JP4433484B2 - 水素センサおよびアンモニアセンサ - Google Patents

水素センサおよびアンモニアセンサ Download PDF

Info

Publication number
JP4433484B2
JP4433484B2 JP2005311433A JP2005311433A JP4433484B2 JP 4433484 B2 JP4433484 B2 JP 4433484B2 JP 2005311433 A JP2005311433 A JP 2005311433A JP 2005311433 A JP2005311433 A JP 2005311433A JP 4433484 B2 JP4433484 B2 JP 4433484B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen
vibration
vibrator
detection
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005311433A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006153859A (ja
Inventor
菊池  尊行
修 酒井
直剛 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP2005311433A priority Critical patent/JP4433484B2/ja
Publication of JP2006153859A publication Critical patent/JP2006153859A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4433484B2 publication Critical patent/JP4433484B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Fluid Adsorption Or Reactions (AREA)

Description

本発明は水素センサおよびアンモニアセンサに関するものである。
水素センサは、水素を燃料源とする燃料電池システムの安全性を確保するために必要なセンサであり、今後普及が期待されている。水素センサは、水素の漏れを低濃度の段階で確実に検知し、システムの停止や警報を行うために使用される。水素センサは、接触燃焼方式、半導体方式、熱電式、光ファイバ式など種々の検知方式が採用されているが、いずれも、ガス種の選択性、コスト、耐久性に問題がある。
接触燃焼式水素センサにおいては、白金などの触媒上で水素を燃焼させ,その熱や熱に伴う抵抗体の抵抗値変化を利用する。この方式では、水素だけでなく、炭化水素も同時に燃焼するので、ガス種の選択性が悪い。また白金などの高価な材料を使用する必要がある。
半導体式水素センサにおいては、酸化スズなどの金属酸化物半導体の焼結体を加熱しておき、これに水素が接触すると半導体の電気抵抗が変化する。この抵抗値変化を利用して水素濃度を算出する。この方式でも、炭化水素や一酸化炭素でも同様の反応が生ずるので、ガス種の選択性が悪い。また、ヒーターによる半導体の加熱が必須であり、コストが高い。更に酸化スズが使用環境下で劣化するので寿命が短い。
また、パラジウム膜をつけた水晶振動子を利用した水素センサが提案されている(特許文献1)。パラジウムは、原子間の隙間に水素が吸蔵される性質を有している。この原子間の隙間に炭化水素や一酸化炭素が入ることは不可能であるので、この水素センサはガス種の選択性が高い。
特公平3−40817号公報
また、リン酸ジルコニウムを含む薄膜をつけた水晶振動子を利用したセンサが提案されている(特許文献2)。リン酸ジルコニウムは表面にアンモニアガスを選択的に吸着する性質を有している。
実用新案登録第3094415号公報
特許文献1記載の水素センサでは、水晶振動板の両面に電極を設け、電極を被覆するようにパラジウム膜を形成する。そして、電極に交流電圧を供給して振動板を振動させる。このときの振動周波数は振動板と電極の固有共振周波数によって定まる。このパラジウム膜に水素が吸着すると、振動板の周波数が若干変化するので、この周波数変化から水素濃度を算出する。
しかし、特許文献1記載の水素センサでは、ごく微量の付着水素に基づく周波数の変化はごく僅かであり、この周波数変化から精度よく水素濃度を検出することは困難である。水素ガスは大気中では濃度4%程度で爆発するので、できるだけ低濃度で検出する必要があり、少なくとも0.1〜1%で検知することが必要である。できれば100ppm程度の濃度で検出可能であることが望ましい。
特許文献1記載のような水素センサにおいて、水素の検出感度を向上させるためには、単位面積当たりの水素吸着量を増加させる必要があり、このためにはパラジウム膜の膜厚を大きくする必要がある。しかしパラジウム膜の膜厚を大きくすると、高価なパラジウムの量が増えることからコストが増加する。また、膜内に水素が浸透するまでに必要な時間が長くなるので、水素濃度変化に対する応答性が悪くなる。
本発明の課題は、圧電振動子を使用した水素センサの感度を向上させ得るような構造を提供することである。
また、本発明の課題は、圧電振動子を使用したアンモニアセンサの感度を向上させ得るような構造を提供することである。
本発明は、振動子、この振動子に基本振動を励起する駆動電極、振動子の振動に伴う振動変位を検出する検出電極、および水素の吸着能を有する吸着膜を備えており、駆動電極と検出電極とが分離されており、非測定時における検出電極からの振動変位の検出値と測定時における検出電極からの振動変位の検出値との差に基づいて水素濃度を測定するのに際して
基本振動において振動変位が振動子の中心軸に対して略対称であり、測定時に吸着膜に付着する水素による中心軸に対する基本振動の線対称性の崩れによって検出電極に発生する信号電圧に基づいて、吸着膜に付着した水素の質量を算出することを特徴とする。
また、本発明は、振動子、この振動子に基本振動を励起する駆動電極、前記振動子の振動に伴う振動変位を検出する検出電極、および水素の吸着能を有する吸着膜を備えており、駆動電極と検出電極とが分離されている水素センサを使用し、
非測定時における検出電極からの振動変位の検出値と測定時における検出電極からの振動変位の検出値との差に基づいて水素濃度を測定するのに際して基本振動において振動変位が振動子の中心軸に対して略対称であり、測定時に吸着膜に付着する水素による中心軸に対する基本振動の線対称性の崩れによって検出電極に発生する信号電圧に基づいて、吸着膜に付着した水素の質量を算出することを特徴とする、水素濃度測定方法に係るものである。
また、本発明は、振動子、この振動子に基本振動を励起する駆動電極、振動子の振動に伴う振動変位を検出する検出電極、およびアンモニア吸着能を有する吸着膜を備えており、駆動電極と検出電極とが分離されており、非測定時における検出電極からの振動変位の検出値と測定時における検出電極からの振動変位の検出値との差に基づいてアンモニア濃度を測定するのに際して基本振動において振動変位が振動子の中心軸に対して略対称であり、測定時に吸着膜に付着するアンモニアによる中心軸に対する基本振動の線対称性の崩れによって検出電極に発生する信号電圧に基づいて、吸着膜に付着したアンモニアの質量を算出することを特徴とする、アンモニアセンサに係るものである。
本発明によれば、振動子上の吸着膜への水素吸着による振動状態変化を利用して水素、アンモニア濃度を測定する水素(アンモニア)センサにおいて、駆動手段と検出手段とを分離し、駆動手段によってセンサに基本振動を励起し、検出手段によって水素(アンモニア)吸着による振動状態の変化を検出することとした。このように駆動手段と検出手段とを分離することによって、振動状態を反映する所望の振動を精度よく検出しやすくなり、駆動手段と検出手段とをそれぞれ最も効果的な部位に設けることが可能となる。この結果、センサにおける水素(アンモニア)濃度の検出感度を向上させることが可能となった。
本発明においては、基本振動において、振動変位が振動子の中心軸に対して略対称である。また、好適な実施形態においては、非測定時において、検出手段からの検出値が略0となるようにする。この場合には、略0からの変位を検出するので、一層測定感度が向上する上、環境変化の影響を低減できる。
好適な実施形態においては、基本振動が、振動子の厚さ方向のねじれ振動モードである。厚みねじれ振動子を利用することにより、原理的に、1ppm相当の水素濃度で水素またはアンモニア検出を実現可能である。
図1〜図6は、厚みねじれ振動モードを利用した水素センサ(あるいはアンモニアセンサ)に係るものである。図1は、センサ1を模式的に示す平面図であり、図2は、センサ1を模式的に示す斜視図であり、図3は、センサ1の正面図である。図4(a)は、厚みねじれ振動モードを説明するための平面図であり、図4(b)は、厚みねじれ振動モードを説明するための斜視図であり、図5は回路例を示す。
図1、図2に示すように、センサ1の振動子2は例えば角板形状をしている。振動子2の表面2a上には、駆動電極3A、3B、検出電極4Aが形成されており、表面2b上には、駆動電極3C、3Dおよび検出電極4Bが形成されている。駆動電極3A上には、水素またはアンモニア吸着能を有する吸着膜5が設けられている。15はリードであり、16はリード端子である。
駆動回路部14(図5参照)の駆動電源8を使用し、駆動電極3Aと3Cとの間、駆動電極3Bと3Dとの間にそれぞれ逆相の交流電圧を印加することによって、図4(a)、図4(b)に示す矢印A、Bのように、厚みすべり振動を生じさせる。D1、D2は交流電圧印加端子であり、D1G、D2Gは接地端子である。駆動振動A、Bは、振動子の中心軸Dに対して略線対称である。
検出電極4A、4Bの間で振動子2に変位が生ずると、端子Pと接地端子PGとの間で電圧が生ずる。この電圧差を信号処理部6の検出増幅器9で検出し、駆動振動によって位相検波回路10で位相検波する。そして、駆動振動と同相の振動をローパスフィルター11に通し、出力する。
ここで、中心の検出電極4A、4Bにおける検出信号は、非測定時においては略ゼロとなるようにする。これは、駆動振動の変位A、Bが、振動子2の中心軸Dに対して略線対称となっているために、検出電極4A、4Bの間の領域における振動子の振動変位はほぼゼロとなるからである。
測定時に吸着膜5に水素、アンモニアが付着すると、吸着膜5の質量が増加し、振動子2の中心軸Dの左右における各質量のバランスが崩れる。この結果、中心軸Dに対する駆動振動A、Bの線対称性が崩れ、検出電極4Aと4Bとの間に、駆動振動と同相の信号電圧が発生する。この信号電圧に基づいて質量を算出する。
図6は、他の実施形態に係るセンサ1Aを概略的に示す正面図である。このセンサの平面図、斜視図は、図1、図2に示したセンサと同じである。振動子2の表面2a上には、駆動電極3A、3B、検出電極4Aが形成されており、表面2b上には、接地電極14および駆動接地電極3Dが形成されている。駆動電極3A上には吸着膜5が設けられている。
駆動回路部14の駆動電源8を使用し、駆動電極3Bと3Dとの間、駆動電極3Aと接地電極14との間にそれぞれ逆相の交流電圧を印加することによって、図4(a)、(b)に示す矢印A、Bのように、厚みすべり振動を生じさせる。D1、D2は交流電圧印加端子であり、D2G、Gは接地端子である。駆動振動A、Bは、振動子の中心軸Dに対して略線対称である。
検出電極4A、接地電極14の間で振動子に変位が生ずると、端子Pと接地端子Gとの間で電圧が生ずる。この電圧差を信号処理部6の検出増幅器9で検出し、駆動振動によって位相検波回路10で位相検波する。そして、駆動振動と同相の振動をローパスフィルター11に通し、出力する。中心の検出電極4Aにおける検出信号は、非測定時においては略ゼロとなるようにする。測定時に吸着膜5に物質が付着すると、吸着膜5の質量が増加し、振動子の中心軸Dの左右における各質量のバランスが崩れる。この結果、中心軸Dに対する駆動振動A、Bの線対称性が崩れ、検出電極4Aに駆動振動と同相の信号電圧が発生する。この信号電圧に基づいて質量を算出する。
また、好適な実施形態においては、振動子が少なくとも一対の屈曲振動片を備えており、基本振動が、屈曲振動片の屈曲振動を含む。このような振動は変位を大きくできるので、感度向上に一層効果的である。図7は、この実施形態に係る振動子(吸着膜の形成前)を概略的に示す平面図であり、図7は、この実施形態に係る振動子45を概略的に示す平面図である。
本例のセンサ31の振動子基部34は、振動子45の重心GOを中心として四回対称の略正方形をなしている。一対の細長い支持部35が基部34の周縁から中心軸Dに対して略対称に伸びている。各支持部35の各先端から、それぞれ、一対の駆動振動片36A、36B、36C、36Dが、中心軸Dと略平行に伸びている。各駆動振動片36A〜36Dの各先端には、それぞれ幅広の重量部ないしハンマーヘッドが設けられており、各重量部内に貫通孔が設けられている。各駆動振動片の側面および主面には駆動電極32、33A、33Bが形成されている。
基部34の周縁部から、中心軸Dの方向へと向かって、それぞれ細長い検出振動片38A、38Bが伸びている。各検出振動片38A、38Bの各先端にはそれぞれ幅広の重量部ないしハンマーヘッドが設けられており、各重量部内に貫通孔が設けられている。各検出振動片の側面および主面上にはそれぞれ検出電極40、39が形成されている。
本例では、図7において右側の駆動振動片上の電極33A上に吸着膜41A、41Bが形成されている(図8)。前述したように、駆動電極を使用し、各駆動振動片36A、36B、36C、36Dを、矢印Eで示すように、支持部35の先端を中心として屈曲振動させる。この際、屈曲振動片36A、36Bの振動と、屈曲振動片36C、36Dの振動とが、中心軸Dに対して略線対称となるようにする。この結果、屈曲振動片36A、36B、36C、36Dの駆動振動の全体の重心GD、および振動子の重心GO上が、ほぼ中心軸D上にあるようにする。この状態では、検出振動片38A、38B上にある検出電極39、40における検出電流はほぼゼロに調整される。
測定時に吸着膜41A、41Bに水素またはアンモニアが付着すると、各吸着膜の質量が増加し、振動子の中心軸Dの左右における各質量のバランスが崩れる。この結果、中心軸Dの上における駆動振動Eの対称性が崩れ、検出電極39と40との間に、駆動振動と同相の信号電圧が発生する。この信号電圧に基づいて質量を算出する。
振動子の材質は特に限定するものではない。一例では圧電単結晶や圧電セラミックスを利用できる。圧電単結晶としては、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体(Li(Nb,Ta)O3)単結晶、ホウ酸リチウム単結晶、ランガサイト単結晶を例示できる。水晶は量産技術が確立されており、水素センサの製造コストを低減できる。ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体は、キュリー点が高いので、高温まで使用可能である。圧電セラミックスとしては、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛やそれに添加物を加えたいわゆるPZT系の圧電セラミックスや、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ビスマス層状化合物などを例示できる。
また、AlNからなる振動子を利用できる。AlN振動子は、還元性雰囲気中では1000℃程度まで動作可能である。更に、シリコンのマイクロマシニングによって形成した振動子も利用できる。
また、ランガサイトからなる振動子を利用できる。ランガサイト振動子は、融点が1470℃と高く、1000℃程度まで動作可能である。
駆動電極、検出電極は、導電性膜によって構成することができる。こうした導電性膜としては、金膜、金とクロムとの多層膜、金とチタンとの多層膜、銀膜、銀とクロムとの多層膜、銀とチタンとの多層膜、鉛膜、白金膜等の金属膜、TiO等の金属酸化物膜が好ましい。金膜と酸化物単結晶、例えば水晶とは密着性が低いので、金膜と振動アーム、特に水晶アームとの間には、下地層、例えば少なくともクロム層またはチタン層を介在させることが好ましい。
また、高温で動作させる場合には、電極表面は白金で覆われていることが好ましい。
水素の吸着能を有する吸着膜の材質は特に限定されず、以下の2つのタイプの材質を含む。
(1) 水素吸蔵金属
Nb、Pdを始め、Ti、Zr、V、Ta、希土類(Sc、Y、La)などは、水素との親和性が強く、水素吸蔵能を有する。また、水素吸蔵能を有する金属の合金でもよい。こうした合金としては、TiFe、TiCr2、LaNi5、MgNiなどを例示できる。
(2) 水素を触媒作用によって吸着する金属
白金、パラジウムなどの触媒金属は、水素を吸着して活性化する性質を有する。触媒作用において重要な役割を果たすのは化学吸着であり、水素ガス分子中の水素原子と水素原子との結合力よりも触媒金属と水素との吸着力が強い場合には、水素ガス分子が分解して金属に吸着される解離吸着が生ずる。触媒金属によって水素ガスの活性化傾向は異なり、従って水素の吸着能は異なっているので、以下のように分類される。
(a) 水素吸着能を有する金属
パラジウム、白金、ルテニウム、銀、コバルト、金、ニッケル、銅などの8族および1B族
(b) 実質的に水素吸着能を有しない金属
クロム、モリブデン、タングステンの6A族およびマンガン、テクネチウム、レニウムなどの7A族
水素吸着能を有する材質としては、特にパラジウムまたはパラジウム合金が好ましい。パラジウム中には不純物が含有されていてもよい。パラジウム合金を構成する金属としては、銀、白金、金、ルテニウム、鉄、モリブデン、コバルト、錫、銅、ニッケル、イットリウム、ロジウム、亜鉛、バナジウムを例示できる。
吸着膜の厚さは特に限定されないが、水素センサの検出感度を一層向上させるという観点からは、90オングストローム以上であることが好ましく、500オングストローム以上であることが更に好ましい。また、吸着膜が厚くなり過ぎると、水素濃度変化に対するセンサの応答性が低下する傾向があるので、応答性の観点からは、吸着膜の厚さは5ミクロン以下であることが好ましく、1ミクロン以下であることが更に好ましい。
アンモニアの吸着能を有する吸着膜の材質は特に限定されないが、リン酸ジルコニウムを例示できる。
本発明においては、駆動電極と検出電極とが分離されている必要がある。本発明においては、駆動電極と検出電極とが機能として分離されていれば足り、駆動電極と検出電極とが電気的に絶縁されていることまでは必要ない。例えば、駆動電極と検出電極との間に何らかの導電線や導電パターンが連続し、電気的に接続されていることは妨げない。また、少なくとも一つの駆動手段と少なくとも一つの検出電極とが分離されていれば足りる。本発明の観点からは、駆動電極と検出電極との間隔は1ミクロン以上であることが好ましく、10ミクロン以上であることが更に好ましい。
本発明において、検出電極から得られる物理量は振動変位である
振動変位の検出手段は、前述したような検出電極である
パラジウムの水素吸収量は環境温度に応じて変動する。このような水素吸収量の変化は、水素ガスの漏れ検出用途においてはほとんど影響を与えないが、水素濃度の絶対値を知る必要のある用途や、水素濃度の測定値を使用して制御を行う用途においては、測定誤差の原因となる。従って、このような場合には、以下の方法によって温度変化による吸着量の変化を補正することができる。
(1) 水素センサにヒーターを付加することによって、振動子の温度を一定に保持する。
(2) 温度センサを振動子上あるいは振動子の周辺に設置し、温度を測定する。温度と物理量の検出値との関係を示す検量線を制御装置に格納しておく。温度センサからの測定値と検量線とを照合することにより、物理量の検出値に補正を加える。
(3) 振動子の共振周波数は温度変化に応じて変化する。従って、振動子の共振周波数と物理量の検出値との関係を示す検量線を制御装置に格納しておく。振動子から得られた共振周波数の測定値と検量線とを照合することにより、物理量の検出値に補正を加える。この方法によれば、振動子の温度を直接知ることができるので、温度センサの温度と振動子の温度との間の誤差が生じにくく、一層正確な温度補正が可能である。
なお、本発明の一実施形態においては、図9に示す水素センサ1Bのように、各駆動手段3E、3F、3G、3Hが、それぞれ、下地膜20と表層膜21とからなっている。また、各検出手段4C、4Dが、それぞれ、下地膜20と表層膜21とからなっている。こうした下地膜、吸着膜の材質例は前述した。また、駆動手段3E上に、水素吸着能を有する材質からなる吸着膜5が設けられている。こうした水素吸着能を有する材質は前述した。
ただし、駆動手段、検出手段の表面に、水素吸着能を有する材質,例えば金が露出していると、これが水素を吸着して水素濃度の計測値に誤差を生ずる原因となることが判明してきた。このため、好適な実施形態においては、駆動手段および前記検出手段の少なくとも表面が、水素の吸着能を実質的に有しない材質からなるようにする。
例えば、図10の水素センサ1Cにおいては、各駆動手段3J、3K、3L、3Mが、それぞれ、水素の吸着能を有しない材質23からなっている。そして駆動手段3J上に、水素吸着能を有する材質からなる吸着膜5が設けられている。こうした水素吸着能を有しない材質、水素吸着能を有する材質は前述した。
(実施例1)
図1〜図5および図9に示す水素センサ1(1B)を製造した。振動子2はATカット水晶板によって形成した。電極部分の幅は5mmとし、振動子2の厚さは0.16mmとした。各電極は、クロム膜20/金膜21(厚さ500オングストローム)を使用した。吸着膜5は、縦2mm、横2mm、厚さ1000オングストロームのパラジウム膜とし、蒸着法によって形成した。この結果、濃度0.01%の水素を検出可能であった。
(実施例2)
図1〜図5および図10に示す水素センサ1(1C)を製造した。振動子2はATカット水晶板によって形成した。電極部分の幅は5mmとし、振動子2の厚さは0.16mmとした。各電極はクロム膜23を使用した。吸着膜5は、縦2mm、横2mm、厚さ1000オングストロームのパラジウム膜とし、蒸着法によって形成した。この結果、濃度0.01%の水素を検出可能であった。
具体的な各膜の形成手順について述べる。
縦2インチ、横2インチ、厚さ0.16mmの水晶基板2を希フッ酸にてエッチング洗浄した後、スピンドライヤーにて乾燥し、水晶基板2の両方の表面2a、2bを清浄化した。スパッタ装置を用いて水晶基板各表面2a、2bに厚さ0.02μmのCrを下地層20として成膜し、片方の面にのみ厚さ0.1μmのPd膜5を成膜した。
この水晶基板の成膜面上にフォトレジストを塗布し、厚さ1μmのレジスト膜を形成し、レジストの溶剤成分を除去するため、オーブンを用いてプリベークした。各表面の高精度アライメントが可能な露光装置と、電極エッチング加工パターンのみを描画したフォトマスクを用い、露光装置によりレジスト膜表面に、前記フォトマスクパターンをフォトリソグラフィによって転写し、レジストパターンを形成した。
このレジストパターンをマスクとして、硝酸と塩酸の混合液にて、水晶基板上に成膜したPd膜をエッチング除去し、硝酸第二セリウムアンモニウムにてCr膜をエッチング除去して、PdとCrの多層膜からなるエッチングマスクパターンを形成した。残留したフォトレジストをアセトンによって溶解除去した。
前記Pd膜の成膜面上にフォトレジストを塗布し、厚さ1μmのレジスト膜を形成し、レジストの溶剤成分を除去するため、オーブンを用いてプリベークした。
Pd成膜パターンを描画したフォトマスクを用い、露光装置によりレジスト膜表面に、前記フォトマスクパターンをフォトリソグラフィによって転写し、レジストパターンを形成した。レジストパターンをマスクとして、硝酸と塩酸の混合液にて、水晶基板上に成膜したPd膜をエッチング除去し、エッチングマスクパターンを形成した。残留したフォトレジストをアセトンによって溶解除去し、Pd膜5を成形した。
センサ1を模式的に示す平面図である。 センサ1を模式的に示す斜視図である。 センサ1を模式的に示す正面図である。 (a)は、振動子2の厚み滑り振動モードを説明するための平面図であり、(b)は厚み滑り振動モードを示す模式図である。 回路例を示す図である。 他の実施形態に係るセンサ1Aを模式的に示す正面図である。 更に他の実施形態に係るセンサ用振動子45を模式的に示す平面図である。 図7の振動子に吸着膜を形成した状態を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係るセンサ1Bを示す断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係るセンサ1Cを示す断面図であり、駆動手段、検出手段の表面ち、水素吸着能を有する材質が露出していない。
符号の説明
1、1A、31 センサ 2、45 振動子 3A、3B、3C、3D、32、33A、33B 駆動手段 4A、4B、39 検出手段 A、B 厚み滑り振動 D 中心軸 E 基本振動

Claims (15)

  1. 振動子、この振動子に基本振動を励起する駆動電極、前記振動子の振動に伴う振動変位を検出する検出電極、および水素の吸着能を有する吸着膜を備えており、前記駆動電極と前記検出電極とが分離されており、非測定時における前記検出電極からの前記振動変位の検出値と測定時における前記検出電極からの前記振動変位の検出値との差に基づいて前記水素濃度を測定するのに際して前記基本振動において前記振動変位が前記振動子の中心軸に対して略対称であり、測定時に前記吸着膜に付着する水素による前記中心軸に対する前記基本振動の線対称性の崩れによって前記検出電極に発生する信号電圧に基づいて、前記吸着膜に付着した水素の質量を算出することを特徴とする、水素センサ。
  2. 非測定時において、前記検出電極からの前記検出値が略0となることを特徴とする、請求項1記載の水素センサ。
  3. 前記基本振動が、前記振動子の厚みねじれ振動モードであることを特徴とする、請求項1または2記載の水素センサ。
  4. 前記駆動電極および前記検出電極の少なくとも表面が、水素の吸着能を実質的に有しない材質からなることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載の水素センサ。
  5. 前記水素の吸着能を実質的に有しない材質が、周期表の6A族および7A族からなる群より選ばれていることを特徴とする、請求項記載の水素センサ。
  6. 振動子、この振動子に基本振動を励起する駆動電極、前記振動子の振動に伴う振動変位を検出する検出電極、および水素の吸着能を有する吸着膜を備えており、前記駆動電極と前記検出電極とが分離されている水素センサを使用し、
    非測定時における前記検出電極からの前記振動変位の検出値と測定時における前記検出電極からの前記振動変位の検出値との差に基づいて前記水素濃度を測定するのに際して前記基本振動において前記振動変位が前記振動子の中心軸に対して略対称であり、測定時に前記吸着膜に付着する水素による前記中心軸に対する前記基本振動の線対称性の崩れによって前記検出電極に発生する信号電圧に基づいて、前記吸着膜に付着した水素の質量を算出することを特徴とする、水素濃度測定方法。
  7. 非測定時において、前記検出電極からの前記検出値が略0となることを特徴とする、請求項記載の方法。
  8. 前記基本振動が、前記振動子の厚みねじれ振動モードであることを特徴とする、請求項6または7記載の方法。
  9. 前記駆動電極および前記検出電極の少なくとも表面が、水素の吸着能を実質的に有しない材質からなることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  10. 前記水素の吸着能を実質的に有しない材質が、周期表の6A族および7A族からなる群より選ばれていることを特徴とする、請求項記載の方法。
  11. 振動子、この振動子に基本振動を励起する駆動電極、前記振動子の振動に伴う振動変位を検出する検出電極、およびアンモニア吸着能を有する吸着膜を備えており、前記駆動電極と前記検出電極とが分離されており、非測定時における前記検出電極からの前記振動変位の検出値と測定時における前記検出電極からの前記振動変位の検出値との差に基づいて前記アンモニア濃度を測定するのに際して前記基本振動において前記振動変位が前記振動子の中心軸に対して略対称であり、測定時に前記吸着膜に付着するアンモニアによる前記中心軸に対する前記基本振動の線対称性の崩れによって前記検出電極に発生する信号電圧に基づいて、前記吸着膜に付着したアンモニアの質量を算出することを特徴とする、アンモニアセンサ。
  12. 非測定時において、前記検出電極からの前記検出値が略0となることを特徴とする、請求項11記載のアンモニアセンサ。
  13. 前記基本振動が、前記振動子の厚みねじれ振動モードであることを特徴とする、請求項11または12記載のアンモニアセンサ。
  14. 前記駆動電極および前記検出電極の少なくとも表面が、アンモニア吸着能を実質的に有しない材質からなることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一つの請求項に記載のアンモニアセンサ。
  15. 前記アンモニア吸着能を実質的に有しない材質が、周期表の6A族および7A族からなる群より選ばれていることを特徴とする、請求項14記載のアンモニアセンサ。
JP2005311433A 2004-10-26 2005-10-26 水素センサおよびアンモニアセンサ Expired - Fee Related JP4433484B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005311433A JP4433484B2 (ja) 2004-10-26 2005-10-26 水素センサおよびアンモニアセンサ

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004310379 2004-10-26
JP2005311433A JP4433484B2 (ja) 2004-10-26 2005-10-26 水素センサおよびアンモニアセンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006153859A JP2006153859A (ja) 2006-06-15
JP4433484B2 true JP4433484B2 (ja) 2010-03-17

Family

ID=36632315

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005311433A Expired - Fee Related JP4433484B2 (ja) 2004-10-26 2005-10-26 水素センサおよびアンモニアセンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4433484B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5535556B2 (ja) * 2009-08-28 2014-07-02 アズビル株式会社 酸素濃度センサ
JP2013079849A (ja) * 2011-10-03 2013-05-02 Snt Co アミン系ガスセンサ用リファレンス膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006153859A (ja) 2006-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4222513B2 (ja) 質量測定装置および方法
Baselt et al. Design and performance of a microcantilever-based hydrogen sensor
EP0943903B1 (en) Mass sensor and mass detection method
EP1977224B1 (en) Self-exciting, self-sensing piezoelectric cantilever sensor
EP0984252A2 (en) Mass sensor and mass sensing method
EP1533611B1 (en) Apparatus and method for measuring micro mass using oscillation circuit
JP4433484B2 (ja) 水素センサおよびアンモニアセンサ
JP2009133772A (ja) 検出センサ、振動子
JP4803802B2 (ja) 質量測定装置
JP2006220508A (ja) ガスセンサ
JP4535502B2 (ja) 物質検出素子
US20080011053A1 (en) Soot sensor and operating method
JP3248606B2 (ja) 力学量センサーおよび歪抵抗素子及びそれらの製造方法
US9140668B2 (en) Device and method for detecting at least one substance
JP4852283B2 (ja) ガスセンサ
GB2280034A (en) Capacitive air/fuel sensor
JP4433476B2 (ja) 駆動素子
Weber et al. Sensor for ambient pressure and material strains using a thin film bulk acoustic resonator
JP4540057B2 (ja) スート検出装置
US20110133599A1 (en) Surface acoustic wave sensor
JP4535501B2 (ja) 塩素イオン検出装置
JP2008014690A (ja) 圧電/電歪膜型センサ
JP4530361B2 (ja) 物質検出素子の製造方法
JP2008224581A (ja) ガスセンサ
JP2005274578A (ja) Qcmセンサデバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080716

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090902

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091218

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140108

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees