JP4845274B2 - 配線基板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージや混成集積回路基板等に用いられる配線基板に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、多層プリント配線板は、有機樹脂を含む絶縁基板表面に銅箔を接着した後、これをエッチングして微細な配線回路層を形成し、しかるのちにこの基板を積層して製造される。また、この多層配線基板の表面には、電子部品などを搭載する際に半田などによって実装するが、基板表面における半田流れを防止するためにソルダーレジスト層を形成する。
【0003】
このようなソルダーレジスト層は、通常、加工性の良い光硬化型ソルダーレジスト層を用い、基板表面全面にレジストを塗布し、露光、現像することによって形成される。
【0004】
また、近時、半導体素子は高速駆動が行なわれるようになってきており、これに伴い半導体素子を駆動するための駆動パルスもその周波数が高く、かつパルスの立ち上がり時間が極めて短いものとなってきているため、半導体素子の電源や信号には駆動パルスよりも高次の高調波ノイズが発生し易いものとなってきている。
【0005】
このような高次の高調波ノイズは、半導体素子が搭載された配線基板の配線回路層を通じてこの配線基板が接続される外部電気回路基板に伝搬され、他の半導体装置に悪影響を及ぼすことがある。また、他の半導体装置がら発生した高調波ノイズが配線回路層を通じて配線基板に搭載される半導体素子に伝搬され、半導体素子に誤動作を生じさせる。
【0006】
一方、半導体素子の高速駆動に対応するために配線基板の絶縁基板の材質には損失(tanδ)の小さい材料が求められており、上記の無機質粉末を熱硬化性樹脂で結合して成る絶縁基板と金属粉末を熱硬化性樹脂で結合して成る配線回路層とから成る配線基板に対しても同様の要求があるが、その反面、絶縁基板の材質の損失(tanδ)が小さくなると、その絶縁基板内あるいは表面に被着形成された配線回路層からの不要輻射が大きくなって上記の高調波ノイズが発生し易くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光硬化型樹脂を用いたソルダーレジスト層加工法は、レジスト塗布、露光、現像などの工程が多く、時間やコストに大きく影響する。さらに、光硬化であるため絶縁基板との密着性や硬化特性が悪く信頼性に問題がある。また、ソルダーレジスト層として、熱硬化型樹脂を用いることも提案されているが、印刷性が悪く、微細な配線の場合に対応できないという問題がある。
【0008】
一方、上記のノイズ対策としては、配線基板の内部や表面に、電磁シールド層を形成することも行われているが、通常の配線基板作製工程に加え、電磁シールド層を形成する工程が付加されるものであり、工程数が増え、コストが高くなるなどの問題があった。また、絶縁層中に強磁性体を含有せしめることも提案されているが、絶縁基板の特性が変化し本来の絶縁基板の特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0009】
従って、本発明は、かかる従来の欠点に鑑み案出されたものであり、その目的は、ソルダーレジスト層の加工性、密着性および硬化特性を改善するとともに、配線回路層からの不要輻射を抑制し、高調波ノイズを有効に除去して、外部電気回路基板に対してノイズを放出しにくいとともに搭載される半導体素子を正常かつ安定に高速駆動させることが可能な配線基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ソルダーレジスト層を配線基板における絶縁層中に含まれる熱硬化性樹脂と同一の樹脂を含み、且つ無機質粉末と強磁性体粉末との複合体によって形成することによって、ソルダーレジスト層の加工性、密着性および硬化特性を改善するとともに、ソルダーレジスト層にノイズ除去機能を具備させることによって、ノイズの放出を抑制し、また外部からのノイズの影響を抑制できることを見いだした。
【0011】
即ち、本発明の配線基板は、第1の熱硬化性樹脂および第1の無機質粉末を含有する複数の絶縁層を積層してなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面および内部に配線された配線回路層と、該配線回路層間を電気的に接続するためのビアホール導体とを具備する配線基板において、該配線基板の表面に、第2の熱硬化性樹脂、第2の無機質粉末および該第2の無機質粉末の粒径の1/2以下の粒径を有する強磁性体粉末を含むソルダーレジスト層が形成されており、
前記第1の無機質粉末および前記第2の無機質粉が同一の無機質からなり、且つ前記第1の無機質粉末の平均粒径が前記第2の無機質粉末の平均粒径よりも大きいことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の配線基板の製造方法は、第1の熱硬化性樹脂および第1の無機質粉末を含有する未硬化状態の絶縁シートにビアホール導体および配線回路層を形成してなる複数の配線シートを積層して第1の積層物を作製した後、該第1の積層物の表面に、第2の熱硬化性樹脂、第2の無機質粉末および該第2の無機質粉末の粒径の1/2以下の粒径を有する強磁性体粉末を含む絶縁体からなり、且つ孔開け加工された未硬化のレジストシートを積層して第2の積層物を作製し、該第2の積層物を一括して硬化する配線基板の製造方法であって、
前記第1の無機質粉末および前記第2の無機質粉が同一の無機質からなり、且つ前記第1の無機質粉末の平均粒径が前記第2の無機質粉末の平均粒径よりも大きいことを特徴とするものである。
【0013】
なお、前記ソルダーレジスト層における組成は、前記第2の熱硬化性樹脂を20乃至80重量%と、前記第2の無機質粉末および前記強磁性体粉末を合計で20乃至80重量%との割合で含むのが適当である。
【0014】
なお、上記の配線基板およびその製造方法においては、前記強磁性体粉末が前記第2の無機質粉末との合計量に対して30乃至60重量%の割合で含有されていることと、前記ソルダーレジスト層が5〜100μmの厚みで形成されていることとが、ソルダーの流れを防止するとともに、ノイズ除去効果を発揮する上で望ましい。
【0015】
また、前記ソルダーレジスト層中の前記第2の熱硬化性樹脂が、前記絶縁層中の前記第1の熱硬化性樹脂と同一であることがソルダーレジスト層の密着性を高める上で好適である。
【0016】
本発明によれば、ソルダーレジスト層中の有機樹脂として、熱硬化性樹脂を用いるため、従来の光硬化性樹脂と比較してガラス転移温度が高く設定出来、無機質粉末を添加することにより、熱膨脹係数を絶縁基板に容易に整合させることができるとともに、弾性率、耐水性、耐湿性も改善できる。特に、絶縁層と同じ樹脂を用いることによって密着性も向上する。
【0017】
また、印刷方式によってソルダーレジスト層を形成する場合、印刷性、解像度が問題となるが、本発明の製造方法では、予めレジストシートを作製し、このシートに予め用意して穴開け加工等を行い、積層体に位置決めして積層した後、一括して熱硬化処理を行うことによって、印刷を行うことがないために、印刷性や印刷による解像度などの問題を解消できる。しかも、レジストシート中には無機質粉末を含むことから、加工性が良好で、パンチング等の穴開け加工が簡単に行うことができ、レーザー加工によっても任意の形状の穴開け加工が可能となる。
【0018】
また、本発明の配線基板によれば、絶縁基板を無機質粉末および強磁性体粉末を熱硬化性樹脂により結合したものとしたことから、強磁性体粉末により配線回路層からの不要輻射を吸収して高調波ノイズを有効に除去することができ、外部電気回路基板に対するノイズの放出や外部電気回路基板からのノイズの伝搬を抑制することが可能であるとともに、無機質粉末により絶縁基板の誘電率を所望の小さい値に設定することができて搭載される半導体素子を正常かつ安定に高速駆動させることが可能な配線基板となる。
【0019】
また本発明の配線基板の製造方法によれば、無機質粉末および強磁性体粉末と熱硬化性樹脂前駆体とを混合して成る前駆体シートを用いて上記構成の配線基板を製造することにより、搭載される半導体素子を正常かつ安定に高速駆動させることが可能な、優れた電気特性を有する配線基板を提供できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付の図面に基づき、詳細に説明する。
図1は、本発明の配線基板の一例を説明するための概略断面図であって、1は絶縁基板、2は配線回路層、3はビアホール導体、4はソルダーレジスト層である。
【0021】
本発明の配線基板によれば、絶縁層1a、1b、1cを積層することによって絶縁基板1が形成されており、その各絶縁層1a、1b、1cには、配線回路層2が形成されている。また絶縁層1a,1b、1cには、異なる層に形成された少なくと2つの配線回路層2を電気的に接続するために、貫通孔に導体成分を充填して形成されたビアホール導体3が形成されており、多層化された回路を形成している。また、この配線基板の表面には、ソルダーレジスト層4が設けられており、ソルダーレジスト層4より露出している配線回路層2には、半田などによって種々の電子部品などが実装される。
【0022】
本発明における絶縁基板1は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミドアミド樹脂の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。また、この絶縁基板1には、酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ゼオライトの群から選ばれる少なくとも1種の無機質粉末、および/またはガラス繊維、アラミド繊維等の織布、不織布の群から選ばれる少なくとも1種のフィラー成分を含むことが望ましい。
【0023】
これらのフィラー成分の熱硬化性樹脂中への分散によって、絶縁基板1の強度を高めることができるために、配線基板同士の衝突による欠けや割れ、クラック等の発生を防止することができる。
【0024】
また、前記絶縁基板1中に含有されるフィラー成分は、その含有量が20重量%未満であると、フィラー成分の上記効果が充分に発揮されず、また絶縁基板1の熱膨張係数が大きくなる傾向にあり、また80重量%を越えるとフィラー成分を熱硬化性樹脂で強固に結合することが困難となる傾向にある。従って、前記絶縁基板1に含有されるフィラー成分の含有量は、20〜80重量%、特に45〜65重量%の範囲が好ましい。
【0025】
また、配線回路層2は、銅、銀、金の群から選ばれる少なくとも1種の金属から形成されており、この配線回路層2は、これらの金属粉末にエポキシ樹脂等の有機樹脂を混合した導体ペーストを印刷したもの、または金属箔によって形成することができる。また、ビアホール導体3も、上記と同じ金属を充填したものであって、このビアホール導体3は、上記の導体ペーストを充填して形成される。
【0026】
尚、前記導体ペーストにおける金属粉末は、その含有量が70重量%未満では配線回路層2やビアホール導体3の導電性が悪くなる傾向にあり、また95重量%を越えると金属粉末を有機樹脂で強固に結合することが困難となる傾向にある。従って、前記配線回路層2やビアホール導体3を形成するペースト中の金属粉末の含有量は70乃至95重量%の範囲が好ましい。
【0027】
また、配線回路層2は、その露出する表面に、Ni、Auの群から選ばれる少なくとも1種の耐食性に優れ、且つ良導電性の金属をメッキ法により1.0乃至20μmの厚みに被着させておくと、配線回路層2の酸化腐食を有効に防止することができる。従って、通常、配線回路層2の露出する表面には、上記金属をによるメッキ層を1.0〜20μmの厚みで形成することが望ましい。
【0028】
本発明におけるソルダーレジスト層4は、熱硬化性樹脂、無機質粉末および強磁性体粉末を含むことが重要である。無機質粉末としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、酸化チタン、ゼオライトの群から選ばれる少なくとも1種が選択される。
【0029】
また強磁性体粉末としては、フェロ磁性体である鉄、ニッケル、コバルト、酸化クロムもしくはこれらの合金等の粉末、あるいはフェリ磁性体であるMn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライト、Mg−Mnフェライト、Ni−Cuフェライト等の各種のフェライト(MOFe2O3:Mは2価金属イオン)の群から選ばれる少なくとも1種の粉末が挙げられる。
【0030】
さらに、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0031】
なお、このソルダーレジスト層4中において、無機質粉末および強磁性体粉末の合計の含有量が20重量%未満であると、本発明の配線基板表面に半導体素子を実装した場合、シリコンやGaAsなどの半導体素子との熱膨張差が大きくなるために、半導体素子の作動時に発生した熱によって、ソルダーレジスト層4が絶縁基板1から剥離したり、半導体素子との実装部に応力が発生し実装不良などを招く。また、上記含有量が80重量%を超えると、無機質粉末および強磁性体粉末を熱硬化性樹脂で強固に結合することが困難となり、ソルダーレジスト層4を安定に形成することができない。
【0032】
従って、ソルダーレジスト層4における無機質粉末および強磁性体粉末の含有量は20〜80重量%、特に45〜65重量%であることが必要である。また、無機質粉末と強磁性体粉末との合計量に対する強磁性体粉末の量は、強磁性体粉末の含有量が30重量%未満となると配線回路層2からの不要輻射を吸収して高調波ノイズを有効に除去する効果が小さく、60重量%を超えると、磁性体粉末と樹脂との結合が弱いために、ソルダーレジスト層4を形成するための未硬化のシートの強度が低くなり、製造上の取扱いが困難となる場合がある。従って、強磁性体粉末の含有量は、無機質粉末と強磁性体粉末との合計量に対して30〜60重量%、特に35〜50重量%の範囲とすることが望ましい。
【0033】
なお、ソルダーレジスト層4中の無機質粉末の粒径としては、0.1μm未満では無機質粉末の比表面積が大きくなることから、レジストシートを形成する際に粘度が高くなり、シート体を安定して形成することが困難となる傾向がある。他方、20μmを超えるとレジストシートの表面粗さが粗くなるため、金属ペーストの印刷等によりその表面に均一な配線回路層を形成することが困難となる傾向がある。従って、無機質粉末の粒径は、0.1〜20μmの範囲とすることが好ましい。
【0034】
また、強磁性体粉末の粒径が、0.05μm未満では強磁性体粉末の比表面積が大きくなることから、所定の量を充填するとレジストシートを形成する際に粘度が高くなりシート体を安定して形成することが困難となる傾向がある。他方、10μmを超えるとレジストシートの表面粗さが粗くなるため、金属ペーストの印刷等によりその表面に均一な配線回路層を形成することが困難となる傾向がある。従って、強磁性体粉末の粒径は、0.05〜10μmの範囲とすることが好ましい。
【0035】
さらに、強磁性体粉末の粒径と無機質粉末の粒径ならびに形状との関係については、強磁性体粉末を均一に分散させることにより強磁性体粉末の効果をより効率的に発揮させることとなることから、強磁性体粉末の粒径は無機質粉末の粒径の1/2以下とし、さらに強磁性体粉末の形状はアスペクト比が2以下の球状もしくは多面体状であることが好ましい。
【0036】
本発明によれば、上記のようにソルダーレジスト層4が所定量の強磁性体粉末を有しているので、強磁性体粉末が不要輻射を熱エネルギーに変換吸収し、また高透磁率を有するため損失(tanδ)が大きくなって高調波ノイズに対して高インピーダンスとなる。従って、配線回路層2を伝搬する入出力信号から不要輻射が生じたり、あるいは配線基板に搭載される半導体素子より高調波ノイズを含んだ出力信号が配線回路層2を介して外部電気回路基板に伝搬されようとしたり、外部電気回路基板より高調波ノイズを含んだ入力信号が配線回路層2を介して半導体素子に伝搬されようとしても、不要輻射や入出力信号に含まれる高調波ノイズは強磁性体粉末により吸収除去されることとなり、その結果、不要輻射がノイズとして発生したり、高調波ノイズが半導体素子より外部電気回路基板に、あるいは外部電気回路基板より半導体素子に伝搬されることがなくなる。かかる効果を充分に発揮する上で、ソルダーレジスト層の厚みは5μm以上、特に20μm以上が適当である。なお、ノイズ除去の点では、上限を定めるものではないが、厚すぎると、配線回路層2に施される半田量が大量に必要となり望ましくなく、100μm以下が適当である。
【0037】
次に、上述の本発明の配線基板の製造方法について図2に基づいて説明する。
【0038】
先ず、図2(a)に示すように繊維または無機質粉末と熱硬化性樹脂との複合体からなる未硬化の絶縁シート11a〜11cを準備する。なお、この未硬化とは、硬化処理を行っていない、または半硬化状態を意味する。なお、この絶縁シート中には、例えば、フィラーとして、酸化珪素粉末やチタン酸カリウムウイスカーなどと、これを結合するビスフェノールA型エボキシ樹脂などの熱硬化性樹脂と、イミダゾール系硬化剤等の硬化剤等を含む。
【0039】
この絶縁シート11a〜11cは、いずれも上記混合物をペースト化し、ドクターブレード法などのシート成形法によってシート状に成形することによって作製される。また、シート化後に、約25〜100℃の温度で1〜60分間加熱し半硬化させてシートを取り扱いを容易にすることもできる。
【0040】
次に図2(b)に示すように、上記の各絶縁シート11a〜11cの所定箇所にそれぞれ周知のパンチング法、レーザー法を用いて貫通孔を形成し、その貫通孔に、金属粉末および有機樹脂を含む導体ペーストを充填してビアホール導体12を形成する。
【0041】
その後、図2(c)に示すように、ビアホール導体12を形成した絶縁シート11a〜11cの各表面に、配線回路層13を形成する。この配線回路層13は、ビアホール導体12に充填したのと同様な導体ペーストを用いてスクリーン印刷によって所定の回路状に形成することができる。この導体ペーストを用いて印刷によって形成する場合には、上記のビアホール導体12の形成と配線回路層13との形成を同時に行うことができる。なお、導体ペーストによってビアホール導体や配線回路層形成後に、約25〜100℃の温度で1〜60分間加熱し半硬化させることが望ましい。
【0042】
また、配線回路層13は、金属箔によって形成することもできる。金属箔によって形成する場合には、絶縁シート11a〜11c表面に金属箔を接着した後、エッチング処理して回路状に形成するか、または所定の転写フィルム上で金属箔を用いて回路状に形成した後に、絶縁シート表面に転写して形成することもできる。この転写法によれば、絶縁シートの形成と配線回路層の形成を平行して行うことができる点で有効である。
【0043】
尚、ビアホール導体12や配線回路層13となる金属ペーストは、例えば平均粒径が0.1〜20μmのCuなどの金属粉末に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等の硬化剤等を添加混合することによって製作される。また、この導体ペースト中には、錫−鉛半田等から成る低融点金属粉末を配合させ、硬化処理時に低融点金属粉末を溶融させ、この溶融した低融点金属により金属粉末を結合することによって配線回路層やビアホール導体の低抵抗化を図ることができる。
【0044】
一方、平均粒径が0.1〜20μmの無機質粉末と、平均粒径が0.05〜10μmの強磁性体粉末と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂の群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂およびアミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤の群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を混合して得たペーストをドクターブレード法等のシート成形法によってシート化して、厚さ5〜100μmのレジストシート14a、14bを作製する。そして、適宜、約25〜130℃の温度で半硬化させる。
【0045】
そして、このレジストシート14a、14bに対して、所定箇所にパンチング法、レーザー法を用いて貫通孔15を形成する。
【0046】
そして、図2(d)に示すように、ビアホール導体12、配線回路層13が形成された絶縁シート11a〜11cを積層するとともに、その積層体の上下面に、レジストシート14a、14bを積層した後、これを各シート中に含まれる熱硬化性樹脂が完全に硬化する温度、例えば200〜300℃の温度で、約10秒〜24時間加熱して、それらを完全に硬化することによって本発明の配線基板を作製することができる。
【0047】
上記図2の例では、3枚の絶縁シート11a〜11cを積層することによって配線基板を製作したが、絶縁シートの層数は、4枚以上でも、また1枚であってもよい。
【0048】
【実施例】
熱硬化性樹脂として熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂およびトリアリルイソシアヌレートの混合樹脂を35重量%、平均粒径が5μmの球状溶融SiO265重量%との混合物に対して、溶媒としてトルエンを加え、さらに有機樹脂の硬化を促進させるための触媒を添加混合した後、スラリーをドクターブレード法により厚さ200μmの絶縁シートを作製した。そしてこの絶縁シートに対して、炭酸ガスレーザーで直径100μmのビアホールを形成し、そのホール内に銀をメッキした銅粉末とバインダーとしてエポキシ樹脂を含む導体ペーストを充填してビアホール導体を形成した。
【0049】
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)の樹脂フィルム表面に、表面粗さ(Ra)0.4μm、厚み12μmの電解銅箔をアクリル系の接着剤を介して接着した。そして、この銅箔の表面に感光性のレジストを塗布し、ガラスマスクを通して露光して回路パターンを形成した後、これを塩化第二鉄溶液中を噴霧して非パターン部を35μm/minの速度でエッチング除去して鏡像の配線回路層を形成した。
【0050】
そして、配線回路層が形成された樹脂フィルムをビアホール導体が形成された前記絶縁シートの表面に位置合わせして積層して、30kg/cm2の圧力で30秒加圧した後、樹脂フィルムと接着層のみを剥離して絶縁シートに配線回路層を転写させた。なお、絶縁シートに転写された配線回路層は、絶縁シートの表面に完全に埋設され、絶縁シート表面と配線回路層の表面とは同一平面となっていることを確認した。
【0051】
また、レジストシートとして、熱硬化型ポリフェニレンエーテルからなる熱硬化性樹脂を55重量%と、平均粒径が2μmの球状溶融SiO2粉末を25重量%と、平均粒径が1μmのMn−Znフェライトの強磁性体粉末を20重量%の比率で混合したものに、溶媒としてトルエンを加え、さらに有機樹脂の硬化を促進させるための触媒を添加混合してスラリーを形成した後、このスラリーを用いてドクターブレード法によりシート加工した結果、厚さ40μmの良好なレジストシートを作製できた。そしてこのレジストシートに対して、炭酸ガスレーザーで加工を行ったところ、良好な貫通孔を形成することができた。
【0052】
そして、前記と同様にして作製された配線回路層およびビアホール導体が形成された絶縁シート5層と、その最上面、最下面にレジストシートを積層して、これらを30kg/cm2の圧力で、200℃、2時間加熱処理して配線基板を作製した。
【0053】
なお、上記の絶縁シートおよびレジストシートを熱硬化後に25〜180℃の熱膨張係数を測定した結果、22×10-6/℃、25×10-6/℃と近似した特性を有していることを確認した。
【0054】
また、作製した配線基板に対して、−55〜125℃の温度サイクルを2000サイクル行い、配線基板の内層や、絶縁基板とソルダーレジスト層との界面を観察した結果、温度サイクル試験においても層間剥離のない信頼性の高い配線基板を作製することができた。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、ソルダーレジスト層を熱硬化性樹脂、無機質粉末および強磁性体粉末を含む絶縁体によって形成することによって、ソルダーレジスト層に、ノイズ除去機能を具備することから、配線基板内の配線回路層からの外部への不要輻射を抑制し、高調波ノイズの有効に除去して、外部電気回路基板に対してノイズを放出しにくくすることができる。また、このソルダーレジスト層中に強磁性体粉末とともに無機質粉末を含有せしめることによって、ソルダーレジスト層の熱膨張係数を任意の値に調整することができ、配線基板の熱膨張特性に整合させることができ、ノイズ除去性を具備するソルダーレジスト層の配線基板との密着信頼性を高めることができる。
【0056】
また、このソルダーレジスト層は、熱硬化性樹脂、無機質粉末および強磁性体粉末を含むレジストシートを積層して、配線基板の硬化とと同時に一括して硬化することによって、レジスト層の配線基板表面への形成や容易であり、加工も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の図1の配線基板の製造方法を説明するための工程毎の断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 配線回路層
3 ビアホール導体
4 ソルダーレジスト層
Claims (10)
- 第1の熱硬化性樹脂および第1の無機質粉末を含有する複数の絶縁層を積層してなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面および内部に配線された配線回路層と、該配線回路層間を電気的に接続するためのビアホール導体とを具備する配線基板において、該配線基板の表面に、第2の熱硬化性樹脂、第2の無機質粉末および該第2の無機質粉末の粒径の1/2以下の粒径を有する強磁性体粉末を含むソルダーレジスト層が形成されており、
前記第1の無機質粉末および前記第2の無機質粉が同一の無機質からなり、且つ前記第1の無機質粉末の平均粒径が前記第2の無機質粉末の平均粒径よりも大きいことを特徴とする配線基板。 - 前記ソルダーレジスト層が、前記第2の熱硬化性樹脂を20乃至80重量%と、前記第2の無機質粉末および前記強磁性体粉末を合計で20乃至80重量%との割合で含む請求項1記載の配線基板。
- 前記強磁性体粉末を前記第2の無機質粉末との合計量に対して30乃至60重量%の割合で含有すること特徴とする請求項2記載の配線基板。
- 前記ソルダーレジスト層が、5〜100μmの厚みで形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の配線基板。
- 前記ソルダーレジスト層中の前記第2の熱硬化性樹脂が、前記絶縁層中の前記第1の熱硬化性樹脂と同一であることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の配線基板。
- 第1の熱硬化性樹脂および第1の無機質粉末を含有する未硬化の絶縁シートにビアホール導体および配線回路層を形成してなる複数の配線シートを積層して第1の積層物を作製した後、該第1の積層物の表面に、第2の熱硬化性樹脂、第2の無機質粉末および該第2の無機質粉末の粒径の1/2以下の粒径を有する強磁性体粉末を含む絶縁体からなり、且つ孔開け加工された未硬化のレジストシートを積層して第2の積層物を作製し、該第2の積層物を一括して硬化する配線基板の製造方法であって、
前記第1の無機質粉末および前記第2の無機質粉が同一の無機質からなり、且つ前記第1の無機質粉末の平均粒径が前記第2の無機質粉末の平均粒径よりも大きいことを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記レジストシートが、前記第2の熱硬化性樹脂を20乃至80重量%と、前記第2の無機質粉末および前記強磁性体粉末を合計で20乃至80重量%との割合で含むことを特徴とする請求項6記載の配線基板の製造方法。
- 前記強磁性体粉末を前記第2の無機質粉末との合計量に対して30乃至60重量%の割合で含有すること特徴とする請求項7記載の配線基板の製造方法。
- 前記レジストシートの厚みが5〜100μmであることを特徴とする請求項6乃至請求項8記載の配線基板の製造方法。
- 前記レジストシート中の前記第2の熱硬化性樹脂が、前記絶縁シート中の前記第1の熱硬化性樹脂と同一であることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか記載の配線基板の製造方法。
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