JP4803802B2 - 質量測定装置 - Google Patents

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本発明は、質量測定装置に関するものである。
特許文献1には、水晶振動子の共振周波数の変化から、振動子上の微量の質量変化を測定する水晶振動子マイクロバランス装置が開示されている。特許文献2、3には、水晶振動子の表面に電極および有機吸着膜を設け、振動子に振動を励起し、におい分子が有機吸着膜に吸着されたことによる振動子の周波数変化からにおい分子の質量を測定することが記載されている。
特許第3003811号公報 特開平5−346384号公報 特許第3139562号公報
前記の従来技術においては、いわゆるATカット水晶振動子の厚みすべり振動を使用している。例えば略円板形状の水晶振動子の表面に各電極を形成し、厚みすべり振動を水晶振動子内に発生させる。この振動においては、質量変化と周波数変化との間には以下の関係がある。Δf(基本周波数の変化)を測定することにより、Δm(質量変化)を算出することができる。
Δf=−2Δmf/A(μρ)1/2
Δf: 基本周波数の変化
f: 基本周波数
Δm: 質量変化
A: 電極面積
μ: 水晶のねじれ弾性率=1011dyn/cm
ρ: 水晶の密度=2.65g/cm
通常考えられる振動子設計において、上の式から、Δm=1pgとすると、Δfは次の表1で与えられる。
Figure 0004803802
従って、例えば設計1では、発生するΔfはわずか0.03Hzである。回路測定精度上の制約から、このような周波数の微量変化を検出することは困難である。一方、設計2を採用し、基本周波数fを27MHzから148MHzまで増加させると、Δfは1Hzとなり、測定可能となる。
一方、水晶振動子の形状とfとについては以下の関係式が成り立つ。
f〜(Cy/4ρ)1/2/t
f: 基本周波数
Cy: 水晶の厚さ方向弾性率=29.3×1010/cm
t: 水晶の厚さ
設計2を採用すると、t=11.2μmとなる。このような極薄の水晶ウエハーを加工することは困難である。また、水晶の厚さが変動したとき、fの変動の度合いが大きくなり、センサの感度のバラツキが大きくなる。このため、目標感度を達成するセンサを実現することができない。更に、ΔfはΔm以外に、μの温度特性、Cyの温度特性など、外部環境の影響を受けて変動する。そして、微量物質の吸着膜への吸着による基本周波数の変動と、他の外部要因による基本周波数との変動とを分離することが困難であるため、測定値の妥当性が確保されなかった。
なお、本出願人は、こうした問題を解決するために、特許文献4(本出願時未公開)を開示した。
特願平2004−199214
更に、従来のようなQCMセンサの場合には、吸着膜上への質量の吸着が進行すると、振動子の振動状態が徐々にアンバランスになり、最後にはセンサが動作しない状態になる。つまり、吸着膜上への質量吸着による振動子からの信号値の変化は、吸着膜への吸着量が一定値を超えるとほとんど変化しなくなるので、質量測定が不能になる。従って、質量測定は、質量が一定値以下の範囲でしか測定できない。
一方、センサの分解能を向上させるためには、少量の質量が吸着膜に付着したときの信号変化を大きくする必要がある。しかし、分解能を向上させると、比較的少量の質量が吸着膜に付着したときにも、測定可能レンジを超えてしまい易くなる。従って、質量の分解能をある程度以上向上させることは困難である。
本発明の課題は、単位質量当たりの感度を向上させ得るような質量測定装置を提供することである。
発明に係る質量測定装置は、振動子、一対の駆動電極、前記一対の駆動電極の間に設けられている検出電極、および測定対象物質の吸着部位を選択するための吸着部位選択手段を備えており、一対の駆動電極に対して交流電圧を印加して振動子に基本振動を励起し、一対の駆動電極から前記吸着部位を交互に選択し、検出電極からの信号電圧に基づいて質量を測定することを特徴とする。
発明によれば、測定対象物質の吸着部位を選択するための吸着部位選択手段を設けている。従って、ある吸着部位において吸着質量が測定可能レンジを超える場合には、別の吸着部位を選択して吸着を継続することができる。従って、測定可能レンジが同程度であっても、測定時の単位質量当たりの信号変化、即ち分解能を向上させることが可能となる。そして、信号値のしきい値が一定としても、分解能を大きくすることができ、または大きな質量の吸着および測定を可能とできる。
好適な実施形態においては、基本振動において、振動変位が振動子の中心軸に対して略対称である。また、好適な実施形態においては、非測定時において、検出手段からの検出値が略0となるようにする。この場合には、略0からの変位を検出するので,一層測定感度が向上する上、環境変化の影響を低減できる。
好適な実施形態においては、基本振動が、振動子の厚さ方向のねじれ振動モードである。
振動子の材質は特に限定するものでないが、水晶、LiNbO、LiTaO3、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体(Li(Nb,Ta)O3)単結晶、ホウ酸リチウム単結晶、ランガサイト単結晶等からなる圧電単結晶を使用することが好ましい。ランガサイト振動子は、融点が1470℃と高く、1000℃程度まで動作可能である。更に、AlNからなる振動子を利用できる。AlN振動子は、還元性雰囲気中では1000℃程度まで動作可能である。更に、シリコンのマイクロマシニングによって形成した振動子も利用できる。
各電極は、導電性膜によって構成することができる。こうした導電性膜としては、金膜、金とクロムとの多層膜、金とチタンとの多層膜、銀膜、銀とクロムとの多層膜、銀とチタンとの多層膜、鉛膜、白金膜等の金属膜、TiO等の金属酸化物膜が好ましい。金膜と酸化物単結晶、例えば水晶とは密着性が低いので、金膜と振動アーム、特に水晶アームとの間には、下地層、例えば少なくともクロム層またはチタン層を介在させることが好ましい。
電極膜を吸着領域として使用する。
また、電極膜に対して吸着されるべき物質としては、以下を例示できる。
水素ガス、一酸化炭素、二酸化炭素などのガス分子
スート、粉塵などの微粒子
たんぱく質、DNA、抗原抗体などの生体物質
薬液
エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トリクロロエチレンなどの化学物質
ダイオキシンなどの環境ホルモン
振動変位の検出手段は、検出電極である
図1〜図10は、厚みねじれ振動モードを利用したセンサに係るものである。図1は、センサ1を模式的に示す平面図であり、図2は、センサ1を模式的に示す斜視図であり、図3は、センサ1の正面図である。図4(a)は、厚みねじれ振動モードを説明するための平面図であり、図4(b)は、厚みねじれ振動モードを説明するための斜視図であり、図5は回路例を示す。
図1、図2に示すように、センサ1の振動子2は例えば角板形状をしている。振動子2の表面2a上には、駆動電極3A、3B、検出電極4Aが形成されており、表面2b上には、駆動電極3C、3Dおよび検出電極4Bが形成されている。15はリードであり、16はリード端子である。
駆動回路部14(図5参照)の駆動電源8を使用し、駆動電極3Aと3Cとの間、駆動電極3Bと3Dとの間にそれぞれ逆相の交流電圧を印加することによって、図4(a)、図4(b)に示す矢印A、Bのように、厚みすべり振動を生じさせる。D1、D2は交流電圧印加端子であり、D1G、D2Gは接地端子である。駆動振動A、Bは、振動子の中心軸Dに対して略線対称である。
測定時には、駆動電極3A、3B、3C、3D上に所定の測定対象物質が吸着されるようにする。この吸着力は、例えば静電力によって発生する。ここで、例えば駆動電極3Aと3Bとの両方に測定対象物質が付着すると、振動子2の中心軸Dの左右における各質量のバランスは変化しないので、検出電極4A、4Bからの出力は変化せず、吸着量を測定できない。このため、振動子2の中心軸から見て一方の側の駆動電極のみに測定対象物質が吸着されるようにする。
例えば、図6(a)に示すように、一方の駆動電極3B(および必要に応じて裏面側の駆動電極3D)上に質量吸着させ、反対側の駆動電極3A(および裏面側の駆動電極3C)上に質量吸着しないか,あるいは質量吸着しにくいようにする。これによって、振動子2の中心軸Dの左右における各質量のバランスが崩れる。この結果、中心軸Dに対する駆動振動A、Bの線対称性が崩れ、検出電極4Aと4Bとの間に、駆動振動と同相の信号電圧が発生する。この信号電圧に基づいて質量を算出する。
即ち、検出電極4A、4Bの間で振動子に変位が生ずると、端子Pと接地端子PGとの間で電圧が生ずる。この電圧差を信号処理部分6の検出増幅器9で検出し、駆動振動によって位相検波回路10で位相検波する。そして、駆動振動と同相の振動をローパスフィルター11に通し、出力する。
ここで、中心の検出電極4A、4Bにおける検出信号は、非測定時においては略ゼロとなるようにする。これは、駆動振動の変位A、Bが、振動子2の中心軸Dに対して略線対称となっているために、検出電極4A、4Bの間の領域における振動子の振動変位はほぼゼロとなるからである。
吸着部位を一対設け、一対の吸着部位を交互に選択する。この作用効果について述べる。
本例のセンサ1は、例えば一対の駆動電極3A、3Bを有しているものとする。振動子2の裏面側にも一対の駆動電極3C、3Dを有していても良いが、本例では表面側の駆動電極3A、3Bを例にとって説明する。本例では、各駆動電極は目的物質の吸着膜として作用するものとする。まず、図6(a)に示すように、一方の駆動電極3Bを吸着手段として選択し、他方の駆動電極3Aには目的物質が吸着しないか、あるいは吸着量が少なくなるようにする。
この状態では、前述したように、振動子2の中心軸Dの左右における各質量のバランスが崩れる。この結果、中心軸Dに対する駆動振動A、Bの線対称性が崩れ、検出電極4Aと4Bとの間に、駆動振動と同相の信号電圧が発生する。この信号電圧に基づいて質量を算出する。図6(b)に示すように、駆動電極3B(本例では吸着領域20B)上への質量の吸着が進行すると、信号値が高くなってくる。この吸着量が大きくなると、振動子1の振動状態が徐々にアンバランスになり、最後にはセンサが動作しない状態になる。つまり、吸着膜3B上への質量吸着による検出電極4A、4Bからの信号値の変化は、吸着膜3Bへの吸着量が一定値を超えるとほとんど変化しなくなるので、質量測定が不能になる。従って、質量測定は、信号値が一定値S以下の範囲でしか測定できない。
一方、センサの分解能を向上させるためには、単位質量が吸着膜に付着したときの信号変化Rを大きくする必要がある。しかし、分解能を向上させると、比較的少量の質量が吸着膜に付着したときにも、測定可能レンジSを超えてしまい易くなる。従って、質量の分解能Rをある程度以上向上させることは困難である。また、質量が累積的に付着するようなケースでは、長時間にわたる測定は困難である。
しかし、吸着量が所定点に達した時点で、図7に示すように、駆動電極3A側に吸着領域20Aを移動させる。これによって、図7(b)に示すように、駆動電極3A側に質量吸着が生じ、信号値は徐々に低下してくる。このようにすることで、振動子からの信号値がしきい値Sに到達する前の段階で信号値を小さくすることができる。また、信号値が低下している状態でも、単位質量の吸着に対応する信号値変化Rは生ずるので、やはり吸着量の測定を継続することができる。従って、信号値のしきい値Sが一定としても、分解能Rを大きくすることができ、また大きな質量の吸着および測定を可能とできる。
なお、図7(b)のパターンS1に示すように、信号値が初期値(本例ではゼロ値)に達した時点で、再び駆動電極3Bを吸着領域として選択することができる。あるいは、パターンS2に示すように,信号値が初期値に達した時点でも更に駆動電極3A側への吸着を継続し、信号値がしきい値(−S)に達する前の時点で駆動電極3Bを吸着領域として選択することができる。
吸着領域の選択を切り換える時点は特に限定されないが、以下が考えられる。
(1) 信号値が一定値に達した時点で吸着領域を切り換える。
(2) 信号値の単位時間当たりの変化がしきい値まで低下した時点で吸着領域を切り換える。
(3) 所定時間経過した時点で吸着領域を切り換える。
吸着領域を選択するための手段は、振動子上の吸着可能な特定領域を吸着可能な状態とし、それ以外の領域において吸着不能か、あるいは吸着量を少なくすることができれば、特に限定されない。一実施形態においては、吸着部位選択手段が、開口部の設けられた遮蔽板であり、開口部の位置を選択することによって吸着部位を選択する。
例えば図8〜図10はこの実施形態に係るものである。図8の平面図および図10の斜視図に示すように、振動子1上に遮蔽板18を固定する。遮蔽板の固定方法や、振動子1に対する位置合わせ方法は、例えば露光技術でのマスクの固定や位置合わせ方法を転用できる。この時点で、遮蔽板18に設けられた開口部19が駆動電極3B上に位置するようにする。なお、駆動電極3Bの全体を吸着領域として利用したり、駆動電極3Bより広い範囲を吸着領域として利用することもできるが、本例では駆動電極3Bのうち中央部分を吸着領域20Bとして利用する。このように遮蔽板18を振動子1上に固定することによって、駆動電極3A上への物質の吸着は不能になるか、あるいは著しく抑制される。そして、前述のようにして、吸着領域20B上に吸着した質量を測定する。
次いで、図9に示すように、振動子1または遮蔽板18を移動手段30によって移動させ、開口部19を駆動電極3A上に位置させる。これによって、駆動電極3B上への吸着は抑制され、駆動電極3A中に吸着領域20Aが発生する。
遮蔽板の材質は特に制限されず、ステンレス板、アルミ板、鉄板を例示できる。
また、遮蔽板と振動子の吸着領域との間隔は特に限定されないが、物質の不要領域への吸着を抑制するという観点からは、5mm以下が好ましく、1mm以下が更に好ましい。また、遮蔽板と振動子との接触の危険性を防止するためには、100μm以上が好ましい。
また、他の実施形態においては、吸着部位選択手段が、振動子を動かして測定対象物質の吸着部位を移動させる移動手段である。例えば、図11、図12に示す例では、管21内に矢印Gのように、測定対象物質である気体が流れている。ここで、センサ1を管21内に設置する。この際、振動子2の中心軸Dがガス流れ方向Gに対して略直交するようにする。また、振動子2の法線Fが、ガス流の方向Gに対して略直交するようにし、かつ中心軸Dに対して略直交するようにする。
この状態では、駆動電極3Bが吸着領域20Bとして機能し、駆動電極3Aに対する吸着量は少なくなる。そして、前述した切り換え時には、振動子2を移動手段30によって動かして反転させ、図12に示すような状態とする。この状態では、振動子1の中心軸Dがガス流れ方向Gに対して略直交するようにする。また、振動子1の法線Fが、ガス流の方向Gに対して略直交するようにし、かつ中心軸Dに対して略直交するようにする。この状態では、駆動電極3Aが吸着領域20Aとして機能し、駆動電極3Bに対する吸着量は少なくなる。
また、他の好適な実施形態においては、吸着部位選択手段が、測定対象物質を放出する放出手段である。液滴吐出は、同一圧力、同一時間であっても、液体の粘度変化、環境温度変化や吐出口の磨耗によって変化する。従って、液滴量測定によって吐出条件を調整することが必要である。本発明によれば、装置稼動ごとの吐出量を一定にすることができる。この結果、滴定装置における分析精度向上が可能になる。
更に、放出手段からの物質の放出位置を変更することによって、振動子上での吸着領域を変更することもできるようになる。
例えば図13(a)に示すように、放出手段24から液滴25を駆動電極3B上に落とすことにより、駆動電極3Bが吸着領域20Bとして機能する。次いで、放出手段24の位置を移動させたり、あるいは放出手段24のノズルの向きを変更することによって、図13(b)に示すように、液滴が駆動電極3A上に落下するようにする。これによって、駆動電極3Aを吸着領域20Aとして機能させる。
このような放出手段は特に限定されないが、アクチュエーター、自動滴定装置のマイクロポンプを例示できる。また移動手段30は公知の駆動機構を利用できる。
参考例1)
図1〜図5に示すセンサ1を製造した。振動子2はATカット水晶板によって形成した。振動子2の直径は9mmとし、厚さは0.16mmとした。各電極は、クロム/金膜(厚さ500オングストローム)を使用した。この上に、図8〜図10に示すような遮蔽板18を固定した。この振動子を真空蒸着装置の成膜室内に設置した。駆動信号電圧1ボルトで駆動電極3A〜3Dに、振動子の固有共振周波数である10MHzの交流電圧を印加した。そして、遮蔽板18の開口部19を通して吸着領域20B上に成膜物質を吸着させた。吸着に応じて振動子中心軸Dの左右の質量バランスが崩れ、検出信号が発生した。発生信号は、吸着量1pgあたり2.2μボルトであった。用いた検出回路による検出限界は0.04μボルトであるため、測定精度20fgの高精度計測が出来た。この結果、蒸着膜厚の高精度測定が可能になった。
(実施例
参考例1において、更に成膜膜厚を増やすと、それに従って検出信号が増加した。しかし、質量アンバランスの崩れが著しくなるとセンサが動作しなくなってしまい、測定膜厚の限界があった。例えば吸着質量が50μgを超えると、振動子の振動のうち厚みねじれ振動子成分はほぼ無くなってしまい、センサは動作しなくなった。
そこで、遮蔽板18を可動式とし、開口部19を移動できる構造とし、振動子への吸着領域を振動子の中心軸に対して対称な位置で切り替えることができるようにした。
具体的には、センサ1を真空蒸着装置の成膜室内に設置した。駆動信号電圧1ボルトで駆動電極に、振動子2の固有共振周波数である10MHzの交流電圧を印加した。遮蔽板18の開口部19を通して吸着領域20B上に成膜物質を吸着させた。吸着に応じて振動子中心軸Dの左右の質量バランスが崩れ、検出信号が発生した。適当に成膜が進んだ段階で遮蔽板18を動かし、これまでの吸着位置と、振動子の中心軸をはさんだ対称位置の吸着領域20Aに吸着を行った。
これによって、成膜の進行に伴い崩れていた質量バランスが回復するようになり、検出信号が減少した。信号変化は、吸着量1pgあたり−2.2μボルトであった。これによって、振動子のバランスの崩れが動作限界を超えることなく、測定を継続することができた。吸着位置を切り替えた時点での成膜膜厚量に、切り替えた後の信号変化量から見積もる成膜膜厚量を積算して、全体の膜厚が測定できた。さらに成膜が進行し、バランスが回復した状態を過ぎると、これまでとは逆方向にアンバランスの崩れが発生し、検出電極からはこれまでとは位相が反転した信号が出力され、回路の出力信号はマイナスの値となる(図7(b)のパターンS2)。さらに適当に成膜が進むと、再び遮蔽板18を動かし、吸着位置を変更した。これを繰り返して、バランスの崩れの動作限界の制約に関係なく、厚い蒸着膜厚の高精度測定が可能になった。
参考例2
参考例1と同じ振動子2を使用した。この振動子2を、図11に示すように、エンジン排気管21内に設置した。この際、排気ガスの流れる方向G、振動子法線方向Fと、振動子中心軸Dが互いに直交するようにした。
駆動信号電圧1ボルトで、駆動電極3A〜3Dに、振動子の固有共振周波数である10MHzの交流電圧を印加した。排気ガスの発生に従い、振動子の表面に排気ガス中のススが付着した。ススは振動子のガス流上流側半面の駆動電極3Bに主に吸着した。吸着によって振動子中心軸の左右の質量バランスが崩れ、検出信号が発生した。発生信号は吸着量1pgあたり2.2μボルトであった。検出回路による検出限界は0.04μボルトであるため、測定精度20fgの高精度計測が出来た。この結果、排気ガス中のスス発生量の高精度測定が可能になった。
(実施例
参考例1の振動子2を、図11に示すように、エンジン排気管21内に設置した。この際、排気ガスの流れる方向Gと、振動子法線方向Fと、振動子中心軸Dとが、互いに直交するようにした。また、振動子2を振動子中心軸Dを中心として反転できるようにした。
駆動信号電圧1ボルトで、駆動電極に、振動子2の固有共振周波数である10MHzの交流電圧を印加した。排気ガスの発生に従い、ススは振動子のガス流上流側の吸着領域20Bに主に吸着した。吸着によって振動子中心軸の左右の質量バランスが崩れ、検出信号が発生した。
適当にスス吸着が進んだ段階で、図12に示すように振動子2を反転し、これまでの吸着位置と、振動子の中心軸をはさんだ対称な位置20Aに吸着を行った。これによってススの吸着に伴い崩れていた質量バランスが回復するようになり、検出信号が減少した。信号変化は吸着量1pgあたり−2.2μボルトであった。これによって、振動子のバランスの崩れが動作限界を超えることなく、測定を継続することができた。吸着位置を切り替えた時点でのスス発生量に、切り替えた後の信号変化量から見積もるスス発生量を積算して、全体のスス発生量が測定できた。これを繰り返して、バランスの崩れの動作限界の制約に関係なく、大量のスス発生量の高精度測定が可能になった。
参考例3
参考例1と同じ振動子2を使用し、自動滴定装置のように、吐出液滴量の高精度な制御が必要な装置において、吐出ノズル24(図12参照)の位置を振動子中心軸Dに対して非対称な位置に設置した。
駆動信号電圧1ボルトで、駆動電極3A〜3Dに、振動子の固有共振周波数である10MHzの交流電圧を印加した。液滴25の滴下に伴い、振動子の表面の吸着領域20Bに、振動子中心軸Dに非対称に液滴25が吸着した。吸着によって振動子中心軸の左右の質量バランスが崩れ、検出信号が発生した。発生信号は、吸着量1pgあたり2.2μボルトであった。検出回路による検出限界は0.04μボルトであるため測定精度20fgの高精度計測が出来た。
(実施例
参考例1と同じ振動子2を使用し、自動滴定装置のように、吐出液滴量の高精度な制御が必要な装置において、吐出ノズル24(図13(a)参照)の位置を振動子中心軸Dに対して非対称な位置に設置した。吐出ノズル位置を可動とし、振動子2への吸着領域を振動子の中心軸に対して対称な位置で切り替えることができるようにした。
駆動信号電圧1ボルトで駆動電極に、振動子2の固有共振周波数である10MHzの交流電圧を印加した。液滴25の滴下に伴い、振動子中心軸Dに非対称な位置の吸着領域20Bに液滴が吸着した。吸着によって振動子中心軸の左右の質量バランスが崩れ、検出信号が発生した。
液滴吸着が進んだ段階で、図13(b)に示すように吐出ノズル24の位置を変更し、これまでの吸着位置と、振動子の中心軸をはさんだ対称な位置の吸着領域20Aに吸着を行った。これによって液滴吸着に伴い崩れていた質量バランスが回復するようになり、検出信号が減少した。信号変化は吸着量1pgあたり−2.2μボルトであった。これによって、振動子のバランスの崩れが動作限界を超えることなく、測定を継続することができた。これにより、これまでに滴下した液滴量に関わらず液滴の測定が可能となり、液滴の高精度繰り返し測定が可能になった。
センサ1を模式的に示す平面図である。 センサ1を模式的に示す斜視図である。 センサ1の正面図である。 (a)は、厚みねじれ振動モードを説明するための平面図であり、(b)は、厚みねじれ振動モードを説明するための斜視図である。 振動子の駆動および信号検出のための回路例を示す。 (a)は、振動子の吸着領域20B側に質量吸着が生ずることを示す模式図であり、(b)は、吸着量と信号値との関係を模式的に示すグラフである。 (a)は、振動子の吸着領域20Bおよび20Aに質量吸着が生ずることを示す模式図であり、(b)は、吸着量と信号値との関係を模式的に示すグラフである。 センサ1を遮蔽板18によって被覆し、開口部19から吸着領域20Bを露出させた状態を示す平面図である。 センサ1を遮蔽板18によって被覆し、開口部19から吸着領域20Aを露出させた状態を示す平面図である。 センサ1を遮蔽板18によって被覆し、開口部19から吸着領域20Bを露出させた状態を示す斜視図である。 管21内に振動子2を設置し、ガスGを流した状態を模式的に示す斜視図である。 図11の管21内において振動子2を反転させ、ガスGを流した状態を模式的に示す斜視図である。 (a)は、放出手段24からの液滴を吸着領域20B上に滴下している状態を模式的に示す正面図であり、(b)は、放出手段24からの液滴を吸着領域20A上に滴下している状態を模式的に示す正面図である。
1 センサ 2 振動子 3A、3B、3C、3D 駆動電極 4A、4B 検出電極 18 遮蔽板 19 開口部 20A,20B 吸着領域 21 管 24 放出手段 25 液滴 30 移動手段 A、B 厚み滑り振動 D 振動子2の中心軸 F 振動子2の法線 G 排気ガスの流れ R 単位質量当たりの信号値変化 S、−S 測定可能レンジ(信号値)

Claims (7)

  1. 振動子、一対の駆動電極前記一対の駆動電極の間に設けられている検出電極、および測定対象物質の吸着部位を選択するための吸着部位選択手段を備えており、前記一対の駆動電極に対して交流電圧を印加して前記振動子に基本振動を励起し、前記一対の駆動電極から前記吸着部位を交互に選択し、前記検出電極からの信号電圧に基づいて質量を測定することを特徴とする、質量測定装置。
  2. 前記吸着部位選択手段が、開口部の設けられた遮蔽板であり、前記開口部の位置を選択することによって前記吸着部位を選択することを特徴とする、請求項記載の装置。
  3. 前記吸着部位選択手段が、前記振動子を動かして前記吸着部位を移動させる移動手段であることを特徴とする、請求項記載の装置。
  4. 前記吸着部位選択手段が、前記測定対象物質を前記振動子へと向かって放出する放出手段であることを特徴とする、請求項記載の装置。
  5. 前記基本振動において、振動変位が前記振動子の中心軸に対して略対称であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載の装置。
  6. 非測定時において、前記検出手段からの検出値が略0となることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載の記載の装置。
  7. 前記基本振動が前記振動子の厚みねじれ振動であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の装置。
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