JP4817648B2 - ポリエステル組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Description
該組成物は、該組成物の重量を基準として、多芳香族環系青色染料と多芳香族環系紫色染料とからなる混合染料を0.1〜10重量ppm含有し、チタン化合物をチタン元素量(Ti)換算で1〜30重量ppm含有し、かつリン化合物をリン元素量(P)換算で1〜80重量ppm含有し、そして
該混合染料は、多芳香族環系青色染料と多芳香族環系紫色染料との重量比が90:10〜40:60の範囲にあり、かつ窒素雰囲気下中、昇温速度10℃/分の条件で熱天秤にて測定した重量減少開始温度が350℃以上であるポリエステル組成物が提供される。
で表わされる化合物、または上記一般式(I)で表わされる化合物と下記一般式(II)
で表わされる芳香族多価カルボン酸もしくはその酸無水物とを反応させた生成物であること、組成物中のジエチレングリコール量が下記式(1)
0.5≦DEG≦2.0 ・・・(1)
(上記式中、DEGはジエチレングリコール濃度(wt%)を示す。)
を満足すること、組成物中の末端カルボキシル基量が、下記式(2)
5≦COOH≦40 ・・・(2)
(上記式中、COOHはカルボキシル末端基濃度(eq/ton)を示す。)
を満足すること、リン元素量(P)とチタン元素量(Ti)との重量比(P/Ti)が、0.1〜10の範囲であること、リン元素量(P)と混合染料との重量比が、0.1〜50の範囲にあること、窒素雰囲気下中、300℃で20分間溶融処理したときの、処理前後のポリエステルの固有粘度差が0.001〜0.01dl/gの範囲にあること、ならびに比重が5以上の重金属元素の含有量が、ポリエステル組成物の重量を基準として、高々10重量ppm以下であることを具備するポリエステル組成物も提供される。
本発明のポリエステル組成物は、80重量%以上、好ましくは85重量%以上がポリエステルからなるものであり、ポリエステル以外の他の樹脂を、混合したものであっても良い。また、本発明におけるポリエステルとは、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタート、ポリテトラメチレンテレフタレートなど)やポリアルキレンナフタレート(ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリテトラメチレンナフタレートなど)を挙げることができ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましい。ここでいう、ポリエチレンテレフタレートとは、エチレンテレフタレート成分を主たる繰返し単位とする、具体的には、全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは85モル%以上が、エチレンテレフタレート成分からなるものである。また、ここでいう、ポリエチレンナフタレートとは、エチレンナフタレート成分を主たる繰返し単位とする、具体的には、全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは85モル%以上が、エチレンナフタレート成分からなるものであり、好ましくはエチレンー2,6−ナフタレートからなるものである。これらのポリエステルは、ホモであっても、本発明の効果を阻害しない範囲で、第3成分を共重合したものであっても良い。第3成分(共重合成分)としては、テレフタル酸(ポリアルキレンテレフタレート以外の場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(ポリアルキレンナフタレート以外の場合)、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸、エチレングリコール(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート以外の場合)、トリメチレングリコール(ポリトリメチレンテレフタート、ポリトリメチレンナフタレート以外の場合)、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール(ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンナフタレート以外の場合)、シクロヘキサンジメタノール等のグリコールが例示でき、これらは単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
これら、リン化合物の添加時期は、エステル交換反応が実質的に終了した後であればいつでもよく、例えば、重縮合反応を開始する以前の大気圧下、重縮合反応を開始した後の減圧下、重縮合反応の末期または重縮合反応の終了後すなわちポリマーを得た後に添加してもよい。
本発明のフィルムは、上述の本発明のポリエステル組成物を原料とし、これを溶融状態でシート状に押出すことにより得ることが出来る。好ましくは得られるフィルムに寸法安定性や強度を具備できることから、一軸方向に延伸した一軸配向ポリエステルフィルム、さらには直交する二軸方向に延伸した二軸配向ポリエステルフィルムが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムを例にとって、さらに詳述する。
(1)固有粘度(単位はdl/g):
オルトクロロフェノール溶液中、35℃において測定した粘度の値から、ポリエステルチップの固有粘度(IV)を求めた。
(2)DEG濃度(DEG):
ポリエステルチップをCDCl3/CF3COOD混合溶媒にて溶解し、1H−NMRにて測定した。
(3)カルボキシル末端基濃度(COOH):
ポリエテステルチップをベンジルアルコール中で加熱溶解し、フェノールレッドおよびNaOH水溶液を滴下した。溶液が黄色から赤色に変色する中間点におけるNaOH水溶液量からカルボキシル基濃度を算出した。測定は室温で行った。
(4)金属元素濃度:
チタン元素、リン元素、コバルト元素およびアンチモン元素量濃度は、ポリエステルチップを加熱溶融して円形ディスクを作成し、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。なお、滑剤として不活性粒子を含む場合は、予め溶媒中で遠心分離処理により不活性粒子を除去した上で同様の測定を行った。
(5)色調(L*値、a*値、b*値):
ポリエステルチップサンプルを140℃で2時間乾燥処理させた後、色差計調整用の白色標準プレート上に置き、プレート表面のハンターL*及びb*を、カラーマシン社製CM―7500型カラーマシンを用いて測定した。L値は明度の指標であり、数値が大きいほど明度が高いことを、b値はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。
(6)ポリエステルの熱安定性:
160℃で1時間乾燥したポリエステルチップを、ガラス製フラスコへ入れ、次いで300℃に保持されたソルトバスにフラスコを浸漬後、窒素気流下で20分間溶融状態で攪拌保持して得られる溶融物の固有粘度(IV)を測定し、乾燥処理前の固有粘度差(IV差)を求めた。
(7)金属析出物:
ポリエステルチップ0.1gを溶解液(ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=50/50重量%混合液)を加え溶解した液を、3μm孔径テフロン(登録商標)製メンブレンフィルター(ろ過面積=7.1cm2)でろ過する。乾燥後のろ紙を走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S3100型)を用いて、ろ紙上にある粒子個数をカウントし、観察面積から1cm2当りの粒子個数を算出した。
(8)混合染料の重量減量開始温度:
JIS K-7120にしたがい、窒素雰囲気下中、昇温速度10℃/分の条件で熱天秤にて測定した。なお、ここでいう重量減少開始温度とは、JIS K-7120にある重量減少開始温度(T1)を意味する。
(9)フィルムヘーズ:
ポリエステルチップサンプルを150℃にて6時間乾燥機中で熱処理して乾燥させた後、290℃にて溶融押出し器から回転冷却ドラム上にシート状に溶融押出し、急冷固化して厚さ100umの未延伸フィルム(シート)を作成する。得られた未延伸シートの表面に傷などが発生していない箇所をサンプリングし、日本電色工業社濁度計(HDH−1001DP)にて測定した。
エチレングリコール2.5重量部に無水トリメリット酸0.8重量部を溶解し、このエチレングリコール溶液にチタンテトラブトキシド0.7重量部(無水トリメリット酸のモル量を基準として0.5mol%)を滴下し、この反応系を空気中、常圧下、80℃で60分間保持してチタンテトラブトキシドと無水トリメリット酸とを反応させ、反応生成物(TMT)を得た。その後反応系を常温に冷却し、アセトン15重量部を加えて析出物をNo.5濾紙で濾過した後、100℃の温度で2時間乾燥した。得られた反応生成物のチタン含有量は11.2重量%であった。
表1に示す染料を、粉末状態で熱重量減少開始温度を測定した。結果を表1に示す。これらの染料をポリエステル製造工程に添加する際は、100℃の温度で、原料として用いるグリコール溶液に対し、濃度0.1重量%となるように溶解または分散させて調製した。
加圧反応が可能なSUS(ステンレス)製容器にテレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部を仕込み、エステル交換触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを表2に示した量になるように添加した後、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた。その後、トリエチルホスホノアセテートと染料を表2に示した量になるように添加し、エステル交換反応を終了させた。反応生成物を重合容器に移し、290℃まで昇温し、0.2mmHg以下の高真空にて重縮合反応を行い、固有粘度0.62のポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物及びこれを使用して得られた未延伸フィルムの特性を表2に示す。
チタン化合物およびその添加量をトリメリット酸チタンへ変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物および未延伸フィルムを得た。得られたポリエステル組成物及びこれを使用して得られた未延伸フィルムの特性を表2に示す。
チタン化合物、リン化合物ならびに整色剤を表2に示す通り変更する以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物ならびに未延伸フィルムを得た。これらの特性を表2に示す。
重縮合触媒としてチタン化合物のかわりにアンチモン化合物を使用し、整色剤を表2に示す通り変更する以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物ならびに未延伸フィルムを得た。特性を表2に示す。
Claims (11)
- 140℃で2時間熱処理後のL*a*b*表色系におけるカラーL*値が70以上、カラーa*値が−6〜0、カラーb*値が−2〜6の範囲にあるポリエステル組成物であって、
該組成物は、該組成物の重量を基準として、多芳香族環系青色染料と多芳香族環系紫色染料とからなる混合染料を0.1〜10重量ppm含有し、チタン化合物をチタン元素量(Ti)換算で1〜30重量ppm含有し、かつリン化合物をリン元素量(P)換算で1〜80重量ppm含有し、そして
該混合染料は、多芳香族環系青色染料と多芳香族環系紫色染料との重量比が90:10〜40:60の範囲にあり、かつ窒素雰囲気下中、昇温速度10℃/分の条件で熱天秤にて測定した重量減少開始温度が350℃以上であることを特徴とするポリエステル組成物。 - リン化合物が、ホスホネート化合物である請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
- リン元素量(P)とチタン元素量(Ti)との重量比(P/Ti)が、0.1〜10の範囲にある請求項1記載のポリエステル組成物。
- 組成物中のジエチレングリコール量と末端カルボキシル基量とが、下記式を満足する請求項1記載のポリエステル組成物。
0.5≦DEG≦2.0 ・・・(1)
5≦COOH≦40 ・・・(2)
(上記式中、DEGはジエチレングリコール濃度(wt%)、COOHはカルボキシル末端基濃度(eq/ton)を示す。) - リン元素量(P)と混合染料との重量比が、0.1〜30の範囲にある請求項1記載のポリエステル組成物。
- 窒素雰囲気下中、300℃で20分間溶融処理したときの、処理前後のポリエステルの固有粘度差が0.001〜0.01dl/gの範囲にある請求項1記載のポリエステル組成物。
- 比重が5以上の重金属元素の含有量が、ポリエステル組成物の重量を基準として、高々10重量ppm以下である請求項1記載のポリエステル組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル組成物からなることを特徴とするポリエステル成形品。
- ポリエステルフィルムである請求項9記載のポリエステル成形品。
- ポリエステル繊維である請求項9記載のポリエステル成形品。
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