JP4777685B2 - 送風機用ケーシング及び遠心式送風機 - Google Patents

Description

本発明は、主に低比速度（少流量）域で用いられる送風機用ケーシング及び遠心式送風機に関する。

遠心送風機の一例について説明すると、ケーシング内の旋回室にモータ等の駆動で回転する遠心ファンが設けられている。このケーシングの中心部に設けられた吸込み口より流体を旋回室内へ吸い込み、遠心ファンの回転によって生ずる流体の遠心力を利用して流体を旋回室内に沿って移動させて吐出口から吐出するようになっている。

具体的には、図３（ａ）において、ケーシング５１は上ケース５２と下ケース５３より旋回室５４が形成されている。この旋回室５４内には遠心ファン５５が設けられている。遠心ファン５５の下ケース５３側にはモータ５６が設けられている。モータ５６のモータ軸に遠心ファン５５が組み付けられて回転駆動される。上ケース５２の中心部には流体（空気、水など）を吸い込む吸込み口５７が設けられている。

図３（ｂ）において、遠心ファン５５の回転方向下流側には吐出口５８が設けられている。この吐出口５８付近には旋回室５４と吐出口５８とを仕切る舌部５９が設けられている。遠心ファン５５の回転により吸込み口５７より吸引して旋回室５４内を周回しながら吐出口５８から吐出される流体の旋回室５４内への再循環を舌部５９によって防ぐようになっている。図３（ｃ）において、舌部５９は、上ケース５２と下ケース５３の一部を軸芯方向で突き当てて形成される（特許文献１参照）。
特開平１１−３０３７９６号公報

上述した遠心送風機においては、遠心ファン５５の回転面と交叉する位置に舌部５９が設けられるため（図３（ｃ）参照）、遠心ファン５５を通過した流体が舌部５８に直接衝突することにより吐出口付近で周期的な圧力変動が発生しこれが騒音源の一つになっている。
図４は、一例として従来構造の遠心送風機で発生する音圧の周波数特性である。この騒音を低減するため、一般的には舌部５９の形状を変える、遠心ファン５５とケースの舌部５８との距離を変えるなどの手法がとられる。しかしながら、騒音レベルを大幅に低下しようとすると、静圧の低下などの送風機の性能が低下する場合が多い。

本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、送風機の性能を低下させることなく騒音を低減可能な送風機用ケーシング及び遠心送風機を提供することにある。

本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
上ケースと下ケースの端面どうしを突き当てて形成される旋回室内に収容される遠心ファンの回転により、軸方向から吸引した流体を当該遠心ファンの回転方向に沿って旋回室内に形成される流路に沿って周回させる送風機用ケーシングであって、 吐出側送風路と旋回室内の送風路とが交叉する部位に、旋回室と吐出側送風路を仕切る舌部が設けられ、該舌部は前記遠心ファンの径方向延長線上から軸方向に全部分がシフトした位置に形成されていることを特徴とする。
また、遠心式送風機においては、上ケースと下ケースの端面どうしを突き当てて形成される旋回室内のうち前記上ケース側に収容され前記下ケース側に設けられた駆動源により回転軸を中心に回転駆動される遠心ファンと、該遠心ファンを前記旋回室に収容する請求項１の送風機用ケーシングを備え、前記遠心ファンの回転により軸芯方向から吸引した流体を遠心ファンの回転方向に沿って旋回室内に形成される流路に沿って周回させて前記吐出側送風路を経て吐出口から吐出することを特徴とする。
また、前記旋回室に接続する吐出側送風路が軸芯方向で駆動源側へシフトして設けられることを特徴とする。

上述した送風機用ケーシング及び遠心送風機を用いれば、旋回室と吐出側送風路を仕切る舌部が、流体のファン吐出部から軸方向にシフトした位置に形成されているため、遠心ファンより送り出される流体が旋回室と吐出側送風路とを仕切る舌部に衝突する量を減らすことができる。よって、舌部が原因となる干渉騒音の発生を低減できる。
旋回室に接続する吐出側送風路が軸芯方向で駆動源側へシフトして設けられることにより、遠心ファンは上方に張り出した上ケース内に設けられるが、駆動源は相対的に上ケース側にシフトした下ケース側に組み付けられるため、装置全体の軸芯方向の高さを変えずに高静圧、低流量の遠心送風機を提供できる。

以下、本発明に係る遠心送風機の最良の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る送風機用ケーシング及び遠心送風機は、主に低比速度（少流量）域で流体を送り出す場合に好適に用いられる。

遠心送風機の概略構成について図１を参照して説明する。
図１（ａ）において、ケーシング１は上ケース２と下ケース３とを端面どうしを突き当てることにより旋回室４が内部に形成される。上ケース２と下ケース３は、例えばアルミダイカストが用いられる。旋回室４内には、モータ５により回転駆動される遠心ファン６が設けられている。モータ５は、ブラシ付モータ、ブラシレスモータのいずれでもよいが、静音化を図るうえではブラシレスモータが望ましい。

図１（ｂ）において、上ケース2の中心部には吸込み口７が設けられており、遠心ファン６の回転により吸込み口７から軸芯方向に旋回室4内に流体（例えば空気）が吸引される。旋回室4内に吸引された空気は遠心ファン６の回転方向に沿って旋回室４内に形成される流路に沿って周回させて吐出側送風路９を経て吐出口８より吐出されるようになっている。

また、図１（ｃ）において、下ケース３には、吐出側送風路９と旋回室４内の送風路が交叉する部位に、旋回室４と吐出側送風路９を仕切る舌部１０が設けられている。この舌部１０は流体のファン吐出部（外周部）１１と軸方向にシフトした位置に形成されている。これにより、遠心ファン６より送り出される流体が舌部１０に衝突する量を減らすことができ、舌部１０が原因となる干渉騒音の発生を低減できる。

図２は、本発明の構造の遠心送風機を用いて測定した図４と同一条件下における音圧の周波数特性である。図２において、羽根数×回転数成分（いわゆるＮＺ音）である１．７ｋＨｚ及びその整数倍のピーク周波数及び２〜３ｋＨｚ帯域での音圧レベルが顕著に低下していることが分かる。

また、旋回室４に接続する吐出側送風路９が軸芯方向でモータ５側（下ケース３側）へシフトして設けられることにより、遠心ファン６は上方に張り出した上ケース２内に設けられるが、モータ５は相対的に上ケース２側にシフトした下ケース３側に組み付けられるため、装置全体の軸芯方向の高さを変えずに高静圧、低流量の遠心送風機を提供できる。

尚、本実施例では、送風機について説明したが、流体としては空気に限らず、特定用途のガス、液体などの反応性流体であってもよい。また、駆動源は、例えばブラシ付モータ、ブラシレスモータを問わず様々なモータを用いることが可能である。

遠心送風機の部分断面図、上ケースを取り除いた上視図、矢印Ａ−Ａ断面図である。 音圧周波数特性のグラフ図である。 従来の遠心送風機の部分断面図、上ケースを取り除いた上視図、矢印Ｂ−Ｂ断面図である。 従来の音圧周波数特性のグラフ図である。

符号の説明

１ ケーシング
２ 上ケース
３ 下ケース
４ 旋回室
５ モータ
６ 遠心ファン
７ 吸込み口
８ 吐出口
９ 吐出側送風路
１０ 舌部
１１ ファン吐出部

Claims (3)

1. 上ケースと下ケースの端面どうしを突き当てて形成される旋回室内に収容される遠心ファンの回転により、軸方向から吸引した流体を当該遠心ファンの回転方向に沿って旋回室内に形成される流路に沿って周回させる送風機用ケーシングであって、
   吐出側送風路と旋回室内の送風路とが交叉する部位に、旋回室と吐出側送風路を仕切る舌部が設けられ、該舌部は前記遠心ファンの径方向延長線上から軸方向に全部分がシフトした位置に形成されていることを特徴とする送風機用ケーシング。
2. 上ケースと下ケースの端面どうしを突き当てて形成される旋回室内のうち前記上ケース側に収容され前記下ケース側に設けられた駆動源により回転軸を中心に回転駆動される遠心ファンと、該遠心ファンを前記旋回室に収容する請求項１の送風機用ケーシングを備え、
   前記遠心ファンの回転により軸芯方向から吸引した流体を遠心ファンの回転方向に沿って旋回室内に形成される流路に沿って周回させて前記吐出側送風路を経て吐出口から吐出することを特徴とする遠心式送風機。
3. 前記旋回室に接続する吐出側送風路が軸芯方向で駆動源側へシフトして設けられることを特徴とする請求項２記載の遠心式送風機。

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