JP4806173B2 - インクジェット用エマルションインク、並びに、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
このようなインクジェットプリンタに用いられるインクとしては、例えば、水溶性染料を水及び水溶性有機溶剤に溶解したもの(特許文献1及び特許文献2参照)、顔料を水及び水溶性有機溶剤に分散したもの(特許文献3及び特許文献4参照)、などが挙げられる。
<1> 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含み、該油相中に少なくとも初留点が290℃以上の油成分及び乳化剤としてHLB3〜5の非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするインクジェット用エマルションインクである。
<2> 油成分がヨウ素価100以下の植物油変性エステルである前記<1>に記載のインクジェット用エマルションインクである。
<3> HLB3〜5の非イオン性界面活性剤が、ポリグリセリンヒドロキシ脂肪酸エステルである前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクである。
<4> 油相中に、更に油溶性樹脂を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクである。
<5> 水相中に、少なくとも水及び水溶性有機溶剤を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクである。
<6> 油相及び水相の少なくともいずれかに顔料を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクである。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<8> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクに刺激を印加し、該インクジェット用エマルションインクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<9> 刺激が、熱(温度)、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<8>に記載のインクジェット記録装置である。
<10> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクに刺激を印加し、該インクジェット用エマルションインクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<11> 刺激が、熱(温度)、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<10>に記載のインクジェット記録方法である。
<12> 記録媒体上に前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
したがって、耐目詰まり性、吐出安定性、細線再現性(フェザリング)、画像濃度、色再現性、耐色境界にじみ(カラーブリード)、耐裏抜け、印字直後のハンドリング性、インクの保存安定性(=吐出安定性)、耐擦性、耐光性、耐水性、及び耐湿性のいずれにも優れるインクジェット用エマルションインクを提供することができる。
本発明のインクジェット用エマルションインクは、油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含み、該油相中に少なくとも初留点290℃以上の油成分及び乳化剤としてHLB3〜5の非イオン性界面活性剤を含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
前記油相の混合割合が10質量%未満であると、プリンタ機上乾燥性が高くなり、目詰まりが発生し易くなることがあり、90質量%を超えると、記録紙上乾燥性が低くなり、裏移りや手擦れが発生し易くなることがある。
前記インクジェット用エマルションインクの油相は、少なくとも初留点290℃以上の油成分及び乳化剤としてHLB3〜5の非イオン性界面活性剤を含有してなり、油溶性樹脂、顔料、更に必要に応じて、顔料分散剤、ゲル化剤、酸化防止剤、体質顔料、染料等のその他の成分を含有してなる。
前記油成分は、初留点が290℃以上(好ましくは300℃以上)であれば特に制限はなく、保存安定性などを阻害しない範囲で適宜選択することができ、例えば、鉱物油、石油系溶剤、合成油、植物油、植物油変性エステル等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、油成分を2種以上併用した場合には、混合油成分の初留点が290℃以上であり、300℃以上が好ましい。
前記油成分の初留点が290℃未満であると、油成分の揮発が始まり、いわゆるVOCの問題が顕在化することがある。
前記油成分の中でも、ヨウ素価100以下(好ましくは95以下)の植物油変性エステルが、インクジェット用エマルションインクの保存安定性の点で好適である。
前記パラフィン系オイルとしては、例えば、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックシリーズ(1010,1022,1032,1046,1068,1100,3032,3046,3068など);新日本石油社製の日石スパーオイルシリーズ(B、C、D、Eなど);出光興産社製のダイアナプロセスオイル(PX−32、PX−90、PW−32、PW−90、PW−380、PS−32、PS−90、PS−430など)、ダイアナフレシアシリーズ(S−32、S−90、P−32、P−90、P−150、P−180、P−430など)などが挙げられる。
前記ナフテン系オイルとしては、例えば、モービル石油社製のガーゴオイルアークティックオイル155及び300ID、ガーゴオイルアークティックオイルライト及びガーゴオイルアークティックオイルCヘビー;出光興産社製のダイアナプロセスオイル(NP−24、NR−26、NR−68、NS−90S、NM−280など)、ダイアナフレシアシリーズ(N−28、N−90、N−150、U−46、U−56、U−68、U−130、U−170、U−260);日本サン石油社製のサンセンオイルシリーズ(410,420,450,480,3125,4240等)等が挙げられる。
前記メチルエステルとしては、例えば、当栄ケミカル社製の#2012−98、#2014−95、#2016−95、#2018−95、#2180−80、#3050、#3000、#3100、#3120;AG Environmental Products, L.L.C.製のSoyGold1000、SoyGold1100、SoyGold1500、SoyGold2000などが挙げられる。前記イソプロピルエステルとしては、例えば、当栄ケミカル社製の#4014、#4016などが挙げられる。前記ブチルエステルとしては、例えば、当栄ケミカル社製の#4001、#4002、#4120、#4160、#4200などが挙げられる。前記イソブチルエステルとしては、例えば、当栄ケミカル社の#4014、#4016などが挙げられる。前記2−エチルヘキサノ−ル(オクチル)エステルとしては、例えば、当栄ケミカル社の#5001、#5168、#5100、#5100‐80、#5090等が挙げられる。
これらの油成分は安全性を考慮した場合、3環以上の縮合芳香族環を含む芳香族炭化水素である多環芳香族成分が3質量%未満のものを使用することが好ましい。また、変異原性指数MIが1.0未満、アロマ分(%CA)が20〜55%、アニリン点が100℃以下であって、かつオイル全質量基準でベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ベンゾ[a]ピレン、ジベンゾ[a,j]アクリジン等の多環芳香族の含有量がそれぞれ10ppm以下であり、かつ合計含有量が50ppm以下である。
なお、必要に応じて安全性の高いアロマー系オイル(例えば、特開平11−80640号公報参照)を使用することもできる。
前記乳化剤としては、HLB3〜5の非イオン性界面活性剤が用いられる。HLBが3〜5を満たさない非イオン性界面活性剤を用いるとW/O型エマルションを形成する乳化能が低く、エマルション化できないことがある。
前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリルモノステアレート、デカグリセリルトリオレエート、ヘキサグリセリンポリリシノレート等の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン植物油脂肪酸エステル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン、硬化ヒマシ油、高級アルコール等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記HLB3〜5の非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセリンヒドロキシ脂肪酸エステルが特に好ましく、具体的には、ヘキサグリセリンポリリシノレート等が挙げられ、市販品としては、例えば、日光ケミカルズ株式会社社製のPR15(HLB3.5)等が挙げられる。
前記油相中に含まれる油溶性樹脂としては、例えば、ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、ロジンエステル、ロジンポリエステル樹脂、水素化ロジンエステル等のロジン系樹脂;ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のロジン変性樹脂;マレイン酸樹脂;フェノール樹脂;石油樹脂;環化ゴム等のゴム誘導体樹脂、テルペン樹脂、アルキド樹脂、重合ひまし油等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ロジン変性フェノール樹脂としては、例えば、荒川化学工業株式会社製のタマノル353、タマノル403、タマノル361、タマノル387、タマノル340、タマノル400、タマノル396、タマノル354、KG836、KG846、KG1834、KG1801等が挙げられる。
前記多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸等の飽和多塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和多塩基酸が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、マンニット、ソルビット等が挙げられる。前記アルキド樹脂の油長は油脂中の脂肪酸がトリグリセライドで存在したときの樹脂中の質量%で示される。前記アルキド樹脂は耐擦性、及び耐目詰まり性、吐出安定性等の問題から、油長は60〜90が好ましく、ヨウ素価は80以下が好ましい。前記アルキド樹脂の重量平均分子量(Mw)は3万未満が好ましく、1万以下がより好ましい。
前記油相中又は水相中に含まれる顔料としては、各種色調の公知の顔料を用いることができ、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、等のカーボンブラック類、特に水相に分散する場合には、カーボンブラック表面を各種の親水基で修飾した自己分散型と言われるカーボンブラック、アルミニウム粉、ブロンズ粉などの金属粉;弁柄、黄鉛、群青、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料;無金属フタロシアニン顔料や銅フタロシアニン顔料などのフタロシアニン系顔料;不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料などのアゾ系顔料;アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサンジン系、スレン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キノフタロン系、金属錯体、などの縮合多環系顔料、酸性又は塩基性染料のレーキ顔料等の有機顔料、或いは蛍光顔料、等が挙げられる。該蛍光顔料としては、合成樹脂を塊状重合する際又は重合した後に、様々な色相を発色する蛍光染料を溶解又は染着し、えられた着色塊状樹脂を粉砕して微細化した、所謂、合成樹脂固溶体タイプのもので、染料を坦持する合成樹脂としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、スルホンアミド樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を染料に坦持するの蛍光顔料等が挙げられる。また、ゼーター電位等の性質が近い場合には2種類以上の着色剤を同相に添加してもよい。
前記顔料のエマルションインクにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常2〜15質量%が好ましい。
前記アルキド樹脂は高分子量の樹脂を添加するときに不溶性着色剤の分散安定性に特に効果があるが、アルキド樹脂を単独又は他の分散剤と併用して使用する場合の樹脂の添加量は不溶性着色剤の5質量%以上が好ましい。
前記ゲル化剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、油相中の樹脂の15質量%以下が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
前記酸化防止剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インク中の油相の総量に対し2質量%以下が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。
前記体質性顔料の市販品としては、例えば、アエロジル200、アエロジルR972等(日本アエロジル社製)、NEW D ORBEN(白石工業社製)、BEN−GEL、S−BEN、ORGANITEなど(豊順洋行社製)、TIXOGELシリーズ(VP、DS、GB、VG、EZ−100など)、OPTIGEL(日産ガードラー触媒社製)などが挙げられる。
前記体質顔料のエマルションインクにおける添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜50質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
前記インクジェット用エマルションインクの油相は、水、水溶性有機溶剤を含有してなり、更に必要に応じて、水溶性高分子、O/W型樹脂エマルション、顔料、顔料分散剤、電解質、防腐・防かび剤、pH調整剤、染料等のその他の成分を含有してなる。
前記水溶性有機溶剤の添加量はインク中の水相全質量の15質量%以下が好ましく、4〜12質量%がより好ましい。
前記天然高分子化合物としては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ガラクタン、トラガントガム、アラビアガム、プルラン、デキストラン、キサンタンガム、ニカワ、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等が挙げられる。
前記半合成高分子化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等が挙げられる。
前記合成高分子化合物としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のアクリル酸樹脂誘導体;ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル等の合成高分子などが挙げられる。
前記水溶性高分子化合物の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インクに含まれる水の25質量%以下が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
前記電解質としては、上記の硫酸マグネシウム以外に保存安定性などを阻害しない範囲で他の電解質を併用してもよい。電解質はクエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等の陰イオン或いはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンなどを含む電解質であることが好ましい。前記電解質としては、硫酸マグネシウム以外に、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、等が好ましい。
前記電解質の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水相の0.1〜2質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。
また、前記水中油型樹脂エマルションの分散方法についても特に制限はなく、分散剤、保護コロイド、界面活性剤を添加していてもよく、またソープフリー乳化重合によって合成したものでもよい。前記水中油型樹脂エマルションの最低造膜温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、40℃以下が好ましい。
前記防腐・防かび剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、エマルションインク中に含まれる水の総質量に対し3質量%以下が好ましく、0.1〜1.2質量%がより好ましい。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクジェット用エマルションインクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
インクカートリッジ10は、図1に示すように、インク注入口42からインク袋41内に充填され、排気した後、該インク注入口42は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口43に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋41は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋41は、図2に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース44内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程等を含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、前記本発明のインクジェット用エマルションインクに、刺激を印加し、該インクジェット用エマルションインクを飛翔させて画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、前記本発明のインクジェット用エマルションインクに、刺激を印加し、該インクジェット用エマルションインクを飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種のヘッド(インク吐出ヘッド)が挙げられ、特に複数のノズル列を有するヘッドと、液体保管用タンクから供給される液体を収容して前記ヘッドに液体を供給するサブタンクとを有するものが好ましい。
前記サブタンクは、該サブタンク内に負圧を発生するための負圧発生手段と、該サブタンク内を大気開放するための大気開放手段と、電気抵抗の差によりインクの有無を検知する検知手段とを有するものが好ましい。
記録ヘッド14を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクジェット用エマルションインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ13には、記録ヘッド14に各色のインクを供給するための各色のサブタンク15を搭載している。サブタンク15には、図示しないインクジェット用エマルションインク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部6に装填された本発明のインクカートリッジ10から本発明の前記インクジェット用エマルションインクが供給されて補充される。
そして、サブタンク15内のインクジェット用エマルションインクの残量が少なくなってきたことが検知されると、インクカートリッジ10から所要量のインクジェット用エマルションインクがサブタンク15に補給される。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、記録媒体上に本発明の前記水性インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
実施例1〜7及び比較例1〜2については、下記表1〜表5に記載の組成で、以下のようにして、インクジェット用油中水型(=W/O)エマルションインクをそれぞれ調製した。なお、インクはシアン、マゼンタ、イエロー、及びクロの4色で1セットである。
まず、オイル、顔料、及び顔料分散剤を3本ロール(井上製作所製、S−4・3/4×11)で練肉して、顔料分散体を作製する。この顔料分散体に追加オイル、及び乳化剤を加えディゾルバー(DISPERMAT−FE)で撹拌分散して、油相とする。この油相に水、水溶性有機溶剤、抗菌剤、及び電解質からなる水相を加え、真空乳化撹拌装置(みづほ工業株式会社製、PVQ−3UN)で乳化し、3μmフィルターを用いて濾過を行い、インクジェット用油中水型(=W/O)エマルションインクを作製した。
比較例3は、下記表6に記載の組成で、常法により、水溶性染料インクを調製した。
比較例4は、下記表6に記載の組成で、常法により、水溶性顔料インクを調製した。
耐目詰まり性は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、ヘッド位置調整パターンを印刷後、電源を入れたまま、72時間放置し、ノズルチェックパターン印刷を行い、チェックパターンの欠損状態を5段階にランク分けし、耐目詰まり性を評価した。なお、数字が大きいほど耐目詰まり性が良好であることを示す。
吐出安定性は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、0.75ポイントのライン印刷を行い、ラインの欠損、直線性を評価、5段階にランク分けし、吐出安定性を評価した。なお、数字が大きいほど吐出安定性が良好であることを示す。
細線再現性(フェザリング)は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、0.75ポイントのライン印刷を行い、印刷サンプルを24時間放置、線幅を5点/100mm測定、そのバラツキ巾をフェザリングの程度と考え5段階にランク分けし、細線再現性(フェザリング)の評価とした。なお、数字が大きいほど細線再現性が良好であることを示す。
色再現性は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、及びブルーのベタ画像を形成し、印刷サンプルを24時間放置、それぞれの色差L*a*b*を測定し、彩度C*を下記数式(1)で算出し、5段階にランク分け、色再現性の評価とした。彩度C*が大きいほど発色可能範囲が大きくなり、色再現性が良好と言える。なお、数字が大きいほど色再現性が良好であることを示す。
耐色境界にじみ(カラーブリード)は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、シアン/マゼンタ、シアン/イエロー、マゼンタ/イエロー、クロ/シアン、クロ/マゼンタ、クロ/イエロー、の2色が隣接するベタ画像を形成し、印刷サンプルを24時間放置、境界近傍での色のにじみ、即ち色境界にじみ(カラーブリード)を観察、5段階にランク分けし、色境界にじみの評価とした。なお、数字が大きいほど耐色境界にじみ性が良好であることを示す。
耐裏抜けは、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、及びクロのベタ画像を形成し、印刷サンプルを24時間放置、それぞれの表面の画像濃度、裏面の画像濃度を測定、裏面の画像濃度/表面の画像濃度比をパーセントで算出し、5段階にランク分け、耐裏抜けの評価とした。なお、数字が大きいほど耐裏抜け性が良好であることを示す。
印字直後のハンドリング性は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、及びクロのベタ画像を形成し、5秒後の印刷サンプルのベタ部をクロックメータ(東洋精機製作所製)で摩擦、摩擦部と非摩擦部の画像濃度を測定、摩擦部画像濃度/非摩擦部画像濃度比をパーセントで算出し、5段階にランク分け、印字直後のハンドリング性の評価とした。摩擦部画像濃度と非摩擦部画像濃度に差のないものが印字直後のハンドリング性に優れる。なお、数字が大きいほどハンドリング性が良好であることを示す。
インクの保存安定性は、ガラスびんに密閉し、60℃のオーブンに保存し、1ヶ月後の粘度変化量を5段階にランク分けし、保存安定性の評価とした。粘度は音叉型振動式粘度計SV−10(エー・アンド・デイ社製)で測定した。なお、数字が大きいほどインクの保存安定性が良好であることを示す。
耐擦性は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、及びクロのベタ画像を形成し、24時間後の印刷サンプルのベタ部をクロックメータ(東洋精機製作所製)で摩擦、摩擦部と非摩擦部の画像濃度を測定、摩擦部画像濃度/非摩擦部画像濃度比をパーセントで算出し、5段階にランク分け、耐擦性の評価とした。摩擦部画像濃度と非摩擦部画像濃度に差のないものが耐擦性に優れる。なお、数字が大きいほど耐擦性が良好であることを示す。
耐光性は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、及びクロのベタ画像を形成し、24時間経過後、以下の条件で耐光性加速試験を実施、試験前後の画像劣化の程度を5段階にランク分けし、耐光性の評価とした。照射部画像濃度と非照射部画像濃度に差のないものが耐光性に優れる。なお、数字が大きいほど耐光性が良好であることを示す。
〔耐光性加速試験条件〕
ウエザオメーターCi5000(アトラス社製、光源:キセノンアークランプ、光フィルター:内側Sタイプポリシリケイト、外側ソーダ・ライム)を用いて、試験機内温湿度25℃/60%、ブラックパネル温度40℃、照射エネルギー0.18W/m2、照射時間48時間である。
耐水性は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、及びクロのベタ画像を形成、24時間後に印刷サンプルをイオン交換水に5秒間浸漬、浸漬前後の画像劣化の程度を5段階にランク分けし、耐水性の評価とした。浸漬部画像濃度と非浸漬部画像濃度に差のないものが耐水性に優れる。なお、数字が大きいほど耐水性が良好であることを示す。
耐湿性は、インクジェットプリンタ(BJ−F850、キャノン株式会社製)、及び印刷試験用紙としてType6200(株式会社リコー製)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、及びクロのベタ画像を形成し、24時間後に印刷サンプルを温湿度試験器(30℃/90%)に72時間保存、保存前後の画像劣化の程度を5段階にランク分けし、耐湿性の評価とした。30℃/90%保存後の画像濃度と30℃/90%保存前の画像濃度に差のないものが耐水性に優れる。なお、数字が大きいほど耐湿性が良好であることを示す。
*Cはシアン、mはマゼンタ、yはイエロー、kはクロをそれぞれ表す。
*顔料PB15:3は、フタロシアニンブルーの15:3番
*顔料DQ122は、ジメチルキナクリドンの122番
*顔料MA74は、モノアゾの74番
*顔料酸性CBは、酸性カーボンブラック
*染料DB86は、ダイレクトブルーの86番
*染料AR92は、アシッドレッドの92番
*染料DY98は、ダイレクトイエローの98番
*染料DB168は、ダイレクトブルーの168番
*樹脂成分KG836は、荒川化学工業株式会社製の商品名:ロジン変性フェノール樹脂
*樹脂成分KG846は、荒川化学工業株式会社製の商品名:ロジン変性フェノール樹脂
*水溶性有機溶剤:1,3−BD(1,3−ブタンジオール)
(1)Sunper110(サン石油株式会社製)
(2)AF6(日石三菱株式会社製)
(3)5号ソルベント(日石三菱株式会社製)
(4)AF4(日石三菱株式会社製)
(5)SoyGold1000(AG Environmental Products LLC)
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに幅広く適用することができる。
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
6 インクカートリッジ装填部
7 操作部
8 前カバー
10 インクカートリッジ
11 ガイドロッド
12 ステー
13 キャリッジ
14 記録ヘッド
15 サブタンク
16 供給チューブ
22 用紙
23 給紙コロ
24 分離パッド
25 ガイド
31 搬送ベルト
32 カウンタローラ
33 搬送ガイド
34 押さえ部材
36 帯電ローラ
37 搬送ローラ
38 テンションローラ
41 インク袋
42 インク注入口
43 インク排出口
44 カートリッジ外装
51 分離爪
52 排紙ローラ
53 排紙コロ
61 両面給紙ユニット
62 手差し給紙部
77 ガイド部材
Claims (11)
- 油相10〜90質量%及び水相90〜10質量%を含み、該油相中に少なくとも初留点が290℃以上の油成分及び乳化剤としてHLB3〜5の非イオン性界面活性剤を含有し、
前記HLB3〜5の非イオン性界面活性剤が、ポリグリセリンヒドロキシ脂肪酸エステルであることを特徴とするインクジェット用エマルションインク。 - 油成分がヨウ素価100以下の植物油変性エステルである請求項1に記載のインクジェット用エマルションインク。
- 油相中に、更に油溶性樹脂を含有する請求項1から2のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインク。
- 水相中に、少なくとも水及び水溶性有機溶剤を含有する請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインク。
- 油相及び水相の少なくともいずれかに顔料を含有する請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインク。
- 請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクに刺激を印加し、該インクジェット用エマルションインクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 刺激が、熱(温度)、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項7に記載のインクジェット記録装置。
- 請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクに刺激を印加し、該インクジェット用エマルションインクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 刺激が、熱(温度)、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項9に記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体上に請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット用エマルションインクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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