JP4833144B2 - マルチパス到来方向測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、デジタル伝送やデジタル放送で問題となるマルチパス干渉波の到来方向を測定するマルチパス到来方向測定装置に関し、特にOFDM信号のGI(ガードインターバル)を越える遅延時間差のマルチパス波の到来方向を正確に測定するマルチパス到来方向測定装置に関する。
従来の技術において、電波の到来方向を測定する方法としては、N本(Nは2以上の整数)のアンテナを用いたアダプティブアレーアンテナを用いて、アレー合成時の各ブランチの重み係数から電波の到来角度を測定する方法が知られている。特許文献1〜3には、この方法を用いた制御装置あるいは制御システムが開示されている。
また、指向性を持つアンテナを回転させて電波の受信電力を測定し、到来角度を測定する方法も知られている。特許文献4には、この方法を用いた装置が開示されている。
特開平10−290112号公報 特開2003−124856号公報 特開2004−357315号公報 特開2000−304839号公報
しかしながら、上記特許文献4に示されるような、指向性アンテナを回転させて電波の到来方向を測定する方法では、指向性アンテナの回転に時間を要するために、時間的に変動する電波の到来方向を正確に測定することが困難であり、また、指向性アンテナの周波数によって異なる指向特性を予め正確に知っておく必要があった。
また、上記特許文献1〜3に示されるような、アダプティブアレーアンテナを用いた到来角度測定法においては、測定可能なマルチパス波の到来角度は、希望波を含めて最大N波までであり、多数のマルチパス波の到来角度を測定する場合、測定したいパスの数だけアンテナが必要となるためシステムが大きくなってしまうという欠点があった。
さらに、従来の測定技術においては、電力の大きな希望波や干渉波を測定することが目的であるため、これらの方法において電力の低いマルチパスの到来方向を正確に測定することは困難であった。
本発明は、上記の課題認識に基づいて行なわれたものであり、指向性アンテナを回転させる必要がなく、少ない数のアンテナで多数のマルチパス波の到来方向を正確に測定することの出来るマルチパス到来方向測定装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、電力の低いマルチパス波の到来方向をも正確に測定することの出来るマルチパス到来方向測定装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、OFDM信号におけるGIを越えるマルチパス波の到来方向をも測定可能なマルチパス到来方向測定装置を提供することを目的とする。
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様によるマルチパス到来方向測定装置は、2系統の受信アンテナからの信号を、同期した局発を用いて、それぞれ周波数変換して出力する2つの周波数変換部と、各々の前記周波数変換部からの出力信号を、同期したサンプリングクロックを用いて、それぞれサンプリングすることによってデジタル信号に変換して出力する2つのAD(アナログ/デジタル、Analog-to-Digital)変換部と、各々の前記AD変換部からの出力信号をそれぞれ直交復調して複素の等価ベースバンド信号に変換して出力する2つの直交復調部と、前記直交復調部からの出力信号のうちのいずれか1系統の信号を用いて周波数誤差の検出と前記AD変換部におけるサンプリングクロック誤差の検出とシンボルタイミングの検出を行ない、これら検出した前記周波数誤差と前記サンプリングクロック誤差と前記シンボルタイミングとに基づき、それぞれの系統についてサンプリングクロックのタイミング補正を行なう2つの同期部と、各々の前記同期部からの出力信号に基づき、それぞれ、マルチパス波の影響による周波数特性の乱れを等化するとともに等化に用いた周波数特性を出力する2つの等化部と、各々の前記等化部からの出力信号を、それぞれ、主波に対する到来時間差を示す複素の遅延プロファイルに変換して出力する2つの遅延プロファイル算出部と、各々の前記遅延プロファイル算出部からの前記複素の遅延プロファイルに基づき、それぞれ、各遅延時間における位相を算出して出力する2つの位相特性算出部と、2つの前記位相特性算出部からの出力信号に基づき各系統の位相を減算することによって、前記遅延プロファイルの各遅延タップにおける受信アンテナ間での位相差を算出して出力する位相差算出部と、前記位相差算出部から出力される位相差に基づき主波に対するマルチパス波の到来角度差を算出する到来角度差算出部とを備えることを特徴とする。
この構成では、「受信アンテナ−周波数変換部−AD変換部−直交復調部−同期部−等化部−遅延プロファイル算出部−位相特性算出部」が2系統存在する。各系統の受信アンテナは、同じ特性を有する。また、各系統の周波数変換部は同期した(つまり、同一または完全に同期した)局発を用いて周波数変換する。各系統のAD変換部は、同期した(つまり、同一または完全に同期した)サンプリングクロックを用いてサンプリングを行なう。各系統の直交復調部は、同期した(つまり、同一または完全に同期した)局発を用いて直交復調する。これで得られた複素の等価ベースバンド信号に基づき、同期部によるサンプリングクロックのタイミング補正が行なわれ、さらに等化部はマルチパス波の影響によって受けた周波数特性の乱れを等化する。また、各系統の遅延プロファイル算出部は、主波に対する到来時間差を示す複素の遅延プロファイル(インパルス応答)を出力する。また、各系統の位相特性算出部は、各遅延時間における位相を算出して出力する。2系統からのこれらの出力に基づき、位相差算出部は、減算により、遅延プロファイルの各遅延タップにおける受信アンテナ間での位相差を算出する。この位相差は、各受信アンテナ間において主波とのマルチパス波の到来時間差による相違によって生じるものである。到来角度差算出部は、算出された位相差に基づき、また被測定信号の中心周波数と、2系統の受信アンテナの配置の間隔とを用いて、幾何学的な演算を行なうことにより主波との到来角度差を算出することが出来る。
また、本発明の一態様によるマルチパス到来方向推定装置は、前記等化部が、前記同期部からの出力信号に基づき時間領域の係数を算出し、前記時間領域の係数のポイント数を拡張するとともに前記時間領域の係数を先行波と遅行波に分割して、拡張された前記時間領域の係数に基づきフーリエ変換を行って、直交周波数多重(OFDM)信号のガードインターバルを越える遅延時間差のマルチパス波等化用の周波数領域のデータを算出し、該周波数領域のデータに基づき前記マルチパス波を等化する構成としたことを特徴とする。
これにより、ガードインターバルを越える遅延時間差のマルチパス波の到来方向をも正確に測定することができる。
[3]また、本発明の一態様によるマルチパス到来方向測定装置においては、前記等化部が、前記同期部からの出力信号に基づく周波数領域の信号を用いた複素の除算を行なう第1の複素除算部と、前記第1の複素除算部による除算結果から1シンボル分データを抽出する1シンボル抽出部と、抽出された前記1シンボル分データに基づき領域判定を行なう領域判定部と、対応する周波数毎に前記1シンボル分データを前記領域判定の結果で除す複素の除算を行なうことによって周波数特性を算出する第2の複素除算部と、算出された前記周波数特性に基づき窓誤差を補正して出力する窓誤差補正部と、前記窓誤差補正部からの出力に基づき前記第1の複素除算部における等化残差の周波数特性を算出する等化残差算出部と、前記等化残差の周波数特性を逆フーリエ変換して等化残差のインパルス応答を出力する逆フーリエ変換部と、前記等化残差のインパルス応答に基づき、当該インパルス応答の絶対値が所定の閾値より小さいか否かに応じて時間領域の係数を算出する係数算出部と、前記係数算出部によって算出された時間領域の係数をフーリエ変換して受信信号の周波数特性を出力するフーリエ変換部とを備え、前記第1の複素除算部は、前記周波数領域の信号を前記フーリエ変換部からの出力である受信信号の周波数特性で除算するものである。
この構成は、直交周波数多重(OFDM)信号のガードインターバルを越える遅延時間差のマルチパス波をも等化する構成である。
[4]また、本発明の一態様によるマルチパス到来方向測定装置は、主波の遅延時間が0、振幅が1、位相が0となるように補正して遅延プロファイルを算出するとともに、複数回算出した遅延プロファイルを平均化し、算出したマルチパス波の到来角度差に含まれるノイズを抑圧して出力することを特徴とする。
この構成により、遅延プロファイルは、主波の遅延時間が0、振幅が1、位相が0となるように常に補正されて算出される。そして、複数回算出した遅延プロファイル、および、マルチパス到来方向を平均化して出力する。これにより、前記AD変換部などに用いられるクロックや前記周波数変換部の局発などの誤差により生じる遅延プロファイルの測定誤差を補正する。その結果、遅延プロファイル上のノイズだけを低減し、電力の低いマルチパスの到来方向を正確に測定することも可能となる。
本発明によれば、固定して設置される2本のアンテナだけで複数のマルチパスの到来角度を測定することが可能となる。測定のためにアンテナを回転させる機構が必要なく、また、測定の際にアンテナを回転させるための時間もかからない。
また、本発明によれば、OFDM信号におけるGIを越えるマルチパス波の影響で符号間干渉が生じて従来は測定できなかった、マルチパス波の遅延時間および到来方向をも測定可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態によるマルチパス到来方向測定装置の機能構成を示すブロック図である。図示するように、このマルチパス到来方向測定装置は、受信アンテナ11および21、周波数変換部12および22、AD(Analog-to-Digital)変換部13および23、直交復調部14および24、同期部15および25、等化部16および26、遅延プロファイル算出部17および27、位相特性算出部18および28、位相差算出部31、到来角度算出部32、表示部33、データ保存部34を含んで構成される。
受信アンテナ11および21は、被測定電波を受信し、受信信号を出力する。なお、到来角度の測定で使用する複数の受信アンテナは、周波数特性や指向特性などが異なると測定データに対して特性を揃えるための較正を行う必要があるため、特性の同じアンテナを用いることが望ましい。また、2本のアンテナだけを用いて到来方向を測定する場合、その角度範囲は最大で±90度までとなり前後の到来方向の区別がつかないため、本発明によるマルチパス到来方向測定装置で使用する受信アンテナは、アンテナ指向特性のバックローブの利得が小さくかつメインローブの半値角の広い指向性アンテナを用いることが望ましい。また、アンテナの配置は、受信アンテナ11と受信アンテナ21とを結んだ直線の鉛直方向が、受信アンテナのメインローブ方向となるように配置し、そのアンテナ間隔が、被測定信号の半波長からなるべく1波長以内となるように配置する。また、後に述べる等化部における処理が正確に行われるように、マルチパス到来方向の測定に際しては予め、受信アンテナのメインローブ方向が主波(最も受信電力の大きな電波)となるように方向調整する。ここで、受信アンテナ11および21で受信した被測定信号の中心周波数をf(Hz、ヘルツ)、受信アンテナ11と受信アンテナ21の配置の間隔をd(m、メートル)、電波の伝搬速度である光速をc(≒3×10m/s)とすると、測定可能なマルチパスの到来角度差の最大値θMAXは、式(1)で示される。
Figure 0004833144
ここで、asin()は、アークサイン(逆正弦、arcsine)の関数であり、−π/2から+π/2の範囲の値(単位:ラジアン)を出力する。
式(1)は、測定可能なマルチパスの到来角度差の範囲が−θMAXから+θMAXであることを示している。また、式(1)よりdが半波長の場合、θMAXがπ/2(=90度)となることが分かる。
周波数変換部12および22は、それぞれ、受信アンテナ11および21からの信号をAD変換するのに都合の良い周波数に変換(ダウンコンバート)して出力する。なお、周波数変換部12と22において周波数変換に使用するローカル(局発)は同じである(同期している)必要があり、図1に示す構成においては、周波数変換部12のローカルを分配して周波数変換部22に入力して使用している。ローカルはこのように同一のものを用いても良いし、完全に同期していれば別系統のものを用いても良い。
AD変換部13および23は、それぞれ、周波数変換部12および22から出力される信号をAD変換(アナログ/デジタル変換)してデジタル信号として出力する。ここで、AD変換に用いるサンプリングクロックは、AD変換部13および23でタイミングの一致した同一のクロックを使用する。図示する構成においては、AD変換部13のクロックを分配してAD変換部23に入力して使用している。
直交復調部14および24は、それぞれ、AD変換部13および23からサンプリングされた信号を直交復調して、I(実数)およびQ(虚数)の複素の等価ベースバンド信号に変換して出力する。さらに、必要であれば、等価ベースバンド信号の所要のサンプリングクロックにまでダウンサンプリング処理(間引き処理)を行って出力する。なお、直交復調に使用するローカルは、直交復調部14と24で同一のものを使用する。
同期部15および25は、それぞれ、直交復調部14および24から出力される信号に基づき、周波数同期、シンボル同期およびクロック同期を行い、入力信号に対して周波数誤差の補正やAD変換部のサンプリングクロックのタイミング補正(リサンプル処理)を行って出力する。つまり、同期部15は、直交復調部14および24からの出力信号のうちのいずれか1系統の信号を用いて周波数誤差の検出と前記AD変換部におけるサンプリングクロック誤差の検出とシンボルタイミングの検出を行ない、これら検出した前記周波数誤差と前記サンプリングクロック誤差と前記シンボルタイミングとに基づき、それぞれの系統についてサンプリングクロックのタイミング補正を行なう。同期部における周波数同期の情報を周波数変換部12および22にフィードバックしたり、また、クロック同期の情報をAD変換部13および23のサンプリングクロックにフィードバックしたりすることも可能である。
等化部16および26は、それぞれ、同期部15および25からの信号がマルチパスの影響によって受けた周波数特性の乱れを等化するとともに、等化に用いた周波数特性の情報を出力する。なお、本実施形態では、等化部16および26は、直交周波数多重信号のガードインターバルを越える遅延時間差のマルチパス波をも等化する構成としている。
以下で、図2を参照しながら、等化部の詳細について説明する。なお、等化部については、下記参考文献も参照されたい。
参考文献1 特開2003−143099号公報
参考文献2 特開2004−343546号公報
参考文献3 今村,渋谷,「周波数領域型ガードインターバル越えマルチパス等化器の室内実験」,映情学技報,BCT2005-95,Sept.2005
図2は、等化部16の詳細な機能構成を示すブロック図である。図2に示す構成は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数分割多重)信号を用いた地上デジタル放送方式であるISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial)に本発明を適用した場合の形態である。
図2に示すように、等化部16は次の各部を含んで構成される。つまり図2において、601は窓処理部、602はFFT部、603は複素除算部(第1の複素除算部)、604は1シンボル抽出部、605はパイロット等化部、606は領域判定部、607はMER(Modulation Error Ratio、変調誤差比)算出部、608は複素除算部(第2の複素除算部)、609は窓誤差補正部、610は主波成分算出部、611は等化残差演算部、612はIFFT部(逆フーリエ変換部)、613はノイズ閾値設定部、614は係数加算部(係数算出部)、615は遅延部、616は等化範囲設定部、617はFFT(フーリエ変換部)部をそれぞれ示す。
窓処理部601は、同期部15からのシンボル同期の情報を用いて、復調する1シンボルが中心付近に配置されるようにして、1シンボル期間の2のm乗(mは自然数)倍となるポイント数の複素のデータを抽出してFFT部602へ出力する。
図3は、窓処理部601による窓処理の例を示す概略図であり、ISDB−Tのモード3で、m=2の場合の例であり、通常のFFTポイント数が8192(以下8kと記す)、窓処理部601による抽出データ数が通常のFFTポイント数の4(=2)倍の32768(以下32kと記す)となっている。図示する例では、窓処理部601は、復調するシンボル#iが中心付近に配置され、その前後の期間(シンボル#i−2の一部、シンボル#i−1の全部、シンボル#i+1の全部、シンボル#i+2の一部)を含んで、合計32kポイントの複素データを出力する。
図2に戻り、FFT部602は、前記窓処理部601から出力されたデータをFFT(高速フーリエ変換)して周波数領域のデータに変換して出力する。図3に示した例のように窓処理部601で32kポイントの複素のデータを抽出する場合は、FFT部602も32kポイントのFFTを行い32k分の周波数領域のデータを出力する。
複素除算部603は、前記FFT部602からの出力を分子、FFT部617からの出力を分母として対応するそれぞれの周波数毎に複素の除算を行い、その結果を出力する。複素除算部603の演算は、FFT部602からの出力をFFT部617からの周波数特性で等化することに相当する。FFT部602からの出力をF32k、FFT部617からの出力をE32k、複素除算部603の出力をFEQとすると、複素除算部603における演算は、下記の式(2)で示される。
Figure 0004833144
なお、E32kの初期値は全ての周波数において1であり、複素除算部603の動作1回目は入力されたF32kがそのまま出力される。
1シンボル抽出部604は、複素除算部603の出力をフィルタ処理して、前記の復調する1シンボル分だけの周波数領域データを抽出して出力する。1シンボル抽出部604におけるフィルタ処理は、複素除算部603の出力を一旦IFFT(逆高速フーリエ変換)し、窓処理部601において図3に示したように中心付近に配置された復調する1シンボルだけを抽出し、その1シンボルをFFTして通常のFFTポイント数のデータにして出力するように構成する。ここで、1シンボル抽出部604の出力をF8kとする。
または、1シンボル抽出部604は、フィルタ処理に時間領域において復調する1シンボル部分だけを抽出するような矩形窓の特性となる周波数領域のFIR(Finite Impulse Response、有限インパルス応答)フィルタを用い、そのFIRフィルタの出力を2のm乗分の1にダウンサンプリング処理するような構成にしてもよい。
パイロット等化部605は、1シンボル抽出部604の出力に含まれているパイロット信号などのトレーニング信号を用い、1シンボル抽出部604の出力を等化して出力する。ISDB−Tの場合、パイロット信号として送信信号が既知のSP(スキャッタードパイロット)が周波数方向に12キャリア毎に挿入されており、受信したSPを送信信号で複素の除算を行うことでSPのキャリア位置における周波数特性を算出することができる。
図4は、SPの配置例を示す概略図である。図4において、縦軸は時間(シンボル)であり、横軸は周波数である。図示する配置例では、あるシンボルにおいて、SPが周波数方向に12キャリア毎に挿入されており、それ以外のキャリアにはデータが割り当てられている。また、シンボルごとに、SPが挿入されるキャリアは適宜変更されている。
図2に戻り、パイロット等化部605は、このSPから算出した周波数特性を内挿補間した周波数特性で1シンボル抽出部604からの信号を等化(複素除算)して出力する。SPから算出した周波数特性を内挿補間した周波数特性をFSP、パイロット等化部605の出力をRとすると、パイロット等化部605における演算は下記の式(3)で示される。
Figure 0004833144
領域判定部606は、パイロット等化部605の出力を各キャリアの変調方式に従って領域判定(硬判定)し、その判定値を送信信号の推定値として出力する。各キャリアの変調方式は、ISDB−Tの場合、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)と呼ばれる制御情報を伝送するためのキャリアを参照することで知ることが出来る。ここで、領域判定部606の出力をRとする。
MER算出部607は、パイロット等化部605の出力と領域判定部606の出力から、MER(変調誤差比)を算出して出力する。このMERの値はパイロット等化部605の出力の信号品質の目安となる。MER算出部607においては、下記の式(4)によりMERが算出される。
Figure 0004833144
複素除算部608は、シンボル抽出部604の出力を分子、領域判定部606の出力を分母として対応するそれぞれの周波数毎に複素の除算を行い、その結果を出力する。この演算は、領域判定部606の出力を送信信号の推定値とした全キャリアにおける周波数特性の算出であり、複素除算部608の出力をFRESとすると、式(5)で示される。
Figure 0004833144
窓誤差補正部609は、複素除算部608の出力の周波数特性において、1シンボル抽出部604における時間領域の1OFDMシンボル分のデータの抽出位置が有効シンボル期間からずれることによって生じる周波数位相特性の誤差分を補正して出力する。1OFDMシンボル分のデータの抽出位置と有効シンボル期間のずれ量(窓誤差)は、複素除算部608の出力を周波数位相特性に変換し、その周波数位相特性の一次傾斜(傾き)の成分を最小二乗法などによる直線近似で算出する。なお、この一次傾斜の算出は、パイロット等化部605においてSPから算出した周波数特性FSPからも算出することができる。FSPから一次傾斜を算出することの利点は、SPがGI(ガードインターバル)を越えるマルチパスの干渉によって領域判定部606で生じる判定誤りを回避できることと、SPだけのデータで算出できるため演算量を減らすことが出来ることである。窓誤差補正部609は、算出した一次傾斜を打ち消す(傾きをなくす)ように複素除算部608の出力の周波数特性を補正して出力する。ここで、窓誤差補正部609の出力をFとする。窓誤差補正部609における処理の詳細については、特許第3851017号公報も参照されたい。
主波成分算出部610は、窓誤差補正部609の出力の平均値を算出してその値を主波(最も受信電力の大きな電波)の成分として出力する。窓誤差補正部609の出力の平均値が主波成分となるのは、窓誤差補正部609において周波数位相特性の一次傾斜を除去するように処理を行うことで、主波成分を遅延プロファイル上の遅延0の位置となるように正確に補正したためであり、このため主波成分を周波数特性の直流成分である平均値で算出することが可能となる。主波成分算出部610の出力は、演算に用いたキャリア数をK、主波成分をDとすると、式(6)で示される。例えば、ISDB−Tのモード3の場合、K=5617となる。
Figure 0004833144
等化残差演算部611は、窓誤差補正部609の出力と主波成分算出部610の出力から複素除算部603における等化の誤差成分である等化残差の周波数特性を算出して出力する。等化残差の周波数特性をEとすると、等化残差演算部611の出力は式(7)で示される。
Figure 0004833144
IFFT部612は、等化残差演算部611から出力される等化残差の周波数特性EをIFFTし、等化残差のインパルス応答に変換して出力する。IFFTを示す関数をIFFT[]、サンプリングクロックで決まるインパルス応答の時間を示すタップ値をt(ISDB−Tモード3の場合、0≦t≦8191)、等化残差のインパルス応答をerr(t)とすると、IFFT部612の出力は式(8)で示される。
Figure 0004833144
IFFT出力のインパルス応答(遅延プロファイル)は、よく知られているように、t=0以降に遅延波が、tが最大値(ISDB−Tモード3の場合8191)より前に折り返って先行波が出力される。
ノイズ閾値設定部613は、IFFT部612の出力の等化残差のインパルス応答に含まれるノイズ成分を除去するために、そのノイズの閾値を算出して出力する。ノイズ閾値の算出法は、MERから求める方法と、直接等化残差のインパルス応答から求める方法の2通りがあり、どちらか一方を使用する。
MERから算出される等化残差のインパルス応答のノイズレベルnMERは、主波のレベルを1とし、領域判定部606における判定誤りがない理想的な状態においては、式(9)で示される。
Figure 0004833144
しかし、実際には領域判定部606において雑音による判定誤りが生じるため、nMERは、式(9)で求められる値よりも若干(数dB(デシベル))大きな値となるように補正する。
IFFT部612の出力の等化残差のインパルス応答から直接ノイズレベルを算出する場合、インパルス応答のレベルの最も低くなる部分を抽出して、その部分の平均値を等化残差のインパルス応答のノイズレベルとする。通常、先行波側の遅延時間差の最も大きくなる付近にはマルチパスが存在しないため、GIを越えるマルチパス波のインパルス応答は、この付近のレベルが最も低くなる。従って、先行波側の遅延時間差の最も大きくなる付近の百から千ポイントのインパルス応答の平均値を等化残差のインパルス応答のノイズレベルとすればよい。ISDB−Tのモード3の場合、主波からの遅延時間が−400μ秒から−300μ秒(ここでマイナスは先行波を示す)付近のデータを用いればよい。ノイズレベルを算出する先頭のデータのポイントをT、平均するポイント数をJとすると、等化残差のインパルス応答から算出したノイズレベルnerrは式(10)で示される。
Figure 0004833144
式(9)および(10)から求めたノイズレベルはいずれもノイズの平均レベルを示しており、実際のノイズはこの値より電力で5から10dB程度大きな値のピークが存在する。このノイズのピークも除去するために、ノイズ閾値設定部613で設定するノイズの閾値は、式(9)および(10)によって求めた値よりも、電力で5dBから10dB大きな値を設定する。すなわちノイズ閾値設定部613の出力nthは、式(11)または(12)式で示される。
Figure 0004833144
Figure 0004833144
式(11)および(12)において、ofsはノイズのピークマージンのdB値を示し、先程述べた5(dB)から10(dB)に相当する程度の値を設定するのがよい。
なお、MERの値が0.01(20dB)程度よりも大きくなると、式(9)での算出値と等化残差のインパルス応答のノイズレベルの誤差が大きくなる場合があるため、測定における受信電界が低いような場合では、式(10)をインパルス応答のノイズレベルとして採用した方がよい。
係数加算部614は、複素除算部603で用いたFFT部617からの周波数特性の元となる時間領域の係数にIFFT部612からの出力の等化残差のインパルス応答を加算して出力する。この際、ノイズ閾値設定部613で設定したノイズの閾値nthに従って新たな係数の算出を行う。遅延部615から出力される加算前の係数をw’(t)、係数加算の重み付け係数をμ(0<μ≦1)、ノイズ抑圧のための係数をα(0≦α≦1)とすると、係数加算部614から出力される新たな係数w(t)は、各タップ毎に式(13)で算出する。
Figure 0004833144
遅延部615は、係数加算部614から出力された係数w(t)を、1回の係数演算に要する時間だけ遅延させて、係数加算部614へw’(t)として出力する。
等化範囲設定部616は、係数加算部614から出力された通常のFFTポイント数分の係数を複素除算部603で使用するために2のm乗倍のポイント数に拡張して出力する。この際、通常のFFTポイント数分の係数を先行波と遅延波に分割して設定する。
図5は、等化範囲設定部616による先行波と遅延波の分割の一例を示す概略図である。図5に示す例では、ISDB−Tのモード3において通常のFFTポイント数である8kポイントの4倍の32kポイントに拡張する際に、先行波と遅延波の割合を3対5に設定している。なお、8kポイントを32kポイントに拡張する際に残る24k(24kは、24576)分のポイントのデータは「0」を挿入する。これにより主波よりも先行するマルチパス波は−378μ秒まで等化され、主波よりも遅延するマルチパス波は630μ秒まで等化されるように設定される。
FFT部617は、等化範囲設定部616から出力された通常のFFTポイント数の2のm乗倍のポイント数に拡張された係数を、通常のFFTポイント数の2のm乗倍のポイント数のFFTを行って出力する。FFT部617の入力が図5の例となる場合は、FFT部617から32kポイント分のGI越えマルチパス等化用の周波数領域のデータとして複素除算部603へ出力される。
以上、一連の動作をまとめると次の通りである。複素除算部603(第1の複素除算部)は、同期部15からの出力信号に基づく周波数領域の信号を用いた複素の除算を行なう。1シンボル抽出部604は、複素除算部603による除算結果から1シンボル分データを抽出する。領域判定部606は、抽出された前記1シンボル分データに基づき領域判定を行なう。複素除算部608(第2の複素除算部)は、対応する周波数毎に前記1シンボル分データを前記領域判定の結果で除す複素の除算を行なうことによって周波数特性を算出する。窓誤差補正部609は、算出された周波数特性に基づき窓誤差を補正して出力する。等化残差算出部611は、窓誤差補正部609からの出力に基づき複素除算部603における等化残差の周波数特性を算出する。IFFT部612(逆フーリエ変換部)は、等化残差の周波数特性を逆フーリエ変換して等化残差のインパルス応答を出力する。係数加算部614(係数算出部)は、等化残差のインパルス応答に基づき、当該インパルス応答の絶対値が所定の閾値より小さいか否かに応じて(式(13))時間領域の係数を算出する。FFT部617(フーリエ変換部)は、係数加算部614によって算出された時間領域の係数をフーリエ変換して受信信号の周波数特性を出力する。そして、前記の複素除算部603は、FFT部617からの出力である周波数領域の信号(受信信号の周波数特性)で、前記の同期部15からの出力信号に基づく周波数領域の信号を除算する。
以上、等化部16の詳細構成及び動作について、図2を参照しながら説明した。
なお、等化部26についても等化部16と同様の動作でよく、その詳細な説明は省略するが、本実施形態によるマルチパスの到来方向をさらに精度よく測定するためには、等化部16の窓誤差補正部609で算出したOFDMシンボル1個分のデータの抽出位置と有効シンボル期間のずれ量(窓誤差)の算出値を等化部26の窓誤差補正部へ出力し、等化部26の窓誤差補正部では、等化部16で算出した窓誤差の値を用いて窓誤差による一次傾斜を打ち消すように補正して出力するように構成する。
図1に戻って、遅延プロファイル算出部17および27は、それぞれ、等化部16および26で算出したGI越えマルチパスを等化するための係数から、受信信号の遅延プロファイルを算出して出力する。図2に示した構成の場合、等化部(16および26)の等化範囲設定部616の出力が遅延プロファイル算出部(それぞれ、17および27)へ出力されており、図5に示した分割例のように等化範囲設定部616で設定したマルチパスの先行波および遅延波に従って、遅延プロファイルの先行波および遅延波の範囲を設定して遅延プロファイル算出部(17および27)からの出力が行なわれる。なお、図2の構成の場合、等化範囲設定部616の出力が遅延プロファイル算出部に入力されているが、等化範囲設定部616におけるマルチパスの先行波および遅延波の設定範囲が遅延プロファイル算出部でも既知であれば、遅延プロファイル算出部への入力は、係数加算部614からの出力であってもよい。遅延プロファイル算出部17および27の出力は、基本的には式(13)で算出したw(t)と同じであり、マルチパスの先行波と遅延波の範囲が明確にされているに過ぎない。
つまり、遅延プロファイル算出部17および27は、それぞれ、等化部16および26からの出力信号を、主波に対する到来時間差を示す複素の遅延プロファイルに変換して出力する。
位相特性算出部18および28は、それぞれ、遅延プロファイル算出部17および28から出力される複素の遅延プロファイルの各遅延タップ(各遅延時間)における位相を算出して出力する。
遅延プロファイル算出部17の出力をw(t)、遅延プロファイル算出部27の出力をw(t)、位相特性算出部18の出力をp(t)、位相特性算出部28の出力をp(t)とすると、位相特性算出部18および28の出力は式(14)で示される。
Figure 0004833144
式(14)において、Re[]およびIm[]は、それぞれ複素数の実部および虚部を抽出する関数である。また、atan2[]はアークタンジェント(逆正接、arctangent)を算出する関数であり、−πから+πの範囲のラジアン単位の値を出力する。
位相差算出部31は、位相特性算出部18および28から出力された遅延プロファイルの各遅延タップにおける位相差を算出して出力する。ここで算出する位相差は、主波との到来角度差の相違による受信アンテナ11および21への電波の到来時間差によるものである。位相特性算出部18の出力をp(t)、位相特性算出部28の出力をp(t)、各遅延タップにおける位相差をδ(t)とすると、各遅延タップにおける位相差は、式(15)で示される。
Figure 0004833144
式(15)の演算において、δ(t)が±πの範囲を越える場合は、δ(t)が±πの範囲となるように、適宜2πを加減算するよう補正して出力する。この補正後の位相差算出部31の出力δ(t)は、式(16)で示される。
Figure 0004833144
つまり、位相差算出部31は、位相特性算出部18および28からの出力信号に基づき各系統の位相を減算することによって、遅延プロファイルの各遅延タップにおける受信アンテナ間での位相差を算出する。
到来角度算出部32は、位相差算出部31で算出した遅延プロファイルの各遅延タップにおける位相の位相差を、主波との到来角度差(主波に対するマルチパス波の到来角度差)に変換して出力する。
図6は、マルチパス波到来方向の測定原理を示す概略平面図である。図6において、11と21は受信アンテナであり、受信アンテナ11と21はdの間隔を置いて配置されている。φは受信アンテナ方向と主波の到来方向との角度差、θはマルチパス波と主波との到来角度差を示している。主波の到来方向との角度差は、受信アンテナ11の位置と受信アンテナ21の位置とを結んだ直線と垂直の方向(図6における上方向)を0度とし、その右側を正、左側を負と定義している。遅延プロファイルの各遅延タップにおける位相間の位相差から主波との到来角度差への変換は、各遅延タップにおける位相間の位相差が受信アンテナ11および21の到来時間差となるd・sin(φ)およびd・sin(φ+θ)となる角度を求めることで行っている。なお、等化部において主波成分の較正を行っているため、マルチパス波の到来方向θは主波の到来方向φと独立して算出することができる。
タップ番号tのマルチパス波と主波との到来角度差をθ(t)とすると、到来角度算出部32の出力θ(t)は、式(17)で示される。
Figure 0004833144
図6に示す主波の到来方向φは、等化部16および等化部26の主波成分算出部で算出された主波の値から求めることが出来る。具体的には、等化部16の主波成分算出部から出力される主波成分をD、等化部26の主波成分算出部から出力される主波成分をDとし、θ(t)を算出したのと同様に、DとDを基に式(14)から(17)と同様の処理手順によって、主波の到来方向φを算出する。
Figure 0004833144
式(18)で算出した主波の到来方向φは、受信アンテナ11および21の方向調整の誤差の補正にも用いることが出来る。受信アンテナ11および21の方向をφだけ方向調整することで、受信アンテナのメインローブ方向が主波となるように補正できる。
図1に戻って、表示部33は、到来角度算出部32で算出した遅延プロファイルの各遅延タップにおける位相の位相差θ(t)と主波との到来角度差φを可視化してモニター等に表示する。この際、遅延プロファイル算出部17および27から出力された遅延プロファイルの各遅延時間タップにおける電力値に応じて到来角度差の表示のプロットの大きさや色を変更するなどの重み付けをすることで、各遅延タップにおけるマルチパスの電力と到来角度差の情報を3次元的に表示でき、視認性を向上できる。
データ保存部34は、到来角度算出部32で算出した遅延プロファイルの各遅延タップにおける位相の位相差θ(t)と主波との到来角度差φを、例えば磁気ハードディスクや光ディスクやフラッシュメモリなどといった記録メディア等に保存する。
以上、本発明の最良実施形態によるマルチパス到来方向測定装置について説明した。本発明は、GIを越えるマルチパスを等化するアルゴリズムを導入することにより、通常の測定法では正確に測定できないGIを越えるマルチパス波の到来方向を正確に測定することができる。
なお、上記の実施形態では、等化部において受信信号が連続して等化部に入力されるように説明したが、等化部の複素除算部603において、FFT部602から出力された1回分のデータに対して複数回の係数算出を行って算出した遅延プロファイルを収束させることで、マルチパス到来方向の測定精度を向上させることができる。
さらに、FFT部602から出力された別のデータに対しても複数回の係数算出を行って遅延プロファイルを算出し、それら複数のデータに対する遅延プロファイルを平均化することで遅延プロファイル上のノイズだけを低減し、電力の低いマルチパスの到来方向を正確に測定することが可能となる。この平均化を通常の遅延プロファイル測定の結果で行うと、AD変換部などに用いられるクロックや周波数変換部の局発などの誤差により遅延プロファイルに誤差が生じるため、正しく平均化できないという問題がある。しかし、本発明によるマルチパス到来方向測定装置では、等化部の窓誤差補正部609や主波成分算出部ならびに等化残差演算部にてそれらの誤差を補正して遅延プロファイルを算出しているため、精度よく平均化ができるという利点がある。
つまり、主波の遅延時間が0、振幅が1、位相が0となるように補正して遅延プロファイルを算出している。そして、複数回算出した遅延プロファイルを平均化し、算出したマルチパス波の到来角度差に含まれるノイズを抑圧して出力する。これにより、AD変換部などに用いられるクロックや前記周波数変換部の局発などの誤差により生じる遅延プロファイルの測定誤差を補正できる。そして、遅延プロファイル上のノイズだけを低減し、電力の低いマルチパスの到来方向を正確に測定すること算出することが可能となる。
なお、SFN(単一周波数ネットワーク)においては、各SFN局間の送信周波数に誤差があることがあるため、この平均化はSFN局間の送信周波数誤差の逆数となる周期よりも十分短い時間における平均化とする必要がある。
また、測定系のケーブル長などは各系統で同じであることが理想的であるが、実際は異なることが多い。よって、測定系のケーブル長などの相違による測定誤差を較正するために、本来受信アンテナが接続されている端子から同じ信号を分配して入力してマルチパス到来方向測定装置で算出した主波の到来方向φを、測定系の較正値として保存しておき、その後受信アンテナで測定した主波の到来方向の測定値から差し引くように構成する。ここで、主波成分によって較正されているため、マルチパス波の到来方向については測定系の較正は特に必要ない。
なお、上述した実施形態におけるマルチパス到来方向測定装置の一部、例えば、受信信号をデジタル的に処理する部分の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
本発明の実施形態によるマルチパス到来方向測定装置の機能構成を示すブロック図である。 同実施形態による等化部(16)の詳細な機能構成を示すブロック図である。 同実施形態による窓処理の例を示す概略図である。 ISDB−Tの場合のSP(スキャッタードパイロット)配置例を示す概略図である。 同実施形態における等化範囲設定部(616)による先行波と遅延波の分割の一例を示す概略図である。 同実施形態によるマルチパス波到来方向の測定原理を示す概略平面図である。
符号の説明
11,21 受信アンテナ
12,22 周波数変換部
13,23 AD変換部
14,24 直交変換部
15,25 同期部
16,26 等化部
17,27 遅延プロファイル算出部
18,28 位相特性算出部
31 位相差算出部
32 到来角度算出部
33 表示部
34 データ保存部
601 窓処理部
602 FFT部
603 複素除算部(第1の複素除算部)
604 1シンボル抽出部
605 パイロット等化部
606 領域判定部
607 MER算出部
608 複素除算部(第2の複素除算部)
609 窓誤差補正部
610 主波成分算出部
611 等化誤差演算部
612 IFFT部(逆フーリエ変換部)
613 ノイズ閾値設定部
614 係数加算部(係数算出部)
615 遅延部
616 等化範囲設定部
617 FFT部(フーリエ変換部)

Claims (4)

  1. 2系統の受信アンテナからの信号を、同期した局発を用いて、それぞれ周波数変換して出力する2つの周波数変換部と、
    各々の前記周波数変換部からの出力信号を、同期したサンプリングクロックを用いて、それぞれサンプリングすることによってデジタル信号に変換して出力する2つのAD変換部と、
    各々の前記AD変換部からの出力信号をそれぞれ直交復調して複素の等価ベースバンド信号に変換して出力する2つの直交復調部と、
    前記直交復調部からの出力信号のうちのいずれか1系統の信号を用いて周波数誤差の検出と前記AD変換部におけるサンプリングクロック誤差の検出とシンボルタイミングの検出を行ない、これら検出した前記周波数誤差と前記サンプリングクロック誤差と前記シンボルタイミングとに基づき、それぞれの系統についてサンプリングクロックのタイミング補正を行なう2つの同期部と、
    各々の前記同期部からの出力信号に基づき、それぞれ、マルチパス波の影響による周波数特性の乱れを等化するとともに等化に用いた周波数特性を出力する2つの等化部と、
    各々の前記等化部からの出力信号を、それぞれ、主波に対する到来時間差を示す複素の遅延プロファイルに変換して出力する2つの遅延プロファイル算出部と、
    各々の前記遅延プロファイル算出部からの前記複素の遅延プロファイルに基づき、それぞれ、各遅延時間における位相を算出して出力する2つの位相特性算出部と、
    2つの前記位相特性算出部からの出力信号に基づき各系統の位相を減算することによって、前記遅延プロファイルの各遅延タップにおける受信アンテナ間での位相差を算出して出力する位相差算出部と、
    前記位相差算出部から出力される位相差に基づき主波に対するマルチパス波の到来角度差を算出する到来角度差算出部と、
    を備えることを特徴とするマルチパス到来方向測定装置。
  2. 請求項1に記載のマルチパス到来方向測定装置において、
    前記等化部は、前記同期部からの出力信号に基づき時間領域の係数を算出し、前記時間領域の係数のポイント数を拡張するとともに前記時間領域の係数を先行波と遅行波に分割して、拡張された前記時間領域の係数に基づきフーリエ変換を行って、直交周波数多重信号のガードインターバルを越える遅延時間差のマルチパス波等化用の周波数領域のデータを算出し、該周波数領域のデータに基づき前記マルチパス波を等化する構成としたことを特徴とするマルチパス到来方向測定装置。
  3. 請求項2に記載のマルチパス到来方向測定装置において、
    前記等化部は、
    前記同期部からの出力信号に基づく周波数領域の信号を用いた複素の除算を行なう第1の複素除算部と、
    前記第1の複素除算部による除算結果から1シンボル分データを抽出する1シンボル抽出部と、
    抽出された前記1シンボル分データに基づき領域判定を行なう領域判定部と、
    対応する周波数毎に前記1シンボル分データを前記領域判定の結果で除す複素の除算を行なうことによって周波数特性を算出する第2の複素除算部と、
    算出された前記周波数特性に基づき窓誤差を補正して出力する窓誤差補正部と、
    前記窓誤差補正部からの出力に基づき前記第1の複素除算部における等化残差の周波数特性を算出する等化残差算出部と、
    前記等化残差の周波数特性を逆フーリエ変換して等化残差のインパルス応答を出力する逆フーリエ変換部と、
    前記等化残差のインパルス応答に基づき、当該インパルス応答の絶対値が所定の閾値より小さいか否かに応じて前記時間領域の係数を算出する係数算出部と、
    前記係数算出部によって算出された時間領域の係数をフーリエ変換して受信信号の周波数特性を出力するフーリエ変換部と、
    を備え、
    前記第1の複素除算部は、前記周波数領域の信号を前記フーリエ変換部からの出力である受信信号の周波数特性で除算するものである
    ことを特徴とするマルチパス到来方向測定装置。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載のマルチパス到来方向測定装置において、
    主波の遅延時間が0、振幅が1、位相が0となるように補正して遅延プロファイルを算出するとともに、複数回算出した遅延プロファイルを平均化し、算出したマルチパス波の到来角度に含まれるノイズを抑圧して出力することを特徴とするマルチパス到来方向測定装置。
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