以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態にかかるドラム式洗濯機について説明する。
図1は、本実施の形態に係るドラム式洗濯機の外観を示す斜視図である。図1に示すように、ドラム式洗濯機は、外箱1の正面に洗濯物を出し入れするためのドア10が設けられており、外箱1の正面上部には、ドラム式洗濯機の洗濯動作に関連する情報を表示したりユーザが指令を入力したりする表示・操作部11が設けられている。
図2は、本実施の形態に係るドラム式洗濯機の内部を示す第1の断面図である。図3は、本実施の形態に係るドラム式洗濯機の内部を示す第2の断面図である。図2および図3を参照して、本実施の形態に係るドラム式洗濯機の構造や動作を説明する。
外箱1の前面には、洗濯物の出し入れをするためのドア10が配置されている。外箱1内には前面に向かって水槽開口部60と底とを有する筒状の水槽2が配置されている。さらに、水槽2の内部には、軸部を中心に回転できるように底を有する筒状の回転ドラム3が支持されている。また、水槽2の背面には、モータを内蔵し、その軸部を回転駆動する駆動機構4が配置されている。
水槽2は、洗濯物の出し入れ時の見通しを良くするために、所定の角度θだけ奥側が下方になるように傾斜して配されている。
サスペンション6は、水槽2の下方から水槽2を支持している。このサスペンション6による振動体の支持位置は、振動体全体としての重心の付近となっている。サスペンション6は、振動体を支持するとともにその振動を減衰させる役割を担っている。本実施の形態の場合、水槽2は外箱1に対して上からバネで吊り下げられてはいないが、そのように吊り下げ支持してもよい。ちなみに、「振動体」は、水槽2と、回転ドラム3と、駆動機構4との総称である。
洗い、すすぎ、脱水および乾燥の各工程は、回転ドラム3を駆動機構4で回転駆動することにより実行される。この時、回転ドラム3内に洗濯物のアンバランスがあると遠心力がかかり、サスペンション6は伸縮し、振動体が変位する。振動体が変位する度にサスペンション6は振動体を所定位置に復帰させようとし、振動体は変位と復帰とを繰り返すので、結果的に振動する。
水槽開口部60の周辺には、ゴムなどからなるドアパッキン15が設けられている。ドア10が閉じられた時には、突出部70がドアパッキン15の内周縁に密着する。これにより、突出部70とドアパッキン15との隙間は塞がれる。隙間が塞がれることにより、水槽2から外部への洗濯中の水漏れが防止される。
回転ドラム3は、ドア10側にドラム開口部66を有する。回転ドラム3のドラム開口部66を取り囲む部分には流体バランサ62が設けられている。流体バランサ62の内部には塩水などの流体が封入されている。以下、この流体を「封入流体」という。回転ドラム3の回転時には、洗濯物および洗濯液の偏りによる回転ドラム3全体の重心移動を、封入流体が移動することによって打消すようになっている。また、回転ドラム3の周壁には多数の小孔64が設けられ、回転ドラム3の内周面上にはバッフル68が設けられている。小孔64は、洗濯水を供給したり排出させたりする。バッフル68は、回転ドラム3の回転に伴って回転ドラム3内の洗濯物を持ち上げる。タンブリングが繰返されると、洗濯物は叩き作用を受ける。洗濯物が叩き作用を受けることで、その洗濯物が洗われたりすすがれたりする。なお、「タンブリング」とは、バッフル68に持ち上げられた洗濯物が自重により落下する動作を意味する。
ドア10は、回転ドラム3の内側に向く突出部70を有している。突出部70を有しているのは、洗濯物が回転ドラム3の前面の水槽開口部60からはみ出すことをなるべく防ぐためである。突出部70は、ガラスで形成されている。強度、傷のつきにくさ、熱衝撃性、回転ドラム3内が見えることなどの要件を満たすためである。突出部70の周縁部はドア10に固定されている。また、ドア10にはドア10の開閉を検知するセンサを有したドアスイッチ(図示せず)が取り付けられている。
外箱1内の後方上部には水道管(図示せず)に接続された洗濯用給水弁38が設けられ、洗濯用給水弁38を開くと、接続ホース(図示せず)から水槽2内に給水されるようになっている。これにより、水道水が洗剤ケース(図示せず)内の洗剤を溶かし、生成された洗剤液が給水口41より回転ドラム3内に供給される。
外箱1内の後方上部には、すすぎ用給水弁44と、柔軟仕上剤収納箱(図示せず)およびこれに接続されたすすぎ給水経路(図示せず)とが別途設けられている。すすぎ用給水弁44が開かれると、すすぎ給水経路から水槽2内へと柔軟仕上剤とともに水が注ぎ込まれる。
外箱1の底部で水槽2の外側には、洗濯液や除湿器42により凝縮された水分を機外に排出するための排水弁40および排水ホース20が設けられている。水槽2の下部と排水弁40を接続する排水ダクト18の途中には、外箱1の前面下部から取り外しが可能な糸屑フィルタ(図示せず)が設けられており、洗濯液の水位は糸屑フィルタの上部に設けられたエアートラップ(図示せず)内の圧力変化として水位センサ107により測定される。エアートラップと水位センサ107との間には導圧パイプ(図示せず)が接続されている。水位センサ107は、その導圧パイプを介してエアートラップ(図示せず)内の圧力変化を測定する。
また、排水ダクト18の途中には、循環ポンプ39が接続されている。循環ポンプ39は、排水ダクト18に蓄えられた水を循環ホース46に供給する。循環ホース46に供給された水は、シャワーノズル47によって回転ドラム3の内部に注水される。
また、外箱1の内部で水槽2の下部の位置に、洗濯物を乾燥するために送風ファン51とヒータ54とが設けられている。送風ファン51は、ファンモータ50により駆動される。
送風ファン51は、回転ドラム3内の空気を小孔64から除湿器42内に吸引する。吸引された空気は、送風ファン51、ヒータ54、および送風ダクト56を順に通って吹出し口72から回転ドラム3内に戻される。こうして循環する空気は、ヒータ54に熱せられて熱風と化し、この熱風が回転ドラム3内に供給されることになるから、回転ドラム3内の洗濯物はその熱風により徐々に乾燥させられる。
また、表示・操作部11の奥側には制御回路5が配置されている。制御回路5は、ドラム式洗濯機の洗濯動作を制御する。
図4は本実施の形態にかかるドラム式洗濯機の内部正面図である。図5は図2に示すドラム式洗濯機の内部平面図である。図6は加速度センサ104のパッケージの平面図である。図4〜6を参照して、加速度センサ104について説明する。本実施の形態の場合、加速度センサ104は、3軸加速度センサである。水槽2の複数の方向の振動成分(本実施の形態においては、互いに異なる方向を向く複数のベクトルで振動方向を表した場合のベクトルの大きさそれぞれを「振動成分」と称する。それらのベクトルの大きさは、振動の大きさに直接的または間接的に対応することとする。本実施の形態の場合、それらのベクトルの大きさは、直接的には加速度に対応することとする。)を検知するための素子として、加速度センサ104は水槽2の上部背面側(回転ドラム3が設けられる内側とは反対側)に取り付けられている。加速度センサ104は、互いに直交する3方向について、加速度の大きさに比例した電気信号を出力する。本実施の形態の場合、基準電圧2.5Vに対し加速度1G当たり±0.2Vの電圧信号を出力するものとして説明するが、これに限定するものではない。この出力値を用いて水槽2の挙動を監視することができる。
加速度センサ104は、図5に示すように、水槽2の加速度を互いに直交するX方向の成分およびY方向の成分として検出することができる。本実施の形態の場合、加速度センサ104は、回転ドラム3の回転軸に平行な方向に図6に示すY方向を一致させるように取り付けられる。この場合、図6に示すX方向は水槽2の左右方向(ドラム式洗濯機の一方の側面から他方の側面へ向かう方向であって図5における左右方向を意味する)となり、加速度センサ104は水槽2の左右方向とこれに直行する方向である前後方向の加速度を検知することができる。加速度センサ104が加速度を検出できる3軸は、X方向およびY方向に加えて、両方向に対して直交するZ方向を含む。
図7は本実施の形態に係る制御回路5の制御ブロック図である。制御回路5は、マイクロコンピュータ22と、電源回路31と、リセット回路32と、入力キー回路33と、状態検知回路34と、表示装置駆動回路35と、ブザー駆動回路36と、負荷駆動回路37とを含む。
マイクロコンピュータ22は、複数のI/O(Input/Output)ポート27を介して、入力キー回路33、状態検知回路34、表示装置駆動回路35、ブザー駆動回路36および負荷駆動回路37に接続されている。マイクロコンピュータ22は、入力キー回路33や状態検知回路34から入力される入力信号に基づいて演算を行って、表示装置駆動回路35、ブザー駆動回路36、および負荷駆動回路37に信号を出力する。
電源回路31は、マイクロコンピュータ22の電源端子VddおよびVssに定電圧を供給する。これにより、マイクロコンピュータ22は動作する。リセット回路32は、マイクロコンピュータ22のRESET端子に信号を入力する。これにより、マイクロコンピュータ22はリセットする。入力キー回路33は、表示・操作部11に接続され、ユーザが表示・操作部11を操作するとその操作に応じた信号を生成する。状態検知回路34は、回転ドラム3の回転を検知する回転検知センサ105(回転検知センサ105としては、ホールセンサまたはタコジェネレータが一般的である)、水位センサ107、並びに加速度センサ104に接続されている。状態検知回路34は、これらが出力した信号を、マイクロコンピュータ22が利用可能な信号に変換する。表示装置駆動回路35は、表示装置102に接続されており、表示装置102を駆動する。ブザー駆動回路36は、ブザー103に接続されており、キー入力完了時、運転終了時および異常時にブザー103を鳴動させる。これにより、それらの情報はユーザに伝えられる。負荷駆動回路37は、駆動機構4、洗濯用給水弁38、および排水弁40に接続されており、これらを駆動制御する。
マイクロコンピュータ22は、CPU(Central Processing Unit)23と、RAM(Random Access Memory)24と、ROM(Read Only Memory)25と、タイマ26と、複数のI/Oポート27と、システムバス28とから構成されている。
CPU23は、制御部29と演算部30から構成されている。制御部29は、ROM25に記憶されている命令を取り出すとともにその命令を実行する。演算部30は、命令の実行段階で制御部29から与えられる制御信号に基づいて、I/Oポート27に接続された各回路やRAM24から入力されるデータに対して二進加算、論理演算、増減、比較などの演算を行う。RAM24は、CPU23が演算に用いるデータを一時的に記憶する。ROM25は、各種機器を動作させる方法の情報、各種判断のために設定された条件、各種情報を処理するためのルールなどを予め記憶する。ROM25が記憶するデータの一種に、容量テーブルがある。容量テーブルとは、回転ドラム3の内部の洗濯物の質量についてのデータテーブルである。容量テーブルは、回転ドラム3の内部の洗濯物の質量を示す質量データを含む。質量データは、図6に示すX方向の振動体の振動の共振周波数に対応付けられている。タイマ26は、CPU23によって設定されたある時点(基準時点)からの経過時間を測定し、その経過時間を示す情報を信号として出力する。I/Oポート27は、入力キー回路33その他の回路との間で信号を仲介する。システムバス28は、マイクロコンピュータ22を構成する各回路の間に信号を伝達させる。
図8は、本実施の形態に係る制御回路5の機能ブロック図である。図8を参照して、本実施の形態に係る制御回路5は、情報記憶部200と、洗い工程制御部202と、すすぎ工程制御部204と、脱水工程制御部206と、乾燥工程制御部208とを含む。
情報記憶部200は、回転ドラム3の回転速度を示す情報と、回転ドラム3が回転する期間の長さを示す情報と、後述する回転チャートと、上述した容量テーブルと、エラーフラグの値とを記憶する。エラーフラグは、回転ドラム3の中の洗濯物の質量が閾値を越えていることを示す。本実施の形態の場合、情報記憶部200は、RAM24とROM25とにより実現される。
洗い工程制御部202は、後述する洗い工程を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、排水弁40とを制御する。
洗い工程制御部202は、回転制御部230と、記憶制御部232と、周波数特定部234と、質量特定部236と、変動制御部238とを含む。
回転制御部230は、回転ドラム3の回転速度を示す情報(本実施の形態の場合、この情報が示す速度は500rpmである。しかしながら、これより高い速度で回転ドラム3を回転させても低い速度で回転させてもよいことは言うまでもない。)と回転ドラム3が回転する期間の長さを示す情報(回転速度を示す情報と同様に、この情報が示す期間の長さは、ドラム式洗濯機の設計者が任意に設定できる。)とに従って回転ドラム3が回転するように、駆動機構4を制御する。本実施の形態の場合、回転制御部230は、CPU23により実現される。
記憶制御部232は、回転制御部230による制御が終了した後、回転ドラム3の回転が停止したことを回転検知センサ105が検知すると、加速度センサ104が検知した、図5および図6におけるX方向の振動の加速度(本実施の形態においては、この加速度を示す情報を「振動情報」と称する。)を時系列に従って記憶するように情報記憶部200を制御する。本実施の形態の場合、記憶制御部232は、CPU23とタイマ26とによって実現される。記憶制御部232として動作するCPU23は、X方向の振動の加速度をタイマ26が測定した経過時間(本実施の形態の場合、この経過時間の始期は、回転ドラム3の回転が停止したことを回転検知センサ105が検知した時である。しかしながら、その他の時が始期であってもよいことは言うまでもない。)に対応付けて記憶するように、情報記憶部200として動作するRAM24を制御することとなる。
周波数特定部234は、記憶制御部232の制御に従って情報記憶部200が記憶した加速度に対し周波数解析を行い、振動体ひいては回転ドラム3の共振周波数を特定する。周波数特定部234は、回転ドラム3の共振周波数を特定すると、その共振周波数を示す共振周波数データを生成する。本実施の形態の場合、周波数特定部234は、CPU23により実現される。
質量特定部236は、周波数特定部234が生成した共振周波数データに基づいて回転ドラム3に収容された洗濯物の質量を特定する。本実施の形態の場合、質量特定部236は、補間法により洗濯物の質量を特定する。その具体的な手順については後述する。本実施の形態の場合、質量特定部236は、CPU23により実現される。
変動制御部238は、質量特定部236が選択した洗濯物の容量に基づき、洗い工程における運転条件を選択し、その条件に従って駆動機構4などを制御する。本実施の形態の場合、変動制御部238は、CPU23により実現される。また、変動制御部238は、質量特定部236が特定した洗濯物の質量が閾値を越えているとき、質量特定部236が特定した洗濯物の質量が閾値を越えていることを示す情報(エラー表示)を表示するように表示装置駆動回路35を介して表示装置102を制御する。
すすぎ工程制御部204は、後述するすすぎ工程を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、循環ポンプ39と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。本実施の形態の場合、すすぎ工程制御部204は、CPU23とRAM24とROM25とにより実現される。
すすぎ工程制御部204は、シャワーすすぎ制御部220と、ためすすぎ・注水すすぎ制御部222とを含む。
シャワーすすぎ制御部220は、シャワーすすぎ動作を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、循環ポンプ39と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。ためすすぎ・注水すすぎ制御部222は、ためすすぎ動作あるいは注水すすぎ動作を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、排水弁40と、すすぎ用給水弁44とを制御する。
脱水工程制御部206は、後述する脱水工程を実施するように、駆動機構4と、洗濯用給水弁38と、排水弁40とを制御する。本実施の形態の場合、脱水工程制御部206は、CPU23とRAM24とROM25とにより実現される。
乾燥工程制御部208は、後述する乾燥工程を実施するように、駆動機構4と、ファンモータ50と、ヒータ54と、給水装置(図示せず)とを制御する。本実施の形態の場合、乾燥工程制御部208は、CPU23とRAM24とROM25とにより実現される。
図9は、本実施の形態に係るドラム式洗濯機が実施する運転の運転チャートを示す概念図である。図9においてハッチングが付されている欄は、その欄に対応する部材などが動作していることを示す。たとえば、その欄に弁が対応している場合、ハッチングが付されていることは、弁が開いていることを示し、ハッチングが付されていないことは、弁が閉じていることを示す。その欄に機構が対応している場合、ハッチングが付されていることは、その機構が稼動していることを示し、ハッチングが付されていないことは、その機構が稼動していないことを示す。その欄に洗いチャートその他の回転チャートが対応している場合、ハッチングが付されていることは、その回転チャートを参照して制御が行われていることを示し、ハッチングが付されていないことは、その回転チャートを参照した制御が行われていないことを示す。図9を参照して、本実施の形態に係るドラム式洗濯機が実施する運転を説明する。本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、表示・操作部11への入力により設定された条件に従って、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、あるいは乾燥工程の少なくとも1つを実行する。これらの各工程は、1つ以上の動作を含む。
また、図10は、本実施の形態に係るドラム式洗濯機が実施する洗濯処理の制御の手順を示すフローチャートである。図9および図10を参照して、本実施の形態に係るドラム式洗濯機で実行されるプログラムは、洗濯に関し、以下のような制御を実行する。
ステップS100にて、ドラム式洗濯機は、洗い工程を実施する。この処理は、図11により示される。
ステップS102にて、シャワーすすぎ制御部220は、情報記憶部200に記憶されたエラーフラグの値が「0」か否かを判断する。エラーフラグの値が「0」と判断した場合(ステップS102にてYES)、処理はステップS104へと移される。もしそうでないと(ステップS102にてNO)、処理はステップS110へと移される。
ステップS104にて、ドラム式洗濯機は、すすぎ工程を実施する。すすぎ工程とは、いったん排水動作が実施された後、すすぎ脱水動作と攪拌すすぎ動作とを交互に複数回繰り返す工程である。
本実施の形態における排水動作は、排水弁40を作動させることにより、排水ダクト18および排水ホース20を介して外箱1の外部に洗濯液を排出させる動作を意味する。
すすぎ脱水動作は、排水弁40が開かれた状態で駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させる動作である。回転ドラム3の回転速度はすすぎ脱水動作用の回転チャート(図9における「脱水チャート(1)」)に基づいて制御される。この回転チャートは、回転ドラム3の回転を途中で休止させたり、回転ドラム3の回転速度を変えたりするように設定されている。このような回転は洗剤を多く含んだ洗濯液の脱水に適している。
すすぎ脱水動作により、洗濯物に含まれていた洗濯液は、回転ドラム3の回転により生じた遠心力で小孔64を通じて水槽2の内壁へと放出される。水槽2の内壁を伝って水槽2内の下部に流下した洗濯液は排水ダクト18および排水弁40を介して外部に排水される。
本実施の形態における攪拌すすぎ動作は、次の手順に従って給水と回転ドラム3の回転とを行う動作を意味する。第1に、負荷駆動回路37が排水弁40を閉じ、洗濯用給水弁38を開く。洗濯用給水弁38が開くことに伴って水槽2内の水位が所定水位に達すると負荷駆動回路37は洗濯用給水弁38を閉じる。第2に、駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させる。回転ドラム3の回転速度は攪拌すすぎ動作用の回転チャートに基づいて制御される。攪拌すすぎ動作は、上述したすすぎ脱水動作により中間脱水が完了すると実施される。
なお、本実施の形態の場合、攪拌すすぎ動作の一種として、シャワーすすぎ動作が実施されることがある。本実施の形態におけるシャワーすすぎ動作は、制御回路5が、次の2種類の制御を行う動作である。第1の制御は、回転ドラム3を中速回転(本実施の形態の場合、毎分300回転)させながら、洗濯用給水弁38を開く制御である。これにより、接続ホース(図示せず)と給水口41とを通して水槽2の下部および排水ダクト18に水が貯まる。第2の制御は、水槽2の下部および排水ダクト18に水が貯まった後、循環ポンプ39を駆動させて、循環ホース46を介してシャワーノズル47より回転ドラム3の中に水を注水し水流を起こす制御である。これらの制御が実施されると、水道水は遠心力により洗濯物を透過するので、洗濯物に残留していた洗剤を効率良く除去することができる。洗濯物に残留していた洗剤を効率良く除去することができるので、すすぎ性能を確保しつつ運転時間の短縮と節水とを実現できる。
また、攪拌すすぎ動作中に、制御回路5は、すすぎ用給水弁44を開いてもよい。すすぎ用給水弁44が開かれると、柔軟仕上剤収納箱(図示せず)およびこれに連通するすすぎ給水経路(図示せず)から水槽2内へ柔軟仕上剤とともに水が注ぎ込まれる。
ステップS106にて、ドラム式洗濯機は、脱水工程を実施する。脱水工程が開始されると、制御回路5によって、洗濯用給水弁38が閉じられ、排水弁40が開放される。これにより、水槽2内の洗濯液が外部に排出される排水動作が行われる。
排水動作が終了すると、駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させ始める。回転ドラム3の回転速度は仕上げ脱水動作用の回転チャートに基づいて制御される。仕上げ脱水動作用の回転チャート(図9における「脱水チャート(2)」)に基づいて回転ドラム3の回転速度が制御されると、回転ドラム3の回転により生じた遠心力で小孔64を通じて水槽2の内壁へと放出される。水槽2の内壁を伝って水槽2内の下部に流下した洗濯液は排水ダクト18および排水弁40を介して外部に排水される。
なお、脱水工程では回転ドラム3の回転速度が低速から高速まで広い範囲に渡って変動するので、回転ドラム3内の洗濯物の配置が脱水工程の最中にアンバランスになったか否かを、この脱水工程の低速回転での運転状態を利用して判定することが好ましい。洗濯物が内壁に張り付く程度の低速回転(臨界速度)で回転ドラム3を回転させながら、回転ドラム3の偏芯荷重の大きさである偏芯量を検知するアンバランス検知を行い、偏芯量が判定値以下ならば回転ドラム3の回転をそのまま高速回転に移行させることができる。偏芯量が判定値を上回ったならば、回転ドラム3の回転を停止し、脱水工程を最初から再度やり直した上でアンバランス検知を再度行う。
偏芯量は、駆動機構4のモータ(図示せず)に入力される交流電力の位相と回転検知センサ105が出力したパルス信号の位相とに基づいて検知される。これらの位相差は偏芯量に対応している。これらの位相差が偏芯量に対応している(位相差が大きいほど洗濯物はアンバランスに回転ドラム3に張り付いている)ので、CPU23は、これらの位相差に基づいて偏芯量を算出できる。
回転ドラム3の回転が高速回転に移行した場合、回転ドラム3の高速回転時の遠心力により回転ドラム3の周壁内面に洗濯物が押し付けられると、洗濯物に含まれた洗濯液やすすぎ水は回転ドラム3の小孔64から排出される。洗濯液やすすぎ水は、回転ドラム3の小孔64から外方に飛ばされ、水槽2の内面を伝ってその下部に導かれ機外に排出される。
なお、脱水中に加速度センサ104が異常振動を検知した場合も、偏芯量が判定値を上回った場合と同様に回転を停止し、脱水工程を最初から再度やり直した上でアンバランス検知を再度行っても良い。
ステップS108にて、ドラム式洗濯機は、乾燥工程を実施する。乾燥工程が開始されると、駆動機構4が制御回路5の制御に従って回転ドラム3を回転させ始める。回転ドラム3の回転速度は乾燥工程用の回転チャートに基づいて制御される。
回転ドラム3が回転している間、ファンモータ50により送風ファン51が駆動される。さらに、給水装置(図示せず)によって除湿器42内に注水される。これらの動作により、回転ドラム3内の空気は、送風ファン51、ヒータ54、および送風ダクト56を順に通って吹出し口72から回転ドラム3内に戻される。こうして循環する空気は、ヒータ54に熱せられて熱風と化し、この熱風が回転ドラム3内に供給されることになるから、回転ドラム3内の洗濯物はその熱風により徐々に乾燥させられる。
さらに、この乾燥中、洗濯物から蒸発した水分は、回転ドラム3内から出る空気に含まれるが、この湿った空気は、除湿器42内を通るときに、この除湿器42内に注ぎ入れられた水で冷却されることにより凝縮される。その結果、この空気は除湿され、湿度の低い空気となる。こうして、除湿された空気は上記経路に沿って再び、送風ファン51およびヒータ54に至る。この動作を繰り返すことにより、乾燥工程が実行される。
回転ドラム3内の湿度や温度は、湿度センサまたは温度センサ(いずれも図示せず)によって検知される。これらの値が所定値になると乾燥工程は終了する。この乾燥工程において除湿により凝縮された水分は、除湿器42を下降して排水ダクト18、排水弁40および排水ホース20を介して外部に排出される。
ステップS110にて、シャワーすすぎ制御部220は、情報記憶部200に記憶されたエラーフラグの値を「0」に変更する。
図11を参照して、洗い工程制御部202で実行されるプログラムは、洗い工程に関し、以下のような制御を実行する。
ステップS120にて、水槽開口部60から回転ドラム3内に洗濯物が投入され、ドア10が閉じられると、図2に示すようにドア10の周縁にドアパッキン15の内周縁が密着する。そして、洗剤ケース(図示せず)にユーザが洗剤を入れ、かつユーザが表示・操作部11を操作すると、制御回路5からの指令により洗い工程が開始される。洗い工程が開始される際、制御回路5が制御するロック機構(図示せず)によって、ドア10がロックされる。その後、洗い工程制御部202は、回転ドラム3に投入されている洗濯物の容量を検知する。この容量を検知するための処理は、図12により示される。
ステップS122にて、変動制御部238は、情報記憶部200に記憶されたエラーフラグの値が「1」か否かを判断する。エラーフラグの値が「1」と判断した場合には(ステップS122にてYES)、処理は終了する。もしそうでないと(ステップS122にてNO)、処理はステップS124へと移される。
ステップS124にて、変動制御部238は、質量特定部236が出力した洗濯物の容量を示す値に基づき、洗い工程における運転条件を選択する。洗い工程における運転条件は、運転チャートに従って選択される。
ステップS126にて、変動制御部238は、排水弁40が閉じた状態で洗濯用給水弁38を開く。洗濯用給水弁38が開くことによって水道水は接続ホース(図示せず)から洗剤ケース(図示せず)を経由して洗剤とともに水槽2および回転ドラム3の内部に流れ込む。水槽2内の水位が所定水位に達したことは、水位センサ107が検知する。水槽2内の水位が所定水位に達すると、変動制御部238により制御された負荷駆動回路37が洗濯用給水弁38を閉じる。
ステップS128にて、変動制御部238は、駆動機構4が回転ドラム3を回転させ始めるように、駆動機構4を制御する。回転ドラム3の回転速度はROM25が記憶した回転チャートに基づいて制御される。これにより、所定時間だけ洗い動作が行われる。
回転チャートは、回転速度、反転時間、反転周期などといった、駆動機構4による回転ドラム3の回転の推移を示す情報である。回転チャートは、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程および乾燥工程といった種別、および洗濯物の種類に対応付けられて情報記憶部200として動作するROM25に記憶されている。これらの回転チャートは、使用者によって選択されたり自動的に選択されたりする。
図12を参照して、洗い工程制御部202で実行されるプログラムは、容量検知に関し、以下のような制御を実行する。
ステップS140にて、回転制御部230は、回転速度を示す情報と期間の長さを示す情報とに従って回転ドラム3が回転するように駆動機構4を制御する。
ステップS142にて、回転制御部230による駆動機構4の制御が終了した後、回転検知センサ105は、回転ドラム3が実際に停止したことを検知する。回転ドラム3が実際に停止したことを示す信号は、状態検知回路34とI/Oポート27とを経て、CPU23に入力される。回転ドラム3が実際に停止したことを示す信号が入力されると、記憶制御部232として動作するCPU23は、上述した基準時点をリセットする。これにより、若干の誤差はあるものの、タイマ26は、回転ドラム3が実際に停止した時を始期とする時間を測定することとなる。
ステップS144にて、記憶制御部232として動作するCPU23は、加速度センサ104が状態検知回路34とI/Oポート27とを介して入力した振動情報をタイマ26が測定した経過時間に対応付けて記憶するように、情報記憶部200として動作するRAM24を制御する。
ステップS146にて、周波数特定部234として動作するCPU23は、情報記憶部200が記憶した振動情報に対し周波数解析を行い、振動体ひいては回転ドラム3の共振周波数を特定する。
周波数解析とは、振動を示す各種のデータ(本実施の形態であれば振動情報)からフーリエ変換によりある値(本実施の形態の場合、これを「パワー」と称する)を算出し、パワーと周波数との関係を特定する処理のことである。パワーが極値となる周波数は、振動体の共振周波数とみなすことができる。次の式は、フーリエ変換のために用いられる式の一種である。
ただし、上述した式において、tは回転ドラム3が実際に停止した時点からの経過時間を示す。f(t)は経過時間tにおける加速度を示す。ωは振動体の角周波数を示す。F(ω)はパワーを示す。jは虚数単位(jの二乗が「−1」)を示す。eは自然対数を示す。
本実施の形態の場合、周波数特定部234は、実際に上述した式を用いてパワーを算出するのではなく、それと同等の処理(より具体的には、高速フーリエ変換)を行うことによりパワーを算出する。なお、加速度を示すデータに対して高速フーリエ変換を行うための具体的な処理は周知なのでここではその詳細な説明は行わない。
パワーと周波数との関係が特定されると、周波数特定部234は、その関係に基づいて振動体の共振周波数を検出する。具体的に説明すると、周波数特定部234は、パワーが最大値となる周波数を振動体の共振周波数とみなす。
ステップS148にて、質量特定部236は、回転ドラム3に収容された洗濯物の質量を特定する。本実施の形態において、質量特定部236は、回転ドラム3に収容された洗濯物の質量を補間法により算出する。より具体的には、本実施の形態の場合、質量特定部236は、次の手順に従って洗濯物の質量を特定する。第1の手順は、容量テーブルが含む質量データのうち次に述べる2種類の質量データを質量特定部236が選択する手順である。第1の種類の質量データは、周波数特定部234が特定した共振周波数以上であって周波数特定部234が特定した共振周波数に最も近い周波数に対応付けられた質量データである。第2の種類の質量データは、周波数特定部234が特定した共振周波数以下の周波数であって周波数特定部234が特定した共振周波数に最も近い周波数に対応付けられた質量データである。第2の手順は、式(1)に従って質量特定部236が洗濯物の質量を算出する手順である。
Wx=(Wa−Wb)×(fx−fa)/(fa−fb)+Wa・・・(1)
ただし、Wxは回転ドラム3に収容された洗濯物の質量を示す。Waは容量テーブルが含む質量データのうち周波数特定部234が特定した共振周波数以上であって周波数特定部234が特定した共振周波数に最も近い周波数に対応付けられた質量データが示す質量である。Wbは容量テーブルが含む質量データのうち周波数特定部234が特定した共振周波数以下であって周波数特定部234が特定した共振周波数に最も近い周波数に対応付けられた質量データが示す質量である。fxは周波数特定部234が特定した共振周波数である。faは容量テーブルが含む質量データに対応付けられた周波数のうち周波数特定部234が特定した共振周波数以上であって周波数特定部234が特定した共振周波数に最も近い周波数である。fbは容量テーブルが含む質量データに対応付けられた周波数のうち周波数特定部234が特定した共振周波数以下であって周波数特定部234が特定した共振周波数に最も近い周波数である。
ステップS150にて、変動制御部238は、自らが特定した洗濯物の質量(特定容量)が定格容量(予め定められた質量すなわち閾値)を越えるか否かを判断する。特定容量が定格容量を越えると判断した場合(ステップS150にてYES)、処理はステップS152へと移される。もしそうでないと(ステップS150にてNO)、処理は終了する。
ステップS152にて、変動制御部238は、情報記憶部200に記憶されたエラーフラグの値を「1」にする。併せて、変動制御部238は、エラー表示を表示するように表示装置駆動回路35を介して表示装置102を制御する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、ドラム式洗濯機の動作について説明する。
洗い工程が開始されると、ドア10がロックされる(ステップS120)。ドア10がロックされると、回転制御部230は、回転速度を示す情報と期間の長さを示す情報とに従って回転ドラム3が回転するように駆動機構4を制御する(ステップS140)。
回転制御部230による駆動機構4の制御が終了した後、回転検知センサ105は、回転ドラム3が実際に停止したことを検知する(ステップS142)。回転ドラム3が実際に停止したことを示す信号が記憶制御部232に入力されると、情報記憶部200は振動情報を記憶する(ステップS144)。図13は、この時記憶された振動情報が示す加速度をグラフとして示す図である。
振動情報が記憶されると、周波数特定部234として動作するCPU23は、情報記憶部200が記憶した振動情報に対し周波数解析を行い、振動体ひいては回転ドラム3の共振周波数を特定する(ステップS146)。図14は、この周波数解析により得られた周波数とパワーとの関係をグラフとして示す図である。パワーが図14に示すようにピークを描くとき、そのピークに対応する周波数を振動体の共振周波数とみなすことができる。
振動体の共振周波数が特定されると、質量特定部236は、回転ドラム3に収容された洗濯物の質量を特定する(ステップS148)。
洗濯物の質量が特定されると、変動制御部238は、特定容量が定格容量を越えるか否かを判断する(ステップS150)。図15は、本実施の形態にかかるドラム式洗濯機において、工程別の運転時間を洗濯物の質量に対応付けて示す図である。これらのデータは運転チャートなどとして情報記憶部200に記憶されている。これらのデータにより、変動制御部238は、洗濯物の質量が定格容量を越えるか否かを判断することができる。
この場合、洗濯物の質量が定格容量を越えないとすると(ステップS150にてNO)、変動制御部238は、情報記憶部200に記憶されたエラーフラグの値が「1」か否かを判断する(ステップS122)。この場合、エラーフラグの値が「1」でないとすると(ステップS122にてNO)、変動制御部238は、質量特定部236が出力した洗濯物の容量を示す値に基づき、洗い工程における運転条件を選択する(ステップS124)。
運転条件が選択されると、変動制御部238は、水槽2および回転ドラム3の内部に給水する(ステップS126)。
給水が終了すると、変動制御部238は、所定時間だけ洗い動作を行う(ステップS128)。
洗い動作が終了すると、シャワーすすぎ制御部220は、情報記憶部200に記憶されたエラーフラグの値が「0」か否かを判断する(ステップS102)。この場合、エラーフラグの値が「0」なので(ステップS102にてYES)、ドラム式洗濯機は、すすぎ工程を実施する(ステップS104)。すすぎ工程が終了すると、ドラム式洗濯機は、脱水工程を実施する(ステップS106)。脱水工程が終了すると、ドラム式洗濯機は、乾燥工程を実施する(ステップS108)。
以上のようにして、本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、回転ドラム3の回転が停止した後の振動体の振動に基づいて回転ドラム3の中の洗濯物の質量を検出する。
従来の技術では、マイコンがドラム回転(モータ回転)の停止信号を出してから回転ドラムが停止するまでの時間を測定し、その時間から慣性力の大きさを算出し、その結果に基づいて導出することにより行っていた。回転ドラムが停止したことは、モータの回転検知センサを利用して検出していた。しかしながら、マイコンがドラム回転(モータ回転)の停止信号を出してからドラムが停止するまでの時間は、布の貼り付き状態によって変動するため、検知誤差が大きい。実際よりも低容量に検知してしまうと、洗濯時間が短くなるため、汚れが落ちないままに運転が終了してしまう。実際よりも低容量に検知してしまうと、乾燥が完了するまでに予め想定された時間よりも長くかかったり、生乾きのまま運転が終了したりする。この場合、ユーザーが投入した洗濯物についての容量オーバーとの警告が適切に実施されないこともある。逆に、実際よりも高容量に検知してしまうと、運転時間が必要以上に長くなり、電気代や水道代が高くなる。
これに対し、本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、次に述べる4つの手順を経て洗濯物の質量を検知する。第1の手順は、運転開始の最初の工程として回転ドラム(回転駆動)を回転させた後に、回転ドラムの回転(回転駆動)を停止させる手順である。第2の手順は、回転ドラム(回転駆動)停止直後に、外箱に対して左右方向の交流振動波形を振動検知センサによって検知する手順である。第3の手順は、検知された交流波形振動を周波数解析することにより外箱に対して左右方向の共振周波数を導出する手順である。第4の手順は、共振周波数に基づいて、補間法により洗濯物の質量を特定する手順である。これら4つの手順を経て洗濯物の質量を検知するので、本実施の形態に係るドラム式洗濯機における検知誤差は小さい。検知誤差が小さいので、上述したような問題は生じなくなる。
なお、本実施の形態の第1の変形例において、質量特定部236は、補間法以外の方法により洗濯物の質量を特定してもよい。補間法以外の方法の例としては、予め既知であるばね定数、減衰定数、および振動体の質量と共振周波数との関係を示す式(この式自体は周知なのでここではその詳細について説明しない)を基に振動体の質量と洗濯物の質量との和をまず算出し、その和から振動体の質量を減算することで洗濯物の質量を算出する方法がある。
また、本実施の形態の第2の変形例において、質量特定部236は、ステップS148にて、次の式(2)に従って洗濯物の質量を算出してもよい。
Wx=(Wa−Wb)×(fx−fb)/(fa−fb)+Wb・・・(2)
また、本実施の形態の第3の変形例において、加速度センサ104に代え、他の方法で振動を検出するセンサが用いられてもよい。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態にかかるドラム式洗濯機について説明する。
図16は、本実施の形態に係る制御回路5の機能ブロック図である。図16を参照して、本実施の形態に係る洗い工程制御部202は、数値演算部240をさらに含む。数値演算部240は、CPU23により実現される。
数値演算部240は、周波数特定部234が特定した振動体の共振周波数を用いて演算を行う。本実施の形態の場合、数値演算部240は、共振周波数の相加平均を算出するが、相乗平均を算出してもよいし、その他の値を算出してもよい。
数値演算部240は、一時処理部250と、平均値算出部252とを含む。
一時処理部250は、周波数特定部234が検出した振動体の共振周波数を記憶するように情報記憶部200を制御する。これに応じて、情報記憶部200は、周波数特定部234が検出した振動体の共振周波数を記憶する。
平均値算出部252は、情報記憶部200が記憶した振動体の共振周波数の相加平均を算出する。上述したように、相乗平均を算出してもよいし、その他の値を算出してもよい。
なお、その他のハードウェア構成については前述の第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
図17を参照して、洗い工程制御部202で実行されるプログラムは、容量検知に関し、以下のような制御を実行する。なお、図17に示すフローチャートの中で、前述の図12に示した処理は同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
ステップS160にて、一時処理部250は、周波数特定部234が検出した振動体の共振周波数を記憶するように情報記憶部200を制御する。
ステップS162にて、一時処理部250は、振動体の共振周波数の検出とその記憶とのループ処理を終了するか否かを判断する。本実施の形態の場合、このループ処理を行う回数は予め定められていることとする。一時処理部250は、ループ処理を繰返した回数がその予め定められた回数に達したとき、ループ処理を終了すると判断する。ループ処理を終了すると判断した場合には(ステップS162にてYES)、処理はステップS164へと移される。もしそうでないと(ステップS162にてNO)、処理はステップS140へと移される。
ステップS164にて、平均値算出部252は、情報記憶部200が記憶した振動体の共振周波数の相加平均を算出する。
ステップS166にて、質量特定部236は、平均値算出部252が算出した相加平均に対応する洗濯物の質量を特定する。特定のための具体的な手順は、周波数特定部234が特定した共振周波数に代えて平均値算出部252が算出した相加平均を用いることを除けば、第1の実施の形態と同様である。
なお、その他の処理フローについては前述の第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、ドラム式洗濯機の動作について説明する。
ステップS120の処理を経て、回転制御部230は、回転速度を示す情報と期間の長さを示す情報とに従って回転ドラム3が回転するように駆動機構4を制御する(ステップS140)。
回転制御部230による駆動機構4の制御が終了した後、回転検知センサ105は、回転ドラム3が実際に停止したことを検知する(ステップS142)。回転ドラム3が実際に停止したことを示す信号が記憶制御部232に入力されると、情報記憶部200は振動情報を記憶する(ステップS144)。
振動情報が記憶されると、周波数特定部234として動作するCPU23は、情報記憶部200が記憶した振動情報に対し周波数解析を行い、振動体ひいては回転ドラム3の共振周波数を特定する(ステップS146)。
共振周波数が特定されると、一時処理部250は、周波数特定部234が特定した振動体の共振周波数を記憶するように情報記憶部200を制御する(ステップS160)。共振周波数が記憶されると、一時処理部250は、振動体の共振周波数の検出とその記憶とのループ処理を終了するか否かを判断する(ステップS162)。この場合、ループ処理を終了しないと判断したとすると(ステップS162にてNO)、再度ステップS140〜ステップS160の処理が実施される。
図18は、ステップS140〜ステップS160の処理が繰返されることにより、複数回測定された加速度それぞれから共振周波数が検出されることを示す概念図である。本実施の形態においては、ステップS140〜ステップS160の処理が3度繰返されたときループ処理を終了するとする。
その後、ループ処理を終了するとすると(ステップS162にてNO)、平均値算出部252は、情報記憶部200が記憶した振動体の共振周波数の相加平均を算出する(ステップS164)。相加平均が算出されると、質量特定部236は、平均値算出部252が算出した相加平均に対応する洗濯物の質量を補間法により特定する(ステップS166)。
洗濯物の質量が特定されると、ステップS150以降の処理が実施される。
以上のようにして、本実施の形態に係るドラム式洗濯機は、加速度を複数回測定したことにより得られた共振周波数を基に洗濯物の質量を選択する。そのように洗濯物の質量が選択されるので、精度よく洗濯物の質量を選択できる。その上、第1の実施の形態と同様の理由により、検知誤差を小さくできる。
なお、本実施の形態の第1の変形例において、質量特定部236は、補間法以外の方法により洗濯物の質量を特定してもよい。補間法以外の方法の例としては、予め既知であるばね定数、減衰定数、および振動体の質量と共振周波数との関係を示す式(この式自体は周知なのでここではその詳細について説明しない)を基に振動体の質量と洗濯物の質量との和をまず算出し、その和から振動体の質量を減算することで洗濯物の質量を算出する方法がある。
また、本実施の形態の第2の変形例において、質量特定部236は、ステップS148にて、次の式(2)に従って洗濯物の質量を算出してもよい。
Wx=(Wa−Wb)×(fx−fb)/(fa−fb)+Wb・・・(2)
また、本実施の形態の第3の変形例において、加速度センサ104に代え、他の方法で振動を検出するセンサが用いられてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 外箱、2 水槽、3 回転ドラム、4 駆動機構、5 制御回路、6 サスペンション、10 ドア、11 表示・操作部、15 ドアパッキン、18 排水ダクト、20 排水ホース、22 マイクロコンピュータ、23 CPU、24 RAM、25 ROM、26 タイマ、27 I/Oポート、28 システムバス、29 制御部、30 演算部、31 電源回路、32 リセット回路、33 入力キー回路、34 状態検知回路、35 表示装置駆動回路、36 ブザー駆動回路、37 負荷駆動回路、38 洗濯用給水弁、39 循環ポンプ、40 排水弁、41 給水口、42 除湿器、44 すすぎ用給水弁、46 循環ホース、47 シャワーノズル、50 ファンモータ、51 送風ファン、54 ヒータ、56 送風ダクト、72 吹出し口、60 水槽開口部、62 流体バランサ、64 小孔、66 ドラム開口部、68 バッフル、70 突出部、102 表示装置、103 ブザー、104 加速度センサ、105 回転検知センサ、107 水位センサ、200 情報記憶部、202 洗い工程制御部、204 すすぎ工程制御部、206 脱水工程制御部、208 乾燥工程制御部、220 シャワーすすぎ制御部、222 ためすすぎ・注水すすぎ制御部、230 回転制御部、232 記憶制御部、234 周波数特定部、236 質量特定部、238 変動制御部、240 数値演算部、250 一時処理部、252 平均値算出部。