JP4829479B2 - キャスト成形フィルム用組成物およびこれを成形してなるフィルム - Google Patents

キャスト成形フィルム用組成物およびこれを成形してなるフィルム Download PDF

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Description

本発明は、車両や二輪車、コンテナ、広告板、看板、交通標識などの外面に貼付されるフィルム、特に装飾性や印刷性、形状追随性に優れる非塩化ビニル系素材からなるフィルムに関し、また、このフィルムをキャスト成形により生成するためのキャスト成形フィルム用組成物に関する。
列車や自動車、コンテナなどの車体の外面や各種看板に意匠を施すために印刷や着色したフィルムが貼付されて使用される。この目的のフィルムとして、従来から塩化ビニル系フィルムが使用されてきているが、焼却処理して廃棄する際に塩化水素ガスやダイオキシンが発生する可能性がある。そこで、簡単な焼却設備で処理したとしても、塩化水素ガスやダイオキシンが発生するという問題が生じない低環境負荷型のフィルムが求められている。
塩化ビニル系フィルムに替わるフィルムとして、例えば、オレフィン系フィルム、ウレタン系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルム、フッ素樹脂系フィルム等がある。しかし、オレフィン系フィルムやフッ素樹脂系フィルムは印刷性に劣るという問題があり、ポリエステル系フィルムやアクリル系フィルムは車体などの三次元形状やビスなどの突起への形状追随性に欠けるという問題があり、ウレタン系フィルムは耐候性に劣るという問題がある。
アクリル−ウレタン共重合体を外装用フィルムに応用した例として、ポリウレタンポリ尿素樹脂とアクリル共重合体、アミノプラストを含有する架橋された樹脂材料が、特許文献1に開示されている。しかし、特許文献1に記載された樹脂材料によると、ホルムアルデヒドを発生する可能性のあるアミノプラストを使用するという環境上の問題があると共に、アミノプラストの反応性が高いためにキャスト成形時における原料液のポットライフが短く貯蔵安定性が悪いという問題がある。また、フィルムの柔軟性に劣るため、ウレタン系フィルムを積層することが必要であり、経済性に問題がある。なお、ウレタン系フィルムのみでは、車体などに貼付する際に、フィルム表面のほこりや汚れを除去するためにアルコールなどの溶剤を含浸した布などでフィルム表面を拭き清掃すると、フィルムの表面に傷が付き易く、耐溶剤性に問題がある。
特開2003−62938号公報
そこで、本発明では、高機能フィルムに好適な製法であるキャスト法により適度なポットライフを有して作業性よく成形でき、印刷性や形状追随性などの意匠性に優れ、耐候性に富み、耐溶剤性に優れる非塩化ビニル系フィルム用組成物とその成形フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、これらの課題を解決するために種々の検討を進めた結果、本発明に到達したものである。即ち、ビニル基を有するウレタンポリマーを形成した後、アクリル系モノマーと重合してアクリル−ウレタン共重合体を得て、更に架橋剤としてポリイソシアネート化合物を配合したキャスト成形フィルム用組成物を得て、これを用いてキャスト成形してフィルムを得ることが有効であることを見出し、本発明を完成した。
本発明において、具体的には、水酸基やチオール基などの活性水素基を有するビニル化合物とポリオール、イソシアネート化合物とを重付加反応させてビニル基含有ウレタンポリマーを得た後、アクリル系モノマーとラジカル重合させてアクリル−ウレタン共重合体を得る。更にポリイソシアネート化合物を加え、キャスト成形することにより架橋させて、本発明のフィルムを得る。
かくして、本発明によれば、ビニル基含有ウレタンポリマーとアクリル系モノマーとを重合してなるアクリル−ウレタン共重合体、ポリイソシアネート化合物および有機溶剤からなることを特徴とするキャスト成形フィルム用組成物が提供される。
また、本発明のキャスト成形フィルム用組成物においては、ビニル基含有ウレタンポリマーおよびアクリル系モノマーの全体量を基準(100質量%)として、ビニル基含有ウレタンポリマー29〜67質量%およびアクリル系モノマー71〜33質量%を重合してなるアクリル−ウレタン共重合体100質量部に対し、ポリイソシアネート化合物を0.3〜6質量部含有することが好ましい。
また、本発明によれば、本発明のキャスト成形フィルム用組成物をキャスト法により成形してなるフィルムが提供される。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物は、塩素化合物を含有しないアクリル−ウレタン系ポリマーを主成分としているので、低環境負荷型のフィルムを形成することができる。また、本発明のキャスト成形フィルム用組成物を成形してなるフィルムは、アクリル系ポリマーの耐候性とウレタン系ポリマーの柔軟性との両方の優れた点を保持し、三次元面やリベット面などへの形状追随性や印刷性、装飾性に優れている。
また、本発明のキャスト成形フィルム用組成物に、架橋剤としてポリイソシアネート化合物を配合することにより、その組成物をキャスト法により成形してなるフィルムは、溶剤不溶の架橋構造からなり、耐溶剤性と耐久性に優れている。更に、本発明のフィルムを成形する方法であるキャスト法においては、液体状のキャスト成形フィルム用組成物は層分離することがなく、また架橋剤を配合しても長時間のポットライフを保持することができ、成形作業性に優れているため、気泡やスジなどのない外観のよいフィルムを成形することができる。
本発明においては、三段階の反応を経て成形フィルムを得ることができる。即ち、有機ジイソシアネートおよび高分子量ポリオール、1個以上の活性水素と1個以上のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有するビニル化合物、必要に応じて鎖延長剤を反応することによって、ビニル基含有ウレタンポリマーを得る第一段階、次いでかかるビニル基含有ウレタンポリマー100質量部とアクリル系モノマー50〜250質量部(すなわち、ビニル基含有ウレタンポリマーおよびアクリル系モノマーの全体量を基準(100質量%)として、ビニル基含有ウレタンポリマー29〜67質量%およびアクリル系モノマー71〜33質量%)をラジカル重合して得られる有機溶媒に溶解したアクリル−ウレタン共重合体組成物を得る第二段階、更にポリイソシアネート化合物を加えて本発明のキャスト成形フィルム用組成物を得て、キャスト法により反応硬化させて本発明のフィルムを得る第三段階からなる。
<ビニル基含有ウレタンポリマーを得る第一段階>
第一段階において得られるビニル基含有ウレタンポリマーは、ラジカル重合性二重結合を1〜200当量/1000kg含有していることが好ましく、10〜100当量/1000kg含有していることが更に好ましい。二重結合の含有量が少なすぎる場合、アクリル系モノマーの共重合量が少なくなりウレタンポリマーとアクリル系ポリマーの相溶性が低下し、キャスト成形フィルム用組成物の安定性が悪くなり、塗膜性状が不良となる。また、二重結合の含有量が多すぎると、反応上二官能性のウレタンポリマーの比率が高くなり、第二段階におけるラジカル重合時に三次元化しやすいという傾向がある。ビニル基含有ウレタンポリマーの重量平均分子量は1万〜20万である。
第一段階において、ビニル基含有ウレタンポリマーを得るために用いられる1個以上の活性水素と1個以上のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有するビニル化合物としては、水酸基、メルカプト基、イミノ基、またはアミノ基を1個以上有するビニル化合物を用いることができる。具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン付加物(例えば、ダイセル化学工業社製のFA−1、FA−2、FA−3等)、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、などの活性水素基含有アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチルメタクリレートや2−アミノエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのカプロラクトン付加物(例えば、ダイセル化学工業社製のプラクセルFM−1、FM‐2D等)やメチルバレロラクトン付加物、エチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物、などの活性水素基含有メタクリル酸エステル;アリルアルコールやグリセリンモノアリルエーテル、水酸化液状ポリブタジエン(例えば、出光石油化学社製のもの)などのオレフィン系アルコール;アリルアミンやアミノ化液状ポリブタジエンなどのオレフィン系アミン;メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のラジカル重合性不飽和結合とイソシアネート基とを同一分子内に有するモノマーとグリセリンあるいはチオグリコールの付加物、チオグリコール酸などのメルカプトカルボン酸のアリルエステル;などを用いることができる。また、これらは2種類以上の混合物として用いることもできる。
中でも、2個以上の活性水素と1個以上のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物を用いることが好ましく、これにより、ウレタン樹脂主鎖中にペンダント状のラジカル重合性二重結合を導入することができ、ポリウレタン鎖にポリマーがペンダント状にグラフト鎖として導入することが可能となり、ウレタン樹脂本来の性質を生かして欠点をアクリル樹脂で補うことができる。
第一段階において、ビニル基含有ウレタンポリマーを得るために用いられる有機ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ω,ω’−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;p−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;等を用いることができる。また、これらは2種類以上の混合物として用いることもできる。中でも、耐候性を要求される用途で好ましいのは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)である。
第一段階において、ビニル基含有ウレタンポリマーを得るために用いられる高分子量ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、シリコンポリオール等を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、環状エーテルを開環重合して得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸等)またはその無水物と低分子量ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等)との重縮合によって得られるもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンセバケート等を用いることができ、また、低分子量ジオールへのラクトンの開環重合によって得られるもの、例えばポリカプロラクトン、ポリメチルバレロラクトン等を用いることができる。
ポリエーテル・エステルポリオールとしてはポリエステルグリコールに環状エーテルを開環重合したもの、ポリエーテルグリコールとジカルボン酸とを重縮合したもの、例えば、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等を用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、低分子量ジオールとアルキレンカーボネートまたはジアルキルカーボネートとから脱グリコールまたは脱アルコールによって得られるポリブチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等を用いることができる。
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等を用いることができる。
シリコンポリオールとしては、ポリジメチルシロキサンポリオール等を用いることができる。
ポリアクリルポリオールとしては、メチルメタクリレートやブチルアクリレートのような(メタ)アクリル酸エステルと2−ヒドロキシエチルメタクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレートとの共重合体等がある。例えば、日立化成工業社製ヒタロイド3001や大日本インキ社製ラストラゾールA−801等を用いることができる。
また、これらの高分子量ポリオールは、上記の2種類以上の混合物として用いることもできる。
高分子量ポリオールの重量平均分子量は、通常、200〜10000、好ましくは500〜6000である。分子量が小さすぎると柔軟性が乏しく、また大きすぎると機械的強度が低下する傾向がある。
尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール等も、一般にポリウレタン工業において公知のもので活性水素基を2個以上含有するものであれば、高分子量ポリオールに代えて、または高分子量ポリオールと共に、使用することができる。
有機ジイソシアネートと高分子量ポリオールの反応仕込量は、NCO/OH当量比で通常、0.8〜10、好ましくは0.9〜3である。この比が小さすぎるとハードセグメント量が少なく機械的強度が低くなる傾向がある。一方、大きすぎると溶解性が乏しく、また粘度も高くなる傾向がある。
第一段階において、ビニル基含有ウレタンポリマーを得るために、必要に応じて用いられる鎖延長剤としては、代表的には、低分子量ジオールまたは低分子量ジアミンを用いることができる。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノール−A等の芳香族系ジオール;N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン;等を用いることができる。
低分子量ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヒドラジン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;ピペラジン、シクロヘキサンジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂環族ジアミン;等を用いることができる。
これらの鎖延長剤は、2種類以上の混合物として用いることもできる。また、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオール類も、鎖延長剤として併用することができる。
更に、分子量を制御するために、上記鎖延長剤の一部をモノアミンやモノアルコールに置換することが可能である。モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等が挙げられる。
第一段階のビニル基含有ウレタンポリマーを得る反応において、ラジカル重合性二重結合の熱重合を防止するため重合禁止剤を用いることができる。重合禁止剤としては、メチルヒドロキノン、t−ブチルカテコール、クロラニル等のフェノール系化合物;ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン等のアミン類;塩化第2鉄、塩化第2銅等の高原子価金属塩;等が挙げられる。
ビニル基含有ウレタンポリマーの製造は、公知の方法に従い、ワンショット法、プレポリマー化法等によって行われる。溶融状態、バルク状態、または必要に応じて、ポリウレタンの当該工業界において常用の不活性溶剤(例えばトルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;ジメチルホルムアミド;ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;フルフラール等の極性溶剤;の1種または2種以上)を使用して、好ましくは100℃以下で、上記の配合条件範囲で各成分を均一に混合して行うことができる。
反応装置としては、上記の均一反応が達成できればいかなる装置でも良く、例えば撹拌装置の付いた反応釜やニーダー、一軸または多軸押出反応機等の混合混練装置を用いることができる。反応を促進するための触媒として、ポリウレタンの製造において常用される触媒を用いることができる。例えば、ジブチル錫ジラウレート等の金属触媒や鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系触媒、トリエチルアミン等の三級アミン触媒、ナトリウムメチラートなどの塩基触媒を用いることができる。
<アクリル−ウレタン共重合体組成物を得る第二段階>
次に、ビニル基含有ウレタンポリマーとアクリル系モノマーとを重合させる第二段階では、前記ビニル基含有ウレタンポリマーにアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを少なくとも含有するアクリル系モノマーを加え、更に重合開始剤を添加し、有機溶剤中でラジカル重合反応を行うのが好ましい。この際、ビニル基含有ウレタンポリマーの末端あるいは側鎖のビニル基はアクリル系モノマーとラジカル共重合し、アクリル−ウレタン共重合体が生成する。
第二段階における各原料の添加順序は、アクリル系モノマーと重合開始剤とを予め混合しておいたものをビニル基含有ウレタンポリマー溶液中に滴下する方法、ビニル基含有ウレタンポリマーとアクリル系モノマーとを仕込んだところへ溶媒で希釈した重合開始剤を滴下する方法、ビニル基含有ウレタンポリマーとアクリル系モノマーと重合開始剤とを予め混合しておき、これを反応系へ滴下する方法などいずれであってもよい。
第二段階においてアクリル−ウレタン共重合体組成物を得るために用いられるアクリル系モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−またはiso−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸エステル;アクリル酸;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−またはiso−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタアクリル酸エステル;メタクリル酸;等を用いることができる。
また、必要に応じて、上記アクリル系モノマーに他のビニル系化合物を併用することができる。他のビニル系化合物としては、スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、等を用いることができる。
本発明のアクリル−ウレタン共重合体に水酸基やイミノ基、アミノ基、カルボキシル基などのイソシアネート基と反応しうる活性水素基を持たせると、更に耐溶剤性や耐候性の向上が図られる。そのような活性水素基を含有させるために、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン付加体、2−ヒドロキシメタクリレートのカプロラクトン付加体などを、上記アクリル系モノマーと併用することが好ましい。
ビニル基含有ウレタンポリマーに付加させるアクリル系モノマーの量は、質量比でビニル基含有ウレタンポリマー/アクリル系モノマー=100/50〜100/250(すなわち、ビニル基含有ウレタンポリマーおよびアクリル系モノマーの全体量を基準(100質量%)として、ビニル基含有ウレタンポリマー29〜67質量%およびアクリル系モノマー71〜33質量%)が好ましく、100/70〜100/200(すなわち、ビニル基含有ウレタンポリマーおよびアクリル系モノマーの全体量を基準(100質量%)として、ビニル基含有ウレタンポリマー33〜59質量%およびアクリル系モノマー67〜41質量%)が特に好ましい。
ビニル基含有ウレタンポリマーとアクリル系モノマーとの重合は、通常の溶液重合法により、窒素等の不活性ガス気流下、有機溶剤中、重合開始剤を添加し、加熱して行われる。有機溶剤は、第一段階で必要に応じて用いられる不活性溶剤と同じものを用いることができる。また、有機溶剤は新たに追加することもでき、第一段階で必要に応じて用いられる不活性溶剤と同じ溶剤、または異なる溶剤を追加することができる。異なる有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;等を用いることができ、これらは2種類以上の混合物としても用いることができる。
重合時の樹脂固形分(ビニル基含有ウレタンポリマー量)は、5〜95質量%、好ましくは10〜80質量%である。
重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ジt−ブチル、クメンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物;等を用いることができる。ここで用いられる重合開始剤の量は、アクリル−ウレタン共重合体の重量平均分子量が2万〜50万、好ましくは3万〜20万となるように適宜選択されるが、通常、アクリル系モノマー(100質量部)に対して0.1質量部〜5質量部である。アクリル−ウレタン共重合体の分子量が低すぎると、耐候性や引張強度に劣り、他方、高すぎると、溶液の粘度が高くなりすぎ成形加工性に劣る。
また、重合温度は10〜140℃、好ましくは30〜120℃である。
<成形フィルムを得る第三段階>
上記の方法で得られるアクリル−ウレタン共重合体は柔軟で伸張性に優れた特性を持っているが、ある種の溶剤に可溶である。そこで第三段階として各種架橋剤を配合する。
架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ化合物、シラン化合物、金属キレート化合物等が挙げられるが、本発明では、液のポットライフを長くする観点から、ポリイソシアネート化合物を用いることが必須である。具体的には、p−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、およびこれらの3量体、水付加物、またはこれらの低分子量ポリオール付加物等を用いることができる。中でも、イソシアネートの平均官能基数が2.5〜4.0のものが好ましく、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のトリメチロールプロパン付加物(アダクト体)、ビウレット体、イソシアヌレート体またはその混合物若しくはその縮合物が、耐候性に優れる点で好ましい。
かかるポリイソシアネート化合物は、室温でのイソシアネートの反応性を抑制するために、エタノールやイソプロピルアルコール、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタムなどとイソシアネートを予め反応させたいわゆるブロック型イソシアネートとして用いることもできる。
これらのポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基に対してアクリル−ウレタン共重合体の活性水素基がモル比で2/1〜1/10(「活性水素基」/「イソシアネート基」)となるように、用いられることが好ましい。また、活性水素基を含有するアクリル−ウレタン共重合体100質量部に対して、ポリイソシアネート化合物を0.3〜6質量部、好ましくは、0.5〜3質量部用いるのが好ましい。
第三段階における高温での架橋反応を促進するために、本発明のキャスト成形フィルム用組成物には、通常用いられる公知の触媒を添加してもよい。具体的には、トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルなどの3級アミン;ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物;酢酸カリウムやオクチル酸カリウムなどの塩基;トリエチレンジアミンベースの酸でブロックした酸ブロック触媒;等を添加することができる。
また、本発明のキャスト成形フィルム用組成物のポットライフを伸ばすために、室温での反応遅延剤を併用することができる。反応遅延剤としては、シュウ酸や塩化ベンゾイル、安息香酸、アセチルアセトンなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物以外の架橋剤を併用することもできる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のごときエポキシ化合物;アセトキシシラン、アルコキシシラン、ケトキシムシラン、アミノシラン、アミノキシシラン等のシラン化合物;チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)等のアルコキシド;アセチルアセトナート、アシレート等の金属キレート化合物;等を併用することができる。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物には、必要に応じて他の樹脂を配合して、成形フィルムを得ることができる。併用される他の樹脂は前記アクリル−ウレタン共重合体に対してある程度の相溶性を有するものであれば公知の樹脂でよい。かかる他の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂とアクリル−ウレタン共重合体とのブレンド比率は、他の樹脂/アクリル−ウレタン共重合体の質量比で50/50〜0/100の範囲が好ましい。他の樹脂の割合が大きくなりすぎると、アクリル−ウレタン共重合体組成物による効果が乏しくなる。
上記アクリル−ウレタン系フィルムには、光安定剤(特にヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましい。)、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の安定剤を添加することが好ましく、これにより耐候性を大幅に改善することができる。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物には、必要に応じて充填剤、補強剤、可塑剤、難燃剤、離型剤、防黴剤等の添加剤を配合することができる。充填剤や補強剤の例としては、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス、骨粉、木粉、繊維フレーク等を挙げることができる。可塑剤の例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等を挙げることができる。難燃剤の例としては、クロロアルキルホスフェート、ジメチルホスホネート、アンモニウムポリホスフェート、有機臭素化合物等を挙げることができる。離型剤の例としては、ワックス、石鹸類、シリコンオイル等を挙げることができる。防黴剤の例としては、ペンタクロロフェノール、ペンタクロロフェノールラウレート、ビス(トリ−n−ブチル錫)オキシド等を挙げることができる。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物は、室温において液体状であり、固形分濃度が5〜80%、好ましくは10〜30%で、液の粘度が800〜10,000mPa・s(25℃)である。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物は、キャスト法によりフィルムに成形される。即ち、上記の架橋剤であるポリイソシアネート化合物を配合した液体状の、本発明のキャスト成形フィルム用組成物を、ポリエステルからなる離型性のある工程紙である支持体上に塗布した後、50〜200℃で数秒〜数十分間加熱することにより溶剤を蒸発させると共に架橋反応を進行させることにより、フィルムに成形される。
本発明のフィルムの構成としては、本発明によるアクリル−ウレタン共重合体のみからなる単層でも使用できるが、他のフィルム、例えば、アクリル系フィルムやウレタン系フィルムと積層して用いることもできる。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物を離型性のある工程紙に塗布する場合、その塗布方法は、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター、コンマコーター、リバースコーター、ナイフコーター、スプレーガン等の装置を用いて離型性のある工程紙に塗布する方法が挙げられる。また、積層フィルムを作成する場合における積層方法においても、上記塗布方法と同様の方法で行うことができる。
本発明のフィルムの厚み(積層フィルムとした場合は、全体の厚み)は、特に限定されないが、20〜250μmであることが好ましい。厚みが小さすぎる場合は、シートの腰(硬さ)が低くなり作業性が低下し、厚みが大きすぎる場合は、三次元面への追従性が悪くなる傾向がある。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「質量部」を表す。
<アクリル−ウレタン共重合体の作製>
(合成例1)
撹拌機と窒素ガス導入口、温度計、冷却機を備えた4口の反応容器に、アジピン酸とブタンジオールのポリエステルジオール(分子量600、大日本インキ化学工業社製、商品名ODX−2045)を67部、1,6−ヘキサメチレングリコールを3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを0.5部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を29部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を1部、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.02部、反応溶剤としてメチルエチルケトンを100部仕込み、窒素雰囲気下、80℃でイソシアネート基がなくなるまで反応させ、ビニル基含有ウレタンポリマー溶液200.5部を合成した。固形分含有率は50%で、粘度は15000mPa・s/25℃であった。結果を表1に示す。
(合成例2)
合成例1において得られたビニル基を有するウレタンポリマー溶液200.5部に、メチルメタクリレートを100部、ブチルアクリレートを20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2部、酢酸エチルを250部加え混合した後、アゾビスイソブチロニトリルを1部加え、80℃で3時間反応した後、更にアゾビスイソブチロニトリルを0.3部加え、80℃で2時間反応し、アクリル−ウレタン共重合体溶液を得た。この共重合体溶液の固形分含有率は38%であり、粘度は7000mPa・s/25℃であった。ビニル基含有ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの比は、100:121であった。結果を表1に示す。
(合成例3)
合成例2において、表1の組成に変えること以外は同合成例に従い、アクリル−ウレタン共重合体を得た。結果を表1に示す。
(合成例4)
撹拌機と窒素ガス導入口、温度計、冷却機を付けた4口の反応容器に、メチルメタクリレートを100部、ブチルアクリレートを20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2部、酢酸エチルを200部加え混合した後、アゾビスイソブチロニトリルを1部加え、80℃で3時間反応した後、更にアゾビスイソブチロニトリルを0.3部加え、80℃で2時間反応し、アクリル共重合体を得た。結果を表1に示す。
(合成例5〜8)
合成例2において、表1の成分の原料と量を用いること以外は同合成例に従い、アクリル−ウレタン共重合体を得た。結果を表1に示す。
Figure 0004829479
<評価方法>
(キャスト成形フィルム用組成物の粘度)
B型回転粘度計(東京計器製)により、温度25℃にて測定した。
(キャスト成形フィルム用組成物の粘度上昇率(ポットライフ))
組成物を100mlのガラスアンプルに貯蔵し、調合1時間後の粘度に対して25℃で48時間静置後の粘度との差の比を測定し、粘度上昇率を求める。(「48時間後の粘度」−「1時間後の粘度」)/(「1時間後の粘度」)×100(%)で表示した。
(100%モジュラス、破断強度、破断伸びの測定)
JIS K6251に準じてダンベル3号形状の試料を作成し、引張試験機(上島製作所製)を用いて、温度23℃(65%RH)、引張速度を500mm/minの一定速度にして測定した。ここで、100%モジュラスとは、100%伸びた時の応力をいい、破断強度とは、フィルムが破断した時の応力をいい、破断伸びとは、チャック間長さ(40mm)に対して、破断した時の試料の伸びた長さの比(%)をいう{(「破断時長さ」−「元の長さ」)/(「元の長さ」)×100(%)}。
(耐溶剤性)
イソプロピルアルコールを綿布に含浸させて荷重200gで3m/minの速度で50往復、15cmの距離のフィルム表面を擦った時における、フィルム表面の傷の付く程度を観察した。
評価基準:
◎全く傷なし、
○微かに傷発生、
△やや傷が発生、
×傷が多い。
(リベット形状追随性)
フィルムを高さ5mm、直径15mmの形状の金属リベットに貼りつけた後、1昼夜室温で放置してフィルムに浮きが発生するかを観察した。
評価基準:
◎浮きなく非常に良好、
○ほぼ浮きなく良好、
△少し浮き、
×明らかに浮き。
(耐候性(光沢保持率))
フィルムサンプルをスーパーキセノンウエザーメーター(スガ試験機製)で1000時間促進暴露し、暴露後の光沢値を分光測色計(ミノルタ社製、GM−060)により測定し、光沢の保持率(「光照射後の光沢」/「光照射前の光沢」×100(%))を求めた。暴露条件は、ブラックパネル温度63℃、キセノン照度120W/mにて112分照射と18分間散水の繰り返しサイクルとした。
<キャスト成形フィルム用組成物の製造とフィルムの成形>
(実施例1)
合成例2におけるアクリル−ウレタン共重合体100部を用いて、ポリイソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)アダクト体(旭化成製、商品名「デュラネート E402−90T」)を1部、ヒンダードアミン系光安定剤(チバガイギー社製、商品名「チヌビン622」)を0.2部、紫外線吸収剤(チバガイギー社製、商品名「チヌビン327」)を0.2部、高温反応促進触媒のジブチル錫ジラウレートを0.05部、室温での反応遅延剤のアセチルアセトンを5部、固形分濃度が25%となるように溶剤の酢酸エチルを51部加え、混合し、キャスト成形フィルム用組成物を得て、1時間後に粘度を測定した。更に、1夜静置した後にバーコーターを用いて離型性のある工程紙上に、上記のキャスト成形フィルム用組成物を塗布し、150℃で4分間乾燥硬化させて透明な厚さ40μmのフィルムを得た。
キャスト成形フィルム用組成物については、上記評価方法に従って、貯蔵安定性を判断するために、キャスト成形フィルム用組成物の粘度上昇率(ポットライフ)を測定した。また、成形されたフィルムについては、100%モジュラス、破断強度、破断伸び、耐溶剤性、リベット形状追随性、耐候性(光沢保持率)を測定した。これらの結果を、表2に示す。
(実施例2)
実施例1において、合成例3におけるアクリル−ウレタン共重合体を用いて、表2に示す配合量にて、キャスト成形フィルム用組成物を得て、実施例1と同様にしてフィルムを得た。組成物およびフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、ポリイソシアネート化合物の量を表2に記載の量に変えること以外は、実施例1と同様にしてキャスト成形フィルム用組成物およびフィルムを得た。組成物およびフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例4〜6)
実施例1において、表2に示すアクリル−ウレタン共重合体を用いて、表2に示す配合量にて、キャスト成形フィルム用組成物を得て、実施例1と同様にしてフィルムを得た。組成物およびフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1、2)
実施例1において、表2に示すアクリル−ウレタン共重合体を用いて、表2に示す配合量にて、キャスト成形フィルム用組成物を得て、実施例1と同様にしてフィルムを得た。組成物およびフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、表2に示す配合量にて、キャスト成形フィルム用組成物を得て、実施例1と同様にしてフィルムを得た。組成物およびフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例1において、ポリイソシアネート化合部に代えて表2に記載のアミノプラストを用いて、表2に示す配合量にて、キャスト成形フィルム用組成物を得て、実施例1と同様にしてフィルムを得た。組成物およびフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
実施例1において、合成例8におけるアクリル−ウレタン共重合体を用いて、キャスト成形フィルム用組成物を得て、実施例1と同様にしてフィルムを得た。組成物およびフィルムの評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004829479
<評価結果>
実施例1、2と比較例1、2の結果によると、アクリル−ウレタン共重合体のウレタン/アクリルの比が100/50〜100/250の好ましい範囲においては、リベット形状追従性および耐候性が共に良好で、バランスがとれていた(実施例1、2)。これに対して、比較例1、2においては、ウレタン成分のみでは軟らかくなりリベット形状追随性は良くなるが、耐溶剤性および耐候性が悪くなった(比較例1)。他方、アクリル成分のみでは、耐溶剤性および耐候性は良くなったが、リベット形状追随性は低下した(比較例2)。
実施例3と比較例3の結果によると、架橋剤であるポリイソシアネート化合物がないと耐溶剤性や耐候性が劣っていた(比較例3)。また、実施例3では、架橋剤の量が好ましい範囲にあり、リベット形状追随性および耐候性が共に良好で、バランスがとれていた。
実施例4〜6においては、いずれのキャスト成形フィルム用組成物およびこれを成形してなるフィルムも、良好な性能を示していた。
比較例4においては、ポリイソシアネート化合物を用いておらず、代わりにアミノプラストを用いているので液の粘度上昇が甚だしく、キャスト成形用組成物は固化してしまい、塗布できなかった。また、アミノプラストはメチル化メラミン樹脂であり、遊離ホルムアルデヒドを最大0.5%含有していた。
比較例5においては、ビニル基を含有しないウレタン系ポリマーを使用していることから、耐溶剤性と耐候性に劣っていた。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うキャスト成形フィルム用組成物およびこれを成形してなるフィルムもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (4)

  1. ビニル基含有ウレタンポリマーとアクリル系モノマーとを重合してなるアクリル−ウレタン共重合体、ポリイソシアネート化合物および有機溶剤からなり、
    前記アクリル−ウレタン共重合体がイソシアネート基と反応しうる活性水素を有することを特徴とするキャスト成形フィルム用組成物。
  2. 前記アクリル系モノマーが、アクリル酸エステル、アクリル酸、メタアクリル酸エステル、またはメタクリル酸のいずれかを含む、請求項に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
  3. ビニル基含有ウレタンポリマーおよびアクリル系モノマーの全体量を基準(100質量%)として、ビニル基含有ウレタンポリマー29〜67質量%およびアクリル系モノマー71〜33質量%を重合してなるアクリル−ウレタン共重合体100質量部に対し、ポリイソシアネート化合物を0.3〜6質量部含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のキャスト成形フィルム用組成物をキャスト法により成形してなるフィルム。
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