JP4802368B2 - 高導電性成形品の製造方法 - Google Patents

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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高導電性成形品の製造方法に係り、特に、情報電子、自動車、建築分野などの電気接点部品、電磁波シールド部品、電極部品、とりわけ蓄電池用接点部品や、燃料電池用の電極支持部品など、腐食性の雰囲気下で使用する用途に好適な、耐腐食性に優れた高導電性成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の一つである固体高分子型燃料電池(高分子電解質燃料電池)は、電解質に高分子イオン交換膜を用いた燃料電池であり、出力密度が高く小型軽量化に有利である;電解質が固体であることから逸失がない;差圧に強く加圧制御が容易である;構造が簡単で電解質が腐食性でないため耐久性の面で有利である;動作温度が低いので部品材質選択や起動停止特性の面で有利であるなどの優れた特長を有し、従来は主として宇宙開発用、軍用といった特殊な用途に適用されていたが、近年は、その環境保全性を重視した自動車用途への適用が積極的に行われている。
【0003】
固体高分子型燃料電池は、例えば図1(b)に示す如く、複数本の溝1Aを並設した2枚の電極支持板1,1を、図1(a)に示す如く、溝1Aの形成面が対向するように向かい合わせ、この支持板1,1間に電解質膜2を介して電極、即ち空気極3と燃料極4とを設けた構造を、単一セルとしている。前記のセルを直列に複数重ね合わせて使用する場合、電極支持板は「セパレータ」と呼ばれる。
【0004】
固体高分子型燃料電池では、燃料極4側の支持板1の溝1Aを経て燃料極4に水素を、また、空気極3側の支持板1の溝1Aを経て空気極3に酸素をそれぞれ供給すると、電解質膜2の中を水素イオンがHの形で移動することにより、以下のような反応が起こり、電力を取り出すことができる。
燃料極(アノード):H→2H+2e
空気極(カソード):/+2H+2e→H
【0005】
従来、固体高分子型燃料電池の電解質膜としては、イオン交換膜やパーフロロカーボンスルホン酸膜などが用いられている。また、電極(空気極,燃料極)としては、カーボンメッシュに白金を担持させたものが用いられている。そして、電極支持板は、これらの電極及び電解質膜を支持すると同時に、電極で発生した電子を取り出すものであるが、一般に、カーボン又はグラファイトの焼結体が用いられている。
【0006】
ところで、電極や電気的な接点、電磁波シールド用途の導電性樹脂組成物は、一般に、各種の熱可塑性樹脂に導電性物質を配合した構成とされているが、この導電性物質として、ステンレスや銅などの金属フィラーを充填すると体積抵抗値を10Ω・cm程度にまで下げることができ、導電性が向上するものの、屋外や水中などで使用する際は金属フィラーの腐食に起因する導電性の低下が問題となる。
【0007】
特に、燃料電池用の電極支持板用途においては、酸性高温の腐食環境下にさらされることから、このような腐食に起因する導電性の低下の問題のある導電性樹脂組成物の適用は好ましくない。
【0008】
一方、導電性物質として、カーボンブラックやカーボン繊維を練り込んだ導電性樹脂組成物では、腐食の問題はないが、この導電性樹脂では体積抵抗値10〜10Ω・cmが限界であり、電極等の用途には導電性が不十分である。
【0009】
このため、従来、炭素焼結体を切削加工するなどの方法も検討され、固体高分子型燃料電池の電極支持体にも適用されているが、加工コストがかさみ、製品のコストアップを招き、好ましくない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、安価な導電性成形品であって、耐腐食性に優れ、しかも導電性も十分に高い高導電性成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂と、平均繊維径が100nm以下で長さ/径比が10以上の炭素フィブリルとを含み、該熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂であり、該炭素フィブリルの含有量が熱可塑性樹脂と炭素フィブリルとの合計に対して2〜20重量%である樹脂組成物を、射出成形した後、該射出成形品を、樹脂の流動が実質的に生じない状態で、少なくとも表面の温度が該非結晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも30〜200℃高い温度で10秒間以上保持することを特徴とする、体積抵抗値が1×10Ω・cm以下である高導電性成形品の製造方法である。
又、本発明は、熱可塑性樹脂と、平均繊維径が100nm以下で長さ/径比が10以上の炭素フィブリルとを含み、該熱可塑性樹脂が結晶性樹脂及び/又は液晶性樹脂であり、該炭素フィブリルの含有量が熱可塑性樹脂と炭素フィブリルとの合計に対して2〜20重量%である樹脂組成物を、射出成形した後、該射出成形品を、樹脂の流動が実質的に生じない状態で、少なくとも表面の温度が該結晶性樹脂又は液晶性樹脂の融点(Tm)よりも5〜200℃高い温度で10秒間以上保持することを特徴とする、体積抵抗値が1×10 Ω・cm以下である高導電性成形品の製造方法である。
【0012】
本発明の高導電性成形品は、導電性樹脂成形品であるため、安価に提供される。また、金属フィラーを用いず、炭素フィブリルにより導電性を得るものであるため、耐腐食性に優れる。しかも、平均繊維径100nm以下で長さ/径比が10以上の炭素フィブリルを所定の割合で配合することにより、体積抵抗値1×10Ω・cm以下という高い導電性を実現することが可能である。
【0013】
本発明の高導電性成形品は、炭素フィブリルによる導電性を最大限に引き出すために次のような処理工程を経て製造されたものである。
(1) 熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂である場合
樹脂の流動が実質的に無い状態で、少なくとも成形品表面の温度が該非結晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも30〜200℃高い温度で10秒間以上保持する工程
(2) 熱可塑性樹脂が結晶性樹脂及び/又は液晶性樹脂である場合
樹脂の流動が実質的に無い状態で、少なくとも成形品表面の温度が該結晶性樹脂又は液晶性樹脂の融点(Tm)よりも5〜200℃高い温度で10秒間以上保持する工程
【0014】
このような処理工程を経ることによる導電性の向上効果の作用機構は次のように推定される。
【0015】
一般に、熱可塑性樹脂の溶融加工としては、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形などがあるが、いずれの成形法でも溶融した樹脂は、必ず流動や延伸を伴い、かつ急激に冷却される。そして、この加工時の流動や延伸により、樹脂中の炭素フィブリルは剪断力を受け、引き延ばされて、お互いの絡み合いが減少し、その結果、導電性は低下する。
【0016】
その状態で樹脂が冷却されると、引き延ばされた状態で炭素フィブリルは拘束されるので、得られる成形体の導電性は劣るものとなる。
【0017】
これに対して、一旦引き延ばされた炭素フィブリルは、マトリックス樹脂の粘度が十分に低い場合には、フィブリルの弾性回復により、再度絡み合いが起こり、導電性ネットワークが復元される。
【0018】
従って、溶融加工時又は2次加工時に、十分に炭素フィブリルの絡み合いによるネットワークが復元することができる状態を経ることで、得られる成形品の導電性は著しく向上する。
【0019】
即ち、例えば、射出成形により成形品を製造した場合、図2(a)に示す如く、熱可塑性樹脂と炭素フィブリル11を含む成形原料10を金型の成形空間12に射出すると、成形原料10の溶融物自体の温度は240〜300℃であっても、金型の温度は60〜140℃と低いために、射出された原料は金型面で急冷されることとなり、図2(b)に示す如く、金型面13に近い、成形品の表面近傍では、炭素フィブリル11が射出方向に配向したまま流動性を失った樹脂により拘束されることとなり、この部分で導電性を得ることができず、高抵抗となる。なお、成形品の内部では、このような急冷の問題が少なく、炭素フィブリル11はランダムに配向し、互いの絡み合いで比較的良好な導電性が得られる。
【0020】
そこで、本発明においては、樹脂の流動が実質的に無い状態で所定の温度に所定の時間保持することにより、マトリックス樹脂による炭素フィブリル11の拘束を解除し、図2(c)に示す如く、炭素フィブリル11同士の絡み合いを復元して良好な導電性を確保する。
【0021】
このような本発明の高導電性成形品は、特に腐食環境下にさらされる燃料電池用電極支持部品として好適である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の高導電性成形品の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
まず、本発明で用いる成形原料について説明する。
【0024】
<炭素フィブリル>
本発明で使用される炭素フィブリルは、平均繊維径が100nm以下の炭素フィブリルであり、例えば特表平8−508534号公報に記載されているものを使用することができる。
【0025】
炭素フィブリルは、当該フィブリルの円柱状軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファイト外層を有し、その繊維中心軸は直線状でなく、うねうねと曲がりくねった管状の形態を有する。この、炭素フィブリルの繊維径は製法に依存し、ほぼ均一なものであるが、炭素フィブリルの平均繊維径が100nmより大きいと、樹脂中でのフィブリル同士の接触が不十分となり、導電性を十分に発現させることが困難となる上に、安定した導電性が得られ難い。従って、炭素フィブリルとしては平均繊維径100nm以下、好ましくは20nm以下のものを用いる。
【0026】
一方、炭素フィブリルの平均繊維径は、0.1nm以上、特に0.5nm以上であることが好ましい。繊維径がこれより小さいと、製造が著しく困難であり、製品のコストアップを招く。
【0027】
また、炭素フィブリルは、長さと径の比(長さ/径比、即ちアスペクト比)が10以上のもの、好ましくは20以上、とりわけ好ましくは100以上のものを用いる。このような長さ/径比のものであれば、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
【0028】
なお、炭素フィブリルの繊維径、長さ(長さ/径比)は、例えば、得られた成形品の樹脂成分を溶媒やイオンスパッタリング等で除去して、炭素フィブリルを露出させて電子顕微鏡で観察するか、或いは成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡観察することにより測定することができ、このような電子顕微鏡の観察において10本の実測値の平均値で得られる。
【0029】
また、微細な管状の形態を有する炭素フィブリルの壁厚み(管状体の壁厚)は、通常3.5〜40nm程度である。これは、通常、炭素フィブリルの外径の約0.1〜0.4倍に相当する。
【0030】
炭素フィブリルはその少なくとも一部分が凝集体の形態である場合、原料となるマトリックス樹脂中に、面積ベースで測定して約50μmより大きい径を有するフィブリル凝集体、望ましくは10μmよりも大きい径を有するフィブリル凝集体を含有していないことが、所望の導電性を発現するための添加量が少なくてすみ、機械物性を低下させない点で望ましい。
【0031】
このような炭素フィブリルは、市販品を使用することができ、例えば、ハイペリオンカタリシスインターナショナル社の「BN」が使用可能である。
【0032】
<熱可塑性樹脂>
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、例えばポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルスルホン、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、液晶性ポリエステル等の熱可塑性樹脂或いはこれらの混合物が挙げられ、これらは、成形品の使用目的に応じて機械的強度、成形性等の特性から適宜選択することができる。
【0033】
これらのうち、非結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、変性ポリオキシメチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリスチレン、脂環式ポリオレフィンなどが挙げられ、結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。その他、液晶性ポリエステルなどの液晶性樹脂を使用することもできる。
【0034】
特に、燃料電池用の電極支持部品として使用する場合には、耐水性、耐酸性、耐熱性が要求されるため、結晶性樹脂、又は液晶樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、又はポリエーテルスルホンなどの耐熱性、耐加水分解性に優れた非結晶性樹脂を使用することが望ましい。
【0035】
<炭素フィブリルの割合>
炭素フィブリルの配合割合は、上記熱可塑性樹脂と炭素フィブリルとの合計に対して2〜20重量%、望ましくは3〜15重量%、さらに望ましくは5〜15重量%とする。炭素フィブリルの配合量が上記範囲よりも少ないと十分な導電性が得られず、多いと得られる成形品の強度が低下したり、コストアップに繋がり、好ましくない。
【0036】
<添加成分>
本発明においては、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で熱可塑性樹脂及び炭素フィブリル以外の任意の添加成分を配合することができる。
【0037】
例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどの各種カーボンブラック、炭素繊維(PAN系、ピッチ系)、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ほう酸アルミニウム繊維等の無機繊維状強化材、アラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等の有機繊維状強化材、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン等の無機充填材、フッ素樹脂パウダー、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤を挙げることができる。
【0038】
特に、平均直径5〜20μm、平均長さ0.05〜10mmの炭素繊維を、熱可塑性樹脂と炭素フィブリルとの合計100重量部に対して、1〜100重量部添加すると、導電性が良好となる。添加する炭素繊維としては特に制限はなく、ポリアクリロニトリルを焼成して製造されたPAN系炭素繊維や、ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維などが使用できる。
【0039】
本発明においては、炭素フィブリルの絡み合いによる導電性を最大限に引き出すために、高導電性成形品の溶融成形加工時において、次のような工程を経るようにすることが望ましい。
(1) 熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂の場合
実質的に樹脂の流動が生じない状態で、樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも30〜200℃、望ましくは60〜150℃高い温度で10秒以上、望ましくは15秒〜5分保持する。
(2) 熱可塑性樹脂が結晶性樹脂又は液晶性樹脂の場合
実質的に樹脂の流動が生じない状態で、樹脂の融点(Tm)よりも5〜200℃、望ましくは10〜150℃高い温度で10秒以上、望ましくは15秒〜5分保持する。
【0040】
上記処理工程において、処理温度が上記範囲より低い場合或いは処理時間が上記範囲より短い場合には、前述の炭素フィブリルの絡み合いの復元が十分に起こらず、導電性の向上効果が望めない。処理温度が過度に高く、また、処理時間が過度に長くても、導電性の向上効果に大差はなく、徒に処理コストが嵩み好ましくない。
【0041】
このような処理工程としては、具体的には、次のような方法を採用することができる。
(1) 一般的な溶融成形方法、即ち射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形などにより成形された成形品を、再度熱プレスや、アニール、赤外線などにより成形品表面(場合によっては表面及び内部)を所定の温度で所定の時間加熱処理する。
(2) 樹脂組成物ペレットから、直接、プレス成形などの流動を伴わない成形方法で所定の温度で所定の時間加熱加圧成形する。
(3) 射出成形などにおいて、溶融樹脂を上記所定の温度範囲の金型内に流し込み、所定の時間経過後、金型を冷却する。
【0042】
このようにして得られる本発明の高導電性成形品は、体積抵抗値1×10Ω・cm以下、好ましくは1×10−3〜5×10Ω・cmの著しく導電性に優れたものであり、情報電子、自動車、建築分野などの電気接点部品、電磁波シールド部品、電極部品、蓄電池用接点部品や、燃料電池用の電極支持部品など、腐食性の雰囲気下で使用する用途、とりわけ燃料電池用電極支持部品として好適に使用することができる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0044】
なお、以下の実施例、参考例及び比較例で用いた原料成分は下記の通りである。
【0045】
ポリカーボネート(PC)(Tg;145℃):三菱エンジニアリングプラスチック社製「ユーピロン S3000」
ポリブチレンテレフタレート(PBT)(Tm;225℃):三菱エンジニアリングプラスチック社製「ノバドゥール 5010」
ポリフェニレンスルフィド(PPS)(Tm;285℃):トープレン社製「トープレン LC6」
炭素フィブリル:ハイペリオンカタリシスインターナショナル社製「ハイペリオン BN」
カーボンブラック:電気化学工業社製「デンカブラック」
炭素繊維:三菱化学産資社製「ダイヤリード K223QG」(平均直径12μm、平均長さ6mm)
【0046】
実施例1〜、比較例1〜6、参考例1〜9
各種熱可塑性樹脂と炭素フィブリルマスターバッチを、表2〜4に示す配合で混合し、2軸押出機(池貝鉄鋼社製「PCM45」、L/D=32(L;スクリュー長、D;スクリュー径))を用いて溶融混練して、樹脂組成物のペレットを得た。
【0047】
なお、炭素フィブリルを配合する場合の配合混練は、あらかじめマトリックス樹脂に炭素フィブリルを15重量%添加したマスターバッチを製造し、これを希釈して所定の炭素フィブリル添加量とした。従って、参考例1、参考例5はマスターバッチをそのまま使用した。
【0048】
また、参考例6,7では、混練に当たり、更に炭素繊維を配合した。参考例3では炭素フィブリルの代りにカーボンブラックを配合し、比較例では炭素フィブリルの代りに炭素繊維を配合した。
【0049】
この混練条件は、表1に示す通りとした。
【0050】
【表1】
Figure 0004802368
【0051】
得られた樹脂組成物のペレットを用い、表2〜4に示す条件の成形法(一次加工)でシート成形を行った。なお、表2〜4の熱プレス成形及び射出成形は次のようにして行った。
(1) 熱プレス成形
ペレットを、25TONプレス成形機を使用して、圧力70Kg/cmにて、表2〜4に示す温度及び時間を保持し、その後、70kg/cmの圧力を保持したまま50℃まで冷却して100×100×2mm(厚さ)のシートを成形した。
(2) 射出成形
ペレットを、75TON射出成形機にて表2〜4に示す樹脂温度及び金型温度で100×100×2mm(厚さ)(2.1〜2.2mm(厚さ))のシートを成形した。
なお、実施例及び比較例では、射出成形後、2次加工として、次の方法で熱プレス処理を行った。
(3) 熱プレス処理
(2)で得られた射出成形シートの4周辺縁部を幅0.1〜0.3mm切断除去した後、100×100×2mm(厚さ)の型枠内で保持し、表2,3に示す温度の熱プレスを用い70Kg/cmの圧力で表2,3に示す時間加熱加圧処理した。
【0052】
得られたシートについて、下記方法により体積抵抗値を測定し、結果を表2〜4に示した。
[体積抵抗値測定]
体積抵抗値1×10Ω・cm未満のものはダイヤインスツルメント社製「ロレスタAP」(4探針、探針間距離5mm)を使用し、体積抵抗値1×10Ω・cm以上のものは、同社製「ハイレスタUP」(2探針(UPプローブ)、探針間距離20mm)を使用して、シート中央部の抵抗値を測定して体積抵抗値を得た。抵抗値1×10Ω・cm以上の測定における印加電圧は10Vとした。
【0053】
なお、参考例1で得られた成形シートの透過型電子顕微鏡観察により、用いた炭素フィブリルの平均繊維径は11.2nmで、長さ/径比は33以上であることを確認した。
【0054】
【表2】
Figure 0004802368
【0055】
【表3】
Figure 0004802368
【0056】
【表4】
Figure 0004802368
【0057】
表1より、本発明によれば、耐腐食性に優れ、比較的安価な導電性樹脂成形品であって、抵抗値が十分に低く導電性が著しく良好な高導電性成形品が提供されることがわかる。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の高導電性成形品の製造方法によれば、安価な導電性樹脂成形品であって、耐腐食性に優れ、しかも導電性も十分に高い高導電性成形品の製造方法が提供される。
【0059】
本発明の高導電性成形品は、情報電子、自動車、建築分野などの電気接点部品、電磁波シールド部品、電極部品、蓄電池用接点部品や、燃料電池用の電極支持部品など、腐食性の雰囲気下で使用する用途に工業的に極めて有用であり、特に燃料電池用電極支持部品、とりわけ固体高分子型燃料電池の電極支持板として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は固体高分子型燃料電池の構造を示す模式的な断面図であって、図1(b)は電極支持板を示す斜視図である。
【図2】 射出成形品の炭素フィブリルの配向を示す断面図である。
【符号の説明】
1 電極支持板
1A 溝
2 電解質膜
3 空気極
4 燃料極
10 成形原料
11 炭素フィブリル

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂と、平均繊維径が100nm以下で長さ/径比が10以上の炭素フィブリルとを含み、該熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂であり、該炭素フィブリルの含有量が熱可塑性樹脂と炭素フィブリルとの合計に対して2〜20重量%である樹脂組成物を、射出成形した後、該射出成形品を、樹脂の流動が実質的に生じない状態で、少なくとも表面の温度が該非結晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも30〜200℃高い温度で10秒間以上保持することを特徴とする、体積抵抗値が1×10 Ω・cm以下である高導電性成形品の製造方法
  2. 熱可塑性樹脂と、平均繊維径が100nm以下で長さ/径比が10以上の炭素フィブリルとを含み、該熱可塑性樹脂が結晶性樹脂及び/又は液晶性樹脂であり、該炭素フィブリルの含有量が熱可塑性樹脂と炭素フィブリルとの合計に対して2〜20重量%である樹脂組成物を、射出成形した後、該射出成形品を、樹脂の流動が実質的に生じない状態で、少なくとも表面の温度が該結晶性樹脂又は液晶性樹脂の融点(Tm)よりも5〜200℃高い温度で10秒間以上保持することを特徴とする、体積抵抗値が1×10 Ω・cm以下である高導電性成形品の製造方法
  3. 高導電性成形品が燃料電池用電極支持部品である請求項1又は2に記載の高導電性成形品の製造方法
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