JP4804360B2 - 蛍光画像形成方法及びその画像 - Google Patents

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Description

本発明は、記録方法に関し、更に詳しくは、蛍光インクを用いて得られる蛍光記録物の蛍光強度及び記録濃度が良好で、且つ、画像形成の信頼性にも優れる記録画像形成方法に関する。
近年、様々な用途で使用可能なインクが求められており、かかる用途としては、単に美麗な有色画像を形成することに留まらず、例えば、インクに蛍光性を持たすことで、文字、数字、記号、バーコード等の情報を記録媒体に記録し、適当な波長の紫外光を照射することにより蛍光インクを有色発光させて、可視情報以外の情報(例えば、セキュリティ情報)等を付与する技術展開が提案されている。その中でも特に蛍光を発光させてその発光強度を読み取る装置を使用して真贋判定(偽造防止)情報やセキュリティ情報を読み取る方式では、その方式で用いられる基準波長(例えば、254nm)で励起させ(基準励起波長)、蛍光色材を蛍光発光させて判定や、測定に用いられており、メーリングシステム等に応用されている。
色材の種類からインクを検討すると、色材として染料を用いた場合には基準とする色調を得ることが容易であるが、得られた画像の耐水性が劣る場合があり、逆に、色材として顔料を用いた場合は得られた画像の耐水性は良好となるものの、基準とする色調が得られない場合がある。このような観点から、耐水性及び色調の両方を満足できる画像を与えることのできるインクとして、これらの両方を色材として含むインクが提案されている。例えば、特許文献1には、水溶性赤色染料(例えば、アシッドレッド52)と、赤色顔料とを記録剤とし、これらを、顔料を液媒体中に分散させるための高分子分散剤とともに含有する記録液が開示されている。
一方、メーリングシステムとしては、米国では蛍光の赤色印刷を行うことが一般的で、蛍光色素として前記公報にもあるアシッドレッド52(AR52)等の染料が用いられている。このような、アシッドレッド52を蛍光染料として例示し、蛍光染料、顔料及び顔料の分散剤としてのポリマーを含むインクが、特許文献2に開示されている。尚、この明細書にも記載されるように、形成された「画像の色味」の色調を変える(いわゆる人間の感覚としてとらえた色調を調整する)ために、その色調に合わせた染料を組み合わせることは、この特許文献2の記載よりはるか以前から設計事項として知られている。
、特許文献2に開示された発明は、特許文献1と同様に、耐水性向上を目的として蛍光染料に顔料を加えたインクジェット用インクに関する発明であるが、可視(目視)による色味という前記周知の目的のために、2種の蛍光染料を組み合わせた系や、更に蛍光強度(PMU値)を向上させるための添加剤を添加した系について記載されている。この蛍光強度(PMU値)を向上する具体例には、顔料部分(ポリマー、テトラエチレングリコール又はジエチレングリコール)を除くと、溶剤としての水、2−ピロリデノン、テトラエチレングリコール及び次に挙げる蛍光色材が記載されている。更に、この複数蛍光色材として、前述したAR52(0.4質量%、0.5質量%〜3.0質量%)に対してアシッドイエロー7(AY7)、アシッドイエロー73(AY73)、ダイレクトイエロー96(DY96)のいずれかの組み合わせや、ベーシックバイオレット(RHDB)に対してベーシックイエロー40(BY40)を加える例が記載されている。
、特許文献3には、インビジブル蛍光水性インクであって、3種の蛍光色材(蛍光増白剤、クマリン誘導体系の黄色蛍光染料及びローダミンB、6G系の赤系蛍光染料)を含むインクとこれによるはがき印刷が開示されている。その技術説明は、これら3種の蛍光色材が紫外光によりピーク発光し、更にその発光で順次、他の色材を励起し、最終的に587nmの蛍光発光を行うとされている。しかしながら、この文献には、この励起波長については具体的な記載が全く無く、インクとその記録画像とが同一の蛍光特性を示すという結果を用いて技術説明がなされている。一般に紫外光は水に吸収されるのでインクと記録画像では蛍光の結果は異なるものとなるという事実から判断すると、この文献に記載されている発明は、技術的に信憑性がない。又、特許文献4では、特許文献3の趣旨と同様に、紫外光励起により蛍光発光する複数の染料(赤系染料、黄系染料、青系染料、黒系染料)を用いて、黒系画像を形成しつつ、基準発光のカラー発光を得るインクが開示されている。この文献には、前記特許文献3とは異なる技術ポイントとして、相対的に長波長側の吸収スペクトルと短波長側の発光スペクトルとを重ねないように複数の染料を選定することが主たる発明として記載されている。この文献も、複数蛍光色材の関係を十分解析できていないため、目的とする蛍光強度を確実に確保できるものではない。一方、これらに対して、特許文献5は、蛍光特性を溶剤と蛍光色材の関係で向上する発明を開示する。特許文献5は、同色蛍光色材を2種有し(蛍光性をもたない色材を加えた例示も有る)、互いに相溶性のない2種の有機溶媒(グリセリンとノニオン界面活性剤等)とこれらを溶解する純水を備えた記録用インクを開示している。
特公昭60−45669号公報 米国特許第6,176,908号明細書 特開平11−80632号公報 WO02/092707号 特開2003−113331号公報
しかしながら、被記録材上におけるインクの蛍光発色性、濃度に対しては、従来より、濃度消光と言う現象あり、即ち、インク中の蛍光色材を増やしていくと蛍光強度が低下してしまうため、高い蛍光強度と高い濃度を両立した満足いく記録画像はまだ提案されていない。
従って、本発明の目的は、高い蛍光強度を有し、且つ記録濃度も高い記録物で、印字品位に優れ記録物を提供でき、信頼性の高い記録画像形成方法を提供することである。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる一実施態様は、蛍光色材を含有する蛍光インクを用いてインクジェット記録方法により蛍光性画像を形成する蛍光画像形成方法において、前記蛍光色材の含有量が、濃度消光を生じない含有量であり、前記蛍光インクによって形成した蛍光画像に更に同じ蛍光インクを重ねることで、蛍光画像を形成し、前記重ねられた画像のドットの面積の重なりが50%以上であり、前記蛍光インクは、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、前記第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を包含する波長域にあることを特徴とする蛍光画像形成方法を提供する。
本発明によれば、蛍光特性低下させずに、印字濃度を向上させることが可能となり、更にインク中の蛍光色材を濃度消光発現以下の含有量にすることにより、蛍光強度と印字濃度を共に向上することが可能となった。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。先ず、本発明の画像形成方法により十分に蛍光強度、及び高い濃度の良好な記録物を得ることが可能となるメカニズムについて説明する。本発明者等は、高い蛍光強度の記録画像を得るために、多種多様なメカニズムを考え、多種多様な色材やインク組成について検討及び確認を行ってきた。その結果、従来では考えられてこなかった、蛍光インクを用いて、蛍光性画像を形成するインクジェット記録画像形成方法に於いて、ノズルより吐出された蛍光インクを重ねることで、蛍光画像を形成することを特徴とする蛍光画像形成方法を用いることにより、得られる記録物の高い蛍光強度及び高い濃度の記録画像を得る事ができるという新たな事実にたどりつき、本発明に至った。
即ち、蛍光性発色材を着色剤として含有した水性インクを、インクジェット記録を用いて、蛍光インクを重ね合わせることで蛍光画像を形成すると、従来では濃度消光を生じてしまう量の蛍光色材を、被記録材上に付与しても蛍光強度の低下が起きずに、高い濃度の記録画像を得る事が出来ることがわかった。加えて、上記の構成を有するインクを、ポリアセテート及びポリオレフィンからなる群より選択された化合物によって形成されているインク保持体及び/又はインク収容体に収容して保管した場合には、長期間の保存後においても、蛍光強度や濃度を含めた記録物の品位に対しても支障のない画像が得られ、しかも、インクジェット記録に用いた場合に、インクジェット記録特性に対して何らの問題もないことがわかった。
ここで、本発明によって得られる記録物が、安定した信頼性のある良好な画像となり、且つ、高い蛍光強度と高い記録濃度を両立した優れた画像形成を可能とするメカニズムを考える場合、記録物の蛍光強度を向上させる手段として、インク中で色材をいかに均一に良好な状態で溶解或いは分散させるかについて注目が集まるのが一般的である。言い換えれば、インク中における色材分子又は分散粒子の凝集をいかになくし、色材分子又は分散粒子を小さくすることができるか、如何に色材少なくすることが出来るかについて検討されてインクの設計がなされる。即ち、このように設計することで、被記録材上に記録されたインク中の色材分子又は分散粒子を凝集しにくくさせ、色材の蛍光強度を良好にしようとすることが試みられる。
一方、記録濃度を向上させるためには、被記録材上での色材付与量を如何に多くするか、言い換えれば、光吸収量を如何に多くするかについて検討され、インク設計がなされている。即ち、色材による光吸収量を増やすことにより濃度を向上させるため、インク中、及び被記録材上で色材凝集による弊害の生じないぎりぎりの色材使用量をインクに使用する。
以上より、高い蛍光強度を得るためのインク設計と高い記録濃度を得るためのインク設計は、相反する設計になってしまう。
これに対し、本発明者等は、被記録材上にインクが付与されて形成された記録物(印字物)について、被記録材上でのインクの状態、及び、世の中にある多種多様な記録物について再度検討し、考察を重ねた。その結果、先ず、蛍光インクを用いて被記録材上に蛍光記録物を形成する場合、記録物蛍光強度は、重ねた回数に伴い強くなることに注目した。更に、この現象は、被記録材に非接触型記録方法であるインクジェット記録で特に良好であり、を用いて、濃度消光が発現する蛍光色材含有量のインクを1パスで被記録剤に付与した場合と、蛍光色材の含有量を濃度消光の生じない含有量にしたインクを用いて、被記録材上に付与する色材の付与量を前記インクと同じになるようにインクを重ねて付与すると、記録物濃度も蛍光強度と同様に向上することを発見した。即ち、従来、提供することができなかった、蛍光強度と濃度の両立を、被記録材上に、濃度消光の生じない範囲内の色材を含んだインクを、被記録材に非接触型であるインクジェット記録を用いて、重ねて付与すると、記録物の濃度と蛍光強度を両立すると言う現象にたどり着き、本発明の記録方法に至った。
本発明者らは、下記の具体的なメカニズムによって、記録物の蛍光強度と濃度を共に格段に向上できたものと考えている。
本発明の記録方法は、蛍光インクを重ね合わせて記録画像を形成するものである。図14に、記録物濃度が高い場合の被記録材上に付与されたでインク、色材の状態を示す。色材は、単分子状態を保てず、凝集状態になっており、濃度は高いが、色材の凝集により蛍光強度が低下してしまう。これに対し、高い蛍光強度を示す記録物の状態を、図15に示す。色材は、凝集を形成していないが、色材の付与量が少ないため、濃度を高く保つことが出来ない。一方、本発明は、被記録材上の状態を図16に示す。図16は、濃度消光を生じない量の蛍光色材含有インクを3回重ねて記録画像を形成したものである。色材の凝集は生じず、又、被記録材への色材の付与量も高く、濃度を高く保つことが可能となる。図16に示したように、本発明に記録された蛍光記録画像は、被記録材上に付与された色材が十分に溶解或いは分散して一様な状態で安定に存在している。更に、被記録材に重ね付与されたインクが、層状になり、蛍光色材が凝集せずに、被記録材上に着弾して記録されることで、高い蛍光強度と共に、多くの色材を被記録材に付与させることにより、光の吸収量を増やすことで、濃度を向上させることが可能となる。本発明においては、2つのドットが重なった部分の面積が、ドットの50%以上であることが好ましい。この範囲であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。又、通常の1パスや多パスのプロセスでは、ドットの重なる面積がこの範囲になることはない。当然のことながら、重なる部分が多ければ多い程、本発明の効果を顕著に得ることができるが、本発明においては、印字スピード等を考慮して、ドットの重なる面積を50%以上の範囲で適宜設定することができる。
本発明者らの検討によれば、特に、図16に示すように、各インク滴を重ねる際、色材の凝集を防止するために、界面活性剤を用いて、気液界面を形成すると本発明の効果を更に良好に発現させることが出来る。本発明者らの検討によれば、特に、蛍光インク中に含まれる蛍光色材の含有量が、蛍光強度が低下する濃度消光を発現する含有量以下である場合、被記録材上に記録された蛍光記録物の蛍光強度が、インク組成の影響を受けず、高い蛍光強度の記録物を得る事が出来る。即ち、インク成分の蒸発、浸透等による影響を受け、インク組成によっては、蛍光強度が上下しにくくなり好ましい。更に、本発明の記録方法にでは、被記録材に対して間隙を介してインクが供給して記録を行う方式を用いる。これに対して、例えば、ボールペンのような、被記録材に接触させて加圧した状態でインクを供給して記録を行う方式の場合は、インクが被記録材内に押し込められてしまい、上記で述べた本発明のメカニズムが発現しにくくなる。
本発明で使用する界面活性剤としては、HLB値が、10以下であるものの方が好適である。10以下であると、被記録材上に付与されたインク滴の気液海面に界面活性剤が配向し、図16の様な界面が形成しやすくなるためである。
ノニオン性界面活性剤の中でも特に本発明に好適なものとしては、そのHLBが13以下のものが挙げられる。一般的に、HLBが13よりも大きくなると親水性が強くなり過ぎてしまい、画像を形成した場合に被記録材表面で図Cの様な界面形成が良好に形成しにくく、各インク滴の界面形成による高い蛍光強度と高い濃度の両立させる、という先に述べたメカニズムが発現されにくくなる。
本発明で使用するインク中の、上記に挙げたような界面活性剤の含有量としては、具体的には、インク全質量に対して0.5質量%以上、更には、1.0〜20質量%とすることが好ましい。0.5質量%より少ないと、先に述べたメカニズムの発現の効果が少なく、又、20質量%より多いと印字品位のバランス、例えば、濃度や定着性やヒゲ状の滲みであるフェザリングと定着性や濃度とのバランスが悪くなる傾向がある。
以上に挙げた要件を具備する界面活性剤の中でも、本発明で使用するものとして特に好ましいものとしては、下記の一般式(I)で示される化合物、及び下記(II)〜(VII)に列挙した化合物が挙げられる。
Figure 0004804360
[上記一般式(I)において、A及びBはそれぞれ独立に、C2n+1(nは1〜10の整数)を表し、X及びYは、それぞれ開環したエチレンオキサイドユニット及び/又は開環したプロピレンオキサイドユニットを表す。]
Figure 0004804360
これらの中でも、前記一般式(I)で示される化合物が好ましく、前記一般式(I)で示される化合物の中でも特に好ましいのは、下記の式(VIII)で示されるノニオン系界面活性剤である。
Figure 0004804360
本発明で使用するインクは、更に、インク中に蛍光特性を示す化合物が含有されて構成される。先に説明したメカニズムによる効果は、特に、インク中に蛍光性発色材や蛍光性色材を用いた場合に十分に発現される。更に、先に述べた理由により本発明で使用するインクは、液媒体に水を用いた水系にした場合に好ましい結果を示し易いため、本発明で使用する蛍光性発色材としては、水に溶解する水溶性のものや親水性のものを用いることが好ましい。
上記でいう水溶性或いは親水性の蛍光性発色材としては、例えば、化合物や色材自身が水に溶解するもの(例えば、蛍光増白剤、蛍光染料)、又は、蛍光性発色材の表面処理をすることで、本来は疎水性であるものを親水性とし、水にエマルジョン化させる等の方法で、あたかも水に溶解しているようにしたものも含まれる。但し、顔料分散のような、樹脂を分散剤として用いて色材を分散させる手法はあてはまらない。このタイプは、前記したメカニズムの効果を発現し難いだけでなく、インクの信頼性に対してもあまり好ましい選択とは言えないからである。以下、上記したような液媒体中での蛍光性を示す化合物及び蛍光色材の状態を、断りのない限り全て「溶解」と表現する。
本発明のインクの構成成分として使用する蛍光性を示す化合物や蛍光色材としては、その構造中に下記の原子団を含んでいるものが特に好ましい。
Figure 0004804360
構造中に上記したような原子団を含んでいる蛍光性発色材としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0004804360
Figure 0004804360
又、その他、蛍光性発色材としては、例えば、一般的に用いられている蛍光増白剤等を挙げることができる。
蛍光性発色材は、インク中での含有量が、ある値を超えると蛍光強度が低下してくるという性質がある(濃度消光という)。従って、上記に挙げたような蛍光性発色材のインクの含有量は、濃度消光を生じる含有量以下であることが好ましい。
一般には、インク全量に対して2.0質量%以下とすることが好ましく、更には、1.0質量%以下であることが好ましい。又、蛍光特性のみを最重要視する場合は、0.5質量%以下の含有量とすることが特に好ましい。
インクの安定性の面から、本発明で使用するインクは、更に、インク中に一価アルコールが併用されているものであることが好ましい。一価アルコールは、例えば、ガソリンの水抜き剤のように、水と油を混合する効果を有している。このことは、先に説明したメカニズムを発現させる際のインクの安定性の面から、一価アルコールがインクに併用されている形態が好ましいものであることを示している。
更に、一価アルコールは、被記録材上にインクを付与した場合に、蒸発や、被記録材中への浸透に対して良好な効果があるため、本発明の効果をより良好に発現させるものとして有効である。本発明で使用するインク中での一価アルコールの含有量としては、インク全質量に対して0.1〜20質量%、更には、0.5〜10質量%とすることが好ましい。本発明で使用するインク成分として使用することのできる一価アルコールの具体例としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール及びn−ブタノール等が挙げられる。
更に、本発明で使用するインクは、保水剤が併用されていてもよい。保水剤としては、尿素及び尿素誘導体から選択される化合物を用いることが好ましい。尿素及び尿素誘導体をインク中に含有させると、インクの安定性が良好になる。即ち、尿素及び尿素誘導体から選択される化合物を含有させることで、インクの安定性に対しても好ましい。
更に、例えば、被記録材が上質紙等であった場合、上質紙の水分保水性により本発明のメカニズムの効果を発現し易くなる。即ち、被記録材中の水分が保持されることにより、インク成分の被記録材内や大気へ放出される時間を遅くさせることで、本発明のメカニズムを良好にできると予測している。
上記において使用する尿素誘導体としては、環状化合物ではない化合物が好ましく、例えば、尿素のアルキル誘導体及び尿素のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物から選ばれた少なくとも1種、又は、上記誘導基の少なくとも2個で誘導された化合物から適宜に選択して用いることが好ましい。但し、インクを構成する各成分の量や種類によって適宜に選択して用いればよい。又、水溶性であるものを使用することが好ましい。上記使用量については特に制限されないが、一般的には、インクの全質量に対して0.1〜15質量%の範囲で含有させることが好適であり、更には0.1〜10質量%の範囲で含有させることが好適である。
本発明で使用するインクは、必要に応じて、更に、水溶性有機溶剤、前記した以外の界面活性剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー及びpH調整剤等の種々の添加剤を含有してもよい。本発明で使用するインクを調製する場合に用いる液媒体としては、先に述べたように水を用いることが好ましいが、更に、水と水溶性有機溶剤との混合物であることが好ましい。この際に使用する具体的な水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォキサイド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイミド等のイミド化合物等が挙げられる。このような化合物としては、特に、常温で液状であるグリコール化合物が好ましい。使用量については、特に限定されないが、一般的には、インク全質量に対して0.1〜15質量%の範囲が好適であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
上記したような水溶性有機溶剤の総含有量は、一般には、インクの全質量に対して質量基準で1%〜40%であることが好ましく、より好ましくは3%〜30%の範囲とする。又、インク中の水の含有量は、30〜95質量%の範囲で使用される。30質量%より少ないと色材の溶解性等が悪くなり、インクの粘度も高くなるため好ましくない。一方、水が95質量%より多いと蒸発成分が多過ぎて、十分な固着特性を満足することができない。
本発明で使用するインク中には、蛍光性発色材に加えて、調色のために、更に蛍光を示さない色材が含有されているものであってもよい。この際に使用する色材としては、水に溶解する色材の方がインクの安定性の面から好ましい(蛍光性発色材の場合と同様に、この場合も、色材を、例えば、エマルジョン化し、あたかも色材自身が溶解しているかのようにしたものも含む)。又、本発明で使用するインクによって形成した記録物の耐水性を考慮した場合、インクの安定性も考慮すると、被記録材に直接染着する色材(直接染料等)を用いることが好ましい。更には、その構造中にアゾ基を有しているものの方が良好である。又、蛍光を示さない色材としては、カルボキシル基又はその塩の基を有している構造の色材を用いることが好ましい。更に、色材の親水基としてカルボキシル基又はその塩の基のみを有する色材を用いることが好ましい。カルボキシル基は、スルホン基に比べて水との親和力が弱いため、本発明で使用するインクによって形成した記録物の耐水性を向上させることができる。
更に、本発明で使用するインク中における蛍光性を示さない色材の含有量は、先に説明した蛍光性発色材の含有量以下とすることが好ましい。又、蛍光性発色材は、濃度減光により多くをインク中に用いることはできない。このことにより、記録物を目視で判別したり、記録物が水に触れることによって蛍光がなくなってしまったような場合においても、記録状態が残り易く、記録内容までも完全に消失してしまうといったことを生じなくするためである。但し、蛍光性を示さない色材の選択をする場合には、蛍光性発色材による記録物における蛍光性の発現状態や、発色性とのバランスにより適宜に選択することが必要となる。
蛍光性を示さない色材としては、具体的には、例えば、ダイレクトブラック168、ダイレクトブラック154、直接性の強いジスアゾ色材、トリスアゾ色材、ダイレクトイエロー142、ダイレクトイエロー86、ダイレクトレッド227、ダイレクトレッド80等の二量体構造の色材、ダイレクトブルー199等の含金色材、及び、下記の遊離酸の形で一般式(A)〜(C)で示される色材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
遊離酸の形で下記一般式(A)で表わされる色材:
Figure 0004804360
[一般式(A)中、Pcは含金フタロシアニン核、R、R及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基又は置換アラルキル基を表す。Lは2価の有機連結基を表す。Xは、カルボニル基又は下記(2)〜(4)式で示される構造を表す。
Figure 0004804360
(上記(2)〜(4)式中の各Zはそれぞれ独立に、NR、SR又はORを表し、(3)式中のYは、水素原子、Cl、Z、SR又はORを表し、(4)式中のEは、Cl又はCNを表す。上記のR、R、R及びRは各々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基を表し、R及びRは窒素原子と共に5又は6員環を形成する場合がある。)
一般式(A)中のGは、1又は2個のCOSH又はCOOHで置換された無色有機残基を表し、t+qは3又は4とする。]
上記の一般式(A)で表される化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
遊離酸の形で下記一般式(B)で表わされる色材:
Figure 0004804360
[上記一般式(B)式中、Jは下記式を表す。
Figure 0004804360
一般式(B)式中のAr及びArは、各々独立に、アリール基又は置換アリール基であって、ArとAr2の少なくとも1つが独立にCOOHとCOSHから選ばれる置換基を1個以上有する。又、R1及びR2は各々独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基又は置換アルケニル基を表し、Lは2価の有機連結基を表し、nは0又は1を表す。Xは、カルボニル基、又は下記(2)、(3)又は(4)式で示される構造を表す。上記(2)〜(4)式中のZはそれぞれ独立に、NR、SR又はORを表し、(3)式中のYは、水素原子、Cl、Z、SR又はORを表し、(4)式中のEは、Cl又はCNを表す。上記のR、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基を表し、R又はRは窒素原子と共に5又は6員環を形成する場合もある。)一般式(B)で表される化合物は、少なくともSOHと同数のCOOH又はCOSHから選ばれた基を有する。]
一般式(B)で示される化合物として、具体的には、例えば、以下のようなものが挙げられる。
Figure 0004804360
Figure 0004804360
遊離酸の形で下記一般式(C)で表わされる色材:
Figure 0004804360
Figure 0004804360
(上記式(2)中、Rは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、CN、ウレイド基及びNHCORから選択される。該Rは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基及び置換アラルキル基から選択される。式(3)中の、Tはアルキル基を示し、Wは、水素原子、CN、CONR1011、ピリジウム基及びカルボキシル基から選択され、mは、炭素数2〜8のアルキレン鎖を示す。上記のR10及びR11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル及び置換アルキル基から選択される。式(4)中のBは、水素原子、アルキル基及びカルボキシル基から選択される。
一般式(C)中の、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル及び置換アルキル基から選択され、Lは、2価の有機結合基を示し、nは、0又は1を示し、Xは、カルボニル基又は下記一般式(5)、(6)又は(7)の構造を示す。
Figure 0004804360
上記一般式(C)で示される化合物として、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 0004804360
Figure 0004804360
Figure 0004804360
上記のような蛍光性を示さない色材の使用量については特に制限されないが、一般的には、インクの全質量に対して0.1〜15質量%の範囲で含有させることが好適で、より好適には0.1〜10質量%である。
本発明で使用するインクは、表面張力の値が40dyn/cm以下のものであることが好ましい。先に説明したメカニズムの発現のためには、例えば、液滴が記録後に広がりを有する方が効果を出すのは好ましいからである。又、本発明で使用するインクのpHは、インクの安定性の面から8以上であることが好ましい。
更に、本発明で使用するインクは、インク中に、アルカリ金属イオンとアンモニウムイオンとを併用することが好ましい。インクジェット記録に用いた場合、両者が併用されていると、インクの安定性及びインクの吐出性が良好になる。アルカリ金属イオンとしては、Li、Na及びK等を挙げることができる。本発明で使用するインクは、このようにして色材及び添加剤を除いたインク系で、ノニオン性に調整されたものであることが好ましい。本発明で使用するインクにおいては、インク中の蛍光性発色材が、インク中における最大蛍光強度を示す含有量以上含まれていることが、画像の蛍光強度を増す点で好ましい。この理由としては、推論ではあるが、被記録材に水系インクで記録した場合には、インクの滲み、浸透等によって見かけ上の色材濃度が下がるので、このように構成されたインクで被記録材に記録すれば、選択された被記録材に対して良好な発色が保たれるためではないかと考えている。
ここで、本発明に適用できる「複数の蛍光染料」について説明する。以下に説明する「複数の蛍光色材」は、基準励起波長に対して基準発光の蛍光波長(例えば、580nm〜620nm)領域の蛍光を示す第1の蛍光色材の蛍光強度を、他の蛍光色材(以下、第2色材と呼ぶ)との関係で所望の蛍光強度を格段に向上する技術である。
例えば、従来の技術の欄で挙げた蛍光染料AR52は、紫外光を吸収してしまう水系インク中でも十分な赤の領域の蛍光発光を示すが、記録画像では、紫外線励起による蛍光は弱い。この現象を追求したところ、AR52が赤の蛍光を発光するための励起波長が紫外域だけではなく、可視光領域にも多くあることと被記録媒体中における蛍光染料の定着状態に左右されていることが要因であると判定された。
従って、この赤を発光するための励起波長を如何に多く与えるか或いは記録画像としての染料定着状態を蛍光発光に対して有効にするための技術解析が行われた。又、前述したように第1の色材をAR52とした場合、単独の特性としては、AR52を0.01質量%以下含有するインクの水分を蒸発させたインクでも充分な蛍光強度を示すが、画像を形成する上で記録媒体としての紙や封筒の表面繊維に定着できずに紙内部に無駄に消費されることやインク中の第1、第2色材の量を増やすと逆に蛍光強度が低下する濃度消光といった問題も、夫々考慮すべき事項の1つである。他方、与えられるエネルギーは、基準励起波長に限られることも考慮すべき事項の1つである。他の解析は以下の説明から理解できよう。
依って、本複数蛍光色材は、蛍光強度を従来の技術水準よりも向上するために、少なくとも下記の課題の1つ(好ましくは、下記課題の複数)を解決するものである。本複数蛍光色材の第1課題は、基準励起波長の付与によって発生する、第2色材の蛍光発光と基準発光波長(以下、1波長又は波長幅の基準蛍光波長とする)を得るための第1色材の励起波長との相関に着目して、エネルギー効率を向上することで基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第2課題は、第1の色材が呈する吸収スペクトルと基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光とに着目してエネルギー高効率化を達成し、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第3課題は、蛍光染料同士の構造分析によって得られた知見(即ち、蛍光染料の会合を合理的に防止することで蛍光染料の添加量を増大できること)により、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第4課題は、前記第3課題に加えて、基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光と第1色材の基準発光蛍光波長を得るための励起波長特性に関与することに着目して、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第5課題は、複数蛍光色材を有するインク自体における特性として、より安定的に基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第6課題は、形成される画像からの分析によって得られた知見、即ち、画像が形成される記録媒体の種類、特性に大きく左右されずに、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。本複数蛍光色材の第7課題は、前記第1課題に加えて、第1の色材の励起特性と第2色材の吸収スペクトルの相関に着目して、エネルギー効率を向上することで基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。尚、本複数蛍光色材の更なる課題や目的は、以下の説明で明らかになろう。
上記課題を達成するための本複数蛍光色材には以下の各態様が含まれる。本複数蛍光色材のうち波長関係を総称すると、第1蛍光色材の基準発光波長(例えば、600nm)を得るための励起波長特性のピーク波長領域(後述の図2参照)及び/又は、上記第1蛍光色材の可視光の吸収スペクトル(後述の図6下側)を、第2の蛍光色材の蛍光発光波長域(後述の図3参照)が少なくとも包含することとしてまとめられる。
まず、少なくとも前記第1の課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第1態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことを特徴とするプリント用インクである。本複数蛍光色材における第1蛍光色材の蛍光発光の「基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域」とは、このエネルギー変換効率を考慮した実用的な意味を持つものである。即ち、上記第1蛍光色材の「基準蛍光波長を得るための励起波長のスペクトル」において、基準蛍光波長に隣接しているピークを持つスペクトルのうち強度が100以上の領域をピーク領域とし、この領域を与える波長をピーク波長領域とする。
前記基準励起波長は254nmで、前記ピーク波長領域は430nm以上600nm以下であり、前記第2蛍光色材の発光波長域は、前記基準蛍光波長としての600nmを含み、425nm以上600nm以下の発光波長範囲を有していることが好ましい。更に、上記第1の態様においては、前記第1蛍光色材が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、前記第2蛍光色材の蛍光発光の波長領域に、該吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域が含まれていることが好ましい。
少なくとも前記第2の課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第2態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を包含する波長域にあることを特徴とするプリント用インクである。
上記の第2の態様においては、前記第1蛍光色材の主たる吸収波長域が500nm以上590nm以下で、前記第2蛍光色材の主たる発光波長域は、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有していることが好ましい。一方、上記第1及び第2の態様における前記第2の蛍光色材は、蛍光発光団を複数有する構造の色材であることが好ましい。
少なくとも前記第3の課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第3態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光すると共に前記基準蛍光波長の発光強度を増強するための第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えていることを特徴とするプリント用インクである。この第3の態様においては、前記第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長を得るための励起波長域にあることが好ましい。
少なくとも前記第4課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第4態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えており、該第2蛍光色材の発光波長域が、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域の少なくとも一部と共通する波長域を有することを特徴とするプリント用インクである。上記第3及び第4の態様において、前記第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団は、夫々蛍光増白のための基本構造を備えていることが好ましく、更に、前記第2蛍光色材は、複数のスルホン基を有することが好ましい。
上記第1〜第4の態様において、前記第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団は、2量体であることが好ましい。一方、上記第1〜第4の態様において、前記第2蛍光色材が直接性染料であることが好ましい。
又、前記第3及び第4の態様のプリント用インクは、水系インクであって、前記プリント用水系インクの水分蒸発インク状態及び/又はプリント画像状態における、前記基準励起波長により蛍光発光するインクとしての発光スペクトルが、前記基準蛍光波長の発光を含む第1ピークと、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域にある第2ピークと、を呈するものであることが好ましい。
少なくとも前記第5課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第5態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材と、該基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材と、を含むプリント用水系インクであって、前記プリント用水系インクの水分蒸発インク状態及び/又はプリント画像状態における、前記基準励起波長により蛍光発光するインクとしての発光スペクトルが、前記基準蛍光波長の発光を含む第1ピークと、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域にある第2ピークと、を呈することを特徴とするプリント用インクである。上記第2の態様においては、前記第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えていることが好ましい。
少なくとも前記第6課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第6態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光染料を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光すると共に前記基準蛍光波長の発光強度を増強するための第2蛍光染料と、溶媒と、を含むプリント用インクであって、前記溶媒が、相対的に、前記第1蛍光染料に対して高溶解性であり前記第2蛍光染料に対して低溶解性である第1溶媒と、前記第2蛍光染料に対して高溶解性であり第1溶媒に対して相溶性がある第2溶媒と、を含むことを特徴とするプリント用インクである。
上記第6態様において、前記第1の蛍光染料と前記第2の蛍光染料がともにスルホン基を有することが好ましく、前記第2蛍光染料の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光染料の前記基準蛍光波長を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことが好ましい。上記第6態様において、更に、前記第2蛍光染料の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光染料の前記基準蛍光波長を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光染料の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を除いた波長域にあることが好ましい。一方、上記第6態様のプリント用インクは、水系インクであって、前記プリント用水系インクの水分蒸発インク状態及び/又はプリント画像状態における、前記基準励起波長により蛍光発光するインクとしての発光スペクトルが、前記基準蛍光波長の発光を含む第1ピークと、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域にある第2ピークと、を呈するものであることが好ましい。
少なくとも前記第7課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第7態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を含み、更に、前記第2蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域が前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域よりも低波長側にあることを特徴とするプリント用インクである。上記第7態様において、前記基準励起波長は254nmで、前記第1の蛍光色材のピーク波長領域は430nm以上600nm以下であり、前記第2蛍光色材の吸収波長域は、440nm以下にのみ有しているのが好ましい。
上記本複数蛍光色材の第1〜5、7態様に対して、前記プリント用インクが、相対的に、前記第1蛍光染料に対して高溶解性であり前記第2蛍光染料に対して低溶解性である第1溶媒と、前記第2蛍光染料に対して高溶解性であり第1溶媒に対して相溶性がある第2溶媒と、前記第2溶媒に対して相溶性が無く且つ前記第2蛍光染料を溶解する第3溶媒と、を有することが更に好ましい。この溶媒条件は、本複数蛍光色材の異なる蛍光色材における蛍光強度を一層向上できる。
上記の各プリント用インクをインクジェット記録に用いることにより、少なくとも蛍光強度において優れた記録画像を提供することができる。かかる効果を発揮する本複数蛍光色材のインクジェット記録方法は、インクを吐出口から吐出して記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが上記各態様のいずれかにかかるプリント用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法である。
本複数蛍光色材は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材との関係を前記各発明に定義するように規定するものである。
本複数蛍光色材にかかる現状でのベストなプリント用インク(後述する)は、記録画像として判定した場合、米国特許第6,176,908号明細書に記載されるPMU値(LM−2C Luminance Meter(”LM 2C”)で測定)を従来の蛍光インクによる記録画像よりも少なくとも2倍(上記のように溶媒を選択した本複数蛍光色材インクでは3倍)増大させることができた。
以下、図面を使用しながら説明するが、記録画像或いは印字物と説明しない場合は、作成したインクを水分蒸発させ、有機溶剤が色材を分散している蒸発インクにおける測定データである。本複数蛍光色材の各態様にかかるプリント用インクは、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材と、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材と、これらを溶解又は分散するための液媒体と、を含有するものである。
本複数蛍光色材の第1及び第2の蛍光色材としては、上記した各態様にかかる構成を満たすものが用いられ、染料、顔料いずれも問わないが、インクの記録媒体上でのにじみ率が大きく、より高い蛍光強度を満足させるためには染料が好ましい。具体的な染料としては、例えばC.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、17、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、11:1、14、C.I.アシッドイエロー73、184、250、C.I.アシッドレッド51、52、92、94、C.I.ダイレクトイエロー11、24、26、87、100、147、C.I.ダイレクトオレンジ26、29、29:1、46、C.I.ダイレクトレッド1、13、17、239、240、242、254等が挙げられる。
本複数蛍光色材における第1及び第2の蛍光色材の使用量は第1及び第2の蛍光色材の合計量として、インク全量を基準として、0.01質量%以上、15質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上10質量%以下が実用上好ましい。尚、蛍光色材にもよるが、0.01質量%以下では印字物としての蛍光強度が得られない場合があり、インクジェット方式で使用する場合は15質量%以上では吐出特性に影響を与える場合がある。実用的には、第1の色材が、0.01〜1質量%の範囲から選択することが好ましく、更に、技術的には、励起エネルギー効率を一層向上する意味から第2の蛍光色材が第1の蛍光色材よりも多くインクに含有されていることが好ましい。
又、上記に示した蛍光染料の中には、ある規定濃度以上になると蛍光が弱くなるといった現象を生じるものとして知られた蛍光染料が含まれており、そのような蛍光染料では、強い蛍光強度を発現させることのできる濃度領域がある。その場合には強い蛍光強度を発現させる濃度領域で使用することが好ましい。
蛍光強度を向上させるための手段として、第1及び第2の蛍光色材が以下の(態様1)〜(態様3)の各態様の少なくとも1つを有することが好ましく、この態様に見合った第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを上記に示した色材の中から任意に選択することができる。
本複数蛍光色材において、複数蛍光色材の組み合わせの最も好ましい例として、第1の蛍光色材がC.I.アシッドレッド52、第2の蛍光色材が先に説明した水溶性蛍光色材Aである組み合わせが挙げられる。測定用或いは、判定用に使用される基準発光波長を以下の説明では600nmとするが、この波長規定は、580nm以上620nm以下の範囲すべてでもよく、又、この範囲の任意の波長としても良い。
この第1蛍光色材であるAR52の254nmの基準励起波長による蛍光発光は、図1に示すように、550nmから始まり、ピークが600nmで、675nm近辺までの広範囲の蛍光発光領域を持つ。つまり、単体で、ここで定める基準発光波長の600nmを発光するが、上記580nm以上620nm以下の範囲すべてでも発光する。又、第1蛍光色材であるAR52の可視光の吸収スペクトルは、図6の下側グラフで示すように、460nmから始まり、ピークが565nmで、610nmまでである。
Figure 0004804360
この水溶性蛍光色材Aは、2量体で且つ蛍光発光団を複数有しているため、会合防止機能を備え、水溶性蛍光色材A自身も添加量の増加に対して蛍光強度を向上できるものである。又、水溶性蛍光色材Aは、スルホン基を有する水難溶解性(98質量%純水に対しての溶解性は2質量%未満である)の直接性染料で、有機溶剤に対しては良溶解性である。この水溶性蛍光色材Aの254nmの基準励起波長による蛍光発光は、図3に示すように、425nmから始まり、ピークが510nmで、650nm近辺までの広範囲の蛍光発光領域を持つ。従って、水溶性蛍光色材Aの添加量を増加するほど、この蛍光発光強度を向上することができ、上記第1蛍光色材への励起エネルギーを増大することができる。又、水溶性蛍光色材Aの可視光の吸収は、図5の下側グラフで示すように380nm(ピーク値)以上440nmまでで、紫外吸収も持つ。従って、水溶性蛍光色材Aの添加量をかなり増加しても化合物自体の蛍光発光特性及び上記上記第1蛍光色材に対する励起波長域の強度、更には上記第1蛍光色材自体の上記蛍光発光特性を低下することがない。
又、インク中に使用する溶剤は、上記第1蛍光色材を高溶解する純水と上記第2蛍光色材を高溶解する有機溶剤とを用いる事が良い。更に好ましくは、液溶媒として界面活性剤を含むことが好ましい。この溶媒関係によって、更に上記第1蛍光色材を単分子化した状態の定着画像を広く形成する特徴と上記第2蛍光色材と第1色材の分散定着状態を均一化する特徴とが十分に発揮され、インクの水分蒸発状態での254nmの励起による蛍光発光特性(図7のグラフ参照)よりも、記録画像におけるその蛍光発光特性(図8のグラフ参照)が、レベルアップすることができる。このように、水溶性蛍光色材Aは、本複数蛍光色材の各課題を数多く解決する構造や特性を有する好ましい具体例である。
以下、第1の蛍光色材がC.I.アシッドレッド52、第2の蛍光色材が上記水溶性蛍光色材Aである組み合わせを、基準励起波長(254nm)で得られる第1蛍光色材(AR52)の基準発光波長(ここでは、600nm)を測定基準として、本複数蛍光色材各態様を含めながら説明する。
[態様1]
態様1は、第1蛍光色材の基準発光波長(600nm)を得るための励起波長特性のピーク波長領域(図2参照)及び/又は、上記第1蛍光色材の可視光の吸収スペクトル(図6下側)を、第2蛍光色材の蛍光発光波長域が少なくとも包含することを特徴とする。この態様1は、蛍光発光波長領域、励起波長領域及び吸収波長領域の関係が、エネルギーの損失の補完や効率向上といった効果を得られるものである。その結果、優れた蛍光強度を得ることができる。
まず、上記第1蛍光色材としてのC.I.アシッドレッド52(AR52)を水溶液(グリセリン等の有機溶媒及び純水)に所定量(本例では溶液に対して0.3質量%)を溶解した後、60℃で水分を完全に蒸発させて得られるインク(以下、蒸発インクと呼ぶ)を作成した。この蒸発インクに対して測定器(日本分光株式会社製FP750)で、254nmで励起を行った場合、図1の蛍光発光を生じ、基準発光波長600nmを得るための励起波長をスペクトルとして表わすと、図2の通りである。
図2は、265nm近傍にピークを持つピーク領域と、360nm近傍にピークを持つピーク領域を紫外光領域の380nm以下の波長域に有し、可視光領域には1つのピーク領域があることを示している。
一般に判定用に用いられる紫外光励起の波長は、254nmか365nmが使用されていることから、エネルギー変換効率を検討したところ、次のことが得られた。即ち、この縦軸で示される励起強度が100で確実な効果が確認でき、判定に適する強度を有効に示すことが確認された。従って、本複数蛍光色材における第1蛍光色材の蛍光発光の「基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域」とは、このエネルギー変換効率を考慮した実用的な意味を持つものである。即ち、上記第1蛍光色材の「基準蛍光波長を得るための励起波長のスペクトル(図2)」において、基準蛍光波長に隣接しているピークを持つスペクトルのうち上記強度が100以上の領域をピーク領域とし、この領域を与える波長がピーク波長領域である。
従って、図2において、AR52の基準蛍光波長を600nmとした場合(基準励起波長:254nm)、このピーク波長領域は430nm以上600nm以下、好ましくは、475nm以上600nm以下となる。これに対して、図3に示すように、第2蛍光色材としての水溶性蛍光色材Aは、基準励起波長で励起を行った場合、上記ピーク波長領域の430nm以上600nm以下の波長範囲を含み、少なくとも450nmから600nmまでの広範囲の主たる蛍光発光領域を持つ。無論、上記強度を100とした場合も、上記水溶性蛍光色材Aは、その範囲も満足する蛍光発光を行うことが上記各図から理解できる。
図4は、上記第1蛍光色材の励起波長スペクトル(図2)と、第2蛍光色材の蛍光発光の波長スペクトル(図3)とを重ねているもので、水溶性蛍光色材Aの蛍光発光波長特性と、AR52の600nm発光を得るための励起波長との関係を示すグラフである。図4から理解できるように、水溶性蛍光色材Aの最大発光強度を示す波長(510nm)は、発光強度が800以上を示しており、図1のAR52の最大発光強度を示す波長(600nm)と比較しても、十分に優れたものである。よって、第1蛍光色材の上記ピーク波長領域を第2蛍光色材の発光領域が包含しているのでエネルギー変換を効率よく行うことができ、上記基準励起波長を与えるだけで上記基準蛍光波長の蛍光強度が相乗的に向上する。
次に、損失面として考慮すべき項目は、使用する色材の吸収スペクトルである。図5は、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトル(上側グラフ)と水溶性蛍光色材Aの吸光スペクトル(下側グラフ)を同一波長で上下に対比させたものである。ここで、吸収と励起は数値的な対比はできないが、相対的な関係を見ることができる。一般に、吸収スペクトルは、発光波長域の一部が共通するが、発光波長よりも低波長である。この水溶性蛍光色材Aの吸光スペクトルも、図3に示した蛍光発光波長域の一部が共通しており、440nm以下に吸収スペクトルを持つ。吸収スペクトルも、実用上効果を発揮する範囲は、ピーク近傍であるから、蛍光強度100以上のAR52の主たる励起波長域範囲(425nm以上600nm)に水溶性蛍光色材Aの最大吸収波長(380nm)近傍が存在しないこと、更には、主たる吸収スペクトルの波長域(425nm以下)が存在しないことが好ましい。いずれにしても、この吸収スペクトルは、上記ピーク波長領域に重なる範囲は無いため、上記エネルギー変換には直接影響しないものとなっている。
仮に、第1蛍光色材の励起波長域に相当する第2蛍光色材の発光がこの吸収スペクトルで吸収される割合が大きい場合は、蛍光強度の向上に損失があると判断できる。
上記水溶性蛍光色材Aの蛍光発光の波長域がAR52の基準発光波長を得るための有効な励起波長域にあり、水溶性蛍光色材Aから発生した発光が更にAR52の励起に利用され、水溶性蛍光色材Aの吸収スペクトルも効率を下げるものではないので、この第2蛍光色材からの蛍光発光が第1蛍光色材の新たな励起エネルギーとなり、蛍光性を向上することが可能となる。
又、図1及び図3の対比からわかるように、AR52の蛍光発光の波長領域と、水溶性蛍光色材Aの蛍光発光の波長領域とが少なくとも580nm以上620nm以下で重複しており、これによっても基準発光波長による判定に、より有効な関係となっている。
次に、第1蛍光色材が有する吸収スペクトルに対しての本複数蛍光色材の特徴について説明する。図6は、AR52が元々有する吸収スペクトル(下側グラフ)と水溶性蛍光色材Aの蛍光発光のスペクトル(上側グラフ)を同一の波長であわせこんだグラフである。上記水溶性蛍光色材Aの蛍光発光の波長領域に対して、このAR52の吸収スペクトルは、損失エネルギーとして考慮することが好ましい。AR52の吸収スペクトルは、600nm以下で、560nm近傍にピークを示し、460nmまでの可視光域に主たる吸収を有する。このAR52の吸収スペクトルの有効な範囲は、更に小さく、500nm以上590nm以下である。
図1で示したAR52の蛍光発光の範囲(550nm以上)及びそれらの強度を考慮すると、この吸収スペクトルは、500nm以上560nm以下の範囲で吸収効果を発揮しているものと判断される。この吸収スペクトルは可視光域であるため、従来では、AR52の蛍光発光における技術議論からはずされていた。しかしながら、本複数蛍光色材では異なる蛍光色材を複数用いるため、この吸収スペクトルは、上記2段階的な励起エネルギー変換には、考慮すべきポイントとなった。つまり、この吸収スペクトルを課題認識すると、この吸収スペクトルの範囲を除いた波長域であって、上記基準蛍光波長を得るための励起波長でもある波長域に、第2蛍光色材の蛍光発光があることが解決方法の1つとなる。
図6は、この関係を示すもので、上下のグラフから理解できるように、上記吸収スペクトルにほとんど影響されない430nm以上515nm以下の範囲で、上記蛍光発光が多く得られていることが理解できる。第2蛍光色材である水溶性蛍光色材Aの蛍光発光の波長領域は、AR52の吸収スペクトルのピーク(560nm)及び実質的な吸収領域(500nm以上590nm以下)よりも低波長側に、上記第2蛍光色材の蛍光発光領域(図6においてαで示す領域:430nm以上500nm未満)を含んでいる。この領域の光は、第1蛍光色材の励起エネルギーとして利用されるため、全体としての基準発光波長の蛍光強度が増強される。つまり、少なくとも、この領域αが第1の蛍光色材であるAR52の第2の励起波長域と重なっていることから、第1の蛍光色材であるAR52の蛍光強度向上に寄与するからである。
次に、比較例として、上記特許文献2にあるようにAR52に対して、C.I.アシッドイエロー73(AY73)を組み合わせた場合について図10乃至図13を用いて説明する。図において、紫外光を与える場合はその蒸発インクを用い、吸収は、通常インクで測定した。AY73は、図10に示すように、基準励起波長である254nmで励起を行った場合、略500〜600nmの波長域(ピーク:530nm)に蛍光発光を生じるものである。
図11は、図2で説明したAR52の励起波長スペクトルに対して、図10のAY73の蛍光発光グラフを重ねたものである。この図からわかるように、AY73の蛍光発光は、略500〜600nmの波長域(ピーク:530nm)に蛍光発光を生じるものの、505nmから590nmの範囲、更には510nmから575nmの範囲になるに従って、有効発光強度(強度100以上)の波長域が狭くなっている。前述したピーク領域の波長475nm以上600nm以下の範囲と比較すると、AY73の蛍光発光は、前記ピーク波長領域の範囲内に含まれてしまっている。従って、AY73は、AR52を十分に発光させるだけの蛍光発光をしていない。
図12は、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトルとAY73の吸光スペクトルを対比させたものである。AY73の吸光スペクトルは、525nm以下の可視光域全域にあって、490nmにピークを有する。本複数蛍光色材の複数蛍光例として上記水溶性蛍光色材AをAR52とAY73とを含めたインクを想定する場合、AY73の吸光スペクトルは、水溶性蛍光色材Aの上記効果を低減させる方向に作用する。従って、本複数蛍光色材の複数蛍光例としては、水溶性蛍光色材Aの添加量を所望分だけ増加(後述の[態様2]参照)して、AY73の吸光スペクトルによる損失分を補えば良い。尚、図12で示されるようにAR52の励起波長域(450nm以上600nm以下の範囲)にAY73の最大吸収波長(490nm)が存在している。
又、図13は、図6の下側グラフに示したAR52の吸収スペクトルと、AY73の蛍光スペクトルをあわせたものである。図13でわかるように、AY73の蛍光スペクトルは、AR52の吸収スペクトルの実質的な吸収領域(500nm以上590nm以下)に含まれており、この吸収領域よりも低波長側には発光波長を持っていない。依って、AR52及びAY73のみの組み合わせは、上述した本複数蛍光色材のいずれの構成を開示するものではないし、上記本複数蛍光色材の効果を与えるものでもない。
図7乃至図9に戻って、本複数蛍光色材をインク及び記録画像の観点から更に説明する。図7は、AR52と水溶性蛍光色材Aの両方と、純水及び有機溶媒を含む記録用インクを作成した後、前述した蒸発インクとして、上記FP―750により、254nmの基準励起波長で励起した測定結果を表示したものである。図8は、この記録用意インクを被記録媒体に記録した画像を上記FP―750により、254nmの基準励起波長で励起した測定結果を表示したものである。言い換えれば、図7は本複数蛍光色材の記録用インクの特性を蒸発インクで検証した結果を示すもので、図8は、本複数蛍光色材の記録用インクによる記録画像の特徴を示し、本複数蛍光色材の記録用インクの使用を記録画像から証明するものとなる。
図7及び図8は、共に同じインクを用いているので、相対的な比較において有効であるから、図7及び図8の対比を行うことで、本複数蛍光色材の効果を確認する。図7及び図8のいずれにおいても、グラフは、2つのピークを有し、その波長は、500nm近傍と、590nmである。前述した図1、図3からわかるように、水溶性蛍光色材Aが500nm近傍のピークを与え、AR52が590nmのピークを与えている。図7及び図8の対比から、理想的な溶解状態のAR52と水溶性蛍光色材Aを示す図7に対して、記録画像は、更に蛍光強度を増加し、特に、基準発光波長(600nm或いは、580nm以上620nm以下の全範囲)の蛍光強度を増加している。
これらから、上記各色材が記録画像内では基準励起波長を有効に利用して、第2蛍光色材である水溶性蛍光色材Aの発光及びこの発光による第1蛍光色材の発光が得られていることが証明される。一般に、蛍光色材が会合すると、ピーク波長が長波長側にシフトするが、図7及び図8の比較ではこのようなシフトがない。従って、上記本複数蛍光色材の会合防止作用や、その他の技術内容が結果として証明されたこととなる。図7は、本複数蛍光色材の記録用インクの特性を蒸発インクで検証した結果を示すもので、図8は、本複数蛍光色材の記録用インクによる記録画像の特徴を示し、本複数蛍光色材の記録用インクの使用を記録画像から証明するものとなる。
更に、AR52と水溶性蛍光色材Aの両方を含む蒸発インクは、図7に示すように2つのピークを有するものであるから、記録用インクにおいても水溶性蛍光色材Aが、AR52の特性をすべて補い、水溶性蛍光色材Aの蛍光発光が、基準発光波長を増強できるだけの特性を発揮することが明らかである。又、上記記録画像においても図8に示すように、2つのピークを有するものであるから、濃度消光が生じ難い蛍光インクを完成し、長期的に蛍光強度を増強しつづける耐久性があることも示している。
尚、本複数蛍光色材における蛍光発光の基準蛍光波長はインク及びそれにより形成される画像の用途によって選択できる。たとえば、AR52における蛍光発光波長(基準蛍光波長)を580、600及び620に変化させた場合のそれぞれの励起スペクトルは図9に示すようになる。そこで、本複数蛍光色材に従って各基準蛍光波長に隣接するピーク領域であるピーク波長領域をそれぞれ設定することができる。
前述したように、580nm以上620nm以下の全範囲を基準発光波長とする場合は、上記第2蛍光色材の基準励起波長による蛍光発光波長は、ほとんどの励起スペクトルのピーク波長領域を満足することが好ましい。ただし、この場合、従来よりも効果を発揮する効果水準からすると、この蛍光発光波長は効果の高いひとつの波長でも良いが、好ましくはより広い領域の波長(例えば、中心波長600nmの前後5nm、或いは10nmの範囲)、即ち、励起スペクトルのうち基準蛍光発光が得やすい波長である。例えば、AR52の場合、図9からわかるように、580nm、620nmの励起スペクトルよりも、前述した600nmの励起スペクトルだけのピーク波長領域を満足することのほうが効率的である。上記態様1における効果は、上記第2蛍光色材の添加量が増大できるものであれば、当然その効果は強化できる。
[態様2]
態様2は、従来では認定できていない第2蛍光色材の構造における特徴要件によって、第2蛍光色材の添加量が増加できるインクに関する。つまり、態様1で挙げた波長関係の条件が緩和(励起スペクトルに対して少なくとも一部が共通する波長域を与えていれば良い)され、この励起波長と発光波長と子エネルギー関係を第2蛍光色材の添加量によって、改善できるものでもある。具体的には、色材の会合防止機能を有する基本構造により、第1色材の会合を防止しつつ、第2蛍光色材の添加量を増加できることで、基準発光波長の強度を増強し得るものである。第1及び第2の蛍光色材の少なくとも一方、好ましくは第2の蛍光色材に下記に記載の原子あるいは原子団、下記に記載の蛍光発光団の基本構造を含んでいる第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを用いることで第1の蛍光色材における第1の励起波長での蛍光発光の強度を向上させることができる。
特に、色材構造中に、該蛍光発光団を複数有しているものが好ましい。
即ち、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の蛍光色材に比べ、構造的に大きくなり、更に立体性も強くなるため、従来の蛍光色材の様な規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、インク中の蛍光色材の含有量を従来の色材に比べ多くしても、蛍光強度を低下させにくい。又、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、色材1分子中に蛍光発光団を複数有することにより、単位分子当たりの蛍光発光が強くなるため、蛍光発光強度を強くすることが出来る。又、先に述べたように、従来の蛍光色材比べ、構造的に大きくなり、立体性も強くなることで、被記録材構成成分に対し色材が吸着しやすくなり、耐水性が良好になる。又、この蛍光色材に直接性を有していると耐水性が向上でき、蛍光発光の耐久性にも貢献できる。又、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の色材に比べ、規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、例えば、インク中の水分が蒸発しても、色材の凝集が規則性をもちにくくなるため、強固な凝集状態が出来にくくなるため、耐固着性が良好になる。このメカニズムにより、本複数蛍光色材のインクは、蛍光強度、耐水性が良好で、又、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材が、親水基として、水との親和性の強いスルホン酸を用いていると、本複数蛍光色材の効果が更に向上する。
又、好ましい蛍光発光団であって、上記要件を満足し、更に機能的に有効なものとして、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体を挙げることができる。これは、前述した水溶性蛍光色材Aの構造にも含まれている。
従来のような蛍光色材の場合は、インク中でのその濃度を高めても、蛍光強度が増加せずに、逆に蛍光強度が下がるものがある。このような蛍光色材を用いる場合には、適用できる濃度(インク中での含有量)の幅が狭くなったり、蛍光強度を高めるには限界が生じる。これに対して、本複数蛍光色材にかかる第1及び第2の蛍光色材であって、可視光に有色発光をもたらすものの組み合わせでは、蛍光色材の含有量を増加させた場合に、その増加率に応じて蛍光強度を更に高めることが可能となる。
このような本複数蛍光色材蛍光色材に適用できる、蛍光増白機能を発揮できる原子団及び基を備えた蛍光発光団としては、前述したものを挙げることができる。ここで、本複数蛍光色材の蛍光色材は、吸光波長域は、可視光域でも可視光域以外でも良いが、前述した励起波長域を与える蛍光発光を行うものであるので、可視光領域に蛍光発光する色材であることが重要である。上記の構造式に示されるとおり、水溶性蛍光色材Aは、蛍光発光団を複数有するとともに、複数のスルホン基を有する2量体としての構造を有する。
このように蛍光発光団を蛍光色材が含むことで第1蛍光色材の基準励起波長での励起により得られる蛍光強度が増加する理由としては、第1蛍光色材の基準励起波長域での蛍光発光が良好になるからである。特に、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体は蛍光発光領域が広く、好ましい。
[態様3]
態様3は、態様1、2夫々に有効であり、単独でも有効なもので、第1の色材に対して高溶解性であり、第2の色材に対して低溶解性である第1の溶媒と、第2の色材に対して高溶解性である第2の溶媒と、の混合溶媒等の溶媒による蛍光色材の記録時の適正配置化による蛍光強度向上技術である。染料には、染料分子がエネルギー的に安定である状態を保持しようとして、会合という化学現象をおこすものがある。この会合の現象は2つ以下の環状骨格を有する平面に近い構造の染料分子では、2つの分子が向かい合った状態となり、その分子間でのみエネルギーの補充と損失が行われるため、蛍光染料の場合はその蛍光性を阻害する要因となり得ると考えられる。この状態はインク中だけでなく、紙面上に印字されても維持されるため、会合を防止する手段を講ずることが必要となる。一般的には、会合を起さないようにするために会合防止剤として尿素やナフタレンスルホン酸などを添加することは知られている。しかしながら、それ自身も蛍光性を有して第1の蛍光色材の蛍光強度を増強でき、かつそれ自身が会合防止作用を有するものであれば、蛍光強度の増強と会合防止による蛍光の効率良い発生の両方の効果を得ることが可能となる。
そこで、同一励起波長の励起光を照射した際に、第1の蛍光色材の蛍光強度を増加させることのできる第2の蛍光色材を組み合わせる際に、インクの溶媒として、第1色材に対して高溶解性であり、第2色材に対して低溶解性である第1の溶媒と、第2色材に対して高溶解性である第2の溶媒と、の混合溶媒を用いる。
尚、高溶解性とは目安として3質量%以上の濃度で色材を溶解させることのできるものであり、低溶解性とは目安として3質量%未満の濃度でしか色材を溶解させることができないものである。
例えば、第1の溶媒として水を、第2の溶媒としてグリセリンを選択した場合、水はAR52に対しては高溶解性であり、水溶性蛍光色材Aに対しては低溶解性であり、又、グリセリンは水溶性蛍光色材Aに対して高溶解性である。そこで、水とグリセリンを含む溶媒にAR52及び水溶性蛍光色材Aを含有させたインクを調製すると、インク中では、水溶性蛍光色材Aは、貧溶媒過多な環境下であるため、弱い会合状態で溶解し、AR52と共に安定な系を形成している。しかし、該インクが記録媒体に付与されると、貧溶媒である水がすばやく浸透拡散する。これに対し、グリセリンは、自身の粘度が高いことも含め、記録媒体において、浸透拡散がゆっくり生じる。このとき、水溶性蛍光色材Aは、貧溶媒である水ではなく、良溶媒であるグリセリンに溶解するため、記録媒体での拡散浸透もグリセリンに伴ってゆっくり生じる。更に、水溶性蛍光色材Aは、グリセリンが良溶媒であるため、記録媒体の構成成分に対し、単分子状に吸着するため、良好な蛍光発光を生じる。更に、水溶性蛍光色材Aは単分子状に溶解しているため、AR52の会合を阻害する結果も生じる。言い換えれば、水溶性蛍光色材A及びAR52の分子が適度に互いに混合分散した状態で記録媒体に定着され、AR52の蛍光強度を水溶性蛍光色材Aにより増強する効果がより顕著に表れるものと考えられる。この場合、第1の蛍光色材と第2の蛍光色材はともにスルホン基を複数もつものであることが好ましい。
又、上記現象を好ましく発現させるためには、使用される蛍光色材の含有量は、使用される貧溶媒に溶解する含有量以下であるのが好ましい。
一方、会合が起きにくい状態を蛍光色材の分子構造の面から見ると、3つ以上の環状骨格を有する構造を有する蛍光色材が第一もしくは第二の色材の少なくとも一方にあれば、第一の色材と第二の色材の分子が重ならないが、近傍にいる状態となり、先に説明したエネルギーの授受を行いやすくなるため、更に蛍光性を増大させることが可能となる。
このように、本複数蛍光色材で用いられる第2の蛍光色材としては、複数の蛍光発光団を有するものが好ましく、又、蛍光増白のための基本構造を有していることが更に好ましい。更に、第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団は2量体であることが好ましい。
第2の蛍光色素の有する環状骨格の例としては、二重結合又は共役二重結合を含んだ環状構造、芳香環構造、シクロ環状構造、又は複素環状構造を有する環状骨格等で、前述したとおりである。
更に第1の蛍光色材と第2の蛍光色材が水に可溶な色材の場合、会合を阻害しやすくするために、これら二つの蛍光色材の水可溶化基が同一であるのが好ましく、この可溶化基は、更にはインクのpHによる溶解性の影響を受けないスルホン基であるのが好ましい。本複数蛍光色材においては、調色等のために、第3以降の色材として、上記二つの蛍光色材の他に、蛍光色材及び蛍光を有さない色材を含有してもよい。
次に、上記で説明した染料と共に本複数蛍光色材の蛍光インクを構成する水性液媒体について説明する。本複数蛍光色材で使用する水性液媒体としては、水を主成分とすることが好ましく、又、インク中の水の含有量はインク全質量に対して、10〜95質量%、好ましくは25〜93質量%、より好ましくは40〜90質量%の範囲とすることが望ましい。本複数蛍光色材で使用する水としては、イオン交換水が好ましく用いられる。又、本複数蛍光色材のインクにおいては、水性液媒体として、水を単独で用いてもよいが、水に水溶性有機溶剤を併用させることによって、本複数蛍光色材の効果をより顕著にすることもできる。
本複数蛍光色材で使用できる水溶性有機溶剤としては、前述してある水溶性有機溶剤がしようできるので、ここでは省略する。この水溶性有機溶剤のインク中含有量は、一般的には、インクの全質量に対して合計して50質量%以下、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%の範囲とすることが望ましい。これらの溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオールを用いることが好ましい。又、本複数蛍光色材のインク中に、溶剤と同じような保湿剤として、尿素やエチレン尿素、トリメチロールプロパンを含有させることも好ましい。特に、エチレン尿素、トリメチロールプロパンは本複数蛍光色材に非常に適したものである。これらの含有量は、インク全質量に対し1質量%以上であることが好ましく、又、20質量%以下であることが好ましい。
以上のようにして構成される本複数蛍光色材の蛍光インクは、インクジェット記録で用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させて液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出するインクジェット記録方法があり、それらのインクジェット記録方法に本複数蛍光色材の蛍光インクは特に好適である。
次に、複数蛍光例及び参考例を挙げて、本複数蛍光色材を更に具体的に説明する。尚、吸収波長領域、最大吸収波長、及び蛍光波長領域は色材の純水希釈液での測定値を使用した。吸収波長は吸光度計を用いて、吸光度が0.5〜0.7の範囲になるように希釈液を作製したとき、色材の吸収ピークとしてベースラインより高い領域を吸収波長領域とし、ピーク値を最大吸収波長とした。又、蛍光波長は吸光度で使用した希釈液を用いて、蛍光強度が測定限界値を超えないように測定条件を設定し、第一及び第二の色材の励起波長を固定して測定した。蛍光発光波長領域は、ベースラインより高い領域とした。
以下の複数蛍光例におけるインクは先に記載した第1〜第6の態様にかかるプリント用インクのいずれかの構成を満たすものである。
<複数蛍光例1>
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することによりインクを調製した。
C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材):0.25質量部
水溶性蛍光色材A(第2の蛍光色材):1質量部
グリセリン:7.5質量部
ジエチレングリコール:5質量部
尿素:5質量部
アセチレノールE100(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物):1質量部
水:80.25質量部。
第1及び第2の蛍光色材の蛍光発光スペクトル及び励起スペクトルは、蛍光測定機FP−750(商品名;日本分光製)を用いて測定を行った。測定サンプルは水による影響を排除するため、水分を蒸発させたインクを用いた。
第1及び第2の色材の吸収波長領域は、吸光度計U−3200(商品名;日立製)を用いて、染料が100000倍希釈になるように純水で希釈して測定を行った。第1の色材の吸収波長領域は450〜620nmで、最大吸収波長は565nmであった。又、第2の色材の吸収波長領域は、300〜450nmで、最大吸収波長は372nmであった。
<参考例1>
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することによりインクを調製した。
C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材):0.25質量部
グリセリン:7.5質量部
ジエチレングリコール:5質量部
尿素:5質量部
アセチレノールE100(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付
加物):1質量部
水:81.25質量部
<評価>
(1)蛍光強度
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、日本分光(株)社製の蛍光光度計(FP−750)を用いて下記の条件のもと蛍光強度を測定した。その結果を下記の基準に従って評価し、表1に示した。測定の際の条件は、励起波長を254nmとし、最大蛍光波長での蛍光強度を測定し、得られた測定蛍光強度値を、参考例1のインクの蛍光強度値を100として標準化し、下記の基準で評価した。
◎:測定蛍光強度値が150以上である。
○:測定蛍光強度値が110以上150未満である。
△:測定蛍光強度値が110未満である。
(2)発色性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、印字記録物の濃度測定装置として、マクベスRD−918を用いて測定を行った。
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な0.7以上であった
○:印字物として目視で判読可能な0.5以上0.7未満であった。
△:印字物として目視で判読しずらくなる0.3以上0.5未満であった。
×:印字物として目視で判読不可能な0.3未満であった。
(3)堅牢性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、24時間放置後、水道水に5分間浸漬し、印字濃度の変化をマクベスRD918を用いて、下記基準で評価した。
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な濃度変化が50%未満であった。
○:印字物として目視で判読可能な50%以上70%未満であった。
△:印字物として目視で判読不可能な70%以上であった。
Figure 0004804360
複数蛍光例2〜6及び参考例2、3は、表2に示す組成に従って各インクを調製した。又、複数蛍光例4の第1と第2の色材の組み合わせによる蛍光、励起、吸収の関係、複数蛍光例5の第1と第2の色材の組み合わせによる蛍光、励起、吸収の関係、参考例3の第1と第2の色材の組み合わせによる蛍光、励起、吸収の関係の説明は、省略するが、前述した図1乃至図13内における本複数蛍光色材の技術説明や参考例の説明から理解できよう。尚、上記参考例は、従来にある色材の組み合わせを用いているが、溶剤条件を本複数蛍光色材の溶剤条件と合わせているために、参考例としている。
Figure 0004804360
上記各インクに対して254nmの励起波長を照射して、蛍光発光のスペクトルを求めたところ複数蛍光例2〜4のインクにおいては図7及び図8で詳細に説明したように、図7、8及びその比較からわかるように2つの蛍光強度の強いピーク等の効果が認められたが、参考例1〜3のインクではこのような図7及び8の関係は見られなかった。
更に複数蛍光例1、参考例1と同様の方法で蛍光強度等についても評価を行ったところ、以下の表3のように大きな差が見られた。
また、上記複数蛍光例1から6、及び参考例1から3の各インクを市販のインクジェット記録装置としてBJS600(商品名:キヤノン(株)製)を用いて、市販の上質紙上に、実質的にドット上にドットが重なるようにパス数を増やして印字したところ、パス数を重ねると蛍光強度及び印字濃度が向上することを確認できた。
更に、上記複数蛍光例6のインクを、溶剤組成は同じで、蛍光色材としてAR52を0.25重量%用いた複数蛍光例6−1のインクと、溶剤組成は同じで、蛍光色材として蛍光色材Aを1.0重量%用いた複数蛍光例6−2のインクとを作製し、得られた複数蛍光例6−1のインクと複数蛍光例6−2のインクとを、市販のインクジェット記録装置としてBJS600(商品名:キヤノン(株)製)を用いて、市販の上質紙上に、実質的にドット上にドットが50%以上重なるようにパス数を増やして印字したところ、パス数を重ねると蛍光強度及び印字濃度が向上することを確認できた。
この理由としては、被記録材上でインクが相状を形成する事で、第1の色材が発光するための励起光を発光する第2の色材と第2の色材の発光を励起光として受け取る第1の色材の関係において、被記録材上の広い範囲に拡散的に発光する第2の色材の発光を、第1の色材が効率的に受容できる事で、第2の色材と第1の色材間の光エネルギーの供与・受容の効率が向上するためと予想している。
Figure 0004804360
以上説明したように、本複数蛍光色材によれば、従来技術では達成しえない高い蛍光強度及び、高発色と高堅牢性を持つ蛍光インク、この蛍光インクを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明にかかる記録方法では、以上で説明したような構成成分からなるインクを、ポリアセテート及びポリオレフィンからなる群より選択された化合物により形成されているインク収容体、或いは、ポリアセテート及びポリオレフィンからなる群より選択される化合物によって構成されたインク保持体を有しているインク収容体に収め、かかるインク収容体に収容されているインクを被記録材に対して間隙を介して供給させる。特に、ポリオレフィンの中でもポリプロピレンで形成されたインク保持体や、縮合化合物で構成されたインク保持体を用いることが好ましい。更には、これらの材料からなるインク保持体は、多孔質であるもの、多層構造を有しているもの、或いは繊維集合体からなるものが好ましい。即ち、ポリアセテート及びポリオレフィンからなる群から選ばれる化合物は、pHによる影響や、水及び有機溶剤等に対しての安定性が高い。本発明者らの検討によれば、本発明で使用するインクの優れた特性が、これらの材料からなるインク保持体及び/又はインク収容体に長期間に渡って収納した場合にも損なわれることがないので、これらを組み合わせて使用することによって、画像形成において、安定して高い信頼性を保持することが可能となる。
先に述べたように、本発明で使用するインクは、通常の文具用のインクとしても用いることができるが、被記録材に対して間隙を介して供給される記録方法に適用した場合に優れた効果が得られる。更に、記録信号に応じてオリフィスよりインク滴を吐出させて被記録材に記録を行って記録物を得るインクジェット記録方法に用いられると、特に優れた効果を発揮する。即ち、インクジェット記録は、ボールペン等の文具のような被記録材に接触させて筆圧で被記録材に記録する方式とは異なり、飛翔させたインク滴を被記録材表面に着弾させ、インク滴自身の浸透、広がりで記録を行うものであるため、インク滴の界面状態を、先に述べたメカニズムによって色材の蛍光強度を含む良好な記録の発現に大きな影響を及ぼすものとできるため、結果として画像品位の高い記録物が得られる。
本発明に使用されるインクジェット記録方式としては、インクに力学的エネルギーを作用させて液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出するインクジェット記録方法があるが、本発明では、特に、熱エネルギーによるインクの発泡現象によりインクを吐出させるタイプのインクジェット記録方式を適用するのがよく、吐出が極めて安定となり、サテライトドットの発生等が生じないという特徴がある。但し、この場合には、熱的な物性値(例えば、比熱、熱膨張係数、熱伝導率等)を調整する場合もある。
更に、本発明で使用するインクは、インクジェット用ヘッドに対するマッチングを良好にする面から、インク自体の物性として、特に、25℃における表面張力が30〜40dyne/cm、粘度が15cP以下、好ましくは10cP以下、より好ましくは5cP以下に調整されることが望ましい。従って、上記物性にインクを調整し、普通紙における問題を解決するためには、本発明で使用するインク中に含有される水分量としては50質量%以上98質量%以下、好ましくは60質量%以上95質量%以下とするのが好適である。
本発明で使用するインクを用いて記録を行うのに好適なインクジェット記録装置としては、記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させる装置が挙げられる。
本発明に好適に使用できる、上記したような吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様として、例えば特許第2783647号公報に記載のように、いわゆるエッジシュータータイプが挙げられる。本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッドや記録装置において、優れた効果をもたらすものである。その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて膜沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長及び収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書及び同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
本発明で使用するインクジェット記録装置を構成する記録ヘッドの構成としては、上記に挙げた各明細書に開示されているような吐出口、液路及び電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書を用いた構成のものを使用することも好ましい。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
更に、記録装置が記録できる最大範囲の被記録材の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成の何れでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
又、本発明で使用するインクジェット記録装置の構成に設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
更に、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、又は混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
以上の説明においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、若しくは液体であるもの、或いは上述のインクジェット方式においては、インク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであれば何れのものでもよい。
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、又はインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、何れにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報或いは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても良い。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
更に加えて、本発明で使用するインクジェット記録装置の形態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体、又は別体に設けられるものの他、リーダと組み合わせた複写装置、更には送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
(実施例)
次に、本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、「部」及び「%」とあるものは、特に断りない限り質量基準である。
使用するインク組成として、下記に示す各成分を混合し、十分に撹拌して溶解及び/又は分散させた後、ポアサイズ0.1μmのフロロポアフィルター(商品名:住友電工(株)製)にて加圧濾過し、各インクをそれぞれ調製し、インク1、インク2、インク3、インク5を実施例のインクとし、インク4を参考例のインクとした。また、ここで、被記録材上に印字された蛍光画像の濃度消光を生じさせるためのインク中の各蛍光色材含有量は、C.I.Acid Red 52の場合は、0.3質量%以上で濃度消光し、C.I.Acid Red 92は、2.0質量%以上で濃度消光し、化合物(A)は、2.0質量%を超えると濃度消光する。
<インク1>
C.I.Acid Red 52(蛍光色材) 0.05%
C.I.Acid Red 92 0.6%
トリエチレングリコール 7%
尿素 7%
サーフィノール465(商品名;エアープロダクト製) 1%
純水 83.9%
<インク2>
C.I.Acid Red 52(蛍光色材) 0.2%
グリセリン 7%
トリエチレングリコール 8%
IPA 4%
純水 80.8%
<インク3>
C.I.Acid Red 52 0.1%
IJX266(9.8wt%水溶液、非蛍光色材、商品名:キヤボット社製) 10.2%
トリエチレングリコール 10%
エチレングリコール 10%
純水 78.9%
<インク4>
C.I.Acid Red 52(蛍光色材) 0.5%
C.I.Acid Red 92(蛍光色材) 1.2%
トリエチレングリコール 7%
尿素 7%
サーフィノール465(商品名;エアープロダクト製) 1%
純水 83.4%
<インク5>
C.I.Acid Red 52(蛍光色材) 0.05%
C.I.Acid Red 92(蛍光色材) 0.6%
一般式(A)の蛍光色材(蛍光色材) 2.0%
IJX266(9.8wt%水溶液、非蛍光色材、商品名:キヤボット社製) 10.2%
グリセリン 7%
トリエチレングリコール 7%
サーフィノール465(商品名;エアープロダクト製) 1%
純水 72.15%
上記各インク組成に於いて、インク1〜インク4の蛍光強度を、市販の蛍光測定装置FR−750(商品名;日本分光製)で測定したところ、インク1〜インク3のインクは、濃度消光を発現する蛍光色材の含有量以下であり、インク4の蛍光色材は、濃度消光発現の蛍光色材含有量より多かった。
上記各インクを用いて、インクジェット記録装置として、BJS600(商品名;キヤノン製)を用いて、各インクを用いて、50%Dutyのベタ画像をドットの少なくとも一部が重なるようにパス数を増やして重ね印字し、蛍光強度、及び印字濃度を測定した。本実施例では、ドットの位置が同じになるように印字したので、若干の誤差が生じたとしても、任意の2つのドットが重なった部分の面積は、ドットの50〜100%を占めている。
又、蛍光強度、及び印字濃度測定結果は、1パスでの値を基準とした場合の変化倍数で示す。又、蛍光強度は、市販の蛍光測定装置FR−750(商品名;日本分光製)を用い、励起波長254nmのときの発光波長600nmでの強度を測定した。又、印字濃度は、市販のマクベスRD915(商品名;マクベス製)を用いて測定した。
Figure 0004804360
Figure 0004804360
以上からわかるように、本発明によれば、蛍光特性低下させずに、印字濃度を向上させことが可能となり、更にインク中の蛍光色材を濃度消光発現未満の含有量にすることにより、蛍光強度と印字濃度を共に向上することが可能となった。尚、濃度消光が発現する色材濃度以上のインクと、このインクの色材濃度を実質的に下げる色材濃度のインクとの混合液体の色材濃度が、結果的に濃度消光を発現する濃度未満になる場合も、本発明の効果を得ることが可能である。
更に、上記列挙した2種の異なる蛍光色材を用いたインクを用いれば更にその効果を向上できることは例示するまでもなく明らかであり、この際も濃度消光しない範囲の濃度のインクであっても十分な傾向強度と画像濃度を確保できる。
この出願は2004年11月2日に出願された日本国特許出願番号第2004−319314号の優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。
C.I.アシッドレッド52の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。 C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルを示す図である。 化合物(A)の励起波長254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。 は、C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルと化合物(A)の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。 C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルと化合物(A)の吸収スペクトルの対比を示す図である。 化合物(A)の254nmの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。 C.I.アシッドレッド52と化合物(A)の混合インクでの蛍光スペクトルを示す図である。 C.I.アシッドレッド52と化合物(A)の混合インクでの印字物における蛍光スペクトルを示す図である。 C.I.アシッドレッド52の580、600及び620nmにおける励起スペクトルを示す図である。 C.I.アシッドイエロー73の励起波長254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。 C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。 C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の吸収スペクトルの対比を示す図である。 C.I.アシッドイエロー73の254nmの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。 本発明に対する従来印字方式の説明図である。 本発明に対する従来印字方式の説明図である。 本発明の概念を説明するための説明図である。

Claims (5)

  1. 蛍光色材を含有する蛍光インクを用いてインクジェット記録方法により蛍光性画像を形成する蛍光画像形成方法において、
    前記蛍光色材の含有量が、濃度消光を生じない含有量であり、
    前記蛍光インクによって形成した蛍光画像に更に同じ蛍光インクを重ねることで、蛍光画像を形成し、
    前記重ねられた画像のドットの面積の重なりが50%以上であり、
    前記蛍光インクは、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定又は判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、前記第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を包含する波長域にあ
    ことを特徴とする蛍光画像形成方法。
  2. 前記蛍光インクは、界面活性剤を含んでいる請求項1に記載の蛍光画像形成方法。
  3. 前記第1蛍光色材の主たる吸収波長域が500nm以上590nm以下で、前記第2蛍光色材の主たる発光波長域は、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有している請求項1又は2に記載の蛍光画像形成方法。
  4. 前記第2蛍光色材は、蛍光発光団を複数有する構造の色材である請求項1乃至のいずれか一項に記載の蛍光画像形成方法。
  5. 前記請求項1乃至に記載のいずれか一項に記載の蛍光画像形成方法によって形成された前記蛍光インクの複数層構成である記録画像。
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