JP2004210873A - ポリエステル樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】エステル交換反応を経由し、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの製造方法において、ポリマー中の重合触媒に起因する異物が少ない優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とを兼備するポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂の原料として用いる全ナフタレンジカルボン酸の80mol%以上がジメチルナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法であって、エステル交換反応触媒によるエステル交換反応終了後、リン化合物Aを添加してエステル交換触媒の活性を失わせたのち、重合触媒としてチタン化合物ともう一つのリン化合物Bであるホスホネート化合物とを加え重縮合反応を完結させることを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂の原料として用いる全ナフタレンジカルボン酸の80mol%以上がジメチルナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法であって、エステル交換反応触媒によるエステル交換反応終了後、リン化合物Aを添加してエステル交換触媒の活性を失わせたのち、重合触媒としてチタン化合物ともう一つのリン化合物Bであるホスホネート化合物とを加え重縮合反応を完結させることを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルムに関する。さらに詳しくは、エステル交換反応を経由し、重縮合触媒として実質的にチタン化合物を用いたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物において、ポリマー中の重合触媒に起因する異物が少ない優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とを兼備するポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、優れた力学特性、耐熱性、耐候性、耐電気絶縁性および耐薬品性を有することから、フィルム、繊維またはボトルなどの成形品として広く使用されている。
【0003】
かかるポリエチレン−2,6−ナフタレートは、その製造において、重合反応を円滑に進行させるために重合触媒を用いる。この重合触媒としては種々の金属化合物が知られており、中でも三酸化アンチモンの如きアンチモン(Sb)化合物が安価でかつ高い重合活性を持つことから、広く使用されている。しかし、アンチモン化合物は、その一部が反応中に還元されて金属アンチモンやその他の異物を生成し、その結果、ポリマーの色を黒ずませ、濁りにより透明性を落としたり、製造工程における溶融熱安定性に悪影響を及ぼす結果、製造工程を不安定化させたりして成形品の品質を悪化させるといった問題を抱えている。
【0004】
アンチモン化合物以外の重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物や、テトラ−n−ブトキシチタンのようなチタン化合物が提案されている。ゲルマニウム化合物は、かなり高価であるため、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの製造コストが高くなるという問題がある。一方チタン化合物を重合触媒として使用した場合、アンチモン化合物で生じた金属アンチモンやその他の異物の生成が抑制され、上述の異物に起因する問題は改善される。しかし、得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート自身が黄色く着色したり、また、得られるポリエチレン−2,6−ナフタレートの溶融熱安定性が乏しいといったチタン化合物特有の問題があった。
【0005】
一般に、ポリエステルの着色を抑制するには、コバルト化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが行われている。確かにコバルト化合物の添加によってポリエステルの色相(b値)は改善され、該ポリエステル樹脂を使用したポリエステルフイルムにおいても色相改善の効果が確認されている。しかしながら、コバルト化合物の添加は、得られるポリエステルの溶融熱安定性を低下させ、ポリマーの分解を助長させるという問題があった。
【0006】
一方、ポリエステルを製造するための触媒として、チタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物を使用しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
またチタン化合物とリン化合物との錯体をポリエステル製造用の触媒として用いる場合もある(例えば、特許文献2参照。)。
これらの方法によれば、得られるポリエステルの溶融熱安定性をある程度向上させつつ、得られるポリマーの色調も向上させることができる。しかしながら、これらの方法によって得られるポリマーの色調の向上効果は未だ不十分なものであり、さらなるポリマーの色調の向上が求められていた。
【0007】
【特許文献1】
特開昭58−38722号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平7−138354号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エステル交換反応を経由し、チタン化合物を触媒として使用するポリエチレン−2,6−ナフタレートの製造方法において、ポリマー中の重合触媒に起因する異物が少ない優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とを兼備するポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、特定のリン化合物を2つの段階で用いることによって、優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とをポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物に具備させられることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
かくして、本発明によれば、ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂の原料として用いる全ジカルボン酸の80mol%以上がジメチルナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法であって、エステル交換反応触媒によるエステル交換反応終了後、下記式(1)の割合で下記一般式(I)または下記一般式(II)で表されるリン化合物Aを添加してエステル交換触媒の活性の大半を失わせたのち、重合触媒としてチタン化合物と下記一般式(III)で表されるもう一つのリン化合物Bであるホスホネート化合物とを下記式(2)の割合で加え重縮合反応を完結させるポリエステル樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0012】
【数4】
0.4≦Pa/M≦0.8 ・・・(1)
(ここでPaはリン化合物Aの、Mはエステル交換触媒中の金属元素の、全ジカルボン酸成分に対するそれぞれのモル濃度を示す。)
【0013】
【化6】
(R1O)m−P(=O)−(OH)3-m (I)
(上式中R1は炭素数1〜2のアルキル基、mは0〜3の整数を表す)
【0014】
【化7】
(R2O)n−PH(=O)−(OH)2-n (II)
(上式中R2は炭素数1〜2のアルキル基、nは0〜2の整数を表す)
【0015】
【化8】
R3O−C(O)−X−P(O)−(OR4)2 (III)
(ここで、式中のR3およびR4は炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または−CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R3およびR4はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
【0016】
【数5】
0.8<(Pa+Pb)/M≦1.4 ・・・(2)
(ここでPaはリン化合物Aの、Pbはリン化合物Bの、Mはエステル交換触媒中の金属元素の、全ジカルボン酸成分に対するそれぞれのモル濃度を示す。)
また、本発明によれば、チタン化合物が、下記一般式(IV)で表される化合物および下記一般式(IV)で表わされる化合物と下記一般式(V)で表わされる芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物からなる群より選ばれた少なくとも1種であるポリエステル樹脂組成物の製造方法も好ましく包含される。
【0017】
【化9】
R5O-[Ti(OR6)(OR7)]m-OR8 (IV)
(上記式中、R5、R6、R7およびR8は炭素数2〜10個のアルキル基を表し、R5、R6、R7およびR8は互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜3の整数を表す。)
【0018】
【化10】
(上記式中、qは2〜4の整数を表わす。)
また、アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量が、エチレンナフタレート成分に対して高々5ミリモル%であること、およびチタン化合物の添加量が下記式(3)を満足するポリエステル樹脂組成物の製造方法のいずれも本発明に包含される。
【0019】
【数6】
1≦Ti≦15 ・・・(3)
(ここで、式(3)中の、Tiはチタン化合物のチタン元素としてのモル数を、樹脂組成物中の全ジカルボン酸成分のモル数で割った値(ミリモル%)を示す。)
さらに、最初に加えるリン化合物がリン酸であるポリエステル樹脂組成物の製造方法も好ましい態様として包含される。
加えて、製造に用いるエステル交換反応触媒がマグネシウム金属化合物であるポリエステル樹脂組成物の製造方法も好ましい態様として包含される。
また、本発明によれば、上記のいずれかに記載の製造方法から製造されたポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルムも提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、ポリマー成分の80重量%以上、好ましくは85重量%以上がポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂からなるものであり、ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂以外の他の樹脂を、混合したものであっても良い。
また、本発明において用いられるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂とは、エチレン−2,6−ナフタレート成分を主たる繰返し単位とするポリエステルである。なおここでいう主たる繰り返し単位とは、全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは85モル%以上を意味する。ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂がエチレン−2,6−ナフタレート成分以外の第3成分を共重合したものである場合、第3成分(共重合成分)としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸の如き2,6−ナフタレンジカルボン酸以外のフタル酸類の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールの如きグリコールが例示され、これらは単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレートは、エステル交換反応を経由して製造され、原料として用いる全ジカルボン酸成分の80モル%以上がジメチルナフタレートである必要がある。
【0021】
本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の極限粘度は、ο−クロロフェノール中、35℃において、0.50〜0.80dl/gの範囲にあることが好ましく、さらに0.55〜0.70dl/gの範囲が好ましい。極限粘度が下限未満であると、成形加工品、例えばフィルムの耐衝撃性が不足するため好ましくない。他方、極限粘度が上限を超えると、原料ポリマーの極限粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
【0022】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、エステル交換反応工程と重縮合反応工程それぞれで、少なくとも1種類ずつのリン化合物を含有し、全体で少なくとも2種類のリン化合物を含有する必要がある。
1種類目のリン化合物(以下、リン化合物Aと略記することがある)は、通常のエステル交換反応が終了した時点で加える。かかるリン化合物Aは、エステル交換反応の役目を終えたエステル交換触媒の活性の大半を失わせる目的で加えるもので、一般的なエステル交換触媒であるアルカリ金属化合物や、アルカリ土類金属化合物、あるいはマンガン化合物などに作用するリン化合物であれば特に種類は限定されないが、後述のように速やかに触媒活性を失活させる反応性の強いリン化合物であることが好ましい。
これらリン化合物Aとしては、下記一般式(I)または下記一般式(II)で表されるリン化合物Aが挙げられる。
【0023】
【化11】
(R1O)m−P(=O)−(OH)3-m (I)
(上式中R1は炭素数1〜2のアルキル基、mは0〜3の整数を表す。)
【0024】
【化12】
(R2O)n−PH(=O)−(OH)2-n (II)
(上式中R2は炭素数1〜2のアルキル基、nは0〜2の整数を表す)
該リン化合物Aは、(I)式または(II)式で表されるリン化合物であれば特に限定されないが、メチルフォスフェートやエチルフォスフェートといった有機リン化合物やリン酸、亜リン酸または亜リン酸エステルが例示される。なかでも亜リン酸は還元性故、色相を制御することが難しく、添加時期や反応スケール、反応釜の材質などを考慮して添加量を調整する必要があることから、こうした難点の少ないリン酸が、より好ましい化合物として挙げられる。
【0025】
さらに詳細に説明すると、第一のリン化合物Aが、エステル交換反応の役目を終えたエステル交換触媒の大半を失活させた後、重縮合触媒となるチタン化合物を加え、さらに第2のリン化合物Bを加えて重縮合反応を開始する。リン化合物Aを添加してから次にリン化合物Bを添加するまでの間隔が長いため、リン化合物Aの効果が不十分な場合、エステル交換触媒の活性が依然残り、着色の進行などを助長させる一因となる。そこで、リン化合物Aは先述のように即効性のリン化合物であることが好ましい。このように、リン化合物Aによりエステル交換触媒の大部分を予め失活させることで、重縮合触媒として用いるチタン化合物の添加量を抑えることになり、ポリエステル樹脂およびそれから得られるフィルムは、良好な色調を実現できる。
【0026】
本発明で用いられるリン化合物Aは、エステル交換触媒に対し、下記式(1)の範囲で加えることが必要である。Pa/Mが0.8を越える場合、続いて重縮合触媒として加えるチタン化合物に余分のリン化合物が作用してチタンの触媒活性を低下させることになり、逆にPa/Mが0.4に満たない場合は、エステル交換触媒が活性を残し、チタン触媒に作用したり、ポリエステルの耐熱性が劣化する場合がある。
【0027】
【数7】
0.4≦Pa/M≦0.8 ・・・(1)
(ここでPaはリン化合物A中のリン元素の、Mはエステル交換触媒中の金属元素の、全ジカルボン酸成分に対するそれぞれのモル濃度を示す。)
一方、続いて用いる2種類目のリン化合物(以下、リン化合物Bと略記することがある)は、下記一般式(III)で表されるホスホネート化合物であることが必要であり、これらは単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
【0028】
【化13】
R3O−C(O)−X−P(O)−(OR4)2 (III)
(ここで、式中のR3およびR4は炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または−CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R3およびR4はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
これらの中でも、特に好ましいリン化合物として、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボブトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロポキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸などが挙げられる。特に好ましく用いられるものとして、ジエトキシホスホノ酢酸エチル、ジエトキシホスホノ酢酸メチルが例示される。
【0029】
本発明において、これらのホスホネート化合物が必要である理由は、通常の安定剤として使用されているリン化合物Aに比べ、チタン化合物や残存するエステル交換触媒との反応が比較的緩やかに進行することから、重縮合反応中のチタン化合物の触媒活性が長く持続し、結果としてポリエステルへの重縮合触媒の添加量を少なくでき、また重縮合触媒に対して多量のリン化合物を添加してもポリエステルの熱安定性を損ないにくく、色調の低下を引き起こさないことにある。
これら、ホスホネート化合物の添加時期は、エステル交換反応が実質的に終了した後であれば特に制限されず、例えば、重縮合反応を開始する以前の大気圧下、重縮合反応を開始した後の減圧下、重縮合反応の末期または重縮合反応の終了後すなわちポリマーを得た後に添加してもよいが、作業性を考慮した場合、重縮合反応開始前の、触媒のチタン化合物を添加する時期が好ましい。
【0030】
また、ホスホネート化合物とチタン化合物とを予めグリコール中で加熱してエステル交換を行ってから加えることで、ホスホネート化合物の飛散性を抑えることができ、結果的にホスホネート化合物の添加量を抑えることにもなるが、その分作業量は増加することを留意する必要がある。
【0031】
本発明におけるリン化合物Bであるホスホネート化合物は、下記式(2)の範囲で加えることが必要である。先述のとおり、チタン化合物は、エステル交換触媒中の金属成分や、最初に添加するリン化合物Aが過剰に存在すると、反応中に交絡し重縮合触媒としての活性を落とすことから、最初に添加したリン化合物Aに加えてリン化合物Bの添加量にも留意する必要がある。すなわち、(Pa+Pb)/Mが1.4を越える場合、重縮合触媒として加えるチタン化合物に余分のリン化合物が作用してチタンの触媒活性を低下させることになり、逆に(Pa+Pb)/Mが0.8に満たない場合は、得られたポリマー及びフィルムの耐熱性が悪化する場合がある。
【0032】
【数8】
0.8<(Pa+Pb)/M≦1.4 ・・・(2)
(ここでPaはリン化合物A中のリン元素の、Pbはリン化合物B中のリン元素の、Mはエステル交換触媒の金属元素の、全ジカルボン酸成分に対するそれぞれのモル濃度を示す。)
本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルムは、重縮合触媒起因の異物の低減および透明性向上を目的にしており、実質的に触媒として、チタン化合物を用いる点に特徴がある。そのことから、ポリエステル樹脂組成物中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量は、全ジカルボン酸成分のモル数を基準として、高々5ミリモル%である。アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量が、5ミリモル%を超えると、これらの触媒に起因する異物の析出などの問題が惹起される。
【0033】
本発明で用いられるチタン化合物としては、一般に重縮合反応触媒として用いられるものであれば、特に限定されないが、下記一般式(IV)で表わされる化合物および下記一般式(IV)で表わされる化合物と下記一般式(V)で表わされる芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0034】
【化14】
R5O-[Ti(OR6)(OR7)]m-OR8 (IV)
(上記式中、R5、R6、R7およびR8は炭素数2〜10個のアルキル基を表し、R5、R6、R7およびR8は互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜3の整数を表す。)
上記一般式(IV)で表されるチタン化合物としては、例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドなどのチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート、アルキルチタネートを挙げることができる。
【0035】
本発明におけるチタン化合物の添加時期は、ジメチルナフタレートを原料物質とする製造方法の中でも、チタン化合物の添加量を低減できることから、実質的にエステル交換反応が終了し、最初のリン化合物Aを添加してから重縮合工程に入る直前の間で添加させることが好ましい。
【0036】
本発明におけるチタン化合物の添加量は下記式(3)を満足することが好ましい。
【数9】
1≦Ti≦15 ・・・(3)
(ここで、式(3)中の、Tiは該チタン化合物のチタン元素としてのモル数を、樹脂組成物中の全ジカルボン酸成分のモル数で割った値(ミリモル%)を示す。)
即ち、本発明におけるチタン化合物の添加量は、チタン元素量で1〜15ミリモル%、より好ましくは2〜10ミリモル%含有することが好ましい。更に好ましいチタン元素量は3〜10ミリモル%、特に5〜8ミリモル%である。チタン元素量が下限未満だと、ポリエステルの生産性が低下し、所望の分子量を有するポリエステルが得られない。一方、チタン元素量が上限を超えると、得られるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の熱安定性が低下し、フィルムなどへ成形加工する際の分子量の低下が大きく、やはり所望の力学的特性を有する成形加工品が得られない。
【0037】
【化15】
(上記式中、qは2〜4の整数を表す。)
上記一般式(V)で表される芳香族多価カルボン酸としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸が好ましく例示される。なお、上記の一般式(V)で表される芳香族多価カルボン酸は、その無水物であっても良い。
【0038】
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸またはその無水物の一部を溶解し、これにチタン化合物を滴下して0〜200℃の温度で30分以上反応させればよい。
【0039】
本発明における芳香族多価カルボン酸の添加量は、チタン化合物/芳香族多価カルボン酸のモル比で1/1〜1/4の範囲であることが好ましい。芳香族多価カルボン酸が1/4のモル比より多いと、チタン化合物の触媒としての活性が阻害され、一方芳香族多価カルボン酸が1/1のモル比より少ないと、エチレングリコールなどといった溶媒に難溶となり、所期の効果が発現しない。
【0040】
本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法は、エステル交換反応触媒を必要とし、かかるエステル交換反応触媒としては、特に限定されないが、好ましく用いられるエステル交換反応触媒としては、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物などのアルカリ土類金属が挙げられる。中でも、ポリエステルの熱安定性や色相の改良といった点から、マグネシウム金属化合物が重縮合触媒であるチタン化合物との相性に優れ、好ましいエステル交換反応触媒として挙げられる。かかるマグネシウム化合物として、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、安息香酸マグネシウム、蟻酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等、及びこれらの水和物が挙げられ、これらは単独で使用してもよく、また二種以上併用してもよい。
【0041】
本発明におけるエステル交換反応触媒の添加量は、アルカリ土類金属を例にとると、全ジカルボン酸成分のモル数を基準として、30〜120mmol%の範囲であることが好ましい。該アルカリ土類金属の添加量が下限未満の場合、エステル交換反応が非常に遅くなり、一方、該アルカリ土類金属の添加量が上限より多い場合、得られるポリエステル樹脂組成物およびそれから得られるフィルムの熱安定性や色相に悪影響を与える場合がある。該アルカリ土類金属の添加量は35〜110mmol%の範囲がより好ましく、40〜100mmol%の範囲が更に好ましい。
【0042】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、例えば用途がフイルムである場合、巻き取り性などの取扱い性を向上させるために、滑材として平均粒径0.05〜5.0μmの不活性粒子を0.05〜5.0重量%程度添加してもよい。この際、本発明のポリエステル樹脂組成物の特徴である優れた透明性を維持する点から、添加する不活性粒子は粒径の小さいものが好ましく、またその添加量はできる限り少ないことが好ましい。
【0043】
添加する不活性粒子としては、コロイダルシリカ、多孔質シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、カオリン、複合酸化物粒子などの無機粒子や、架橋ポリスチレン、アクリル系架橋粒子、メタクリル系架橋粒子、シリコーン粒子などの有機粒子などが挙げられる。また、フィルム、繊維、ボトルなど各成形品の要求に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、核剤、紫外線吸収剤などの各種機能剤を加えてもよい。
【0044】
さらに、得られるポリエステル樹脂組成物およびそれから得られるフィルムの色相の改善補助をするために、ポリエステル樹脂の製造段階において、たとえばアゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系といった有機青色顔料等の整色剤を添加することもできる。
【0045】
エステル交換反応を経由してポリエチレン−2,6−ナフタレートを製造する方法について、以下に詳述する。
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂は、原料として用いる全ジカルボン酸成分の80モル%以上がジメチルナフタレートである、エステル交換反応を経由する製造方法によって得られ、製造方法としては特に限定はなく、従来公知の技術を用いる事が出来る。
【0046】
ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法の一例を挙げると、まず、エステル交換反応開始前にジメチルナフタレートを全ジカルボン酸成分の80モル%以上含むナフタレン酸ジアルキルエステル、グリコール成分とともにエステル交換反応触媒を添加して徐々に昇温し、発生するアルコールを除去させながらエステル交換反応を実施し、エステル交換反応の終了時点でエステル交換反応失活剤であるリン化合物Aを添加して実質的にエステル交換反応を完了させる。その後、反応生成物を減圧装置が設けられた重合反応器に移し変える前後に、重縮合触媒であるチタン化合物およびリン化合物Bを添加して、高真空下での重縮合反応を行う。得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂は、通常溶融状態で押出しながら、冷却後、粒状(チップ状)のものとする。この際、得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂の極限粘度は、0.50〜0.80dl/gであることが望ましい。
【0047】
また、本発明で得られたポリエステル樹脂組成物は、フィルム、繊維またはボトルなどといった成形品に好適に用いられる。
【0048】
本発明におけるポリエステル樹脂組成物を用いたフィルムの製造方法としては特に限定はなく、従来公知の技術を用いることができる。以下に一例を挙げる。
重縮合反応により得られたポリエステルチップを(Tc)〜(Tc+40)℃(ここで、Tcはポリエステルの昇温時の結晶化温度を示す)の温度範囲で1〜3時間乾燥した後、(Tm)〜(Tm+70)℃(ここで、Tmはポリエステルの融点を示す)の温度範囲内でシート状に溶融押出し、ついで表面温度20〜40℃の回転冷却ドラム上に密着固化させて、実質的に非晶質のポリエステルシート(未延伸フィルム)を得る。ついで未延伸フィルムを縦方向に延伸した後、横方向に延伸する、いわゆる縦・横逐次二軸延伸法、あるいはこの順序を逆にして延伸する方法などにより延伸する。延伸する際の温度は(Tg−10)〜(Tg+70)℃(ここで、Tgはポリエステルの二次転移点温度を示す)であって、延伸倍率は少なくとも一軸方向に2.5倍以上、好ましくは3倍以上で、かつ面積倍率が8倍以上、好ましくは10〜30倍の範囲である。
【0049】
本発明におけるポリエステルフィルムを製造する際、使用するスリット状ダイの形状については、制限は特に無く、また単層フィルム、あるいは共押出技術等を用いた積層フィルムのいずれも採用することができ、例えば、3層以上の積層フイルムの最外層にのみ採用するなどもできる。
このようにして、極限粘度0.45〜0.80dl/g、厚み3〜20μmのポリエステルフィルムが得られ、磁気フィルムなどに好適に使用される。
【0050】
【実施例】
本発明をさらに実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
【0051】
(1)極限粘度(IV):
ポリエチレン−2,6−ナフタレートチップ0.6gをオルトクロロフェノール50ml中に、加熱溶解した後、一旦冷却させ、その溶液をオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。
【0052】
(2)色相(Col):
粒状のポリエチレン−2,6−ナフタレートペレットを150℃にて6時間乾燥機中で熱処理して乾燥させた後、290℃にて溶融押出し器から回転冷却ドラム上にシート状に溶融押出し、急冷固化して厚さ500μmの未延伸フイルム(シート)を作成する。この厚み500μmのポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルムを5枚重ね合わせた物を160℃にて90分乾燥機中で熱処理して結晶化させた後、カラーマシン社製CM―7500型カラーマシンで色相を測定した。L値は明度の指標であり、数値が大きいほど明度が高いことを、b値はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。
b値に関しては以下の判断基準を設け、○以上の評価を合格とした。
◎:b値が6未満
○:b値が6以上8未満
△:b値が8以上10未満
×:b値が10以上
【0053】
(3)ポリマー中のチタン、リン、マンガン含有量:
ポリエステルチップ中のチタン元素量、リン元素量およびマンガン元素量は、チップを加熱溶融して円形ディスクを作成し、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。なお、滑剤を含む場合は、予め溶媒中で遠心分離処理により滑剤を除去した上で同様の測定を行った。
【0054】
(4)ポリマー中のカルシウム、マグネシウム含有量:
ポリエステルチップをオルトクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液について日立製作所製Z−6100形偏光ゼーマン原子吸光光度計を用いてカルシウム、マグネシウムそれぞれの定量を行った。
【0055】
(5)ヘーズ:
色相測定(2)のために作成した二軸未延伸フィルムの表面に傷などが発生していない箇所をサンプリングし、日本電色工業社濁度計(HDH−1001DP)にて測定した。
【0056】
(6)ポリマーの熱安定性(△IV):
色相測定(2)のために作成した二軸未延伸フイルムの極限粘度を(1)記載の方法にて測定し、該二軸未延伸フイルムの極限粘度からフイルム作成に使用した粒状ポリエステルチップの極限粘度を差し引いた値(△IV)を算出し、以下の基準で熱安定性を判定した。
熱安定性が特に優れる ・・・ △IVが−0.03未満
熱安定性が優れる ・・・ △IVが−0.03〜−0.05未満
熱安定性が普通 ・・・ △IVが−0.05〜−0.07未満
熱安定性が劣る ・・・ △IVが−0.07以上
【0057】
[実施例1]
ジメチルナフタレート100部とエチレングリコール70部の混合物に、酢酸マグネシウム四水和物0.053部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、メタノールの留出が終了したことを確認の後、リン化合物Aとしてリン酸0.014部を加えエステル交換反応を終了させた。続いてテトラ−n−ブトキシチタネートをTi相当量として0.001部加え、さらに下記一般式(VI)で表されるリン化合物B(ジエトキシホスホノ酢酸エチル。以下、ホスホネート1と略記する。)をP相当量として0.005部加えたのち、直ちに反応物を重縮合反応槽へ移した。
【0058】
【化16】
(C2H5O)2P(=O)−CH2C(=O)OC2H5 (VI)
重縮合反応の進行度合いを、系内の攪拌翼への負荷をモニターしなから確認し、所望の重合度に達した時点で反応を終了した。その後、系内の反応物を吐出部からストランド状に連続的に押出し、冷却,カッティングして、約3mm程度の粒状ペレットを得た。この時の重縮合反応時間は、180分であった。
【0059】
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物は、ペレットの状態で180℃の温度で充分に真空乾燥した。乾燥したペレットを290℃で溶融状態とし、回転しているキャスティングドラムに溶融状態のポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物を押出して、シート状物を得た。なお、キャスティングドラムは溶融物がキャストされる直前の表面温度が30℃で、その後表面温度は徐々に45℃まで上がっており、また、キャスティングドラムに溶融物がキャストされた直後に、シート状物の一方の面(キャスティングドラムとは異なる面側)に、ワイヤー状の電極があり、該電極によってシート状物を静電印加させ、キャスティングドラムに密着させ、厚さ500μmの未延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得た。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物及びこれを使用して得られた未延伸フイルムの特性を表2に示す。
【0060】
[実施例2]
実施例1において、チタン化合物を下記参考例の方法にて合成したトリメリット酸チタンに変更する以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物及びフイルムの特性を表2に示す。
【0061】
[参考例]トリメリット酸チタンの合成方法
無水トリメリット酸2重量部をエチレングリコール98重量部に混ぜたエチレングリコール溶液にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対してモル比が0.5となるように添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応せしめ、その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥せしめ、目的の化合物を得た。
【0062】
[実施例3]
ホスホネート化合物を下記式(VII)(以下ホスホネート2と略記する)に変更する以外は、実施例1と同様の操作を繰り返した。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物およびフィルムの特性を表2に示す。
【0063】
【化17】
(C2H5O)2P(=O)−CH2C(=O)OCH3 (VII)
【0064】
[実施例4〜6および比較例1〜6]
エステル交換反応触媒、リン化合物A、チタン触媒およびリン化合物B(ホスホネート化合物)の種類や添加量を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。なお、比較例2,3において、リン化合物Bは使用しなかった。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物およびフィルムの特性を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
ここで、表1中の、TBTはテトラ−n−ブトキシチタン、TMTはトリメリット酸チタン、TMPはトリメチルホスフェートを示す。また、Mは組成物中のエステル交換触媒に含まれる金属元素の、組成物中の全ジカルボン酸成分に対するモル濃度を表す。同様に、表2中の、Tiはチタン化合物中のチタン元素の、組成物中の全ジカルボン酸成分に対するモル濃度を表す。Pはリン化合物Aおよびリン化合物Bのそれぞれのリン元素としての合計含有量を、組成物中の全ジカルボン酸成分に対するモル濃度で表したものである。
【0068】
表2からも明らかなように、特定の2種類のリン化合物を組み合わせて使用することで、透明性や色相、熱安定性などで良好な性能のポリエステル樹脂組成物およびフィルムが得られた。また、チタン化合物をチタン元素として1〜15ミリモル%の範囲で含有し、(Pa/M)や(Pa+Pb/M)が本発明の範囲にあり、さらにエステル交換反応触媒としてマグネシウム金属化合物を用いて製造されたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物およびフィルムは、極限粘度、透明性や色相、熱安定性などでより良好な性能が得られた。これに対し、比較例1〜6に示したように、リン化合物としてホスホネート化合物を入れなかったり他のリン化合物を用いたり、あるいは(Pa/M)や(Pa+Pb/M)が本発明を外れた範囲であった場合、比較例1,3から明らかなように、透明性、色相、特にb値、熱安定性のいずれかが実施例と較べて不十分であったり、比較例2,4,5のように所期の極限粘度(IV)に到達せず、重縮合反応活性に問題が生じたりした。また、エステル交換反応触媒として、マンガン化合物を用いた場合、比較例6のように、色相や熱安定性が不十分であった。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、エステル交換反応を経由し、チタン化合物を触媒として使用するポリエチレン−2,6−ナフタレートの製造方法において、特定のリン化合物を少なくとも2つの段階で用いる製造方法によって、チタン化合物を触媒として使用する場合に従来技術の欠点であった色相の悪化を解消し、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが持つ優れた特性を保持しながら、触媒起因の異物が少なく、色相、透明性および熱安定性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物およびそれから得られるフィルムを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルムに関する。さらに詳しくは、エステル交換反応を経由し、重縮合触媒として実質的にチタン化合物を用いたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物において、ポリマー中の重合触媒に起因する異物が少ない優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とを兼備するポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、優れた力学特性、耐熱性、耐候性、耐電気絶縁性および耐薬品性を有することから、フィルム、繊維またはボトルなどの成形品として広く使用されている。
【0003】
かかるポリエチレン−2,6−ナフタレートは、その製造において、重合反応を円滑に進行させるために重合触媒を用いる。この重合触媒としては種々の金属化合物が知られており、中でも三酸化アンチモンの如きアンチモン(Sb)化合物が安価でかつ高い重合活性を持つことから、広く使用されている。しかし、アンチモン化合物は、その一部が反応中に還元されて金属アンチモンやその他の異物を生成し、その結果、ポリマーの色を黒ずませ、濁りにより透明性を落としたり、製造工程における溶融熱安定性に悪影響を及ぼす結果、製造工程を不安定化させたりして成形品の品質を悪化させるといった問題を抱えている。
【0004】
アンチモン化合物以外の重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物や、テトラ−n−ブトキシチタンのようなチタン化合物が提案されている。ゲルマニウム化合物は、かなり高価であるため、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの製造コストが高くなるという問題がある。一方チタン化合物を重合触媒として使用した場合、アンチモン化合物で生じた金属アンチモンやその他の異物の生成が抑制され、上述の異物に起因する問題は改善される。しかし、得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート自身が黄色く着色したり、また、得られるポリエチレン−2,6−ナフタレートの溶融熱安定性が乏しいといったチタン化合物特有の問題があった。
【0005】
一般に、ポリエステルの着色を抑制するには、コバルト化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが行われている。確かにコバルト化合物の添加によってポリエステルの色相(b値)は改善され、該ポリエステル樹脂を使用したポリエステルフイルムにおいても色相改善の効果が確認されている。しかしながら、コバルト化合物の添加は、得られるポリエステルの溶融熱安定性を低下させ、ポリマーの分解を助長させるという問題があった。
【0006】
一方、ポリエステルを製造するための触媒として、チタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物を使用しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
またチタン化合物とリン化合物との錯体をポリエステル製造用の触媒として用いる場合もある(例えば、特許文献2参照。)。
これらの方法によれば、得られるポリエステルの溶融熱安定性をある程度向上させつつ、得られるポリマーの色調も向上させることができる。しかしながら、これらの方法によって得られるポリマーの色調の向上効果は未だ不十分なものであり、さらなるポリマーの色調の向上が求められていた。
【0007】
【特許文献1】
特開昭58−38722号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平7−138354号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エステル交換反応を経由し、チタン化合物を触媒として使用するポリエチレン−2,6−ナフタレートの製造方法において、ポリマー中の重合触媒に起因する異物が少ない優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とを兼備するポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、特定のリン化合物を2つの段階で用いることによって、優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融熱安定性と優れたポリマーの色相とをポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物に具備させられることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
かくして、本発明によれば、ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂の原料として用いる全ジカルボン酸の80mol%以上がジメチルナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法であって、エステル交換反応触媒によるエステル交換反応終了後、下記式(1)の割合で下記一般式(I)または下記一般式(II)で表されるリン化合物Aを添加してエステル交換触媒の活性の大半を失わせたのち、重合触媒としてチタン化合物と下記一般式(III)で表されるもう一つのリン化合物Bであるホスホネート化合物とを下記式(2)の割合で加え重縮合反応を完結させるポリエステル樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0012】
【数4】
0.4≦Pa/M≦0.8 ・・・(1)
(ここでPaはリン化合物Aの、Mはエステル交換触媒中の金属元素の、全ジカルボン酸成分に対するそれぞれのモル濃度を示す。)
【0013】
【化6】
(R1O)m−P(=O)−(OH)3-m (I)
(上式中R1は炭素数1〜2のアルキル基、mは0〜3の整数を表す)
【0014】
【化7】
(R2O)n−PH(=O)−(OH)2-n (II)
(上式中R2は炭素数1〜2のアルキル基、nは0〜2の整数を表す)
【0015】
【化8】
R3O−C(O)−X−P(O)−(OR4)2 (III)
(ここで、式中のR3およびR4は炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または−CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R3およびR4はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
【0016】
【数5】
0.8<(Pa+Pb)/M≦1.4 ・・・(2)
(ここでPaはリン化合物Aの、Pbはリン化合物Bの、Mはエステル交換触媒中の金属元素の、全ジカルボン酸成分に対するそれぞれのモル濃度を示す。)
また、本発明によれば、チタン化合物が、下記一般式(IV)で表される化合物および下記一般式(IV)で表わされる化合物と下記一般式(V)で表わされる芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物からなる群より選ばれた少なくとも1種であるポリエステル樹脂組成物の製造方法も好ましく包含される。
【0017】
【化9】
R5O-[Ti(OR6)(OR7)]m-OR8 (IV)
(上記式中、R5、R6、R7およびR8は炭素数2〜10個のアルキル基を表し、R5、R6、R7およびR8は互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜3の整数を表す。)
【0018】
【化10】
(上記式中、qは2〜4の整数を表わす。)
また、アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量が、エチレンナフタレート成分に対して高々5ミリモル%であること、およびチタン化合物の添加量が下記式(3)を満足するポリエステル樹脂組成物の製造方法のいずれも本発明に包含される。
【0019】
【数6】
1≦Ti≦15 ・・・(3)
(ここで、式(3)中の、Tiはチタン化合物のチタン元素としてのモル数を、樹脂組成物中の全ジカルボン酸成分のモル数で割った値(ミリモル%)を示す。)
さらに、最初に加えるリン化合物がリン酸であるポリエステル樹脂組成物の製造方法も好ましい態様として包含される。
加えて、製造に用いるエステル交換反応触媒がマグネシウム金属化合物であるポリエステル樹脂組成物の製造方法も好ましい態様として包含される。
また、本発明によれば、上記のいずれかに記載の製造方法から製造されたポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルムも提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、ポリマー成分の80重量%以上、好ましくは85重量%以上がポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂からなるものであり、ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂以外の他の樹脂を、混合したものであっても良い。
また、本発明において用いられるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂とは、エチレン−2,6−ナフタレート成分を主たる繰返し単位とするポリエステルである。なおここでいう主たる繰り返し単位とは、全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは85モル%以上を意味する。ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂がエチレン−2,6−ナフタレート成分以外の第3成分を共重合したものである場合、第3成分(共重合成分)としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸の如き2,6−ナフタレンジカルボン酸以外のフタル酸類の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールの如きグリコールが例示され、これらは単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレートは、エステル交換反応を経由して製造され、原料として用いる全ジカルボン酸成分の80モル%以上がジメチルナフタレートである必要がある。
【0021】
本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の極限粘度は、ο−クロロフェノール中、35℃において、0.50〜0.80dl/gの範囲にあることが好ましく、さらに0.55〜0.70dl/gの範囲が好ましい。極限粘度が下限未満であると、成形加工品、例えばフィルムの耐衝撃性が不足するため好ましくない。他方、極限粘度が上限を超えると、原料ポリマーの極限粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
【0022】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、エステル交換反応工程と重縮合反応工程それぞれで、少なくとも1種類ずつのリン化合物を含有し、全体で少なくとも2種類のリン化合物を含有する必要がある。
1種類目のリン化合物(以下、リン化合物Aと略記することがある)は、通常のエステル交換反応が終了した時点で加える。かかるリン化合物Aは、エステル交換反応の役目を終えたエステル交換触媒の活性の大半を失わせる目的で加えるもので、一般的なエステル交換触媒であるアルカリ金属化合物や、アルカリ土類金属化合物、あるいはマンガン化合物などに作用するリン化合物であれば特に種類は限定されないが、後述のように速やかに触媒活性を失活させる反応性の強いリン化合物であることが好ましい。
これらリン化合物Aとしては、下記一般式(I)または下記一般式(II)で表されるリン化合物Aが挙げられる。
【0023】
【化11】
(R1O)m−P(=O)−(OH)3-m (I)
(上式中R1は炭素数1〜2のアルキル基、mは0〜3の整数を表す。)
【0024】
【化12】
(R2O)n−PH(=O)−(OH)2-n (II)
(上式中R2は炭素数1〜2のアルキル基、nは0〜2の整数を表す)
該リン化合物Aは、(I)式または(II)式で表されるリン化合物であれば特に限定されないが、メチルフォスフェートやエチルフォスフェートといった有機リン化合物やリン酸、亜リン酸または亜リン酸エステルが例示される。なかでも亜リン酸は還元性故、色相を制御することが難しく、添加時期や反応スケール、反応釜の材質などを考慮して添加量を調整する必要があることから、こうした難点の少ないリン酸が、より好ましい化合物として挙げられる。
【0025】
さらに詳細に説明すると、第一のリン化合物Aが、エステル交換反応の役目を終えたエステル交換触媒の大半を失活させた後、重縮合触媒となるチタン化合物を加え、さらに第2のリン化合物Bを加えて重縮合反応を開始する。リン化合物Aを添加してから次にリン化合物Bを添加するまでの間隔が長いため、リン化合物Aの効果が不十分な場合、エステル交換触媒の活性が依然残り、着色の進行などを助長させる一因となる。そこで、リン化合物Aは先述のように即効性のリン化合物であることが好ましい。このように、リン化合物Aによりエステル交換触媒の大部分を予め失活させることで、重縮合触媒として用いるチタン化合物の添加量を抑えることになり、ポリエステル樹脂およびそれから得られるフィルムは、良好な色調を実現できる。
【0026】
本発明で用いられるリン化合物Aは、エステル交換触媒に対し、下記式(1)の範囲で加えることが必要である。Pa/Mが0.8を越える場合、続いて重縮合触媒として加えるチタン化合物に余分のリン化合物が作用してチタンの触媒活性を低下させることになり、逆にPa/Mが0.4に満たない場合は、エステル交換触媒が活性を残し、チタン触媒に作用したり、ポリエステルの耐熱性が劣化する場合がある。
【0027】
【数7】
0.4≦Pa/M≦0.8 ・・・(1)
(ここでPaはリン化合物A中のリン元素の、Mはエステル交換触媒中の金属元素の、全ジカルボン酸成分に対するそれぞれのモル濃度を示す。)
一方、続いて用いる2種類目のリン化合物(以下、リン化合物Bと略記することがある)は、下記一般式(III)で表されるホスホネート化合物であることが必要であり、これらは単独で使用しても二種以上を併用してもよい。
【0028】
【化13】
R3O−C(O)−X−P(O)−(OR4)2 (III)
(ここで、式中のR3およびR4は炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH2−または−CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R3およびR4はそれぞれ同一でも異なっていても良い。)
これらの中でも、特に好ましいリン化合物として、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボブトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロポキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸などが挙げられる。特に好ましく用いられるものとして、ジエトキシホスホノ酢酸エチル、ジエトキシホスホノ酢酸メチルが例示される。
【0029】
本発明において、これらのホスホネート化合物が必要である理由は、通常の安定剤として使用されているリン化合物Aに比べ、チタン化合物や残存するエステル交換触媒との反応が比較的緩やかに進行することから、重縮合反応中のチタン化合物の触媒活性が長く持続し、結果としてポリエステルへの重縮合触媒の添加量を少なくでき、また重縮合触媒に対して多量のリン化合物を添加してもポリエステルの熱安定性を損ないにくく、色調の低下を引き起こさないことにある。
これら、ホスホネート化合物の添加時期は、エステル交換反応が実質的に終了した後であれば特に制限されず、例えば、重縮合反応を開始する以前の大気圧下、重縮合反応を開始した後の減圧下、重縮合反応の末期または重縮合反応の終了後すなわちポリマーを得た後に添加してもよいが、作業性を考慮した場合、重縮合反応開始前の、触媒のチタン化合物を添加する時期が好ましい。
【0030】
また、ホスホネート化合物とチタン化合物とを予めグリコール中で加熱してエステル交換を行ってから加えることで、ホスホネート化合物の飛散性を抑えることができ、結果的にホスホネート化合物の添加量を抑えることにもなるが、その分作業量は増加することを留意する必要がある。
【0031】
本発明におけるリン化合物Bであるホスホネート化合物は、下記式(2)の範囲で加えることが必要である。先述のとおり、チタン化合物は、エステル交換触媒中の金属成分や、最初に添加するリン化合物Aが過剰に存在すると、反応中に交絡し重縮合触媒としての活性を落とすことから、最初に添加したリン化合物Aに加えてリン化合物Bの添加量にも留意する必要がある。すなわち、(Pa+Pb)/Mが1.4を越える場合、重縮合触媒として加えるチタン化合物に余分のリン化合物が作用してチタンの触媒活性を低下させることになり、逆に(Pa+Pb)/Mが0.8に満たない場合は、得られたポリマー及びフィルムの耐熱性が悪化する場合がある。
【0032】
【数8】
0.8<(Pa+Pb)/M≦1.4 ・・・(2)
(ここでPaはリン化合物A中のリン元素の、Pbはリン化合物B中のリン元素の、Mはエステル交換触媒の金属元素の、全ジカルボン酸成分に対するそれぞれのモル濃度を示す。)
本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法とそれから得られるフィルムは、重縮合触媒起因の異物の低減および透明性向上を目的にしており、実質的に触媒として、チタン化合物を用いる点に特徴がある。そのことから、ポリエステル樹脂組成物中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量は、全ジカルボン酸成分のモル数を基準として、高々5ミリモル%である。アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量が、5ミリモル%を超えると、これらの触媒に起因する異物の析出などの問題が惹起される。
【0033】
本発明で用いられるチタン化合物としては、一般に重縮合反応触媒として用いられるものであれば、特に限定されないが、下記一般式(IV)で表わされる化合物および下記一般式(IV)で表わされる化合物と下記一般式(V)で表わされる芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0034】
【化14】
R5O-[Ti(OR6)(OR7)]m-OR8 (IV)
(上記式中、R5、R6、R7およびR8は炭素数2〜10個のアルキル基を表し、R5、R6、R7およびR8は互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜3の整数を表す。)
上記一般式(IV)で表されるチタン化合物としては、例えば、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドなどのチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート、アルキルチタネートを挙げることができる。
【0035】
本発明におけるチタン化合物の添加時期は、ジメチルナフタレートを原料物質とする製造方法の中でも、チタン化合物の添加量を低減できることから、実質的にエステル交換反応が終了し、最初のリン化合物Aを添加してから重縮合工程に入る直前の間で添加させることが好ましい。
【0036】
本発明におけるチタン化合物の添加量は下記式(3)を満足することが好ましい。
【数9】
1≦Ti≦15 ・・・(3)
(ここで、式(3)中の、Tiは該チタン化合物のチタン元素としてのモル数を、樹脂組成物中の全ジカルボン酸成分のモル数で割った値(ミリモル%)を示す。)
即ち、本発明におけるチタン化合物の添加量は、チタン元素量で1〜15ミリモル%、より好ましくは2〜10ミリモル%含有することが好ましい。更に好ましいチタン元素量は3〜10ミリモル%、特に5〜8ミリモル%である。チタン元素量が下限未満だと、ポリエステルの生産性が低下し、所望の分子量を有するポリエステルが得られない。一方、チタン元素量が上限を超えると、得られるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の熱安定性が低下し、フィルムなどへ成形加工する際の分子量の低下が大きく、やはり所望の力学的特性を有する成形加工品が得られない。
【0037】
【化15】
(上記式中、qは2〜4の整数を表す。)
上記一般式(V)で表される芳香族多価カルボン酸としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸が好ましく例示される。なお、上記の一般式(V)で表される芳香族多価カルボン酸は、その無水物であっても良い。
【0038】
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸またはその無水物の一部を溶解し、これにチタン化合物を滴下して0〜200℃の温度で30分以上反応させればよい。
【0039】
本発明における芳香族多価カルボン酸の添加量は、チタン化合物/芳香族多価カルボン酸のモル比で1/1〜1/4の範囲であることが好ましい。芳香族多価カルボン酸が1/4のモル比より多いと、チタン化合物の触媒としての活性が阻害され、一方芳香族多価カルボン酸が1/1のモル比より少ないと、エチレングリコールなどといった溶媒に難溶となり、所期の効果が発現しない。
【0040】
本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法は、エステル交換反応触媒を必要とし、かかるエステル交換反応触媒としては、特に限定されないが、好ましく用いられるエステル交換反応触媒としては、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物などのアルカリ土類金属が挙げられる。中でも、ポリエステルの熱安定性や色相の改良といった点から、マグネシウム金属化合物が重縮合触媒であるチタン化合物との相性に優れ、好ましいエステル交換反応触媒として挙げられる。かかるマグネシウム化合物として、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、安息香酸マグネシウム、蟻酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等、及びこれらの水和物が挙げられ、これらは単独で使用してもよく、また二種以上併用してもよい。
【0041】
本発明におけるエステル交換反応触媒の添加量は、アルカリ土類金属を例にとると、全ジカルボン酸成分のモル数を基準として、30〜120mmol%の範囲であることが好ましい。該アルカリ土類金属の添加量が下限未満の場合、エステル交換反応が非常に遅くなり、一方、該アルカリ土類金属の添加量が上限より多い場合、得られるポリエステル樹脂組成物およびそれから得られるフィルムの熱安定性や色相に悪影響を与える場合がある。該アルカリ土類金属の添加量は35〜110mmol%の範囲がより好ましく、40〜100mmol%の範囲が更に好ましい。
【0042】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、例えば用途がフイルムである場合、巻き取り性などの取扱い性を向上させるために、滑材として平均粒径0.05〜5.0μmの不活性粒子を0.05〜5.0重量%程度添加してもよい。この際、本発明のポリエステル樹脂組成物の特徴である優れた透明性を維持する点から、添加する不活性粒子は粒径の小さいものが好ましく、またその添加量はできる限り少ないことが好ましい。
【0043】
添加する不活性粒子としては、コロイダルシリカ、多孔質シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、カオリン、複合酸化物粒子などの無機粒子や、架橋ポリスチレン、アクリル系架橋粒子、メタクリル系架橋粒子、シリコーン粒子などの有機粒子などが挙げられる。また、フィルム、繊維、ボトルなど各成形品の要求に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、粘度調整剤、可塑剤、色相改良剤、核剤、紫外線吸収剤などの各種機能剤を加えてもよい。
【0044】
さらに、得られるポリエステル樹脂組成物およびそれから得られるフィルムの色相の改善補助をするために、ポリエステル樹脂の製造段階において、たとえばアゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系といった有機青色顔料等の整色剤を添加することもできる。
【0045】
エステル交換反応を経由してポリエチレン−2,6−ナフタレートを製造する方法について、以下に詳述する。
本発明におけるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂は、原料として用いる全ジカルボン酸成分の80モル%以上がジメチルナフタレートである、エステル交換反応を経由する製造方法によって得られ、製造方法としては特に限定はなく、従来公知の技術を用いる事が出来る。
【0046】
ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法の一例を挙げると、まず、エステル交換反応開始前にジメチルナフタレートを全ジカルボン酸成分の80モル%以上含むナフタレン酸ジアルキルエステル、グリコール成分とともにエステル交換反応触媒を添加して徐々に昇温し、発生するアルコールを除去させながらエステル交換反応を実施し、エステル交換反応の終了時点でエステル交換反応失活剤であるリン化合物Aを添加して実質的にエステル交換反応を完了させる。その後、反応生成物を減圧装置が設けられた重合反応器に移し変える前後に、重縮合触媒であるチタン化合物およびリン化合物Bを添加して、高真空下での重縮合反応を行う。得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂は、通常溶融状態で押出しながら、冷却後、粒状(チップ状)のものとする。この際、得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂の極限粘度は、0.50〜0.80dl/gであることが望ましい。
【0047】
また、本発明で得られたポリエステル樹脂組成物は、フィルム、繊維またはボトルなどといった成形品に好適に用いられる。
【0048】
本発明におけるポリエステル樹脂組成物を用いたフィルムの製造方法としては特に限定はなく、従来公知の技術を用いることができる。以下に一例を挙げる。
重縮合反応により得られたポリエステルチップを(Tc)〜(Tc+40)℃(ここで、Tcはポリエステルの昇温時の結晶化温度を示す)の温度範囲で1〜3時間乾燥した後、(Tm)〜(Tm+70)℃(ここで、Tmはポリエステルの融点を示す)の温度範囲内でシート状に溶融押出し、ついで表面温度20〜40℃の回転冷却ドラム上に密着固化させて、実質的に非晶質のポリエステルシート(未延伸フィルム)を得る。ついで未延伸フィルムを縦方向に延伸した後、横方向に延伸する、いわゆる縦・横逐次二軸延伸法、あるいはこの順序を逆にして延伸する方法などにより延伸する。延伸する際の温度は(Tg−10)〜(Tg+70)℃(ここで、Tgはポリエステルの二次転移点温度を示す)であって、延伸倍率は少なくとも一軸方向に2.5倍以上、好ましくは3倍以上で、かつ面積倍率が8倍以上、好ましくは10〜30倍の範囲である。
【0049】
本発明におけるポリエステルフィルムを製造する際、使用するスリット状ダイの形状については、制限は特に無く、また単層フィルム、あるいは共押出技術等を用いた積層フィルムのいずれも採用することができ、例えば、3層以上の積層フイルムの最外層にのみ採用するなどもできる。
このようにして、極限粘度0.45〜0.80dl/g、厚み3〜20μmのポリエステルフィルムが得られ、磁気フィルムなどに好適に使用される。
【0050】
【実施例】
本発明をさらに実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
【0051】
(1)極限粘度(IV):
ポリエチレン−2,6−ナフタレートチップ0.6gをオルトクロロフェノール50ml中に、加熱溶解した後、一旦冷却させ、その溶液をオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した。
【0052】
(2)色相(Col):
粒状のポリエチレン−2,6−ナフタレートペレットを150℃にて6時間乾燥機中で熱処理して乾燥させた後、290℃にて溶融押出し器から回転冷却ドラム上にシート状に溶融押出し、急冷固化して厚さ500μmの未延伸フイルム(シート)を作成する。この厚み500μmのポリエチレン−2,6−ナフタレートフイルムを5枚重ね合わせた物を160℃にて90分乾燥機中で熱処理して結晶化させた後、カラーマシン社製CM―7500型カラーマシンで色相を測定した。L値は明度の指標であり、数値が大きいほど明度が高いことを、b値はその値が大きいほど黄着色の度合いが大きいことを示す。
b値に関しては以下の判断基準を設け、○以上の評価を合格とした。
◎:b値が6未満
○:b値が6以上8未満
△:b値が8以上10未満
×:b値が10以上
【0053】
(3)ポリマー中のチタン、リン、マンガン含有量:
ポリエステルチップ中のチタン元素量、リン元素量およびマンガン元素量は、チップを加熱溶融して円形ディスクを作成し、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。なお、滑剤を含む場合は、予め溶媒中で遠心分離処理により滑剤を除去した上で同様の測定を行った。
【0054】
(4)ポリマー中のカルシウム、マグネシウム含有量:
ポリエステルチップをオルトクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液について日立製作所製Z−6100形偏光ゼーマン原子吸光光度計を用いてカルシウム、マグネシウムそれぞれの定量を行った。
【0055】
(5)ヘーズ:
色相測定(2)のために作成した二軸未延伸フィルムの表面に傷などが発生していない箇所をサンプリングし、日本電色工業社濁度計(HDH−1001DP)にて測定した。
【0056】
(6)ポリマーの熱安定性(△IV):
色相測定(2)のために作成した二軸未延伸フイルムの極限粘度を(1)記載の方法にて測定し、該二軸未延伸フイルムの極限粘度からフイルム作成に使用した粒状ポリエステルチップの極限粘度を差し引いた値(△IV)を算出し、以下の基準で熱安定性を判定した。
熱安定性が特に優れる ・・・ △IVが−0.03未満
熱安定性が優れる ・・・ △IVが−0.03〜−0.05未満
熱安定性が普通 ・・・ △IVが−0.05〜−0.07未満
熱安定性が劣る ・・・ △IVが−0.07以上
【0057】
[実施例1]
ジメチルナフタレート100部とエチレングリコール70部の混合物に、酢酸マグネシウム四水和物0.053部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、メタノールの留出が終了したことを確認の後、リン化合物Aとしてリン酸0.014部を加えエステル交換反応を終了させた。続いてテトラ−n−ブトキシチタネートをTi相当量として0.001部加え、さらに下記一般式(VI)で表されるリン化合物B(ジエトキシホスホノ酢酸エチル。以下、ホスホネート1と略記する。)をP相当量として0.005部加えたのち、直ちに反応物を重縮合反応槽へ移した。
【0058】
【化16】
(C2H5O)2P(=O)−CH2C(=O)OC2H5 (VI)
重縮合反応の進行度合いを、系内の攪拌翼への負荷をモニターしなから確認し、所望の重合度に達した時点で反応を終了した。その後、系内の反応物を吐出部からストランド状に連続的に押出し、冷却,カッティングして、約3mm程度の粒状ペレットを得た。この時の重縮合反応時間は、180分であった。
【0059】
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物は、ペレットの状態で180℃の温度で充分に真空乾燥した。乾燥したペレットを290℃で溶融状態とし、回転しているキャスティングドラムに溶融状態のポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物を押出して、シート状物を得た。なお、キャスティングドラムは溶融物がキャストされる直前の表面温度が30℃で、その後表面温度は徐々に45℃まで上がっており、また、キャスティングドラムに溶融物がキャストされた直後に、シート状物の一方の面(キャスティングドラムとは異なる面側)に、ワイヤー状の電極があり、該電極によってシート状物を静電印加させ、キャスティングドラムに密着させ、厚さ500μmの未延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得た。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物及びこれを使用して得られた未延伸フイルムの特性を表2に示す。
【0060】
[実施例2]
実施例1において、チタン化合物を下記参考例の方法にて合成したトリメリット酸チタンに変更する以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物及びフイルムの特性を表2に示す。
【0061】
[参考例]トリメリット酸チタンの合成方法
無水トリメリット酸2重量部をエチレングリコール98重量部に混ぜたエチレングリコール溶液にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対してモル比が0.5となるように添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応せしめ、その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥せしめ、目的の化合物を得た。
【0062】
[実施例3]
ホスホネート化合物を下記式(VII)(以下ホスホネート2と略記する)に変更する以外は、実施例1と同様の操作を繰り返した。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物およびフィルムの特性を表2に示す。
【0063】
【化17】
(C2H5O)2P(=O)−CH2C(=O)OCH3 (VII)
【0064】
[実施例4〜6および比較例1〜6]
エステル交換反応触媒、リン化合物A、チタン触媒およびリン化合物B(ホスホネート化合物)の種類や添加量を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。なお、比較例2,3において、リン化合物Bは使用しなかった。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物およびフィルムの特性を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
ここで、表1中の、TBTはテトラ−n−ブトキシチタン、TMTはトリメリット酸チタン、TMPはトリメチルホスフェートを示す。また、Mは組成物中のエステル交換触媒に含まれる金属元素の、組成物中の全ジカルボン酸成分に対するモル濃度を表す。同様に、表2中の、Tiはチタン化合物中のチタン元素の、組成物中の全ジカルボン酸成分に対するモル濃度を表す。Pはリン化合物Aおよびリン化合物Bのそれぞれのリン元素としての合計含有量を、組成物中の全ジカルボン酸成分に対するモル濃度で表したものである。
【0068】
表2からも明らかなように、特定の2種類のリン化合物を組み合わせて使用することで、透明性や色相、熱安定性などで良好な性能のポリエステル樹脂組成物およびフィルムが得られた。また、チタン化合物をチタン元素として1〜15ミリモル%の範囲で含有し、(Pa/M)や(Pa+Pb/M)が本発明の範囲にあり、さらにエステル交換反応触媒としてマグネシウム金属化合物を用いて製造されたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物およびフィルムは、極限粘度、透明性や色相、熱安定性などでより良好な性能が得られた。これに対し、比較例1〜6に示したように、リン化合物としてホスホネート化合物を入れなかったり他のリン化合物を用いたり、あるいは(Pa/M)や(Pa+Pb/M)が本発明を外れた範囲であった場合、比較例1,3から明らかなように、透明性、色相、特にb値、熱安定性のいずれかが実施例と較べて不十分であったり、比較例2,4,5のように所期の極限粘度(IV)に到達せず、重縮合反応活性に問題が生じたりした。また、エステル交換反応触媒として、マンガン化合物を用いた場合、比較例6のように、色相や熱安定性が不十分であった。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、エステル交換反応を経由し、チタン化合物を触媒として使用するポリエチレン−2,6−ナフタレートの製造方法において、特定のリン化合物を少なくとも2つの段階で用いる製造方法によって、チタン化合物を触媒として使用する場合に従来技術の欠点であった色相の悪化を解消し、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが持つ優れた特性を保持しながら、触媒起因の異物が少なく、色相、透明性および熱安定性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物およびそれから得られるフィルムを提供することができる。
Claims (6)
- ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂の原料として用いる全ナフタレンジカルボン酸の80mol%以上がジメチルナフタレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂組成物の製造方法であって、エステル交換反応触媒によるエステル交換反応終了後、下記式(1)の割合で下記一般式(I)または下記一般式(II)で表されるリン化合物Aを添加してエステル交換触媒の活性を失わせたのち、重合触媒としてチタン化合物と下記一般式(III)で示されるもう一つのリン化合物Bであるホスホネート化合物とを下記式(2)の割合で加え重縮合反応を完結させることを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 最初に加えるリン化合物がリン酸である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- エステル交換反応触媒がマグネシウム金属化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法から製造されたポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフィルム。
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