JP4776153B2 - ストレス関連小胞体タンパク質serp1遺伝子欠損モデル非ヒト動物 - Google Patents

ストレス関連小胞体タンパク質serp1遺伝子欠損モデル非ヒト動物 Download PDF

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Description

本発明は、ストレス関連小胞体タンパク質SERP1遺伝子機能が染色体上で欠損した、インスリン生合成の異常によるインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物、及び該インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物を用いた、該インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法及び、該インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の診断法等に関する。
真核細胞においては、その細胞内膜系の一つとして小胞体(endoplasmic reticulum:ER)と呼ばれる小器官がある。小胞体(ER)では、一重膜に囲まれた細管状或いは平板状の膜系がつながり、細胞質全体に広がる一つの網状構造が形成されている。小胞体(ER)には、リボソームを結合しタンパク質合成を行う粗面小胞体とリボソームを結合していない滑面小胞体とが存在する。小胞体の機能としては、粗面小胞体では、分泌タンパク質、細胞膜タンパク質、ゴルジ体タンパク質、リソソームタンパク質、小胞体タンパク質等の合成が行われている。
また、滑面小胞体では、主として、リン脂質やコレステロールなどの複合脂質の合成や、NADPHとNADHを水素供与体とし、シトクロムP450、シトクロムb5とそれぞれの還元酵素からなる二つの電子伝達系やグルコース−6−ホスファターゼ、エステラーゼ等の酵素の存在下に、種々の内因性、外因性物質の代謝への関与が行われている。更に、滑面小胞体では、Ca2+結合タンパク質やCa2+−ATPアーゼ、イノシトール1,4,5−トリスリン酸(IP3)受容体の存在により、動因可能な細胞内Ca2+貯留を構成し、細胞内シグナル伝達に重要な役割が演じられている。
これらの小胞体は、膵臓においては、粗面小胞体が著明に発達し、肝細胞では、粗面小胞体と滑面小胞体とが約1:1の比率で、また、Ca2+貯留の機能の発達した筋細胞や神経細胞では、固有の滑面小胞体が存在する。
小胞体(ER)では、膜タンパク質及び分泌タンパク質がそれぞれ正しく折りたたまれ(folding)、オリゴマーの形成がなされている。細胞がいったんグルコース欠乏、タンパク質の糖鎖形成の抑制、Ca2+恒常性の阻害(小胞体ストレス)又は低酸素などのストレスにさらされると、折り畳まれていないタンパク質が小胞体に蓄積し、真核細胞は転写の誘導、翻訳の抑制、及び分解にかかわる機構で応答する(Cell. 101, 451-454, 2000)。このように真核細胞が、ストレスにさらされると細胞の応答反応として、ストレスタンパク質の誘導がなされるが、ストレスタンパク質は、タンパク質の折りたたみ(高次構造形成)や解離会合を制御(シャペロン機能)し、膜透過、局在化、分解などに重要な役割を果たす。小胞体ストレス関連タンパク質の最も重要な役割として、虚血、糖尿病、癌及び神経変性疾病等といった、様々な病理学的症状が知られており、これまでにも多くの報告がなされている(Nature Med. 7, 317-323, 2001、Mol Cell. 7, 1153-1163, 2001、J. Clin. Invest. 109, 525-532, 2002、Cancer Res. 61, 4206-4213, 2001、Nat. Cell. Biol. 1, 479-485, 1999)。
膵臓β細胞は、小胞体からはじまる高度に発達した分泌腺組織を持っており、グルコースの刺激に応答して莫大な量のインスリンを産生・分泌する。β細胞のグルコースに対する応答は主に2段階で制御されている。1)秒/分単位で行われる貯蔵顆粒からのインスリン分泌(Eur. J. Biochem. 259, 3-17, 1999)。2)分/時間単位で行われる翻訳レベルのプレプロインスリンの生合成(Nature 283, 100-102, 1980、Biochem. J. 235, 459-467, 1986)。グルコース恒常性と膵臓β細胞生存における小胞体機能の重要な役割について、これまでに数多くの報告がなされている。高グルコース条件下では、MIN6細胞において、トランスロコン構成分子7種類を含む早期分泌経路構成成分の発現が上昇する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 97, 5773-5778, 2000)。小胞体局在リン酸化酵素、PERK、又は真核生物翻訳開始因子2(eIF2a)αサブユニットのホモ接合性変異により、グルコース恒常性は重度の障害をうけ、膵臓β細胞の細胞死を伴うことが報告されている(Mol Cell. 7, 1153-1163, 2001、EMBO J. 18, 4804-4815, 1999)。対照的に、CHOP遺伝子を***させることにより小胞体ストレス関連糖尿病を遅らせることが報告されている(J. Clin. Invest. 109, 525-532, 2002)。
SERP1(ストレス関連小胞体タンパク質1:Stress-associated ER protein 1)は、低酸素・虚血又は小胞体ストレスによって誘導される分子であると考えられており(J. Cell Biol. 147, 1195-1204, 1999)、最初、Sec61複合体と一緒に精製されたRAMP4(リボゾーム関連膜タンパク質4:Ribosome-associate membrane protein 4)と同一であることが判明している(Cell 75, 615-630, 1993)。
また、RAMP4は移動休止機構(translocational pausing mechanism)によって、MHCクラスII関連インバリアント(不変)鎖に対し糖鎖形成を調節し(EMBO J. 18, 4804-4815, 1999)、SERP1の過剰発現はSec61複合体と関連して小胞体ストレス条件下において、新規合成膜タンパク質を安定化することも報告されている(J. Cell Biol. 147, 1195-1204, 1999)。
ストレス関連小胞体タンパク質1(SERP1)の遺伝子は、本発明者らによって取得され、そのストレス関連小胞体タンパク質1は、66アミノ酸からなる小タンパク質であることが開示されている(特開2000−245474号公報)。
特開2000−245474号公報。 Cell. 101, 451-454, 2000。 Nature Med. 7, 317-323, 2001。 Mol Cell. 7, 1153-1163, 2001。 J. Clin. Invest. 109, 525-532, 2002。 Cancer Res. 61, 4206-4213, 2001。 Nat. Cell. Biol. 1, 479-485, 1999。 Eur. J. Biochem. 259, 3-17, 1999。 Nature 283, 100-102, 1980。 Biochem. J. 235, 459-467, 1986。 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 97, 5773-5778, 2000。 EMBO J. 18, 4804-4815, 1999。 J. Cell Biol. 147, 1195-1204, 1999。 Cell 75, 615-630, 1993。
本発明の課題は、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物、その作製方法、及び該インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物を用いた、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法及び、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の診断法等を提供することにある。
中枢神経系を構成する細胞のうち、神経細胞はストレスに対して極めて脆弱であるのに対して、グリア細胞、特にアストロサイトはストレス抵抗性を示す。本発明者は、アストロサイトのストレス抵抗性には様々なストレス関連遺伝子の誘導が必要であることを発見し、低酸素・再酸素に暴露した培養アストロサイトを用いて、いくつかの新規ストレス関連遺伝子をクローニングし、その一つとして、SERP1の遺伝子をクローニングした(配列表の配列番号1)。
SERP1(ストレス関連小胞体タンパク質1)は、66アミノ酸からなる小タンパク質(配列表の配列番号2)で、細胞内で小胞体に存在し、C末端に膜貫通領域を持つ、いわゆるC末端アンカータンパク質(C-terminal anchored protein)と呼ばれる膜タンパク質であり、小胞体膜上で、Sec61複合体(Sec61 complex)と結合している。Sec61複合体は、分泌系タンパク質が小胞体へ入る際のチャネルのような働きをしているもので、通常は細胞質から小胞体へ分泌系タンパク質を移動させ、小胞体にストレスがかかった状態では、小胞体から細胞質へフォールデイングのうまくできなかったタンパク質を移動させる働きを持っていると考えられている。
本発明者は、このSERP1の機能解析を行う中で、SERP1の過剰発現はSec61複合体と関連して小胞体ストレス下において、新規合成膜タンパク質を安定化すること、すなわち、小胞体ストレス下において、小胞体に貯まる膜タンパク質の安定化を行うことを確認していたので、これらのことより、SERP1は分泌系タンパク質或いは膜タンパク質に直接作用していることを想定した。そして、本発明者は、SERP1が膵臓ランゲルハンス島とMIN6細胞において、Sec61複合体と同程度に極めて強く発現していることを見い出し、SERP1遺伝子機能欠損マウスを用いて確認した結果、SERP1はグルコース刺激後のインスリン生合成に不可欠ではないものの、インスリン生合成を促進し、小胞体ストレス下における膵臓ランゲルハンス島細胞の生存に役立つことを明らかにした。
したがって、SERP1はSec61複合体と共に、膵臓においてインスリン生産制御及びストレス応答に関し極めて重要な役割を果たしている。そして、本発明者は、SERP1遺伝子機能が染色体上で欠損したマウスが、インスリン生合成の異常によるインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病を発症することを見い出した。
更に、SERP1遺伝子機能欠損マウスを用いて確認した結果、SERP(−/−)マウスは、生後4週間以内に起こる成長障害があることを認め、その後の検討により、下垂体での成長ホルモンの生合成が顕著に低下していることが判明した。そして、このSERP1遺伝子機能欠損マウスが、下垂体性小人症を発症することを見い出した。
本発明は、SERP1の機能解析における上記知見に基づいて完成するに至ったものであり、本発明は、ストレス関連小胞体タンパク質SERP1遺伝子機能が染色体上で欠損した、インスリン生合成の異常によるインスリン分泌異常(以下、「インスリン分泌異常」という。)及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物、その作製方法、及び該インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物を用いた、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法及び、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の診断法等からなる。
すなわち詳細には、本発明は、ストレス関連小胞体タンパク質SERP1遺伝子機能を染色体上で欠損させたことを特徴とするインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病及び/又は成長ホルモン生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物(請求項1)や、インスリン分泌異常が、膵臓β細胞におけるインスリン生合成異常に起因することを特徴とする請求項1記載の2型糖尿病、及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物(請求項2)や、小胞体機能異常が、小胞体ストレス下における膵臓ランゲルハンス島細胞の生存に対する障害であることを特徴とする請求項1又は2記載の2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物(請求項3)や、下垂体性小人症の発症が、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物(請求項4)や、ストレス関連小胞体タンパク質SERP1遺伝子機能の欠損が、配列表の配列番号1に示されるSERP1遺伝子の機能の欠損であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物(請求項5)や、非ヒト動物がマウスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物(請求項6)からなる
また本発明は、請求項1〜6のいずれか記載のインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物に、被検物質を投与し、該モデル非ヒト動物、或いは該モデル非ヒト動物の細胞、組織又は器官におけるインスリン生合成/分泌、及び/又は小胞体機能の異常、或いは、下垂体での成長ホルモンの生合成異常を測定・評価することを特徴とするインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法(請求項7)や、小胞体機能の異常の測定・評価が、小胞体ストレス下における膵臓ランゲルハンス島細胞の生存に対する障害の測定・評価であることを特徴とする請求項7記載のインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法(請求項8)や、請求項1〜6のいずれか記載のインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物に、被検物質を投与した場合と、野生型非ヒト動物の場合及び/又はインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物の場合とを、比較・評価することを特徴とするインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体
性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法(請求項9)や、非ヒト動物がマウスであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか記載のインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法(請求項10)からなる。
本発明において、小胞体に存在し、分泌系タンパク質或いは膜タンパク質に直接作用しているSERP1が、インスリンの合成自身に必須ではないが、グルコース負荷後の急速なインスリン合成に必要であることを明らかにした。2型糖尿病は、末梢でのインスリン抵抗性、及び、ランゲルハンス島β細胞からのインスリン分泌障害を特徴とする多因子疾患である。本発明において、SERP1遺伝子欠損(ノックアウト)モデル非ヒト動物(マウス)を作製することにより、2型糖尿病におけるインスリン合成異常及び小胞体機能の異常を確認し、解明した。
更に、本発明においては、SERP1遺伝子機能欠損マウスを用いて確認した結果、SERP(−/−)マウスは、生後4週間以内に起こる成長障害があることを認め、その後の検討により、下垂体での成長ホルモンの生合成が顕著に低下していることが判明した。そして、このSERP1遺伝子機能欠損マウスが、下垂体性小人症を発症することを見い出した。
本発明のSERP1遺伝子欠損(ノックアウト)モデル非ヒト動物(マウス)は、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニングを可能にする。また、該インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の診断を可能とする。
本発明の、2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物とは、ストレス関連小胞体タンパク質SERP1遺伝子機能が染色体上で欠損することにより、膵臓β細胞等におけるインスリン分泌異常や、小胞体ストレス下における膵臓ランゲルハンス島細胞の生存に対する障害のような小胞体機能異常に起因する2型糖尿病を発症する非ヒト動物、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症する非ヒト動物をいう。本発明における非ヒト動物としては、マウス、ラット、モルモット等の齧歯目動物を具体的に挙げることができ、本発明の2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニングに用いるモデル非ヒト動物としては、マウスが特に有利に利用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のSERP1遺伝子機能が染色体上で欠損したモデル非ヒト動物の作製は、公知の遺伝子欠損モデル非ヒト動物の作製方法を用いて作製することができる。以下に、SERP1遺伝子機能が染色体上で欠損したモデル非ヒト動物の作製方法を、SERP1遺伝子機能が染色体上で欠損したマウスを例にとって説明する。
本発明のモデル非ヒト動物の作製に際しての、ストレス関連小胞体タンパク質SERP1のアミノ酸配列(配列番号2)及びその遺伝子の塩基配列(配列番号1)の情報は、本発明において新規にクローニングしたマウスSERP1遺伝子の遺伝子配列(配列表の配列番号1)及びそのSERP1タンパク質のアミノ酸配列(配列表の配列番号2)、更に、本発明者が既にクローニングしたラット及びヒトのSERP1遺伝子の遺伝子配列及びそのSERP1タンパク質のアミノ酸配列(特開2000−245474号公報)から得ることができる。
本発明は、本発明において新規にクローニングした上記配列表の配列番号1に示されるマウスSERP1遺伝子の塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの配列の一部若しくは全部を含む配列からなるDNA、更には、該DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつストレス関連小胞体タンパク質SERP1をコードするDNAを含むものである。
なお、ここで該DNAを取得するためのハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、42℃でのハイブリダイゼーション、及び1×SSC、0.1%のSDSを含む緩衝液による42℃での洗浄処理を挙げることができ、65℃でのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC,0.1%のSDSを含む緩衝液による65℃での洗浄処理をより好ましく挙げることができる。
SERP1遺伝子機能が染色体上で欠損したマウス、すなわちホモ接合体変異マウス(−/−)は、例えば、マウス膵臓から構築したマウス遺伝子ライブラリー或いはMIN6細胞からPCR等の方法により得られた遺伝子断片を用いて、SERP1遺伝子をスクリーニングし、スクリーニングされたSERP1遺伝子の一部又は全部を、例えばlac−Z遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等のマーカー遺伝子で置換し、必要に応じて、5′末端側にジフテリアトキシンAフラグメント(DT−A)遺伝子や単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(HSV−tk)遺伝子等の遺伝子を導入してターゲッティングベクターを作製し、この作製されたターゲッティングベクターを線状化し、エレクトロポレーション(電気穿孔)法等によってES細胞に導入し、相同的組換えを行い、その相同的組換え体の中から、X−galによる染色あるいはG418やガンシクロビル(GANC)等の抗生物質に抵抗性を示すES細胞を選択する。この選択されたES細胞が目的とする組換え体かどうかをサザンブロット法等により確認することが好ましい。
上記組換えES細胞をマウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションし、かかる胚盤胞を仮親のマウスに戻し、キメラマウスを作製する。このキメラマウスを野生型のマウスとインタークロスさせると、ヘテロ接合体変異マウス(+/−)を得ることができ、また、このヘテロ接合体変異マウスをインタークロスさせることによって、ホモ接合体変異マウス(−/−)を得ることができる。そして、かかるホモ接合体変異マウスにSERP1遺伝子が欠損しているかどうかを確認する方法としては、例えば、このマウスのSERP1遺伝子の発現をウエスタンブロット法等により調べる方法がある。
本発明における、インスリン生合成の異常によるインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニングは、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物に、被検物質を投与し、該モデル非ヒト動物、或いは該モデル非ヒト動物の細胞、組織又は器官におけるインスリン分泌の状態及び/又は小胞体機能の異常、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常を測定・評価することにより行う。
上記インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニングをする際、野生型非ヒト動物及び/又はSERP1遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物を用いて、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物の場合と比較・評価することことが好ましく、野生型非ヒト動物としては、上記SERP1遺伝子機能が染色体上で欠損したモデル非ヒト動物と同種の動物を意味し、中でも同腹の動物を好適に例示することができ、SERP1遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物は、文献(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97, 6132-6137, 2000)記載の方法等によって作製することができる。SERP1欠損型と、それらの同腹の野生型は、個体レベルで正確な比較実験・評価(解析)等を行うことができる点で同時に用いることが好ましい。
インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニングにおける被検物質を投与したモデル非ヒト動物、或いは該モデル非ヒト動物の細胞、組織又は器官におけるインスリン分泌の状態及び小胞体機能の異常の測定・評価には、グルコース負荷試験による血糖値・インスリン分泌量の測定や、ランゲルハンス島β細胞におけるインスリンの分泌や生合成の測定、或いはランゲルハンス島における細胞死、更には、下垂体での成長ホルモンの生合成の検出・測定等、適宜の測定・評価方法を用いることができる。
更に、本発明においては、検体からストレス関連小胞体タンパク質SERP1遺伝子を抽出し、その遺伝子異常の有無を調べることにより、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の診断を行うことができる。
また、本発明のストレス関連小胞体タンパク質SERP1をコードするDNA又はRNAのアンチセンス鎖の全部又は一部をインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の診断用プローブとすることができ、また、このSERP1遺伝子の欠損に起因する疾病の診断用プローブをセットして、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の診断用キットとして製品化することもできる。
さらに、本発明においては、ストレス関連小胞体タンパク質SERP1に特異的に結合する抗体を用いて、検体におけるストレス関連小胞体タンパク質SERP1遺伝子による該タンパク質の発現の異常を検出・測定することにより、インスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の診断を行うことができる。ストレス関連小胞体タンパク質SERP1に特異的に結合する抗体としては、モノクロナール抗体及びポリクロナール抗体のいずれも利用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[材料と実験方法]
(マウスSERP1遺伝子のクローニング)
マウスSERP1 cDNAの部分配列を、ラットSERP1との相同性によりESTクローンより得た。その配列を基に、センスプライマーとしてms1プライマー(5'-CTGTCCGGTGGTTGGATCCT-3':配列番号3)、アンチセンスプライマーとしてms4プライマー(5'-ACTTTGCCGCGCTGAGTTAT-3':配列番号4)を合成し、マウス129Sv/JゲノムDNAライブラリーをPCRにてスクリーニングした。得られたクローンをサザンブロット法により確認した。さらに、得られたクローンの配列をシークエンスすることにより決定した。同定されたマウスSERP1 ゲノムDNAの配列を、配列番号1に示した。
(細胞培養)
マウスインスリノーマ由来の細胞系であるMIN6細胞(大阪大学の宮崎博士より供与;Endocrinology. 127, 126-132, 1990)を15%のFCS及び25mMのグルコースを含むDMEM培地で培養した。細胞が70%コンフルエント状態に達した時に、培地を高グルコース濃度培地(25mMグルコース)又は低グルコース濃度培地(5.5mMグルコース)と交換した。SERP1及び他の分子の発現解析は培養開始から24時間後に行った。
(ノザンブロット法及びin situハイブリダイゼーション)
MIN6細胞及びマウス膵臓から全RNAを単離し、全RNA10μgを1%アガロースを含むホルムアルデヒドゲルで分子量別に分けた後、Immobilon Nメンブレン(Millipore社製;MA, USA)に固定した。SERP1のプローブとして、マウスSERP1ゲノムDNAの5´側配列(配列表の配列番号1に記載のマウスSERP1ゲノムDNAの428番目から788番目の塩基配列:配列番号5)及び、3´側配列(配列表の配列番号1に記載のマウスSERP1ゲノムDNAの7935番目から8403番目の塩基配列:配列番号6)を用いた。SERP1、Sec61(α及びβサブユニット)、及びGRP78のDNA断片によるハイブリダイゼーションは山口らの方法(J. Cell Biol. 147, 1195-1204, 1999)に従って行った。
ヒトの内分泌組織におけるSERP1またはSec61複合体の発現は、Human Endocrine System MTN? Blot(CLONTECH社製;Palo Alto, CA)を用いて解析した。ジゴキジゲニン標識SERP1cRNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーションは前述と同様の方法で行った(J. Cell Biol. 147, 1195-1204, 1999、J Cell Biol. 157, 1151-60, 2002)。膵臓標本を、4%のパラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包埋し、厚さ8μmの切片に切り分けた。アルカリホスファターゼ標識ジゴキジゲニン抗体を用いてcRNAプローブとハイブリダイゼーションをし、NBT及びX−リン酸塩溶液で発色反応を行うことによりSERP1遺伝子の細胞内局在を調べた。
(免疫沈降、ウエスタンブロット法及び免疫染色)
タンパク質レベルにおけるSERP1の発現と小胞体内分子シャペロンGRP78及びGRP94の発現を比較するため、MIN6細胞及び単離した膵臓ランゲルハンス島を1% TritonX-100、10mM Tris(pH7.6)、150mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA、1mM PMSF、1μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、及び1μg/mlペプスタチンを含む溶液で溶解した。免疫沈降又はウエスタンブロット法は抗SERP1抗体(J. Cell Biol. 147, 1195-1204, 1999)、抗KDEL抗体(GRP78及びGRP94を認識する。StressGen Biotechnologies社製;Victoria, BC, Canada)、及び抗インスリン抗体(Biogenesis社製; Poole England, UK)を用いて行った。一次抗体認識部位はアルカリホスファターゼ標識二次抗体によって検出した。なお、免疫染色は、抗インスリン抗体又は抗FLAG抗体(マウスより単離したランゲルハンス島にAdex1 CA SERP1を用いてSERP1を強制発現させる際に、SERP1 cDNAをFLAGでタグしておいて異所性に発現しているSERP1のみFLAGで確認できるようにした。)を用い、厚さ5μmの膵臓切片及び/又は単離した膵臓ランゲルハンス島を用いて行った。また、二次抗体としてFITC標識抗マウスIgG抗体を用いた。なお、山口らの方法(J. Cell Biol. 147, 1195-1204, 1999)に従い、Quality Oneソフトウェア(pdi社製;Huntington Station, NY)を用いて、ウエスタン及びノーザンブロット法の結果を標準化するためにレーザー濃度測定を行った。
(SERP1ノックアウトマウスの作製)
マウス129Sv/Jライブラリー(Incyte genomics社製;St. Louis, Mo, USA)由来のマウスSERP1遺伝子のエキソン1をネオマイシン耐性遺伝子(pGK-neo)で置換し、さらに5.2kbp上流にhsv−tK遺伝子を挿入した配列を、pPNT(Dr. Tybulewiczより供与;MRC National Institute for Medical Research, London, UK)に挿入することにより、ターゲッティングベクターを構築した(図3A)。さらに、ヘテロ接合体胚幹細胞クローンを未分化胚芽細胞に注入することにより、SERP1突然変異遺伝子の生殖系列伝達系を構築した。
マウスをC57BL/6系統に8世代遡って交配し、PCR及びサザンブロット法により遺伝子型を特定した。なお、PCRに用いたプライマーはCVneo1(5'-CTACCCGGTAGAATTGACCT-3'(配列番号7);pGK-neoカセットでアニールする)、センスプライマーとしてms6プライマー(配列表の配列番号1に記載のマウスSERP1ゲノムDNAの6328番目から6347番目の塩基配列、5'-AGACCTCGGTAAGGGAAAGT-3(配列番号8);SERP1遺伝子の欠損領域でアニールする)、及びアンチセンスプライマーとしてms5プライマー(配列表の配列番号1に記載のマウスSERP1ゲノムDNAの6615番目から6634番目の塩基配列、5'-GGCCAATAACCAGGGTCCTA-3'(配列番号9);SERP1遺伝子短腕3’側でアニールする)であり、SERP1+/+マウス(野性型マウス)、SERP1+/-マウス、及びSERP1-/-マウス(SERP1ノックアウトマウス)の比較には、SERP1+/-マウスの交配によって産まれた同性の同腹仔を用いた。
(血中グルコース濃度及びインスリン濃度の測定)
血中グルコース濃度は、携帯用グルコース測定装置Dexter-Z(Bayer Medical社製)を用いて測定した。腹腔内(IP)グルコース負荷試験及びインスリン負荷試験(ITT)は、マウス体重1gあたり2mgのグルコース又は体重1gあたり1Uのインスリン(1U/kg)を腹腔内投与し、特定時刻に尾静脈から血液を採取する方法で行った。血漿、培養培地、及び細胞抽出液中のインスリン濃度及び成長ホルモン濃度はELISAキット(インスリン濃度:Shibayagi社製、成長ホルモン用キット:Cayman Chemical社製)を用いて測定した。
(組換えアデノウイルスの作製とアデノウイルスによる遺伝子発現)
マウスSERP1のコーディング領域全体とFLAGエピトープ(J. Cell Biol. 147, 1195-1204, 1999)を含むcDNA断片を、pAdx1CAコスミドベクターに挿入し、さらに、アデノウイルス発現キット(TaKaRa社製)を用いた相同組換えにより、組換え型アデノウィルスAdex1CA SERP1を作製した。得られたウイルスの力価は、培地1mlあたり約109プラーク形成単位(plaque-forming units:pfu)であった。対照として、ウイルスAdex1CA GFP(大阪市立大学のKiyama博士より供与)を用いた。単離した膵臓ランゲルハンス島を、11mMのグルコースを含むRPMI 1640培地中にAdex1CA SERP1又はAdex1CA GFPを添加することにより16時間刺激した後、RPMI 1640培地中で24時間培養した。SERP1の発現は、膵臓ランゲルハンス島を抗FLAG抗体を用いて免疫染色を行った後、蛍光顕微鏡で観察することにより解析した。
(パルスラベリング法による、膵臓ランゲルハンス島におけるインスリン生合成及び分泌量の測定)
SERP1+/+、SERP1+/-及びSERP1-/-マウスから、コラゲナーゼ処理により膵臓ランゲルハンス島を単離した。膵臓ランゲルハンス島細胞をグルコースを含まないRPMI 1640培地(Sigma社製)で1時間培養した後、培地中に異なる濃度のグルコース(0〜22mM)を添加することにより細胞を刺激し、膵臓ランゲルハンス島細胞中のインスリン分泌及びインスリン含有量を特定時刻に測定した。インスリンの生合成及び分泌量の測定には、22mMグルコース及び200μCiの35S−Met/Cys(Amersham Pharmacia Biotech Inc.社製;Piscataway, NJ, USA)を含む100μlのRPMI 1640培地中で30分間培養することにより放射性標識した膵臓ランゲルハンス島細胞を用いた。これらの細胞を抗インスリン抗体を用いて免疫沈降を行い、沈降したタンパク質を15%トリシン緩衝ポリアクリルアミドゲル上で分離した後、オートラジオグラフィーにより目的のバンドを検出した。
(LIVE/DEAD assay)
SERP1+/+、SERP1+/-及びSERP1-/-マウスより単離したランゲルハンス島をそれぞれ、1)小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシン(tunicamycin 1μg/ml: Sigma社製)入りのRPMI1640培地、2)ツニカマイシン及びタンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミド(cycloheximide 1μg/ml: Sigma社製)入りのRPMI1640培地、3)RPMI1640培地のみの条件、の計6群に分けて48時間培養した。その後の細胞の状態を、LIVE/DEAD assay(Molecular probe社;Eugene, OR, USA)にて評価した。
[実験結果]
(ヒトの内分泌組織におけるSERP1及びSec61遺伝子の発現分布)
SERP1の機能を研究するためのモデル器官を探すため、ヒトの内分泌組織(膵臓、副腎髄質、甲状腺、副腎皮質、精巣、胸腺、小腸、胃の計8組織)における、SERP1遺伝子及びSec61複合体遺伝子(α,βサブユニット)の組織分布をノザンブロット法により解析した(図1)。その結果、SERP1遺伝子は膵臓で多く発現し、副腎髄質、甲状腺及び副腎皮質でも検出された。Sec61αサブユニットは全体的に広く分布していたが、特に膵臓で高発現し、βサブユニットは膵臓の他、副腎皮質でも検出された。いずれの遺伝子も膵臓において高発現することが明らかになった。
(MIN6細胞及び膵臓ランゲルハンス島におけるSERP1及びSec61複合体の発現分布)
Sec61複合体等のトランスロコンメンバーが、高グルコース濃度条件下のMIN6細胞において発現が上昇することから(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 97, 5773-5778, 2000)、膵臓内におけるSEPR1の発現をさらに詳しく解析するために、マウスインスリノーマ由来の細胞系であるMIN6を用いて検討した。その結果、SERP1及びSec61複合体は、mRNA及びタンパク質共に、インスリン産生が盛んになる高濃度のグルコース条件下で発現が上昇することが明らかになった(図2A、B)。また、膵臓切片を用いてin situハイブリダイゼーションを行ったところ、SERP1はランゲルハンス島のβ細胞において強い発現が認められ、絶食条件下で発現が低下することが明らかになった(図2C)。
(SERP1遺伝子ノックアウトマウスの作製)
インスリンの生合成、及び分泌におけるSERP1の役割を明らかにするために、相同組換え法を用いてSERP1遺伝子ノックアウトマウスを作製した(図3A)。SERP1+/+マウス(野性型)、SERP1+/-マウス、及びSERP1-/-マウス(SERP1ノックアウトマウス)の比較をサザンブロット法により行った(図3B)。さらにSERP1 mRNA及びSec61α mRNAの発現をノザンブロット法で解析したところ、SERP1-/-マウスでは、SERP1遺伝子が発現しないことが確認された(図3C)。
また、SERP1ノックアウトマウスは、生後約3週間以内に原因不明の理由で約半数が死亡し、生存したSERP1-/-マウスの体重も、SERP1+/-及びSERP1+/-マウスの5割程度であることが確認された(図4B、C)。8週齢以降は、体重の増加と3群間における体重差の縮小が認められ、雌雄ともに生殖可能であることが明らかになった(図4B)。
SERP1-/-マウスはメンデルの法則にしたがって生まれ、SERP1+/+マウス及びSERP1+/-マウスと比較して、体重がわずかに減少したことを除いては、表現型による差は認められなかった(SERP1-/-マウスに対して0.9±0.1g、他の遺伝子型に対し1.0±0.1g)。しかしながら、1週齢においては、SERP1-/-マウスの死亡率の上昇(図4A)、及び成長遅延(図4B及びC)が認められ、4週齢になるまで、このような減少が認められた。しかし、予想に反して、後述の2種の表現型では、背景となる系統に依存した。129Sv/JxC57BL/6系統と交配させたSERP1-/-マウスの約70%は、成体に成長したが(n=14)、C57BL/6(n=12)と交配させたSERP1-/-マウスでは、その25%しか4週齢にまで生存しなかった(図4A)。
SERP1-/-マウスの体重は、生後4週間で、129Sv/JxC57BL/6系統においては、50〜70%にまで減少し、C57BL/6系統においても、40〜60%にまで減少した。SERP1-/-マウスの体重は、同週齢(4週齢まで)のSERP1+/+マウスの約50%であったため、死亡する傾向にあった。死亡したSERP1-/-マウスの解剖により、胃及び腸内に十分量のミルクを認めた。短命であったSERP1-/-マウスの血中グルコース濃度及び肝臓グリコーゲン濃度の解析により、1〜4週齢においては、他の遺伝子型と比較して、特に大きな違いは認められなかった。これらの結果により、SERP1-/-マウスの高い死亡率は、哺乳量の減少又は腸での吸収障害によるものではないことが示唆された。SERP1-/-マウスは、いったん4週齢まで生きると、成長及び体重とも一定して増加した。12週齢まで、SERP1-/-マウスの体重は、両系統において、SERP1+/+マウスの80%弱にまで回復した。
(グルコース及びインスリン負荷試験)
SERP1の発現がインスリンの生合成及び分泌へ与える影響を、in vivoにおけるグルコース負荷試験により検討した。10週齢及び25週齢のマウスに、体重1gあたり2mgのグルコースを腹腔内投与した後、血糖値を測定した結果、SERP1ノックアウトマウスにおいて耐糖能異常が認められた。特に、雄においては、雌と比較してより強い耐糖能異常が見られたが、加齢による影響は認められなかった(図5)。
次に、SERP1ノックアウトマウスの耐糖能異常が、末梢でのインスリン抵抗性に起因するものなのかどうかを、インスリン負荷試験により検討した。マウス1kgあたり1ユニットのインスリンを腹腔内投与し、血糖値を測定した結果、SERP1+/+、SERP1+/-、及びSERP1-/-マウスの3群間に有意な差は認められなかった(図6)。従って、膵臓におけるインスリン生合成、或いは分泌異常により、SERP1ノックアウトマウスの耐糖能異常が引き起こされることが示唆された。
(グルコース負荷によるインスリン分泌への影響)
SERP1+/+マウス(野性型マウス)、SERP1+/-マウス、及びSERP1-/-マウス(SERP1ノックアウトマウス)よりランゲルハンス島を単離し、グルコース負荷によるインスリン分泌への影響を解析した。(結果を図7に示す。)その結果、グルコース負荷より15分後のインスリンの分泌量においては、3群間で有意な差は認められなかったが、負荷後30分及び60分後では、SERP1ノックアウトマウスにおけるインスリン分泌量が有意に減少し、さらに120分後には、再び3群間で有意な差が認められなくなった(図7A)。従って、SERP1は、グルコース負荷後のインスリンの生合成速度に影響を与えることが示唆された。また、インスリン分泌量は、負荷グルコース濃度依存的に増加することが明らかになった(図7B)。
(SERP1の強制発現によるインスリン分泌への影響)
野性型マウス及びSERP1ノックアウトマウス由来のランゲルハンス島にアデノウイルスを用いてSERP1 cDNAを導入することにより、インスリン分泌量への影響を検討した。はじめに、ランゲルハンス島への遺伝子導入効率を確認するため、作製した組換え型アデノウイルスAdex1CA SERP1を、対照として組換え型アデノウイルスAdex1CA GFPをランゲルハンス島に導入した。GFP及びSERP1の発現は、抗FLAG抗体を用いて免疫染色を行った後、蛍光顕微鏡で観察した(図8A)。その結果、組換え型アデノウィルスAdex1CA SERP1は70%以上の効率で遺伝子が導入されることが確認された。
また、組換え型アデノウイルスAdex1CA SERP1を導入した野性型マウスは、ランゲルハンス島からのインスリン分泌に変化が認められなかったが、SERP1ノックアウトマウスでは、対照群であるアデノウイルスAdex1CA GFP導入群と比較して有意にインスリンの分泌が上昇することが認められた(図8B)。従って、SERP1ノックアウトマウスでは、SERP1の存在により、ランゲルハンス島からのインスリン分泌が顕著に改善することが示唆された。
(グルコース刺激後のプロインスリン及びインスリン生合成量の変化)
パルスラベリング法により、ランゲルハンス島でのインスリン生合成及び培養液中への分泌量の経時変化を解析した。その結果、野性型マウスではいずれも、グルコース負荷後30〜60分でプロインスリンの合成量が最大となり、その後減少していくのに対し、ノックアウトマウスでは、90〜120分後に合成量が最大となることが認められた(図9A、B)。従って、SERP1は、インスリンの合成そのものに直接関与するのではなく、グルコース負荷後の急速なインスリン生合成に必須であることが示唆された。
(SERP1の発現と膵臓ランゲルハンス島のストレス応答との関係)
SERP1が、小胞体ストレスによりその発現が上昇することから、SERP1の発現とランゲルハンス島のストレス抵抗性との関係を、(LIVE/DEAD assay)を用いて検討した。ランゲルハンス島を、小胞体ストレスを誘導するツニカマイシン(tunicamycin)で処理したところ、48時間後、野性型マウスでは、あまり多くの細胞死は認められなかったが、SERP1ノックアウトマウスでは、細胞死に至る細胞の数が有意に増加した。この細胞死は、小胞体ストレスによる細胞死を防ぐ薬剤であるシクロヘキシミド(cycloheximide)を培地中に添加することにより抑制された。その結果、小胞体ストレスによって引き起こされた細胞死であることが示唆された(図10)。
(下垂体及びホルモン生合成におけるSERP1遺伝子の影響)
出生後のSERP1-/-マウスにおいて一時的に成長発育不全が認められることから、SERP1は、新生児の成長と相関しているホルモンの生合成において重要な役割を果たしていることが示唆された。マウス脳(大脳皮質及び視床下部)及び脳下垂体からのタンパク質抽出物のウエスタンブロットより、SERP1及びSec61複合体(Sec61β)両者とも下垂体において高発現していることが明らかになった(図11A)。免疫組織学的解析によりSERP1の発現は、成長ホルモンの分布と同様、前葉において観察された(図11B)。C56BL/6系統及び129v/JxC57BL/6系統の各遺伝子型の成熟マウス(12〜16週齢、図11C I、II)及び新生児マウス(6日)を用いて解析したところ、コントロールである野生型と比較して、SERP1-/-マウスにおいて下垂体前葉の大きさが減少していることが明らかになった。下垂体中葉及び後葉においては、このような変化は認められなかった。
下垂体前葉の体積の減少は、SERP1-/-マウスにおいて下垂体前葉の細胞数が減少していることに起因した。免疫染色によって解析した結果、個々の細胞の大きさは、SERP1-/-マウスにおいてもほぼ同程度であり、下垂体ホルモン陽性細胞の割合も、SERP1-/-マウスにおいて顕著に減少することはなかった(図11D)。
成長ホルモン(GH)生合成/分泌におけるSERP1遺伝子の欠損による影響を解析するために、インスリン負荷試験(ITT)を行い、C56BL/6系統及び129v/JxC57BL/6系統の各遺伝子型の成熟マウス(12〜16週齢)における血中GHレベルを測定した。SERP1+/+マウスにおいて、低血糖に対する応答に対して血中GHが増加し、インスリン投与後60分後に最高値に達した(18±2.1ng/mL)。一方、SERP1-/-マウスにおいて60分後の時点で上昇しなかった(6±0.5ng/mL)。90分後、SERP1-/-マウスにおいてはGHレベルが上昇したが、野生型においてGHレベルが徐々に減少し始めた。120分後、各群ともGHレベルは同程度となった(13〜15ng/mL)。
下垂体前葉の研究において、GHを有する細胞内においても、高レベルのSERP1の発現が観察された(図11A及びB)。実際、コントロールの野生型と比較して、SERP1-/-マウスにおいては下垂体前葉が顕著に減少し、細胞の大きさは同程度にもかかわらず、細胞数の減少に至った。これらのデータによりSERP1は、インスリンに対する膵臓ランゲルハンス島における実験と同様の機構で、下垂体ホルモンの生合成を促進すると推測される。この推測と一致して、免疫染色により判断したGH又は他の下垂体ホルモンの基礎的生合成量は、各遺伝子型の間で変化なかったにもかかわらず(図11D)、成熟SERP1-/-マウスにおいては、インスリンで刺激された後のGHの産生が著しく遅延した(図11E)。それゆえに、SERP1はGHの生合成速度を増加させ、また、下垂体前葉におけるホルモン産生細胞の成長及び増殖に影響を与えることが判明した。
本発明の実施例における試験において、ヒトの内分泌組織におけるSERP1及びSec61複合体mRNAの発現分布を示す図である。 本発明の実施例における試験において、Aは、MIN6細胞におけるSERP1及びSec61複合体mRNAの発現量に対するグルコースの影響を示す図である。また、Bは、MIN6細胞におけるSERP1及びSec61複合体タンパク質の発現量に対するグルコースの影響を示す図である。更に、Cは、膵臓におけるSERP1mRNAの発現(ランゲルハンス島に強く発現)と、SERP1発現に対する絶食の影響を、in situハイブリダイゼーションにより解析した結果を示す図である。 本発明の実施例において、Aは、SERP1ノックアウトマウスの作製に用いたターゲッティングベクターの構造を示す図である。また、Bは、作製したSERP1ノックアウトマウスをサザンブロット法で確認した結果を示す図である。さらに、Cは、作製したSERP1ノックアウトマウスのSERP1 mRNAの発現をノザンブロット法で確認した結果を示す図である。 本発明の実施例における試験において、出生後のSERP1-/-マウスが成長遅延を呈すことを示す図である。A:SERP1+/+マウス、SERP1+/-マウス、SERP1-/-新生児マウスの生存率の変化を示す図である。各群の出生時におけるマウスの頭数を100とした。C56BL/6系統のSERP1-/-マウスは、129v/JxC57BL/6系統のSERP1-/-マウスと比較して生存率が低かった。B:特定の遺伝子型のSERP1マウスにおいて、出生後の体重が遺伝的要因によって決定されるを示す図である。C:129v/JxC57BL/6系統の同腹仔における、SERP1+/+マウスとSERP1-/-マウスの大きさを比較した図である。 本発明の実施例における試験において、インスリンの生合成及び分泌に対するSERP1の発現の影響を、グルコース負荷試験により調べた結果を示す図である。 本発明の実施例における試験において、SERP1ノックアウトマウスの耐糖能異常をインスリン負荷テストを用いて解析した結果を示す図である。 本発明の実施例における試験において、Aは、ランゲルハンス島β細胞におけるグルコース負荷後のインスリン分泌量の経時変化を示す図である。また、Bは、ランゲルハンス島β細胞において、インスリンの分泌量がグルコース濃度依存的に上昇することを示す図である。 本発明の実施例において、Aは、SERP1ノックアウトマウスのランゲルハンス島細胞に、組換え型アデノウイルスAdex1CA SERP1が導入されたことを示す図である。また、Bは、SERP1 cDNAを導入したランゲルハンス島におけるインスリンの分泌量の経時変化を示す図である。 本発明の実施例における試験において、Aは、グルコース刺激後のランゲルハンス島における、細胞中のプロインスリン生合成量及び培養液中へのインスリン分泌量の経時変化を、パルスラベリング法により解析した結果を示す図である。また、Bは、Aの結果をグラフ化した図である。 本発明の実施例における試験において、SERP1の発現と、ランゲルハンス島のストレス抵抗性との関係を、LIVE/DEAD assayにより解析した結果を示す図である。なお、図中のTmはツニカマイシン(tunicamycin)を、Cxはシクロへキシミド(cycloheximide)をそれぞれ示す。 A及びB:下垂体における、SERP1、Sec61β、成長ホルモン(GH)、β−アクチン抗原の発現について、それぞれの抗体を用いて、ウエスタンブロットを行った結果、及び、抗体を用いて免疫染色を行った結果を示す図である。C:SERP1-/-マウス下垂体前葉の形成不全について、I:各遺伝子型のマウス(12〜16週齢、前額断)から摘出した下垂体をH&E染色したものである。II:Iで得られた写真において、前葉(a)、及び後葉(p)+中葉(i)部位の面積を測定した結果を示す図である。D:各遺伝子型における下垂体前葉ホルモン陽性細胞の数を、総細胞数に対する割合(%)で示した図である。E:各遺伝子型のSERP1マウス(8〜12週齢)における、インスリンによる刺激後の所定時間におけるGH生合成/分泌の関係について示す図である。

Claims (10)

  1. ストレス関連小胞体タンパク質SERP1遺伝子機能を染色体上で欠損させたことを特徴とするインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病及び/又は成長ホルモン生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物。
  2. インスリン分泌異常が、膵臓β細胞におけるインスリン生合成異常に起因することを特徴とする請求項1記載の2型糖尿病、及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物。
  3. 小胞体機能異常が、小胞体ストレス下における膵臓ランゲルハンス島細胞の生存に対する障害であることを特徴とする請求項1又は2記載の2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物。
  4. 下垂体性小人症の発症が、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物。
  5. ストレス関連小胞体タンパク質SERP1遺伝子機能の欠損が、配列表の配列番号1に示されるSERP1遺伝子の機能の欠損であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物。
  6. 非ヒト動物がマウスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の2型糖尿病及び/又は下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載のインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物に、被検物質を投与し、該モデル非ヒト動物、或いは該モデル非ヒト動物の細胞、組織又は器官におけるインスリン生合成/分泌、及び/又は小胞体機能の異常、或いは、下垂体での成長ホルモンの生合成異常を測定・評価することを特徴とするインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法。
  8. 小胞体機能の異常の測定・評価が、小胞体ストレス下における膵臓ランゲルハンス島細胞の生存に対する障害の測定・評価であることを特徴とする請求項7記載のインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか記載のインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物に、被検物質を投与した場合と、野生型非ヒト動物の場合及び/又はインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症を発症するモデル非ヒト動物の場合とを、比較・評価することを特徴とするインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法。
  10. 非ヒト動物がマウスであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか記載のインスリン分泌異常及び/又は小胞体機能異常に起因する2型糖尿病、及び/又は、下垂体での成長ホルモンの生合成異常に起因する下垂体性小人症の予防・治療薬のスクリーニング方法。
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