JP4790104B2 - 高剛性及び高伸度を有するセグメント化ポリウレタン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セグメント化ポリウレタンに関するものである。更に詳しくは、初期弾性率(低歪みでの弾性率)及び破断伸びが共に大きく、かつ常用温度域での力学物性の変化が小さい高剛性・高伸度を有するセグメント化ポリウレタンに関する。従って、エラストマー、弾性繊維、コーテイング材等として使用できる。
【0002】
【従来技術とその問題点】
セグメント化ポリウレタンは、ポリオール、ジイソシアネート及び鎖延長剤の三成分から合成され、いわゆる硬質セグメント部分と軟質セグメント部分を分子内に有するブロックポリマー構造のポリウレタンで、高い物性を示すため、広く使われている。
【0003】
ポリオールとしては、従来ポリエーテルジオール及びポリエステルジオールが主に使用されてきたが、ポリカーボネートジオールを用いたセグメント化ポリウレタンは耐熱性、耐加水分解性、耐候性等に優れるため、注目されている。
これまでに、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の低級アルキルジオールを用いて得られるポリカーボネートジオール系のセグメント化ポリウレタンが知られている(特公昭45−9533号公報、特開平2−170813号公報、特開平4−7327号公報、特開平5−51428号公報など)。しかし、これらは剛性や伸びが充分でなく、その向上が求められている。また、実使用時の常用温度域(−20℃ 〜 +35℃)において、力学物性の変化が大きく、用途面で制約を受けることがあった。
【0004】
これらの問題に対し、セグメント化ポリウレタンの構成成分であるポリオール、ジイソシアネート及び鎖延長剤三成分の配合割合の検討、あるいはジイソシアネートや鎖延長剤の種類の検討、セグメント化ポリウレタンの分子量などの面からの検討もなされてはいるが、特に、軟質セグメント部分を創出するポリオール即ちポリカーボネートジオールの構造に関する検討が多くなされている。
例えば、剛性の改良に関しては、1,4−シクロヘキサンジメタノールのような剛直な脂環式アルキルジオールを使用する方法(特公昭55−19249号公報、特公昭61−34448号公報など)などが知られているが、逆に伸びが低下してしまう問題点がある。
【0005】
また、伸びの改良については、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどの側鎖を有するアルキルジオールを使用する方法(特開平2−158617号公報、特開平4−31418号公報、特開平4−332717号公報など)やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールあるいは、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等脂肪族ジオールのエーテル化物などエーテルジオールを使用する方法(特開昭63−305127号公報、特開平2−214713号公報、特開平2−240124号公報、特開平2−255822号公報など)等が提案されている。しかし、これらの方法ではいづれも剛性の向上は期待できない。
【0006】
この他、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの比較的高級アルキルジオールを用いて得られるセグメント化ポリウレタン(特公平3−54967号公報、特公平4−1764号公報、特開平3−72516号公報、特開平3−140318号公報、特開平4−342714号公報、特開平5−43646号公報など)や長鎖のダイマージオール(炭素数36)を用いて得られるセグメント化ポリウレタン(特開平10−251369号公報、特開平10−273514号公報など)も知られているが、剛性と伸びの両方において満足する値を示していない。
【0007】
更に、上記のいづれの提案においても、実使用時の常用温度域(−20℃ 〜 +35℃)における力学物性の変化が大きいことについての問題は解決されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような従来技術が解決できなかった問題点を解決した即ち、初期弾性率及び破断伸びが共に大きく、かつ、常用温度域での力学物性の変化が小さい高剛性及び高伸度を有するセグメント化ポリウレタンを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)1,12−ドデカンジオールとカーボネート化合物とから合成されるポリカーボネートジオール(B)鎖延長剤 及び(C)ジイソシアネートを含む成分から製造されることを特徴とする高剛性及び高伸度を有するセグメント化ポリウレタンによって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される(A)ポリカーボネートジオールは、1,12−ドデカンジオールとカーボネート化合物とから合成されるものである。
【0011】
脂肪族ポリカーボネートジオールの合成に使用するカーボネート化合物としては、炭酸根を有する直鎖/環状脂肪族化合物及び芳香族化合物のいづれでもよい。例えば、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートまたはアルキレンカーボネートであり、具体的にはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネートなど及びこれらの混合物を挙げることができる。本発明では、脂肪族ポリカーボネートジオールの合成は公知の方法によって行うことができる。即ち、1,12−ドデカンジオールとカーボネート化合物を、触媒として四塩化チタン、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネートなどのチタン系化合物や金属スズ、水酸化スズ、塩化スズなどのスズ系化合物等のエステル交換触媒を使用し、1,12−ドデカンジオールをカーボネート化合物とエステル交換反応させて得られる。1,12−ドデカンジオールとカーボネート化合物の使用比率は、特に限定されるものではないが、得られる脂肪族ポリカーボネートジオールの分子主鎖の両末端が殆ど完全に水酸基となるためには、カーボネート化合物の使用量に対して化学量論的に若干過剰量、好ましくは1〜30モル%過剰量の1,12−ドデカンジオールが用いられる。触媒の使用量は、1,12−ドデカンジオールの重量に対して10ppm〜1000ppmである。エステル交換反応の条件は、特に制限されないが、常圧下、通常110〜180℃で1〜4時間程度エステル交換反応を行い、さらに常圧下、110〜280℃程度で数時間反応させ、次いで同温度で徐々に真空度を高めながら最終的に20mmHg以下となる減圧下で数時間反応させることが望ましい。また、この反応は平衡反応であるから、副生するアルコール類またはフェノール類を連続的に系外へ抜き出し、除去することが望ましい。このためには、反応器に蒸留塔を設けて行うことが好ましい。また、上記副生物の留去を助けるために、反応系へ窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを少量通しながら反応を行うこともできる。本発明で得られた脂肪族ポリカーボネートジオールの分子量は、特に限定されるものではないが、数平均分子量で500〜3000程度が好ましい。数平均分子量が、あまりに低いと本発明に述べるような性質を持つセグメント化ポリウレタンが得られない。また、あまりに高い平均分子量を有する脂肪族ポリカーボネートはその合成自体が難しい。本発明では、必要に応じて上述の分子量調整がなされた反応生成物を、好ましくは使用したエステル交換触媒とほぼ同モルの、例えばリン酸ジブチルなどのリン系化合物で処理して、エステル交換触媒を不活性化することによって目的生成物の脂肪族ポリカーボネートジオールを得ることもできる。
【0012】
本発明で使用する(B)鎖延長剤は、本発明のセグメント化ポリウレタンの使用用途に応じて、硬質のものから軟質のものまで幅広い範囲に変化させるために、構成成分の一つとして配合されるものであり、イソシアネート基と反応する水素原子を少なくとも2個有する低分子量化合物である。
通常、脂肪族ポリオール及び脂肪族ポリアミンあるいは芳香族ポリアミンを挙げることができる。好ましくは炭素数11以下の脂肪族ポリオール及び脂肪族ポリアミンあるいは芳香族ポリアミンを挙げることができる。これらは単独でも混合して用いてもよい。
具体的には、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、p,p′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、メタ(パラ)キシリレンジアミンなどが挙げられ、より好ましくは、1,4−ブタンジオールである。
【0013】
本発明で使用する(C)ジイソシアネートは、脂肪族、脂環族または芳香族の各種公知のジイソシアネート化合物や高官能性もしくは高分子ジイソシアネートが使用される。具体的には、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート及びその誘導体が挙げられる。好ましくは、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートであり、より好ましくは、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。これらジイソシアネートは、単独でも混合して用いることもできる。
【0014】
本発明の高剛性及び高伸度を有するセグメント化ポリウレタンは、(A)1,12−ドデカンジオールとカーボネート化合物とから合成されるポリカーボネートジオール、(B)鎖延長剤及び(C)ジイソシアネートを含む成分からポリウレタン化反応によって製造することができる。
【0015】
このポリウレタン化反応は、無溶剤下で行うこともできるし、イソシアネート基に対して不活性な有機溶剤の存在下で行うこともできる。
【0016】
無溶剤系の場合は、(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールと(B)の鎖延長剤とを混合し、これに(C)のジイソシアネートを混合して、一度に反応させるか、あるいは(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールと(C)のジイソシアネートを反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマーを得た後、(B)の鎖延長剤を混合・反応させて高分子化するか、あるいは、(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールと(B)の鎖延長剤とを混合し、これに(C)のジイソシアネートの一部を混合・反応させてイソシアネート基を有するプレポリマーを得た後、残余の(C)のジイソシアネートを混合し、さらに反応させることによって製造することもできる。
【0017】
ポリウレタン化反応の温度は、特に制限はされないが、80〜150℃が好ましい。
【0018】
不活性な有機溶剤系を使用する場合は、(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールを不活性な有機溶剤に溶解し、さらに(B)の鎖延長剤を混合した後、これに(C)のジイソシアネートを混合し、一度に反応させるか、あるいは(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールを不活性な有機溶剤に溶解し、これに(C)のジイソシアネートを混合・反応させた後、さらに(B)の鎖延長剤を混合・反応させて高分子化するか、あるいは(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールを不活性な有機溶剤に溶解し、これに(B)の鎖延長剤と(C)のジイソシアネートの一部を混合・反応させた後、残余の(C)のジイソシアネートを混合し、さらに反応させてもよい。
【0019】
不活性な有機溶剤としては、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0020】
不活性な有機溶剤系でのポリウレタン化反応の温度は、特に制限はされないが、20〜100℃が好ましい。
【0021】
ポリウレタン化反応の促進のために、公知のトリエチルアミンやトリエチレンジアミンなどのアミン系やトリメチル錫ラウレートやジブチル錫ジラウレートなどのスズ系の触媒を用いてもよい。
【0022】
次に、(A)の脂肪族ポリカーボネートジオール、(B)の鎖延長剤及び(C)のジイソシアネート三者の配合割合については、(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールと(B)の鎖延長剤の使用比率は、特に制限はないが、前者1モルに対し後者が1/10〜10モルの範囲が好ましい。この値が余りにも少ないと、得られるセグメント化ポリウレタンの剛性が低く成り過ぎ、実用的でない。また、この値があまりに多いと、(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールに由来する本来の特徴が発現せず、本発明の目的を達成できない。
(C)のジイソシアネートの使用量は、得られるセグメント化ポリウレタンの分子量によって、特に限定されるものではないが、エラストマーとして使用される場合は、(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールの活性水素基である水酸基と(B)の鎖延長剤に含まれる活性水素基の合計モル数に対して(C)のジイソシアネートのイソシアネート基のモル数が、ほぼ等モルであることが望ましい。好ましくは、(A)の脂肪族ポリカーボネートジオールの活性水素基である水酸基と(B)の鎖延長剤に含まれる活性水素基の合計モル数と(C)のジイソシアネートのイソシアネート基とが、当量比で1:0.8〜1:1.2であり、より好ましくは、1:0.95〜1:1.05である。
この値があまりに小さいと、得られるセグメント化ポリウレタンの分子量が充分に上がらない。また、この値があまりに大きいと、得られるセグメント化ポリウレタンの分子量が大きくなり過ぎてゲル化したり、過剰のイソシアネート基による副反応が生じ、好ましくない。
【0023】
本発明で得られるセグメント化ポリウレタンは、分子末端がヒドロキシル基あるいはイソシアネート基のどちらでもよい。また、ウレタン結合及び/またはウレア結合とイソシアネート基との反応や、イソシアネート基と反応する水素原子を少なくとも3個有する低分子化合物の使用によって一部架橋構造を導入することもできる。
【0024】
また、本発明で得られるセグメント化ポリウレタンは、イソシアネート基と反応する水素原子を少なくとも2個有する低分子化合物、あるいはイソシアネート基を少なくとも2個有する低分子化合物とさらに反応して高分子量化もしくは網状化することもできる。
【0025】
本発明で得られるセグメント化ポリウレタンには、本発明の効果を損なわない範囲内で公知の各種添加剤を添加・混合しても差し支えない。
【0026】
本発明で得られるセグメント化ポリウレタンは、耐熱性、耐加水分解性、耐候性等に優れている上に、初期弾性率及び破断伸びが共に大きく、かつ常用温度域での力学物性の変化が小さいため、実使用時における材料としての信頼性が高く、高剛性及び高伸度を有するセグメント化ポリウレタンである。
そのため、ロール、ソリッドタイア、キャスター、靴底、チューブ、ホース、ベルト、フィルム及び各種射出成形部品などのポリウレタンエラストマー、ポリウレタン弾性繊維、ポリウレタンコーテイング材等として使用できる。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
なお、脂肪族ポリカーボネートジオールの諸物性は下記の方法によって測定した。
(1)水酸基価(OH価)
一定量の試料をエステル化用フラスコにはかりとり、無水フタル酸のピリジン溶液25mlをホールピペットで正確に加え、反応フラスコにエアーコンデンサーを付け、98±2℃でおだやかに振り動かしながら2時間加熱した。反応後、室温になるまで放置し、指示薬フェノールフタレインを用い、N/2の水酸化ナトリウムで未反応無水フタル酸を滴定した。
OH価は、次式により算出した。
OH価(mgKOH/g)= 28.05(B−A)f/S
ここで、Sは試料採取量(g)、Aは試料の滴定に要したN/2水酸化ナトリウム溶液の量(ml)、Bは空試験の滴定に要したN/2水酸化ナトリウム溶液の量(ml)、fはN/2水酸化ナトリウム溶液のファクターである。
(2)数平均分子量(Mn)
次式により算出した。
Mn=112200/OH価
(3)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)を用い、窒素ガス雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(4)融点(Tm)
示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)を用い、窒素ガス雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
【0028】
また、セグメント化ポリウレタンの諸物性は下記の方法によって測定した。
(5)引張特性
JIS K7311従い、引張試験機(オリエンテック製、テンシロン UCT−5T)を用い、23℃、50%RHにおいて測定した。初期弾性率、応力(100%、200%、300%及び破断伸び(即ち引張強度)での値)及び破断伸びを求めた。
(6)動的粘弾性
動的粘弾性測定装置(レオメトリクス製、RSAII)を用い、周波数1Hz、歪み量0.05%、−100〜200℃の温度範囲で引張モードで測定した。
【0029】
実施例1
脂肪族ポリカーボネートジオールの合成
攪拌機、温度計並びに塔頂部に分留管、還流ヘッド及びコンデンサーを備えた蒸留塔を装置した内容積2Lのガラス製反応容器に1,12−ドデカンジオール(宇部興産(株)製)0.85モル、ジメチルカーボネート(宇部興産(株)製)0.81モル及び触媒としてのテトラ−n−ブチルチタネート100ppm(重量基準で1,12−ドデカンジオールに対する値)を仕込み、加熱し、エステル交換反応によってメタノール及びメタノールと共沸するジメチルカーボネートを還流しながら130℃で3時間保持した。次いで、生成するメタノールとジメチルカーボネートの共沸物を留去させながら、5時間かけて190℃まで徐々に昇温した。その後190℃に保ったまま、4時間かけて、真空ポンプで徐々に減圧度を高め、最終的に20mmHgの圧力で2時間反応させ、反応生成物としてポリカーボネートジオールを得た。
次に、このようにして得られたポリカーボネートジオールに、テトラ−n−ブチルチタネートと等モル量のリン酸ジブチルを加え、110℃で2時間攪拌した。得られたポリカーボネートジオールの物性を表1に示す。このポリカーボネートジオールを、以後ポリカーボネートジオールAと表わす。
【0030】
セグメント化ポリウレタンの合成とその物性評価
攪拌機、温度計及び冷却管を装着した内容積1Lのガラス製反応容器中で、ポリカーボネートジオールA 60g(0.0284モル)及び1,4−ブタンジオール 5.15g(0.0572モル)をN,N’−ジメチルホルムアミド202gに60℃で完全に溶解した。次に、この溶液約1gを注射器で抜き出し、カールフィッシャー水分測定装置で水分率を測定した結果、263.7ppm(0.0039モル)であった。
ポリカーボネートジオールA、1,4−ブタンジオール及び水分の各モル数の合計量にほぼ等しくなるよう、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート 21.93g(0.0877モル、NCO/OH=0.98(モル比))を秤量し、上記溶液に加えた。続いて、温度を80℃に再設定し、加熱・反応を開始した。反応の進行と共に溶液粘度が上昇するため、E型粘度計を使用して1時間毎に溶液粘度を測定し、粘度上昇がほぼ見られなくなった5時間後に反応を停止した。 その結果、この溶液の最終粘度は、40℃において62.0Pa・secであった。
そこで、このセグメント化ポリウレタン溶液を60℃に加熱した後、離型性のあるガラス板上にキャストし、70℃で1時間、次いで120℃で2時間熱処理して約200μmの厚さのフィルムを得た。このフィルムの物性を表2及び図1に示した。
【0031】
実施例2
実施例1において、ポリカーボネートジオールA 90g(0.0426モル)及び1,4−ブタンジオール 3.86g(0.0429モル)をN,N’−ジメチルホルムアミド202gに60℃で完全に溶解した。次に、この溶液約1gを注射器で抜き出し、カールフィッシャー水分測定装置で水分率を測定した結果、260ppm(0.0043モル)であった。
ポリカーボネートジオールA、1,4−ブタンジオール及び水分の各モル数の合計量にほぼ等しくなるよう、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート 22g(0.088モル、NCO/OH=0.98(モル比))を秤量し、以下同様にして得られたセグメント化ポリウレタンフィルムの物性を表2に示した。
【0032】
実施例3
実施例1において、ポリカーボネートジオールA 36g(0.017モル)及び1,4−ブタンジオール 6.18g(0.0686モル)をN,N’−ジメチルホルムアミド202gに60℃で完全に溶解した。次に、この溶液約1gを注射器で抜き出し、カールフィッシャー水分測定装置で水分率を測定した結果、265ppm(0.0036モル)であった。
ポリカーボネートジオールA、1,4−ブタンジオール及び水分の各モル数の合計量にほぼ等しくなるよう、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート 21.85g(0.0874モル、NCO/OH=0.98(モル比))を秤量し、以下同様にして得られたセグメント化ポリウレタンフィルムの物性を表2に示した。
【0033】
比較例1
脂肪族ポリカーボネートジオールの合成
実施例1において、1,12−ドデカンジオールに替えて1,6ヘキサンジオール(宇部興産(株)製)を使用した以外は全く同様にして得られたポリカーボネートジオールの物性を表1に示した。このポリカーボネートジオールを、以後ポリカーボネートジオールBと表わす。
【0034】
セグメント化ポリウレタンの合成とその物性
ポリカーボネートジオールB 60g(0.0299モル)及び1,4−ブタンジオール 5.39g(0.0599モル)をN,N’−ジメチルホルムアミド205gに60℃で完全に溶解した。次に、この溶液約1gを注射器で抜き出し、カールフィッシャー水分測定装置で水分率を測定した結果、537.4ppm(0.0081モル)であった。
ポリカーボネートジオールB、1,4−ブタンジオール及び水分の各モル数の合計量にほぼ等しくなるよう、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート 23.98g(0.0959モル、NCO/OH=0.98(モル比))を秤量し、以下同様にして粘度上昇がほぼ見られなくなった6時間後に反応を停止した。この溶液の最終粘度は、40℃において46.5Pa・secであった。得られたセグメント化ポリウレタンフィルムの物性を表2及び図1に示した。
【0035】
比較例2
脂肪族ポリカーボネートジオールの合成
実施例1において、1,12−ドデカンジオールに替えてジエチレングリコール(日本触媒(株)製)を使用した以外は全く同様にして得られたポリカーボネートジオールの物性を表1に示した。このポリカーボネートジオールを、以後ポリカーボネートジオールCと表わす。
【0036】
セグメント化ポリウレタンの合成とその物性
ポリカーボネートジオールC 60g(0.0266モル)及び1,4−ブタンジオール 4.79g(0.0532モル)をN,N’−ジメチルホルムアミド198gに60℃で完全に溶解した。次に、この溶液約1gを注射器で抜き出し、カールフィッシャー水分測定装置で水分率を測定した結果、311.7ppm(0.0046モル)であった。
ポリカーボネートジオールC、1,4−ブタンジオール 及び水分の各モル数の合計量にほぼ等しくなるよう、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート21.42g(0.0857モル、NCO/OH=1.015(モル比))を秤量し、以下同様にして粘度上昇がほぼ見られなくなった7時間後に反応を停止した。その結果、この溶液の最終粘度は、40℃において29.15Pa・secであった。 得られたセグメント化ポリウレタンフィルムの物性を表2及び図1に示した。
【0037】
比較例3
脂肪族ポリカーボネートジオールの合成
実施例1において、1,12−ドデカンジオールに替えて、1,9−ノナンジオールと2−メチル−1,8−オクタンジオールの混合物(1,9−ノナンジオール/2−メチル−1,8−オクタンジオール=65/35モル%比)(クラレ(株)製)を使用した以外は全く同様にして得られたポリカーボネートジオールの物性を表1に示した。このポリカーボネートジオールを、以後ポリカーボネートジオールDと表わす。
【0038】
セグメント化ポリウレタンの合成とその物性
ポリカーボネートジオールD 60g(0.0296モル)及び1,4−ブタンジオール 5.32g(0.0591モル)をN,N’−ジメチルホルムアミド200gに60℃で完全に溶解した。次に、この溶液約1gを注射器で抜き出し、カールフィッシャー水分測定装置で水分率を測定した結果、370ppm(0.0055モル)であった。
ポリカーボネートジオールD、1,4−ブタンジオール 及び水分の各モル数の合計量にほぼ等しくなるよう、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート23.31g(0.0933モル、NCO/OH=0.99(モル比))を秤量し、以下同様にして粘度上昇がほぼ見られなくなった7時間後に反応を停止した。その結果、この溶液の最終粘度は、40℃において68.0Pa・secであった。得られたセグメント化ポリウレタンフィルムの物性を表2に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明で得られるセグメント化ポリウレタンは、1,12−ドデカンジオールを含有する脂肪族炭化水素とカーボネート化合物から合成される脂肪族ポリカーボネートジオールを用いているために、耐熱性、耐加水分解性、耐候性等に優れている上に、初期弾性率及び破断伸びが共に大きく、かつ常用温度域での力学物性の変化が小さいため、実使用時における材料としての信頼性が高く、高剛性及び高伸度を有するセグメント化ポリウレタンである。
【図面の簡単な説明】
【図1】セグメント化ポリウレタンの貯蔵弾性率(E’)温度依存性の結果を示したものである。
Claims (3)
- (A)1,12−ドデカンジオールとカーボネート化合物とから合成されるポリカーボネートジオール、(B)鎖延長剤及び(C)ジイソシアネートを含む成分から製造されることを特徴とする高剛性及び高伸度を有するセグメント化ポリウレタン。
- (A)1,12−ドデカンジオールとカーボネート化合物とから合成されるポリカーボネートジオール1モルに対し、(B)鎖延長剤1/10〜10倍モルを使用し、(A)+(B)の活性水素基の1当量に対し、(C)ジイソシアネートのイソシアネート基が0.8〜1.2当量を含む成分から製造されることを特徴とする請求項1に記載の高剛性及び高伸度を有するセグメント化ポリウレタン。
- (B)鎖延長剤として1,4−ブタンジオール及び(C)ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の高剛性及び高伸度を有するセグメント化ポリウレタン。
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