JP4839449B2 - 電気泳動用バッファ及び電気泳動法 - Google Patents

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Description

この発明は、電気泳動に用いる電気泳動用バッファ、及びこの電気泳動用バッファを用いた電気泳動法に関する。
近年、ガンや各種疾病の早期発見の重要性が改めて指摘されており、被験者から採取した微量の血液からDNAや発現タンパク質などを調べる手法に注目が集まっている。
この手法の一つとして、マイクロチップ電気泳動法が挙げられる。マイクロチップ電気泳動法では、マイクロメートルオーダの流路(チャネル)が形成された、手のひらサイズの樹脂板(マイクロチップ)を用いる。マイクロチップ電気泳動法では、ゲルなどを含んだ電気泳動用バッファをチャネルに充填し、チャネルの両端に電圧を印加することにより、試料を電気泳動させる。
しかしながら、疾病の初期段階で発現するタンパク質などは、極微量であるために、従来型のマイクロチップ電気泳動では十分な検出感度を確保できないという問題点が存在した。
この問題点を解決するために、幾つかの新しい方法が提案されている。
第1は、チャネルに導入する試料の量を増加させる方法である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された方法では、以下に列記する手法を用いることにより、迅速かつ高い分解能でタンパク質などの高分子化合物の検出を行うことができる。
(a)β−グルカン又はメチルセルロースを含む電気泳動用バッファを用いる。
(b)チャネルに試料を導入する際に加圧を行う。
第2は、マイクロチップ自体を改良する方法である(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示された方法では、マイクロチップのチャネルを、光散乱機能を有する回折格子などで覆うことにより、試料から発する蛍光を増幅させる。これにより、従来法に比べて試料の検出感度を増加させることができる。
また、検出感度の増加には直接関係しないが、電気泳動用バッファに高分子化合物、金属、酸化物、半導体、セラミックス、クレイ又はシリカからなる微粒子を添加することにより、高速かつ高分離に試料の電気泳動分析を行う技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
国際公開第2002/97421号パンフレット 特開2005−172773号公報 特開2005−195562号公報
しかし、特許文献1及び2に開示された方法では、検出感度の増加は、最大でも従来技術の6倍程度に止まっており、より一層、試料の検出感度を高めることが求められていた。また、一般の被験者への適用を考えた場合に、検査にかかるコストをより低下させることが求められていた。また、特許文献3に開示された技術は、既に述べたように、検出感度を高めることを目的とはしていなかった。
この発明の発明者らは鋭意検討の結果、酸化亜鉛微粒子が単独で分散された電気泳動用バッファ、又は、酸化亜鉛微粒子と気泡とが分散された電気泳動用バッファを用いれば、試料の検出感度を増加させることが可能であることに想到した。更に、この電気泳動用バッファを用いて特定の手順で電気泳動を行えば、より一層、試料の検出感度を増加させることが可能であることに想到した。
従って、この発明の第1の目的は、従来よりも高感度であるにもかかわらず、コストの増加が最小限に止められた電気泳動用バッファを提供することである。
また、この発明の第2の目的は、この電気泳動用バッファを用いた、従来よりも非常に高感度な電気泳動法を提供することである。
上述した目的の達成を図るために、この発明の電気泳動用バッファは、下記の構成上の特徴を備えている。
すなわち、この発明の電気泳動用バッファは、ゲルを含んだ水溶液であって、水溶液中に酸化亜鉛微粒子を含むことを特徴とする。
酸化亜鉛微粒子(以下、「ZnO微粒子」とも称する。)を含む電気泳動用バッファを用いて電気泳動分析を行うことにより、試料の検出感度を増加させることができる。
また、上述の酸化亜鉛微粒子は、さまざまな方法で製造したものを使用できる。例えば、酸素ガスと窒素ガスとを含む混合ガスを雰囲気ガスとして、この雰囲気ガス中で亜鉛を加熱して蒸発させることで、酸化亜鉛微粒子を安価に製造することができる。このようにして製造された酸化亜鉛微粒子は、結晶性が優れているために、耐酸性が比較的強く、電気泳動用バッファ中で溶解しにくい。
また、酸化亜鉛微粒子は、その形態が円柱形であり、その長さが50〜250nmの範囲内にあり、更にその直径が50〜120nmの範囲内にあるものとするのが好ましい。
この場合、上述の長さ及び直径の範囲は、多数の酸化亜鉛微粒子の平均の長さ及び直径とする。つまり、酸化亜鉛微粒子は、上述の長さ及び直径の範囲内において、単一の長さ及び直径を有していてもよいし、平均長さ及び平均直径が上述の長さ及び直径の範囲内にあってもよい。
このように構成することにより、純度が高く、上述した寸法を有する酸化亜鉛微粒子を得ることができる。
また、酸化亜鉛微粒子は、棒状、粒状又は板状の形態をしていて、一辺が50〜1000nmの仮想的な立方体の内部に納まる大きさであることが好ましい。
この場合、仮想的な立方体における上述した一辺の長さの範囲は、多数の酸化亜鉛微粒子の平均の長さとする。つまり、酸化亜鉛微粒子は、上述の長さの範囲内において、単一の長さを有していてもよいし、平均長さが上述の長さの範囲内にあってもよい。
また、酸化亜鉛微粒子は、その形態が中心の核から4本以上の棒状結晶が放射状に延在する形状であり、棒状結晶の長さが50〜1000nmの範囲内にあるものとするのが好ましい。
この場合においても、棒状結晶の各々における上述した長さの範囲は、多数の棒状結晶の平均の長さとする。つまり、棒状結晶は、上述の長さの範囲内において、単一の長さを有していてもよいし、平均長さが上述の長さの範囲内にあってもよい。
また、酸化亜鉛微粒子として、上述した3種類の酸化亜鉛微粒子からなる群より選択された2種類以上の酸化亜鉛微粒子を混合したものを用いてもよい。
このような酸化亜鉛微粒子を、単独で又は2種類以上混合したものを電気泳動用バッファに分散させることにより、試料の検出感度を増加させることができる。
また、上述の電気泳動用バッファ中における酸化亜鉛微粒子の濃度を、好ましくは0.02〜100mg/mLの範囲内の値とするのがよい。
このように構成することにより、電気泳動分析時に試料の検出感度を従来よりも増加させることができる。
また、上述の電気泳動用バッファ中に、好ましくは酸化亜鉛微粒子が凝集して形成されたコロイド粒子が含まれるのがよい。
ここで「コロイド粒子」とは、粒径が1μm未満であって、電気泳動用バッファの中に分散している、酸化亜鉛微粒子の凝集体のことを示す。なお、このコロイド粒子は、溶媒である水や、後述する気泡を含んでいてもよい。
また、上述のコロイド粒子を含む場合、電気泳動用バッファ中における酸化亜鉛微粒子の濃度を、好ましくは50〜100mg/mLの範囲内の値とするのがよい。
このように構成することにより、電気泳動分析時に試料の検出感度を更に増加させることができる。
上述の電気泳動用バッファは、酸化亜鉛微粒子とともに、気泡を含むことが好ましい。
このように構成することによっても、電気泳動分析時に試料の検出感度を従来よりも増加させることができる。
この場合において、気泡の粒径が30μm未満であることが好ましい。
上述の電気泳動用バッファ中に含まれるゲルは、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなるセルロース誘導体群より選択された一種類のセルロース誘導体又は二種類以上を混合したセルロース誘導体からなり、かつ、ゲルの濃度を0.01〜3wt%の範囲内の値とすることが好ましい。
この場合において、ゲルの濃度が、0.7〜1wt%の範囲内の値であればより一層好ましい。
また、上述の電気泳動用バッファに、好ましくは、ゲルに加えて、バクテリアセルロース、又はバクテリアセルロース誘導体を材料とする微小網目構造体を添加するのがよい。
この発明の電気泳動法は、マイクロチップ上で上述の電気泳動用バッファを用いて試料を分離する方法であって、以下の工程を有することを特徴とする。
(1)まず、マイクロチップの導入チャネルと、この導入チャネルに交差する分離チャネルのそれぞれに電気泳動用バッファを充填する充填工程。
(2)導入チャネルに導入用電圧を印加して、導入チャネルに試料を導入する導入工程。
(3)分離チャネルに分離用電圧を断続的に印加して、試料を分離チャネルに導入する遅延期導入工程。
(4)分離チャネルに分離用電圧を印加して、試料を泳動させる本泳動工程。
このように遅延期導入工程において、分離チャネルに試料を複数回に分けて導入することにより、試料の検出感度を増加することができる。
上述の遅延期導入工程は、好ましくは、(a)分離チャネルに175〜300V/cmの範囲内の値の分離用電圧を、分離チャネルの単位長さ(1cm)当たり2〜2.5秒間内の期間だけ印加する第1サブ工程と、(b)第1サブ工程終了後、0.5〜1秒間内の期間の電圧未印加状態を経て、分離チャネルに分離用電圧を、分離チャネルの単位長さ(1cm)当たり4〜5秒間内の期間だけ印加する第2サブ工程とを含むことが好ましい。
このように構成することにより、試料の検出感度を従来よりも著しく増加させることができる。
導入工程で、導入チャネルに、30〜100V/cmの範囲内の値の導入用電圧を、導入チャネルの単位長さ(1mm)当たり6.5〜10.5秒間内の期間だけ印加することが好ましい。
また、本泳動工程で、分離チャネルに分離用電圧を、分離チャネルの単位長さ(1cm)当たり40〜50秒間内の期間だけ印加することが好ましい。
上述したこの発明の電気泳動用バッファの構成によれば、従来よりも試料の感度を高くすることができる電気泳動用バッファが得られる。また、従来の回折格子を用いる場合(特許文献2)よりも低コストの酸化亜鉛微粒子を用いているので、コストの増加が最小限に抑制された電気泳動用バッファが得られる。
また、上述したこの発明の電気泳動法の構成によれば、この電気泳動用バッファを用いた、従来よりも著しく高感度な電気泳動法が得られる。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示したものにすぎない。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。
(1)電気泳動に用いる装置の説明
まず、この発明の実施に適用して好適な電気泳動に用いる装置について説明する。ここで、電気泳動とは、溶液中で電位差により試料としての高分子化合物などを移動させ、試料のサイズの違いにより生じる泳動速度の差を利用して試料を分離する手法のことを意味する。電気泳動法には種々の手法があるが、この項では、この発明を適用して好適なマイクロチップ電気泳動への応用について主に説明する。
(1−1)マイクロチップ
図1を参照して、マイクロチップ電気泳動に用いられる一般的なマイクロチップについて説明する。図1は、マイクロチップの平面図である。
マイクロチップ10は、平面形状が略長方形状の透明な板状体である。マイクロチップ10の大きさは、設計に応じて適当な値を選択可能であるが、例えば、縦方向の長さを約10〜120mmの範囲内の値とし、及び横方向の長さを約10〜120mmの範囲内の値とし、及び厚みを約0.5〜5mmの範囲内の値とする。
マイクロチップ10の材料は、好ましくは、例えばポリメタクリレートとする。マイクロチップ10の材料は、ポリメタクリレートに限定されず、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレートなどから設計に応じて適宜選択することができる。
マイクロチップ10の表面側には、凹条としての導入チャネル12及び分離チャネル14が形成されている。導入チャネル12と分離チャネル14とは、交差部16において、直角に交差している。つまり、導入チャネル12及び分離チャネル14は、言わば十字架状の平面形状をなして交差している。
導入チャネル12の両端には、凹部としての試料リザーバ12a及びアウトレット12bがそれぞれ接続されている。また、分離チャネル14の両端には、凹部としてのバッファ注入口14a及びバッファ貯留孔14bが接続されている。
(1−2)導入チャネル
導入チャネル12は、マイクロチップ10の表面に形成された、均一な幅と深さとを有する溝である。この導入チャネル12は、分離チャネル14と交差する直線的な交差溝部分と、この溝部分の両端部分が、それぞれ逆方向に交差溝部分と直交する方向に屈曲して直線的に延在する端部の溝部分とを有している。
導入チャネル12には、電気泳動用バッファ(以下、単に「バッファ」と称することもある。)が充填される。なお、このバッファの詳細については後述する。導入チャネル12は、試料リザーバ12aに導入された試料を交差部16にまで移送させるために用いられる。
導入チャネル12の全長は、好ましくは、例えば約7mmとする。なお、導入チャネル12の全長は、電気泳動分析に必要十分な量の試料を交差部16にまで移送できる長さであれば、7mmには限定されない。導入チャネル12の全長は、2〜30mm、より好ましくは3〜10mmの範囲内から設計に応じた任意の値に設定可能である。
導入チャネル12の幅は、好ましくは、例えば約100μmとする。なお、導入チャネル12の幅は、100μmには限定されない。導入チャネル12の幅は、50〜100μm、より好ましくは80〜100μmの範囲内から設計に応じた任意の値に設定可能である。
また、導入チャネル12の深さは、好ましくは、例えば約30μmとする。なお、導入チャネル12の深さは、30μmには限定されない。導入チャネル12の深さは、10〜100μm、より好ましくは30〜50μmの範囲内から設計に応じた任意の値に設定可能である。
試料リザーバ12a及びアウトレット12bは、マイクロチップ10を円柱形に掘り込んだ凹部である。試料リザーバ12a及びアウトレット12bの直径は、好ましくは、例えば約3mmとする。なお、試料リザーバ12a及びアウトレット12bの直径は、試料の容量に応じて適宜変更することが可能である。一般的な容量の試料を扱う場合には、試料リザーバ12a及びアウトレット12bの直径は、試料導入の容易さを考慮すると、直径0.05mm以上、好ましくは直径1mm以上であり、及び、試料の容量を考慮すると、直径5mm以下、好ましくは直径3mm以下とするのがよい。
(1−3)分離チャネル
分離チャネル14は、マイクロチップ10の表面に形成された直線的に延在する溝であり、均一な幅と深さとを有している。分離チャネル14は、交差部16において導入チャネル12に直角に交差しており、導入チャネル12よりも全長が長く形成されている。分離チャネル14には、後述するバッファが充填される。分離チャネル14は、交差部16に存在する試料をバッファ貯留孔14bに向けて電気泳動させて、サイズごとに分離するために用いられる。
分離チャネル14の全長、すなわちバッファ注入孔14a及びバッファ貯留孔14b間の長さは、好ましくは、例えば約4.5cmとする。
ここで、試料が電気泳動される距離、すなわち交差部16からバッファ貯留孔14bまでの間の分離チャネル14の長さを「分離長」と称する。このとき、分離長の長さは、好ましくは、例えば約3cmとする。なお、分離長の長さは、何ら3cmに限定されるものではない。分離長は、1cm〜5cmの範囲内で設計に応じた任意好適な長さに設定することができる。ただし、試料の十分な分解能を得る観点から、分離長は1cm以上であることが好ましく、及び、高速分離の観点から5cm以下であることが好ましい。
分離チャネル14の幅及び深さは、既に説明した導入チャネル12と同様であるので、その詳細な説明は省略する。バッファ注入孔14a及びバッファ貯留孔14bは、マイクロチップ10を円柱形に掘り込んだ凹部である。バッファ注入口14a及びバッファ貯留孔14bの大きさは、既に説明した試料リザーバ12a及びアウトレット12bと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
(2)電気泳動用バッファの説明
続いて、この発明のバッファについて説明する。
バッファは、試料の電気泳動分離に先立ち、上述の導入チャネル12及び分離チャネル14に充填されるものである。
この発明のバッファは、電気泳動用バッファ母液(以下、単に「母液」とも称する。)に、後述する“ZnO微粒子”を分散するか、又は“ZnO微粒子及び気泡”を分散することで調製される。以下、バッファの構成要素ごとに説明を行う。
(2−1)電気泳動用バッファ母液
母液は、親水性のゲルを含んだ水溶液として調製される。
ここで、親水性ゲルの材料物質としては、電気泳動に一般的に用いられる物質を選択することができるが、特に、各種のセルロース誘導体が好適である。より具体的には、セルロース誘導体としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPMC)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースが好適である。なお、このゲルを構成する材料として、これらセルロース誘導体の内、一種類を用いてもよいし、又は、二種類以上を混合したものを用いてもよい。
これらの材料物質を溶解する水としては、超純水又は脱イオン水などを用いることができるが、特に超純水が好適である。なお、この水としては、これらの水の内、一種類を用いてもよいし、又は、二種類以上を混合したものを用いてもよい。
また、母液のpHは、電気泳動分離すべき試料の種類により適宜調整される。より具体的には、試料がタンパク質の場合には、母液のpHを2〜9の範囲内の任意好適な値、より好ましくは6.8〜8.6の範囲内の任意好適な値に調整する。また、試料がペプチドの場合には、母液のpHを2〜11の範囲内の任意好適な値、より好ましくは2.5〜3.1の範囲内の任意好適な値に調整する。更に、試料が核酸の場合には、母液のpHを6.8〜9.2の範囲内の任意好適な値、より好ましくは7.5〜8.5の範囲内の任意好適な値に調整する。ただし、ZnO微粒子は、強酸性下(およそpH3以下)で、バッファに溶解するおそれがある。そのため、試料としてペプチドを用いる際には、できるだけ中性(pH≒7)に近いpHのバッファを用いることが好ましい。
母液におけるゲルの濃度は、0.01〜3wt%の範囲内の任意好適な値とすることが好ましい。この濃度は、主に、分離すべき試料のサイズを勘案して決定される。後述する実施例ではゲル濃度で0.7〜1wt%とすることで良い結果が得られている。
下記表1に、ゲルとしてHPMCを用い、及び試料としてDNAを用いた場合の好適なゲル濃度と試料サイズとの関係を、ゲル網目のサイズとともに示す。
(2−2)ZnO微粒子
ZnO微粒子は、この発明のバッファの必須構成要件である。
ZnO微粒子としては、酸素ガスと窒素ガスとを含む混合ガスを雰囲気ガスとして、この雰囲気ガスの中で亜鉛を加熱して蒸発させることで製造されたものを用いている。
以下、図2を参照してZnO微粒子の製造方法について概説する。図2は、ZnO微粒子の製造装置の構成を概略的に示す模式図である。なお、ここで説明するZnO微粒子の製造方法については、特開2005−60145号公報に詳述されている。
製造装置20は、チャンバ22と、チャンバ22内に設けられたカーボン電極24と、導電性ハース26とを備えている。また、チャンバ22には、チャンバ22内を減圧するための真空排気系28、及びチャンバ22内に所定のガスを導入するためのガス導入系30が接続されている。
ZnO微粒子を製造するに当っては、チャンバ22内を減圧する。そして、チャンバ22内に、酸素ガスと窒素ガスとを含む混合ガス(ここでは、大気を用いている。)を20×10Paの圧力で導入する。
その後、導電性ハース26上に載置された原料であるZn(亜鉛)インゴット32(純度4N:99.99%)とカーボン電極24との間でアーク放電を発生させ、Znを連続的に蒸発させる。
蒸発したZnは、チャンバ22内の酸素と反応してZnO微粒子となり、チャンバ22の内壁面に堆積する。
このようにして製造されたZnO微粒子のTEM(Transmission Electron Microscope)写真(撮影倍率:1万倍)を、スケールとともに図3(A)に示す。なお、TEMとしては、JEM−4000EX(日本電子株式会社製)を用いた。
図3(A)によれば、ZnO微粒子の各々は、略円柱形の形態をしており、その長さが50〜250nmの範囲内であって、その直径が50〜120nmの範囲内にある。
詳しくは後述する実施例の項で説明するが、このようにして得られたZnO微粒子が分散したバッファを用いることにより、電気泳動分析時に試料の検出感度を増加させることができる。なお、特に断らない限り、以下の記載で「ZnO微粒子」とは、上述した略円柱形のZnO微粒子を指す。
また、ZnO微粒子の写真は添付しないが、上述の雰囲気ガス中で、例えばアーク放電の電流値などの製造条件を変更することにより、図3(A)とは異なった形状のZnO微粒子を得ることができる。このようにして得られたZnO微粒子は、棒状、粒状又は板状の形態をしていて、一辺が50〜1000nmの仮想的な立方体の内部に納まる大きさである。このような形状のZnO微粒子が分散したバッファを用いることでも、電気泳動分析時に試料の検出感度を増加させることができる。
なお、ZnO微粒子の製造に当って、窒素ガスの代わりにアルゴンガスを用いることにより、図3(A)とは異なった形態のZnO微粒子を得ることができる。
アルゴンガスを用いて得られたZnO微粒子のSEM(Scanning Electron Microscope)写真(撮影倍率:1万倍)を図3(B)に示す。
このようにして得られたZnO微粒子は、中心の核から4本以上の棒状結晶が放射状に延在する形態であり、棒状結晶の長さが50〜1000nmの範囲内にある。このZnO微粒子は、言わば各突起の長さが長い金平糖状の形態を有する。このような形状のZnO微粒子が分散したバッファを用いることでも、電気泳動分析時に試料の検出感度を増加させることができる。
これらの方法で製造されたZnO微粒子は、単独でバッファに分散させてもよいし、2種類以上を混合してバッファに分散させてもよい。このようにすることでも、電気泳動分析時に試料の検出感度を増加させることができる。
また、ZnO微粒子は、上述の方法で安価に製造できることから、バッファに添加したとしても、そのコスト増加を最小限に抑制することができる。
ZnO微粒子を母液に添加するには大きく分けて、以下に列記する2種類の方法がある。
(a)ZnO微粒子を分散させた分散液を母液に添加して攪拌する方法(以降、「希釈法」と称する)。
(b)ZnO微粒子を母液に直接添加して攪拌する(以降、「直接添加法」と称する)。
以下、(a)の「希釈法」について更に詳細に説明する。
ZnO微粒子を分散させる溶媒としては、水、Tris−Borate−EDTA(TBE)、イソプロピルアルコール(IPA)及びPhosphate−Buffered Saline(PBS)などを用いることができる。
これらの溶液に、下記表2に示した濃度以下の濃度となるようにZnO微粒子を添加して、分散機により分散させる。これによりZnO微粒子が液中で均一に分散した透明な分散液を得ることができる。この分散液は、透明(肉眼で白濁が確認されない)ことから、後述するコロイド粒子は生成していないものと推測される。なお、分散機としては、例えば、ボールミル回転装置AV−1(アサヒ理化製作所製)などの一般的な分散機を用いることができる。
下記表2に、上述の分散液において、ZnO微粒子が透明な状態で分散することができる限界濃度を、溶媒ごとに示す。
これらの分散液を、試料の電気泳動を阻害しない割合で母液と混合することにより、ZnO微粒子が添加された透明なバッファを得ることができる。
なお、「試料の電気泳動を阻害しない割合」とは、(a)分散液の添加の前後で試料の泳動速度に実質的に差がなく、かつ(b)試料と結合して蛍光を発する蛍光色素標識がゲル中で実用上十分な濃度に保たれる割合であることを意味する。この割合は、溶媒の種類により異なるが、水を溶媒とする分散液の場合には、母液:分散液=18〜22:1の範囲内の設計に応じた任意好適な体積比で混合することが好ましい。
次に、ZnO微粒子のバッファ中での濃度について説明する。
希釈法又は直接添加法の別にかかわらず、ZnO微粒子の濃度は、0.02〜100mg/mLの範囲内で設計に応じた任意好適な値とすることが好ましい。ZnO微粒子の濃度をこの範囲とすることにより、試料の検出感度が有意に増加する。
更に好適には、ZnO微粒子の濃度を50〜100mg/mLの範囲内の値とすることが好ましい。ZnO微粒子の濃度をこの範囲内の値とすることにより、バッファ中でZnO微粒子が凝集して、コロイド粒子が形成される。コロイド粒子の存在は、バッファが薄く白濁することにより確認できる。詳しくは後述する実施例で説明するが、バッファ中でコロイド粒子が形成される場合、試料の検出感度がより一層増加する。
(2−3)気泡
この発明の好適な実施例によれば、バッファは、ZnO微粒子とともに気泡を含むのがよい。以下、この気泡について説明する。
気泡は、バッファを攪拌することにより、バッファ中に分散される。より詳細には、ボルテックスミキサなどにより、バッファを震蕩して攪拌する。これにより、バッファ中に大気が巻き込まれ、すなわち取り込まれ、気泡が分散される。
気泡の粒径(直径)は、導入チャネル12及び分離チャネル14のサイズよりも小さいサイズとする。具体的には、導入チャネル12及び分離チャネル14の最小サイズが30μm(深さ)であるので、気泡の粒径は、この最小サイズ未満の大きさであることが好ましい。なお、気泡のサイズが30μm未満であることから、周知の通り気泡を肉眼で確認することはできない。
気泡の粒径をこの範囲とすることにより、導入チャネル12及び分離チャネル14で、気泡が目詰まりすることがない。その結果、両チャネル12及び14中において、試料をスムーズに泳動させることができる。また、電気的絶縁体である気泡の目詰まりが生じないことから、両チャネル12及び14に対して確実に所定の電圧を印加することができる。
詳しくは後述する実施例で説明するが、ZnO微粒子と気泡とを含むバッファを単独で用いて試料の電気泳動を行うことにより、約2倍の検出感度増加が見られた。
(2−4)バクテリアセルロース
バッファは、ZnO微粒子又はZnO微粒子+気泡の他に、バクテリアセルロース又はバクテリアセルロース誘導体を材料とする微小網目構造体を含んでいてもよい。ここで、バクテリアセルロースとは、セルロース生産菌によって生産されたセルロースのことを意味する。このバクテリアセルロースは、太さが10〜100nmの範囲内にある繊維がランダムに絡み合っている。その結果、バクテリアセルロースは、網目のサイズが0.1〜1μmの範囲内にある3次元の微小網目構造体を形成している。
バッファに、このようなバクテリアセルロースを添加することによって、試料の検出感度を増加させることができる。
(3)電気泳動法
続いて、この発明の電気泳動法について、遅延期導入法を中心に説明する。この発明の電気泳動法では、充填工程、導入工程、遅延期導入工程及び本泳動工程をこの順序で実施する。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。
(3−1)充填工程
電気泳動を行うに当っては、まず、マイクロチップ10の導入チャネル12と、これに交差する分離チャネル14のそれぞれにバッファを充填する充填工程を実施する。具体的には、導入チャネル12及び分離チャネル14の双方に、この発明のバッファを公知の方法により充填する。その後に、試料リザーバ12aにマイクロピペットなどを用いて、適当量の試料を導入する。
(3−2)導入工程
導入工程においては、導入チャネル12に対して導入用電圧を印加する。一般に、試料(核酸、タンパク質又はペプチドなど)はバッファ中でマイナス(−)に帯電している。従って、アウトレット12bを正極(+)とし、及び試料リザーバ12aを負極(−)として、導入チャネル12に導入用電圧を印加することにより、試料を、試料リザーバ12aから導入チャネル12へと導入することができる。
なお、導入用電圧の大きさは、設計に応じて適当な値を選択できるが、30〜100V/cmの範囲内の値の電圧であることが好ましい。
また、導入用電圧は、試料リザーバ12a中の試料組成を正確に反映した試料が交差部16で観測されるようになるまでの間、印加し続けることが好ましい。導入用電圧の印加時間の絶対値は、導入チャネル12の長さによって変化するために、一概に規定することはできない。しかし、経験的に、導入用電圧は、導入チャネル12の単位長さ(1mm)当たり6.5〜10.5秒間内の設計に応じた任意好適な期間だけ印加することが好ましいことが明らかとなっている。つまり、導入チャネル12の全長が7mmの場合には、導入用電圧の印加時間を、45.5秒(=6.5秒×7)から73.5秒(=10.5秒×7)内で定めた時間とする。
(3−3)遅延期導入工程
導入工程の終了後、分離チャネル14に分離用電圧を断続的に印加して、試料を分離チャネル14に導入する遅延期導入工程を実施する。具体的には、導入工程の終了後、約1秒の電圧切り替え時間(電圧未印加期間)を経て、分離チャネル14に分離用電圧を印加する。
遅延期導入工程は、第1サブ工程と第2サブ工程とに分かれている。
第1サブ工程においては、分離チャネル14に175〜300V/cmの範囲内の設計に応じた任意好適な値の分離用電圧を、分離チャネル14の単位長さ(1cm)当たり2〜2.5秒間内の設計に応じた任意好適な期間だけ印加する。
より詳細には、バッファ注入口14aを負極(−)とし、及びバッファ貯留孔14bを正極(+)として、分離チャネル14の全長に上述の分離用電圧を印加する。
分離用電圧の印加時間は、分離チャネル14の全長に依存するが、発明者らの経験によれば、分離チャネル14の単位長さ(1cm)当たり2〜2.5秒間内の設計に応じた任意好適な期間だけ印加することが好ましい。つまり、分離チャネルの全長が4.5cmの場合には、第1サブ工程における分離用電圧の印加時間を、9秒(2秒×4.5)〜11.25秒(2.5秒×4.5)内で定めた時間とする。
第1サブ工程においては、上述した分離チャネル14への電圧印加と同時に、導入チャネル12にも電圧を印加する。より詳細には、試料リザーバ12a及びアウトレット12bの両者を正極(+)として、導入チャネル12に戻し電圧を印加する。これにより、分離チャネル14への過剰な試料の流れ込みを防止する。ここで、戻し電圧の大きさは、設計により適当な値を選択できるが、130〜500Vの範囲内の値とするのが好ましい。
第2サブ工程においては、第1サブ工程における分離用電圧印加終了後、0.5〜1秒間内の期間の電圧未印加状態を経て、分離チャネル14に分離用電圧を、分離チャネル14の単位長さ(1cm)当たり4〜5秒間内の期間だけ印加する。なお、「電圧未印加状態」を間に挟んで第1及び第2サブ工程で分離チャネル14に分離用電圧を印加することが、上述した「断続的」に対応する。
第2サブ工程の具体的な手順は、分離用電圧の印加時間を除いて、第1サブ工程と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
第2サブ工程における分離用電圧の印加時間は、第1サブ工程(単位長さ(1cm)当たり2〜2.5秒)よりも長時間であることが好ましい。具体的には、分離チャネル14の単位長さ(1cm)当たり4〜5秒間内の設計に応じた任意好適な期間だけ印加することが好ましい。つまり、分離チャネル14の全長が4.5cmの場合には、第2サブ工程における分離用電圧の印加時間を、18秒(4秒×4.5)〜22.5秒(5秒×4.5)内で定めた時間とする。
詳しくは後述する実施例において説明するが、この発明のバッファを用い、更に遅延期導入工程を実施した後に、本泳動工程を行うことにより、試料の検出感度を最大で約17倍にまで高めることができる。
また、遅延期導入工程において、分離チャネル14に2回にわたって試料を導入しているにもかかわらず、本泳動終了後の試料のピークは、分離せずに1本のままに保たれる。
これは、第1及び第2サブ工程において、交差部16近傍の分離チャネル14中、つまり、分離チャネル14の入口に、試料が高濃度に蓄積することが原因と推測される。つまり、分離チャネル14の交差部16近傍に存在するコロイド粒子(ZnO微粒子由来)や気泡などに、遅延期導入工程で分離チャネル14に導入される試料がトラップされるものと推測される。その結果、分離チャネル14の入口付近(交差部16付近)で、試料は、1本のピークのまま高濃度に濃縮するものと推測される。
(3−4)本泳動工程
遅延期導入工程の終了後、分離チャネル14に分離用電圧を印加して、試料を泳動させる本泳動工程を実施する。
より詳細には、分離用電圧の印加時間が長時間である以外は、既に説明した第1サブ工程と同様にして、分離チャネル14に分離用電圧を、及び導入チャネル12に戻し電圧を印加する。これにより、交差部16に存在する試料を分離チャネル14に沿って電気泳動させることができる。
本泳動工程における分離用電圧の印加時間は、分離チャネル14の単位長さ(1cm)当たり40〜50秒の範囲内の設計に応じた任意好適な期間とすることが好ましい。つまり、分離チャネルの全長が4.5cmの場合には、本泳動工程における分離用電圧の印加時間を、180秒(40秒×4.5)〜225秒(50秒×4.5)内で定めた時間とする。
これにより、分離用チャネル14の中で、試料はサイズごとに分離される。
以下、実施例により、この発明をより詳細に説明するが、この発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(1)実験の概要の説明
実験は大きく分けて、(実験群1)、(実験群2)及び(実験群3)に分類される。
(実験群1)では、この発明のバッファの効果を主に確認している。図4に示すように、(実験群1)には、実験A〜Dが含まれる。
(実験群2)では、この発明の電気泳動法の効果を主に確認している。図4に示すように、(実験群2)には、実験E〜Iが含まれる。
(実験群3)では、気泡の分散条件及び遅延期導入法の好適条件を主に確認している。(実験群3)には、実験J〜Lが含まれる。
(2)各実験に共通した条件の説明
重複した説明を避けるために、この項においては、各実験に共通した条件を以下の各項にまとめる。
(a)電気泳動には、日立SV1100マイクロチップ電気泳動装置コスモアイ用DNA鎖長分析キット(日立化成工業株式会社)を用いた。なお、この装置は、一旦、マイクロチップがセットされたならば、試料の蛍光分析までを自動的に実施することが可能である。後述する(m)項で説明する生データは、この装置により測定された試料のピークの蛍光強度を示す。
(b)母液としては、(a)項で説明した装置に付属されたHPMCを超純水で0.7wt%に希釈したものを用いた。
(c)蛍光色素標識としては、(b)項のHPMC中に予め添加されているエチジウムブロマイドを用いた。なお、エチジウムブロマイドは、波長が470nmの励起光で励起されて、波長が580nmの蛍光を発する。
(d)各実験に用いた母液の量は200μLとした。
(e)試料として、共通のDNA標準サンプル(Φ×174−Hinc II digest,Takara)を用いた。この標準サンプルには、予め決められた数種類の長さのDNA鎖が、それぞれ決められた濃度で含まれている。そして、DNA鎖の長さに応じて、分離チャネル14中で異なった位置でピークを取る。
(f)マイクロチップとしては、図1を参照して説明したマイクロチップ10に相当するマイクロチップであって、(a)項で説明した装置に適合するものを用いた。具体的には、マイクロチップ10は、導入チャネル12の長さが7mm、分離チャネル14の全長が4.5cm、及び分離長が3cmである。なお、このマイクロチップ10は、「発明を実施するための最良の形態」の項で説明したものである。
(g)ZnO微粒子及び気泡をバッファに分散させるために、ボルテックスミキサ(MS2S9 Minishakar IKA WorksInc.)を用いた。
(h)特に断らない限り、母液にZnO微粒子及び気泡を分散させるに当っては、ボルテックスミキサの回転数を2400rpmとし、及び約10秒ごとにインターバルを挟みながら合計2分間、震蕩攪拌した。
(i)バッファの調製に用いたビーカとしては、シリコナイズアシストチューブ(1.5ミリリットル容積)(CatNo.2150Z,ASSIST Trading Co.,Ltd)を用いた。
(j)試料を導入チャネル12に導入する導入工程において、300Vの導入用電圧を60秒間印加した。
(k)遅延期導入工程及び本泳動工程における分離用電圧を750Vとした。また、本泳動工程における分離用電圧の印加時間を180秒とした。
(l)特に断らない限り、遅延期導入工程は、(k)項の分離用電圧を分離チャネル14に10秒間印加する第1サブ工程と、第1サブ工程終了後、1秒の電圧未印加状態を経て、分離用電圧を分離チャネル14に20秒間印加する第2サブ工程とで構成される。
(m)特に断らない限り、各実験はそれぞれ4〜5回実施した。そして、実験ごとの相対蛍光強度(表3及び図4参照)を以下の手順で算出した。
(A)第i回目(iは1≦i≦各実験の実施回数N)の測定で検出される第jピーク(jは1≦j≦(1試料で検出されるピークの本数PN))の蛍光強度I(i)(生データ)を、実施回数Nで平均して、第j平均ピーク強度AvI(=(ΣI(i=1〜N))/N)を求めた。
(B)ピーク位置ごとに、各実験の平均ピーク強度AvIを、対照実験(実験A)の平均ピーク強度(AvCI)で除して、平均ピーク強度比率RI(=AvI/AvCI)を求めた。
(C)この平均ピーク強度比率RIを、更に、1試料で検出されるピークの本数PNで平均して、後述する図4や表3〜7に示した相対蛍光強度(=(ΣRI(j=1〜PN))/PN)とした。
(3)実験群1及び実験群2についての説明
(実験群1)及び(実験群2)に属する実験A〜Iは、ほぼ同様の手順で行われている。そこでこの項においては、両実験群についてまとめて説明する。
以下の表3に、各実験の条件及び結果をまとめた。なお、表3中の「結果」の欄の数値は、グラフとして図4に示してある。
(3−1)実験条件
以下、実験A〜Iについて、詳細な実験条件を説明する。
(実験A:実験群1)
実験Aは、従来法で行った電気泳動である。すなわち、バッファには、ZnO微粒子及び気泡は分散されていない。また、試料の遅延期導入を行っていない。従って、実験Aは「比較例」に対応する。また、実験Aは、その他の実験において相対蛍光強度を求める際の基準値を与える対照実験である。
(実験B:実験群1)
実験Bは、気泡が分散されたバッファの効果を確認するための実験である。つまり、バッファには気泡のみが分散されている。また、バッファ単体の効果を確認するために、試料の遅延期導入を行っていない。従って、実験Bは「比較例」に対応する。
バッファへの気泡の分散は、ビーカに入れた母液を、ボルテックスミキサを用いて震蕩攪拌することにより行った。この震蕩攪拌によって、母液中に大気すなわち空気が気泡として巻き込まれ、分散される。
(実験C:実験群1)
実験Cは、ZnO微粒子が分散されたバッファの効果を確認するための実験である。つまり、バッファには、ZnO微粒子のみが低濃度で分散されている。また、バッファ単体の効果を確認するために、試料の遅延期導入を行っていない。従って、実験Cは「実施例」に対応する。
以下、ZnO微粒子のバッファへの分散方法について説明する。実験Cにおいては、既に説明した希釈法により、母液にZnO微粒子を分散させて含ませた。具体的には、まず、水(Ultra Pure Distilled Water,GIBCO)に0.36mg/mLの濃度で均一にZnO微粒子が分散された分散液を調製した。そして、分散液:母液=1:20の体積比で、ビーカ中の母液に分散液をマイクロピペットで添加した。その後、マイクロピペットの先端部で、バッファを十分に攪拌することによりZnO微粒子を液中で均一に分散させた。なお、目視で観察する限りにおいてバッファは透明であった。
(実験D:実験群1)
実験Dは、ZnO微粒子及び気泡の両者が分散されたバッファの効果を確認するための実験である。つまり、バッファには、ZnO微粒子と気泡とが分散されて含まれている。なお、実験DにおけるZnO微粒子の濃度は、実験Cよりも高濃度とした。また、バッファ単体の効果を確認するために、試料の遅延期導入は行っていない。従って、実験Dは「実施例」に対応する。
以下、ZnO微粒子及び気泡の分散方法について説明する。既に説明した直接添加法により、母液にZnO微粒子を分散させて含ませた。具体的には、ZnO微粒子の濃度が50mg/mLとなるように、ZnO微粒子をビーカ中の母液に添加した。そして、ZnO微粒子が添加された母液を、ボルテックスミキサで震蕩攪拌することにより、ZnO微粒子を均一に分散させるとともに、バッファ中に大気すなわち空気の気泡を均一に分散させて含ませた。
なお、実験Dにおけるバッファは、薄く白濁していた。これは、バッファ中で、ZnO微粒子が水や気泡を内包しながら凝集して、コロイド粒子が形成されたためである。
(実験E:実験群2)
実験Eは、遅延期導入の効果を確認するための実験である。つまり、バッファとして母液(ZnO微粒子及び気泡が添加されていない)を用い、この発明の遅延期導入を行った。従って、実験Eは、「比較例」に対応する。
(実験F:実験群2)
実験Fは、遅延期導入の効果を確認するための実験である。つまり、この発明の遅延期導入工程の効果を確認するために、第1及び第2サブ工程における電圧印加時間を、この発明の範囲外の値に変更した。具体的には、実験Fでは、第1サブ工程の電圧印加時間を20秒とし、及び第2サブ工程の電圧印加時間を10秒とした。
なお、実験Fでは、バッファとして母液のみを用いた。従って、実験Fは、「比較例」に対応する。
(実験G:実験群2)
実験Gは、この発明の電気泳動法の効果を確認するための実験である。つまり、バッファとして、ZnO微粒子及び気泡が分散されたものを用いて遅延期導入を行った。
実験Gにおいて、ZnO微粒子の母液への添加条件は、実験Cと同様である。ただし、実験Cとは異なり、実験GではZnO微粒子の母液への添加後、気泡を分散させるために、ボルテックスミキサによる震蕩攪拌を行っている。
なお、実験GのバッファにおいてZnO微粒子の濃度は、次に説明する実験Hよりも低濃度とした。また、実験Gのバッファは、白濁しておらず透明である。従って、実験Gは、「実施例」に対応する。
(実験H:実験群2)
実験Hは、この発明の電気泳動法の効果を確認するための実験である。つまり、バッファとして、ZnO微粒子及び気泡が分散されたものを用いて遅延期導入を行った。
実験Hで用いたバッファの調製法は、実験Dと同様である。つまり、実験Hのバッファにおいて、ZnO微粒子の濃度は実験Gよりも高濃度とした。また、実験Hのバッファは、既に説明したコロイド粒子を含んでおり、薄く白濁している。従って、実験Hは、「実施例」に対応する。
(実験I:実験群2)
実験Iは、この発明の電気泳動法の効果を確認するための実験である。つまり、実験Hと同様のバッファを用いてはいるが、遅延期導入をこの発明の範囲外の方法で行っている。
具体的には、実験Iにおける遅延期導入は、実験Fと同様の方法で行った。従って、実験Iは、「比較例」に対応する。
(3−2)実験結果
表3及び図4に実験結果を示す。また、下記表4に、気泡、ZnO微粒子及びこの発明の遅延期導入の3条件の有無と、検出感度の増加の程度との関係を示す。なお、表4の一番左側の列に、上述の3条件の中で幾つの条件が満足されているかを“○”の数で示している。
図4,表3及び表4より、以下に列記することが明らかである。
(a)図4及び表3から、この発明の範囲に含まれる実験Hにおいては、実験A(対照実験)に比較して、約17倍の蛍光強度の増加が見られる。
(b)図4及び表3から、この発明の範囲に含まれる実験C,D及びGでは、実験A(対照実験)に比較して、2倍を超える蛍光強度の増加が見られる。これは、実験誤差を考慮したとしても有意な差である。
(c)図4及び表3から、この発明の範囲外である実験A,B,E,F及びIでは、実験誤差を考慮すると、蛍光強度の増加は見られない。
(d)表4の条件番号1〜3から、気泡、ZnO微粒子又は遅延期導入を単独で実施したとしても、その感度増加効果は、最大でも2倍程度である。
(e)表4の条件番号4〜6より、2条件を満足する場合(○が2個の場合)には、遅延期導入を行わないと、感度増加効果は最大でも2倍程度である。しかし、遅延期導入と他の条件を組み合わせたときの感度増加の程度は、現段階では不明である。
(f)表4の条件番号7及び8より、「3条件を満たせば、感度が一桁以上増加する場合がある。」ことが現段階で少なくとも言える(表4)。
(g)表4の条件番号7及び8より、感度増加の程度は、ZnO微粒子の濃度に依存する可能性があることがわかる。
これらのことより、この発明のバッファ(実験C及びD)、及びこの発明の電気泳動法(実験G及びH)により、試料の検出感度を増加させることが可能であることがわかる。特に、気泡と高濃度のZnO微粒子とを含むバッファを用い、この発明の範囲に含まれる遅延期導入を行った実験Hでは、試料の検出感度を従来よりも1桁以上増加させることができる。
なお、実験Hにおいて、試料の検出感度が大きく増加する理由は、現段階では明確ではない。しかし、発明者らは、下記の(a)〜(c)の相乗効果により、検出感度の増加が生じていると推測している。
(a)遅延期導入工程の実施により、交差部16に高濃度に試料が蓄積する。その結果、本泳動工程において分離チャネル14へ導入される試料の絶対量が増加する。
(b)試料に照射される励起光が、溶媒や気泡を内包したZnO微粒子由来のコロイド粒子で、いろいろな方向に散乱される。その結果、1個の蛍光色素標識が、散乱されて種々の方向から伝播してくる励起光により何度も励起され、蛍光を発することとなる。よって、蛍光色素標識1個当たりの蛍光強度が増加する。
(c)コロイド粒子に内包される気泡の存在により、バッファの実効屈折率が減少し、分離チャネル14の光閉じ込め能力が低下する。その結果、蛍光色素標識から発する蛍光が分離チャネル14から出射しやすくなる。よって、分離チャネル14から出射する蛍光強度が増加する。
(4)実験群3についての説明
(4−1)実験J
実験Jにおいては、気泡の分散条件を変化させて、試料の検出感度を比較した。具体的には、ボルテックスミキサの攪拌時間を1〜5分の間で変化させた以外は、既に説明した実験Bと同様にして実験J1〜J5を行った。その結果を下記表5に示す。
表5によると、ボルテックスミキサの攪拌時間を変えて、気泡の分散条件を変更したとしても、蛍光強度の増加は見られないことがわかる。
(4−2)実験K
実験Kは、遅延期導入の好適条件を確認するための実験である。つまり、遅延期導入工程において、第1サブ工程の分離用電圧の印加時間を種々に変更した実験K1〜K6を行った。なお、実験K1〜K6において、第1サブ工程の電圧印加時間以外の条件は、既に説明した実験Eと同様である。その結果を下記表6に示す。
表6によると、第1サブ工程の分離用電圧の印加時間が10秒を超えると、蛍光強度の増加効果が見られないことが示唆される。正確な結論を得るためには更に実験を行う必要があるが、実験K1及びK2より、第1サブ工程の電圧印加時間の好適値が10秒以上かつ20秒未満であることが示唆される。
(4−3)実験L
実験Lは、遅延期導入の好適条件を確認するための実験である。つまり、遅延期導入工程において、第2サブ工程の繰り返し回数を0〜3回の間で変更した実験L1〜L4を行った。なお、実験L1〜L4において、第2サブ工程の繰り返し回数以外の条件は、既に説明した実験Eと同様である。
具体的には、実験L1は、遅延期導入工程において、第2サブ工程を実施しなかった。すなわち、第1サブ工程終了後、直ちに本泳動工程を行った。
実験L2は、遅延期導入工程において、1回だけ第2サブ工程を実施した。すなわち、実験L2は、実験Eと全く同じ条件である。
実験L3は、遅延期導入工程において、第2サブ工程を2回実施した。すなわち、“第1サブ工程→第2サブ工程→第2サブ工程”との処理の後に、本泳動工程を実施した。なお、どちらの第2サブ工程においても、分離用電圧印加時間は20秒で共通とした。また、1回目の第2サブ工程と2回目の第2サブ工程との間には、1秒の電圧未印加時間を挿入している。
実験L4では、遅延期導入工程において、第2サブ工程を3回実施した。すなわち、“第1サブ工程→第2サブ工程→第2サブ工程→第2サブ工程”との処理の後に、本泳動工程を実施した。なお、全ての第2サブ工程において、分離用電圧印加時間は20秒で共通とした。また、連続した第2サブ工程と第2サブ工程との間には、1秒の電圧未印加時間を挿入している。
その結果を下記表7に示す。
表7によると、第2サブ工程の繰り返し回数が0回、2回及び3回では、蛍光強度の増加効果が見られないことが示唆される。正確な結論を得るためには更に実験を行う必要があるが、実験Lからは、第2サブ工程を1回のみ行うことが有効であることが示唆される。
マイクロチップの平面図である。 ZnO微粒子の製造装置の構成を概略的に示す模式図である。 (A)及び(B)は、ZnO微粒子のTEM写真を示す図である。 実施例の説明に供する図である。
符号の説明
10 マイクロチップ
12 導入チャネル
12a 試料リザーバ
12b アウトレット
14 分離チャネル
14a バッファ注入孔
14b バッファ貯留孔
16 交差部
20 製造装置
22 チャンバ
24 カーボン電極
26 導電性ハース
28 真空排気系
30 ガス導入系
32 Znインゴット

Claims (18)

  1. ゲルを含んだ水溶液であって、
    該水溶液中に酸化亜鉛微粒子を含むことを特徴とする電気泳動用バッファ。
  2. 前記酸化亜鉛微粒子が、酸素ガスと窒素ガスとを含む混合ガスを雰囲気ガスとして、該雰囲気ガス中で亜鉛を加熱して蒸発させることで製造されたものであること特徴とする請求項1に記載の電気泳動用バッファ。
  3. 前記酸化亜鉛微粒子が、円柱形の形態をしていて、その長さが50〜250nmの範囲内にあって、その直径が50〜120nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動用バッファ。
  4. 前記酸化亜鉛微粒子が、棒状、粒状又は板状の形態をしていて、一辺が50〜1000nmの仮想的な立方体の内部に納まる大きさであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気泳動用バッファ。
  5. 前記酸化亜鉛微粒子が、中心の核から4本以上の棒状結晶が放射状に延在する形態をしていて、前記棒状結晶の長さが50〜1000nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動用バッファ。
  6. 前記酸化亜鉛微粒子として、(1)円柱形の形態をしていて、その長さが50〜250nmの範囲内にあって、その直径が50〜120nmの範囲内にある酸化亜鉛微粒子、(2)棒状、粒状又は板状の形態をしていて、一辺が50〜1000nmの仮想的な立方体の内部に納まる大きさの酸化亜鉛微粒子、及び(3)中心の核から4本以上の棒状結晶が放射状に延在する形態をしていて、前記棒状結晶の長さが50〜1000nmの範囲内にある酸化亜鉛微粒子からなる群より選択された2種類以上の当該酸化亜鉛微粒子を混合したものを用いることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動用バッファ。
  7. 前記酸化亜鉛微粒子の濃度が、0.02〜100mg/mLの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気泳動用バッファ。
  8. 前記酸化亜鉛微粒子が凝集して形成されたコロイド粒子を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気泳動用バッファ。
  9. 前記酸化亜鉛微粒子の濃度が、50〜100mg/mLの範囲内にあることを特徴とする請求項8に記載の電気泳動用バッファ。
  10. 前記酸化亜鉛微粒子とともに、気泡を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電気泳動用バッファ。
  11. 前記気泡の粒径が30μm未満であることを特徴とする請求項10に記載の電気泳動用バッファ。
  12. 前記ゲルが、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなるセルロース誘導体群より選択された一種類のセルロース誘導体又は二種類以上を混合したセルロース誘導体からなり、
    前記ゲルの濃度が0.01〜3wt%の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の電気泳動用バッファ。
  13. 前記ゲルの濃度が、0.7〜1wt%の範囲内にあることを特徴とする請求項12に記載の電気泳動用バッファ。
  14. 前記ゲルに加えて、バクテリアセルロース、又はバクテリアセルロース誘導体を材料とする微小網目構造体が添加されていることを特徴とする請求項12又は13に記載の電気泳動用バッファ。
  15. マイクロチップ上で請求項1〜14のいずれか一項に記載の電気泳動用バッファを用いて試料を分離する方法であって、以下の工程を有することを特徴とする電気泳動法。
    (1)前記マイクロチップの導入チャネルと、該導入チャネルに交差する分離チャネルのそれぞれに前記電気泳動用バッファを充填する充填工程。
    (2)前記導入チャネルに導入用電圧を印加して、該導入チャネルに試料を導入する導入工程。
    (3)前記分離チャネルに分離用電圧を断続的に印加して、前記試料を該分離チャネルに導入する遅延期導入工程。
    (4)前記分離チャネルに前記分離用電圧を印加して、前記試料を泳動させる本泳動工程。
  16. 前記導入工程で、前記導入チャネルに、30〜100V/cmの範囲内の値の前記導入用電圧を、該導入チャネルの単位長さ(1mm)当たり6.5〜10.5秒間内の期間だけ印加することを特徴とする請求項15に記載の電気泳動法。
  17. 前記遅延期導入工程は、前記分離チャネルに175〜300V/cmの範囲内の値の前記分離用電圧を、該分離チャネルの単位長さ(1cm)当たり2〜2.5秒間内の期間だけ印加する第1サブ工程と、
    該第1サブ工程終了後、0.5〜1秒間内の期間の電圧未印加状態を経て、前記分離チャネルに前記分離用電圧を、該分離チャネルの単位長さ(1cm)当たり4〜5秒間内の期間だけ印加する第2サブ工程とを含むことを特徴とする請求項15又は16に記載の電気泳動法。
  18. 前記本泳動工程で、前記分離チャネルに前記分離用電圧を、該分離チャネルの単位長さ(1cm)当たり40〜50秒間内の期間だけ印加することを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の電気泳動法。
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