JP4149337B2 - 酸素分離膜エレメント及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素分離膜エレメント及びその製造方法に関する。
高温(例えば500℃以上)において酸素イオンを選択的に透過させる性質を有するセラミック(酸素イオン伝導体)が知られている。このような酸素イオン伝導体から形成されたセラミック材は、酸素を含有する混合ガスから酸素を分離する等の目的に利用することができる。例えば、酸素イオン伝導体として酸化ジルコニウムを用いる酸素分離方法が知られている。この種の技術としては、特許文献1〜3に開示されたもの等がある。
一方、酸素イオン伝導体のなかには、酸素イオン伝導性とともに電子伝導性(ホール伝導性を含む意味である。)を示すものがある。このような酸素イオン伝導体は、電子−酸素イオン混合伝導体(以下、単に「混合伝導体」ともいう。)と呼ばれることもある。かかる混合伝導体からなる膜状セラミック材は、このセラミック材自体が電子伝導性を有することから、両面を短絡させるための外部電極や外部回路等を用いることなく、一方の面から他方の面へと連続して酸素イオンを透過させることができる。この種の技術としては、特許文献4〜22に開示されたもの等がある。
また、このような酸素イオン伝導体から形成されたセラミック材は、炭化水素の部分酸化反応等の酸化用反応装置にも利用することができる。例えば、このセラミック材を膜状(薄い層状のものを包含する。)に形成し、その一方の表面を酸素を含むガスに接触させ、他方の表面を炭化水素(メタン等)を含むガスに接触させる。これにより、膜状セラミック材の一方の表面からこのセラミック材を透過して供給される酸素イオンによって、セラミック材の他方の表面に接触した炭化水素を酸化させることができる。
これらのうち代表的な酸素イオン伝導体として、ペロブスカイト型の複合酸化物、例えば、La−Sr−Co系複合酸化物やLa−Sr−Mn系複合酸化物等が知られている。これらペロブスカイト型複合酸化物は、高い酸素イオン伝導性と電子伝導性を有するため、上記用途に有用である。特許文献23には多孔質支持体上にペロブスカイト型複合酸化物膜が積層されたセラミック体が開示されている。
特許第3173724号公報 特開平9−299749号公報 特表平8−503193号公報 特開昭56−92103号公報 特開平10−114520号公報 特開平11−335164号公報 特開平11−335165号公報 特開2000−154060号公報 特開2001−93325号公報 特開2001−104741号公報 特開2001−104742号公報 特開2001−106532号公報 特開2001−269555号公報 特開2002−12472号公報 特開2002−97083号公報 特許第2533832号公報 特許第2813596号公報 特許第2966340号公報 特許第2966341号公報 特許第2993639号公報 米国特許第5,306,411号明細書 米国特許第5,356,728号明細書 特開平3−37172号公報
酸素イオン伝導性をより一層高くするためには、多孔質支持体は酸素の透過が容易なように気孔率が大きいことが望ましい。一方、酸素分離膜は酸素イオンの透過距離が短縮されるように薄く形成することが望ましい。ところが、気孔率が大きい多孔質支持体に薄い酸素分離膜を形成すると、多孔質支持体と酸素分離膜との気孔率の違いから焼成収縮率に差が生じ、酸素分離膜に応力が加わる。このため酸素分離膜に剥離やクラック等が発生し易く、歩留まり低下の原因となり得る。一方、この応力に耐えうる強度を持たせるために酸素分離膜を厚く形成すると、膜中の酸素イオンの透過距離が長くなり酸素分離性能低下の原因となり得る。このため、酸素分離性能に優れ、かつ酸素分離膜部分に剥離やクラック等が発生し難い機械的強度の高い酸素分離膜エレメント及びその製法が望まれている。
そこで本発明は、上記課題を解決し、機械的強度及び酸素分離性能に優れた酸素分離膜エレメント及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によって提供される酸素分離膜エレメントは、多孔質支持体表面部の少なくとも一部に、酸素イオン伝導性を有する酸素分離膜を形成した酸素分離膜エレメントであって、前記多孔質支持体は膜の形成方向に対してほぼ直交する方向に積層された、相互に気孔率の異なる少なくとも2つの多孔質層を有し、該積層された多孔質層は、気孔率が前記酸素分離膜に向かって次第に減少するように構成されている。好ましくは、前記多孔質層と前記酸素分離膜とが、いずれも同じ組成の酸化物から実質的に構成されている。
本発明者らは、多孔質支持体の気孔率を高く、かつ酸素分離膜を薄くして酸素透過性を向上させつつ、酸素分離膜の剥離やクラック等の発生を防止可能な酸素分離膜エレメントの構造について鋭意検討した結果、多孔質支持体の気孔率を酸素分離膜に向けて次第に減少させることにより、上記目的を達成することに成功した。即ち、多孔質支持体は気孔率の異なる少なくとも2つの多孔質層を積層して構成し、酸素分離膜に向かって気孔率が次第に減少するように各層の気孔率を設定する。このことにより、多孔質支持体の気孔率を全体として大きくしつつも、酸素分離膜とその膜と隣接する多孔質層との間の気孔率差を縮小し、酸素分離膜に加わる応力を低減することができる。従って酸素分離膜の剥離やクラック等の発生を防止することができる。
また、多孔質支持体を構成する各多孔質層と酸素分離膜とが全て同じ組成で構成されると、その化学的性質が同等となるために、焼成時や高温での使用時における多孔質層の変形、湾曲や膜の剥離、クラックの発生等がより効果的に防止され得る。このため、機械的強度及び耐久性に特に優れた酸素分離膜エレメントである。また、膜と支持体の反応により、膜の導電性が低下するという問題も解消し得る。
本発明の酸素分離膜エレメントとして好ましいものは、前記多孔質層は、いずれも平均細孔径rが0.1μm<r<20μmの範囲であり、気孔率pが5%≦p≦60%の範囲である。
多孔質層の気孔率及び平均細孔径のいずれかが上記所定の範囲よりも小さい場合には、酸素分離膜の支持体側におけるガス接触面積が小さいために結果として酸素イオン伝導性が低下する傾向にある。或いは、気孔率及び平均細孔径のいずれかが上記所定の範囲よりも大きい場合には、酸素分離膜の酸素イオン伝導性を高く維持し得るものの支持体自体の機械的強度に劣る傾向にある。即ち、気孔率及び平均細孔径のうち、いずれか一方が上記所定範囲を逸脱しても支持体としての性能が低下する傾向にある。従って、全ての多孔質層の気孔率及び平均細孔径が前記範囲内である場合には、機械的強度に優れ、酸素分離膜の支持体側のガス接触面積を充分に確保することができる。
また、本発明の酸素分離膜エレメントとしてさらに好ましいものは、前記多孔質支持体において、互いに隣接する前記多孔質層間の気孔率差が20%以内であって、かつ前記酸素分離膜と該膜に隣接する多孔質層との気孔率差が5%以内である。
多孔質層間の気孔率差が上記所定値以下となる酸素分離膜エレメントは、気孔率のギャップにより多孔質層間に起こり得る多孔質層の変形や湾曲等が起こり難い。また、気孔率のギャップによる酸素分離膜の剥離やクラック等の発生が防止されるという効果を有する。
本発明の酸素分離膜エレメントとして他の好ましいものは、前記多孔質層及び前記酸素分離膜がそれぞれ、一般式:La1−xAeMOで示される複合酸化物、安定化ジルコニア、及び酸化セリウムからなる群からそれぞれ独立に選ばれる少なくとも1種の酸化物から実質的に構成されている。ここで一般式中、Aeは、Ba、Sr及びCaからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、MはFe、Mn、Ga、Ti、Co、Ni、Al、In、Sn及びZrからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、xは0<x<1を満たす。また、安定化ジルコニアとは、安定化剤が固溶されたジルコニアである。安定化剤としては、従来公知のいずれの成分であってもよいが、イットリウム(Y)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、及びセリウム(Ce)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。安定化ジルコニアとしてはこれらいずれかを2〜15モル%含むジルコニア(ZrO)、例えばイットリア安定化ジルコニアが好ましい。
上記各酸化物はいずれも酸素イオン伝導性に優れるとともに、強度及び耐熱性に優れる。このため、これら酸化物のうちのいずれか、あるいは、上記各酸化物のうちのいずれか2種以上の組み合わせを構成要素とする多孔質層及び酸素分離膜を備えることにより、高い強度とともに酸素分離性能の向上を実現することができる。
また、本発明によって提供される酸素分離膜エレメント製造方法は、セラミック製多孔質支持体表面部の少なくとも一部に、酸素イオン伝導性を有する酸素分離膜を備えた酸素分離膜エレメントの製造方法であって、前記多孔質支持体を構成する相互に焼成収縮率の異なる少なくとも2つの前駆体層と、前記酸素分離膜を構成する前駆体層とを、前記酸素分離膜を構成する前駆体層に向かって焼成収縮率が次第に増加するように積層し、該積層体を一体成形する工程と、該成形体を焼成する工程と、を含む。
本発明者らは、多孔質支持体の気孔率を高く、かつ酸素分離膜を薄く形成して酸素透過性を向上させつつ、酸素分離膜の剥離やクラック等の発生を防止可能な酸素分離膜エレメントの製造方法について鋭意検討した結果、積層タイプのセラミック多孔質支持体を構成する各層(焼成前のセラミック前駆体及び/又はセラミック原料から成る層をいう。以下「前駆体層」と略称する。)の焼成収縮率を酸素分離膜に向けて次第に増加させることにより、上記目的を達成することに成功した。即ち、多孔質支持体を構成する前駆体として相互に焼成収縮率の異なる前駆体層を少なくとも2つ積層する。このとき、酸素分離膜に向かって焼成収縮率が次第に増加するように積層体を形成する。このことにより、多孔質支持体全体の気孔率を比較的大きくしつつも焼成後における酸素分離膜とその膜に隣接する部分(多孔質支持体)との間の焼成収縮率差による応力を縮小し、酸素分離膜の剥離やクラック等の発生を防止することができる。このため、歩留りも向上し得る。
尚、本明細書中において「焼成収縮率」とは、所定の焼成温度でのそのもの(ここでは前駆体層)の焼成前の体積に対する焼成後の体積変化(低下)率(%)を意味し、次式にて示される。
焼成収縮率(%)={1−(焼成後の体積)/(焼成前の体積)}×100
ここで開示される酸素分離膜エレメント製造方法の好ましいものは、前記多孔質支持体を構成する各前駆体層と前記酸素分離膜を構成する前駆体層とを、焼成後の気孔率が前記酸素分離膜を構成する前駆体層に向かって次第に減少するように形成する。
多孔質支持体を構成する前駆体層を少なくとも2つ積層し、それらについて酸素分離膜に向かって焼成後の気孔率を次第に減少させることにより、得られる多孔質支持体の気孔率を全体として大きくしつつも酸素分離膜とその膜に隣接する多孔質支持体との間の気孔率差を縮小することができる。このため、多孔質支持体と酸素分離膜との間の気孔率のギャップによる応力を低減し、酸素分離膜の剥離やクラック等の発生を防止することができる。
より好ましくは、前記多孔質支持体を構成する各前駆体層は、互いに隣接する前駆体層間の焼成後の気孔率差が20%以内であって、かつ前記酸素分離膜と隣接する前駆体層と前記酸素分離膜を構成する前駆体層との焼成後の気孔率差が5%以内となるように形成する。
多孔質支持体を構成する各前駆体層間の焼成後の気孔率差を上記所定値以下に形成することにより、前駆体層間の気孔率のギャップにより起こりえる多孔質支持体の変形や湾曲等を防止することができる。また、気孔率のギャップによる酸素分離膜の剥離やクラック等の発生を防止することができる。このため、歩留まりが向上し、生産効率を高くすることが可能である。
ここで開示される酸素分離膜エレメント製造方法において特に好ましいものは、前記積層体の各前駆体層は、セラミック原料粉末を主体とする材料であって、該原料粉末の平均粒径が相互に異なる材料からそれぞれ形成されており、これら材料は前記酸素分離膜を構成する前駆体層形成用材料のセラミック原料粉末の平均粒径が最も小さく、該酸素分離膜から離れた前駆体層を形成する材料ほどセラミック原料粉末の平均粒径が大きいことを特徴とする。
本発明者らは、各前駆体層をそれぞれ異なる材料から形成するとともに、酸素分離膜に近い多孔質層(前駆体層)を形成する材料ほど当該材料に含まれるセラミック原料粉末の平均粒径を小さくすることにより、多孔質支持体の各前駆体層間及び酸素分離膜の前駆体層とそれに隣接する多孔質支持体の前駆体層間の焼成収縮率差を低減し、或いは気孔率差を低減することに成功した。即ち、セラミック原料粉末の形状が大きくなるにしたがい当該粉末からなる成形体(この場合は前駆体層)の焼成収縮率が低く、或いは焼成後の気孔率は高くなる傾向にある。換言すれば、原料粉末の粒径が小さくなるにしたがい当該粉末から成る成形体の焼成収縮率が高く、或いは焼成後の気孔率は低くなる傾向にあることを見出した。この知見に基づいて、酸素分離膜に近い前駆体層ほど、原料粉末の粒径が小さい材料によって形成することにより、酸素分離膜に向かって焼成収縮率を次第に増大させるとともに、焼成後の気孔率を次第に減少させることが容易に行える。このため、多孔質支持体の気孔率を全体として大きくしつつも、酸素分離膜とその膜に隣接する多孔質支持体との間の焼成収縮率及び気孔率差を低減し、酸素分離膜の剥離やクラック等の発生を防止することができる。
ここで開示される製造方法において他の好ましいものは、前記積層体の各前駆体層はそれぞれセラミック原料粉末を主体とする材料から形成されており、各前駆体層を形成する材料に含まれるセラミック原料粉末は、焼成後において、一般式:La1−xAeMOで示される複合酸化物、安定化ジルコニア、及び酸化セリウムからなる群からそれぞれ独立して選ばれる少なくとも1種の酸化物セラミックとなるように調製されている。ここで一般式中、Aeは、Ba、Sr及びCaからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、MはFe、Mn、Ga、Ti、Co、Ni、Al、In、Sn及びZrからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、xは0<x<1を満たす。
この方法で形成される上記各酸化物セラミックはいずれも酸素イオン伝導性に優れるとともに、機械的強度及び耐熱性に優れる。このため、多孔質支持体及び酸素分離膜を形成する各前駆体層材料に含まれるセラミック原料粉末が焼成後においてこれら酸化物セラミックのうちのいずれか、あるいは、上記各酸化物セラミックのうちのいずれか2種以上が形成されるように調合されたものとすることにより、特に高い強度とともに酸素分離性能を向上することが可能である。
さらに、ここで開示される製造方法の他の好ましいものは、前記積層体の各前駆体層はそれぞれセラミック原料粉末を主体とする材料から形成されており、各前駆体層を形成する材料に含まれるセラミック原料粉末は、焼成後において、同じ組成の酸化物セラミックとなるように調製されている。
多孔質支持体と酸素分離膜とが焼成後において全て同じ組成の酸化物セラミックとなるようにセラミック原料粉末を調製することにより、得られる焼成体の性質(典型的には化学的性質)を同等とすることができる。このため、焼成収縮率差を極めて近似させることができ、焼成時や高温での使用時における多孔質支持体の変形、湾曲や膜の剥離、クラック等の発生をより効果的に防止することができる。従って、機械的強度及び耐久性に特に優れた酸素分離膜エレメントを好適に製造することができる。また、膜と支持体の反応により、膜の導電性が低下するという問題も解消し得る。
また、ここで開示される製造方法の他の好ましいものは、前記多孔質支持体を構成する各前駆体層は、予めシート状に形成されている。
前記多孔質支持体を構成する各前駆体層をシート状に予め形成することにより、少なくとも2つの前駆体層を同時に積層可能とし、製造工程が簡易化されるとともに、製造時間も短縮される。また、各前駆体層の厚さをそれぞれ所望の厚さに選択して形成することが容易である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば多孔質支持体及び酸素分離膜の気孔率や組成、原料粉末の平均粒径等)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば原料粉末の混合方法や焼成方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
尚、本明細書において、「平均粒径」とは、レーザ回折式粒度分布計を用いて測定した「平均粒径(D50)」をいう。また、「平均細孔径」及び「気孔率」は、「BET法(例えば、窒素吸着法)」若しくは「水銀圧入法」に基づく。
本発明の酸素分離膜エレメントに係る多孔質支持体としては、特定のいくつかの化合物に限定されるものではなく、従来公知のいずれの多孔質体を使用可能である。特に酸素分離性能を向上可能であるため、酸素イオン伝導性を有する多孔質酸化物セラミックから構成されていることが好ましい。
このような酸化物のうち、好ましい1種は、一般式:La1−xAeMOで示される複合酸化物が挙げられる。
式中、Aeとしては、Ba、Sr及びCaからなる群から選ばれるいずれであってもよく、これらのうちの1種又は2種以上の組み合わせであってもよく、特に制限されない。このうち、Sr又はCaあるいはSrとCaとの2種の組み合わせが好ましく、かかる元素の含有率の高い組成のものが好適である。特に、AeがSrであるか、あるいはSrの含有率が高いこと(例えば、Ae中においてSrが50モル%以上含まれること)が好適である。
次に、式中、Mとしては、Fe、Mn、Ga、Ti、Co、Ni、Al、In、Sn及びZrからなる群から選ばれるいずれであってもよく、これらのうちの1種又は2種以上の組み合わせであってもよく、特に制限されない。このうち、Fe、Mn、Ga、又はTiのうちのいずれか、あるいはこれらのいずれか2種の組み合わせが好ましく、特にGa及び/又はFe、又はTi及び/又はFeが好適である。
La1−xAeMOとしては、具体的にはLa1−xSrMnO、(La1−x,Sr)(Ga1−y,Fe)O、(La1−x,Sr)(Ti1−y,Fe)Oが挙げられる。
また、式中のxとしては、0<x<1の範囲内であればいずれの数をとってもよく、即ち、本発明の目的に応じてLa(1−x)とAe(x)との組成比は適宜選択される。同様に、上記式中のyとしては、0<y<1の範囲内であればよい。
ここで、上記一般式:La1−xAeMOにおいて酸素原子数は3であるように表示されているが、実際には酸素原子の数は3以下(典型的には3未満)である。ただし、この酸素原子数は複合酸化物構造の一部を置換する原子(ここではAeおよびM)の種類および置換割合その他の条件により変動するため、正確に表示することは困難である。そこで、本明細書中において複合酸化物を示す一般式では酸素原子の数を便宜的に3として表示するが、ここで教示する発明の技術的範囲を限定することを意図したものではない。したがって、この酸素原子の数を例えば3−zと書く(例えば、上記一般式をLa1−xAeMO3―zと表示する)こともできる。ここでzは、典型的には1を超えない正の数(0<z<1)である。
本発明の酸素分離膜エレメントに係る多孔質支持体として好ましい他の1例は、安定化ジルコニアである。安定化ジルコニアとしては従来公知のいずれの安定化ジルコニアを用いてもよく、特に上記のような安定化ジルコニアが好ましい。
また、本発明の酸素分離膜エレメントに係る多孔質支持体として好ましい他の1例は、酸化セリウムである。
なお、本発明に係る多孔質支持体には、その性能(酸素イオン伝導性、電子伝導性、クラック発生防止性等)を顕著に損なわない範囲で、上記各酸化物以外の成分を含有することができる。また、上記各酸化物のいずれの2種以上の組み合わせとすることもできる。
上記本発明の酸素分離膜エレメントに係る多孔質支持体は、気孔率の異なる少なくとも2つの多孔質層が典型的には膜形成方向とほぼ直交する方向に積層されることにより、実質的に構成されている。多孔質層は、互いに気孔率が異なる以外は特にその組成に制限はなく、従って同じ組成の酸化物であってもよく、互いに異なる組成の酸化物であってもよい。特にその性質(典型的には化学的性質)が同等な同じ組成の酸化物であることが好ましい。
多孔質層は、いずれの多孔質層も平均細孔径rが好ましくは0.1μm<r<20μmの範囲であり、より好ましくは1μm<r<20μmの範囲であり、さらに好ましくは1μm<r≦15μmの範囲であり、特に好ましくは1μm<r≦10μmの範囲である。また、気孔率pは、好ましくは5%≦p≦60%の範囲であり、さらに好ましくは5%≦p≦50%の範囲であり、より好ましくは5%≦p≦40%の範囲であり、特に好ましくは5%≦p≦35%の範囲である。多孔質層の好適例としては、平均細孔径rが0.1μm<r<20μmの範囲であり、かつ気孔率pが5%≦p≦60%の範囲であるもの、平均細孔径rが1μm<r<20μmの範囲であり、かつ気孔率pが5%≦p≦60%の範囲であるもの、平均細孔径rが1μm<r<20μmの範囲であり、かつ気孔率pが5%≦p≦50%の範囲であるもの、平均細孔径rが1μm<r<20μmの範囲であり、かつ気孔率pが5%≦p≦40%の範囲であるもの、平均細孔径rが1μm<r≦15μmの範囲であり、かつ気孔率pが5%≦p≦40%の範囲であるもの、平均細孔径rが5μm≦r≦15μmの範囲であり、気孔率pが5%≦p≦35%の範囲であるものが挙げられる。このような所定の範囲内の平均細孔径及び気孔率を両立して有することにより、機械的強度が高く、酸素イオン伝導性(即ち、酸素分離膜におけるガス接触面積の充分な確保)に優れる。
この多孔質層のうち、酸素分離膜から最も離れた(即ち酸素分離膜と隣接する多孔質層と反対側の)部位に形成される多孔質層は、気孔率が当該積層された各多孔質層のうちで最大となるように選択される。以下、この多孔質層を最外多孔質層という。最外多孔質層は、その気孔率pが5%≦p≦60%の範囲であることが好適であり、好ましくは10%≦p≦50%の範囲であり、より好ましくは20%≦p≦45%の範囲であり、さらに好ましくは20%≦p≦35%の範囲であり、最も好ましくは27%≦p≦35%の範囲である。このような所定の範囲内の気孔率を有することにより、適当な機械的強度と、良好なガス(酸素)透過性とを両立することができる。
この最外多孔質層の厚さは、多孔質支持体全体の好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、又は50%以上であり得る。多孔質支持体に対する最外多孔質層の割合をこのような所定範囲以上とすることにより、支持体の良好なガス透過性を得ることができる。
多孔質支持体のうち、酸素分離膜と隣接する多孔質層は、上記最外多孔質層と酸素分離膜との間の気孔率を有する。以下、この多孔質層を隣接多孔質層という。隣接多孔質層は、酸素分離膜の気孔率との差が、好ましくは10%以下、特に5%以下である。酸素分離膜との気孔率差がこの範囲以下であると、焼成時や高温での使用時に酸素分離膜にかかる応力を低減し得、酸素分離膜の剥離やクラック等の発生防止効果が高い。従って、この隣接多孔質層の気孔率は、好ましくは、1〜15%、より好ましくは2〜10%、特に好ましくは3〜7%である。
多孔質支持体には、最外多孔質層及び隣接多孔質層に加えて、さらに多孔質層間の気孔率差を低減するために、最外多孔質層及び隣接多孔質層の間に1層又は2層以上の中間多孔質層が形成されていてもよい。中間多孔質層は、最外多孔質層及び隣接多孔質層の間の気孔率を有し、最外多孔質層から隣接多孔質層に向かって、気孔率が次第に減少するように形成されている。中間多孔質層は、形成しなくてもよいが、好ましくは1層形成される。所望により2層又は3層以上形成される。
互いに隣接する多孔質層間の気孔率差は、好ましくは30%以下、特に20%以下である。多孔質層間の気孔率差がこの範囲以下であることにより、焼成時や高温での使用時に多孔質層間にかかる応力(特に気孔率差に起因する。)を低減し得、多孔質支持体の湾曲や変形等の発生防止効果が高い。
また、互いに隣接する多孔質層は、いずれかの層に対する他方の層の厚さの差が±70%以内、好ましくは50%以内、特に30%以内とすることが最適である。例えば、一方の層の厚さを100mmとした場合、隣接する他方の層は好ましくは30〜170mm、より好ましくは50〜150mm、さらに好ましくは70〜130mmの範囲とする。層の厚さの差を所定範囲内とすることにより、多孔質支持体の湾曲や変形等の発生をより効果的に防止する。
本発明の酸素分離膜エレメントに係る多孔質支持体は、好ましい態様において、通常1200℃以上、好ましくは1300℃以上、特に好ましくは1500℃以上の高温条件下にも上記各好適な気孔率の範囲内に上記気孔率を保持する。このような高温下にも耐熱性を有することにより、膜焼成時及び高温使用時にも適当な機械的強度と、優れた酸素イオン伝導性を保持することができる。
また、好ましい態様において、機械的強度は、JIS R1601に従い測定した三点曲げ強度が10MPa以上、特に20MPa以上である。
次に、本発明の酸素分離膜エレメントに係る酸素分離膜について説明する。
本発明に係る酸素分離膜は、酸素イオン伝導性を有する酸化物であればよく、特定のいくつかの化合物に限定されるものではなく、従来公知のいずれの酸素イオン伝導性を有する酸化物を使用可能である。このような酸化物のうち、好ましい酸化物は、本発明に係る多孔質支持体において説明した酸化物と同様なものが挙げられる。即ち、一般式:La1−xAeMOで示される複合酸化物、安定化ジルコニア、及び酸化セリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されるものが挙げられる。このうち、特に好適なものについては、上記多孔質支持体と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
本発明の酸素分離膜エレメントによれば、前記多孔質支持体と前記酸素分離膜とが、同じ組成の酸化物から構成されることが好ましい。特に好ましい酸化物としては、La1−xSrMnO、(La1−x,Sr)(Ga1−y,Fe)O、(La1−x,Sr)(Ti1−y,Fe)O、又は安定化剤としてY(イットリウム)、Ca(カルシウム)、Sc(スカンジウム)、Ce(セリウム)を2〜15モル%含む安定化ジルコニアが挙げられる。上記式中のx及びyについては、上述した通りである。
また、本発明に係る酸素分離膜には、その性能(酸素イオン伝導性、電子伝導性、クラック発生防止性等)を顕著に損なわない範囲で、上記各酸化物以外の成分を含有することができる。
酸素分離膜エレメントに係る酸素分離膜は、緻密なものが好ましい。その気孔率は、特に限定されず、従来酸素分離膜として使用されているものと同等の気孔率であることができる。具体的には、通常酸素分離性能に優れる5%以下、好ましくは3%以下、特に2%以下であることが望ましい。
酸素分離膜エレメントに係る酸素分離膜としては、用途に応じて適宜膜厚を選択することができるが、通常酸素イオン伝導性が良好である10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは10〜180μm、更に好ましくは10〜150μm、特に好ましくは10〜100μmである。
次に、本発明に係る酸素分離膜エレメントの製造方法について説明する。
ここで開示される製造方法では、多孔質支持体を構成する複数の前駆体層及び酸素分離膜を構成する前駆体層を調製し、積層する。多孔質支持体を構成する前駆体層は、焼成後に多孔質支持体を構成する従来公知のセラミック原料を主体とする材料から形成することができる。また、酸素分離膜を構成する前駆体層は、焼成後に酸素イオン伝導性を有する酸化物であれば特に限定されず、従来公知のいずれの酸素イオン伝導性酸化物又は焼成後にこの酸化物となるものを用いることができる。
多孔質支持体を構成する前駆体層及び酸素分離膜を構成する前駆体層を形成する材料としては、上記エレメントにおいて例示されたいずれかの酸化物から成るセラミック粉末を主体とするものを用いることができる。入手可能な(例えば、市販の)粉末を特に制限なく用いることができる。また、焼成中に分解してこれら酸化物になるものであればよく、必ずしも酸化物を直接使用しなくともよい。従って、前駆体層形成材料(主成分)としては、本来の酸化物の他、種々の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩類等が利用され得る。例えば、焼成後に上記複合酸化物が構成されるようなモル比でこれら非酸化物成分を所定の比率で混合するとよい。これらはそのまま前駆体原料として用いることができる。或いは、混合後に大気中、若しくは酸素リッチな雰囲気中において所定の温度域で焼成することによって予め酸化物を焼成し、かかる酸化物を主体とした原料を使用してもよい。
多孔質支持体を構成するために、焼成収縮率の異なる少なくとも2つの前駆体層を積層する。これら前駆体層は、互いに焼成収縮率が異なる以外は特にその組成に制限はなく、従って同じ組成の材料から形成すればよく、互いに異なる組成の材料から形成してもよい。特にその化学的性質が同等となるように相互に同じ組成の材料を用いることが好ましい。形成された各前駆体層間の焼成収縮率差は、10%以下とすることが好ましく、5%以下とすることが特に好ましい。また、酸素分離膜に隣接する前駆体層と酸素分離膜を構成する前駆体層との焼成収縮率差も同様に10%以下であることが好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
各前駆体層の焼成収縮率を異ならせる手段としては、いずれの手段を用いてもよい。例えば、材料の組成を変化させてもよい。或いは、焼成後の気孔率が相互に異なるように材料の内容を異ならせてもよい。即ち、焼成後の気孔率が高いものほど焼成収縮率が低く、一方焼成後の気孔率が低いものほど焼成収縮率が高い。多孔質支持体を構成する各前駆体層間の焼成後の気孔率差は、好ましくは30%以下、特に20%以下である。気孔率差がこの範囲以下であることにより、特に気孔率差により焼成時に前駆体層間にかかる応力を低減し、得られた多孔質支持体の湾曲や変形等の発生防止効果が高い。また、酸素分離膜に隣接する前駆体層は、酸素分離膜を構成する前駆体層との焼成後の気孔率の差が、好ましくは10%以下、特に5%以下である。酸素分離膜との気孔率差がこの範囲以下であることにより、特に気孔率差により焼成時や高温での使用時に酸素分離膜にかかる応力を低減し、酸素分離膜の剥離やクラック等の発生防止効果が高い。
これら前駆体層の焼成収縮率及び/又は焼成後の気孔率を変化させる手段としては、いずれの手段であってもよいが、好適にはそれら前駆体層形成用材料に含まれるセラミック原料粉末の平均粒径を材料ごとに変化させる。このことによって、各層の焼成収縮率及び/又は焼成後の気孔率を変化させることができる。尚、セラミック原料粉末の平均粒径を容易に変化させ得る手段としては、所望の平均粒径を有する市販又は入手可能な原料粉末を用いることが挙げられる。或いは、市販品をそのまま使用する代わりに、平均粒径が上記所定の粒径範囲内にない原料粉末を造粒、仮焼して、所望の粒径に成長させて用いることができる。その手段としては、いずれの手段であっても特に限定されない。例えば、セラミック原料粉末を所定量のバインダー、分散剤等の添加剤と混合し、ボールミル等によりよく混練し、乾燥して凝集体を得る。次に該凝集体を仮焼して、所望により解砕することにより、所望の粒径の原料粉末を得ることができる。或いは、上記原料粉末に所定量のバインダー、分散媒、分散剤等の添加剤を加えてスラリー状にした後、スプレードライヤー等により加熱乾燥及び仮焼して、所望の粒径の原料粉末を得ることができる。
多孔質支持体を構成する前駆体層を形成するのに使用するセラミック原料粉末の平均粒径としては、酸素分離膜と最も離れた最外前駆体層形成用の場合で、1〜150μmの範囲内であることが好適であり、より好ましくは20〜100μmの範囲内であり、さらに好ましくは40〜100μmの範囲内であり、特に好ましくは60〜100μmの範囲内であり、最も好ましくは60〜80μmの範囲内である。原料粉末がこのような所定の範囲内の平均粒径を有することにより、得られる支持体において適当な機械的強度と、良好な酸素透過性とを両立することができる。
この最外前駆体層の厚さは、多孔質支持体の前駆体層の合計の好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、特に50%以上である。最外前駆体層の割合をこのような所定範囲以上とすることにより、支持体のガス透過性が良好となる。
多孔質支持体を構成する各前駆体層のうち、酸素分離膜を構成する前駆体層と隣接する「隣接前駆体層」を形成する原料粉末は、上記最外前駆体層を形成する原料粉末と酸素分離膜を構成する原料粉末との間の平均粒径を有する。隣接前駆体層は、酸素分離膜を構成する前駆体層の原料粉末の平均粒径との差が、好ましくは50μm以下、特に30μm以下である。酸素分離膜を構成する前駆体の原料粉末との平均粒径差がこの範囲以下であると、特に焼成収縮率や気孔率差により焼成時や高温での使用時に酸素分離膜にかかる応力を低減し、酸素分離膜の剥離やクラック等の発生防止効果が高い。従って、この隣接多孔質層の原料粉末の平均粒径は、好ましくは、5〜50μm、より好ましくは10〜50μm、特に20〜40μmである。
多孔質支持体を構成する前駆体層としては、最外前駆体層及び隣接前駆体層に加えて、さらに前駆体層間の焼成収縮率及び/又は気孔率差を低減するために、上記最外前駆体層及び上記隣接前駆体層の間に1層又は2層以上の中間前駆体層を形成してもよい。中間前駆体層は、最外前駆体層から隣接前駆体層に向かって、原料粉末の平均粒径が次第に減少するように形成する。中間前駆体層は、形成しなくてもよいが、好ましくは1層形成される。所望により2層又は3層以上形成される。
多孔質支持体を構成する互いに隣接する前駆体層間の原料粉末の平均粒径差は、好ましくは50μm以下、特に30μm以下である。前駆体層間の原料粉末の平均粒径差がこの範囲以下であることにより、特に焼成収縮率及び/又は気孔率差により焼成時や高温での使用時に前駆体層間にかかる応力を低減し、多孔質支持体の湾曲や変形等の発生防止効果が高い。
また、酸素分離膜を構成する前駆体の原料粉末の平均粒径は、好ましくは1〜30μm、特に1〜15μmである。このような所定範囲の平均粒径を有することにより、特に緻密で酸素イオン伝導性に優れる酸素分離膜を得ることができる。
各前駆体層を積層して成る積層体を一体成形する手段としては、従来公知のいずれの成形手段を採用することができる。例えば、各前駆体層を形成する原料粉末を順に積層して成形することができる。成形手段としては、一軸加圧式プレス成形、冷間等方圧プレス成形(CIP)、押出し成形等の、従来公知の成形法を特に制限なく採用することができる。この成形のために従来公知のバインダー、分散媒、分散剤等を使用してスラリー或いは可塑性固形物として積層してもよい。成形圧としては、特に制限されないが、好ましくは5MPa以上、特に10MPa以上の圧力下に行われる。
各前駆体層は、予め前駆体層ごとにシート状に形成し、これを積層して一体成形してもよい。シート状に形成する手段としては、上記と同様な成形手段が挙げられる。また、上記可塑性固形物をシート状に形成して用いてもよい。あるいは、最外前駆体層を予めシート状に形成し、これに各前駆体層を形成するための原料粉末を含むスラリー等を順に塗布・乾燥することによって積層することもできる。例えば、各前駆体層の原料粉末を有機溶剤等のバインダーに分散させたスラリーを用いたディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法が挙げられる。
この前駆体層の形状は特に限定されない。具体的には、平面状、曲面状、管状(両端が開口した開管状のもの、一端が開口しており一端が閉じている閉管状のもの等を含む)、ハニカム状等いずれの各種形状を含む。前駆体層の厚さは、特に限定されないが、互いに隣接する前駆体層は、いずれかの層に対する他方の層の厚さの差が好ましくは±70%以内、より好ましくは50%以内、特に好ましくは30%以内となるような厚さに形成する。この程度の厚み差であれば、特に機械的強度に優れる。
好ましくは、酸素分離膜を構成する前駆体層は、従来公知のいずれの薄膜形成プロセスにおいて用いられる各種の方法により積層することができる。例えば、前駆体層の原料粉末を有機溶剤等のバインダーに分散させたスラリー状形成材料を用いたディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法等が挙げられる。
特にディップコーティング法は、多孔質支持体の前駆体内部への浸透を抑制でき、さらには熱分解に伴うガス発生、キャピラリー圧力、焼成収縮等による微細構造の破壊を抑制するのに寄与し得る。このため、特にディップコーティング法は、実質的に欠陥の無い酸素分離膜を多孔質支持体表面部に直接的に形成するのに好適な方法である。
具体的には、有機バインダー、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース類、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、グリセリン等に前駆体(原料粉末)を分散したコーティング液中に多孔質支持体を構成する前駆体層をディップ(浸漬)する。ディップ時間は、数秒〜1分程度でよい。5〜30秒程度が好ましい。このことによって多孔質支持体を構成する前駆体層の表面部に酸素分離膜前駆体を均等に積層することができる。
酸素分離膜としては、用途に応じて適宜膜厚を決定することができるが、通常酸素イオン伝導性が良好である10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは10〜180μm、更に好ましくは10〜150μm、特に好ましくは10〜100μmである。
次いで、これら前駆体層を焼成して、多孔質支持体及び酸素分離膜を形成する。この焼成温度域は各前駆体層の組成により適宜決定されるが、酸素分離膜の焼成温度が1200〜1800℃である場合には、通常1200〜1800℃、好ましくは1300〜1700℃、特に1300〜1600℃、さらには1300〜1500℃程度が好適である。また、焼成時間は、通常1〜15時間、好ましくは1〜12時間、特に3〜10時間、さらには3〜5時間程度行われる。尚、有機物添加剤、例えば、バインダーや分散剤等を分解除去するために、本焼成前に予め一回以上の仮焼成を行ってもよい。仮焼成は上記本焼成よりも低く有機物が分解可能な温度、例えば、100〜1000℃、好ましくは200〜500℃程度で3〜15時間、好ましくは8〜12時間程度行われる。仮焼成後にゆっくり上記焼成温度まで昇温して本焼成を行う。ここで、昇温速度としては特に限定されないが、通常1〜10℃/分、好ましくは1〜2℃/分である。焼成雰囲気としては、上記酸化物セラミックが焼結される酸化性雰囲気又は不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。
得られた酸素分離膜エレメントには、触媒を担持させて酸素分離性能及び/又は酸素イオンによる酸化反応性を向上させることができる。例えば、膜に空気を送り込む側(以下、空気側と表記する)及び/又は膜を透過した酸素イオンと混合ガスが反応する側(以下、反応側と表記する)に触媒を担持することができる。
例えば、空気側に触媒を担持する手段としては、酸素イオン透過促進触媒粉末、例えば、LaSrCo酸化物粉末に分散媒(水及び/又は有機溶剤等)、必要に応じてバインダー、分散剤、可塑剤等を添加したスラリー或いは可塑性固形物を支持体内に含浸させた後、乾燥する。さらに、例えば800〜1000℃で、焼成することができる。或いは、焼成後に所望の酸化物組成、例えばLaSrCo酸化物組成となるような、水溶液、有機化合物等を支持体に含浸、乾燥、焼成してもよい。
また、反応側に触媒を担持する手段としては、酸化促進触媒粉末、例えば、Ni系酸化物粉末に分散媒(水及び/又は有機溶剤等)、必要に応じてバインダー、分散剤等を添加したスラリー或いは可塑性固形物を、膜表面に塗布或いは印刷担持した後、乾燥する。さらに、例えば800〜1000℃で、焼成することができる。Ni系酸化物は、メタンガスのような還元性雰囲気において部分還元或いは完全還元されて、触媒として機能する。
尚、本発明では、前記触媒担持法に限定されるものではなく、例えば、支持体において空気側と反応側のいずれにも担持することができる。また、前記以外の従来公知のいずれの触媒材料を適用することも可能である。
本発明の酸素分離膜エレメントは、各種酸素イオン伝導性を発揮する用途、例えば、燃料電池等に好適に使用することができる。
<(La0.7,Sr0.3)(Ga0.6,Fe0.4)Oから構成される原料粉末の製造>
市販の(La0.7,Sr0.3)(Ga0.6,Fe0.4)O粉末をバインダー及び分散剤と混合し、ボールミルを用いてよく混練した。その後、100℃にて24時間乾燥し、同組成の凝集体を得た。次に該凝集体を仮焼して解砕し、表1に示す粒径の各原料粉末を得た。尚、(La0.7,Sr0.3)(Ga0.6,Fe0.4)O原料粉末の粒径は、レーザ回折式粒度分布計を用いて測定し、あわせて平均粒径を求めた。
Figure 0004149337
次いで、得られた(La0.7,Sr0.3)(Ga0.6,Fe0.4)O原料粉末をバインダー及び分散剤とともに、ボールミルを用いてよく混練した。その後、100℃にて24時間乾燥し、同組成の凝集体を得た。これをボールミルを用いてそれぞれ解砕し、各多孔質層及び酸素分離膜の原料粉末A〜Dとした。
<原料粉末の焼成収縮率並びに焼成後の平均細孔径及び気孔率の測定>
上記実施例1において得られたそれぞれの原料粉末について、1500℃における焼成収縮率を測定した。まず各原料粉末をバインダー及び分散剤とボールミルを用いてよく混練し可塑性固形物とし、100MPaの圧力下にプレス成形機において直径25mm、厚さ3mmの成形体にプレス成形した。この成形体の体積を外寸(外径及び厚み)により求めた。次いで、大気中において1℃/分の昇温速度で200〜500℃に昇温し、10時間保持して、有機物を分解除去した。さらに大気中において1℃/分の昇温速度で1500℃まで昇温し、3時間保持した。その後、同様に体積を測定した。得られた成形体及び焼成体の体積により、前記式から焼成収縮率を算出した。また、各原料粉末の1500℃における焼成後の得られた成形体の平均細孔径及び気孔率を水銀圧入法により測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から、原料粉末の平均粒径が大きくなるに従い、焼成収縮率が低下する傾向にあることが判る。さらに、原料粉末の平均粒径が大きくなるに従い、得られた成形体の気孔率及び平均細孔径が増大する傾向にあることが判る。
<酸素分離膜エレメントの製造>
実施例1により得られた各原料粉末をバインダー及び分散剤とボールミルを用いてよく混練し可塑性固形物とした。この各原料粉末による可塑性固形物を表2に示す各厚さで組み合わせて順にプレス型において多層状に積層して(即ち、膜の形成方向に対してほぼ直交する方向に)充填し、100MPaの圧力下にプレス成形機においてプレス成形した。さらに100℃で10時間乾燥して多孔質支持体前駆体を得た。
Figure 0004149337
次に、実施例1により得られた酸素分離膜用の原料粉末Dをバインダー及び分散剤とボールミルを用いてよく混練し、(La0.7,Sr0.3)(Ga0.6,Fe0.4)Oスラリーを調製した。
次いで得られたスラリー液中に、上記で得られた各多孔質支持体前駆体の一層目の表面部を20秒間ディップ(浸漬)しスラリーを多孔質支持体前駆体の一層目の表面部に均等に積層した。その後、多孔質支持体前駆体をスラリー液から引き上げ、60℃で4時間乾燥した。そして、大気中においてまず200〜500℃に昇温し、10時間保持して、有機物を分解除去した。さらに大気中において1500℃まで昇温し、3時間保持することにより、多孔質支持体前駆体及びスラリーを焼成し、その後放冷して多孔質支持体及びその一層目の表面部上に(La0.7,Sr0.3)(Ga0.6,Fe0.4)O酸素分離膜を形成した。尚、酸素分離膜の厚さは電子顕微鏡(SEM)により観察して測定したところ、50μmであった。
尚、本実施例においては、酸素分離膜形成用のスラリーをディップコートする前に、多孔質支持体前駆体をプレス成形している。しかし、多孔質支持体前駆体を積層後に酸素分離膜形成用のスラリーをコートしてから、プレス型において多孔質支持体前駆体及び酸素分離膜前駆体(スラリー)を同時にプレス成形することもできる。
<機械的強度の観察>
上記実施例3と同様にして酸素分離膜エレメントを各20個製造し、その機械的強度、即ち、酸素分離膜の剥離やクラック、多孔質支持体の湾曲や変形等の発生頻度を観察した。結果を表3に示す。
Figure 0004149337
表3の結果から明らかなように、多孔質支持体を同じ平均粒径の原料粉末のみで形成した比較例サンプルNo.1は、多孔質支持体の気孔率が全体的に同じであり、酸素分離膜との気孔率のギャップが大きいために、90%のエレメントにおいて酸素分離膜の剥離が起こり、歩留まりが充分ではないことが判る。これに対して、実施例3サンプルNo.1〜3のエレメントは、多孔質支持体を2種以上の平均粒径の異なる原料粉末を用いて2層以上形成したために、焼成収縮率及び気孔率の異なる2層又は3層から構成され、酸素分離膜に向かって次第に焼成収縮率が増加しているとともに気孔率が減少している。このため、酸素分離膜との焼成収縮率及び気孔率のギャップが減少しており、酸素分離膜の剥離やクラックの発生が防止され、歩留まりが向上している。特に、実施例3サンプルNo.1のエレメントは、多孔質支持体を気孔率の異なる3層から構成し、各層間の焼成収縮率差が5%以内であって、多孔質支持体の各層間の気孔率差が20%以内、かつ酸素分離膜に隣接する層と膜との気孔率差が5%以内であるため、支持体の湾曲や変形及び酸素分離膜の剥離やクラック等の発生が極めて少なかった。また、実施例サンプルNo.2は、多孔質支持体の各層間の焼成収縮率差が5%以内であって、かつ気孔率差が20%以内であるため、支持体の湾曲等の発生が防止されている。さらに、実施例サンプルNo.3は、酸素分離膜に隣接する層と膜との焼成収縮率差が5%以内であって、かつ気孔率差が5%以内であるため、サンプルNo.2に比べて酸素分離膜の剥離やクラック等の発生が防止されている。
<触媒担持酸素分離膜エレメントの製造>
実施例3において得られた酸素分離膜エレメントのサンプルNo.1に触媒を担持した。
まず、多孔質支持体中に酸素イオン透過促進触媒を担持した。
市販のLa0.6Sr0.4Co酸化物粉末(粒径;2μm)に、分散媒としての水、バインダー、及び分散剤を添加して混合し、ボールミルを用いてよく混練した。次いで得られたスラリー液を、エレメントの支持体内に3時間含浸させた後、100℃で5時間乾燥した。さらに大気中電気炉において1℃/分の昇温速度にて1000℃まで昇温し、この温度にて1時間保持することによりスラリーを焼成した。
さらに、膜側に酸化促進触媒を担持した。
酸化ニッケル粉末(粒径;5μm)を水に分散してスラリーを得た。このスラリーを酸素分離膜の表面部に均等に塗布した。その後、酸素分離膜を乾燥した。さらに大気中電気炉において1℃/分の昇温速度にて1000℃まで昇温し、この温度にて1時間保持することによりスラリーを焼成した。
尚、同様に、実施例3において得られた酸素分離膜エレメントのサンプルNo.2及び3についても、触媒を担持することができる。
<酸素イオン伝導性試験>
上記実施例3及び実施例5において得られた酸素分離膜エレメントの酸素イオン伝導性について試験した。
図1にその説明図を示す。前記実施例3又は5の酸素分離膜エレメント円板1を、酸素分離膜3側を燃料側、支持体5側を空気側として配置した。そして、上下2個の燃料(反応)側のアルミナ製円筒管7及び空気側のアルミナ製円筒管9の間に挟んで配置した。これらアルミナ製円筒管7,9及び酸素分離膜エレメント円板1の接触部をガラス系シール11で密閉した。また、燃料側及び空気側のアルミナ製円筒管7,9には、ともにガス導入路としてアルミナ内管13,15を設置した。このように構成される酸素イオン伝導性評価用モジュール17を、例えばヒータ18により1000℃まで加熱した。実施例5の酸素分離膜エレメントにあっては、燃料側のアルミナ内管13から混合ガス(水素10%+アルゴン90%)を導入し、Ni酸化物を還元した。次いで、燃料側のアルミナ内管13から純メタンガスを20cc/分で導入し、空気側のアルミナ内管15からは空気を20cc/分で導入した。尚、実施例5の酸素分離膜エレメントにあっては、メタンガス流量を200cc/分とした。この試験を3時間連続して行った。この間にアルミナ製円筒管7から放出された合成ガスをガスクロマトグラフで測定した。合成ガス中の酸素及びメタンガスによる反応生成物中の酸素濃度と流量及び酸素分離膜エレメント円板1の酸素透過部面積より酸素透過速度を算出した。結果を表4に示す。
Figure 0004149337
表4の結果から明らかなように、各実施例3サンプルの酸素分離膜エレメントは、比較例サンプルNo.1の酸素分離膜エレメントと同様な良好な酸素透過速度を示し、酸素イオン伝導性に優れていることが判る。このため、実施例3の酸素分離膜エレメント全ては、優れた酸素イオン伝導性とともに、高い機械的強度を有する。さらに、実施例5の酸素分離膜エレメントにあっては、触媒を担持し、かつメタン流量が増大されているために、酸素透過速度が著しく増大していることが判る。この結果、触媒条件や測定条件等により酸素透過速度は変動することが判る。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。実施例1と同様な手段により(La1−x,Sr)(Ti1−y,Fe)O3粉末、安定化ジルコニア粉末又は酸化セリウム粉末で酸素分離膜エレメントを製造することもできる。また、支持体と酸素分離膜とを異なる組成で製造することもできる。
また、本明細書に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
酸素イオン伝導性評価用モジュールを示す説明図である。
符号の説明
1・・酸素分離膜エレメント円板
3・・酸素分離膜
5・・支持体
7,9・・アルミナ製円筒管
13,15・・アルミナ内管
17・・酸素イオン伝導性評価用モジュール

Claims (11)

  1. 多孔質支持体表面部の少なくとも一部に、酸素イオン伝導性を有する酸素分離膜を形成した酸素分離膜エレメントであって、
    前記多孔質支持体は、膜の形成方向に対してほぼ直交する方向に積層された、相互に気孔率の異なる少なくとも2つの多孔質層を有し、
    該積層された多孔質層は、気孔率が前記酸素分離膜に向かって次第に減少するように構成されており、
    ここで前記積層された各多孔質層と前記酸素分離膜とは、いずれも同じ組成の酸化物から実質的に構成されている、酸素分離膜エレメント。
  2. 前記多孔質層は、いずれも平均細孔径rが0.1μm<r<20μmの範囲であり、気孔率pが5%≦p≦60%の範囲である、請求項1記載の酸素分離膜エレメント。
  3. 前記多孔質支持体において、互いに隣接する前記多孔質層間の気孔率差が20%以内であって、前記酸素分離膜と該膜に隣接する多孔質層との気孔率差が5%以内である、請求項1又は2記載の酸素分離膜エレメント。
  4. 前記多孔質層及び前記酸素分離膜は、一般式:La1−xAeMO
    ここで式中、Aeは、Ba、Sr及びCaからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、MはFe、Mn、Ga、Ti、Co、Ni、Al、In、Sn及びZrからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、xは0<x<1を満たす;
    で示される複合酸化物、安定化ジルコニア及び酸化セリウムからなる群からそれぞれ独立に選ばれる少なくとも1種の酸化物から実質的に構成されている、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の酸素分離膜エレメント。
  5. セラミック製多孔質支持体表面部の少なくとも一部に、酸素イオン伝導性を有する酸素分離膜を備えた酸素分離膜エレメントの製造方法であって、
    前記多孔質支持体を構成する相互に焼成収縮率の異なる少なくとも2つの前駆体層と、前記酸素分離膜を構成する前駆体層とを、前記酸素分離膜を構成する前駆体層に向かって焼成収縮率が次第に増加するように積層し、該積層体を一体成形する工程と、該成形体を焼成する工程と、を含む酸素分離膜エレメントの製造方法。
  6. 前記多孔質支持体を構成する各前駆体層と前記酸素分離膜を構成する前駆体層とを、焼成後の気孔率が前記酸素分離膜を構成する前駆体層に向かって次第に減少するように形成する、請求項5記載の製造方法。
  7. 前記多孔質支持体を構成する各前駆体層は、互いに隣接する前駆体層間の焼成後の気孔率差が20%以内であって、前記酸素分離膜と隣接する前駆体層と前記酸素分離膜を構成する前駆体層との焼成後の気孔率差が5%以内となるように形成する、請求項6記載の製造方法。
  8. 前記積層体の各前駆体層は、セラミック原料粉末を主体とする材料であって、該原料粉末の平均粒径が相互に異なる材料からそれぞれ形成されており、
    これら材料は、前記酸素分離膜を構成する前駆体層形成用材料のセラミック原料粉末の平均粒径が最も小さく、該酸素分離膜から離れた前駆体層を形成する材料ほどセラミック原料粉末の平均粒径が大きいことを特徴とする、請求項5〜7のうちのいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記積層体の各前駆体層はそれぞれセラミック原料粉末を主体とする材料から形成されており、各前駆体層を形成する材料に含まれるセラミック原料粉末は、焼成後において、一般式:La 1−x Ae MO
    ここで式中、Aeは、Ba、Sr及びCaからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、MはFe、Mn、Ga、Ti、Co、Ni、Al、In、Sn及びZrからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり、xは0<x<1を満たす;
    で示される複合酸化物、安定化ジルコニア及び酸化セリウムからなる群からそれぞれ独立して選ばれる少なくとも1種の酸化物セラミックとなるように調製されている、請求項5〜8のうちのいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記積層体の各前駆体層はそれぞれセラミック原料粉末を主体とする材料から形成されており、各前駆体層を形成する材料に含まれるセラミック原料粉末は、焼成後において、同じ組成の酸化物セラミックとなるように調製されている、請求項5〜9のうちのいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記多孔質支持体を構成する各前駆体層は、予めシート状に形成されている、請求項5〜10のうちのいずれかに記載の製造方法。
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