル29内を上昇し、燃料貯蔵プール30内に移動されて燃料貯蔵プール30内の貯蔵ラック31内に収納される。炉心内に存在する全燃料集合体が貯蔵ラック31内に収納される。制御棒及び制御棒案内管を搬出する(ステップS7)。炉心内に挿入されている制御棒11は、燃料集合体10と同様に、燃料交換機32によって燃料貯蔵プール30内に配置された機器ラック(図示せず)内に収納される。RPV1内の制御棒案内管22も、燃料交換機32によってRPV1から取り出されて上記の機器ラック内に収納される。
上部格子板に穴をあける(ステップS8)。図5に示すように、炉心シュラウド4に設置されている上部格子板9の格子部材の一部を取り除いて、上部格子板9に穴19を形成する。穴19は、取り外されたジェットポンプ12及び炉心スプレイスパージャ20等を炉心シュラウド4内に挿入できる大きさにする。炉内機器を炉心シュラウド内に収納する(ステップS9)。RPV1内に設置されているジェットポンプ12がジェットポンプライザ13、インレットミキサ14及びディフューザ15と別々に取り外され、取り外されたこれらが穴19を通して炉心シュラウド4内に収納される。炉心スプレイスパージャ20も取り外されて炉心シュラウド4内に収納される。炉心スプレイスパージャ20に接続される配管も、切断されて穴19より炉心シュラウド4内に収納される。図6は、それらの炉内機器及び配管が炉心シュラウド4内に収納された状態を示している。取り外されたジェットポンプライザ13及び炉心スプレイスパージャ20等の炉心シュラウド4内への収納には、天井クレーン33が用いられる。
炉心シュラウドの上端に放射線遮蔽板を設置する(ステップS10)。図7に示すように扉35を開き、揚重機18を用いて放射線遮蔽板36を天井37の開口部34を通して原子炉建屋25内に搬入する(図7の(a))。放射線遮蔽体36は、図8に示すように、上方に向かって突出した複数の吊りボルト39を有し、周囲に貫通孔を有する複数のリブ38を形成している。放射線遮蔽体36は、吊りボルト39に取り付けられたワイヤによって揚重機18に吊り下げられている。この放射線遮蔽体36は一旦機器プール29内に置かれる(図7の(b))。放射線遮蔽体36は、天井クレーン33によって、吊り上げられ(図7の(c))、機器プール29から原子炉ウエル28に移動され(図7の(d))、原子炉ウエル28内を下降して(図7の(e))RPV1内の炉心シュラウド4の上端に設置される。図9は、放射線遮蔽体36を炉心シュラウドの上端である上端リング40の上に設置した状態を示している。放射線遮蔽体36は吊りボルト41によって上端リング40に取り付けられる。炉心シュラウドを吊り上げる準備を行う(ステップS11)。吊りボルト39からワイヤを外し、このワイヤを吊りボルト41に掛けなおして天井クレーン33に取り付ける(図10参照)。天井クレーン33を操作してたるまない程度にそのワイヤを引張り上げる。炉心シュラウドを切断する(ステップS12)。ワイヤを張った状態で、炉心シュラウド4を外側から切断する。炉心シュラウド4の切断位置は、炉心支持板8よりも下方でバッフルプレート7よりも上方の位置で、かつ炉心シュラウド4の軸方向で一箇所の位置である。好ましくは、その切断位置は、バッフルプレート7付近である。この切断位置で、炉心シュラウド4は周方向に切断される。ワイヤが張られているので、炉心シュラウド4が切断された場合にこの炉心シュラウド4が傾いたり落下することが防止される。
キャスクの底蓋を機器プール内に搬入する(ステップS13)。キャスクの底蓋(放射線遮蔽体底部)42は、揚重機18に吊り下げられて開口部34から原子炉建屋25内に搬入され、機器プール29内で仕切り壁78の外側に置かれる(図11参照)。底蓋42は放射線遮蔽体で構成されており、この底板42の構造を図12及び図13を用いて説明する。底蓋42はジャッキ44及びジャッキ支持部材45を有する。底蓋42の中央部は窪んでいる。上端が底蓋42に取り付けられたジャッキ44が、ジャッキ支持部材45に設けられる。ジャッキ44は底蓋42の下面に取り付けられる。上端に向かって細くなっている複数のガイドピン43が、底蓋42の側壁に取り付けられる。ガイドピン43の替りにボルト43Aを、ネジ部を上方に向けて底蓋42の側壁に取り付けても良い(図14参照)。底蓋42の機器プール29内への搬入は、ステップS10において機器プール29に搬入した放射線遮蔽体36を天井クレーン33で吊り上げた状態で原子炉ウエル28に向った移動を開始した以降で、後述のステップS14が開始されるまでの期間において実施される。好ましくは、底蓋42の機器プール29内への搬入は、天井クレーン33による放射線遮蔽体36の原子炉ウエル28への移動を開始してからステップS9の作業が終了するまでの間で実施すると良い。これにより、ステップS9の作業が終了した後、ステップS14の作業を直ちに取り掛かることができるので、炉心シュラウド4の搬出に要する時間を短縮することができる。
炉心シュラウドを機器プールに移動する(ステップS14)。上記した位置で切断された炉心シュラウド4は、図15に示すように、天井クレーン33で吊り上げられてRPV1から取り出され、原子炉ウエル28内まで上昇される。その後、この炉心シュラウド4は、天井クレーン33によって、機器プール29内まで移動され、機器プール29の底部に置かれている底蓋42の上に載せられる。
キャスク胴部を機器プール内に搬入する(ステップS15)。揚重機18に吊り下げられたキャスク胴部(放射線遮蔽体胴部)46が、図16に示すように、開口部34を通して原子炉建屋25内に搬入され、機器プール29内に下降される。環状のキャスク胴部46は、放射線遮蔽体であり、上端部が封鎖されて下端部が開放されている。キャスク胴部46は、底蓋42の上に載せられている炉心シュラウド4に被せるように下降される。キャスク胴部46は、下端が底蓋42の上端と接触する直前で下降が停止され、揚重機18にワイヤで吊った状態で保持される(図17参照)。機器プール29内の冷却水の水面47は機器プール29の上端部に保持される。
底蓋をキャスク胴部に取り付ける(ステップS16)。キャスク胴部46の下降を停止した後、ジャッキ44を操作して底蓋42を上昇させる。底蓋42の上端がキャスク胴部46の下端に接触したとき、ジャッキ44による底蓋42の上昇を停止する。このとき、ガイドピン43は、キャスク胴部46の下端部に設けられたフランジに形成された孔部内に挿入される。ガイドピン43の上端部にナットが取り付けられ、このナットを締め付けることによって、底蓋42はキャスク胴部46に結合される(図18参照)。底蓋42とキャスク胴部46の接触部は、内部から放射線が洩れないように噛み合い構造になっている。炉心シュラウド4を取り囲む放射線遮蔽体であるキャスク48は、このように底蓋42をキャスク胴部46に取り付けることによって構成される。
キャスク内の水抜きを行う(ステップS17)。バルブ52を設けたガス供給管51が、図19に示すように、キャスク48の側壁と炉心シュラウド4の間に配置される。ガス供給管51の下端は、キャスク40の底部、すなわち、底蓋42の上面付近まで伸びている。バルブ50を有する水抜き管49も、キャスク48の側壁と炉心シュラウド4の間に配置される。水抜き管49の下端は、ガス供給管51の下端よりも上方に位置し、キャスク48の上部に位置している。キャスク48が水面47の上方まで上昇するように、揚重機18を操作してキャスク48を引き上げる。キャスク48を揚重機18で吊ったままの状態で水面47の上方で保持し、バルブ50,52を開ける。ガス供給管51から窒素ガス(または希ガス)がキャスク48内に供給される。この窒素ガスの供給によって、キャスク48内の水が水抜き管49からキャスク48の外部に排出される。キャスク48内の水抜きが終了した後、バルブ50,52が閉じられる。
炉心シュラウドを搬出する(ステップS18)。水抜きを終了した後、キャスク48を、揚重機18で吊り上げ、キャスク48で遮蔽された炉心シュラウド4を、開口部34を通して原子炉建屋25外に搬出する(図20参照)。ジャッキ44及びジャッキ支持部材45もキャスク48と一緒になって搬出される。キャスク48が搬出された後、扉35が閉まり、開口部34が閉じられる。原子炉建屋25外に搬出された炉心シュラウド4を内蔵したキャスク48は、揚重機18によって原子力発電所内に設けられた保管庫に収納される(ステップS19)。
以上の作業によって、RPV1内の炉心シュラウド4を原子炉建屋25外に搬出する作業が全て終了する。
本実施例は、放射線遮蔽体(キャスク48)で覆われた炉心シュラウド4を機器プール29の真上で原子炉建屋25の天井37に形成された開口部34を通して原子炉建屋25外に搬出するので、この搬出時に、炉心シュラウド4が転倒して燃料集合体10が貯蔵されている燃料貯蔵プール30内に落下することを防止することができる。このため、本実施例では、燃料貯蔵プール30内の燃料集合体10の損傷が生じなく、炉心シュラウド4の搬出時の安全性が著しく向上する。切断された炉心シュラウド4をRPV1内から機器プール29まで移動する際においても、炉心シュラウド4は原子炉ウエル28内を移動して運転床27より上方を移動しない。これによっても、炉心シュラウド4が燃料貯蔵プール30内に落下することはない。
切断された炉心シュラウド4が移送中に燃料貯蔵プール30内に落下しないので、燃料貯蔵プール30内に燃料集合体10を保管した状態で、炉心シュラウド4の移送を行うことができる。このため、炉心シュラウド4の移送に際して、燃料貯蔵プール30内の燃料集合体10を他のBWRプラントの燃料貯蔵プールに移送する必要がない。これは、炉心シュラウド4の搬出が完了するまでの期間を著しく短縮することに貢献する。また、本実施例は、後述の実施例4のように、搬出する炉心シュラウド4が燃料貯蔵プール30内に落下することを防止するために防護装置59を設置する必要が無いので、炉心シュラウド4の搬出が完了するまでに要する期間をさらに短縮することができる。
放射線遮蔽体36をRPV1内の炉心シュラウド4の上端部に設置するので、炉心シュラウド4内からの放射線を放射線遮蔽体36によって遮蔽することができる。炉心シュラウド4を原子炉ウエル28内に引き上げたとき、炉心シュラウド4の上端が原子炉ウエル28の水面付近に達する。しかしながら、放射線遮蔽体36が炉心シュラウド4の上端に設置されているので、その水面より上方に放出される放射線を著しく低減することができる。炉心シュラウド4が機器プール29内に移送された場合でも、放射線遮蔽体36によって、炉心シュラウド4から機器プール29内の水面より上方に到達する放射線を著しく低減することができる。放射線遮蔽体36には吊り部材(吊りボルト41)が取り付けられているので、この放射線遮蔽体36を炉心シュラウド4に取り付けることによって、切断された炉心シュラウド4を天井クレーン33で容易に吊り上げることができる。
放射線遮蔽体である重量の重いキャスク48を機器プール29内で炉心シュラウド4に取り付けるので、切断された炉心シュラウド4を、天井クレーン33を用いてRPV1内から機器プール29内まで移送することができる。
本実施例では、キャスク48の底蓋42のキャスク胴部46への取り付けは、炉心シュラウド4及び底蓋42をジャッキ44の操作によって上昇させた後によって行っている。このため、蓋底42のキャスク胴部46への接触を簡単にかつ短時間に行うことができる。また、キャスク胴部46を揚重機18で吊った状態で底蓋42をジャッキ44により上昇させるので、キャスク胴部46の重量を機器プール29の底部で支えることなく、底蓋42をキャスク胴部46に取り付けることができる。もし、キャスク胴部46を機器プール29の底に置いた底蓋42上に載せた場合には、炉心シュラウド4、底蓋42及びキャスク胴部46の重量が、機器プール29の底部の底蓋42を支えている部分に集中して加わることになる。それらの荷重が機器プール29の底部のある部分に集中して加わった場合には、補強工事をしないと機器プール29の底部で支えることができなくなる可能性がある。キャスク胴部46の荷重が機器プール29の底部に加わらない本実施例では、そのようなことが生じえない。
本実施例では、RPV1の蓋3、及びRPV1から取り出された蒸気乾燥器17、気水分離器16及びシュラウドヘッド21を機器プール29内の1つの角部に積み重ねて配置するので、機器プール29内に、炉心シュラウド4を置くスペースを確保することができる。したがって、機器プール29内で炉心シュラウド4に底蓋42及びキャスク胴部46を取り付けることが可能になる。
本実施例は、機器プール29内で炉心シュラウド4に放射線遮蔽体であるキャスク48を取り付けているので、実施例2のように天井37に細長い開口部54を形成する必要がない。このため、天井の開口部の形成に要する時間が短縮できる。さらには、扉55の設置も不要になる。
炉心シュラウド4と共に、炉心シュラウド4内に収納された炉内機器及び配管を原子炉建屋25外に搬出することができる。このため、取り外された炉内機器及び切断された配管の搬出に要する時間を短縮することができる。炉内機器及び配管を炉心シュラウド4とは別に原子炉建屋25外に搬出する場合には、炉心シュラウド4、炉内機器及び配管の搬出が完了するまでに長時間を要することになる。しかしながら、本実施例はその時間を短縮することができる。
切断された炉心シュラウド4がキャスク48で取り囲まれているので、原子炉建屋25外に炉心シュラウド4を搬出しても、炉心シュラウド4から放出される放射線による作業員の被ばくを防止することができる。
切断された炉心シュラウド4が原子炉建屋25外に搬出された後、製作された新しい炉心シュラウド4が、揚重機18によって開口部34を通して原子炉建屋25内に搬入され、機器プール29内に移動される。この新しい炉心シュラウド4は、天井クレーン33に吊り下げられて原子炉ウエル28まで移動され、下降されてRPV1内の所定位置まで搬送される。この炉心シュラウド4は、シュラウドサポートシリンダ5に溶接にて接合される。ジェットポンプが設置され、燃料貯蔵プール30内の燃料集合体10が炉心に装荷される。機器プール29内に置かれていた気水分離器16及び蒸気乾燥器17がRPV1内に設置され、蓋3がRPV1に取り付けられる。その後、BWRプラントの運転が開始される。
本実施例のステップS15において機器プール29の底部に存在する底蓋42の上にキャスク胴部46を置く場合には、ステップS13において、機器プール29の底部上に、広範囲にわたって、荷重分散部材53を敷く。そして、原子炉建屋25内に搬入した底蓋42を荷重分散部材53の上に置く(図21参照)。荷重分散部材53は、図22に示すように、複数の角材で構成される。荷重分散部材53は、機器プール29の底部を構成する複数の梁に跨って置かれ、炉心シュラウド4及びキャスク胴部46の荷重を機器プール29の底部の広範囲にわたって分散させる働きを有する。ステップS15において、RPV1内から取り出された炉心シュラウド4が機器プール29の底部に置かれた底蓋42上に置かれる。さらに、ステップS16において、原子炉建屋25内に搬入されたキャスク胴部46が揚重機18で下ろされて底蓋42上に置かれる。その後、底蓋42とキャスク胴部46が前述したように結合される。荷重分散部材53を用いる場合には、ジャッキ44及びジャッキ支持部材45が不要になる。炉心シュラウド4、底蓋42及びキャスク胴部46の荷重を荷重分散部材53によって機器プール29の底部の広範囲にわたって分散させることができるので、機器プール29の底部の補強工事も不要になる
本発明の他の実施例である実施例2の炉内構造物の搬出方法を、図23を用いて以下に説明する。本実施例は、BWRプラントに適用した炉内構造物の搬出方法であり、搬出の対象は炉心シュラウドである。本実施例は、実施例1で実行されるステップS1〜S19の作業のうち、ステップS13及び14をステップS20〜S22に替えている。本実施例で実行されるステップS1〜S12及びS15〜S19の各作業は、実施例1と実質的に同じである。実施例1と異なるステップS20〜S22の作業について説明する。
本実施例の搬出方法を実行するために、原子炉建屋25の天井37には、開口部34以外に、開口部34から、原子炉ウエル28の真上まで伸びる細長い開口部54が、ステップS2で形成される(図24参照)。開口部54は、揚重機18に吊り下げるワイヤが通れるだけの狭い幅を有している。開口部54は扉55(図25参照)により閉じられる。本実施例では、開口部54が形成されるので、実施例1において、天井クレーン33を用いて原子炉建屋25内で実行された炉心シュラウド4、蒸気乾燥器17、気水分離器16、底蓋46及びキャスク胴部46の移送は、揚重機18を用いて行われる。ステップS1〜S12の各作業が実行された後、ステップS20の作業が実行される。ただし、本実施例のステップS10では、揚重機18で吊り下げられて開口部34を通して原子炉建屋25内に搬入された放射線遮蔽体36は、揚重機18によって原子炉ウエル28内でRPV1の真上まで移動される。このとき、放射線遮蔽体36を吊っているワイヤは、開口部54を通っている。さらに、揚重機18の操作によって、放射線遮蔽体36が、炉心シュラウド4の上端部まで降ろされて炉心シュラウド4の上端部に取り付けられる。
炉心シュラウドを機器プール内に移動する(ステップS20)。切断された炉心シュラウド4は、揚重機18で吊り上げられてRPV1から機器プール29内まで移送され、機器プール29の底部上に置かれる(図25参照)。キャスクの底蓋を搬入しRPV上まで移動させる(ステップS21)。揚重機18で吊った底蓋42を、開口部34を通して原子炉建屋25内に搬入し、揚重機18を操作してこの底蓋42を運転床27の上方で水平方向に移動させて原子炉ウエル28の真上まで移送する。さらに、この底蓋42は、揚重機18によって下降され、RPV1のフランジ2上に、直接、置かれる(図26参照)。本実施例で用いられる底蓋42には、ジャッキ44及びジャッキ支持部材45が取り付けられていない。底蓋42をフランジ2上に置いた状態を図27に示す。なお、切断された炉心シュラウド4の機器プール29内への移送、及び底蓋42の原子炉建屋25内での移送は、天井クレーン33を用いて行ってもよい。
炉心シュラウドを底蓋上まで移動する(ステップ22)。機器プール29内に存在する炉心シュラウド4を揚重機18に吊り下げて原子炉ウエル28内まで移動させ、さらに、炉心シュラウド4を、原子炉ウエル28内を下降させる。この炉心シュラウド4はフランジ2上に置かれた底蓋42の上に置かれる(図28参照)。
本実施例におけるステップS15の搬入では、キャスク胴部46が揚重機18によって原子炉ウエル28内まで移動される。揚重機18に吊り下げられたキャスク胴部46は、開口部34を通して原子炉建屋25内に搬入され、運転床27の上方を水平方向に移動して原子炉ウエル28の真上まで移動される(図29参照)。このキャスク胴部46は、揚重機18の操作によって下降されて原子炉ウエル28内に降ろされ、底蓋42上に置かれた炉心シュラウド4の近くまで降ろされる。キャスク胴部46は、炉心シュラウド4に被せるようにさらに下降され、キャスク胴部46の下端が底蓋42の上端に接触したとき、キャスク胴部46の下降が停止される(図29参照)。本実施例のステップS16では、底蓋42をRPV1のフランジ2の上に置いた状態で底蓋42をキャスク胴部46に取り付ける(図30参照)。このようにしてキャスク48が炉心シュラウド4に取り付けられる。
キャスク48を揚重機18に吊り下げた状態でステップS17のキャスク48内の水抜きが行われる。その後、キャスク48によって取り囲まれて内部に炉内機器及び配管等を収納した炉心シュラウド4は、キャスク48に取り付けられたワイヤで揚重機18に吊り下げられて炉心ウエル28から機器プール29内に移動される(図31参照)。炉心シュラウド4を内蔵するキャスク48は、揚重機18で吊り上げられて開口部34を通して原子炉建屋25外に搬出される。
本実施例は、キャスク胴部46を揚重機18で吊った状態でジャッキ44により上昇させた底蓋42をキャスク胴部46に取り付けることによって得られる効果を除いて、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、機器プール29の真上に形成された開口部34から、原子炉ウエル28の真上まで伸びる開口部54を、原子炉建屋25の天井37に形成しているので、実施例1のように、搬送する物体(例えば、炉心シュラウド4及び放射線遮蔽体36等)を、揚重機18と天井クレーン33の間で吊り変える必要がない。このため、それらの物体の搬送に要する時間を短縮することができる。
本実施例は、底蓋42をRPV1のフランジ2の上に置き、さらに切断された炉心シュラウド4を底蓋42上に置いた状態で、キャスク胴部46も底蓋42の上において底蓋42とキャスク胴部46を結合している。このような本実施例では、底蓋42上に置かれた炉心シュラウド4、底蓋42及びキャスク胴部46の全ての重量が、RPV1によって支持される。RPV1は基礎マットに設置されたペデスタル(図示せず)に据え付けられるので、炉心シュラウド4、底蓋42及びキャスク胴部46の全ての重量を十分にサポートすることができる。このため、放射線遮蔽体であるキャスク48を支持する新たなサポート部材を設置する必要がないので、切断した炉心シュラウド4の搬出に要する時間を短縮することができる。
本発明の他の実施例である実施例3の炉内構造物の搬出方法を、図32を用いて以下に説明する。本実施例も、BWRプラントに適用した炉内構造物の搬出方法であり、搬出の対象は炉心シュラウドである。本実施例は、実施例1で実行されるステップS1〜S19の作業のうち、ステップS13〜S15をステップS20,S21、S23及びS24に替えている。本実施例で実行されるステップS1〜S12及びS16〜S19の各作業は、実施例1と実質的に同じである。実施例1と異なるステップS21、S23及びS24の作業について説明する。なお、ステップS20は、実施例2と同じ作業である。
本実施例も、実施例2と同様に、ステップS2において、原子炉建屋25の天井37に開口部34以外に開口部54を形成する。ステップS3〜S12及びS20の各作業が実行された後、キャスクの底蓋を搬入しRPV上まで移動させる(ステップS21)。このステップS21の作業は、実施例2のステップS21の作業と同じである。その後、キャスク胴部を搬入し、キャスク胴部を炉心シュラウドと結合する(ステップS23)。揚重機18で吊られたキャスク胴部46Aは、開口部34を通して原子炉建屋25内に搬入される。このキャスク胴部46Aは、下降され、機器プール29内に置かれている炉心シュラウド4に被せられる(図33参照)。キャスク胴部46Aは、側壁の対向する位置にキャスク胴部46Aの軸心に向って伸びる結合部材(例えば、ボルト(またはピン))56を2つ備えている。結合部材56は、ネジによってキャスク胴部46Aの側壁と噛み合っており、回転させることによって炉心シュラウド4に向って前進する。2つの結合部材56の先端がキャスク胴部46A内の炉心シュラウド4の外面に接触したとき、結合部材56の回転が停止される。キャスク胴部46Aの外面に接触している、2つの結合部材56の先端部は、炉心シュラウド4の上部フランジ77よりも下方に位置している(図34参照)。
キャスク胴部及び炉心シュラウドをRPV上の底蓋の位置まで移動させる(ステップS24)。機器プール29内に存在するキャスク胴部46Aを揚重機18によって吊り上げる。キャスク胴部46A内の炉心シュラウド4は、2つの結合部材56によって支持され、キャスク胴部46Aと共に吊り上げられる。キャスク胴部46A及び炉心シュラウド4は、機器プール29から原子炉ウエル28内に移動される(図35参照)。炉心シュラウド4がRPV1のフランジ2上に存在する底蓋42の上に置かれる。底蓋42がキャスク胴部46Aに実施例2と同様に取り付けられ(ステップS16)、キャスク48内の水抜きが行われる(ステップS17)。キャスク48で取り囲まれた炉心シュラウド4が原子炉建屋25外に搬出され(ステップS18)、保管庫に収納される(ステップS19)。
本実施例は、実施例2で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、炉心シュラウド4及びキャスク胴部46Aを一緒に機器プール29からRPV1の上まで搬送しているので、キャスク胴部46、及び機器プール29内に置かれた炉心シュラウド4を別々にRPV1上まで搬送する実施例2に比べて、炉心シュラウド4及びキャスク胴部46Aの搬送に要する時間を短縮することができる。このため、本実施例は、実施例2に比べて炉心シュラウド4の原子炉建屋25外への搬出に要する時間を短縮することができる。
本発明の他の実施例である実施例4の炉内構造物の搬出方法を、図36を用いて以下に説明する。本実施例も、BWRプラントに適用した炉内構造物の搬出方法であり、搬出の対象は炉心シュラウドである。本実施例は、実施例2で実行されるステップS1〜S12、S20〜S22及びS15〜S19の作業に、ステップS25の作業を追加している。ステップS25は、ステップS9とステップS10の間で実施される。本実施例では、本質的に異なるステップS25以外の他の各作業は、実施例2と実質的に同じである。
ステップS1の揚重機18の据付が完了した後、原子炉ウエル28、すなわち、RPV1の真上で、原子炉建屋25の天井37に開口部57を、図37のように、形成する(ステップS2)。開口部57を開閉する扉58が天井37に設置される。ステップS3〜S5では、揚重機18を用いて、該当する機器等の開口部57を通しての原子炉建屋25外への搬出が行われる。その後、ステップS6〜S9の作業が行われる。
防護装置を運転床上に設置する(ステップ25)。防護装置59は、図38及び図39に示すように、防護壁60、サポート部材61及び複数の滑車62を備えている。2つのサポート部材61は、防護壁60に取り付けられて防護壁の転倒を防止している。高さ方向に配置された複数の滑車62が防護壁60の一面に回転可能に取り付けられる。防護壁60が原子炉ウエル28側に面するように、2つの防護装置59が運転床27上に設置される(図38参照)。揚重機18に吊り下げられた放射線遮蔽板36が、図40に示すように、開口部57から原子炉建屋25内に搬入され、RPV1内の炉心シュラウド4の上端部に取り付けられる(ステップS10)。
ステップS11及びS12が実行される。切断されて上端部に放射線遮蔽板36が取り付けられた炉心シュラウド4が、図41に示すように、天井クレーン33によって機器プール29内まで移動される(ステップS20)。揚重機18に吊り下げられた底蓋42が、開口部57を通して原子炉建屋25内に搬入され、図42に示すように、RPV1のフランジ2上に置かれる(ステップS21)。機器プール29内の炉心シュラウド4を、天井クレーン33によって吊り下げて、図43に示すように、RPV1上の底蓋42の上まで移動する(ステップS22)。
揚重機18に吊り下げられたキャスク胴部46が、開口部57から原子炉建屋25内に搬入され、図44に示すように、底蓋42の上に置かれた炉心シュラウド4に被せられる(ステップS15)。その後、ステップS16の底蓋42とキャスク胴部46の取り付けが行われ、キャスク48内の水抜きが行われる(ステップS17)。そして、キャスク48に取り囲まれた炉心シュラウド4が、図45に示すように、揚重機18によって吊り上げられ、開口部57から原子炉建屋25外へ搬出される(ステップS18)。搬出された炉心シュラウド4は保管庫に収納される(ステップS19)。
本実施例は、実施例2と同様に、底蓋42をRPV1のフランジ2上に置いた底蓋42の上に、切断された炉心シュラウド4を置いた状態で、キャスク胴部46も底蓋42の上におき、底蓋42とキャスク胴部46を結合している。本実施例も、炉心シュラウド4、底蓋42及びキャスク胴部46の全ての重量を、ペデスタルに据え付けられたRPV1によって支持することができる。このため、放射線遮蔽体であるキャスク48を支持する新たなサポート部材を設置する必要がないので、切断した炉心シュラウド4の搬出に要する時間を短縮することができる。
本実施例は、防護装置59を原子炉ウエル28と燃料貯蔵プール30の間で運転床27上に設置しているので、原子炉ウエル28から運転床27上に移送された炉心シュラウド4が燃料貯蔵プール30内に落下することを防止できる。炉心シュラウド4の搬出時における燃料貯蔵プール30内の燃料集合体10の損傷が生じなく、炉心シュラウド4の搬出時の安全性が著しく向上する。燃料集合体10を他のBWRプラントの燃料貯蔵プールまで移送する必要がないので、炉心シュラウド4の搬出が完了するまでの期間を著しく短縮することができる。
炉心シュラウド4の上端部に設置した放射線遮蔽体36によって、実施例1で述べたように、炉心シュラウド4内からの放射線を遮蔽することができる。さらに、放射線遮蔽体36に設けられた吊り部材(吊りボルト41)を利用することによって、切断された炉心シュラウド4の移送を容易に行うことができる。
炉心シュラウド4と共に廃棄する炉内機器及び配管を原子炉建屋25外に搬出することができる。このため、取り外された炉内機器及び切断された配管の搬出に要する時間を短縮することができる。切断された炉心シュラウド4が放射性遮蔽体であるキャスク48で取り囲まれているので、作業員の被ばくを防止することができる。
本実施例は、RPV1の真上で天井37に開口部57を形成しているので、原子炉建屋25内に搬入する物体及び原子炉建屋25から搬出する物体を揚重機18によって搬入、搬出を行うことができる。このため、実施例1のように、それらの物体を揚重機18と天井クレーン33の間で吊り変える必要がないので、それらの物体の搬送に要する時間を短縮することができる。
本発明の他の実施例である実施例5の炉内構造物の搬出方法を、図46を用いて以下に説明する。本実施例も、BWRプラントに適用した炉内構造物の搬出方法であり、搬出の対象は炉心シュラウドである。本実施例は、実施例4で実行するステップのうちステップS22及びS15を実施例3で実行したステップS23及びS24に替えている。本実施例のステップS22及びS15以外の各ステップの作業は、実施例4と同じである。
ステップS1が終了した後、原子炉建屋25の天井37に、図47に示すように、開口部57、及び開口部57から機器プール29の真上まで伸びる細長い開口部54を形成する(ステップS2)。開口部57の開閉を行う扉58、及び開口部54の開閉を行う扉55が天井37に設けられる(図47参照)。本実施例では、キャスク胴部46A及び炉心シュラウド4等の原子炉建屋25内への搬入及び搬出は、開口部54ではなく、開口部57を通して行われる。
実施例S3〜S9、S25,S10〜S12、S20及びS21の各作業が、実施例4と同様に順次行われる。ステップ25では、図47に示すように、2つの防護装置59が運転床27上に設置される。ステップS21の作業が終了した後、キャスク胴部を搬入し、キャスク胴部を炉心シュラウドと結合する(ステップS23)。揚重機18で吊られたキャスク胴部46Aは、開口部57を通して原子炉建屋25内に搬入され、機器プール29内に置かれている炉心シュラウド4に被せられる(図48参照)。実施例3と同様に、2つの結合部材(例えば、ボルト(またはピン))56によって、キャスク胴部46Aが都心シュラウド4に結合される。さらに、キャスク胴部46A及び炉心シュラウド4は、図49に示すように、機器プール29から原子炉ウエル4内に移送され、RPV1のフランジ2上に存在する底蓋42の上に置かれる(ステップS24)。その後、ステップS16〜S19の各作業が実行される。
本実施例は、実施例4で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は、炉心シュラウド4及びキャスク胴部46Aを一緒に機器プール29からRPV1の上まで搬送しているので、実施例3と同様に、炉心シュラウド4及びキャスク胴部46Aの搬送に要する時間を短縮することができる。このため、本実施例は、実施例2に比べて炉心シュラウド4の原子炉建屋25外への搬出に要する時間を短縮することができる。
本発明の他の実施例である実施例6の炉内構造物の搬出方法を、図50から図53を用いて以下に説明する。本実施例も、BWRプラントに適用した炉内構造物の搬出方法であり、搬出の対象は炉心シュラウドである。本実施例は、実施例1における全てのステップの作業を実行する。本実施例では、ステップS10〜S19において図50に示す吊り天秤装置63を使用し、原子炉ウエル28及び機器プール19の周囲を取り囲むように運転床27上に遮蔽壁(遮蔽部材)75を設置している。
吊り天秤装置63は、2本のI型鋼を十字に組み合せて構成される天秤部材64、円板状の放射線遮蔽体65、小型揚重機69及びロードセル70を備えている(図50参照)。放射線遮蔽体65は、その上面に取り付けられた4つの吊り金具67に、天秤部材64に取り付けた4本のワイヤ68を取り付けることによって、天秤部材64から吊り下げられる。放射線遮蔽体65の直径は、放射線遮蔽体65上に乗る作業員の被ばくを低減するために、炉心シュラウド4の直径よりも大きくなっている。天秤部材64の各I型鋼の両端部の下面にそれぞれ小型揚重機(例えば、チェーンブロック)69がそれぞれ取り付けられる。小形揚重機69は昇降装置である。ロードセル70が小型揚重機69にそれぞれ取り付けられる。ロードセル70に取り付けられたワイヤ72が、放射線遮蔽体65を貫通して設けられるスリーブ71内を通過して放射線遮蔽体65より下方に伸びている。4本のワイヤ72が、放射線遮蔽板36に取り付けられた吊りボルト(吊り部材)41に取り付けられる。放射線遮蔽体65の外縁部には、放射線遮蔽体65の上に載った作業員の転落を防止するため、図50及び図51に図示されていないが、図54に示す柵79が設けられる。ロードセル70は、吊り下げる炉心シュラウド4の重量を測定する。
遮蔽壁75は、放射線遮蔽材で作られ、原子炉ウエル28及び機器プール29の周囲で運転床27上に設置される(図52及び図53参照)。遮蔽壁75の転倒を防止するため、遮蔽壁75はサポート部材76によって支持される。遮蔽壁75は、例えば、ステップS2で開口部の形成を行っている間に、運転床27上に設置される。
吊り天秤装置63は、天秤部材64の上面に取り付けられた4つの吊り金具66に通したワイヤを用いて天井クレーン33(または揚重機18)に吊り下げられる。吊り天秤装置63を用いた炉心シュラウド4の吊り上げは、ステップS14で行われる。放射線遮蔽体65は作業員の足場としても用いられる。原子炉ウエル28内の冷却水が引抜かれ、この冷却水の水面74は、放射線遮蔽体65よりも下方に位置している。放射線遮蔽体65の上に載った作業員は、4つの小型揚重機69を操作して各ワイヤ72を巻き取り、炉心シュラウド4を引き上げる(図51参照)。その後、炉心シュラウド4を機器プール29に移送する(ステップS14)。
本実施例も、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、原子炉ウエル28及び機器プール29の周囲を遮蔽壁75で取り囲んでいるので、炉心シュラウド4を原子炉ウエル28から機器プール29に移送する際に、運転床27上にいる作業員の被ばくを抑制することができる。
吊り天秤装置63は、実施例2,4及び5のステップS20、及び実施例3のステップS14で用いることができる。遮蔽壁75の設置も、実施例2から実施例5のいずれの実施例で適用することができる。
本発明の他の実施例である実施例7の炉内構造物の搬出方法を、図54を用いて以下に説明する。本実施例も、BWRプラントに適用した炉内構造物の搬出方法であり、搬出の対象は炉心シュラウドである。本実施例は、実施例1における全てのステップの作業を実行する。本実施例では、ステップS10〜S19において図54に示す吊り天秤装置63Aを使用している。
吊り天秤装置63Aは、実施例6で用いる吊り天秤装置63において吊りボルト41の替りに吊りボルト(吊り部材)41Aを用いた構成を有している。図54では全て記載されていないが、吊り天秤装置63Aの他の構成は吊り天秤装置63と同じである。放射線遮蔽体65の外縁部には、放射線遮蔽体65の上に載った作業員の転落を防止するため、柵79が設けられる。
本実施例で用いられる吊りボルト41Aは、吊りボルト41よりも長くなっている。機器プール29内で底面に置かれたジャッキ44で支持されているキャスク48の上面、具体的には、キャスク48のキャスク胴部46の上面に設置された吊りボルト41Aは、機器プール29内の水面よりも上方に突出している。
さらに、本実施例は、炉心シュラウド4の上端に放射線遮蔽板36Aを置いている。前述の各実施例で用いられる放射線遮蔽板36が平板であるのに対し、放射線遮蔽板36Aは周縁部に下方に突出する円筒部を有している。放射線遮蔽対36Aを炉心シュラウド4の上端に置いたとき、その円筒部は炉心シュラウド4の上端部の側壁の周りを取り囲んでいる。
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、吊りボルト41Aが機器プール29内の水面よりも上方に突出しているので、小型揚重機69から吊るして吊りボルト41Aに掛けられるワイヤが水没することを防止することができる。このワイヤの水没が防止できるので、ワイヤにおける多数の細線の間が水に含まれる放射性物質で汚染されなくなる。ワイヤの細線間に放射性物質が入り込んだ場合には、その放射性物質を取り除くことは困難である。また、放射線遮蔽板36Aを用いる本実施例は、炉心シュラウド4の上方が放射線遮蔽板36Aで覆われているだけでなく、炉心シュラウド4の上端部の側壁の周りが放射線遮蔽板36Aの円筒部で取り囲まれている。したがって、水面に近い、炉心シュラウド4の側壁部から運転床27に向かって放出される放射線を遮蔽することができる。
前述の実施例1〜6及び後述の実施例8〜10において、放射線遮蔽板36Aを放射線遮蔽板36の替りに用いてもよい。ることもできる。吊りボルト41Aを有するキャスク48も、実施例1〜6に適用することができる。
本発明の他の実施例である実施例8の炉内構造物の搬出方法を、図55を用いて以下に説明する。本実施例も、BWRプラントに適用した炉内構造物の搬出方法であり、搬出の対象は炉心シュラウドである。本実施例は、実施例1で実行される各ステップからステップS9及びS10の各作業の替りにステップS26〜S28を実行し、ステップS19の後に新たにステップS29〜S32を追加した作業工程を有している。本実施例のステップS1〜S19の各ステップの作業は、実施例1と同じである。実施例1と異なっている作業のみを以下に説明する。
ステップS7の作業が終了した後、炉内機器収納容器を機器プールに搬入する(ステップS26)。揚重機18に吊るした炉内機器収納容器79(図56参照)を、原子炉建屋25の天井37に形成された開口部34から機器プール29内に搬入する。この炉内機器収納容器79は、機器プール29内で仕切り壁78の外に置かれる。炉内機器を炉内収納容器内に収納する(ステップS27)。炉心シュラウド4内に設置されている上部格子板9、炉心スプレイスパージャ20及び炉心支持板8が取り外され、天井クレーン33によりRPV1から順次取り出される。この時点では、ジェットポンプ12の取り外しは行われない。炉心シュラウド4内に設置された上部格子板9、炉心スプレイスパージャ20及び炉心支持板8を炉内機器80と称する。RPV1から取り出された各炉内機器80は、順番に、機器プール29内の炉内機器収納容器79内に収納される。該当する炉内機器80が収納された炉内機器収納容器79は蓋を取り付けて密封される。炉内機器収納容器を搬出する(ステップ28)。炉内収納容器79の吊りボルト41Aを揚重機18に吊り下げ、炉内機器収納容器79を揚重機18によって機器プール29から吊り上げる(図56参照)。この炉内機器収納容器79は、開口部34を通して原子炉建屋25の外部に搬出され、保管庫に収容される。
その後、実施例1で実施されるステップS10〜S19の各作業が行われる。ステップS13の作業は、実施例1と同様に、ステップS11及びS12の作業と並行して行っても良い。ただし、本実施例のステップ18では、内部にジェットポンプを含む炉内機器を収納していない炉心シュラウド4が原子炉建屋25外に搬出される。
ステップS19の作業が終了した後、ステップS29〜S32の各作業が順次行われる。炉内機器収納容器を機器プールに搬入する(ステップS29)。ジェットポンプ12が収納される炉内機器収納容器81を、揚重機18を用いて、天井37に形成された開口部34を通して機器プール29内に搬入する(図57参照)。この炉内機器収納容器81は、炉内機器収納容器79と同様に、機器プール29内で仕切り壁78の外に置かれる。ジェットポンプを炉内収納容器内に収納する(ステップS30)。RPV1内に設置されているジェットポンプ12を取り外し、取り外されたジェットポンプ12を天井クレーン33によりRPV1から上方に向って取り出す。このジェットポンプ12は、原子炉ウエル28から機器プール29内に移送され、水平方向において炉内機器収納容器81に収納される(図58参照)。炉内機器収納容器81は、図59に示されているように、側壁の一面及び上面が開放されている。このため、天井クレーン33に吊り下げたジェットポンプ12を、水平方向に移送して、側壁の開放されている部分を通して炉内機器収納容器81内に容易に収納することができる。上面が開放されているので、ジェットポンプ12を天井クレーン33に吊っているワイヤが炉内機器収納容器81に当たることが無い。また、ジェットポンプ12が水平方向から炉内機器収納容器81内に収納できるので、ジェットポンプ12から放出される放射線が機器プール29の液面より上方に到達することが著しく抑制される。RPV1内に設置されている複数のジェットポンプ12が、順次、炉内機器収納容器81内に収納される(図59及び図60参照)。RPV1内に設置されているジェットポンプ12は炉内機器である。
炉内機器収納容器を密封する(ステップ31)。RPV1内のジェットポンプ12が全て炉内機器収納容器81内に収納された後、炉内機器収納容器81が密封される。炉内機器収納容器81を密封するために、まず、天井クレーン33に吊り下げられた側壁82が炉内機器収納容器81の側壁の開放された部分に取り付けられる。天井クレーン33に吊り下げられた蓋83が、側壁82を取り付けた炉内機器収納容器81の上端部に取り付けられる(図61参照)。蓋82を炉内機器収納容器81に取り付けるとき、蓋83に設けられた吊りボルト84が天井クレーン33に吊り下げられる。炉内機器収納容器81に取り付けられて上方に伸びる吊りボルト84のワイヤを通す孔は、機器プール29内の液面よりも上方に達している。炉内機器収納容器を原子炉建屋外に搬出する(ステップS32)。揚重機18に取り付けられたワイヤが、機器プール29内に置かれた炉内機器収納容器81の吊りボルト84の孔内に通される。揚重機18は、炉内機器収納容器81を吊り上げて開口部34より原子炉建屋25の外部に搬出する(図62参照)。搬出された炉内機器収納容器81は、炉心シュラウド4と同様に、保管庫に保管される。
本実施例は、ジェットポンプ12を含む炉内機器を炉心シュラウド4内に収納することによって得られる効果を除いて、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、炉内機器収納容器79内に炉内機器80を収納して搬出するので、炉心シュラウド4内に炉心スプレイスパージャ20を入れるために実施例1のステップS8で行われる上部格子板9の穴あけ作業が不要になる。また、本実施例は、炉心シュラウド4を搬出した後にジェットポンプ12をRPV1から取り外して炉内機器収納容器81に収納している。このため、ジェットポンプ12のRPV1からの取り外し時に炉心シュラウド4がRPV1内に存在しないので、ジェットポンプ12の取り外しを容易に行うことができる。
本実施例で実行されたステップS26〜S32を、前述した実施例2〜6にそれぞれ適用することができる。すなわち、実施例2〜6のそれぞれにおいて、ステップS8及びS9の替りにステップS26〜S28を実行し、ステップS19の後にステップS29〜S32を追加する。
本発明の他の実施例である実施例9の炉内構造物の搬出方法を、図63を用いて以下に説明する。本実施例も、BWRプラントに適用した炉内構造物の搬出方法であり、搬出の対象は炉心シュラウドである。本実施例は、実施例1で実行される各ステップの作業に実施例8で実行されたステップS29〜S32を新たに追加した作業工程を有している。本実施例のステップS1〜S19の各ステップの作業は、実施例1と同じである。ただし、ステップS9では、ジェットポンプ12を以外の炉内機器(上部格子板9及び炉心スプレイスパージャ20等)が炉心シュラウド4内に収納される。ステップS18では、これらの炉内機器を収納した炉心シュラウド4が搬出される。
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例も、実施例8と同様に、ジェットポンプ12の取り外しを容易に行うことができる。
本実施例と同様に、ステップS29〜S32を、前述した実施例2〜6にそれぞれ適用することができる。すなわち、実施例2〜6のそれぞれにおいて、ステップS19の後にステップS29〜S32を追加する。
本発明の他の実施例である実施例10の炉内構造物の搬出方法を、図64を用いて以下に説明する。本実施例も、BWRプラントに適用した炉内構造物の搬出方法であり、搬出の対象は炉心シュラウドである。本実施例は、実施例8で実行される各ステップの作業工程からステップS29〜S32の作業工程を除去した作業工程を実行する。本実施例のステップ27では、実施例8のテップS27で収納した炉内機器80及び他の炉内機器であるジェットポンプ12が炉内機器収納容器79内に収納される。ジェットポンプ12及び炉内機器80を収納した炉内機器収納容器79がステップS28で原子炉建屋25外に搬出される。
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。
本実施例と同様に、ステップS29〜S32を、前述した実施例2〜6にそれぞ適用することができる。すなわち、実施例2〜6のそれぞれにおいて、ステップS8及びS9の替りにステップS26〜S28を実行する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の炉内構造物の搬出方法の作業手順を示すフローチャートである。
実施例1の炉内構造物の搬出方法が適用される沸騰水型原子力プラントの原子炉建屋内の運転階での各プールの配置、及び図1のステップS2で原子炉建屋の天井部に形成された開口部を示す説明図である。
図2のIII−III断面図である。
沸騰水型原子力プラントの原子炉の縦断面図である。
図1のステップS8において上部格子板に穴を形成した状態を示す説明図である。
図1のステップS9で炉心シュラウド内に炉内機器及び配管を収納した状態を示す説明図である。
図1のステップS10における放射線遮蔽板を炉心シュラウドまで搬送する状態を示す説明図である。
図7に示す放射線遮蔽板の拡大斜視図である。
図7に示す放射線遮蔽板を炉心シュラウドの上端に取り付けた状態を示す説明図である。
図1のステップS11で揚重機に取り付けられたワイヤを放射線遮蔽板の吊りボルトに架け替えた状態を示す説明図である。
図1のステップS13におけるキャスク底蓋の搬入を示す説明図である。
図11に示すキャスク底蓋の拡大縦断面図である。
図12のXIII部の拡大図である。
キャスク底蓋の他の例におけるXIII部の構成図である。
図1のステップS14における炉心シュラウドの機器プールへの搬送を示す説明図である。
図1のステップS15におけるキャスク胴部の機器プールへの搬送を示す説明図である。
ステップS15においてキャスク胴部を炉心シュラウドに被せた状態を示す説明図である。
底蓋とキャスク胴部を結合した状態を示す説明図である。
図1のステップS17の水抜き作業を示す説明図である。
図1のステップS18における炉心シュラウドの原子炉建屋外への搬出を示す説明図である。
図1のステップS14における炉心シュラウドの機器プールへの搬送の他の例を示す説明図である。
図21に示す荷重分散部材の拡大斜視図である。
本発明の他の実施例である実施例2の炉内構造物の搬出方法の作業手順を示すフローチャートである。
図23のステップS2で原子炉建屋の天井部に形成された開口部を示す説明図である。
図24のXXV−XXV断面において、図2のステップS20における炉心シュラウドの機器プールへの搬送を示す説明図である。
図23のステップS21におけるキャスク底蓋の搬送を示す説明図である。
ステップS21で搬送されたキャスク底蓋の原子炉容器上での状態を示す説明図である。
図23のステップS22における機器プール内の炉心シュラウドの原子炉圧力容器上への搬送を示す説明図である。
図23のステップS15でのキャスク胴部の搬送を示す説明図である。
図23のステップS16において原子炉圧力容器上の炉心シュラウドを取り囲む底蓋とキャスク胴部を結合した状態を示す説明図である。
図23のステップS18での炉心シュラウドの搬出を示す説明図である。
本発明の他の実施例である実施例3の炉内構造物の搬出方法の作業手順を示すフローチャートである。
図32のステップS23でのキャスク胴部の搬入及びこのキャスク胴部の炉心シュラウドへの取り付け状態を示す説明図である。
キャスク胴部の炉心シュラウドへの取り付けを示す詳細説明図である。
図32のステップS24におけるキャスク胴部及び炉心シュラウドの移送状態を示す説明図である。
本発明の他の実施例である実施例4の炉内構造物の搬出方法の作業手順を示すフローチャートである。
図36のステップ2で原子炉建屋の天井に形成された開口部を示す説明図である。
図36のステップS25で設置された防護装置の運転床上での配置を示す説明図である。
防護装置が設置された状態での原子炉建屋の縦断面図である。
図36のステップS10における放射線遮蔽板を炉心シュラウドまで搬入する状態を示す説明図である。
図36のステップS20における炉心シュラウドの機器プールへの搬送を示す説明図である。
図36のステップS21でのキャスク底蓋の搬入を示す説明図である。
図36のステップS22における機器プール内の炉心シュラウドの原子炉圧力容器上への搬送を示す説明図である。
図36のステップS15でのキャスク胴部の搬入を示す説明図である。
図36のステップS18での炉心シュラウドの搬出を示す説明図である。
本発明の他の実施例である実施例5の炉内構造物の搬出方法の作業手順を示すフローチャートである。
図46のステップS25で運転床上に設置した防護装置の配置を示す説明図である。
図46のステップS23でのキャスク胴部の搬入及びこのキャスク胴部の炉心シュラウドへの取り付け状態を示す説明図である。
図46のステップS24におけるキャスク胴部及び炉心シュラウドの移送状態を示す説明図である。
本発明の他の実施例である実施例6の炉内構造物の搬出方法に用いられる吊り天秤装置の斜視図である。
図50に示す吊り天秤装置により炉心シュラウドを吊り上げる状態を示す説明図である。
原子炉ウエル及び機器プールの周囲を取り囲んで設置された遮蔽壁の状態を示す説明図である。
図52のA−A断面図である。
本発明の他の実施例である実施例7の炉内構造物の搬出方法において炉心シュラウドを搬出する状態を示す説明図である。
本発明の他の実施例である実施例8の炉内構造物の搬出方法の作業手順を示すフローチャートである。
図55に示すステップS28での炉内機器収納容器の搬出を示す説明図である。
図55に示すステップ29での炉内機器収納容器の搬入を示す説明図である。
図55に示すステップ30での炉内機器収納容器内へのジェットポンプの収納を示す説明図である。
図58に示す炉内機器収納容器内へのジェットポンプの収納、及び炉内機器収納容器の密封を詳細に示す説明図である。
図55に示すステップ30において炉内機器収納容器内にジェットポンプを、順次、収納する状態を示す説明図である。
図55に示すステップ31での炉内機器収納容器の密封状態を示す説明図である。
図55に示すステップS32での炉内機器収納容器の搬出を示す説明図である。
本発明の他の実施例である実施例9の炉内構造物の搬出方法の作業手順を示すフローチャートである。
本発明の他の実施例である実施例10の炉内構造物の搬出方法の作業手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…原子炉圧力容器、2…フランジ、4…炉心シュラウド、18…揚重機、25…原子炉建屋、27…運転床、28…原子炉ウエル、29…機器プール、30…燃料貯蔵プール、33…天井クレーン、34,54,57…開口部、35,55,58…扉、36,36A…放射線遮蔽板、37…天井、41,41A,84…吊りボルト、42…底蓋、44…ジャッキ、46,46A…キャスク胴部、48…キャスク、49…水抜き管、51…ガス供給管、53…荷重分散部材、56…結合部材、59…防護装置、60…防護壁、63,63A…吊り天秤装置、64…天秤部材、69…小形揚重機、70…ロードセル、75…遮蔽壁、79,81…炉内機器収納容器。