JP4826078B2 - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

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Description

この発明は、プレス成形における摺動性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき鋼板と比較して塗装性及び溶接性に優れることから、自動車や家電製品等に広く利用されている。
このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、プレス成形を施されて目的の用途に供される。しかし、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、冷延鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点を有する。これは合金化溶融亜鉛めっき鋼板とプレス金型との摺動抵抗が、冷延鋼板の場合に比較して大きいことが原因である。即ち、ビードと亜鉛系めっき鋼板との摺動抵抗が著しく大きい部分で、合金化溶融亜鉛めっき鋼板がプレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起こりやすい。
そこで亜鉛系めっき鋼板のプレス成形性を向上させる方法としては、一般に高粘度の潤滑油を塗布する方法が広く用いられている。しかしこの方法では、潤滑油の高粘性のために、塗装工程で脱脂不良による塗装欠陥が発生したり、またプレス時の油切れにより、プレス性能が不安定になる等の問題がある。前記問題を解決するには、潤滑油の塗布量を極力低減できることが必要であり、そのためには、合金化溶融亜鉛めっき鋼板自体のプレス成形性を改善することが必要となる。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板に亜鉛めっきを施した後、加熱処理を行い、鋼板中のFeとめっき層中のZnが拡散する合金化反応が生じることにより、Fe−Zn合金相を形成させたものである。このFe−Zn合金相は、通常、Γ相、δ1相、ζ相からなる皮膜であり、Fe濃度が低くなるに従い、すなわち、Γ相→δ1相→ζ相の順で、硬度ならびに融点が低下する傾向がある。このため、摺動性の観点からは、高硬度で、融点が高く凝着の起こりにくい高Fe濃度の皮膜が有効であり、プレス成形性を重視する合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、皮膜中の平均Fe濃度を高めに製造されている。
しかしながら、高Fe濃度の皮膜では、めっき−鋼板界面に硬くて脆いΓ相が形成されやすく加工時に、界面から剥離する現象、いわゆるパウダリングが生じ易い問題を有している。このため、特許文献1に示されているように、摺動性と耐パウダリング性を両立するために、上層に第二層として硬質のFe系合金を電気めっきなどの手法により付与する方法がとられている。
めっき皮膜を二層とすることは製造コストが余計にかかるという問題も有している。この問題を解決する方法として、特許文献2および特許文献3は、亜鉛系めっき鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施すことにより、ZnOを主体とする酸化膜を形成させて溶接性、または加工性を向上させる技術を開示している。
特許文献4は、亜鉛系めっき鋼板の表面に、リン酸ナトリウム5〜60g/lを含みpH2〜6の水溶液中にめっき鋼板を浸漬するか、電解処理、また、上記水溶液を散布することによりP酸化物を主体とした酸化膜を形成して、プレス成形性及び化成処理性を向上させる技術を開示している。
特許文献5は、亜鉛系めっき鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布処理、塗布酸化処理、または加熱処理により、Ni酸化物を生成させることによりプレス成形性および化成処理性を向上させる技術を開示している。
特許文献6は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に凹部を形成させることで、潤滑油を鋼板表面に保持しやすくし、プレス成形性を向上させる技術を開示している。
特許文献7、8は、発明を実施するための最良の形態の項で説明する。
特開平1−319661号公報 特開昭53−60332号公報 特開平2−190483号公報 特開平4−88196号公報 特開平3−191093号公報 特開平7−18402号公報 特許第2704070号公報 特開2000−226646号公報
しかしながら、上述した先行技術を合金化溶融亜鉛めっき鋼板に適用した場合、プレス成形性の改善効果を安定して得ることはできない。発明者らは、この原因について詳細な検討を行った。その結果、合金化溶融めっき鋼板はAl酸化物が不均一に存在することにより表面の反応性が不均一であること、及びめっき表面の粗さが大きいことが原因であることを見出した。即ち、上述した先行技術を合金化溶融めっき鋼板に適用した場合、表面の反応性が不均一であるため、電解処理、浸漬処理、塗布酸化処理及び加熱処理等を行っても所定の皮膜を表面に均一に形成することは困難であり、反応性の低い(Al酸化物量が多い)部分では膜厚が薄くなってしまう。また、めっき表面は合金化反応の不均一性およびFe−Zn合金相の形状により数ミクロン以上のマクロな凹凸が大きい。プレス成型時にプレス金型と直接接触するのは表面の凸部となるが、凸部のうち膜厚の薄い部分と金型との接触部での摺動抵抗が大きくなり、プレス成形性の改善効果が十分には得られない。
また、凹部を形成させる技術についても、これだけでは十分なプレス成形性が得られないことがわかった。これは、凹部には潤滑油が溜まり易いが、逆に摺動性に与える影響が大きい凸部には潤滑油が溜まりにくいという問題があるためと考えられる。
この発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、プレス成形における摺動性に優れた合金化溶融めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面に平坦部を設け、その平坦部に微細な凹凸を形成することで、高度に安定して優れたプレス成形性が得られることを知見した。本発明における粗さは先行文献に示されているめっき表面の粗さとはそのスケールにおいてまったく異質のものである。すなわち、先行文献(例えば特許文献7)ではめっき表面全体を対象としたマクロ粗さであり(例えば、数10mm×数10mmの範囲内の粗さ、Ra≧1μm)、本発明ではめっき表面上に形成された平坦部(典型的には数μm×数μm)内の微細凹凸(Ra≦10nm)を問題としている。
次に本発明を具体的に述べる。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、合金化処理時の鋼板−めっき界面の反応性の差およびFe−Zn合金の角張った形状により、めっき表面にマクロな粗さが存在している。このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板に平坦部を設ける。平坦部を設けることによって、めっき表面の凹凸を緩和し表面を平滑にすると同時にめっき表面の凸部を平坦にする。平坦部の形成方法は特に限定されないが、調質圧延と兼ねてもよい。このようにして形成された合金化溶融亜鉛めっき鋼板表面の平坦部は、プレス成形時に金型が直接接触する部分であるため、この平坦部の摺動抵抗を小さくすることが、プレス成形性を安定して改善することにつながるのである。
図1は、このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像である。図中で暗く見えるところが平坦部である。発明者らは平坦部の表面に微細な凹凸を形成させることにより鋼板の摺動抵抗が減少することを知見した。さらに、微細な凹凸の粗さパラメータと摩擦係数との関係を一つの指標として種々の微細凹凸について系統的な研究を行った結果、大きさや形状を制御して平坦部に微細凹凸を付与することが摺動抵抗の減少につながることを知見した。さらに、微細な凹凸のすべてあるいは一部をめっき皮膜のFe−Zn合金よりも高融点の物質、例えばZn主体の酸化物、で構成させることによりさらに優れた摺動抵抗低減効果が得られることがわかった。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものである。
第1発明は、Fe−Zn合金めっき相を少なくとも鋼板の片面に有し、かつ、めっき面に調質圧延によって平坦にされた平坦部を有するとともに、前記平坦部表面に、連続被覆層と該連続被覆層上の粒状突起物で形成される微細凹凸を有し、前記粒状突起物は直径が5nm以上500nm以下かつ高さが5nm以上500nm以下の範囲内の粒状突起物が、平坦部全体に対する面積率として30%以上存在し、前記微細凹凸の少なくとも凸部表面がZnまたはZnとFe及び/又はAlを含む酸化物及び/又は水酸化物からなることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
発明は、第発明において、前記連続被覆層と該連続被覆層上の粒状突起物で形成される微細凹凸を有する層は、ZnまたはZnとFe及び/又はAlを含む酸化物及び/又は水酸化物からなり、平均厚さが10nm以上、500nm以下であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
発明は、第1または発明において、めっき表面における平坦部の面積率が20%以上、80%以下であることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板はプレス成形時の摺動抵抗が小さく、安定して優れたプレス成形性が得られる。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のプレス成形性を向上させるためには、プレス成形時に金型が直接接触するめっき表面の摺動抵抗を低減することが必要である。めっき表面に平坦部を設けることにより、プレス成形時に金型が接触する表面の大部分をこの平坦部に限定することができる。その上で、この平坦部表面に微細な凹凸を形成させることが、摺動抵抗の低減に非常に有効である。
これは、1)微細凸部によりめっき表面の平坦部と金型との接点が分散され実接触面積が減少することによる効果(以下、接触面積分散効果)と、2)微細凹部が平坦部に潤滑油を保持する効果(以下、微小油溜効果)、によって平坦部と金型との摺動抵抗が低減するためと考えられる。従って、めっき鋼板全体が金型との間で滑り易くなり、プレス成型時の摺動性を格段に向上できるものと考えられる。
微細凹凸のサイズについては、粗さ曲線の凹凸の平均間隔(Sm)が700nm以下であると摺動抵抗の低減効果が顕著となり、Smは600nm以下であることがより望ましい。Smは基準長さ内の粗さ曲線の凹凸の間隔の平均値であり、次式で表される。
ここで、Smiは粗さ曲線の凹凸の間隔であり、nは基準長さ内の粗さ曲線の凹凸の間隔の数である。表面粗さの定義に関しては、日本工業規格の「表面粗さ−用語」B−0660に記載されており、(1)式は同B0660−1998より引用したものである。Smが大きくなると摺動抵抗の低減効果が顕著でなくなるのは、微細凹凸が少なく接触面積分散効果および微小油溜効果が低下するためと考えている。Smの下限は明確でないが、発明者らは100nmまでは十分なすべり性向上効果があることを確認した。
めっき表面の微細凹凸の形状を、粗さ曲線のスキューネス(Sk)を0.3以下とすることも摺動抵抗の低減効果がある。Skは0.2以下であることが望ましく、0以下であることがさらに望ましい。一方、Skの下限は明確ではないが、Skが−1.0まではすべり性の改善効果があることを確めてある。Skは凹凸の形状に関するパラメータで、粗さ曲線における標高の密度関数のひずみとして次式で与えられる。
ここで、Rqは粗さ曲線の二乗平均平方根粗さであり、yiは粗さ曲線上の変位である。また、nは粗さ曲線上のデータ点番号である。なお、(2)式は日本工業規格の「表面粗さ−用語」B−0660−1998から引用した。
図2は、スキューネス(Sk)と表面形状との関係を模式的に示す図で、(a)はSk<0、(b)はSk>0の状態を示している。(a)では凸部が潰れ、凹部が尖っており、(b)では凸部が尖り、凹部が潰れている。Skが0近傍、望ましくは0以下であることは、図2(a)に示したように、凸部が潰れ、凹部が尖っているような形状であることを示している。このような微細凹凸形状で表面の摺動抵抗が低減するのは、凸部がある程度丸みを持つことで、凸部が金型と接触する際に容易に壊れることを防止でき、凹部の形状が油保持に有利なためと考えられる。
本発明におけるめっき平坦部表面の上記以外の粗さパラメータは、典型的な範囲で、粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)が20nm以下、粗さ曲線の局部山頂の平均間隔(S)が200nm以下である。また、本発明で示した粗さのパラメータは、めっき表面を垂直な平面で切断したときに切り口に現れる輪郭、すなわち表面の断面曲線について規定したものである。
なお、特許文献7と特許文献8には、合金化溶融亜鉛めっき表面の形状の非対象的な高さ分布が有効であるとの知見が開示されているが、これらはめっき表面の数10mm内のマクロな粗さに関するものであって、例えば特許文献7では三次元平均粗さ(Sra)>0.7μmであることが開示されている。先に述べたようにめっき表面の平坦部(金型と直接接する)のなかでの微細な凹凸を問題とする本発明とは根本的に異なっている。
面内の二次元分布まで含めた微細凹凸の三次元構造については特に限定しない。発明者らは、少なくとも、等方的な形状を有する微細突起物がある表面、非等方的な形状を有する微細突起物が存在する表面、等方的なくぼみが存在する表面などを作製し、摺動抵抗が低減する効果を確認した。めっき表面の平坦部に、上記形状の微細凹凸が単独(1種類)で形成されていても良いし、また、複数の形状の微細凹凸が混在しても摺動抵抗が低減する効果は発揮される。
めっき皮膜の平坦部表面の微細凹凸の形態は特に限定されないが、微細凹凸は網目状構造や粒状突起物を主体とする場合、前記微細凹凸の表面凹凸形態を規定することによって、摺動抵抗を低減することができる。この場合、微細凹凸に占める前記微細凹凸の割合は、面積比で50%以上であることが好ましく、その割合は前記範囲でより高い方がより好ましい。
網目状構造の微細凹凸とは、凸部が不連続な凹部(網の目)を囲むように配置された構造で、微細で不連続な凹部が分散している。不連続な凹部とは、凹部が周囲の平均高さと5nm以上の高低差で隔てられた窪みのことである。周囲の凸部は同じ高さである必要はなく、ある程度の高さの変動があっても構わない。重要なことは、微細で不連続な凹部が分散していることである。この微細凹部が摺動方向に依存しない微小油溜として働き、凸部の接触面積分散効果と相まって、安定して平坦部の摺動抵抗を低下させる。そのため、めっき皮膜の平坦部表面の微細凹凸を網目状構造とすることで、安定して高い摺動抵抗低減効果を得ることができる。
めっき表面平坦部の網目状構造の微細凹凸の電子顕微鏡写真の例を図3(a)〜(c)に示す。網目状構造は、例えば、微細な針状、繊維状あるいは板状の物質が集まってその隙間に窪み(凹部)が形成されたものが含まれる。図3(a)は上から見て針状の物質(明るく見える部分)により網目状構造が形成された一例である。図3(a)で暗く見える部分が窪みである。また、表面に微細な孔が分散した構造も含まれる。図3(b)はその一例である。図3(b)で暗く見える部分が微細孔である。この例に示される網目状構造、特に図3(b)の構造は、微細凹凸の粗さ曲線のスキューネス(Sk)を小さくしやすいという利点もあるので、摺動抵抗の低減効果が特に高い。
ただし、すべての凹部が不連続である必要はなく、部分的に隣接する凹部同士が結合していたり、部分的に開放されていても構わない。後者の極端な場合、針状、繊維状あるいは板状の物質が、表面に分散されたように見える。図3(c)はその一例である。図3(c)でやや明るく見える部分が繊維状の物質である。このような微細凹凸でも、前記網目構造よりはやや劣るが、十分な摺動抵抗の低減効果を得ることができる。
前記で、不連続な凹部と記載したが、凹部は摺動時に油分子を一時的に保持できればよく、凹部同士に多少のつながりがあってもその影響は少なく、原子、分子レベルで部分的に凹部間がつながっていることは構わない。
摺動抵抗低減効果のある網目状構造の典型的な形態は、凹部の平面構造を円と仮定した場合、その平均直径として5nm〜500nm程度であり、凸部の平均高さは500 nm以下である。また、不連続な凹部の数は、1μm2当たり5個以上であることが望ましく、10個以上であることがより望ましい。
微細凹凸が微細な粒状突起物の場合、粒状突起物の大きさを規定することによって、摺動抵抗を低減することができる。
図4は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の平坦部の電子顕微鏡写真の例である。図4において、明るい灰白色の部分が平坦部表層に形成されている粒状突起物であり、例えば矢印先端には20nm程度の大きさの微細な粒状突起物が形成されている。
微細な粒状突起物は、直径が5nm以上、500nm以下、且つ高さが5nm以上、500nm以下の範囲内のものが摺動抵抗の低減効果がより優れる。なお、直径は表面から見たときの直径である。前記範囲内の微細な粒状突起物は、前記接触面積分散効果および微小油溜効果に加えて、粒状突起物の一部がめっき表層から剥がれ、それ自体が転がることによってめっき鋼板が滑り易くなるベアリングのような働きもあるためと考えられる。粒状突起物の高さは、5nm以上、200nm以下であることがより望ましく、さらに望ましくは5nm以上、50nm以下である。また、粒状突起物の直径は、5nm以上、200nm以下であることがより望ましく、さらに望ましくは5nm以上、100nm以下である。
めっき表面の平坦部における微細凹凸として網目状構造および粒状突起物について顕微鏡写真の例を示しながら述べた。図5は、調質圧延を施したままのめっき表面における平坦部の電子顕微鏡写真の例である。写真の倍率は図3および図4とほぼ同じである。図5の平坦部は、ロールにより形成されているため、ロールに依存したある程度の粗さは有している。しかし図5には、図3や図4に存在した網目状構造および粒状突起物は見られない。このことから、図3や図4で例示した本発明に係る微細凹凸はめっき表面の平坦部に制御して付与されたものであることが明らかである。
ここまで述べてきためっき表面の平坦部における微細凹凸は、微細凹凸が存在する平坦部が、平坦部全体に対する面積率として30%以上(100%を含む)であることが望ましい。その理由は、微細凹凸存在部が30%未満では摺動抵抗の低減効果が十分に得られないためである。このとき、面積率が高ければ高いほどその効果が大きく、50%以上とするのがより望ましい。
これまで述べた微細凹凸は、その組成を特に限定するものではないが、微細凹凸の少なくとも凸部表面を、めっき皮膜表層のFe−Zn合金よりも高融点の物質で構成することにより、より摺動抵抗を低減することができる。この理由は金型と接する微細凹凸が高融点であるため、金型と擦れ合う際に融着を防ぐ効果が加わるためと考えられる。微細凹凸の凹凸部あるいは凸部そのものを高融点の物質で形成させても良いし、めっき表面に微細凹凸を形成させその表面に高融点の物質を存在させても良い。微細凹凸のサイズが同程度であれば高融点の物質の部分が多い方が摺動抵抗の低減効果が大きい。めっき皮膜表層のFe−Zn合金より高融点の物質としては、Niなどの金属、多くの酸化物、あるいは水酸化物などで、他のめっき鋼板特性を著しく低下させるものでなければ特に規定されるものではない。
そのなかでも微細凹凸の凹凸部あるいは凸部、あるいは少なくとも凸部表面を、ZnまたはZnとFe及び/又はAlを含む酸化物及び/又は水酸化物とすることに、工業上の利点がある。その理由は、他の金属や金属化合物を形成させるためには、新たな工程を追加する必要があるが、上記酸化物であれば、めっき皮膜中に含まれる金属成分を利用できるため、比較的簡便な処理により微細凸部を平坦部表面に形成できるからである。さらに、新たな工程を追加する必要が少ないため、合金化溶融亜鉛めっき鋼板本来の特性を劣化させる心配が少なく、新たな元素を追加する必要がないため添加元素による影響の心配もない。ただし、この場合、十分なすべり性向上を得るためには酸化物及び/又は水酸化物層の平均の厚さを10nm以上であることが望ましい。これは、平均厚さが10nm未満では摺動抵抗の低減効果が十分でないことによる。また、平均厚さが500nmを超えると、この酸化物及び/又は水酸化物が割れ易くなり、めっき表面にキズが付き易くなること、また、化成処理性が劣化するため望ましくない。
めっき表面に平坦部を形成させる場合、平坦部の面積率は、20%以上80%以下とするのが望ましい。20%未満では、実際に金型に接触する面積のうち、平坦部を除く部分(マクロな凹部)と金型との接触面積が大きくなり、微細凹凸による摺動性改善効果を発揮できる平坦部と金型との接触面積が小さくなるため、プレス成形性の改善効果が小さくなる。平坦部を除く部分は、プレス成型時に潤滑油を保持する役割を持つ。平坦部を除く部分の面積率が20%未満になる(平坦部の面積率が80%を超える)とプレス成形時に油切れを起こしやすくなり、プレス成形性の改善効果が小さくなる。このなかでも、平坦部の面積率は30%以上、70%以下の範囲がさらに望ましい。
本発明において、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜の合金相の構成については特に限定しない。めっき皮膜中鉄濃度が高くめっき皮膜の表面層平坦部にζがほとんど存在しない(ほぼδ層)めっき鋼板に本発明を適用する場合は、硬いδ層の効果と相まって高い摺動抵抗の低減効果を得ることができる。また、めっき皮膜中鉄濃度が低く表面層平坦部にζが存在するめっき鋼板に本発明の第発明〜第発明を適用すると、低鉄濃度皮膜の高い成型性と本発明の低摺動抵抗を兼ね備えた、高加工性の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
めっきの平坦部に形成させる微細凹凸の粗さパラメータは電子線三次元粗さ解析装置により求めることができる。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いても計測可能である。これらは、電子線あるいは探針を表面に沿って走査し得られた二次(反射)電子信号あるいは探針の変位から、表面と平行方向の高さ分布を求めることができ、その結果から粗さパラメータを計算することができる。鋼板表面に垂直方向から見た微細凹凸の形状、大きさ、分布は上記電子線三次元粗さ解析装置や電界放射型の走査型電子顕微鏡を用いて観察することにより測定できる。
微細凹凸の形状や大きさは、高分解能の走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などにより観察あるいは測定できる。粒径は、電子顕微鏡写真及び電子間力顕微鏡像を画像処理して粒毎の面積を求め、各粒を円と仮定したときの直径で規定する。高さは、めっき表面からの高さ(但し、微細凹凸の凹部が、めっき皮膜表層のFe−Zn合金よりも高融点の物質、例えば、ZnまたはZnとFe及び/又はAlを含む酸化物及び/又は水酸化物からなる場合は、該凹部表面からの高さ)である。
酸化物あるいは水酸化物層の厚さは、Ar+イオンスパッタリングと組み合わせたオージェ電子分光法(AES)や透過型電子顕微鏡による断面観察などにより求めることができる。AESによる方法においては、所定深さまでスパッタした後、測定対象の各元素のピーク強度から相対感度因子補正により、その深さでの組成を求めることができる。酸化物または水酸化物に起因するOの含有率は、ある深さで最大値となった後(これが最表層の場合もある)、減少し一定となる。酸化物層の厚さは、Oの含有率が、最大値より深い位置で、最大値と一定値との和の1/2となるスパッタリング時間を、膜厚既知のSiO2膜などのスパッタレートをもとに、換算して求めることができる。
めっき表面の平坦部は、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡等で表面を観察することで容易に識別可能である。めっき表面における平坦部の面積率は、上記顕微鏡写真を画像解析することにより求めることができる。
本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造するには、亜鉛めっき浴でめっきし、合金化処理を行い、更に調質圧延を行う。亜鉛めっき浴中にAlが添加されていることが必要であるが、Al以外の添加元素成分は特に限定されない。すなわち、Alの他にFe、Pb、Sb、Si、Sn、Mn、Ni、Ti、Li、Cuなどが含有または添加されていても、本発明の効果が損なわれるものではない。次いでめっき表面に平坦部を形成する。その際、平坦部の面積率を前記で説明した範囲にする。平坦部を形成する方法は特に限定されない。例えば、調質圧延によってめっき表面に平坦部を形成できる。その際、圧延条件を調整し、平坦部の面積率を前記で説明した範囲にする。
次いで、めっき表面の平坦部に前記した微細凹凸を形成する。この方法は特に規定するものではないが、機械的あるいは化学的なエッチングなどを用いて微細凹凸を形成する方法が一例としてあげられる。また、物理的、化学的な反応を利用してめっき表面にFe−Zn合金とは異なる物質を付与することにより微細凹凸を形成する方法もある。ZnまたはZnとFe及び/又はAlを含む酸化物及び/又は水酸化物からなる微細凹凸の場合、酸化剤含有の水溶液への浸漬や同水溶液の吹き付けによる方法、あるいは酸化剤含有の水溶液中での陰極電解処理及び陽極電解処理などの方法、温水浸漬や水蒸気吹き付けなどの方法を一例として採用することができる。また、これらの処理を2つ以上組み合わせることもできる。
なお、本発明において、ZnまたはZnとFe及び/又はAlを含む酸化物及び/又は水酸化物からなる微細凹凸、及び/あるいは下層酸化物及び/又は水酸化物には、Zn、Fe、Al以外にめっき皮膜に含有または添加されているZn、Fe、Al以外の成分や微細凹凸やその下層を形成する処理液などに含まれるP、Mg、Ca、Sr、Ba、F、S、Cl、C、N、B、Na、MnあるいはSiなどが不可避的に取り込まれていてもよい。このような場合でも、本発明のプレス成形性改善効果が損なわれることはない。
次に、本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
板厚0.8mmの冷延鋼板上に、常法の合金化溶融亜鉛めっき法によりめっき皮膜を45〜60g/m2形成し、更に調質圧延を行った(一部は行っていない)。この際、調質圧延の圧下荷重を変化させることで、表面における平坦部の面積率を変化させた。次に、pH12.5の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、合金化処理時の加熱により生成した酸化物層を除去した(以下、アルカリ処理)。表層におけるAlの量をこの処理時間により調整した。引き続き、平坦部にZnまたはZnとFe及び/又はAlを含む酸化物及び/又は水酸化物からなる微細凹凸を形成するために次の処理を行った。なお、平坦部における微細凹凸が存在する面積率は30%以上であるように調整した。一部の試験材はここで述べた処理を行っていない。
上記合金化溶融めっき鋼板を酢酸ソーダ水溶液(pH=1.5〜2.5)に浸漬し、さらに浸漬後,液が付着した状態で放置することにより表面に前記成分からなる微細凹凸を形成する。溶液のpH、温度、放置時間、および放置温度を変化させることにより、微細凹凸の形状、粗さ、酸化物及び/又は水酸化物の層の厚さを制御した。
次いで、以上の様に作製した供試体について、めっき皮膜中のFe含有率、平坦部微細凹凸部の形状、粗さ計測、酸化物及び/又は水酸化物の層の平均厚さ、平坦部の面積率の測定及び摩擦係数測定を行なった。微細凹凸の形状は、電界放射型の走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて観察した。
また、比較のために、調質圧延、アルカリ処理、突起物形成処理の何れも施してない合金化亜鉛めっき鋼板を作製(試験材No.1)し、同様の調査を行った。
(1)微細凹凸部の粗さ計測
電子線三次元粗さ解析装置(エリオニクス社製ERA−8800FE)を用いた。測定は加速電圧5kV、WD15mmにて行い、測定時の面内方向のサンプリング間隔は1〜5nmとした。平坦部の酸化膜が厚い試料については、電子線照射による帯電を避けるため金蒸着を施した。平坦部一箇所当たり電子線の走査方向およびそれと垂直方向から長さ3μm程度の500本以上の粗さ曲線を切出し、微細凸部の単位長さ当たりの個数、および平均の高さを計測した。測定した平坦部は一試料当たり10箇所である。
上記の粗さ曲線から装置に付属の解析ソフトウエアを用いて、粗さ曲線の凹凸の平均間隔(Sm)、スキューネス(Sk)などの表面粗さパラメーターを計算した。電子線を試料表面に照射するとカーボン主体のコンタミネ−ションが成長し、それが測定データに現れる場合がある。この影響は今回のように測定領域が小さい場合顕著になりやすい。そこでデータ解析に当たっては、測定方向の長さ(2〜3μm)の半分をカットオフ波長とするSplineハイパーフィルターをかけて、この影響を除去した。本装置の較正には、米国の国立研究機関NISTにトレーサブルなVLSIスタンダード社のSHS薄膜段差スタンダード(段差18nm、88nm、450nm)を用いた。なお、一部の試料については、微細凸部の数については(2)の走査型電子顕微鏡を用いて、高さについては透過電子顕微鏡による断面観察を用いてクロスチェックを行った。
(2)酸化物層の厚さ測定
走査型オージェ電子顕微鏡を用い、Ar+イオンスパッタリングを併用して表面(平坦部がある場合は平坦部)の深さ方向分析を行なうことで、酸化物及び/又は水酸化物の層の厚さを測定した。酸化物または水酸化物に起因するOの含有率は、ある深さで最大値となった後、減少し一定となる。このとき、Oの含有率が、最大値より長いスパッタ時間で、最大値と一定値との和の1/2となるスパッタ時間を、厚さに換算して酸化物層の厚さとした。スパッタ時間から酸化物及び/又は水酸化物の層の厚さへの換算は、膜厚既知のSiO2膜を測定して求めたスパッタレートにより行なった。
(3)プレス成形性評価試験「摩擦係数測定試験」
プレス成形性を評価するために、各供試体の摩擦係数を、以下のようにして測定した。
図6は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試体から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設けられ、これを押上げることにより、ビード6による摩擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するための第1ロードセル7が、スライドテーブル支持台5に取付けられている。上記押付力を作用させた状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力Fを測定するための第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑油として、日本パーカライジング社製ノックスラスト550HNを試料1の表面に塗布して試験を行った。
図7および図8は、使用したビードの形状・寸法を示す概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の表面に押しつけられた状態で摺動する。図7に示すビード6の形状は、幅10mm、試料の摺動方向長さ12mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ3mmの平面を有する。図8に示すビード6の形状は、幅10mm、試料の摺動方向長さ69mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が押付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ60mmの平面を有する。
摩擦係数測定試験は、以下に示す2条件で行った。
[条件1]図7に示すビードを用い、押付荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度):100cm/minとした。この時、評価は、摩擦係数により行ない、◎:0.140未満、○:0.140以上、0.160未満、△:0.160以上、0.170未満、×:0.170以上、とした。供試体とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。
[条件2]図8に示すビードを用い、押付荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度:20cm/minとした。この時、評価は、摩擦係数により行ない、◎:0.190未満、○:0.190以上、0.210未満、△:0.210以上、0.230未満、×:0.230以上、とした。
供試体とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。
試験結果を表1に示す。
この試験結果から、表面平坦部に微細凹凸がある本発明例は、平坦部のない比較例1、平坦部があっても平坦部に微細凹凸のない比較例2、3に比べて、摩擦係数が低減していることがわかる。
本発明例の内、微細凹凸の粗さ曲線の凹凸の平均間隔Sm、スキューネスSkが本発明範囲内にある本発明例3〜14は、平均間隔Sm、スキューネスSkが本発明範囲を外れる本発明例1、2に比べて、摩擦係数がより低く、摺動抵抗低減効果がより優れる。
本発明例5、6と8、および本発明例7、9と10を比較すると、スキューネスSkは0以下である方が有利であることがわかる。平均間隔Sm、スキューネスSkが本発明範囲内にあり、平坦部表面に酸化膜を10nm以上形成した本発明例4、7〜14は、より低い摩擦係数である。前記の内、スキューネスSkが0以下の本発明例7、9〜14では、摩擦係数がさらに低く、特に良好な摺動特性が得られている。
また、微細凹凸の形状が網目状構造の本発明例が低い摩擦係数を有することがわかる。
また、本発明例ではめっき皮膜中の鉄濃度の大小に係わらず低い摩擦係数が得られていることがわかる。従って、本発明めっき皮膜中の鉄濃度に限定されるものではないことがわかる。
なお、めっき皮膜の密着性(耐パウダリング性)をドロビード試験により調査したが、本発明例はいずれも耐パウダリング性が良好であり、摺動性の向上によりパウダリング性が低下することはなかった。
(実施例2)
板厚0.8mmの冷延鋼板上に、常法の合金化溶融亜鉛めっき法により、Alを添加した亜鉛めっき浴でめっき、合金化処理して、めっき付着量60g/m2、所定のFe濃度のめっき皮膜を形成し、更に調質圧延を行った。この際、調質圧延の圧下荷重を変化させることで、表面における平坦部の面積率を変化させた。次に、pH12.0の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、合金化処理時の加熱により生成した酸化物層を除去した(以下、アルカリ処理)。めっき表層におけるAlの有無はこの処理時間により調整した。
引き続き、平坦部の表層にZn又はZnとAlの酸化物及び/又は水酸化物からなる連続被覆層とその上の粒状突起物を形成するために次の2種類の処理を行った。
[形成方法A] 上記合金化溶融めっき鋼板をpH2.5、浴温55℃の硫酸酸性の過酸化水素水溶液中に浸漬し、連続被覆層と粒状突起物からなる微細凹凸を形成した。ここで、濃度を種々の所定値に変化させて、粒状突起物の大きさと面積率、および酸化物層の厚さ(連続被覆層とその上の粒状突起物を合わせた厚さ)を調整した。
[形成方法B] 上記合金化溶融めっき鋼板をpH2.5、浴温55℃の硫酸酸性の硝酸ナトリウム水溶液中に浸漬し、陰極電解することで、連続被覆層と粒状突起物からなる微細凹凸を形成した。ここで、通電時間及び電流密度を変化させて、粒状突起物の大きさと面積率、および酸化物層の厚さを調整した。
次いで、以上の様に作製した供試体(試験材No.2〜11)について、粒状突起物の大きさ、酸化物層の平均厚さ、平坦部の面積率の測定及びプレス成形性試験を行なった。粒状突起物の大きさ、酸化物層の平均厚さの測定、プレス成形性試験は以下のようにして行った。
また、比較のために、調質圧延、アルカリ処理、突起物形成処理の何れも施してない合金化亜鉛めっき鋼板を作製(試験材No.1)し、同様の調査を行った。
(1)粒状突起物の大きさ測定
走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−4000)および原子間力顕微鏡(Digital Instrument社製Nanoscope2)を用いて、粒状突起物の大きさ(直径と高さ)を測定した。なお、粒径は、粒面積を求め、面積が等価の円の直径から求めた。粒状突起物の高さについては、平坦部に形成された連続被覆層表面(粒状突起物のない場所)を基準としてその高さを求めた。
(2)酸化物層の厚さ測定
実施例1と同様の方法で行った。
(3)プレス成形性評価試験
摩擦係数測定試験は、以下に示す2条件で行い、供試体とビードとの間の摩擦係数μは、式μ=F/Nで算出した。
[条件1]図7に示すビードを用い、押付荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動速度):100cm/minとした。この時、評価は、摩擦係数により行ない、◎:0.135未満、○:0.135以上、0.150未満、△:0.150以上、0.160未満、×:0.160以上、とした。
[条件2]図8に示すビードを用い、押付荷重N:400kgf、試料の引き抜き速度:20cm/minとした。この時、評価は、摩擦係数により行ない、◎:0.180未満、○:0.180以上、0.200未満、△:0.200以上、0.230未満、×:0.230以上、とした。
試験結果を表2に示す。
この試験結果から、下記事項が明らかである。
(1)比較例1は、調質圧延が施されていないため、平坦部がなく、摩擦係数が高い。
(2)比較例2は、微細な粒状突起物がないため、摩擦係数が高い。
(3)本発明例〜9は、本発明範囲を満足する粒状突起物が形成されているため、比較例に比べて摩擦係数が低く、摺動性が改善されている。本発明例において、平坦部に形成されたZn又はZnとAlの酸化物層の膜厚が10nm以上500nm以下又は平坦部の面積率が20%以上、80%以下の範囲内である場合(本発明例2〜5)に摩擦係数がより低く摺動性がより改善され、酸化物層の膜厚が10nm以上500nm以下で平坦部の面積率が20%以上、80%以下の場合(本発明例6〜9)に摩擦係数が更に低く摺動性が更に改善されている。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の走査型二次電子顕微鏡写真である。 スキューネス(Sk)と表面形状との関係を模式的に示す図であって、(a)はSk<0、(b)はSk>0の状態を示している。 合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の平坦部表層の網目状構造の微細凹凸の例を示す走査型二次電子顕微鏡写真である。 合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の平坦部表層の微細な粒状突起物を示す走査型二次電子顕微鏡写真である。 調質圧延を施したままの合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の平坦部を示す走査型二次電子顕微鏡写真である。 摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。 図6中のビード形状・寸法を示す概略斜視図である。 図6中の別のビード形状・寸法を示す概略斜視図である。
符号の説明
1 摩擦係数測定用試料
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第1ロードセル
8 第2ロードセル
9 レール
N 押付荷重
F 摺動抵抗力
P 引張荷重

Claims (3)

  1. Fe−Zn合金めっき相を少なくとも鋼板の片面に有し、かつ、めっき面に調質圧延によって平坦にされた平坦部を有するとともに、前記平坦部表面に、連続被覆層と該連続被覆層上の粒状突起物で形成される微細凹凸を有し、前記粒状突起物は直径が5nm以上500nm以下かつ高さが5nm以上500nm以下の範囲内の粒状突起物が、平坦部全体に対する面積率として30%以上存在し、前記微細凹凸の少なくとも凸部表面がZnまたはZnとFe及び/又はAlを含む酸化物及び/又は水酸化物からなることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記連続被覆層と該連続被覆層上の粒状突起物で形成される微細凹凸を有する層は、ZnまたはZnとFe及び/又はAlを含む酸化物及び/又は水酸化物からなり、平均厚さが10nm以上、500nm以下であることを特徴とする請求項に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. めっき表面における平坦部の面積率が20%以上、80%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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