図1〜5において、1は転写用支持体、1aは支持体、2は電磁波遮蔽材、3は第2の接着または粘着剤、3aは第2の接着または粘着剤(近赤外線吸収剤含む)、4はハードコート層、5は反射防止層、6は近赤外線吸収層、7は樹脂層、8は接着または粘着剤(色補正剤含む)、9はプラズマディスプレイのパネルである。
以下、本発明をより詳細に説明する。本発明の電磁波遮蔽材の製造方法においては、電磁波遮蔽材が先ず剥離性支持体上に形成され、その後電磁波遮蔽材が剥離性支持体から剥離され、転写用支持体に転写される。このとき電磁波遮蔽材の剥離性支持体からの剥離、転写用支持体への転写は、別工程で行われても同時工程において行われてもよい。すなわち、電磁波遮蔽材を一旦他の支持体に剥離、転写したのち、転写された電磁波遮蔽材を各種機能層を有する転写用支持体に転写してもよいが、電磁波遮蔽材の剥離性支持体からの剥離、転写用支持体への転写が、同時に行われることが好ましい。このとき剥離性支持体から転写用支持体などの支持体に電磁波遮蔽材を剥離、転写することが必要であるから、剥離性支持体の電磁波遮蔽材に対する密着力(粘着力あるいは接着力)は、転写用支持体などの支持体の電磁波遮蔽材に対する密着力に比べ小さいものとされることが必要である。すなわち、本発明においては、「剥離性」とは、電磁波遮蔽材を転写支持体などの支持体に転写する際に、電磁波遮蔽材に対し、転写支持体の電磁波遮蔽材に対する密着力より小さい密着力を有することをいう。
本発明においては、剥離性支持体は、電磁波遮蔽材を形成する際に電磁波遮蔽材に対し支持体としての機能を保持でき、かつ該支持体上で電磁波遮蔽材を形成することができるものであれば何れのものであってもよく、基材単体からなっていても、基材上に接着あるいは粘着剤(第1の接着または粘着剤)層が設けられていてもよい。この第1の接着または粘着剤層は、基材に接着または粘着剤を塗布することにより、あるいは他の剥離性支持体上に予め形成された接着または粘着剤層を基材に転写することにより形成されてもよいし、電磁波遮蔽材を形成する際に用いられる金属箔に接着または粘着剤を塗布し、この接着または粘着剤付き金属箔を基材に接着または粘着させて形成された接着または粘着剤層であってもよい。
本発明の剥離性支持体の基材としては、可とう性を有するプラスチックフィルムが好ましいものである。基材として用いられるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル類、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂等のフィルムが挙げられるが、価格、透明性および取り扱い性の面からPETフィルムが好ましい。剥離性支持体は、最終的に電磁波遮蔽材が剥離可能で有ればよいので、上記材質のフィルムにシリコン処理などの剥離性処理が施されていてもよい。また、第1の接着または粘着剤として、後述の活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を利用すれば、電磁波遮蔽材を形成する際は粘着層として働き、一方電磁波遮蔽材を形成した後活性エネルギー線を照射することにより剥離性を付与することができる。
なお、基材には公知の添加剤を加えることができる。添加剤としては、例えば光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などが挙げられる。前記基材に添加することのできる光安定剤としては、一般的にヒンダードアミン系の光安定剤が良く用いられる。他に、ヒンダ−ドフェノール系、Ni系、ベンゾエート系光安定剤があるが、紫外線吸収剤との相乗、拮抗作用があるので、適宜組み合わせるとよい。また紫外線吸収剤としては、無機系あるいは有機系のいずれも使用できるが、有機系の紫外線吸収剤が実用的である。有機系の紫外線吸収剤としては、300〜400nmの間に極大吸収を有し、その領域の光を効率よく吸収するものであればよい。具体的には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、オギザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいが、数種類組み合わせて用いることがより好ましい。また、上記紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤、あるいは酸化防止剤をブレンドすることで安定化が向上できる。
また、帯電防止剤としては、例えば、五酸化アンチモン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムなどの金属化合物や、アンチモン含有複合酸化物やIn−Sn複合酸化物、リン系化合物などの複合金属化合物、第四級アンモニウム塩、アミンオサイド等のアミン誘導体、ポリアニリン等の導電性ポリマーなどが挙げられる。
さらに、基材は、その上に設けられる幾何学形状の電磁波遮蔽材がエッチング法により形成される場合には、耐熱性、耐エッチング性、耐酸性、耐アルカリ性を有するものが好ましい。また活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤が用いられる場合には、基材は活性エネルギー線を透過するプラスチックスフィルムであることが必要とされる。
基材の厚みは、5〜500μm程度が好ましい。5μm未満だと取り扱い性が悪くなり、500μmを越えるとフレキシブル性が無くなり、取り扱い性が悪くなる。また、基材の金属箔を貼付する側の面には、第1の接着または粘着剤との接着性を良くする為に、易接着処理を施しても良い。易接着処理の例としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等の乾式処理や、プライマー処理等の湿式処理などが挙げられる。
基材上への幾何学形状の電磁波遮蔽材の形成法としては、公知の手法を用いることができる。例えば、第1の接着または粘着剤を用いて、金属箔を基材に貼り合わせ、エッチング法を用いて金属箔を幾何学形状にパターニングする方法を用いることができる。なお、エッチング法以外の方法としては、例えばメッキ法、導電性インキを用いての印刷法などによってもよい。
上記基材に貼付される金属箔としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等の金属からなる箔、あるいはそれらの2種以上を組み合わせた合金からなる箔を使用できる。導電性(電磁波遮蔽性)や幾何学パターン形成の容易さ、価格の点から銅、アルミニウム、ニッケルの箔が好ましい。また、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン等の常磁性金属からなる箔は、磁性遮蔽性にも優れるため好ましい。
金属箔の厚みは、0.5〜40μmの範囲内であることが好ましい。40μmを越えると、細かいラインの形成が困難になるとか、視野角が狭くなるという問題が発生する場合がある。また、厚さ0.5μm未満では表面抵抗が大きくなり、電磁波遮蔽効果が劣る傾向にある。電磁波遮蔽性の観点から、1〜20μmが更に好ましい。
金属箔を用いて幾何学形状の電磁波遮蔽材を作製する場合は、ディスプレイのコントラストを向上させるため、予め黒化処理した金属箔を用いてもよいし、幾何学形状の電磁波遮蔽材を形成した後に黒化処理を施しても良い。後から黒化処理を行うと、幾何学形状の電磁波遮蔽材の側面も同時に黒化処理できるので好ましい。
なお、金属箔、例えば電解銅箔などはその表面に凹凸を有しており、これを接着または粘着剤に貼り付けると、接着または粘着剤表面に金属箔の凹凸に基づく凹凸が転写される。従来の方法においては、金属箔をエッチング処理すると、エッチング開口部の接着または粘着剤表面に凹凸が残留し、これを電磁波遮蔽材として貼付した場合、凹凸面に微小な空気が残りやすく、その残った空気部はディスプレイとして欠陥部となってしまう。また、接着または粘着剤層には異物が付着し易く、エッチング時に発生するエッチング滓や、金属箔により形成された電磁波遮蔽材の黒化処理時に発生する微細な針状金属酸化物結晶などが付着すると欠陥品となってしまうし、透明性などの低下の原因ともなるという問題があった。しかし、本発明の電磁波遮蔽積層体の製造方法では、第1の接着または粘着剤層は、電磁波遮蔽材が第1の接着または粘着剤から剥離、転写される際に電磁波遮蔽材から除去されるから、前記従来法における問題は起こらない。さらに、電磁波遮蔽材は、例えばエッチングにより形成される。このとき基材も送りロール等の様々なロールを通過することから、基材のプラスチックフィルムに送りロールなどによる細かな傷の発生やエッチング液などによる膜の劣化が発生することがある。しかし、本発明の製造方法によれば、電磁波遮蔽材が他の支持体に転写される際に、基材も除去されるから、前記の如き基材に付いた傷などによる製品の欠陥発生の問題は起こらない。
上記第1の接着または粘着剤としては、公知の接着または粘着剤を用いることができる。このような公知接着または粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、エンジニアリングプラスチック類、スーパーエンジニアリングプラスチック類、ウレア系樹脂、メラミン系樹脂、共重合系樹脂、アセテート系樹脂、シリコン系樹脂、シリカ系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの粘着剤または接着剤が挙げられる。
また、第1の接着または粘着剤として活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤が用いられると、前記したように活性エネルギー線を照射することにより粘着剤の密着力の低下が図られ、剥離性支持体からの電磁波遮蔽材の剥離が容易になり、しかも綺麗に剥離できることから、本発明においては、第1の接着または粘着剤として、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を用いることが好ましい。なお、第1の接着または粘着剤は、電磁波遮蔽材との密着力が転写用支持体の接着または粘着剤(第2の接着または粘着剤)のそれよりも小さく、電磁波遮蔽材が剥離性支持体の第1の接着または粘着剤層から剥離され、転写用支持体に転写される限りどのようなものであっても良い。また、必要であれば、第1の接着または粘着剤表面に、金属箔などとの密着力を低下させる処理が施されてもよい。
前記活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤は、活性エネルギー線を照射することにより粘着力が低下するものであるが、感圧性粘着剤であることから、圧力をかけることにより金属箔と基材フィルムとを接着させることができる。活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤としては、反応性官能基を有する弾性重合体、活性エネルギー線反応型化合物、光重合開始剤および硬化剤を含むものが好適に用いられる。また、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤には、公知の粘着付与樹脂(例えば、ロジンエステル)、無機微粒子化合物(例えば、平均粒子径20μm以下のシリカ化合物)、重合安定剤(例えば、ヒドロキノン)、防錆剤、可塑剤、紫外線吸収剤などを配合することができる。
前記活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の反応性官能基を有する弾性重合体としては、アクリル系ポリマーとウレタン系ポリマーが好ましく、反応性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミド基、グリシジル基、イソシアネート基等が挙げられる。
反応性官能基を有する弾性重合体である上記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(A)反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合体、(B)反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、前記モノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体などが挙げられる。これらアクリル系ポリマーは公知の方法により合成することができる。またアクリル系ポリマーは、粘着性を付与するため、ガラス転移点が10℃以下であることが好ましい。さらに、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、粘着力と凝集力のバランスの点から、20万〜200万が好ましく、40〜150万がより好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
反応性官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−4ヒドロキシブチル、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等を挙げることができる。
他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエトチル等を挙げることができる。
前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン等を挙げることができる。
一方、ウレタン系ポリマーとしては、例えば、ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させて得られる末端水酸基のポリウレタンポリールに、有機ポリイソシアネートを反応させて得られるポリマーが挙げられる。
上記ウレタン系ポリマーを製造する際に用いられるポリオールとしては、公知のポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールの酸成分してはテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられ、グリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、ポリオール成分としてはグリセリン、トチメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。またポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2以上のものが挙げられる。ポリエステルポリオールおよびポリエステルポリオールの重量平均分子量は1000〜5000が好ましく、2500〜3500がより好ましい。重量平均分子量が1000以下のポリエステルポリオールおよびポリエステルポリオールでは反応が早く、ゲル化し易くなり、5000以上のポリエステルポリオールおよびポリエステルポリオールは反応性が低くなり凝集力も低くなる。ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させる際には、多価アミン類が併用されてもよい。
上記有機ポリイソシアネートとしては、公知の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイシシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。また、脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。さらに芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等が挙げられる。また脂肪族ポリイソシアネートとしてはイソフォロンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。上記有機ポリイソシアネートには、上記有機ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等を併用することもできる。
ウレタン系ポリマーの重量平均分子量は、粘着力と凝集力のバランスの点から5,000〜300,000が好ましく、10,000〜200,000がより好ましい。
さらに、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を構成する活性エネルギー線反応性化合物としては、活性エネルギー線照射により3次元架橋するモノマーやオリゴマーが挙げられる。これら活性エネルギー線照射により3次元架橋するモノマーやオリゴマーは、分子内に2個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものであることが好ましい。
上記活性エネルギー線照射により3次元架橋するモノマーとしては、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることができる。
また、上記オリゴマーとしては、例えばウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられる。ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールと有機ポリイソシアネート、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート等を反応させて得られる末端イソシアネートプレポリマーに、水酸基を有するアクリレートあるいはメタクリレート、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を反応させて得られるものを使用できる。ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量は500〜30,000が好ましく、1,000〜20,000がより好ましい。ウレタンアクリレートオリゴマーは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を2〜15個有することが好ましく、4〜15個有することがより好ましく、特に6〜15個有することが更に好ましい。
活性エネルギー線反応線化合物の使用量は、弾性重合体100重量部に対して20〜500重量部が好ましく、更に40〜300重量部がより好ましい。20重量部に満たないときは活性エネルギー線照射後に粘着力低下が不足する恐れがあり、500重量部を超えると未反応分による汚染が生じる恐れがある。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、2,4−ジエチルオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、ビスイミダゾール、β−クロールアントラキノン等が挙げられる。
活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤においては、光重合開始剤と増感剤を併用することも好ましい。増感剤としては例えばトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N‘N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどが挙げられるが特に限定せず、公知の増感剤の何れをも使用することができる。
硬化剤は、反応性官能基を有する弾性重合体と反応して粘着剤に凝集力を付与するものであり、弾性重合体の官能基に対して反応性を持つ公知のイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジニル系化合物等の多官能化合物が用いられる。硬化剤の使用量は、アクリルモノマーの種類や粘着力を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部を添加することが好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。0.1重量部未満だと架橋度が低下し、凝集力が不十分となり、15重量部を超えると被着体に対する接着力が小さくなりやすいので好ましくない。
上記イソシアネート系化合物としては、トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネートや、それらのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンジルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メタキシレンジアミンテトラグリシジルエーテル、およびその水添化物等が挙げられる。
アジリジニル系化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
第1の接着または粘着剤の塗布方法としては、コンマコート、リップコート、カーテンコート、ブレードコート、グラビアコート、キスコート、リバースコート、マイクログラビアコート等が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の厚みは、0.5μm〜50μm程度であることが好ましい。粘着または接着剤の厚みが0.5μm未満であると十分な接着性が得られず、また50μmを越えると経済的に不利である。
本発明の活性エネルギー線とは、照射により粘着力を消失させるエネルギーを有する電磁波を意味し、電子線、紫外線等が挙げられる。なかでも、装置の安価さやランニングコストから紫外線が好ましい。紫外線は公知の光源を使用できる。
支持体に第1の接着または粘着剤を設ける方法としては、上述したように接着または粘着剤を直接塗布する方法や一旦シーティングされたものをラミネートする方法などが挙げられる。塗布方法については既に述べた。一方、ラミネート方法としては、常温ラミネートや加温ラミネート、加圧ラミネートなどのラミネート法を用いることができる。特に、基材フィルムと粘着または接着剤層との間に空気が入ると、所望の性能が得られないことから、このような問題を避けるため真空ラミネート法によることが好ましい一方、生産性の観点からは、ロールでのラミネートが好ましい。また、第1の接着または粘着剤を金属箔上に設け、剥離性支持体と貼り合わせても良い。
第1の接着または粘着剤が設けられた支持体と金属箔との貼り合わせ法としては、特に限定するものではないが、常温ラミネートや加温ラミネート、加圧ラミネートなどのラミネート法を用いることができる。特に、支持体と第1の接着または粘着剤との間に空気が入ると、所望の性能が得られないことから、真空ラミネートを実施することが好ましい。なお、第1の接着または粘着剤上にセパレータが用いられている場合は、セパレータを剥離してから貼り合わせる。
幾何学形状の電磁波遮蔽材の形成は、金属箔の表面に、マイクロリソグラフ法、スクリーン印刷法、凹版オフセット印刷法等を利用してメッシュ状のエッチングレジストパターンを形成した後、金属に対し腐食性を有するエッチング液を用いて金属箔を選択的にエッチングすることにより行うことができる。
エッチングレジストパターンの形成に利用されるマイクロリソグラフ法としては、フォトリソグラフ法、X線リソグラフ法、電子線リソグラフ法、イオンビームリソグラフ法などがある。これらの中でも、その簡便性、量産性の点からフォトリソグラフ法が好ましいものである。なかでもケミカルエッチングを用いたフォトリソグラフ法は、その簡便性、経済性、金属メッシュ加工精度などの点から最も好ましい。フォトリソグラフ法には、ネガ型、ポジ型のいずれのエッチングレジストも使用することができる。エッチングレジストインキは、硬化物が金属のエッチング処理に対して、耐性を有するものであればよく、一般的に知られている、フォトレジスト組成物、感光性樹脂組成物、熱硬化樹脂組成物などが挙げられる。
金属箔をエッチングする方法としては、従来知られた何れの方法をも用いることができるが、ケミカルエッチング法が経済性などの点から好ましい。ケミカルエッチング法とは、エッチングレジストで保護された部分以外の金属箔をエッチング液で溶解し、除去する方法である。エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、アルカリエッチング液等がある。これらの中でも低汚染性で再利用が可能な塩化第二鉄、塩化第二銅の水溶液が好適である。エッチング液の濃度は、金属箔の厚みや処理速度にもよるが、通常150〜250g/リットル程度である。また、液温は、40〜80℃の範囲が好ましい。金属箔をエッチング液に曝露する方法は、エッチング液中への金属箔の浸漬、金属箔へのエッチング液のシャワーリング、エッチング液気相中への金属箔の曝露などがあるが、エッチング精度の安定性の点から、金属箔へのエッチング液のシャワーリングが好ましい。
幾何学形状の電磁波遮蔽材を構成する単位形状としては、正三角形や二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形(nは正数)、円、楕円、星形等が挙げられる。メッシュの形状は、前記単位形状の1種または2種以上の組み合わせからなる。メッシュを構成する単位形状は、電磁波シールド性の観点からは、三角形が最も有効であるが、可視光線透過率の観点からはn角形でnが大きいものが好ましい。
また、幾何学形状を構成するラインの幅は40μm以下、ラインの間隔は100μm以上、ラインの厚みは40μm以下の範囲にすることが好ましい。また、非視認性の観点から、ライン幅は25μm以下、可視光線透過率の点からライン間隔は120μm以上、ライン厚みは18μm以下が更に好ましい。ライン幅は40μm以下、特に25μm以下が好ましいが、あまりに小さく、細くなると表面抵抗が大きくなりすぎてシールド効果に劣るので、1μm以上が好ましい。ラインの厚みは40μm以下が好ましいが、あまりに厚みが薄いと表面抵抗が大きくなりすぎて、シールド効果に劣るので、0.5μm以上が好ましく、1μm以上が更に好ましい。ライン間隔は、大きいほど開口率が向上し、可視光線透過率は向上する。前述のようにディスプレイ前面に使用する場合、開口率は50%以上が好ましいが、60%以上が更に好ましい。ライン間隔が大きくなりすぎると、電磁波遮蔽性が低下する為、ライン間隔は1000μm(1mm)以下とすることが好ましい。ここで開口率とは、電磁波遮蔽材の有効面積に対する、有効面積から電磁波遮蔽材の面積を引いた面積の比の百分率である。
幾何学形状の電磁波遮蔽材表面の黒化処理は、プリント配線板分野で行われている方法により、黒化処理液を用いて行うことができる。エッチング後に黒化処理を行うことにより、幾何学形状の電磁波遮蔽材表面の上面および側面を黒化処理することができることから、エッチング後の黒化処理が好ましい。しかし、エッチング前の金属箔を予め黒化処理してもよい。黒化処理は、例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/リットル)、水酸化ナトリウム(15g/リットル)、燐酸三ナトリウム(12g/リットル)の水溶液中、95℃で2分間処理することにより、行うことができる。
また、電磁波遮蔽材は上述のエッチング法以外の方法、例えばメッキ法、印刷法などにより形成しても構わない。印刷法では、フレキソ印刷法や凸版印刷法などにより導電性インキを剥離性支持体上に印刷することにより、基材上に導電性材料による幾何学図形を直接形成できる。
本発明では、剥離性支持体上に設けられた幾何学形状の電磁波遮蔽材は、好ましくは機能層を有する転写用支持体に転写される。その際、剥離性支持体上に設けられた幾何学形状の電磁波遮蔽材と転写用支持体とは、第2の接着または粘着剤を介して貼り合わされ、その後転写用支持体を剥離性支持体から引き剥がすことにより、幾何学形状の電磁波遮蔽材のみが転写用支持体側に剥離、転写され、これにより電磁波遮蔽材を転写用支持体上に形成できる。
なお、前述の第1の接着または粘着剤として、前述の活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を用いる場合、剥離、転写の際同時にまたは剥離、転写の前に活性エネルギー線を照射することにより、粘着剤の粘着力を低下させることができる。この活性エネルギー線照射工程は、幾何学形状の電磁波遮蔽材と転写用支持体を接着または粘着剤を介して貼り合わせる前、同時または貼り合わせた後の任意の時に、1回以上照射することが好ましい。
紫外線の照射強度は、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の粘着力が低下する限り特に限定はされないが、20〜3,000mJ/cm2が好ましく、50〜3,000mJ/cm2がより好ましく、100〜3,000mJ/cm2が更に好ましい。20mJ/cm2未満であると粘着層の硬化が不足して十分な粘着力の低下が生じない恐れがあり、3,000mJ/cm2を越えると照射に時間が掛かり経済的に不利であり、また照射による熱で基材がダメージを受ける恐れがある。
金属箔と剥離性支持体との剥離強度は、金属箔をエッチングなどにより電磁波遮蔽材が形成でき、かつ形成された電磁波遮蔽材が転写用支持体に剥離、転写できるものである限り、特に限定されるものではない。上記活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を第1の接着または粘着剤として用いる場合について説明すると、活性エネルギー線の照射前では、100g/25mm(90°ピール剥離)以上、3000g/25mm(90°ピール剥離)以下であることが好ましく、また活性エネルギー線照射後は30g/25mm(90°ピール剥離)未満であることが好ましい。活性エネルギー線の照射前の剥離強度が100g/25mm(90°ピール剥離)未満である場合には、利用するエッチング法およびエッチング条件、搬送条件によっては、エッチング等の工程中に基材フィルムが金属箔から剥離してしまうことがある。しかしこの問題も、処理条件を適宜選択すれば解決できるもので、前記以下の剥離強度であっても本発明を実施することができる。一方、3000g/25mm(90°ピール剥離)を超える場合には、活性エネルギー線を照射しても、剥離強度が十分に低下しないこともあるが、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤の組成や膜厚などの調整により、これ以上の剥離強度を有するものも利用できないわけではない。また、活性エネルギー線照射後の剥離強度が30g/25mm(90°ピール剥離)以上である場合、剥離条件などによってはエッチングにより形成された電磁波遮蔽材である金属メッシュを安定して転写用支持体に転写することができないこともあるが、転写用支持体の第2の接着または粘着剤の剥離強度を調整する、あるいは剥離条件を適宜設定するなどすることにより、これ以上の剥離強度であっても転写を行えないわけではない。
また、剥離性支持体を剥離した後の電磁波遮蔽材上の有機物汚染率が50%以下であることが好ましい。ここでの有機物汚染率は、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)で測定された金属箔表面の金属元素の存在率から算出される値である。有機物汚染率については、未処理の金属箔表面にある金属元素の存在率を基準とし、この値を分母とし、剥離性支持体を剥離した後(例えば、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を用いる場合には、金属箔の片面に活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を介して基材を貼付した積層体に活性エネルギー線を照射し、剥離した後)の金属箔表面にある金属元素の存在率を分子とした値の百分率で表記される。
金属箔の1種である銅箔の場合は、銅表面がすぐに酸化されるため、あるいは酸化を抑えることを目的として防錆剤が塗布されているため、未処理の銅箔表面にある銅元素の存在率が100%でないことがあるが、有機物汚染率を算出する上では差し支えない。
なお、剥離性支持体は、場合によっては、必ずしも剥離する必要はなく、保護フィルムとして使用されてもよい。
転写用支持体に用いられる第2の接着または粘着剤としては、公知の一般的な粘着剤を使用することができる。このような粘着剤としては、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、エンジニアリングプラスチック類、スーパーエンジニアリングプラスチック類、ウレア系樹脂、メラミン系樹脂、共重合系樹脂、アセテート系樹脂、シリコン系樹脂、シリカ系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。粘着剤層の表面は平滑であることが好ましく、また透明性も高い方が好ましい。
第2の接着または粘着剤の転写用支持体上での厚さは、1〜500μmであることが好ましく、5〜300μmが更に好ましい。1μm以下のときは粘着力不足が生じる恐れがある。一方500μmを超えると透明性や塗布時の乾燥性が低下する恐れがある。また、第2の接着または粘着剤層により耐衝撃性、飛散防止性を付与するときは、塗布厚(乾燥厚)を50μm以上とすることが好ましい。
アクリル樹脂系の第2の接着または粘着剤は、通常、公知のアクリル系モノマーを共重合させて得られるアクリル系ポリマーと、凝集力の確保、耐熱・耐候性等を付与する目的で添加される硬化剤とから構成されることが好ましい。また、ウレタン系ポリマーを用いたものも好ましいものとして挙げられる。
上記アクリル系ポリマーとしては、分子中にカルボキシル基、水酸基、アミド基、グリシジル基、アミノ基、アセトアセトキシ基のうち少なくとも1種の反応性官能基を有するアクリル系ポリマーが好ましいものとして挙げられる。アクリル系ポリマーを例示すると、(C)反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとの共重合体、または、(D)反応性官能基を有するモノマーと、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、前記モノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。アクリル系ポリマーは、粘着性を付与するために、ガラス転移点が−20℃以下であることが好ましい。また、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は粘着力と凝集力のバランスの面から20万〜200万が好ましく、更に40〜150万が好ましい。以下にアクリル系ポリマーを製造するために用いられるモノマーを例示するが、アクリル系ポリマーを製造するために用いられるモノマーがこれに限定されるものでなく、従来アクリル系ポリマーを製造するために用いられる公知のモノマーの何れをも使用することができる。なお、ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
前記アクリル系ポリマーを製造するために用いられる反応性官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等を挙げることができる。
また、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエトチル等を挙げることができる。
さらに、前記反応性官能基を有するモノマーおよび他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルトルエン等を挙げることができる。
一方、硬化剤としては、反応性官能基に対して反応性を持つイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジニル系化合物等の公知の多官能化合物が使用できる。硬化剤の使用量は、アクリルモノマーの種類や粘着力を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂100重量部に対して0.01〜40重量部を添加することが好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満だと架橋度が低下し、凝集力が不十分となり、15重量部を超えると被着体に対する接着力が小さくなりやすいので好ましくない。0.1〜15重量部を添加することが好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。0.1重量部未満だと架橋度が低下し、凝集力が不十分となり、15重量部を超えると被着体に対する接着力が小さくなりやすいので好ましくない。
前記イソシアネート系化合物としては、トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネートや、それらのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンジルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メタキシレンジアミンテトラグリシジルエーテル、およびその水添化物等が挙げられる。
アジリジニル系化合物としては、N,N’−ジフェニルメタン−4,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオナート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
また前記硬化剤の変わりに、活性エネルギー線反応性化合物および光重合開始剤を配合した活性エネルギー線硬化型粘着剤を用いることも好ましい。活性エネルギー線硬化型粘着剤には、重合禁止剤およびその他添加剤が必要に応じ添加される。
上記活性エネルギー線反応性化合物としては、活性エネルギー線照射により3次元架橋する公知のモノマーやオリゴマーが挙げられる。これらは分子内に2個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものである。活性エネルギー線反応性化合物はアクリル系ポリマー100重量部に対して0.1〜50重量部配合することが好ましく、更に0.1〜40重竜部が好ましく、特に0.1〜20重量部が好ましい。0.1重量部未満のときは、活性エネルギー線照射により3次元架橋が不足して必要な凝集力が得られず、50重量部を超えるときは、活性エネルギー線照射により3次元架橋が過剰になり必要な粘着力が得られない恐れがある。
上記活性エネルギー線照射により3次元架橋するモノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のモノマーを挙げることができるが、上記モノマーがこれらに限定されるものではない。また粘性や架橋密度等を調整するために、分子内に1個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノマーを活性エネルギー線反応性化合物として入れていても良い。
また、上記活性エネルギー線照射により3次元架橋するオリゴマーとしては、活性エネルギー線反応性化合物として用いられている公知オリゴマーの何れのものをも用いることができる。代表的なものとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられることが、これに限定されるものではない。粘着剤として使用された際の経時黄変を防ぐために、原料としてトリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートを含まないウレタンアクリレートオリゴマーを用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、2,4−ジエチルオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、ビスイミダゾール、β−クロールアントラキノンが挙げられるがこれらには限定されず、本発明では、公知の光重合開始剤の何れをも使用することができる。
活性エネルギー線硬化型粘着剤においては、光重合開始剤と増感剤を併用することも好ましい。増感剤としては例えばトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどが挙げられるが特に限定せず、公知の増感剤の何れをも使用することができる。
活性エネルギー線硬化型粘着剤に用いられる重合禁止剤としては、従来重合禁止剤として用いられている公知の化合物の何れをも用いることができる。重合禁止剤を具体的に例示すると、例えば、ヒドロキノン、メトキノン、メチルヒドロキノン、パラベンゾキノン、トルキノン、t−ブチルヒドロキノン、t−ブチルベンゾキノン、2,5−ジフェニル−パラベンゾキノン等のヒドロキノン系化合物、フェノチアジン系化合物、ニトロソアミン系化合物が挙げられるが、重合禁止剤が特にこれら例示された化合物に限定されるものではない。
その他添加剤としては、先に粘着剤の添加剤として挙げたものと同様のものが挙げられる。これら添加剤は添加剤の添加量は、目的とする物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
活性エネルギー線硬化型粘着剤は活性エネルギー線照射により活性エネルギー線反応性化合物が3次元架橋して粘着層に適度な凝集力が付与され、粘着力が発現する。活性エネルギー線反応性化合物はアクリル系ポリマー100重量部に対して0.1〜40重量部配合することが好ましく、更に0.1〜30重量部が好ましく、特に0.1〜20重量部が好ましい。0.1重量部未満のときは、活性エネルギー線照射により3次元架橋が不足して必要な凝集力が得られず、40重量部を超えるときは、活性エネルギー線照射により3次元架橋が過剰になり必要な粘着力が得られない恐れがある。
一方、ウレタン樹脂系の第2の接着または粘着剤は、公知のポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させて得られるウレタン樹脂から構成される。ウレタン樹脂は、ポリオールと多塩基酸若しくはその無水物とを反応させた後、有機ポリイソシアネートを反応させて得られるものでも良い。
公知のポリオールとしては、高分子量ポリオール類の1種または2種以上、あるいはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたグリコール類、その他のポリオール類等も用いることができる。さらに、これらの中の1種または2種以上とオレフィン類、芳香族炭化水素類等他の化合物との反応によって得られる2個以上の水酸基を有する化合物も使用することができる。
有機ポリイソシアネートとしては、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を構成するウレタン系ポリマーの原料として例示した有機ポリイソシアネートを用いることができる。
ウレタン樹脂系の第2の接着または粘着剤には、硬化剤を使用することが好ましい。硬化剤としては、活性エネルギー線粘着力消失型粘着剤を構成する硬化剤として例示したイソシアネート系硬化剤を使用することができる。硬化剤の使用量は、ウレタン樹脂の種類や接着力を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、ウレタン樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部を添加することが好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。0.1重量部未満だと架橋度が低下し、凝集力が不十分となり、15重量部を超えると被着体に対する粘着力が小さくなりやすいので好ましくない。
第2の接着または粘着剤には、公知の粘着付与剤、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤、濡れ剤、各種薬剤、充填剤、顔料、染料、希釈剤、硬化促進剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜用いてもよい。また、添加剤の添加量は、目的とする物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
粘着付与剤としては、例えばテルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジンおよびそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)などが使用可能である。
また、第2の接着または粘着剤には、赤外線カットを目的として、赤外線吸収材料を入れても構わない。赤外線吸収材料としては、酸化鉄、酸化セリウム、酸化錫、酸化アンチモン、インジウム−錫酸化物(ITO)等の金属酸化物、または六塩化タングステン、塩化錫、硫化第二銅、クロム−コバルト錯体、チオール−ニッケル錯体、アントラキノン等が挙げられる。
また、第2の接着または粘着剤には、近赤外線吸収機能、色補正機能、紫外線吸収機能、飛散防止機能、耐衝撃機能、Neカット機能などの機能を有する材料を含有することができる。特にプラズマディスプレイ用に用いる場合、近赤外線吸収剤を含有することが好ましい。プラズマディスプレイ用の前面フィルターとしては、電磁波遮蔽機能、近赤外線吸収機能、色補正機能、帯電防止性、ハードコート機能、反射防止機能などを要することが多いが、機能上、ハードコート機能、反射防止機能は最前面近傍に設けられるため、近赤外線吸収機能を有する層はそれよりは下層に設けられる。
近赤外線吸収性を有する材料(近赤外吸収剤)は、色素系からなるものが多く、紫外線に弱いものが多い。前述のハードコート機能、反射防止機能などは、紫外線硬化型のマトリックスを用いる場合が多く、近赤外線吸収剤を含む層を形成した後にハードコート機能、反射防止機能を設けると、近赤外線吸収剤の劣化が起こる。本発明では、後述するように、予め複数の機能層を成膜した転写用支持体上に電磁波遮蔽材を転写することによって電磁波遮蔽層設ける方法をとる場合、近赤外線吸収剤を第2の接着または粘着剤に含有させることで近赤外線吸収剤の劣化のないものとすることができる。
近赤外線吸収剤としては、400〜800nmまでの波長領域の透過率が高く、800〜1200nm波長領域の透過率が低いものであればよい。このような近赤外線吸収剤は、必要な近赤外線吸収機能を有していればよいが、粘着または接着剤との相性、複数の近赤外線吸収剤を用いる場合はそれら同士での相性、溶剤との相性等を考慮して適宜選択するとよい。また、近赤外線吸収剤は、可視光領域における光吸収率が極めて小さいこと、近赤外線領域を出来得る限り吸収すし、また塗膜形成性に優れ、耐光、耐熱、耐湿性、塗料の経時安定性が高いものが好ましい。
近赤外線吸収剤としては、ジイモニウム系、フタロシアニン系、ジチオール金属錯体系、シアニン系、金属錯体系、金属微粉、金属酸化物微粉が挙げられ、樹脂も含めた組み合わせは自在であるが、拮抗作用、相乗作用を見極めて、適宜使用するとよい。
近赤外線吸収機能を有するジイモニウム系化合物としては、例えば下記式(1)で表わされる化合物が好ましいものとして挙げられる。式(1)で表わされるジイモニウム系化合物は、近赤外域の遮断が大きく、遮断域も広く、可視域の透過率も高い。
前記式(1)中のR1〜R8の具体例としては、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、置換もしくは未置換の、アルキル基、ハロゲンアルキル基、シアノアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、フェニル基、またはフェニルアルキレン基が挙げられる。また環Aおよび環Bは置換基を有していても良い。
R1〜R8の基において、ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素が、アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが、アリール基としてはフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などが、アラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などが、アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基が好ましいものとして挙げられる。
さらに、X−としては、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸塩イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、下記式(2)で表わされるテトラフェニルホウ酸イオン(環Cは置換基を有していても良い)、または下記式(3)で表わされるスルホンイミド(R13およびR14はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれフルオロアルキル基を示すかそれらが一緒になって形成するフルオロアルキレン基)などが挙げられる。ただし、本発明では上記で挙げたものに限定されるものではない。これらの一部は市販品として入手可能であり、例えば日本化薬社製KayasorbIRG−068、日本カーリット社製CIR−RL等を好適に用いることができる。
ジチオ−ル系化合物としては、式(4)で表わされる化合物などを好適に用いることができる。
前記の式(4)中のR9〜R12の具体例としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などのアラルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基などのアミノ基が挙げられる。市販品としては、みどり化学社製MIR‐101等を好適に用いることができる。
また、フタロシアニン系化合物としては、例えば、日本触媒社製Excolor IR−1、IR−2、IR−3、IR−4、TXEX−805K、TXEX−809K、TXEX−810K、TXEX−811K、TXEX−812Kなどを好適に用いることができる。上記近赤外線遮断剤は一例であり、これらに限定されるものではない。
また、近赤外線吸収剤であるシアニン系化合物としては、例えば、日本化薬社製CY17、住友精化社製SD50、林原生物化学研究所社製NK−5706などを好適に用いることができる。
なお、上記した近赤外線吸収剤(近赤外線遮断剤)は何れも本発明で用いることができる各近赤外線吸収剤の一例を示したもので、本発明において用いることができる近赤外線吸収剤が上記のものに限定されるものではない。
また、紫外線吸収剤としては、無機系あるいは有機系のいずれも使用できるが、有機系の紫外線吸収剤が実用的である。有機系の紫外線吸収剤としては、300〜400nmの間に極大吸収を有し、その領域の光を効率よく吸収ものが好ましく、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、オギザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいが、数種類組み合わせて用いることがより好ましい。また、上記紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤、あるいは酸化防止剤をブレンドすることで安定化が向上できる。
また、色補正機能は、ディスプレイ表示色の色バランスを補正するためのものであり、例えばプラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットする(Neカット機能を有する)ものなどが挙げられる。色補正剤としては、シアニン(ポリメチン)系、キノン系、アゾ系、インジゴ系、ポリエン系、スピロ系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、シアニン系等の色素が挙げられるが、これに限られたものではない。また、プラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットする目的であれば、シアニン系、ポルフィリン系、ピロメテン系などを用いることができる。
本発明の転写用支持体は、片面または両面に少なくとも1つ以上の機能を有する機能層を1層以上積層することが好ましい。
転写用支持体としては、プラスチックフィルム、ガラスが挙げられるが、透明性が高いことはもちろんのこと、コスト、取り扱いやすさという点で、プラスチックフィルムが好ましい。具体的には、ポリエステル系、アクリル系、トリアセチルセルロース系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリオレフィン系、ポリシクロオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリカーボネート系、フェノール系、ウレタン系樹脂等から形成されたフィルム、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂等や、アクリルグラフトポリエステル樹脂等の樹脂層を設けたいわゆる易接着タイプのフィルム等が挙げられ、物理的特性、光学特性、耐薬品性、環境負荷等の点からポリエステル系フィルムが好ましい。より具体的にはポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムともいう)が好ましい。また、紫外線吸収剤を含有する(練り込み等)プラスチックフィルムを基材として使用することで、紫外線吸収剤層の代替とすることもできる。
機能層は、導電性、反射防止性、反射低減性、ハードコート性、防眩性、防汚機能、近赤外線吸収機能、紫外線吸収機能、色補正機能、放熱機能、耐衝撃緩衝機能、Neカット機能および飛散防止機能のいずれか1つ以上の機能を有する層である。なお、これ以外の機能を有していてもよい。本発明では、予め機能層を設けてある転写用支持体上に、電磁波遮蔽材を設けるので、1枚の支持体(基材)に電磁波遮蔽材と機能層を設けることができ、透明性、軽量性などの点で優れた積層体を得ることができ、またヘイズも低く、好ましいものとなる。とくに機能層が2層以上の多層になる場合、各機能毎に支持体を有する機能層を貼り合わせる従来の方法に比べ、特に優れた効果を奏しうるものである。なお、別に機能層が形成された基材が粘接着剤層を介して1枚以上更に積層されても良い。
機能層が複数層である場合、これら機能層を転写用支持体の片面のみに積層しても良いし、両面に分けて積層してもかまわない。また、同一機能層を両面に設けてもかまわない。また、転写用支持体の片面のみに機能層が積層される場合においては、機能層の積層された面、機能層の積層されていない面のいずれに、電磁波遮蔽材が転写されてもよい。また電磁波遮蔽材を転写したのち、さらに機能層を積層してもよい。
上記各機能を有する機能層について以下具体的に説明する。先ずハードコート機能を有する層は、プラズマディスプレイの表面の傷つきを防止するものであり、紫外線硬化型、電子線硬化型、熱硬化型等の樹脂を用いることができる。また、これら樹脂の組成、作成法は特に制限されるものでなく、従来公知の樹脂および作成法の何れをも用いることができる。ハードコート層は、例えば、種々の(メタ)アクリレート類、光重合開始剤および必要に応じて有機溶剤を主成分とするコート剤により形成することができる。種々の(メタ)アクリレート類としては、ポリウレタン(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート、あるいは他の多官能(メタ)アクリレート類を好適に使用することができる。
上記ハードコート層を形成する際に用いられるエポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂のエポキシ基を(メタ)アクリル酸でエステル化し、官能基を(メタ)アクリロイル基としたものであり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物、ノボラック型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物等が挙げられる。
またウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを、水酸基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることができる。あるいは、ポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタンプレポリマーを、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることもできる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートを形成するために用いられるポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサントリオール、トリメリロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、アジピン酸とエチレングリコールとの縮重合物等が挙げられる。
一方、ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
水酸基をもつ(メタ)アクリレート類としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリテート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられる。
他の多官能の(メタ)アクリレート類は、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものであり、分子内に3個以上のアクリロイル基を有するものが好ましい。具体的にはトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロイルキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロイルキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ゲンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられ、これらの光重合開始剤は2種以上を適宜併用することもできる。
また、有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−iso−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−iso−ブチル等のエステル類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル等のエーテル類;2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類などが挙げられ、これらは一種でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、ハードコート層には、上記成分の他、耐摩耗性向上のため、コロイド状金属酸化物、あるいは有機溶剤を分散媒としたシリカゾル等を加えることもできる。
ハードコート層は、前記樹脂の塗工液を塗工した後、塗膜を乾燥させ、コート剤を架橋硬化せしめることによって形成される。塗工法としては、公知の何れの方法をも用いることができ、具体的には、バーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースコーティング、ダイティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、ディッピング法等の方法が挙げられる。また、架橋硬化は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線硬化型であれば、活性エネルギー線を照射することにより行うことができる。
活性エネルギー線としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線あるいは、通常20〜2000KeVの電子線加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線等を用いることができる。このようにして形成される傷つき防止層は、通常1〜50μm、好ましくは3〜20μmの厚みとする。
反射防止または反射低減機能を有する層は、表面反射を防ぎ、可視光線透過率を上げるために形成される層であり、形成方法として任意の加工方法を選択することができ、形成方法に特に制限はない。反射防止または反射低減機能を付与するには、例えば、支持体の片面または両面に薄膜の低屈折率層または屈折率の異なる多層薄膜を形成し、薄膜の表面反射光と界面における屈折反射光との光の干渉により反射率を低減する方法等が一般的な方法として挙げられる。
反射防止または反射低減層は、光学層単層や組み合わせたものを用いることができ、具体的な層構成の例としては、屈折率1.2〜1.45の低屈折率層単層、屈折率1.7〜2.4の高屈折率層と低屈折率層を交互に組み合わせたものや、屈折率1.5〜1.9の中屈折率層と屈折率1.7〜2.4の高屈折率層と低屈折率層を組み合わせたものなどが挙げられる。
低屈折率層には、MgF2(屈折率:約1.4)、SiO2(屈折率:約1.2〜1.5)、LiF(屈折率:約1.4)などの金属化合物や、3NaF・AlF3(屈折率:約1.4)、Na3AlF6(屈折率:約1.33)などの複合金属化合物を用いることができる。また中屈折率層には、Al2O3(屈折率:約1.65)、MgO(屈折率:約1.63)などの金属化合物やAl−Zr複合酸化物(屈折率:約1.7〜1.85)などの複合金属化合物を用いることができる。さらに、高屈折率層には、TiO2(屈折率:約2.3)、ZrO2(屈折率:約2.05)、Nb2O5(屈折率:約2.25)、Ta2O5(屈折率:約2.15)、CeO(屈折率:約2.15)などの金属化合物やIn−Sn複合酸化物(屈折率:約1.7〜1.85)などの複合金属化合物を用いることができる。
これらの光学層は、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD法)、反応性スパッタリング法、イオンプレーディング法、電気メッキ法等、公知の手法用いて形成できる。
また、前述の金属化合物または複合金属化合物からなる粒子をマトリックスに分散させたものを光学層として用いても良い。例えば、低屈折率層に、MgF2、SiO2等の低屈折微粒子を紫外線あるいは電子線硬化型樹脂や珪素アルコキシド系のマトリックスに分散させたものを用いることができる。低屈折微粒子は多孔質であると屈折率がより低くなり好ましい。低屈折率層を、前記低屈折微粒子を含む紫外線あるいは電子線硬化型樹脂マトリックスにより形成する場合、低屈折微粒子を含むマトリックスを、膜厚が0.01〜1μmになるように塗工し、必要に応じて、乾燥処理、紫外線照射処理あるいは電子線照射処理を行うことにより形成することができる。
粒子とマトリックスを用いた光学層を形成する際の塗工法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法を用いることができる。
防眩機能を有する層は、外光を乱反射させることにより視感反射率を低減させ、ギラツキを防止する層である。例えば樹脂バインダーと微粒子を含む層からなるものなどが挙げられる。前記微粒子としては、二酸化ケイ素、アクリル、ウレタン、メラミン等の粒径0.1〜10μm程度の微粒子が挙げられる。一方、樹脂バインダーとしては、アクリル系などの樹脂を用いることができる。この層は、樹脂、粒子、溶剤などを含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法を用いることができる。また、防眩機能を有する層は、前記の如き微粒子を用いる方法でなく、樹脂バインダーにエンボス加工を施すことによっても形成することができる。
なお、前記微粒子を前記ハードコート層に混入するにより、またはハードコート層の表面にエンボス加工を施すことにより、ハードコート層に防眩機能層との機能を更に持たせることもできる。
導電性を有する層、すなわち帯電防止機能を有する層としては、従来帯電防止機能を有する層を構成するために用いられている公知の材料の何れのものをも用いることができ、例えば、樹脂またはシリカバインダーに導電性の帯電防止剤を混入してなるものが挙げられる。樹脂バインダーとしては、例えばアクリル系の樹脂が好ましいものとして挙げられる。一方、シリカバインダーとしては、RxSi(OR)yで表される珪素アルコキシド、有機珪素アルコキシドを加水分解して得られるものを用いることができる。
導電性の帯電防止剤としては、五酸化アンチモン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムなどの金属化合物、アンチモン含有複合酸化物、In−Sn複合酸化物、リン系化合物などの複合金属化合物、第四級アンモニウム塩、アミンオサイド等のアミン誘導体、ポリアニリン等の導電性ポリマーなどを挙げることができる。
また、帯電防止層は、上記の材料を含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法を用いることができる。
なお、これらの帯電防止材料を前記ハードコート層や、防眩層に混入して用い、これらの層を帯電防止層としても機能させることもできる。
防汚機能を有する層は、表面の汚染を防止するための層で、最表面に設けられるものである。防汚層としては、フッ素系、珪素系化合物やフッ素含有珪素化合物などの防汚性材料を、蒸着法、化学蒸着法(CVD法)などの気相法で形成することができる。また、防汚層は、前記材料を、必要であればバインダーと共に溶剤に溶解し、ディッピング法や、ロッド、ワイヤーバーを用いた塗工法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法を用いて形成できる。
また、これらの材料を最表面の他の機能層に混入し、最表面の機能層に防汚機能を持たせるようにしても構わない。例えば、反射防止層や防眩層のバインダーに混入することにより、これらの層に防汚機能を持たせても良い。
近赤外線吸収機能を有する層は、800〜1200nm波長領域の透過率が低い層であり、400〜800nmまでの波長領域の透過率は高いものが好ましい。近赤外線吸収層としては、例えば、樹脂バインダーに近赤外線吸収性の色素または顔料などを混入させた層や、In−Sn複合酸化物などの近赤外線吸収性物質の薄膜を用いることができる。このような近赤外線吸収性を有する材料(近赤外吸収剤)としては、ジイモニウム系、フタロシアニン系、ジチオール金属錯体系、シアニン系、金属錯体系、金属微粉、金属酸化物微粉などが挙げられる。これら近赤外吸収剤の組み合わせおよび樹脂と近赤外吸収剤の組み合わせは自在であるが、拮抗作用、相乗作用を見極めて、適宜使用するとよい。
近赤外線吸収機能を有するジイモニウム系化合物としては、例えば前記式(1)で表わされる化合物が好ましいものとして挙げられる。前記の式(1)で表わされるジイモニウム系化合物は、近赤外域の遮断が大きく、遮断域も広く、可視域の透過率も高い。
前記式(1)中のR1〜R8の具体例としては、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、置換もしくは未置換の、アルキル基、ハロゲンアルキル基、シアノアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、フェニル基、フェニルアルキレン基が挙げられ、また環Aおよび環Bは置換基を有していても良い。
R1〜R8の基において、ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素が、アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが、アリール基としてはフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などが、アラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などが、アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基が好ましいものとして挙げられる。
X−としては、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸塩イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、前記式(2)で表わされるテトラフェニルホウ酸イオン(環Cは置換基を有していても良い)、または前記式(3)で表わされるスルホンイミド(R1 3およびR14はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれフルオロアルキル基を示すかそれらが一緒になって形成するフルオロアルキレン基)などが挙げられる。ただし、本発明では上記で挙げたものに限定されるものではない。これらの一部は市販品として入手可能であり、例えば日本化薬社製KayasorbIRG−068、日本カーリット社製CIR−RL等を好適に用いることができる。
近赤外線吸収機能を有するジチオ−ル系化合物としては、前記式(4)で表わされる化合物などを好適に用いることができる。
前記の式(4)中のR9〜R12の具体例としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル、ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などのアラルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基などのアミノ基が挙げられる。市販品として、みどり化学社製MIR‐101等を好適に用いることができる。
また、フタロシアニン系化合物としては、例えば、日本触媒社製Excolor IR−1、IR−2、IR−3、IR−4、TXEX−805K、TXEX−809K、TXEX−810K、TXEX−811K、TXEX−812Kなどを好適に用いることができる。
また、シアニン系化合物としては、例えば、日本化薬社製CY17、住友精化社製SD50、林原生物化学研究所社製NK−5706などを好適に用いることができる。
なお、上記した近赤外線吸収剤(近赤外線遮断剤)は何れも本発明で用いることができる各近赤外線吸収剤の一例を示したもので、本発明において用いることができる近赤外線吸収剤が上記のものに限定されるものではない。
また、近赤外線吸収層を形成するために用いられる樹脂バインダーとしては、アクリル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリスチレン系、シクロオレフィン系、ポリアリレート系、ポリサルホン系などの樹脂を用いることができる。樹脂バインダーに近赤外線吸収性の色素または顔料などを混入させた層は、これらの材料を含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法を用いることができる。
また、近赤外線吸収剤を前記ハードコート層、防眩層、帯電防止層などの層の何れかに混入して、これらの層が各々有する機能の他に近赤外線を吸収する機能を有するように構成しても構わない。
紫外線吸収機能を有する層(紫外線吸収層)は、400nm以下の波長の紫外線を吸収する層であり、400nm以下の波長の紫外線を効率よく吸収でき、350nmの波長を80%以上吸収できるものが好ましい。紫外線吸収層としては、紫外線吸収剤を樹脂バインダー中に混入したものなどが挙げられる。
紫外線吸収層の形成に用いられる樹脂バインダーとしては、アクリル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリスチレン系、シクロオレフィン系、ポリアリレート系、ポリサルホン系などが挙げられる。
400nm以下の波長の紫外線を吸収する紫外線吸収剤としては、無機系あるいは有機系のいずれも使用できるが、有機系の紫外線吸収剤が実用的である。有機系の紫外線吸収剤としては、300〜400nmの間に極大吸収を有し、その領域の光を効率よく吸収ものが好ましく、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、オギザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいが、数種類組み合わせて用いることがより好ましい。また、上記紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤、あるいは酸化防止剤をブレンドすることで安定化が向上できる。また、紫外線吸収剤を含有する(練り込み等)プラスチックフィルムを基材として使用することで、紫外線吸収剤層の代替とすることもできる。
紫外線吸収剤層は、これらの材料を含む塗液を塗布することにより形成することができる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法を用いることができる。
なお、紫外線吸収剤を前記ハードコート層、防眩層、帯電防止層などの層の何れかに混入して、これら層が各々有する機能の他に紫外線を吸収する機能をも有するよう構成しても構わない。また、近赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を両方混入させても良い。
色補正機能を有する層は、ディスプレイ表示色の色バランスを補正するために用いられる層であり、例えばプラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットする(Neカット機能を有する)層などが挙げられる。色補正機能を有する層(色補正層)は、例えば、色補正用色素などの色補正剤と樹脂バインダーを含む塗液を塗工することによって形成することができる。色補正層を形成するために用いられる樹脂バインダーとしては、アクリル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリイミド系、ポリアミド系、ポリスチレン系、シクロオレフィン系、ポリアリレート系、ポリサルホン系などの樹脂を使用することができる。
色補正用色素としては、用途によって様々なものを用いることができ、例えば、シアニン(ポリメチン)系、キノン系、アゾ系、インジゴ系、ポリエン系、スピロ系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、シアニン系等の色素が挙げられるがこれに限られるものではない。また、プラズマディスプレイにおける、ネオン等からでる波長580〜610nmのオレンジ光をカットする目的であれば、シアニン系、ポルフィリン系、ピロメテン系などの色素を用いることができる。
色補正層を形成する際に用いられる塗工法としては、公知の方法の何れの方法をも用いることができ、具体的には、例えばロッド、ワイヤーバーを用いた方法や、マイクログラビア、グラビア、ダイ、カーテン、リップ、スロットなどの各種コーティング方法やカレンダー法、キャスト法などである。
なお、色補正用色素を前記ハードコート層、防眩層、帯電防止層などの層の何れかに混入して、これらの層が各々有する機能に加え色補正機能を有する層としても構わない。また、色補正層には更に近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などを混入させても良い。
本発明ではニュートラルグレーのNDフィルター機能を有する層(NDフィルター層)を設けても良い。NDフィルター層は、透過率が一般に40〜80%になるような層であれば何でも良く、公知の材料および公知の手法を用いて形成できる。プラズマディスプレイ、CRT、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイのような蛍光体を用いる表示装置では、塗布した蛍光体に電子線や紫外線を照射して蛍光体を発光させ、蛍光面を透過あるいは反射した光により表示を行う。蛍光体は一般に白色で反射率が高いため、蛍光面での外部光の反射が多い。そのため、外部光の写り込みによる表示コントラストの低下が、蛍光体を用いる表示装置において問題になるが、NDフィルター層を設けることで低減できる。
また、機能層として、放熱機能、耐衝撃機能、飛散防止機能等を有する層を積層することもできる。
機能層を有する転写用支持体の例を挙げると、例えば次のような層構成を有するものが挙げられる。
「1」支持体/ハードコート/反射防止層
「2」支持体/防眩性または帯電防止性ハードコート/反射防止層
「3」支持体/ハードコート/防汚性反射防止層
「4」紫外線吸収性支持体/防眩性または帯電防止性ハードコート/反射防止層
「5」紫外線吸収性支持体/ハードコート/防汚性反射防止層
「6」紫外線吸収性支持体/防眩性または帯電防止性ハードコート/防汚性反射防止層
「7」近赤外線吸収層/支持体/ハードコート/反射防止層
「8」近赤外線吸収層/支持体/防眩性または帯電防止性ハードコート/反射防止層
「9」近赤外線吸収層/支持体/ハードコート/防汚性反射防止層
「10」近赤外線吸収層/紫外線吸収性支持体/防眩性または帯電防止性ハードコート/反射防止層
「11」近赤外線吸収層/紫外線吸収性支持体/ハードコート/防汚性反射防止層
「12」近赤外線吸収層/紫外線吸収性支持体/防眩性または帯電防止性ハードコート/防汚性反射防止層
前記「1」〜「6」の構成であれば、支持体に、例えば近赤外線吸収剤を含む第2の接着または粘着剤を介し、電磁波遮蔽材を転写することにより、近赤外線吸収層を設けることなく、近赤外線吸収機能をも有する本発明の電磁波遮蔽積層体を形成することができる。
また前記「7」〜「12」の構成であれば、近赤外線吸収層に接着または粘着剤を介することにより、電磁波遮蔽材を転写することにより、本発明の電磁波遮蔽積層体とすることができる。
なお、ここで挙げた構成例は転写用支持体の一例を示したにすぎず、転写用支持体の層構成がこれ以外のものであっても勿論構わない。しかし、本発明では、第2の接着または粘着層の機能の有無に関係なく、第2の接着または粘着層を介して電磁波遮蔽材が転写用支持体に転写されていればよい。
本発明の積層体は、転写用支持体に幾何学形状の電磁波遮蔽材を転写した後、必要に応じ、電磁波遮蔽材を第2の接着または粘着剤などの接着または粘着剤中に更に埋め込むことにより形成される。電磁波遮蔽材を第2の接着または粘着剤中に更に埋め込む方法としては、例えば、(1)電磁波遮蔽材上にセパレータを積層し、加圧または加熱、加圧する方法、(2)第3の接着または粘着剤層を有するセパレータの接着または粘着剤層面を電磁波遮蔽材上に重ね、加圧または加熱、加圧する方法が挙げられる。前記(1)および(2)の方法においては、加圧または加熱、加圧することにより接着または粘着剤を流動化され、電磁波遮蔽材の開口部(金属メッシュ開口部)に流入して、接着または粘着剤により開口部が埋められる。このとき、接着または粘着剤層の膜厚や加熱、加圧条件を適宜に設定することにより、電磁波遮蔽材が接着または粘着剤で完全に覆われるようにすることもできるし、電磁波遮蔽材の少なくとも一部が接着または粘着剤から露出するように形成することもできる。また、第2の接着または粘着剤を吸引、あるいは第2の接着または粘着剤を膨張させることにより、第2の接着または粘着剤で覆われることも好ましい。なお、(3)新たな接着または粘着剤を電磁波遮蔽材上に塗布する方法により、電磁波遮蔽材開口部を接着または粘着剤で埋めることもできる。塗布される接着または粘着剤は、第2の接着または粘着剤以外の接着または粘着剤であってもよい。このとき、塗布する接着剤または粘着剤の量を調整することにより、電磁波遮蔽材の一部が接着または粘着剤から露出するようにしてもよいし、電磁波遮蔽材の全面が接着または粘着剤で覆われるようにしてもよい。電磁波遮蔽材の少なくとも開口部が接着または粘着剤で覆われることで、積層体は接着剤または粘着剤を介して、ディスプレイパネルやディスプレイ関連部材へ直接貼付することができる
図1、図2、図3に、本発明の積層体の一例を示す。
図1の積層体は、転写用支持体1の一方の面には、ハードコート層4および反射防止層5が設けられ、他方の面には近赤外線吸収層6が設けられ、この近赤外線吸収層6上に第2の接着または粘着剤層3に、電磁波遮蔽材2が一部埋め込まれた状態で電磁波遮蔽層が形成されたものである。
一方、図2の積層体は、図1と同様、転写用支持体1の一方の面にハードコート層4および反射防止層5が設けられ、他方の面には、電磁波遮蔽材2が第2の接着または粘着剤層3に一部埋め込まれ、電磁波遮蔽層が形成されたものである。
また、図3の積層体は、電磁波遮蔽材2の開口部が全て接着または粘着剤3により埋められていることを除き、図1と同様の構成を有するもので、プラズマディスプレイのパネル9に貼り付けるため、電磁波遮蔽積層体の電磁波遮蔽材上に色補正剤を含む接着または粘着剤層8が設けられたものである。
本発明で得られた電磁波遮蔽積層体はディスプレイの前面、特にプラズマディスプレイパネルの前面板として好適に用いることができる。プラズマディスプレイパネルの前面板として用いる場合、電磁波遮蔽材側をプラズマディスプレイパネルに直接貼り付ける、あるいはパネルの前面に配される透明基材に貼り付けることが好ましい。その際、接着または粘着剤を用いて貼り合わせても良いが、前記電磁波遮蔽材を第2の接着または粘着剤に埋め込んでいる場合は、この第2の接着または粘着剤により電磁波遮蔽積層体を貼り合わせることができ、新たな粘着または接着剤層を設ける必要がないことから好ましい。
また、得られた電磁波遮蔽積層体に接着または粘着剤を設け、プラズマディスプレイに直接貼り付ける場合において、接着または粘着剤に添加剤を加えても良い。添加剤としては、近赤外線吸収機能、色補正機能、紫外線吸収機能などの機能を有する材料が挙げられる。例えば、前記「1」〜「12」の構成の電磁波遮蔽積層体を用いる場合は、色補正剤を含む接着または粘着剤を用いてプラズマディスプレイに直接貼り付けることができる。図3にその一例を示す。
なお、電磁波遮蔽材は、導通部を通し、アースすることが好ましい。例えば、ディスプレイの大きさに応じた電磁波シールドメッシュを作成し、その周縁部は電磁波遮蔽材に物理強度を与えるために額縁状にする。または全面に電磁波遮蔽材を形成したのち、アーステープ類を貼付し、ワイヤーボンディング、ホチキスのような貫通法等のように物理的にアースを形成して導通をとり、電磁波遮蔽性を確実にすることが好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、Haze値および可視光透過率は次の方法で測定された。
(Haze値)
ヘイズメータNHD2000(日本電色工業製)により測定した。
(可視光透過率)
分光光度計(日本分光製「V−570」)を使用して、400nm〜700nmの範囲で透過率の平均値を測定した。