JP4787540B2 - 色素増感型太陽電池素子の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、シール用樹脂としてエポキシ樹脂、シリコン樹脂等が用いられ、さらにシール部にガラス、金属又はプラスチックの封止用固形物で固定する方法が報告示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、シール用樹脂設置位置はセル基板断面を利用しており、またこれらのシール用樹脂は電解液中の溶媒により侵食又は膨潤を起こし、封止用固形物を用いたとしても電解液との接触部は長期的シール性能に問題がある。
しかしながら、ポリイソブチレン系樹脂は電解液中の溶媒やヨウ素に対する侵食又は膨潤は抑制できるものの、シール材をあらかじめ硬化しセルを作製した後に電解液を注入し、次いで注入口を紫外線硬化型シール材で封止するため、セル作製工程が煩雑であるとともに注入口部のシールは紫外線硬化までに電解液と接触するため、硬化不足又は基板との密着性に問題を起こすおそれがある。
しかしながら、電解質層は対向する基板への密着性は十分なものの、セル周辺のシールは、電解質層を加熱圧着後のセルの周辺断面にエポキシ樹脂等を用いて封止しているため、加熱圧着時に電解質中の成分がセル周辺断面より蒸発し、太陽電池性能が低下するおそれがあり、またセル面内にシール材が配置されていないため、長期的にはシール部が剥離等の問題を起こすおそれがある。
図1および図2は、従来の技術により作製された色素増感型太陽電池素子の概略断面図を示す。
図1は、触媒層4を有する導電性基板2と色素で修飾された半導体層3を有する透明導電性基板1を重ね合わせた後、電解質12を基板間にしみこませた後、セル周辺をエポキシ樹脂等のシール材10に加えて、プラスチック等の封止用固形物11を用いて封止してセルを作製する方法である。
図2は、電解質注入口9と触媒層4を有する導電性基板2と色素で修飾された半導体層3を有する透明導電性基板1を、重ね合わせるときにセル周辺部にシール材10を塗布してセルを作製した後、前記注入口より電解質12を注入し、その後注入口を封止してセルを作製する方法である。
本発明にかかる色素増感型太陽電池素子は、図3に示したように、光透過性を有する導電性基板1上に色素で修飾された半導体層3を有する電極基板と、導電性基板2上に触媒層4を有する対向電極基板とを、所定の間隔を隔てて対向させ、これらの基板間に電解質5を配置し、基板間の周縁部にシール材6を設置した構成である。
図5は、図4のようなシールを設置した後、対向する基板を重ね合わせたセル内に電解質を充填し、セルを真空脱気する方法を示す例である。
(1)前記硬化性樹脂のペーストを基板表面に公知の印刷方法を用いて所望の形状に形成する方法、
(2)基板表面に前記硬化性樹脂を随時塗布していく方法、
(3)前記硬化性樹脂をノズルから吐出させながら掃引し、基板上に任意のパターンを形成する方法、
等によりシール材を塗布してシールする方法を挙げることができ、特に(3)による方法が好ましい。
また基板へのシール材の塗布は1対の基板のうちのどちらか片方のみでも、また両方に行っても良い。
また、スペーサー材料の径についても特に制限はないが、好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下である。
またシール部に設置する貫通口の数は、素子内部が真空脱気できれば良く、特に限定されないが、設置の手間を考慮すると、20個以内が好ましく、さらに好ましくは10個以内に設置するのが好ましい。
また前記袋状パック内に挿入する素子数には何ら規制がなく、2以上の素子を同時に挿入しても良い。複数素子の同時処理により作業効率が向上することは言うまでもない。
なお、硬化性樹脂の硬化方法は用いる硬化性樹脂により異なることは言うまでもない。
光硬化の場合では、開始剤の吸収波長に適合したランプであれば、低圧、高圧、超高圧の各水銀ランプ、キセノンランプ、白熱ランプ、レーザー光などが利用できる。硬化の際には素子全面を均一露光することで、全面同時硬化しても良いし、ランプや光源を移動させたり、光ファイバーなどの導光性材料を利用することによって集光したスポット光を走査して逐次硬化しても良い。
また、2回以上繰り返すことによって硬化させても良い。
光透過性を有する導電性基板は、通常、透明基板上に透明電極層を有するものである。
透明基板としては、特に限定されず、材質、厚さ、寸法、形状等は目的に応じて適宜選択することができ、例えば無色あるいは有色ガラス、網入りガラス、ガラスブロック等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂でも良い。かかる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。なお、本発明における透明とは、10〜100%の透過率、好ましくは50%以上の透過率を有することであり、また、本発明における基板とは、常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
導電膜の膜厚は通常、100〜10000μm、好ましくは500〜3000μmである。また、表面抵抗(抵抗率)は適宜選択されるところであるが、通常、0.5〜500Ω/sq、好ましくは1〜50Ω/sqである。
半導体層の形成方法としては、上記半導体のナノ粒子分散液、ゾル溶液等を、公知の方法により基板上に塗布することで得ることが出来る。この場合の塗布方法としては特に限定されるものではなく、キャスト法による薄膜状態で得る方法、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法のほか、スクリーン印刷法を初めとした各種の印刷方法を挙げることができる。
半導体層の厚みは任意であるが、通常、0.1μm〜300μmであり、好ましくは1μm〜50μmである。
本発明において用いることができる色素としては、半導体層の光吸収効率を向上させる色素であれば、特に制限されるものではなく、通常、各種の金属錯体色素や有機色素の一種または二種以上を用いることができる。また、半導体層への吸着性を付与するために、色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、カルボキシルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、スルホニルアルキル基、ホスホニルアルキル基などの官能基を有するものが好適に用いられる。
金属錯体色素としては、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、亜鉛の錯体や、金属フタロシアニン、クロロフィル等を用いることができる。
導電性基板は、基板自身が導電性あるいは少なくとも一方の面が導電性であればよく、透明な導電性基板でも、また不透明な導電性基板でも良い。透明な導電性基板としては前述の透明導電性基板が挙げられ、不透明な導電性基板としては種々の金属製電極のほか、例えばガラス基板上に成膜されたAu、Pt、Crなどを挙げることができる。
触媒層の形成方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を採用することができる。例えば、白金などの場合には,通常公知の真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、あるいはスパッタリング法などにより製造することができる。また、前記の触媒形成材料とバインダーを混合してペースト状とし、導電性基板表面にスクリーン印刷、平板印刷、グラビア印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、特殊印刷する方法、ドクターブレード法等によっても製造することができる。
溶媒としては、一般に電気化学セルや電池に用いられる溶媒であればいずれも使用することができる。具体的には、無水酢酸、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメトキシエタン、プロピオンニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸エチルジメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリペンチル、リン酸トリへキシル、リン酸トリヘプチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリノニル、リン酸トリデシル、リン酸トリス(トリフフロロメチル)、リン酸トリス(ペンタフロロエチル)、リン酸トリフェニルポリエチレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルが好ましい。
レドックス性常温溶融塩はその1種を単独で使用することができ、また2種以上を混合しても使用することもできる。
塩類としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩などが使用でき、特にLi塩が好ましい。
酸類も特に限定されず、無機酸、有機酸などが使用でき、具体的には硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類などが使用できる。
アルカリ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがいずれも使用可能である。
表面抵抗値2Ω/sqの10cm角ITOFガラス上に、SOLARONIXS社製のチタニアペーストTi−Nanoxide T/SPをスクリーン印刷法により塗布し100℃で乾燥させた。塗布した基板を、450℃で30分焼成した。焼成後のチタニア半導体層の膜厚を触針式膜厚計で計測したところ12μmであることが分かった。この基板を下記式(1)で示されるルテニウム色素/エタノール溶液(3.0×10−4mol/L)に15時間浸し、色素を吸着させた。
ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン)ブロック共重合体(ヘキサフロロプロピレン含有量:5重量%)6gを、γ−ブチロラクトン14gおよびアセトン15gの混合溶媒に溶解した。
この溶液に、ヨウ素230mg、ヨウ化リチウム1.2gおよび4−t−ブチルピリジン6.0gを加えて加熱溶解を行った後、室温まで冷却し、次いでガラス基板上に塗布し、アセトンを気化・除去し、厚み52μmのフィルムを得た。
得られたゲル電解質フィルムを前記基板上に装てん後、この基板の4辺周縁部に熱硬化型ポリイソブチレン系シール材に50μmのガラスビーズを混ぜてたものを、ディスペンサー法を用いて所定量塗布した。また貫通口は2mm幅で基板4隅に設けた。
なお、透明導電性基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得た素子にAM1.5Gの疑似太陽光を照射し、電流電圧特性を測定したところ、良好な光電変換特性(変換効率4.1%)が得られた。
また、この素子を室温下1000時間放置後に評価した結果、光電変換特性(変換効率4.0%)はほとんど変化せず、液漏れ等シール部の破壊は認められなかった。
実施例1で作製した素子を80℃の環境下200時間放置後に評価した結果、光電変換特性(変換効率3.4%)は低下したものの液漏れ等シール部の破壊は認められなかった。
図5に示したようなナイロン製袋に、5つのセルを同時に装てんした以外は、実施例1と同様の方法で行い、素子を作製した。
このようにして得た5つの素子に、それぞれAM1.5Gの疑似太陽光を照射し、電流電圧特性を測定したところ、5つの素子とも良好な光電変換特性(変換効率4.1〜4.3%)が得られた。
実施例1において、図5に示したようなナイロン製袋に挿入しないでセル周辺部をクリップを用いて貫通口を閉塞させた後、加熱オーブンを用いて100℃で30分間処理し、シール材を硬化させた以外は実施例1と同様の方法でセルを作製した。
得られたセルの間隔は100μmであり、周辺部に空隙を生じ、基板と電解質層界面に一部剥離が認められた。
次いで、透明導電基板の導電層部分と対向電極にはリード線を接続した。
このようにして得た素子にAM1.5Gの疑似太陽光を照射し、電流電圧特性を測定したところ、光電変換特性(変換効率1.2%)が得られた。
上記のように真空脱気せずに封止したことにより、セル内部に空気が残留すると同時に、セル間隔が広がり基板と電解質層が均一密着していないため、光電変換効率が、実施例1に比べて大幅に低下した。
また、この素子を室温下1000時間放置後に評価した結果、光電変換特性(変換効率0.5%)が低下した。
2 導電性基板
3 光増感型色素で修飾された半導体層
4 触媒層
5 電解質
6 硬化型シール材
8 貫通口
9 注入口
10 シール材
11 封止用固形物
12 電解質
13 封止前太陽電池セル
14 真空引き袋
15 真空引き治具
Claims (1)
- 光透過性を有する導電性基板上に色素で修飾された半導体層を有する電極基板と、導電性基板上に触媒層を有する対向電極基板とを所定の間隔を隔てて対向させ、これらの基板間に電解質を配置し、該基板間の周縁部をシール材によりシールして成る色素増感型太陽電池素子の製造方法であって、前記シール材として硬化型材料を使用し、かつシール部の一部に貫通口を設けてセルを形成した後、当該セル内部を真空脱気し、真空脱気にともなってシール材が変形してシール材同士が結合することにより前記貫通口が閉塞した後、シール材を硬化させることを特徴とする色素増感型太陽電池素子の製造方法。
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