JP4812602B2 - 有機薄膜素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機層からなるキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜を備える有機薄膜素子及びその製造方法に関するものである。
近年、従来の無機系材料に代えて、有機材料を活性材料として用いる有機薄膜素子、別の表現で言えば、有機エレクトロニクス素子への注目と期待が集まっている。有機薄膜素子としては、有機EL素子、有機トランジスタ等、さまざまな素子があるが、いずれも有機薄膜部分が、キャリア輸送機能あるいは、発光機能を有していることが特徴である。
有機薄膜素子用材料としては、大別すれば、低分子系材料と、高分子系材料とがあり、用途により、低分子系有機EL材料、高分子系有機EL材料、低分子系有機トランジスタ材料、高分子系有機トランジスタ材料等に分類される。有機物質は本来絶縁性が高いため、有機エレクトロニクス用に用いることができるのは、ごく限られた種類の物質である。
低分子系有機EL材料としては、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料等の有機材料が必要であり、発光材料として、赤色発光材料、緑色発光材料、青色発光材料、白色用の発光材料等が必要とされている。正孔注入材料としてよく用いられるものは、銅フタロシアニンや、フェニルアミン誘導体等であり、場合によっては正孔注入の特性を上げるためのドーピング材料を用いることもある。正孔輸送材料としては、フェニルアミン誘導体がよく用いられる。発光材料としては、アルミキノリノール錯体等の金属錯体に、発光効率を向上させるための発光性低分子材料を少量ドープして用いることが一般的であるが、近年では、金属錯体以外にも、スチリル系やフェニルアミン系の材料をホスト材料として用い、レーザー色素や縮合環芳香族を含む発光性の低分子材料等をゲスト材料として用いて発光効率を向上させる方法等が用いられている。電子輸送材料や電子注入材料としては、金属錯体系材料やその他の有機色素材料、またそれらの材料に電子注入の特性を上げるためのドーピングを行った材料等が用いられている。
低分子系有機EL素子として特徴的なことは、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、といった多層積層構造を真空蒸着法により作り上げることができたために、正孔と電子の注入バランスを適正に保ち、正孔と電子の再結合サイトを発光層内に閉じ込めることが可能となり、高発光効率で長寿命な有機EL素子の性能を実現できていることである。
一方、高分子系有機EL素子においては、高価な真空装置による有機薄膜の形成工程の代わりに、大気圧下で高速な成膜が可能な、スピンコート、インクジェット、印刷等の溶液系プロセスを用いることが特徴であり、低価格で大面積な素子の形成に期待が持たれている。
しかし、高分子系有機EL素子においては、上述の低分子系有機EL素子の場合とは異なり、溶剤の問題で、多層積層構造の形成が難しく、発光効率や寿命の面で課題をかかえていた。一般的に高分子系有機EL素子の構造としては、[透明電極/バッファー層/発光層/陰極]という簡単な構造が用いられるが、このような簡単な構造では、発光層内の発光サイトがバッファー層側あるいは陰極側にシフトした場合、界面での失活割合が増えるために、発光効率や寿命の低下を引き起こし易い。またバッファー層内の特定の化学物質が発光層内に拡散することにより、発光効率や寿命が損なわれ易いとも言われており、性能向上を図る上では、より多層の積層構造を形成する手法の登場が渇望されていた。
一般的な高分子系有機EL素子の製法としては、バッファー層としてはポリチオフェン系の水溶液系材料、発光層はポリフルオレン系あるいはポリパラフェニレンビニレン系の材料等を有機溶剤中に溶解した溶液を用いて形成される。バッファー層は乾燥後には有機溶剤に不溶であるため、層の形状を壊すことなく、上層の発光層を有機溶剤系の溶液を塗布することにより形成することができる。しかし、さらなる多層化を図ろうと、例えば発光層上に、有機溶剤を含む次の溶液を上から塗布すれば、既に成膜されていた発光層を溶かしてしまうことになり、この方法では多層積層化を図ることは困難である。
高分子系有機EL素子で多層化を図る方法として、例えば可溶性の前駆体高分子材料を塗布した後、摂氏200度程度の高温で数時間以上長時間加熱し、高分子材料を変性させて不溶化させ、次の層の成膜を可能とする方法が、ケンブリッジ大学等から報告されているが(非特許文献1、特許文献1)、プロセス温度が高く、加熱時間が長時間に渡るため、実際の製造プロセスとしては不適で、低コスト化を目指している高分子有機EL素子にとってはあまり望ましくない方法である。
また、高分子有機EL素子を形成した後、低分子系有機EL材料を真空蒸着により形成して、多層積層構造を形成する方法が報告されているが(非特許文献2)、真空蒸着プロセスを含めることで、低分子系有機EL素子との差異化ができなくなり、低コスト化面でのメリットがあまり期待できない。
それらに対し、架橋性の正孔輸送性材料を用いる方法が報告されている(特許文献2)が、正孔注入材料、正孔輸送材料、各色の発光材料、電子輸送材料等について、このような複雑な化学構造を有する架橋性材料を取り揃えることは、材料コストの向上に繋がり、素子の低コスト化には反する方法である。また、架橋性材料の構造によっては、架橋後に収縮して膜のモルフォロジーを損なう場合があり、架橋後にも均一な薄膜を得るための材料の化学構造や配合比を決定するのは容易な作業ではない。膜の均一性、平坦性は、有機薄膜素子においては生命線であり、膜の一部が極端に薄くなっていれば、抵抗値が低くなるため電流がその一部に集中し、膜が焼けたり、リーク電流を生じたりする。逆に膜の均一性が高くモルフォロジーが良好であれば、全面均一に電界がかかり、有機EL素子であれば、全面均一な発光を得ることができ、また素子の信頼性も大きく高めることができる。
以上述べてきたような問題は、同じ有機薄膜素子である有機トランジスタ素子にも当てはまる。有機トランジスタは、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体からなる有機活性層、ソース電極、ドレイン電極等から形成されており、ゲート絶縁膜としては無機膜を用いる場合と、高分子膜を用いる場合がある。有機活性層として低分子蒸着系材料を用いる場合と、高分子塗布系材料を用いる場合があり、例えばゲート絶縁膜に高分子膜を用い、有機活性層に高分子塗布系材料を用いる場合には、高分子有機EL素子の場合と同様に積層化の問題があり、従来技術では容易に高品質な高分子膜の積層構造を形成することが難しかった。
次に高分子系有機EL素子の製造方法に関する背景と従来の課題について述べる。高分子系有機EL素子の形成方法としては、スピンコート法の他に、カラー化が可能な方法として、インクジェット法が注目されている。
インクジェット法は、真空蒸着法やスピンコート法に比べて大幅に材料利用効率が高く、常圧で大面積に材料の高速な塗布が可能であり、従来の低分子系有機EL素子の製法に比べて低コスト化が可能な製法として期待されている。インクジェット法による塗布の位置精度も、年々精度が高まっており、携帯電話やPDA等への応用が可能な1インチあたり100画素以上の高精度化が可能となってきている。高分子系有機EL素子の製法として以外でも、カラー液晶パネルのカラーフィルターの製造への応用など、フラットパネルディスプレイの製造技術として近年注目が高まっている。
インクジェット技術は、紙系の記録媒体に、水溶液系のインクを塗布する技術が一般的であり、ガラス基板に有機溶剤系のインクを塗布するには特殊なインクジェット技術が必要である。
インクジェット法においては、ハードウェア、インク、印刷用基材の3点について、最適化が必要である。まず、ハードウェアについては、位置決め精度、吐出量精度、吐出角度制御、ノズルの目詰まり対策等、様々な条件があるが、数10μmレベルの画素以下のサイズでは条件が厳しくなる。現在では、最小2pl程度の微小液滴を吐出可能なノズルが開発されている。インクについては、一般的には水溶液系のインクが用いられるが、有機エレクトロニクス素子の場合、有機溶剤、特に、芳香族系の有機溶剤を用いる必要がある場合が多く、インクジェットノズルにも耐溶剤性が求められる等、市販のインクジェットプリンタと異なるハードウェアが必要となる。
またインクについては、まずは沸点や溶解性の考慮が必要である。有機溶剤系インクを用いる場合、クロロホルムやテトラヒドロフラン等のあまり低沸点の溶剤を用いれば、インクジェットノズルの先端での溶剤の乾燥速度が速すぎてインクが固形化し、ノズルの目詰まりを頻繁に生じる原因となる。従ってある程度高沸点の溶剤が望まれるが、高分子材料の溶解性も確保する必要があり、溶剤の沸点や溶解度を考慮しつつ、溶剤を選択する必要がある。場合により2種以上の溶剤を混ぜた混合溶媒が用いられることもある。
またインクジェットにおいては、粘度の調整が重要であり、一般的な印刷方式であるオフセット印刷やスクリーン印刷において、インクの粘度が2000cPから30000cP程度のものが用いられるのに比べて、インクジェットでは1cPから50cP程度までの比較的低粘度のインクが用いられる。
インクの安定性も非常に重要であり、長期保存で粘度が一定に保たれるべきであるのはもとより、保存中にインク内の固形分が析出したり変質したりすることは防がれるべきである。一般の紙への印刷に用いられるインクでは染料や顔料系のインクが用いられるが、有機エレクトロニクス用には、ポリフルオレン系、ポリチオフェン系、ポリパラフェニレンビニレン系といった合成高分子が用いられるため、新たにインクの安定性を高める技術を開発する必要がある。これらの合成高分子は、疎水性が高く、極性の低い芳香族系の有機溶剤に良く溶けるが、疎水性高分子同士は凝集しやすいと言われており、長期保存時の固形成分の析出が懸念される。しかし、添加物を加えれば、有機エレクトロニクス素子上でのキャリア輸送性や発光性を損なう恐れがあり、従来、有機エレクトロニクス素子を形成するためのインクに溶剤以外の混合物を入れるような例はほとんど報告されていない。
印刷用基材については、インクに応じた表面処理が必須で、塗布面においては、インクが滞りなく濡れて伸びることが望ましい。ガラス面や透明電極上に、有機材料からなる膜を成膜する際には、基材表面をUV−オゾン処理あるいは酸素を含むガスによるプラズマ処理により洗浄する工程がよく用いられる。
またインクジェットに特有な現象として、インク液滴が乾燥する過程で、液滴周辺部と液滴中央部とで溶媒の蒸発速度に差が出来ることから、乾燥後の膜厚が一定せず、液滴周辺部が盛り上がる場合や、逆に液滴中央部が盛り上がる場合があり、溶質と溶媒の組合せ、溶媒の配合条件や乾燥条件等を最適化する必要がある。
インクジェット法を用いた高分子系の有機EL素子の製造方法としては、使える溶媒系の問題で、上述したように、水溶液系の材料を用いて第1層のバッファー層を形成し、乾燥後に、有機溶剤系に溶解させた発光ポリマー溶液を用いて第2層の発光層を形成する、といった方法が一般的で、積層技術としては、せいぜい2層が最大であった。
特許文献3には、有機EL素子の製造方法として、ポリチオフェン誘導体とシランカップリング剤、あるいは、ポリパラフェニレンおよびその誘導体の前駆体を含有する液体をインクジェット方式により成膜し、加熱して硬化あるいは共役化して層を形成する方法が開示されている。
しかし、この方法では、扱える材料が限られており、一般のキャリア輸送性材料あるいは発光材料を用いる場合には、同じ方法を用いることができなかった。また、その製造プロセスにおいて、窒素中200℃で2時間加熱する、といった、非常に長時間でスループットの悪いプロセスが含まれているため、工業的な製造プロセスとして採用するには問題があった。
装置面でインクジェット法を用いて高分子系有機EL素子を製造する際の問題として、水溶液系の材料を通したインクジェットヘッドのノズルが乾かないまま、有機溶剤系のインクを通そうとすれば、再沈殿の原理で有機溶剤系のインク中の固形分が析出し、簡単に目詰まりを引き起こしてしまうという問題があった。即ち、ひとつのインクジェットヘッドで水溶液系のインクと有機溶剤系のインクを交互に塗布するということは実際的に無理があり、製造を考えるならば、使う溶剤の種類に応じて1台ずつのインクジェット装置を準備する必要があった。
特許文献4においては、キャリア輸送性または発光性を有するポリマーと、官能基を有する低分子架橋剤とを含有するインクを用いて、塗膜を形成し、この塗膜を光または熱で架橋することにより、その上に溶剤を含む溶液を塗布しても下地層の塗膜が溶解しないようにし、溶液の塗布によって2層以上を積層した積層構造を形成することが提案されている。しかしながら、これらの方法で形成した塗膜は、乾燥及び架橋の際の収縮により膜厚等が不均一になるという問題がある。
特表2000-51627号公報 特開平10-195131号公報 特開2000-208254号公報 特開2005−243300号公報 N.C. Greenham, et al., Nature, 1993, Vol. 365, p. 628 T.Sano, A.B. Holmes, et al., Synthetic Metals, 2001, Vol. 121, p.1701
本発明の目的は、複数の有機層を積層した構造を有する有機薄膜素子において、異なる溶剤系等を用いることなく積層構造を形成することができ、かつ成膜均一性の高いキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜を形成することができる有機薄膜素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明の有機薄膜素子は、複数の芳香族環もしくは複素環を有し、キャリア輸送性あるいは発光性を呈する高分子化合物と、複数の架橋性官能基を有し、分子量/架橋性官能基の値が180〜2000の範囲内である反応性オリゴマーもしくはポリマーと、重合開始剤とを含有するインクを架橋させて得られるキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜を備えることを特徴としている。
本発明においては、反応性オリゴマーもしくはポリマーをインク中に含有させ、キャリア輸送性薄膜または発光性薄膜を架橋させているので、その上に溶剤を含有するインクを塗布しても、下地層となるキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜が溶解することがない。このため、下地層の溶解を考慮することなく、その上に溶剤を含有するインクを用いて薄膜を形成することができる。
また、本発明においては、分子量/架橋性官能基の値が180〜2000の範囲内である反応性オリゴマーもしくはポリマーを用いている。分子量/架橋性官能基の値が180未満であると、成膜均一性の高いキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜が形成されるという本発明の効果が十分に得られない場合がある。また、2000を超えると、インクの粘度が上昇し、インクジェットヘッド等を用いて塗膜を形成するのが困難になる場合がある。
本発明によれば、キャリア輸送性薄膜または発光性薄膜が架橋されているので、その上にインクを塗布し成膜することが可能な有機薄膜素子とすることができる。
本発明においては、複数の架橋性官能基を有し、分子量/架橋性官能基の値が180未満である反応性モノマーが、インク中にさらに含有されていてもよい。反応性モノマーを含有することにより、インク粘度などのインク特性を調整することができる。
反応性オリゴマーもしくはポリマーの粘度は、例えば、10mPas/10000mPasであり、反応性モノマーの粘度は、例えば、1〜10mPasである。
反応性モノマーの分子量/架橋性官能基の値は、さらに90〜170の範囲であることが好ましい。
本発明における反応性オリゴマーもしくはポリマーは、疎水部と、エーテル結合またはエステル結合を分子構造内に有し、非イオン性で界面活性を有することが好ましい。このような反応性オリゴマーもしくはポリマーを用いることにより、疎水性を有する高分子化合物との親和性に優れ、かつ溶剤との親和性にも優れるため、インクの安定性を高めることができ、例えば、インクジェットから吐出時の安定性を高めることができる。
本発明における反応性オリゴマーもしくはポリマーの架橋性官能基としては、ラジカル重合性のアクリロイル基、ビニル基、カチオン重合性のビニルエーテル基、カチオン重合性のオキセタン環、カチオン重合性のオキシラン環などが挙げられる。ラジカル重合性のアクリロイル基またはビニル基を有する反応性オリゴマーもしくはポリマーを用いる場合には、ラジカルを発生させる重合開始剤を少量添加することにより、短時間で架橋反応を行うことができる。カチオン重合性のビニルエーテル基等を有する反応性オリゴマーもしくはポリマーを用い、光架橋を行う場合には、光カチオン重合開始剤をインク中に添加することが好ましい。
本発明の有機薄膜素子は、少なくとも2層の高分子膜が積層された構造を有し、この積層構造の下層が、上記本発明のキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜であることが好ましい。
本発明の有機薄膜素子としては、具体的には、有機エレクトロルミネッセント素子(有機EL素子)及び有機トランジスタ素子などが挙げられる。
本発明においては、反応性オリゴマーもしくはポリマーの架橋後のバンドギャップが、キャリア輸送性あるいは発光性を呈する高分子化合物のバンドギャップよりも大きいことが好ましい。これにより、有機薄膜素子中で、電子や正孔がトラップされにくくなり、有機薄膜素子における電気・電子的性能や、光性能が低下するのを防止することができる。
本発明における高分子化合物は、複数の芳香族環もしくは複素環を有する。芳香族環と複素環の合計が複数であればよい。キャリア輸送性あるいは発光性を呈する高分子化合物としては、従来より有機EL素子においてキャリア輸送性材料または発光材料として用いられている高分子化合物や、有機トランジスタ素子において用いられているキャリア輸送性材料などを用いることができる。
本発明において、インクには、高分子化合物と、反応性オリゴマーもしくはポリマーと、重合開始剤とが少なくとも含有される。反応性オリゴマーもしくはポリマーの含有量は、高分子化合物に対し、重量比(高分子化合物:反応性オリゴマーもしくはポリマー)で、1:0.01〜1:2の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1:0.05〜1:1である。また、重合開始剤は、反応性オリゴマー・ポリマー及び反応性モノマーの総量に対し、0.1〜20重量%の割合で用いることが好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。
また、反応性モノマーを用いる場合には、反応性モノマーの含有量は、高分子化合物に対して、重量比(高分子化合物:反応性モノマー)で、1:0.01〜1:2の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1:0.05〜1:1である。
本発明の架橋性インクは、上記本発明の有機薄膜素子のキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜を形成するために用いられるインクであり、複数の芳香族環もしくは複素環を有し、キャリア輸送性あるいは発光性を呈する高分子化合物と、複数の架橋性官能基を有し、分子量/架橋性官能基の値が180〜2000の範囲内である反応性オリゴマーもしくはポリマーと、重合開始剤と、溶剤とを含有することを特徴としている。
本発明の架橋性インクにおける溶剤としては、高分子化合物、反応性オリゴマーもしくはポリマー、及び重合開始剤を溶解または分散させることができるものであればよく、一般には有機溶剤が用いられるが、必要に応じて水系溶剤を用いてもよい。
架橋性インクにおける溶剤の割合は、インクの粘度を考慮して適宜調整することができる。
本発明の有機薄膜素子の製造方法は、上記本発明の有機薄膜素子を製造する方法であり、上記本発明の架橋性インクをピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いて、基板上に吐出する工程と、吐出して形成した基板上の薄膜を、光または熱により架橋して上記キャリア輸送性薄膜または上記発光性薄膜を形成する工程とを備えることを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、インクジェットヘッドを用いて、基板上の所定領域にキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜を形成することができ、効率良く薄膜を形成することができる。また、本発明においては、基板上の薄膜を、光または熱により架橋しているので、この薄膜を下地層として、さらにその上に溶剤を含有するインクを塗布して、キャリア輸送性薄膜または発光性薄膜などの有機薄膜を積層して形成することができる。
また、本発明においては、分子量/架橋性官能基の値が180〜2000の範囲内である反応性オリゴマーもしくはポリマーを用いているので、従来の反応性モノマーのみを用いる場合に比べ、膜の均一性を高め、良好なモルフォロジーを実現することができる。また、大きな架橋ネットを形成することができるので、膜の品質を高めることができる。
本発明によれば、有機EL素子、有機トランジスタ素子等の有機エレクトロニクス素子を短時間で、かつ良好な膜質で形成することができる。
本発明において用いることができる反応性オリゴマーもしくはポリマーの一般式としては、例えば以下のようなものを挙げることができる。
以下の一般式において、R、R、R、及びRnは、水素、アルキル基、アルコキシ基、エチレングリコール基、エーテル基、フェニル基、並びに、アルキル基やアルコキシ基などの炭化水素基にフェニル基やシクロヘキサン基等を置換したもの、炭化水素基の一部を酸素、窒素、硫黄、リン等で置換したものである。
また、Gは、炭素、メチレン、アルカン、アルケン、エーテル、ベンゼン、シクロヘキサン、ナフタレン、その他の炭化水素、または炭化水素の一部を、酸素、窒素、硫黄、リン等で置換したものである。
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本発明の反応性オリゴマーもしくはポリマーとしては、架橋性官能基と、柔軟性を有するアルキル鎖またはポリエチレングリコール鎖を有するものが好ましく用いられる。例えば、以下の式で表わされる反応性オリゴマー・ポリマーは、架橋性官能基としてアクリロイル基を有しており、柔軟性を有するポリエチレングリコール鎖を有している。アルキル鎖の炭素数は4以上であることが好ましく、ポリエチレングリコール鎖の繰り返し単位数は2以上であることが好ましい。また、以下に示す反応性オリゴマー・ポリマーでは、芳香族環を有しており、芳香族環は、耐熱性及び強靱性を与える。
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本発明によれば、複数の有機層を積層した構造を有する有機薄膜素子において、異なる溶剤系等を用いることなく積層構造を形成することができ、かつ成膜均一性の高いキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜を形成することができる。
本発明の有機薄膜素子は、低コストで大面積への塗布、カラー化等が可能なインクジェット法を用いて形成することができる。従って、高効率で、かつ長寿命の多層積層型の有機薄膜素子とすることができる。
また、材料が溶剤に可溶であれば、キャリア輸送性材料及び発光材料の種類に制限がなく、薄膜の形成において異なるプロセスを用いる必要がないため、製造効率を向上させることができる。
また、本発明においては、光架橋プロセスを用いることができるため、より短時間で膜を不溶化させることができる。また、紫外光等の光に対する耐性が十分でない材料を用いる場合には、熱により架橋を行うこともできる。この場合、従来技術のような前駆体からの熱変性反応を行う必要がないため、溶媒を蒸発させるためのプロセスを兼ねて比較的短時間で架橋させることができる。
本発明においては、分子量/架橋性官能基の値が180〜2000の範囲内である反応性オリゴマーもしくはポリマーを用いているので、低分子量の架橋剤を用いる場合に比べ、薄膜の均一性を高めることができる。低分子量の架橋剤である反応性モノマーを用いた場合には、リング状に膜厚の厚い部分が生じ、有機EL素子に用いた場合には、画素の中央部と周辺で異なる輝度を示すようになる。これに対し、本発明の反応性オリゴマー・ポリマーを用いた場合には、薄膜の均一性が高まり、画素内でほぼ均一な輝度の発光を得ることができる。
<反応性オリゴマー・ポリマー>
本発明において用いることができる反応性オリゴマー・ポリマーの具体例を、以下に示す。また、化学構造式の下に、化合物名、平均分子量または分子量、架橋性官能基の数、及び分子量/架橋性官能基の値をそれぞれ示す。
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<反応性モノマー>
本発明において用いることができる反応性モノマーの具体例を、以下に示す。
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<重合開始剤>
本発明において用いることができる光重合開始剤の具体例を、以下に示す。
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本発明において用いることができる光カチオン重合開始剤の具体例を、以下に示す。
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本発明において用いることができるキャリア輸送性あるいは発光性を呈する高分子化合物の具体例を、以下に示す。
以下に示す高分子化合物は、化学組成単位に対応するボロン酸エステル化合物とジブロム体を化学組成に相当する配合比で用い、鈴木カップリング法により合成することができる。
Figure 0004812602
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<実験1>
(高分子系有機EL素子の作製)
100ミリメートル角、0.7ミリメートル厚のガラス基板上に、ITO(インジウム錫酸化物)膜をスパッタ法にて形成した後、100マイクロメートル幅、50マイクロメートル間隔でストライプ上にパターニングした基板上に、フォトリソグラフィーにより、100マイクロメートル×150マイクロメートルのITO上の開口部を有するような碁盤の目状のパターンを2マイクロメートルの膜厚を有するポリイミド絶縁膜で形成した。
ポリマーインク1として、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−アミン−チオフェン]誘導体1g、アクリレートオリゴマー1を200mg、ベンゾインエチルエーテル10mgをキシレン50mLとテトラリン50mLの混合溶媒に溶解し、正孔注入層用のインクとした。
ポリマーインク2として、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−ジアミン]誘導体1g、アクリレートオリゴマー1を200mg、ベンゾインエチルエーテル10mgをキシレン50mLとテトラリン50mLの混合溶媒に溶解し、正孔輸送層用のインクとした。
ポリマーインク3として、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−スチルベン]誘導体1g、アクリレートオリゴマー1を200mg、ベンゾインエチルエーテル10mgをキシレン50mLとテトラリン50mLの混合溶媒に溶解し、青色発光層用のインクとした。
ポリマーインク4として、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−ジアミン−ベンゾチダイアゾール]誘導体1g、アクリレートオリゴマー1を200mg、ベンゾインエチルエーテル10mgをキシレン50mLとテトラリン50mLの混合溶媒に溶解し、緑色発光層用のインクとした。
ポリマーインク5として、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−ジアミン−チオフェン−ベンゾチダイアゾール]誘導体1g、アクリレートオリゴマー1を200mg、ベンゾインエチルエーテル10mgをキシレン50mLとテトラリン50mLの混合溶媒に溶解し、赤色発光層用のインクとした。
ポリマーインク6として、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−ピリジン]誘導体1gをキシレン50mLとテトラリン50mLの混合溶媒に溶解し、電子輸送層用のインクとした。
ポリマーインク1〜6に用いたポリフルオレン系材料の分子量は約1万から20万の間のものを用いた。
ポリマーインク1から6については、粘度計を用いて粘度を測定し、粘度が7〜10mPas(7〜10cP)の範囲に入るよう、粘度が高すぎる場合にはキシレンで希釈を行うことによりインク粘度を調整した。
ITOとポリイミド絶縁膜がパターンされたガラス基板を、純水、有機溶剤の順で洗浄した後、クリーンオーブンにおいて150℃で1時間ベークし完全に水分を除去した。その後UVオゾン処理装置において、50℃で10分間の処理を行い、ITO上の有機物を完全に除去し、ITO上の接触角が10度以下になるようにして、ポリマーインクの親和性を高めポリマーインクが滴下された後、画素内にインクが滞りなくのびて広がるように前処理を行った。
インクジェット装置として約40pLの滴下が可能なインクジェットヘッドを準備し、移動誤差5マイクロメートル以下の精密なX−Y移動がパーソナルコンピュータから制御できるX−Yステージ上に上記ガラス基板を真空チャックにより吸着させ、CCDカメラにより位置と角度を調整した後、パーソナルコンピュータの制御により、次に記した順番で、ポリマーインクを碁盤の目の中央を狙い滴下した。ポリマーインクの吐出速度が約4〜6m/s程度になるようにインクジェットヘッドにかかる電圧を調整した。吐出周波数は5kHzを用いた。
まずポリマーインク1を全碁盤の目に滴下し、365nmの波長を含むUV光(40mW/cm)を5分間照射して架橋し硬化させた。
次にポリマーインク2を全碁盤の目に滴下し、UV光(40mW/cm)を5分間照射して架橋し硬化させた。
次にポリマーインク3を2ラインおきに滴下し、UV光(40mW/cm)を5分間照射して架橋し硬化させた。
次にポリマーインク4をポリマーインク3を滴下した画素の隣の画素に来るように、2ラインおきに滴下し、UV光(40mW/cm)を5分間照射して架橋し硬化させた。
次にポリマーインク5をポリマーインク3と4とを滴下した画素の隣の画素に来るように、2ラインおきに滴下し、UV光(40mW/cm)を5分間照射して架橋し硬化させた。
次にポリマーインク6を全碁盤の目に滴下した。
次にメタルシャドーマスクを用いて、フッ化リチウムを1nm、カルシウムを5nm、アルミニウムを200nmの膜厚で順に真空蒸着法により成膜した。
最後に乾燥剤をあらかじめ内面に貼り付けたガラスキャップをUV硬化型接着剤により接着して封止した。
素子構造と各層の膜厚は、[ITO(150nm)/正孔注入層(40nm)/正孔輸送層(20nm)/発光層(各色70nm)/電子輸送層(20nm)/LiF(1nm)/Ca(5nm)/Al(200nm)]である。
図1は、作製した有機EL素子を示す概略断面図である。ITOからなる陽極1の上に、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5、及びLiF/Ga/Alの積層構造からなる陰極6が形成されている。
このようにして作製した有機EL素子において、ITO側をプラス、アルミニウム側をマイナスで10Vの電圧を印加したところ、青色部分で400cd/m、緑色部分が1000cd/m、赤色部分が100cd/mの発光を示した。発光効率は、青色部分で1cd/A、緑色部分で6cd/A、赤色部分で0.4cd/Aを示した。
(比較例)
上記ポリマーインクにおいて、架橋剤と重合開始剤を含まないインクを調製し、同様の有機EL素子を作製したところ、10Vを印加した場合、発光効率は、青色部分で0.4cd/A、緑色部分で2.5cd/A、赤色部分で0.2cd/Aを示し、いずれの発光色においても、架橋剤を含む場合より低い結果となった。
<実験2>
(有機トランジスタの作製)
ガラス基板上に1mmストライプのタンタル膜を100nmの厚みで形成し、陽極酸化法により、30nmを酸化して表面を五酸化タンタルとした。その上にポリ[3−ヘキシルチオフェン]500mgと、アクリレートオリゴマー1を50mg、ベンゾインエチルエーテル5mgをオルトジクロロベンゼン50mL中に溶解させたインクをインクジェット法により滴下し、その後ホットプレート上100℃で10分間熱を加えた後、UV光を5分間照射し硬化させた。
真空蒸着装置にその基板をセットし、五酸化タンタルゲート絶縁膜の直上、ポリチオフェン膜上に、チャネルが形成されるように、金のソース及びドレイン電極を、チャネル幅1ミリメートル、チャネル幅50マイクロメートルとなるように蒸着し形成した。
図2は、作製した有機トランジスタを示す模式的断面図である。図2に示すように、基板1の上に、タンタル膜からなるゲート電極11が設けられており、ゲート電極11の上に、五酸化タンタルからなるゲート絶縁膜12が設けられており、ゲート絶縁膜12の上に、ポリチオフェン膜からなる有機半導体膜13が設けられており、有機半導体膜13の上に、ソース電極14及びドレイン電極15が形成されている。
このようにして形成された有機トランジスタにおいて、金のソース−ドレイン電極間に40V、タンタルゲート電極に−40Vの電圧をかけたところ、ソース−ドレイン間に約1マイクロアンペアの電流が流れ、ゲート電圧に応じてソース−ドレイン間に流れる電流が変調し、トランジスタのオンオフ動作を得ることが出来た。
<実験3>
(高分子系有機EL素子の作製)
ここでは、以下に示す反応性モノマーをさらに加えたインク及び反応性ポリマーを用いたインクを使用して有機EL素子を作製した。
(反応性モノマーをさらに加えた例)
ポリフルオレン誘導体(キャリア輸送/発光性ポリマー) 1g
アクリレートオリゴマー1(反応性オリゴマー) 200mg
トリメチロールプロパントリメタクリレート(低分子架橋剤)100mg
ベンゾインエチルエーテル(光重合開始剤) 10mg
アニソール(溶媒1) 60mL
キシレン(溶媒2) 60mL
(反応性ポリマーを用いた例)
ポリフルオレン誘導体(キャリア輸送/発光性ポリマー) 1g
アクリレートポリマー1(反応性ポリマー) 200mg
ベンゾインエチルエーテル(光重合開始剤) 10mg
アニソール(溶媒1) 60mL
キシレン(溶媒2) 60mL
ポリフルオレン誘導体として、正孔注入層用に、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−アミン−チオフェン]誘導体、正孔輸送層用として、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−ジアミン]誘導体、青色発光層用として、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−スチルベン]誘導体を用い、上記の配合比に従って、インクを調製した。また、電子輸送層用として、ポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−ピリジン]誘導体1gをキシレン50mLとアニソール50mLの混合溶媒に溶解し電子輸送層用インクとした。このようにして調製したインクを粘度が7〜10mPasの範囲内に入るようキシレンで希釈して調整し、前述の実施例と同様の製法により、[ITO(150nm)/正孔注入層(40nm)/正孔輸送層(20nm)/発光層(70nm)/電子輸送層(20nm)/LiF(1nm)/Ca(5nm)/Al(200nm)]の構造を有する有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子の輝度−電流−電圧特性を測定したところ、いずれも10Vでの発光効率が1cd/A以上を示し、架橋剤を添加しない場合の0.4cd/Aに比べて、高い発光効率を得ることが出来た。
<インクの構成例>
インクの主機能材料として、ポリフルオレン誘導体を用いたが、それ以外の例えばポリフェニレンビニレン系材料や、フェニルアミン系材料、ポリチオフェン系材料を用いる場合も同様の配合を用いることができる。
配合比は、機能性ポリマー1に対して、反応性オリゴマーあるいは反応性ポリマーを0.01から2までの範囲で用いる。好ましくは、0.05から1までの範囲である。
反応性モノマーの配合比も同様に、機能性ポリマー1に対して、反応性モノマーを0.01から2までの範囲で用いる。好ましくは、0.05から1までの範囲である。重合開始剤は、反応性オリゴマー・ポリマー・モノマーの総量に対し、0.1から20重量%の割合で用いる。より好ましくは、1から10重量%の範囲で用いる。
溶媒としては、芳香族系の溶媒を中心に、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アルキルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、アニソール等とその混合溶媒を用いることができるが、それに限らず、溶質を溶解できれば良い。
粘度としては、インクジェット用では2から20mPas(2から20cP)の範囲で用いる。より好ましくは、3から15mPasの範囲に調整して用いる。
その他の印刷用としては、グラビア印刷用では50〜500mPas、活版印刷用では100〜1000mPas、スクリーン印刷用では2000〜30000mPasに調整して用いる。
<実験4>
以下では、各インクを表1〜表3に示すように調製し、実験1で準備したポリイミド絶縁膜を碁盤の目状に形成したITO基板上にインクジェットで塗布し、UV光(365nmピーク、40mW)で5分間硬化した後、窒素雰囲気中120℃で10分間乾燥し、膜の形状を観測した。膜の形状観察においては、金の薄膜(数nm以下)を全面にコーティングした後、光学干渉式三次元非接触表面形状計測システムによって、膜厚の状態を測定した。塗布・乾燥後の膜の一般形状として、周辺がカルデラ状に盛り上がっている場合と、中央が盛り上がっている場合があり、多くの場合、周辺の盛り上がりが大きく、周辺と中央の盛り上がりの両方が見られる場合があった。評価としては、画素内での膜厚の最も高い部分と低い部分の比を求めた。膜厚は平均して約70nmとなるように塗布を行った。
具体的なインク調製例
機能性ポリマー:1(重量比)(以降の実施例では、緑色発光材料であるポリ[9,9−ジオクチルフルオレン−ジアミン−ベンゾチダイアゾール]誘導体を用いた。)
反応性オリゴマー・反応性ポリマー:0.2(重量比)
反応性モノマー:0.1(重量比)
重合開始剤:0.01(重量比)
溶媒:100mL〜200mL、粘度8mPasに調整
混合溶媒の混合比は1:1
インクに用いた機能性ポリマー(高分子化合物)、反応性オリゴマー・反応性ポリマー、反応性モノマー、重合開始剤、溶媒を表1〜表3に示す。また、上記のようにしてインクから形成した膜の均一性についての評価を表1〜表3に示す。
Figure 0004812602
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インクジェット液滴の乾燥後の不均一性は、主に、液滴周辺部と液滴中央部の乾燥速度の差に起因すると考えられ、例えば、液滴周辺部の乾燥速度が速く液滴中央部から周辺部へ溶質が移動する際には、液滴周辺部が盛り上がったカルデラ状の形状が得られるとかんが得られる。この形状は、溶媒の沸点や粘度、混合溶媒の混合比、乾燥温度等によっても影響を受けると考えられるが、同じ溶媒を用いた場合、分子量の大きい反応性オリゴマーや反応性ポリマーを用いた場合の方が、低分子量の反応性モノマーを添加した場合よりも膜厚の均一性が得られ易いことが分かった。これは、乾燥時に分子量の大きい反応性オリゴマーや反応性ポリマーは早くゲル化しやすく、周辺部への溶質の移動量が少ないためではないかとこの結果からは推測される。また低分子量の反応性モノマーでは分子量あたりの架橋量が大きいため、体積や分子結合の変化により膜の不均一性を生じる可能性があると考えられる。
分子量の大きい反応性オリゴマーや反応性ポリマーと、低分子量の反応性モノマーの両方を混合した場合には、膜の均一性と、高い架橋密度との両方が得られることが考えられる。
インクジェット塗布膜の均一性は、発光時の輝度の均一性や寿命にも大きく影響する。膜厚の不均一性がある場合、膜の薄い所に集中的に電流が流れ、その部分の輝度が高く、逆に膜の厚い部分の輝度は非常に低くなる。また、電流の多く流れた部分については加速的に劣化が進むため、全体的に素子の寿命が短くなる。反対に、膜厚の均一性が高い場合は、画素内の輝度均一性が上がり、電流密度の均一性が寿命向上にも貢献する。従って、本発明の配合比によるインクで塗布した有機薄膜素子では、高い発光効率を示すだけでなく、発光面の均一性や、寿命の向上を得ることが可能となる。
本発明に従う一実施形態の有機EL素子を示す概略断面図。 本発明に従う他の実施形態の有機トランジスタ素子を示す概略断面図。
符号の説明
1…陽極
2…正孔注入層
3…正孔輸送層
4…発光層
5…電子輸送層
6…陰極
10…基板
11…ゲート電極
12…ゲート絶縁膜
13…有機半導体膜
14…ソース電極
15…ドレイン電極

Claims (9)

  1. 複数の芳香族環もしくは複素環を有し、キャリア輸送性あるいは発光性を呈する高分子化合物と、複数の架橋性官能基を有し、分子量/架橋性官能基の値が180〜2000の範囲内である反応性オリゴマーもしくはポリマーと、重合開始剤とを含有するインクを架橋させて得られるキャリア輸送性薄膜または発光性薄膜を備えることを特徴とする有機薄膜素子。
  2. 複数の架橋性官能基を有し、分子量/架橋性官能基の値が180未満である反応性モノマーが、前記インクに含有されていることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜素子。
  3. 前記反応性オリゴマーもしくはポリマーが、疎水部と、エーテル結合またはエステル結合を分子構造内に有し、非イオン性で界面活性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜素子。
  4. 前記反応性オリゴマーもしくはポリマーが、ラジカル重合性のアクリロイル基、ビニル基、またはカチオン重合性のビニルエーテル基を前記架橋性官能基として有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜素子。
  5. 前記反応性オリゴマーもしくはポリマーが、カチオン重合性のオキセタン環またはオキシラン環を前記架橋性官能基として有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機薄膜素子。
  6. 少なくとも2層の高分子膜が積層された構造を有し、この積層構造の下層が、前記キャリア輸送性薄膜または前記発光性薄膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機薄膜素子。
  7. 有機エレクトロルミネッセント素子または有機トランジスタ素子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機薄膜素子。
  8. 複数の芳香族環もしくは複素環を有し、キャリア輸送性あるいは発光性を呈する高分子化合物と、複数の架橋性官能基を有し、分子量/架橋性官能基の値が180〜2000の範囲内である反応性オリゴマーもしくはポリマーと、重合開始剤と、溶剤とを含有することを特徴とする架橋性インク。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機薄膜素子を製造する方法であって、
    請求項8に記載の架橋性インクをピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いて、基板上に吐出する工程と、
    吐出して形成した基板上の薄膜を、光または熱により架橋して前記キャリア輸送性薄膜または前記発光性薄膜を形成する工程とを備えることを特徴とする有機薄膜素子の製造方法。
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