JP4824050B2 - 酸素分離膜用多孔質支持体および該支持体を備える酸素分離膜エレメント - Google Patents
酸素分離膜用多孔質支持体および該支持体を備える酸素分離膜エレメント Download PDFInfo
- Publication number
- JP4824050B2 JP4824050B2 JP2008042446A JP2008042446A JP4824050B2 JP 4824050 B2 JP4824050 B2 JP 4824050B2 JP 2008042446 A JP2008042446 A JP 2008042446A JP 2008042446 A JP2008042446 A JP 2008042446A JP 4824050 B2 JP4824050 B2 JP 4824050B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- separation membrane
- porous support
- oxygen separation
- powder
- oxygen
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
Description
例えば、ペロブスカイト型酸化物等の混合伝導体から構成される酸素分離膜は、多孔質基材(多孔質支持体)上に形成されて酸素分離膜エレメントとして用いられる。当該酸素分離膜エレメントは、深冷分離法やPSA(Pressure Swing Adsorption)法に代わる有効な酸素精製手段として好適に使用することができる。
或いはまた、かかる構成の酸素分離膜エレメントは、一方の面から他方の面に供給された酸素イオンによって当該他方の面に供給された炭化水素(メタンガス等)を酸化させて合成液体燃料(メタノール等)を製造するGTL(Gas To Liquid)技術、或いは燃料電池分野で好適に使用することができる。
ところで、高い酸素透過性を有する酸素分離膜エレメントを実現するには、酸素分離膜の表面に酸素(または酸素含有ガス)を多量に供給できることも欠かせない要件である。近年では、酸素分離膜や触媒の性能向上によって、多孔質支持体のガス拡散性能が酸素分離膜エレメントの性能を律するようになってきたため、高いガス拡散性能を備えた多孔質支持体が強く求められる。
このことに関し、多孔質支持体のガス拡散性能を向上させる一つの手段が、多孔質支持体の壁厚を薄く(例えば0.5mm以下)することである。例えば、上記のような管状(円筒状)エレメントにおいて多孔質支持体の薄肉化はガス拡散性能を向上させる有力な手段である。
すなわち、多孔質支持体を例えば押出し成形によって成形するには、原料となるマグネシア粉末にバインダーおよび水、その他可塑剤等を添加して混練したもの(坏土)を高圧または真空押出成形機で成形するのが一般的である。このとき、例えば軽焼マグネシアを上記原料粉末として使用すると、添加する水によって軽焼マグネシアが水和して水酸化マグネシウムが生成するため、坏土はセメント状に硬化してしまう。この状態で押出し成形すれば、成形型からの押出しは困難になり、また、押し出された成形体にクラックが生じ易くなる等の不具合が発生する。
マグネシアの水和反応は、マグネシアの粒子の表面が不活性であるほど抑制されるため、マグネシアを主体とした材料を押出し成形する場合には、電融マグネシアが好ましい。電融マグネシアは、結晶性が高く、粒径が大きく、比表面積が小さいので軽焼マグネシアに比べると不活性であるからである。
したがって、マグネシアを主体とする従来の材料を用いた成形(典型的には押出し成形)では、成形容易性と高強度の両方を備えた多孔質支持体を作製できずにいた。
さらに本発明者は、これら粉末の焼結性の低さを補うために、焼結性が高くて当該電融ジルコニア粉末よりも粒径の小さい微細なジルコニア粉末を電融マグネシア粉末および電融ジルコニア粉末に添加した。その結果、混合された原料粉末から成る坏土は成形性が良好であると共に、高い機械的強度を実現した焼結体を得ることに成功した。特に限定するものではないが、電融マグネシア粉末と電融ジルコニア粉末に由来する粗大結晶粒と、微細なジルコニア粉末に由来する微細結晶粒とが存在し、この微細結晶粒が粗大結晶粒同士を接合するように粗大結晶粒の接触部分に集中して偏在する焼結体(多孔質支持体)が得られることを見出した。
電融マグネシア粉末と、
電融ジルコニア粉末と、
上記電融マグネシア粉末および上記電融ジルコニア粉末よりも相対的に粒径の小さい微粒ジルコニア粉末と
から成る原料粉末を所定形状に成形した成形体を焼成して得られたことを特徴とする。
本発明に係る多孔質支持体では、電融マグネシア粉末および電融ジルコニア粉末にそれぞれ由来する結晶性の高い粗大マグネシア粒子および粗大ジルコニア粒子と、微粒ジルコニア粉末に由来する微細ジルコニア粒子とが存在し、典型的にはこれら粗大粒子は互いに接触した状態にあり、これら粗大粒子同士を接合するようにして微細ジルコニア粒子が上記接触部に存在する多孔質構造である。
微細ジルコニア粒子は上記粗大マグネシア粒子に比べて焼結性が高い。このため、微細ジルコニア粒子は、粗大マグネシア粒子の間隙を拡散し、粗大マグネシア粒子の焼結温度よりも低温で焼結させると、粗大マグネシア粒子同士の接触部分(粒界)で焼結し、結果、粗大マグネシア粒子同士を良好に接合することができると考えられる。ここで、かかる2成分のみの場合には、粗大マグネシア粒子の粒界を良好に焼結するために多量の微細ジルコニア粒子が必要とされるので、結果的に気孔率の低い多孔質体(すなわちガス拡散性能の低い好ましくない多孔質体)しか得られないのであるが、本発明では、粗大マグネシア粒子および微細ジルコニア粒子に加えて第3の成分として電融ジルコニア粉末由来の粗大ジルコニア粒子が含有される。これにより、本発明によると、当該粗大ジルコニア粒子と親和性の高い微細ジルコニア粒子が当該粗大ジルコニア粒子の粒界で接合し、結果、粗大ジルコニア粒子と粗大マグネシア粒子との粒界でも焼結を良好に進行させることができる。このため、上記2成分の場合と同様の機械的強度を保持しつつ、微細ジルコニア粒子の存在比率を減少させ得る結果、良好な気孔率、すなわち良好なガス拡散性能を実現した多孔質支持体を得ることができる。
かかる範囲内の平均粒径の各粉末を使用することによって、機械的強度を低下することなく酸素分離膜の支持体として適する気孔率(典型的には水銀圧入法に基づく気孔率で30%以上45%以下)を実現することができる。
かかる構成の原料粉末を使用することによって、適当な気孔率と機械的強度とを両立した酸素分離膜用多孔質支持体が提供される。したがって、強度や気孔率、通気率をバランスよく備えた多孔質支持体が得られる。さらに、粒径および比表面積の小さい微粒ジルコニア粉末を上記の範囲内に抑えて配合することによって、押出し成形も容易に実施可能となり、成形後の乾燥時に発生するクラックも抑制し得る。
室温〜1000℃の範囲におけるマグネシアおよびジルコニアの熱膨張係数は、それぞれ13.6×10−6/Kおよび約10×10−6/Kであって、特にジルコニアの熱膨張係数は、添加剤(置換剤)によって変化する。例えば、安定化剤として3mol%のY2O3を含むイットリア安定化ジルコニアの場合、9.6×10−6/Kである。したがって、マグネシアとジルコニアの配合比を変えることで、熱膨張係数が10×10−6/K〜14×10−6/Kの範囲にある多孔質支持体を作製し得る。
かかる熱膨張係数は、ペロブスカイト型酸化物の熱膨張係数と同様である。ペロブスカイト型酸化物は、800〜1000℃の高温域でも良好な酸素イオン―電子混合伝導性を示すため、酸素分離膜材料として好適に使用される。したがって、かかる構成の多孔質支持体は、ペロブスカイト型酸化物から成る酸素分離膜の多孔質支持体として好ましい。かかる多孔質支持体によると、該支持体上に長期にわたって高い接着強度でペロブスカイト型酸化物から成る酸素分離膜を安定的に保持しておくことができる。
一例を挙げれば、ここで開示される二重管構造の多孔質支持体では、外径20mm×長さ(長尺方向に沿った長さ)1000mm程度の寸法のものであれば、本発明に係る原料粉末を使用することによって、外管の壁厚寸法として、0.2mm〜1mm程度の範囲にまで肉薄にすることが可能である。また、外管壁の肉薄化によって、通気路を流通するガス(例えば空気等の酸素含有ガス)が外管壁内部を透過する速度も上昇し、多孔質支持体のガス拡散性能が向上する。また、外管の外周面である膜形成部に形成された酸素分離膜は、上記膜形成部を介して複数のリブ状部と内管によって支持される。さらに、内管壁内には上記ガスを透過させる必要はないので、内管を緻密で低気孔率に構成すれば、多孔質支持体自体の機械的強度を内管部分で確保することができる。したがって、外管壁が肉薄でも、酸素分離膜エレメント全体として十分な機械的強度を得られる。
本発明に係る酸素分離膜エレメントは、上記構成の多孔質支持体を備える結果、耐熱性および化学的安定性に優れ、良好なガス拡散性能を高い機械的強度とともに実現する。このため、使用温度が800〜1000℃というような高温域でも耐久性が高く好適に利用することができる。例えば、上述の二重管構造の多孔質支持体を備える耐久性の高い酸素分離膜エレメントが本発明によって提供される。
ペロブスカイト型酸化物の中でも、上記一般式で表わされる複合酸化物は、BサイトがTiおよびFeにより構成される結果、良好な酸素イオン伝導性および電子伝導性に加えて、還元耐久性に優れ、薄膜化に耐え得る高い機械的強度を有する。
かかる多孔質支持体の主原料は、結晶性が高くて粗大な電融マグネシア粉末および電融ジルコニア粉末と、これらの粉末よりも相対的に粒径の小さい微粒ジルコニア粉末の3成分である。
特に記載するまでもないが、電融マグネシア粉末および電融ジルコニア粉末は、加水分解法、中和共沈法、アルコキシド法等により出発原料を調製し、調製した出発原料を乾燥させてから所定温度(例えば、電融マグネシア粉末では1400℃程度、電融ジルコニア粉末では1000℃程度)で仮焼し、さらに3000℃程度で溶融(電融)した後に冷却して凝固させ、得られたインゴットを粉砕、製粒することにより得ることができる。電融ジルコニア粉末の原料は、ジルコニア質原料単独でもよいが、相転移に伴う体積変化を考慮すれば、ジルコニアにカルシア(酸化カルシウム)、イットリア(酸化イットリウム)、マグネシア(酸化マグネシウム)またはこれら2種以上を安定化剤として添加した混合原料から得られる電融安定化ジルコニア、または電融部分安定化ジルコニアの粉末を用いることが好ましい。
微粒ジルコニア粉末は、出発原料を上記と同じ方法で仮焼工程まで実施し、仮焼物を粉砕して得られる。この微粒ジルコニア粉末についても、ジルコニア質原料に上記の安定化剤を添加した微粒安定化ジルコニア粉末、または微粒部分安定化ジルコニア粉末を用いることが好ましい。
なお、ここで平均粒径とは、例えばレーザー回折式粒度分布計を用いて測定した「平均粒径(D50)」である。
ところで、多孔質支持体を作製するに当たり、酸素分離膜が該支持体上に強い接着強度で形成されるように、その熱膨張係数を酸素分離膜材料と近似させることが好ましい。特に、多孔質支持体と酸素分離膜との熱膨張係数の差が±0.5×10−6/K以内にあることが好ましい。
例えば、上述した一般式:LnxAe1−xTiyFe1−yO3−δ(ただし、Lnはランタノイドから選択される1種または2種以上の元素であり、AeはBa、SrおよびCaからなる群から選択される1種または2種以上の元素であり、0<x<1であり、0<y<1であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。)で表わされるペロブスカイト型酸化物、特に一般式:(La1−xSrx)(Ti1−yFey)O3−δ(ただし、0<x<1、0<y<1、δは電荷中性条件を満たすように定まる値。)で表わされるペロブスカイト型酸化物(以下、「LSTF酸化物」という。)の熱膨張係数は上記範囲内にあり、一具体例を挙げればLa0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.7O3−δの熱膨張係数は、12.4×10−6/Kである。そこで、該LSTF酸化物から成る酸素分離膜に好適の多孔質支持体を作製する場合には、その熱膨張係数が11.9×10−6/K〜12.9×10−6/Kの範囲内に収まるように、マグネシアとジルコニアの配合比を調整すれば良い。
すなわち、混練工程では、原料粉末である電融マグネシウム粉末、電融ジルコニア粉末および微粒ジルコニア粉末を混合し、適当な溶媒(例えば水)、バインダー等を加えて混練する。次に、成形工程にて所定形状に成形して乾燥後、焼成工程にて焼成する。
成形工程では、一軸圧縮成形、静水圧プレス、押出し成形等の従来公知の成形法を採用することができる。しかし、多孔質支持体10が、上記の二重管構造のような特殊形状である場合には、押出し成形が好ましい。
焼成工程において、適切な焼成温度は、概ね1200〜1600℃である。酸素分離膜の成膜工程における多孔質支持体の破損や変質等を避けるためには、成膜温度よりも高温で焼成することが好ましい。焼成工程には、一回以上の仮焼工程と、その後に行われる本焼成工程とを含めることができる。この場合、本焼成工程は上記のような焼成温度で行い、仮焼工程は本焼成工程よりも低い焼成温度(例えば800〜1500℃)で行うことが好ましい。このようにして得られた多孔質の焼結体は、酸素分離膜用の支持体として好適に使用できる。
なお、混練工程の前工程として造粒工程を経ることもできる。すなわち、まず原料粉末を仮焼し、湿式ボールミル等を用いて当該仮焼原料を粉砕することにより、仮焼粉末(本焼成用原料粉末)を得る。次に原料粉末(または仮焼粉末)に、水、有機バインダー等の成形助剤、および必要に応じて分散剤を添加、混合してスラリー(坏土)を調製し、スプレードライヤー等の造粒機を用いて所望する粒径(例えば平均粒径が10μm〜100μm)に造粒することができる。
酸素分離膜を構成する酸素イオン伝導体は、典型的にはペロブスカイト型酸化物であり、特定の構成元素のものに限られない。酸素イオン伝導性と電子伝導性の両方を有する混合伝導体は、外部電極や外部回路を用いることなく酸素分離膜の一方の側(酸素供給側)から他方の側(酸素透過側)へ連続的に酸素イオン(酸化物イオン)を透過させることができるため、好ましい。
酸素イオン伝導体として、典型的には、一般式:Ln1−xAexMO3−δで表される組成の複合酸化物が挙げられる。ここで式中のLnはランタノイドから選択される少なくとも一種(典型的にはLa)であり、AeはSr,CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも一種であり、Mは、Mg,Mn,Ga,Ti,Co,Ni,Al,Fe,Cu,In,Sn,Zr,V,Cr,Zn,Ge,ScおよびYからなる群から選択される少なくとも一種であり、0≦x≦1である。
上記一般式に該当する酸化物として特に好ましいものとして、一般式LnxAe1−xTiyFe1−yO3−δ(ただし、Lnはランタノイドから選択される1種または2種以上の元素であり、AeはBa、SrおよびCaからなる群から選択される1種または2種以上の元素であり、0<x<1であり、0<y<1であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。)で表わされるペロブスカイト型酸化物が挙げられる。
このような好適な混合伝導体の例示として、式:(La1−xSrx)(Ti1−yFey)O3−δ(但し0<x<1、0<y<1)で示される複合酸化物(LSTF酸化物)が挙げられる。具体例として、La0.6Sr0.4Ti0.1Fe0.9O3−δ、La0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.7O3−δ等が挙げられる。
なお、上記の一般式における酸素原子数は、ペロブスカイト型構造の一部を置換する原子の種類および置換割合その他の条件により変動するため正確に表示することは困難である。このため、電荷中性条件を満たすように定まる値として、1を超えない正の数δ(0<δ<1)を採用し、本明細書中では酸素原子の数を3−δと表示する。当該分野において酸素原子の数を便宜的に3として表示している場合もあるが、異なる化合物を表しているわけではない。
なお、上述したような成膜技法自体は従来と同様で良く、本発明を特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る酸素分離膜エレメントEは、上述した図1に示される本実施形態に係る多孔質支持体10と、多孔質支持体10の外管11の外周面11a、すなわち膜形成部13上に形成された管状の酸素分離膜20とを備える。本実施形態に係る酸素分離膜20は、多孔質支持体10と同様の熱膨張係数を有するペロブスカイト型酸化物から成る。本実施形態において、図示しない外部供給源から当該エレメントEに供給される酸素含有ガスG中の酸素を高効率で分離、透過させるために、外管11の外周面11aのほぼ全周が膜形成部13であり、酸素分離膜20は、他のガス管或いはジョイント管と接合される多孔質支持体10の両端部を除く上上記外周面11a全体を周回するように形成されている。
以上のように、本実施形態に係る酸素分離膜エレメントEは、良好なガス拡散性能と高い機械的強度を併せ持つ優れた酸素分離材として、燃料電池や酸素センサ等に利用される。
電融マグネシア(MgO)粉末(平均粒径:約10μm)、安定化剤として3mol%のY2O3を含むイットリア安定化ジルコニア(3YSZ)の電融粉末(平均粒径:約10μm)に、同じく3YSZの微粒粉末(平均粒径:約0.3μm)を添加して、十分に混合した。マグネシア(電融MgO粉末)とジルコニア(電融3YSZ粉末と微粒3YSZ粉末の合計)の質量配合比が60:40および70:30となる2種類の配合比の混合粉末原料を用意した。なお、上記配合比が60:40からなる焼結体の熱膨張係数は12.6×10−6/Kであり、70:30では12.8×10−6/Kである。
さらに、電融3YSZ粉末と微粒3YSZ粉末の質量比率を変えることにより、電融MgO粉末、電融3YSZ粉末、微粒3YSZ粉末の配合比が異なる計11種類の混合原料粉末を作製した。
上記の11種類の混合原料粉末それぞれに、水(溶剤)、メチルセルロース(バインダー)、およびワックスを適量加えて混合、混練して坏土を調製した。
押出成形装置により、上記坏土を成形した。成形体の形状は、図1に示すような二重管構造で、外管径19mm、長さ(長尺方向Q)1000mm、外管壁厚は0.5mmである。この成形体を350℃で2時間程度の仮焼成を行って脱バインダーをした後、さらに大気中で1450℃の温度条件で本焼成し、上記11種類の原料粉末にそれぞれ対応する計11種類の多孔質支持体を得た。これらをサンプル1〜11とする。かかるサンプル1〜11の多孔質支持体を製造するのに用いられた各原料粉末の配合質量比(実調合割合)については表1に示す。
平均粒径が約1μmの市販のLa0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.7O3−δ粉末に、適当量の一般的なバインダー(メタクリル酸n−ブチル)と溶媒(キシレン)をそれぞれ添加し、混合して成膜用スラリーを調製した。次いで、上記の多孔質支持体の外周表面に、調製したスラリーを塗布した。これを80℃で乾燥後、大気中において1000〜1600℃の温度域(ここでは最高焼成温度:約1400℃)まで昇温し、最高焼成温度で3時間保持して焼成した。これにより、多孔質支持体の外周面に酸素分離膜(平均膜厚100μm)が形成された11種類の酸素分離膜エレメントを得た。なお、La0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.7O3−δの熱膨張係数(示差膨張方式(TMA)に基づく室温(25℃)〜1000℃の間の平均値)は、12.4×10−6/Kである。
サンプル1〜11の気孔率、室温下での三点曲げ強度(強度)、押出し成形性について評価した。気孔率は水銀圧入法により、三点曲げ強度はJIS R1601に準拠した三点曲げ試験により評価した。
また、サンプル6〜11の結果から明らかなように、微粒3YSZ粉末の割合が3YSZ全量の75質量%よりも大きいと、機械的強度(三点曲げ強度)は20MPa以上(より具体的には30MPa以上)であるが、気孔率が20%台と低い。他方、微粒3YSZ粉末の割合が3YSZ全量の25質量%よりも小さいと、気孔率は30%を超えるが、逆に強度は20MPa未満となる。三点曲げ強度が20MPa未満であると、酸素分離膜20を成膜する際に多孔質支持体自体が破損する虞があるため、好ましくない。また、気孔率が20%台では、多孔質支持体として望ましいガス拡散性能が得られ難く、好ましくない。
10 多孔質支持体
11 外管
12 内管
13 膜形成部
14 リブ状部
15 通気路
16 直管孔
20 酸素分離膜
Claims (5)
- 酸素イオン伝導体から成る緻密な酸素分離膜を支持するための多孔質支持体であって、
電融マグネシア粉末と、
電融ジルコニア粉末と、
前記電融マグネシア粉末および前記電融ジルコニア粉末よりも相対的に粒径の小さい微粒ジルコニア粉末と
から成り、
前記電融ジルコニア粉末と前記微粒ジルコニア粉末の合計の質量比率が全体の20〜45質量%であって、このうちの微粒ジルコニア粉末の質量比率が1/4〜3/4である原料粉末を所定形状に成形した成形体を焼成して得られたことを特徴とする酸素分離膜用多孔質支持体。 - 前記電融マグネシア粉末および電融ジルコニア粉末の平均粒径が5μm〜100μmの範囲内にあり、前記微粒ジルコニア粉末の平均粒径が0.01μm〜3μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の酸素分離膜用多孔質支持体。
- 熱膨張係数が10×10 −6 /K〜14×10 −6 /Kの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の酸素分離膜用多孔質支持体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の酸素分離膜用多孔質支持体であって、
外管と内管とから成る長尺状の二重管構造を有しており、
その外管の外周面であって前記酸素分離膜が形成されるための膜形成部と、
前記外管の内周面と該内周面に対向する前記内管の外周面との間に形成される断面視リング状の空間を径方向に沿って所定間隔で仕切るように設けられた複数のリブ状部と、
前記リング状空間が前記複数のリブ状部により仕切られたことにより形成された複数の通気路と、
前記内管の内周面に形成される直管孔とを備えることを特徴とする酸素分離膜用多孔質支持体。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質支持体と、当該多孔質支持体の表面の少なくとも一部に形成された酸素イオン伝導体から成る緻密な酸素分離膜とから成る酸素分離膜エレメント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008042446A JP4824050B2 (ja) | 2008-02-25 | 2008-02-25 | 酸素分離膜用多孔質支持体および該支持体を備える酸素分離膜エレメント |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008042446A JP4824050B2 (ja) | 2008-02-25 | 2008-02-25 | 酸素分離膜用多孔質支持体および該支持体を備える酸素分離膜エレメント |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009195867A JP2009195867A (ja) | 2009-09-03 |
JP4824050B2 true JP4824050B2 (ja) | 2011-11-24 |
Family
ID=41140000
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008042446A Active JP4824050B2 (ja) | 2008-02-25 | 2008-02-25 | 酸素分離膜用多孔質支持体および該支持体を備える酸素分離膜エレメント |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4824050B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR3012977A1 (fr) * | 2013-11-08 | 2015-05-15 | Saint Gobain Ct Recherches | Support pour la separation de gaz |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01305848A (ja) * | 1988-06-02 | 1989-12-11 | Kawasaki Refract Co Ltd | 焼成れんがの製造方法 |
JPH03242368A (ja) * | 1990-02-19 | 1991-10-29 | Mitsubishi Materials Corp | 複合セラミックス及びその製造方法 |
JP3502685B2 (ja) * | 1994-03-31 | 2004-03-02 | 京セラ株式会社 | 空気極用支持部材 |
JP2002292234A (ja) * | 2001-03-30 | 2002-10-08 | Tokyo Gas Co Ltd | 酸素透過用構造体及び酸素製造装置 |
CA2466484C (en) * | 2001-11-09 | 2009-09-22 | Takehiro Suzuki | Ceramic member with oxygen ion conductivity and use thereof |
JP4580729B2 (ja) * | 2004-10-29 | 2010-11-17 | 株式会社ノリタケカンパニーリミテド | ジルコニア多孔質体およびその製造方法 |
-
2008
- 2008-02-25 JP JP2008042446A patent/JP4824050B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009195867A (ja) | 2009-09-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8293143B2 (en) | Method of preparing a thin ceramic composition with two materials, the composition thus obtained and the constituent electrochemical cell and membrane | |
Jin et al. | Preparation of an asymmetric perovskite-type membrane and its oxygen permeability | |
US20110165482A1 (en) | Method for preparing a thin ceramic material with controlled surface porosity gradient, and resulting ceramic material | |
EP2054355A2 (en) | Composite oxygen ion transport membrane | |
WO2005081800A2 (en) | High cte reaction-bonded ceramic membrane supports | |
JP4885159B2 (ja) | 酸素分離膜エレメント | |
Tan et al. | Influence of sintering condition on crystal structure, microstructure, and oxygen permeability of perovskite-related type Ba0. 8Sr0. 2Co0. 8Fe0. 2O3− δ membranes | |
JP2009035447A (ja) | セラミックス粉体及びその焼結体とそれを利用した固体酸化物型燃料電池用空気極 | |
JP4149343B2 (ja) | 酸素分離膜エレメント及びその製造方法 | |
JP4149337B2 (ja) | 酸素分離膜エレメント及びその製造方法 | |
WO2005080292A1 (en) | Reaction-bonded porous magnesia body | |
Raju et al. | Two-step sintering technique for enhancing mechanical and oxygen permeation properties of dual-phase oxygen transport membranes | |
JP4824050B2 (ja) | 酸素分離膜用多孔質支持体および該支持体を備える酸素分離膜エレメント | |
JP5031616B2 (ja) | 酸素分離材及びその製造方法 | |
JP2008246451A (ja) | 酸素分離膜エレメント | |
Gurauskis et al. | Pilot scale fabrication of lanthanum tungstate supports for H2 separation membranes | |
US9789445B2 (en) | Composite oxygen ion transport membrane | |
JP4855706B2 (ja) | 水素分離材及び水素分離装置 | |
Deronzier et al. | Symmetric and asymmetric membranes based on La0. 5Sr0. 5Fe0. 7Ga0. 3O3-δ perovskite with high oxygen semipermeation flux performances and identification of the rate-determining step of oxygen transport | |
JP3806298B2 (ja) | 複合材料、酸素の分離装置及び化学反応装置 | |
JP4340269B2 (ja) | 磁器組成物、酸素の分離装置及び化学反応装置 | |
KR100569882B1 (ko) | 혼합전도성 페로프스카이트 다성분계 금속 산화물로구성된 산소투과 분리막 및 그 표면층 개질방법 | |
JP2011016094A (ja) | 酸素分離膜材およびその製造方法 | |
JP2010269237A (ja) | 酸素水製造装置および酸素水の製造方法 | |
JP2008036500A (ja) | 支持体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100312 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110415 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110609 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110803 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110825 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110907 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4824050 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140916 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
R370 | Written measure of declining of transfer procedure |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |