JP4838326B2 - 工作機械の調整方法、及び工作機械 - Google Patents
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Description
以上のように、加工精度を上げる方法が提案される。しかし、近年のサブμm〜数十μmオーダーの超精密加工では、以下のような問題が生じる。
この場合、一番ズレが生じやすく且つ一般的に一番精度が要求されるワーク先端において測定することによって、形成する工具の精度を高めることができる。
この場合、実際の加工対象となるワークに替えて、精度の高いテストピースを用いることによって、更に精度の高い調整を行なうことができる。
また、ワーク軸心固定部は、ワーク保持機構を囲む円周上に位置するようにワーク主軸に配置される複数のネジを備えることが好ましい。各々のネジは、ワーク主軸からワーク軸心に向かって進出することによってワーク保持機構に当接する。ネジは、回動させられてワーク主軸からワーク軸心への進出量が調整されることによって、ワーク主軸に対するワーク保持機構の相対位置の変化を許容する状態と、相対位置の変化を規制する状態とに切換可能であることが好ましい。
この場合、転動するクロスボールの位置が、ガタツキなく位置決めされる。このため、ガタツキ無く回転力を伝達できるとともに、円滑なフローティング機能を発揮できる。
この場合、複数のV溝を備えることによって、ワーク主軸、クロスガイド、ワーク保持機構の間で傾きを生じにくくできる。また、それぞれの溝にかかる回転力も分散できる。
この場合、ボールを円周状に配置したため、ワークを傾きなく支持できる。更に、ワークを、主軸軸心と直交するあらゆる方向に変位可能にする。更に、ワーク主軸とワーク保持機構の軸心同士の相互回転を許容する。
この場合、付勢部をネジにすることによって、コンパクトな構成で、安定した付勢力でボールを予圧できる。更に、調整部を設けることによって、各ボールに適切な予圧を付与でき、円滑なフローティングと高い寸法精度を得ることができる。
この場合、丸棒状のワークを安定して正確な位置で支持できる。
この場合、工具の形成に効果的な本発明の調整方法によって工具研削盤を調整することによって、精度の高い工具を形成できる。
この場合、近年、特に超精密加工に用いられるエンドミルまたはドリルを高い精度で形成できる。
本発明の調整方法は、高い加工精度を発揮できる。よって、本発明をこのような工具径のエンドミルまたはドリルなどに極めて好適に用いて、超精密加工に用いる高い精度のエンドミルまたはドリルを形成できる。
本発明の調整方法は、高い加工精度を発揮できる。よって、このようなシャンク径のエンドミルまたはドリルなどに極めて好適に用いて、超精密加工に用いる高い精度のエンドミルまたはドリルを形成できる。
本願に係る工具研削盤20は、全自動CNC(Computer Numeric Control)極小径エンドミル研削盤である。工具研削盤20は、極小径(工具径0.01mm〜2.0mm)のエンドミルの全工程を、ワンチャッキングで全自動研削する。
図1に示すように、工具研削盤20は、複数の機台10で支えられたフレーム11上に設けられた、外面が箱状の装置カバー12内に収容される。装置カバー12の前面の中央部には窓部を持った開閉可能な前面扉13が設けられ、内部に収容された工具研削盤20を隔離している。装置カバー12の前面は、前面扉13に向かって右方において、上から下に液晶画面の表示装置14、キーボード15、NC制御装置操作盤16を備える。装置カバー12は、内部にNC制御装置を有する。手動パルサー17は、ケーブルを介してNC制御装置に接続される。操作者が手動パルサー17のダイヤルを操作すると、NC制御サーボ機構を微動させることができる。前面扉13を開放すると、図2に示すように工具研削盤20が露出する。
<< 座標系 >>
図2は、本実施形態における座標系を示す。
Y軸は、ツールスピンドル25の上下送り方向に延び、上方向を+方向とし、ツールスピンドル25の可動範囲でC軸から最も上方に離れた位置をY軸の原点とする。
C軸の回転方向は、X軸の+方向から−方向(図において左から右方向)を見て時計回りの方向を+方向とし、初期位置をC軸回転の原点(0°)とする。
図3〜図12は、ワークヘッド23を説明する。本実施形態のワークヘッド23の説明では、ワークWを装着する部分を、ワークヘッド23の先端もしくは前部と称し、反対側をワークヘッド23の基端もしくは後部と称する。
図3に示すように、ワークヘッド23は、ワークヘッド23の各機構等を収容するワークヘッド本体30を備える。ワークヘッド本体30は、図2に示す旋回テーブル22に固定される。ワークヘッド本体30は、ワーク主軸40を回転可能に支持し、ワークヘッド23の外観を形成する。ワークヘッド本体30は、具体的にはベースフレーム31、カバー32、およびラビリンス33を備える。ベースフレーム31は旋回テーブル22に固定され、ワークヘッド23の全体を支える。カバー32はベースフレーム31の上部に設けられ、ワークヘッド本体30の全体を覆う。ラビリンス33は、回転するスピンドル41を、カバー32に対して回転可能且つ気密にシールする。
図3と図4に示すように、ワークヘッド本体30の内部には、ワーク主軸(Work Spindle)40が配置される。ワーク主軸40は、スピンドル41及びこれと一体に回転する部分をいう。図5に示すように、具体的にはワーク主軸40は、スピンドル41のほか、スピンドル41の先端に取付けられるコレットケース42、ガイド43、チャックベース44、予圧調整ネジ45、保持スプリング46、およびリテーナ47を含む。
図4に示すワーク保持機構50は、いわゆるコレットチャック機構からなる。図5に示すように、具体的にはワーク保持機構50は、コレット51、コレットホルダ52、およびベースホルダ53を備える。コレット51はワークWを把持する。つまりワーク保持機構50がワークWを保持する状態において、ワークWは、ワーク保持機構50から突出する突出部分を有する。ワークWの突出部分は、ワーク軸心C2の周りを囲む側面(周面)を有する。ベースホルダ53は、コレット51の基端に螺合する。
コレットクランプ機構49は、保持スプリング46とリテーナ47によって、コレット51がワークWを保持した状態を維持するコレット固定機構である。図9に示すように保持スプリング46は圧縮コイルスプリングから構成され、保持スプリング46の前端(ワークW寄りの端部)は、チャックベース44の保持スプリング受け面44bに当接される。
図4に示すフローティングアセンブリ60は、ワーク主軸40に対してワーク保持機構50を変位可能に支持しながら回転を伝達する機構であり、具体的には、図5に示すように前方オイルシール61、前方予圧ボール62、前方クロスボール63、クロスガイド64、後方クロスボール65、後方予圧ボール66、後方オイルシール67を含む。
前方オイルシール61と後方オイルシール67は、それぞれたとえばフッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴムなどの耐油性のある弾性体からなる環状部材である。前方オイルシール61は、コレットホルダ52の先端向きの側面の周囲に環装され、コレットケース42との間に配置される。また、後方オイルシール67は、ベースホルダ53のベースフランジ53bの周囲に環装され、リテーナ47との間に配置される。前方オイルシール61と後方オイルシール67は、回転部分の潤滑油を保持したり、異物の進入を阻止する機能を有する。とりわけ、前方オイルシール61と後方オイルシール67の弾力は、これらを貫通するワーク保持機構50の軸心(ワーク軸心C2)を、主軸軸心C1(ワーク主軸40の回転軸線)に一致させようとする求心力を付与する機能がある。そのため、前方予圧ボール62、前方クロスボール63、後方クロスボール65、後方予圧ボール66がワーク保持機構50をフローティングするだけで他にワーク保持機構50をサポートするものが無い状態でも、重力に抗してワーク軸心C2を主軸軸心C1に概ね一致させることができる。その結果、フローティング機構の動作範囲を小さくすることができる。
前方予圧ボール62、前方クロスボール63、後方クロスボール65、および後方予圧ボール66は、いずれもボールベアリングに用いるステンレスや鋼製の真円度の高い寸法精度の高い複数の硬球からなる。これら多数のボール(62,63,65,66)は、予圧をかけられることによって弾性変形し、ワーク保持機構50の寸法安定度を向上させることができる。
図7と図8に示すクロスガイド64は、円環状部材である。クロスガイド64は、ワークWに向かう第1クロス面としての前方クロスボール受け面64aと、ワークWとは反対側に向かう第2クロス面としての後方クロスボール受け面64bとを有する。前方クロスボール受け面64aと後方クロスボール受け面64bは、それぞれ概ね平面である。クロスガイド64は更に、内周面64cと、側面としての外周面64dとを有する。
主軸軸心C1と直交する面において、主軸軸心C1を間に挟むように互いに対称に位置する。各々の主軸V溝43bは、それぞれ後方クロスV溝64fに対向する。互いに対向する主軸V溝43bと後方クロスV溝64fの間には、列状に配置された複数の第2クロスボールとしての後方クロスボール65が配置される。後方クロスボール65がそれぞれ転動することによって、クロスガイド64とガイド43は、主軸V溝43bと後方クロスV溝64fに沿って相互に移動する。主軸V溝43bと後方クロスV溝64fは互いに平行な関係を保つ。つまり、クロスガイド64とガイド43は相対移動しても、主軸軸心C1とフローティング軸心C3は互いに平行なまま、両者間の相対位置が変動可能である。
図4に示す予圧機構48は、ワーク主軸40の一部として構成される。予圧機構48は、具体的にはガイド43、予圧調整ネジ45、チャックベース44を含む。予圧機構48は、フローティングアセンブリ60を構成する前方予圧ボール62、前方クロスボール63、後方クロスボール65、および後方予圧ボール66をそれぞれ僅かに弾性変形する程度に付勢するように予圧を掛ける。その結果、フローティング機構のガタツキをなくす。
図5に示すように、チャックベース44の先端には、コレットケース42が固定される。図10に示すように、コレットケース42は、先端に向かうほど外径が小さくなる概ね全体が円筒状の部材である。コレットケース42の中心には、コレットホルダ52を挿入する孔が開口している。孔の内周面には、径方向内方に突出するケースフランジ42aが形成される。ケースフランジ42aの後面は、環状平面であり、且つ第1主軸面としての前方予圧ボール受け面42cである。前方予圧ボール受け面42cは、図5に示すように、ホルダフランジ52bの前方予圧ボール受け面52cに、第1予圧ボールとしての前方予圧ボール62を介して当接している。コレットホルダ52の前方予圧ボール受け面52cとコレットケース42の前方予圧ボール受け面42cとは、いずれも相互に平行な平面に配置され、その間に環状に配列された第1予圧ボールとしての前方予圧ボール62が配置される。このため、コレットホルダ52とコレットケース42とは、平行な関係を保ったまま、主軸軸心C1と直交するすべての方向に相互に変位可能である。
コレットケース42の側面から、主軸軸心C1に向かってC軸調整ネジ42bが螺入される。C軸調整ネジ42bを締込むと、C軸調整ネジ42bの先端がコレットホルダ52に当接するようになっている。4本のC軸調整ネジ42bが、90度ごとの等角度間隔で配置されている。このため、これらC軸調整ネジ42bを調整することによって、コレットケース42に対するコレットホルダ52の位置を調節し、そして締付け固定できる。つまり各々のC軸調整ネジ42bは、ワーク主軸40からワーク軸心C2に向かって進出することによって、ワーク保持機構50に当接する。C軸調整ネジ42bは回動させられることによって、ワーク主軸40からワーク軸心C2に向かう進出量が調整される。その結果、ワーク主軸40に対するワーク保持機構50の相対位置の変化を許容する状態と、相対位置の変化を規制する状態とに切換可能である。
本実施形態のフローティング機構は、ワーク保持機構50をワーク主軸40に対して変位可能に支持する機構である。フローティング機構は、図5に示すフローティングアセンブリ60、予圧機構48、およびワーク保持機構50のコレットホルダ52とベースホルダ53を含む。予圧機構48は、フローティングアセンブリ60に予圧を付与する。
図3と図4に示すコレット開閉部70は、コレット51を開状態と閉状態とに切換えるための機構である。開状態のコレット51からは、ワークWを取外可能である。緊縮して閉じた状態のコレット51は、ワークWをチャックする。具体的には、図3に示すように、コレット開閉部70のコレット固定バルブ71とコレット解放バルブ72は、作動油を制御し、コレット脱着ピストン73を変位させる。すると、主軸軸心C1に沿った長尺状の筒部材であるコレット開閉部材74が、主軸軸心C1方向に変位する。
(突き出し調整部80)
突き出し調整部80は、ワークWのワーク軸心C2方向の位置を調整する機構である。具体的には、突き出し調整部80は、図3に示す突き出し調整バー81と突き出し調整ネジ82を含む。突き出し調整バー81は、主軸軸心C1近傍に設けられた空間に配置される。突き出し調整バー81は基本的には、回転するワーク主軸40とは干渉しないように配置される。突き出し調整ネジ82は、突き出し調整バー81を、主軸軸心C1方向に移動させる。このようにして、ワークW毎に異なり得る把持長さや、ワークWの突出量を調整する。
図12は、ワークヘッド23全体の構成を示す。
<< サポート装置90 >>
図13〜図15は、サポート装置90を説明する。サポート装置90は、ワーク保持機構50に装着された状態のワークWを、回転可能に支持する。つまりサポート装置90は、ワークWの突出部分の側面を回転可能に支持する。図13に示すようにサポート装置90は、サポートブロック91とワーク押え92を備える。サポートブロック91は、ワークWを回転可能に支持するサポート部材である。詳しくはサポートブロック91は、ワーク保持機構50がワークWを保持する状態において、ワークWの側面を下方から支持(ガイド)する。ワーク押え92は、ワークWの回転を許容しつつ、ワークWをサポートブロック91に押し付けるように押圧する。その結果、ワーク押え92は、サポートブロック91がワーク軸心C2の位置を規定する状態を維持させる。
本実施形態で、ワークWは、精密加工に多用されるシャンク径が3mm,4mm,または6mm用のもの用いるが、もちろんこれに限定されない。超精密化はますます進行しており、3mm未満のもの、例えば1mm、あるいは0.5mmでは、本願の発明は更に好適に提供できる。つまり本実施形態が好適に適用可能なシャンク径の範囲は、たとえば0.5mm〜6mであると言えるし、またそれ未満のものでも、本願の発明が適用できるのはいうまでもない。一方、これ以上太い径の工具では、一般に切削などの加工圧が大きいため、十分なメリットを生かすことができないが、工具に限らず、太い径の丸棒状の材料に精密な加工を施す場合には、本発明を適用できる。
<< 調整方法 >>
(調整の前提)
まず、本願発明の工作機械の調整方法の前提として、各部分の調整の精度は高ければ高いほどよいことはいうまでもない。少なくとも主軸軸心C1の傾きが小さく、いわゆるスリコギ運動が、目標とする振れよりも十分小さいことが前提となる。更に、コレット51自体の精度も同様に目標とされる振れよりも十分に小さいことが前提である。そして、主軸軸心C1と、ワーク軸心C2とが、十分に高い精度で平行に調整されることが要求される。
調整前に、C軸調整ネジ42bは既に4本とも緩められているはずであるが、もし締め付けられていれば緩めておく。
図18のフローチャートは、本実施形態の調整方法の概略を示す。
操作者は、以下のように工具研削盤20の調整方法をおこなう。まず操作者は、初期設定としてワークWが装着されるか判断し(ステップS1)、装着されていない場合(ステップS1においてNO)はワークWを装着する(ステップS2)。C軸調整ネジ42bが4本とも締められているか確認し(ステップS3)、C軸調整ネジ42bが4本とも締められていない場合(ステップS3においてNO)は、仮締めをする(ステップS4)。
フローティング規制解除手順の後、ワーク主軸40を回転させてワークWの振れを測定する(ステップS9)、ワークWの振れが目標範囲外(ステップS9においてNO)であったら、軸心位置調整手順(ステップS5)からもう一度、調整をやり直す。
(調整の具体例)
以下、調整の詳細について説明する。ワークWの芯出し調整は、工具研削盤20の出荷時や、研削するワークWのサイズを変更する時、またはコレット51やサポートブロック91を交換した時にも行なうことができる。
まず、操作者は手動パルサー17(図1)をハンドル送りすることによって、B軸を機械座標+90.0000(度)まで移動させる。つまり、図2に示すように、工具研削盤20を正面から見て、ワークヘッド23の先端が右向きになる方向とする。調整時は、実際に加工するワークWを用いても良いが、ここでは、目標の精度を予め確認したテストピースである芯出し用ツールTPを、ワークWに替えてコレット51に差し込み、奥の突き出し調整バー81に突き当てる。NC制御装置操作盤16(図1)のチャックボタンを押すと、コレット開閉部材74が後退し、芯出し用ツールTPがコレット51にチャックされる。このときサポート装置90全体は、下降させないでそのままの位置を保つようにする。
図17に示すように、ダイヤルゲージ27を、マグネットなどによって砥石台(工具主軸台)26に取外可能に取付ける。ダイヤルゲージ27は、回転状態の芯出し用ツールTPの側面の位置を計測し、計測値の最大値と最小値を読取ることができるような状態にセットする。手動パルサー17(図1)をハンドル送りすることによって砥石台26を微動させ、ダイヤルゲージ27を芯出し用ツールTPに近付ける。ダイヤルゲージ27の先端を、ワーク保持機構50からの芯出し用ツールTPの突出部分の基端の真上に当てる。手動パルサー17(図1)のジョグ送りによってスピンドル41(C軸)を回転させながら、ダイヤルゲージ27の指針の振れを読む。ダイヤルゲージの指針の振れが、目標値(例えば0.5μm)以下となるよう、C軸調整ネジ4本をそれぞれ緩めたり締めたりしてワーク軸心C2の位置を調整し、所定位置で締め込んで固定する。つまり、ワーク主軸40が一回転する間におけるダイヤルゲージ27の計測値の最大値と最小値を読取り、そして計測値が最大値と最小値の平均値になるように、ワーク主軸40に対するワークWの径方向位置を調整する。このとき、C軸調整ネジ42bは、4本すべてを軽く締めておく。1本でもC軸調整ネジ42bが緩んでいると、調整にズレが生じる。
ハンドル送りによってワーク主軸40をC軸回りに回転させながら、ダイヤルゲージ27の指針の振れの最大値を読み記録する。ダイヤルゲージの指針の振れが最大となる位置でC軸を停止させ、サポートホルダ固定ネジ95を2本とも仮締めする。ダイヤルゲージ27の指針がごく僅かに振れるまで、上下調整ネジ96を手で反時計回りに回して締める。上下調整ネジ96を反時計回りに回すと、サポートブロック91が上昇して芯出し用ツールTPを押し上げる。サポートホルダ固定ネジ95を2本とも本締めする。
NC制御装置操作盤16のサポートボタンを操作して、ワーク押え92を下降させると、図16に示す位置から、図17に示す位置にワーク押え92が下降して、芯出し用ツールTPをサポートブロック91に押え付ける。すわなち、サポート調整手順の後、ワーク押え92によって芯出し用ツールTPを押圧することによって、サポートブロック91による芯出し用ツールTPの軸心(C2)の位置の規定を維持する。この手順が、本願のサポートロック手順に相当する。
以上のように、C軸調整ネジ42bを締め、且つワーク押え92がサポートブロック91をロックした状態で、ワークWの振れが目標値よりも下回ったら、フローティング状態を再開する。この場合、サポートブロック91がワークWをサポートしているため、芯出し用ツールTPの軸心(C2)は安定する。よって、C軸調整ネジ42bの4本すべてを緩めることによって、フローティング機構の機能を発揮させる。本実施形態では、フローティング機構によるワークWの調整範囲(作動範囲)は極めて狭く、フローティング機構は極小な動きであるため、サポートブロック91に負荷されるストレスはほとんどゼロになる。C軸調整ネジ42bを緩める手順は、サポートロック手順の後、C軸調整ネジ42bによるフローティングの規制を解除するフローティング規制解除手順に相当する。
以上で本願の芯出し調整は完了し、次に水平方向位置の調整を行う。水平方向位置の調整は、サポートブロック微調ネジ94bを調節することによって、サポートブロック91を水平方向に移動させることによって行う。本実施形態の芯出し調整(S1〜S9)が完璧になされる場合でも、たとえばB軸とC軸が同一平面上に位置する状態において互いに完全に直角に交わっていない場合、旋回テーブル22を180度反転したときに誤差が生じる。本実施形態はフローティング機構を備えるため、完全に芯出しした後でも、他の誤差に起因するズレの調整が可能である。水平方向位置の調整は、B軸に対するワーク軸心C2のズレを修正しつつ、フローティング量を極力小さくすることによって、ワークW(芯出し用ツールTP)の振れを小さくすることを目的としている。
次に、ハンドル送りによってY軸を−方向に移動させ、ダイヤルゲージ27の先端を、芯出し用ツールTPの外径部先端の真横に当てる。ハンドル送りによってY軸を移動させながら、ダイヤルゲージ27の指針の振れの最大値を読み、書き留める。つまり、180度反転後のワークWの側面の位置を計測し、反転後計測値を得る。
(i) サポートブロック固定ネジ94aを緩める。
9÷2=4.5、
−8+4.5=−3.5。
その後に再び、ハンドル送りによってY軸を+方向に移動させ、ダイヤルゲージ27の先端を芯出し用ツールTPから離す。ハンドル送りによってB軸を機械座標−90.0000まで移動させる。ダイヤルゲージ27の先端を芯出し用ツールTPの外径部先端の真横に当てる。ハンドル送りによってC軸を回転させながら、ダイヤルゲージ27の指針の振れを読む。ダイヤルゲージ27の指針の振れが目標範囲内であることを確認する(ステップS11)。目標範囲内ではない場合(ステップS11においてNO)、芯出し用ツールTPの芯出し調整を初めからやり直す。
このように、芯出し用ツールTPの先端と基端の両方において測定をおこない、芯出し用ツールTPの振れが小さくなるように調整する。また、上下調整ネジ96によってサポートブロック91の鉛直方向位置を調整するだけでなく、旋回テーブル22を180度回転後の計測値も計測することによって、サポートブロック微調ネジ94bによるサポートブロック91の水平方向位置の調整もおこなう。つまり、180度反転前と反転後という互いに対向したB軸のポジションにおいて、測定と調整をおこなうことによって、更に精度が向上する。
上記実施形態の工作機械及びその調整方法は、以下の利点を得る。
(2)まず、軸心位置調整手順によってC軸調整ネジ42bを締めこんでフローティング機構の機能を規制した状態で、C軸調整ネジ42bを調整することによってワーク軸心C2を主軸軸心C1に極力一致させる。更に、サポート調整手順で、サポートブロック91をこの一致させた位置のワークWに当接するように調整する。そしてサポートロック手順によってワーク押え92でワークWを押え、ワークWの位置を維持する。その上で、フローティング規制解除手順によって、C軸調整ネジ42bを緩めてフローティング規制を解除することによって、フローティングの機能を発揮させる。
このため、フローティング機構の可動範囲を小さくでき、フローティング機構を極めて小型にすることができる。
したがって、フローティング機構は軽く、フローティング機構の動きも極めて小さくすることができる。ゆえにワークWやフローティング機構の重心の移動もほとんど生じないため、ワークWの回転バランスを崩したり、大きなイナーシャを生じさせたりすることがない。このようなことから、本実施形態では、フローティングチャック自身は、ワークWの振れの原因にはならない。
(4)ワーク主軸40の変位には影響を受けずに微細に変位させることが可能な砥石台26に、ダイヤルゲージ27を配置する。よって、工作機械のNC制御システムを利用して、ワークWの変位を測定できる。このようにして、ワークWの絶対位置を測定し、ズレが生じる方向を測定し、このズレを消去するように調整する。このことによって、ワーク軸心C2を主軸軸心C1に一致するように調整できる。この手順を繰返すことによって、ワーク軸心C2を主軸軸心C1に更に正確に一致させることができる。
(7)実際の加工対象となるワークに替えて、精度の高いテストピース(芯出し用ツールTP)を用いて芯出し調整することによって、更に精度の高い調整を行なうことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
ワーク軸心固定部としてのC軸調整ネジ42bは、4本であることに限らず、3本あるいは5本以上でもよい。また、ワーク軸心固定部はC軸調整ネジ42bであることに限らず、ピエゾ素子、機械的なクサビ、油圧によるコントロールなどのように、ワーク軸心C2の変位を許容する許容状態と、ワーク軸心C2の変位を固定する固定状態とに切換可能なものであればよい。
Claims (20)
- 工作機械(20)の調整方法であって、前記工作機械(20)は、
回転駆動されるワーク主軸(40)と、
丸棒状のワーク(W)を保持するワーク保持機構(50)であって、前記ワーク(W)は軸心であるワーク軸心(C2)と、前記ワーク(W)が前記ワーク保持機構(50)によって保持された状態で前記ワーク保持機構(50)から突出する突出部分とを有し、前記突出部分は前記ワーク軸心(C2)の周りを囲む側面を有することと、
前記ワーク主軸(40)の回転を前記ワーク保持機構(50)に伝達するフローティング機構(48,52,53,60)であって、前記フローティング機構(48,52,53,60)は、前記ワーク主軸(40)に対する前記ワーク保持機構(50)の変位を許容するように前記ワーク保持機構(50)を支持することと、
前記フローティング機構(48,52,53,60)を一時的に規制することによって、前記ワーク軸心(C2)の位置を前記ワーク主軸(40)に対して任意の位置において固定するワーク軸心固定部(42b)と、
前記ワーク保持機構(50)が前記ワーク(W)を保持する状態において、前記ワーク(W)の前記側面を回転可能に支持するサポート部材(91)と、
前記サポート部材(91)が前記ワーク(W)を支持する位置を調整するサポート位置調整部(90)と
前記ワーク(W)を前記サポート部材(91)に押し付けるように前記ワーク(W)を押圧することによって、前記サポート部材(91)が前記ワーク軸心(C2)の位置を規定する状態を維持するサポートロック部(92)と
を備え、
前記調整方法は、
前記ワーク保持機構(50)が前記ワーク(W)を保持し且つ前記サポート部材(91)は前記ワーク(W)を支持していない状態で、前記ワーク主軸(40)を回転させながら前記ワーク(W)の前記側面の振れを計測し、前記振れが最小になるように前記ワーク軸心固定部(42b)を調整する軸心位置調整手順(S5)と、
前記ワーク軸心固定部(42b)によって前記ワーク主軸(40)に対する前記ワーク軸心(C2)の位置を固定した状態のまま、前記サポート部材(91)が前記ワーク(W)を支持するように前記サポート位置調整部(42b)を調整するサポート調整手順(S6)と、
前記サポート調整手順の後、前記サポートロック部(92)によって前記ワーク(W)を押圧するサポートロック手順(S7)と、
前記サポートロック手順の後、前記ワーク軸心固定部(42b)による前記フローティング機構(48,52,53,60)の規制を解除するフローティング規制解除手順(S8)と
を含むことを特徴とする、工作機械(20)の調整方法。 - 前記工作機械(20)は工具主軸台(26)と、前記工具主軸台(26)に取外可能に取付けられるダイヤルゲージ(27)とを備え、
前記軸位置調整手順は、
前記ダイヤルゲージ(27)を用いて前記ワーク(W)の前記側面の位置を計測することによって、前記ワーク主軸(40)が一回転する間における前記ダイヤルゲージ(27)の計測値の最大値と最小値を読取ることと、
前記計測値が前記最大値と前記最小値の平均値になるように、前記ワーク主軸(40)に対する前記ワーク(W)の径方向位置を調整することと
を含む、請求項1に記載の調整方法。 - 前記調整方法は更に、前記フローティング規制解除手順(S8)の後に行う水平調整(S10)を含み、前記ワーク主軸(40)の軸心を主軸軸心(C1)と称し、
前記水平調整(S10)は、
前記主軸軸心(C1)に対して水平方向の、前記ワーク(W)の前記側面の位置を計測することによって、反転前計測値を得ることと、
前記主軸軸心(C1)が180度反転するように前記ワーク主軸(40)を反転させることと、
反転後の前記ワーク(W)の前記側面の位置を計測することによって、反転後計測値を得ることと、
前記計測値が前記反転前計測値と前記反転後計測値の平均値になるように、前記サポート部材(91)を水平方向に移動させることと
を含む、請求項2に記載の調整方法。 - 前記最大値と前記最小値は、前記ワーク(W)の先端において計測される、請求項2又は3に記載の調整方法。
- 前記ワーク(W)に替えて、予め目標精度を備えるテストピース(TP)が用いられる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の調整方法。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の調整方法によって調整可能な工作機械(20)であって、前記工作機械(20)は、
回転駆動されるワーク主軸(40)と、
丸棒状のワーク(W)を保持するワーク保持機構(50)であって、前記ワーク(W)は軸心であるワーク軸心(C2)と、前記ワーク(W)が前記ワーク保持機構(50)によって保持された状態で前記ワーク保持機構(50)から突出する突出部分とを有し、前記突出部分は前記ワーク軸心(C2)の周りを囲む側面を有することと、
前記ワーク主軸(40)の回転を前記ワーク保持機構(50)に伝達するフローティング機構(48,52,53,60)であって、前記フローティング機構(48,52,53,60)は、前記ワーク主軸(40)に対する前記ワーク保持機構(50)の変位を許容するように前記ワーク保持機構(50)を支持することと、
前記フローティング機構(48,52,53,60)を一時的に規制することによって、前記ワーク軸心(C2)の位置を前記ワーク主軸(40)に対して任意の位置において固定するワーク軸心固定部(42b)と、
前記ワーク(W)の前記側面を回転可能に支持するサポート部材(91)と、
前記サポート部材(91)が前記ワーク(W)を支持する位置を調整するサポート位置調整部(90)と
前記ワーク(W)を前記サポート部材(91)に押し付けるように前記ワーク(W)を押圧することによって、前記サポート部材(91)が前記ワーク軸心(C2)の位置を規定する状態を維持するサポートロック部(92)と
を備える、工作機械(20)。 - 前記ワーク軸心固定部(42b)は、前記ワーク保持機構(50)を囲む円周上に位置するように前記ワーク主軸(40)に配置される複数のネジ(42b)を備え、
各々の前記ネジ(42b)は前記ワーク主軸(40)から前記ワーク軸心(C2)に向かって進出することによって前記ワーク保持機構(50)に当接し、前記ネジ(42b)は回動させられて前記ワーク主軸(40)から前記ワーク軸心(C2)への進出量が調整されることによって、前記ワーク主軸(40)に対する前記ワーク保持機構(50)の相対位置の変化を許容する状態と、相対位置の変化を規制する状態とに切換可能である、請求項6に記載の工作機械(20)。 - 前記ワーク主軸(40)は、前記主軸軸心(C1)と直交する直線に対して平行に延びる直線状の溝である主軸溝(43b)を有し、
前記ワーク保持機構(50)は、前記ワーク軸心(C2)と直交する直線に対して平行に延びる直線状の溝である保持溝(52f)を有し、
前記フローティング機構(48,52,53,60)は、板状部材であるクロスガイド(64)を備え、
前記クロスガイド(64)は第1クロス面(64a)とその反対側の第2クロス面(64b)とを有し、
前記第1クロス面(64a)は前記主軸溝(43b)に対向する第1クロス溝(64e)を有し、
前記第2クロス面(64b)は、前記保持溝(52f)に対向する第2クロス溝(64f)を有し、前記ワーク軸心(C2)の方向から見て前記第2クロス溝(64f)は前記第1クロス溝(64e)と直交し、
前記フローティング機構(48,52,53,60)は更に、前記第1クロス溝(64e)に列状に配置される複数の第1クロスボール(63)と、前記第2クロス溝(64f)に列状に配置される複数の第2クロスボール(65)とを有し、
前記第1クロスボール(63)と前記第2クロスボール(65)がそれぞれ転動することによって、前記主軸軸心(C1)と直交する方向への前記ワーク軸心(C2)の変位が許容される、請求項6又は7に記載の工作機械。 - 前記主軸溝(43b)、前記保持溝(52f)、前記第1クロス溝(64e)、および前記第2クロス溝(64f)はそれぞれ断面V字状のV溝である、請求項8に記載の工作機械。
- 前記第1クロス面(64a)は前記第1クロス溝(64e)を複数列だけ有し、
前記第2クロス面(64b)は前記第2クロス溝(64f)を複数列だけ有する、請求項8又は9に記載の工作機械。 - 前記フローティング機構(48,52,53,60)は、
前記ワーク主軸(40)に設けられる第1主軸面(42c)と第2主軸面(47b)であって、前記第1主軸面(42c)と前記第2主軸面(47b)はそれぞれ平面であることと、
前記ワーク保持機構(50)に設けられる第1保持面(52c)と第2保持面(53c)であって、前記第1保持面(52c)と前記第2保持面(53c)はそれぞれ前記ワーク軸心(C2)と直交することと、
前記第1保持面(52c)と前記第1主軸面(42c)の間に配置される複数の第1予圧ボール(62)と、
前記第2保持面(53c)と前記第2主軸面(47b)の間に配置される複数の第2予圧ボール(66)と、
前記ワーク主軸(40)に設けられる付勢部(45)であって、前記付勢部(45)は前記ワーク保持機構(50)を支持すべく前記第1予圧ボール(62)と前記第2予圧ボール(66)を付勢し、前記ワーク保持機構(50)は前記ワーク主軸(40)に対して前記ワーク軸心(C2)と直交する方向への変位のみが許容される、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の工作機械。 - 前記第1主軸面(42c)、前記第2主軸面(47b)、前記第1保持面(52c)、および前記第2保持面(53c)はそれぞれ環状であり、
前記第1予圧ボール(62)と前記第2予圧ボール(66)はそれぞれ環状に配置される、請求項11に記載の工作機械。 - 前記付勢部(45)はネジであり、前記ネジ(45)が前記第1予圧ボール(62)と前記第2予圧ボール(66)を付勢する付勢力は調整可能である、請求項11又は12に記載の工作機械。
- 前記工作機械は更に、前記ワーク主軸(40)と前記ワーク保持機構(50)の間に配置される環状の弾性体からなるオイルシール(61,67)を備え、
前記オイルシール(61,67)は、前記ワーク保持機構(50)の軸心(C2)が前記主軸軸心(C1)に近づくように前記ワーク保持機構(50)に求心性を付与する、請求項6乃至請求項13のいずれか1項に記載の工作機械。 - 前記サポート部材(91)は、V字溝を有するVブロックによって構成される、請求項6乃至請求項14のいずれか1項に記載の工作機械。
- 前記工作機械は工具研削盤(20)である、請求項6乃至15のいずれか1項に記載の工作機械。
- 前記ワーク(W)はエンドミルまたはドリルのワークである、請求項6乃至16のいずれか1項に記載の工作機械。
- 前記エンドミルまたは前記ドリルの先端の工具径の範囲は0.001mm〜6.00mmである、請求項17に記載の工作機械。
- 前記エンドミルまたは前記ドリル(W)のシャンク径の範囲は0.5mm〜6mmである、請求項17又は18に記載の工作機械。
- 回転駆動されるワーク主軸(40)と、
丸棒状のワーク(W)を保持するワーク保持機構(50)であって、前記ワーク(W)は軸心であるワーク軸心(C2)と、前記ワーク(W)が前記ワーク保持機構(50)によって保持された状態で前記ワーク保持機構(50)から突出する突出部分とを有し、前記突出部分は前記ワーク軸心(C2)の周りを囲む側面を有することと、
前記ワーク主軸(40)の回転を前記ワーク保持機構(50)に伝達するフローティング機構(48,52,53,60)であって、前記フローティング機構(48,52,53,60)は、前記ワーク主軸(40)に対する前記ワーク保持機構(50)の変位を許容するように前記ワーク保持機構(50)を支持することと、
前記フローティング機構(48,52,53,60)を一時的に規制することによって、前記ワーク軸心(C2)の位置を前記ワーク主軸(40)に対して任意の位置において固定するワーク軸心固定部(42b)と、
前記ワーク(W)の前記側面を回転可能に支持するサポート部材(91)と、
前記サポート部材(91)が前記ワーク(W)を支持する位置を調整するサポート位置調整部(90)と
前記ワーク(W)を前記サポート部材(91)に押し付けるように前記ワーク(W)を押圧することによって、前記サポート部材(91)が前記ワーク軸心(C2)の位置を規定する状態を維持するサポートロック部(92)と
を備える、工作機械(20)。
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