JP4774491B2 - 固液分離システム - Google Patents

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Description

本発明は、下水、産業廃水、農業集落排水、漁業集落排水、雨水などの汚濁水、生物処理槽混合液、汚濁水を処理した際に発生する汚泥(生物処理系余剰汚泥や凝集汚泥)等を固液分離する固液分離システムに関するものである。
従来、汚濁水は、スクリーンやフィルタなどを使用した一次処理において夾雑物が除去され、活性汚泥法などを利用した二次処理において下層の生物系汚泥と上層の上澄水に固液分離される。また、汚濁水を処理した際に発生する汚泥は、主に減量化を目的に濃縮汚泥と分離水に固液分離される。これらの固液分離において用いられる固液分離システムは、重力式と機械式に大別される。
重力式固液分離システムには、重力濃縮槽、凝集濃縮槽、重力沈殿槽、凝集沈殿槽などの固液分離槽が用いられる。このような重力式固液分離システムでは、汚濁水、汚泥等の原液にその性状により凝集剤などの薬品が注入され、汚泥のフロック化が促進される。そして、槽内では汚泥フロックが濃縮液や濃縮汚泥として重力によって沈降し、分離した上澄水が排出される。
他方、機械式固液分離システムには、遠心式、常圧浮上式、スクリーン(ベルト)式などの固液分離機が用いられているが、遠心分離法の固液分離機を採用している場合が多い。遠心式固液分離機は(薬品注入は任意)、原液を回転させて比重が1よりも大きな汚泥と分離液とに固液分離するものである。常圧浮上式固液分離機は、原液に薬品と起泡剤を用いて汚泥に微細な気泡を付着させ、汚泥の見かけ上の比重を1よりも小さくして汚泥を強制的に浮上させて固液分離するものである。スクリーン式固液分離機は、原液に薬品を用いると共に金属フィルタや濾布を用いて固液分離するものであり、設備費や電力費が安いことから近年多用されている。
この種のスクリーン式固液分離機の一例として、特開2001−170403号公報に開示されたスクリーン濃縮機がある。このスクリーン濃縮機は、潜流堰と越流堰によって流入槽、混和槽、および分離槽に区画されている。流入槽には沈殿池等からの管路が導かれ、混和槽には撹拌機が配置され、分離槽にはスクリーン装置が配置されている。そして、スクリーン装置は、汚泥フロックを捕捉するバースクリーン、このバースクリーンによって捕捉された汚泥フロックを掻き揚げるレーキ部、およびこのレーキ部をバースクリーンに沿って移動させる駆動装置によって構成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−170403号公報(段落0011〜0014、および図3)
従来の重力式固液分離機は、一般的に浮遊物質濃度の比較的低い原液を処理するのに適しており、分離した濃縮液の浮遊物質濃度が低く、固液分離槽の設置面積が必要であるが、動力を必要とする機器が少ないというメリットがある。しかし、薬品を注入しない場合に固液分離した上澄水の水質が悪く、薬品を注入した場合には、上澄水の水質が良好になるが薬品代などランニングコストの上昇等を招いてしまう問題があった。
また、重力式固液分離機は、固液分離槽に原液を導入して、汚泥フロックを重力沈降させ、上澄水を得る構造であり、良質の上澄水を得るためには、固液分離槽内に形成される上澄水と汚泥フロックとの境界面、いわゆる汚泥界面を適正な高さ以下に保持して上澄水の層の水深を確保する必要がある。浮遊物質濃度の高い原液を固液分離する場合、固液分離槽内の汚泥フロックの比率が増大するため、汚泥界面が上昇し、上澄水の層の水深が低下して固液分離能力が大幅に低下してしまうので、重力式固液分離機は、基本的にこのような原液の固液分離には適していない。凝集剤などの薬品の注入量を増やして汚泥のフロック化をさらに促進させると良質な上澄水を得ることは可能であるが、上澄水の層はそれほど低下せず、また薬品費も増大してしまう。重力式固液分離機は、動力費が安いのがメリットであるにも係わらず、薬品費が増大してしまうので、浮遊物質濃度の高い原液を固液分離しようとする場合、そのメリットが失われてしまう問題があった。
機械式固液分離システムは、浮遊物質濃度の高い原水に対しても容易に対応可能であるメリットがあるが、その反面、それぞれ以下に示すような問題点がある。従来の遠心式固液分離機は、安定した分離性能(制御性)が得られる反面、設備費や動力費が高くなってしまう。また、重力式固液分離機の場合と同様に薬品を注入しない場合には分離水の水質が悪く、薬品を注入した場合には分離水の水質が良好になるが薬品代などランニングコストの上昇等を招く。従来の常圧浮上式固液分離機は、分離液の水質が極めて良好である反面、設備費や維持管理費が高いばかりでなく、複数種の薬品が必要となることにより薬品費が高く負担が大きくなってしまう。そして、従来のスクリーン式固液分離機は、設備費や動力費が安い反面、薬品費が高いうえに、分離液の水質が悪く、更にはスクリーンを洗浄するために多量の水が必要となる。
この発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたもので、分離性能(制御性、分離液の水質、固形物の回収率など)の向上および安定化、省スペース化、イニシャルコスト(設備費など)やランニングコスト(動力費、薬品代、維持管理費など)の低減化を可能にする固液分離システムを得るものである。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の固液分離システムは、原液を固液分離する固液分離機、および、水槽と、該水槽に鉛直方向に配設され、円周に複数の羽根が間隙をもって設けられた回転筒とからなる固液分離槽を備えた固液分離システムにおいて、前記固液分離機では、原液を濃縮汚泥と分離液に固液分離し、前記固液分離槽では、前記分離液を、回転する回転筒に流入させて上澄水と濃縮液に固液分離することを特徴とする。
本発明の請求項2の固液分離システムは、請求項1の固液分離システムにおいて、前記濃縮液を前記固液分離機へ返送する濃縮液返送管を有することを特徴とする。
本発明の請求項3の固液分離システムは、請求項1または2のいずれかに記載の固液分離システムにおいて、前記固液分離槽で分離された濃縮液を貯留する濃縮液貯留器を有することを特徴とする。
本発明の請求項4の固液分離システムは、請求項3記載の固液分離システムにおいて、前記濃縮液貯留器は液面下で開口する吸気管および液面上で開口する排気管を有することを特徴とする。
本発明の請求項5の固液分離システムは、請求項1から4のいずれかに記載の固液分離システムにおいて、前記固液分離機は、原液を脱水処理する脱水機、または、原液を濃縮処理する濃縮機であることを特徴とする。
この発明に係る固液分離システムは、固液分離機では、原液を濃縮汚泥と分離液に固液分離し、固液分離槽では、固液分離機により固液分離された分離液を、回転する回転筒に流入させて上澄水と濃縮液に固液分離する構成としたことにより、高濃度の余剰汚泥や混合生汚泥などの原液を処理対象とした場合においても、確実に原液を固液分離することができ、良好な水質の分離水を得ることができる。つまり、高濃度の汚泥等を固液分離機でまず固液分離し、排出される浮遊物質濃度の高い分離液を固液分離槽の回転する回転筒に流入させて、さらに固液分離する。そして、通常の重力式固液分離槽では効率的で安定した固液分離が難しい浮遊物質濃度の高い分離液を、コンパクトな装置であるにもかかわらず、回転する回転筒の内壁面全体が固液分離面として機能し、分離面積を広く取ることができる固液分離槽で固液分離することにより、流入する浮遊物質濃度の高い分離液を、速やかに且つ確実に汚泥フロックを分離させ、良好な水質の分離水を安定して得ることができるという効果がある。さらに、駆動部が少なく、設備費、ランニングコストとも低減でき、かつ維持管理がしやすい効果を発揮できるという大きな効果もある。
また、この発明に係る固液分離システムは、浮遊物質濃度の高い原液を処理対象とする場合でも、まず固液分離機で一旦固液分離し、次いで固液分離槽でさらに固液分離するため、原液への薬品注入率を上げなくても十分に良好な水質の分離水を得ることができ、薬品費や動力費を浮遊物質濃度の低い原液を処理対象とする場合と同等に抑制できる効果もある。
この発明に係る固液分離システムは、固液分離槽や後述の濃縮液貯留器の濃縮液を固液分離機に返送する濃縮液返送管を有する構成としたことにより、濃縮液は原液と共に固液分離機で再度固液分離するため、濃縮液中に含まれる汚泥フロックをさらに回収する(=システム全体のSS回収率を向上させる)ことができ、また効率よく安定して高濃度の濃縮汚泥を得る(=濃縮汚泥を大幅に減量化する)ことができ、その後の汚泥処理(脱水、乾燥、焼却、系外搬出)が容易となる効果がある。
この発明に係る固液分離システムは、前述の如く原液を固液分離機および固液分離槽で効率よく安定して濃縮でき、得られた濃縮液を濃縮液貯留器に貯留保持できるため、濃縮液を不要に撹乱(汚泥フロックの解体等)させることなく、濃縮液を次段処理へ移行させることができる。また、濃縮液貯留器を固液分離槽に隣接し、または一体化(パッケージ化)して配置することにより、より省スペース化することができ、小規模な処理施設にも適合できる効果もある。
この発明に係る固液分離システムは、濃縮液貯留器に液面下で開口する吸気管および液面上で開口する排気管を有することにより、所謂「マリオット瓶の原理」を呈する構成となり、定圧整流装置として濃縮液貯留器内の濃縮液を撹乱することなく、常にほぼ一定量を外部へ移送することができ、別途定量ポンプなどの機械装置を必要とせず、建設費や設備費やランニングコストの低減化が図れる。
とくに、濃縮液貯留器内の濃縮液を、濃縮液返送管を用いて直接固液分離機に返送し、濃縮液を再度固液分離し、汚泥フロックをさらに回収する(=SS回収率を向上させる)場合、上記定圧整流装置を用いることにより、濃縮液を撹乱することなく汚泥フロックを破壊させずにスムーズに一定量を固液分離機に返送できるため、凝集剤など薬品類を使用しなくても原液と共に濃縮液を効率よく固液分離でき、安定して高いSS回収率を得ることができる。
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における固液分離システム1を説明するための図である。この固液分離システム1は、主に、流入管2、固液分離機3、移送管4、固液分離槽5によって構成され、原液を2段階で固液分離するようになっている。この固液分離システム1は、下水、産業廃水、農業集落排水、漁業集落排水、雨水等の汚濁水、生物処理槽混合液、汚濁水を処理した際に発生する汚泥等(以下、原液という)を濃縮液や濃縮汚泥と上澄水とに固液分離するものである。原液は初沈汚泥、生物処理系汚泥、消化汚泥、凝集汚泥、混合生汚泥等の浮遊物質濃度の高い汚泥を対象とする固液分離に好適であり、もちろん通常の下廃水などの汚濁水、生物処理槽混合液(曝気槽混合液など)、雨水や雨天時越流水のような低濃度排水など液体の固液分離にも適用可能である。
固液分離機3は、原液を濃縮汚泥と分離液に固液分離するものであり、浮遊物質濃度の高い原液に対しても比較的容易に対応可能な遠心式固液分離機、常圧浮上式固液分離機、スクリーン式固液分離機等が適用可能である。原液は、流入管2によって固液分離機3に流入されるが、その管路中に配設される混合タンク6で、凝集剤供給管7から供給される凝集剤Fが添加・混合される。なお、凝集剤Fは、原液中に含まれる浮遊物質や汚泥を凝集させて固液分離しやすいようにするために、添加・混合されるものであり、高分子凝集剤、無機凝集剤、又はそれらの混合液とすることができ、無機凝集剤はポリ塩化鉄、PACなどとすることができる。なお、固液分離機3に流入する原液は、流入前にフィルタなどによって夾雑物を除去(一次処理)することが好ましい。
固液分離槽5は、固液分離機3で固液分離された分離液を濃縮液と上澄水に固液分離するものである。固液分離槽5は、水槽8内に回転筒9が配設された構成となっている。水槽8は、平面円形で下方に向かって縮径する水槽とされ、この水槽8には分離液が移送管4を介して流入するようにされている。水槽8は、例えば、既設の汚水処理施設の最終沈殿槽とすることができるが、その形状や位置付けはこの図に限定するものではない。水槽8の内部には、分離液の固液分離を促進するための回転筒9が配置され、移送管4から分離液が回転筒9内に流入するように構成されている。
水槽8は、好ましい構造の一つとして、最上部にあって最も大径の大径ストレート部8a、この大径ストレート部8aの下端から下方に向かって縮径する大径テーパ部8b、この大径テーパ部8bの下端から下方に延びる小径ストレート部8c、および小径ストレート部8cの下端から下方に向かって縮径する小径テーパ部8dによって構成されている。上記回転筒9は、大径ストレート部8aと大径ストレート部8bに配置されている。大径ストレート部8aの上部には越流堰10を設けてあり、この越流堰10を越流した上澄水は図示しない流出管から系外に流出するように構成されている。小径テーパ部8dの最下部には濃縮液流出口8hが設けられ、その濃縮液流出口8hに開閉弁11が設置されている。開閉弁11には濃縮液移送管12が接続され、浮遊物質濃度の高い濃縮液が濃縮液移送管12を通して系外に排出されるようになっている。
回転筒9は駆動機18によって回転し、内部に導入された分離液に含まれる浮遊物質や汚泥フロックを内部に保持し、水が間隙(スリット)14から抜けるようにしてある。回転筒9は、筒状の上部補強帯9aの下端と筒状の下部補強帯9bの上端とを複数枚の回転羽根15で接続した構造であり、回転羽根15同士の間に間隙(スリット)14を設けた構造となっている。各回転羽根15の形状は、回転によって汚泥フロックを内部に保持しやすい形状、例えば水平断面が「くの字」状の短冊形状としてある(図5参照)。この回転羽根15は鉛直方向に延びるものであり、これに伴い間隙(スリット)14も鉛直方向に延在する。このような間隙(スリット)14の幅は5〜100mmとすることができるが、この実施の形態1では10mm程度としてある。なお、回転羽根15の形状や間隙(スリット)14の幅は、回転羽根15の回転によって汚泥フロックを内部に保持しやすく、水が滞りなく排出される構造であれば、これに限定されるものではない。また、回転羽根15の材質も限定しないが、鋼、ステンレス鋼、プラスチック、塩化ビニルなどとすることができる。
誘導器(フィードパイプ)16は、回転筒9の上部補強帯9aの回転軸と同軸上に配設されており、上部補強帯9aと複数の連結材17で連結されている。誘導器16は、上部に位置して、固液分離機3からの分離液を受ける錘状管部16aと、この錘状管部16aの最下部から鉛直下方に延びる直状管部16bによって構成され、この直状管部16bの下端を分離液の流出口16cとしている。誘導器16の流出口16cは回転筒9の上下方向のほぼ中間に位置しており、分離液が誘導器16の流出口16cから下方に向けて流出するように、構成されている。
尚、誘導器16の構成や、その流出口16cの位置は、固液分離機3からの分離液をスムーズに誘導できるものであれば、これに限定されるものではない。例えば、図2に示すように、誘導器21を図1の誘導器16と同様な錘状管部21aと直状管部21bによって構成し、この直状管部21bの下端を閉塞させると共に、直状管部21bに多数の孔21cを形成し、分離液を横方向に向けて分散流出させるように構成することができる。また、図3に示すように、誘導器22を下方が窄められた錘状体で構成し、誘導器22の上部に分離液が当たるように平坦な邪魔板23を設け、この邪魔板23で飛散した分離液を錘状体部分で誘導するように構成することができる。更に、図4に示すように、誘導器24は分離液を下方に向けて拡散するような末広がりの筒状体によって構成することができる。
駆動機18は、回転軸19とその回転軸19を回転駆動する電動モーターMや減速機などによって構成されている。駆動機18の回転軸19は、回転筒9及び誘導器16の回転軸と同軸であり、且つ回転筒9及び誘導器16の上方に配設され、その回転軸19は誘導器16と連結部材19aによって連結されている。駆動機18の回転軸19、誘導器16、回転筒9が同軸上で連結されていることにより、駆動機18を動力にして回転筒9は回転することができる。回転筒9の回転数は、水槽8の直径、回転筒9の直径、分離液の性状、濃縮液の粘性などのバランスを考慮して決定されるものであり、この実施の形態1では、例えば、10rpm程度の低速としてある。なお、回転筒9の上記要素(因子)に応じて決めることが好ましく、1〜2rpmとする場合もあるし、20〜30rpmとする場合もあり、いずれにしろ固液分離に支障を来さない低速であるものとする。
移送管4は、一端が固液分離機3の分離液流出口に接続され、他端は、誘導器16の上方で開放され、管路に配設されているポンプPにより、固液分離機3の分離液を固液分離槽5に定量で移送している。また、回転筒9の下部補強帯9bの下方には、濃縮液を濃縮液流出口8hに掻き寄せる掻寄機20が配設されている。20aは掻寄機20の支柱、20bは支柱20aの取付基部である。取付基部20bは連結部材20cを介して回転筒9の下部補強帯9bと連結されている。この構成により、駆動機18の駆動力によって回転筒9が回転し、連結部材20cを介して掻寄機20も回転する。尚、回転筒9の形状は、固液分離機3からの分離液の固液分離ができ、回転しやすいものであれば円柱形でも円錐形でも多角形でもかまわない。
次に、この実施の形態1における固液分離システムの作用を図1及び図5に基づいて説明する。なお、図5(a)は固液分離槽5の全体を示す側面図であり、図5(b)は主として回転羽根15を示す平面図である。原液は、流入管2上の混合タンク6で凝集剤Fが添加・混合され、原液中の浮遊物質が凝集された状態で固液分離機3に流入する。固液分離機3では、原液は、高濃度の濃縮液である濃縮汚泥と分離液に固液分離され、濃縮汚泥は系外に排出される。そして、分離液は移送管4によって固液分離槽5の誘導器16に移送される。この分離液は、液中にまだ浮遊物質が残留しており、原液と比べると低濃度であるが処理水としては浮遊物質濃度がまだ高く、不適格なものである。
分離液は、移送管4を通って固液分離槽の誘導器16の錘状管部16aに流入し、その直状管部16bを流下して、流出口16cから流出する。この間に、回転筒9は低速度で例えば図5(b)にあるように時計回り方向に回転しているので、回転筒9内に流入した分離液は回転羽根15の回転に同伴して回転流動する。このとき、回転筒9内の分離液中の汚泥フロックGは回転羽根15よりも遅い速度で回転羽根15と同じ方向に回転し、回転筒9の中心に集まりつつ保持される。また、間隙(スリット)14から流出しようとする汚泥フロックGは、回転羽根15に当たって回転筒9の中心に押し戻される。そして、間隙(スリット)14を通過した水は、固液分離槽5の上方に上澄水として上昇して越流堰10を越流して系外に排出される。
そして、汚泥フロックGは、図5に示すように、回転筒9内から小径テーパ部8dに集積しつつ濃縮され、さらにこの集積する濃縮液自体がろ過体の役目を果たすことから、新たに供給される分離液に含まれる浮遊物質や汚泥フロックがろ過捕捉されるため、安定して良好な固液分離が行え、清澄な水を得ることができる。なお、回転筒9内の微細な汚泥フロックGは、間隙(スリット)14を通って水槽8内に流出することがある。しかし、回転筒9の外部では、水が回転筒9の回転に伴って緩やかに回転流動して渦巻き状態になっているので、水槽8の大径テーパ部8bにおいていわゆるティーカップ現象が発生し、回転筒9から流出した微細な汚泥フロックGは、緩やかな渦巻き状態となって回転筒9の下部周辺に集積する。そして、開閉弁11を開くことによって、主に小径テーパ部8dの濃縮液が濃縮液移送管12を通って系外に引き抜かれる。この時の濃縮液の引抜量は、概ね小径テーパ部8dの容積に匹敵する量が好ましい。なお、開閉弁11を設けずに常に濃縮液を濃縮液移送管から系外に排出させても良いが、開閉弁11を用いて間欠で一挙に濃縮液を引抜くことにより、引抜量のコントロールができ、濃縮液の滞留や浮遊物質濃度の低い希薄な濃縮液の引抜きを防止することができる。
図2は、上述したように、誘導器21の変形例を示している。誘導器21は、駆動機18の回転軸19と連結部材19aを介して連結され、更に誘導器21の錘体状外周部と回転筒9の上部補強帯9aとが連結されている。これによって、駆動機18の回転によって誘導器21及び回転筒9更に掻寄機20が回転する。
図3、図4は、誘導器16の変形例にかかる誘導器22、24を示したものであり、誘導器22,24については既に説明しているので省略する。ここでは、図3,図4の回転筒9の駆動機構を説明する。回転筒9の駆動機構は、駆動機18と、駆動機18の回転軸19に取り付けられた平歯車26aと、平歯車26aが噛み合うように、上面の円周に沿って歯車が設けられているフェースギア26bと、更にフェースギア26bの底面がスライドする支持リング27bおよびボールベアリング27dとで大略構成される。即ち、水槽8の大径ストレート部8aの上端には水槽8の中心側に向かって横に延びる支柱27aが複数本取り付けられており、この支柱27aの回転筒9側の端部に支持リング27bが取り付けられており、この支持リング27bの上面に溝27cが形成されている。溝27cは半円断面形状に形成され、溝27c上にボールベアリング27dが配設されている。ボールベアリング27d上には、リング状であり、その底面に半円断面形状の溝26cが形成され、かつ上面に歯車が形成されたフェースギア26bが載せられている。これによって、フェースギア26bは、支持リング27b上をスライド可能に保持されている。フェースギア26bは支柱9cを介して回転筒9の外周部と一体に接合されている。駆動機18は支柱27aの上の支持板27dに固定されている。駆動機18が回転しようとすると、平歯車26aのトルクがフェースギア26bに伝わり、フェースギア26bが支持リング27bの上をスライドして回転を始める。フェースギア26bの回転は支柱9cを介して回転筒9に伝達され、回転筒9が回転する。
なお、駆動機18の駆動力を回転筒9に伝達する構成として、平歯車26aとフェースギア26bとの組み合わせを適用したが、駆動力を伝達できるのであれば、これ以外の構成であってもよい。例えば、大小2つのすぐばかさ歯車の組み合わせ、大小2つのまがるばかさ歯車の組み合わせ、大小2つのゼロールかさ歯車の組み合わせ等が挙げられる。
以上、実施の形態1における固液分離システムによれば、固液分離槽5では、回転筒9の回転羽根15の形状とその回転によって分離液を固液分離するので、分離面積は従来の重力式の固液分離槽と水平な分離面積よりも広くなる。従って、固液分離槽5における分離液の滞留時間の短縮、分離性能(制御性、分離水の水質、固形物の回収率等)の向上及び安定化を図ることができる。
また、混合タンク6において、原液と凝集剤Fを予め混合することができることにより、固液分離機3へは原液と凝集剤Fが均等に混合された状態で流入するので、分離性能(制御性、分離水の水質、固形物の回収率)が向上する効果がある。
例えば、消化汚泥の脱水に実施の形態1の固液分離システム1を適用し、固液分離機3として遠心脱水機を使用した場合、汚泥濃度1.5%程度の原液に、凝集剤Fを注入率1〜1.2%で注入して、固液分離した場合、濃縮汚泥の含水率は78%程度であり、原液からのSS回収率が99%以上、上澄水のSS濃度100mg/Lという固液分離性能(脱水性能)を得ることができる。一方、固液分離槽5を使用しない遠心脱水機のみの固液分離システムで同じ性状の原液を、同じ凝集剤Fの注入率で固液分離した場合では、原水からのSS回収率が95%程度と低く、遠心脱水機からの分離液のSS濃度も800mg/Lと高く、固液分離性能は十分とは言い難い。SS回収率を99%に上げるには、凝集剤Fの注入率を1.2〜1.3%にまで上げる必要があり、ランニングコストが掛かってしまい、経済的とはいえない。
実施の形態2.
図6は本発明の実施の形態2にかかる固液分離システムを示している。図6に示す固液分離システム30では、回転筒31の構成が図1に示す固液分離システム1の回転筒9と異なっている。図6の回転筒31は円筒体形状に形成されたパンチングメタルで構成されており、円筒体の外周壁面部に間隙(開口部)32が多数形成されている。回転筒31の上部補強帯31aの内側には誘導器16に連結される複数の支柱33が形成され、誘導器16と回転筒31とが支柱33を介して一体に結合されている。また、回転筒31の下部補強帯31bの内側には水平に延びる複数の支柱34が形成されており、これらの支柱34の回転筒31の中心側に取付基部35が形成されている。この取付基部35には支柱20aを介して掻寄機20が取り付けられている。そのほかの構成は図1から図5に示す固液分離システム1と同様であるのでその説明を援用する。
以上、実施の形態2における固液分離システムによれば、実施の形態1で示した効果のほかに、回転筒31を製作する際、鋼板等の金属板にパンチングマシンで所定数および口径の間隙(開口部)32を開けたパンチングメタルを製作する作業とパンチングメタル円筒状にする作業だけで済むので、製作時間の短縮が図れ、また製作コストを低減できる効果がある。
実施の形態3.
図7は本発明の実施形態3にかかる固液分離システムを示している。図7に示す固液分離システム36では、回転筒37の構成が図1に示す固液分離システム1の回転筒9と異なっている。図7の回転筒37は図1に示す回転筒9の内側上部に円筒形状のカバー38が一体に取り付けられたものであり、間隙(スリット)14の上部が閉鎖された構成となっている。カバー38の上部の外周縁部は外側に突出しており、回転筒37の内面に嵌合して固定されている。カバー38の上部の内側には誘導器16に連結される複数の支柱39が形成され、誘導器16とカバー38とが支柱39を介して一体に結合されている。また、回転筒37の下部補強帯37bの内側には水平に延びる複数の支柱20cが形成されており、これらの支柱20cの回転筒37の中心側に取付基部20bが形成されている。この取付基部20bには支柱20aを介して掻寄機20が取り付けられている。そのほかの構成は図1から図5に示す固液分離システム1と同様であるのでその説明を援用する。なお、カバー38を有する構成は、実施の形態2に示した回転筒31についても適用可能である。
以上、実施の形態3における固液分離システムによれば、回転筒37に間隙(スリット)14の上部を覆うカバー38を設けたことにより、回転筒37内の上方に浮遊し、スリット幅よりも径が小さく、比重も小さくて重力沈降しにくい微細な汚泥フロックが、回転筒37内の流動に同伴して回転筒37の間隙(スリット)14から回転筒37外へ流出し、上澄水と共に系外に排出してしまうことを防止できる。さらに、カバー38により流出を阻害された微細な汚泥フロックは、回転筒37内の流動に同伴して下降し、下部の間隙(スリット)14から流出するおそれがあるが、回転筒37内の下方には沈降した汚泥フロックが滞留していて、この下方に滞留する汚泥フロックが微細な汚泥フロックを捕捉するため、微細な汚泥フロックが下部の間隙(スリット)14を通過して回転筒37外へ流出し、上澄水と共に系外に排出してしまうことを防止できる。
実施の形態4.
図8は本発明の実施の形態4にかかる固液分離システムを示している。図8に示す固液分離システム40では、回転筒41の構成が図1に示す固液分離システム1の回転筒9と異なっていると共に、流入管2に混合タンク6の代わりにインラインミキサー42が設けられている点が図1の固液分離システム1と異なる。流入管2に設けられたインラインミキサー42は、原液に凝集剤Fを均一に混ぜて固液分離機3に送り出すようになっている。また、回転筒41は、円筒体形状となるように、上下の円形リング41a、41bの間に補強枠41cが複数本形成された骨組形状になっている。補強枠41cと円形リング41a、41bで囲まれた開口部には、例えばステンレス等で形成され、間隙を多数有するメッシュ43が取り付けられている。そのほかの構成は図1の固液分離システム1の構成と同様であるので、その説明を援用する。
なお、インラインミキサー42は、実施の形態2および実施の形態3に示した混合タンク6に代えて使用することが可能である。また、回転筒41内の上部に実施の形態3で示したカバー38を取り付けて、メッシュ43の上方の間隙を塞ぐ構成とすると、実施の形態3で示した同様の効果も得られる。
以上、実施の形態4における固液分離システムによれば、実施の形態1に示した効果のほかに、混合タンク6に代えてインラインミキサー42を設けたことにより、インラインミキサー42は混合タンク6に比べて、原液と凝集剤Fとをより均一に混合することができる効果があり、しかも、省スペースであるので、流入管2廻りの設置空間を小さくすることができる効果がある。また、回転筒41を骨組形状に間隙を多数有するメッシュ43を取り付けた構成としたことにより、メッシュ43の間隙が破損や腐食等で広がってしまった場合においても、メッシュ43を交換することで回転筒41を修復することができ、修繕費用を低減できる効果がある。
実施の形態5.
図9は実施の形態5にかかる固液分離システム45を示す。この実施の形態5における固液分離システム45は、図1から図8の固液分離システムを更に改良したものであり、図9では、図1に示した固液分離システムにおいて、越流堰10の上澄水を固液分離機3の洗浄水としても使用できる構成としている。通常、固液分離機3は、原液の固液分離を継続すると、内部に濃縮汚泥が滞留・固着するため、定期的に洗浄水で内部を洗浄する必要がある場合がほとんどである。この実施の形態5の固液分離システム45では、越流堰10から流出する上澄水を洗浄水槽46に一時貯留しておき、固液分離機3の内部を洗浄する時期には、ポンプ47で給水管を通じて上澄水を固液分離機3内の図示しない内部洗浄機構に供給するようになっている。その他の構成は図1の固液分離システム1と同様であるので、その説明を援用する。
以上、実施の形態5における固液分離システムによれば、実施の形態1から実施の形態4に示したそれぞれの効果のほかに、固液分離機3の洗浄水に上澄水を利用可能としたことにより、洗浄水に水道水や工業用水等の供給を受けなくても済み、固液分離システムのランニングコストの低減が図れる効果がある。
実施の形態6.
図10は実施の形態6にかかる固液分離システム48を示す。実施の形態6にかかる固液分離システム48は、回転筒49と掻寄機50と水槽8の底部の構成が図1の固液分離システム1と異なっている。即ち、回転筒49は上部の口径が小さく、下部の口径が大きく設定された逆円錐台形状の籠形構成とされている。回転筒49の外周面部には間隙(スリット)14が多数形成され、間隙(スリット)14の両側部に回転羽根15が形成されていることは図1の回転筒9と同様である。このように回転筒49は円筒形に限らず下方が広がる末広がりの円錐形でも逆円錐でも多角型でも良く、固液分離機3からの分離液の固液分離ができて回転しやすいものであればどのような形状でもかまわない。また、回転筒49の上部には支柱51を介して誘導器16が取り付けられており、回転筒49の下部には支柱52を介して掻寄機50の基部50aが一体に取り付けられている。掻寄機50は支柱50bに支持されている。掻寄機50は水槽8の内側中心部に近い端部上面に複数本の棒状のピケットフェンス53が鉛直上方に向かって突出している。
一般に、ホッパー形状の水槽で、汚泥フロックを含む汚水を重力沈降方式で固液分離した場合、水槽の上方に上澄水が、下方に汚泥フロックがそれぞれ集まるが、水槽下端から堆積した汚泥フロックを引き抜くと、堆積している汚泥フロックの濃度分布が不均一であると、濃度の比較的希薄な部分から上澄水が少量ずつ通過して、汚泥フロックとともに引き抜かれてしまう現象が発生することがある。このとき、上澄水の通過した汚泥フロックの隙間は、一般に「水道(みずみち)」といわれている。この現象が発生すると、引き抜かれた汚泥フロックの濃度が薄くなってしまう問題が生じてしまう。ピケットフェンス53は、回転筒49と一体に回転することにより、回転筒49の内側中央部に集積する汚泥フロックGの濃度分布を均一化することができ、汚泥フロックG内に「水道(みずみち)」が発生することを防止することができる。よって、濃縮液の濃度がより安定すると共に、希薄な濃縮液の引き抜きを防止することができる。水槽8の底部8eはこの実施の形態では、水平とされ、底部8eの外周側壁部8fに濃縮液流出口8gが形成されている。汚泥はこの濃縮液流出口8gから開閉弁11を介して濃縮液移送管12に送られ系外に排出される。その他の構成は図1の固液分離システム1と同様であるので、その説明を援用する。なお、この実施の形態6で示した回転筒49の形状、ピケットフェンス53および水槽8の底部の構成に関しては、実施の形態2から実施の形態5に示した各固液分離システムにも適用可能である。
以上、実施の形態6における固液分離システムによれば、回転筒49の形状を逆円錐台形状としたことにより、回転筒49下部の内部空間を広く取ることができ、実施の形態1に示した回転筒9の場合よりも、下部の内側に汚泥フロックを多く保持することができるので、浮遊物質濃度が多少高い分離液に対しても、固液分離槽で十分満足できる固液分離性能が得られる効果がある。また、水槽8の底面の形状について、濃縮液流出口8gを外周側壁部8fに設けたことにより、水槽8の下部空間に濃縮液移送管12を配置するための空間を確保する必要がなく、固液分離槽5の設置に必要な高さ空間を低く抑えることができる効果がある。
実施の形態7.
図11は実施の形態7にかかる固液分離システム54を示す。この固液分離システム54は、水槽8の底部から延びる濃縮液の移送管路の構成が図1の濃縮液移送管12と異なる。すなわち、この実施の形態7にかかる固液分離システム54では水槽8からの濃縮液の移送先が固液分離機3とされており、水槽8と固液分離機3とが濃縮液返送管55によって接続されている。その他の構成は図1と同様であるのでその説明を援用する。なお、濃縮液返送管55は、重力式で濃縮液を返送するものであるので、管路の配管抵抗を極力少なくすることが望ましい。たとえば、管路の曲管部を極力少なくすること、塩化ビニル管やステンレス鋼管等の管摩擦抵抗の少ない管材を使用する等が対策として上げられる。この実施の形態7で示した濃縮液返送管55の構成に関しては、実施の形態2から実施の形態6に示した各固液分離システムにも適用可能である。
以上、実施の形態7における固液分離システムによれば、実施の形態1から実施の形態6に示したそれぞれの効果のほかに、固液分離槽5の濃縮液を固液分離機3に重力式で返送する濃縮液返送管55を配設したことにより、濃縮液内の汚泥フロックを解体させることなく、固液分離機3に返送することができる。これにより、濃縮液中の汚泥フロックを固液分離機3で新たに流入する原液中の汚泥フロックとともに濃縮汚泥として回収することができ、原液からのSS回収率を大幅に向上させることができる大きな効果がある。また、濃縮液を回収したり、処理したりする装置を別途必要としないという効果もある。
実施の形態8.
図12は実施の形態8にかかる固液分離システム56を示す。この固液分離システム56は、図11に示す固液分離システムとは、濃縮液返送管57の固液分離槽5に接続している端部と反対側の端部を混合タンク6に接続し、濃縮液返送管57にポンプ58を配設し、濃縮液を強制圧送する構成とした点が大きく異なる。
混合タンク6まで移送された濃縮液は原液と混ぜ合わされて固液分離機3に送られ、濃縮汚泥は系外に排出され、分離液は移送管4を経由して回転筒9に送られる。その他の構成は図1と同様であるので、その説明を援用する。なお、この実施の形態8で示した濃縮液返送管57およびポンプ58による構成に関しては、実施の形態2から実施の形態6に示した各固液分離システムにも適用可能である。
以上、実施の形態8における固液分離システムによれば、実施の形態1から実施の形態6に示したそれぞれの効果のほかに、以下に示す効果も得られる。すなわち、固液分離槽5から固液分離機3へ濃縮液をポンプ58で強制圧送すると、濃縮液がポンプ58に吸い込まれて内部で加圧されて吐出される間に、濃縮液内の汚泥フロックが解体されてしまい、固液分離機3に流入したときに濃縮汚泥として回収できずに分離液に混ざってしまい、実施の形態7の固液分離システムに比べてSS回収率が低下してしまう問題があった。これに対して、この実施の形態8の固液分離システムでは、ポンプ58で濃縮液中の汚泥フロックが解体されてしまっても、混合タンク6で新たに流入する原液とともに凝集剤Fと混ざり合うことにより、一度解体されてしまった汚泥フロックを再度形成され、固液分離機3で濃縮汚泥として回収でき、実施の形態7の固液分離システムと同等のSS回収率を得ることができる。また、固液分離槽5の濃縮液を重力式ではなく、強制圧送で送ることができるので、固液分離機3と固液分離槽5の設置高さの制限がない。さらに、その効果によって、固液分離システム全体サイズのコンパクト化を図ることもできる。
実施の形態9.
図13は、実施の形態9にかかる固液分離システム59を示す。この固液分離システム59において、図1と同じ部分に同じ符号を付して重複説明を省略する。この固液分離システム59では、水槽8の底部外周近傍に円形環状の濃縮液貯留器60が配設されており、濃縮液貯留器60に吸気管61、排気管62、および空気弁63を配置してある点において実施の形態1における固液分離システム1と異なっている。濃縮液貯留器60には導入口60aと排出口60bが形成されている。導入口60aと排出口60bは円形の平面形態において、概ね円の直径両端の位置に設定されている。導入口60aは、濃縮液貯留器6の底面に設けられており、濃縮液移送管12が接続されている。濃縮液移送管12には開閉弁11が設けられている。
濃縮液貯留器60は、所謂「マリオット瓶の原理」を呈するように構成されており、定圧整流装置の役割を持たせてある。すなわち、濃縮液貯留器60は、密閉容器とされると共に、吸気管61、排気管62、空気弁63を備えている。吸気管61は高さ調節可能に設けられ、空気弁63は排気管62に配設されている。開閉弁11の開閉、吸気管61の高さ位置、空気弁63の開閉は、図示しない制御装置によって、適宜制御可能とされている。これによって、排出弁64を開けて濃縮液返送管65から流出する濃縮液の速度Vは、濃縮液返送管65の中心と吸気管61下端との液位差hに依存し、V=√(2gh)となる。そして、この速度Vは濃縮液のレベルが変動しても概ね一定に保持される。
実施の形態9の固液分離システム59において濃縮液を水槽8から濃縮液貯留器60に流入させる際には、排出弁64を閉じた状態で開閉弁11と空気弁63を開く。そして、濃縮液を濃縮液貯留器60から排出する際には、開閉弁11と空気弁63を閉じて排出弁64を開く。この際に、濃縮液の排出量は液位差h、すなわち吸気管61の下端部の高さを調整することによって調整し、排出流量を増加させる場合には吸気管61を上方へ移動させ、排出流量を減少させる場合には吸気管61を下方へ移動させる。なお、濃縮液貯留器60内における濃縮液の最高レベルまたは最低レベルを検出する電極棒などからなるレベル計を配設し、このレベル計の出力を制御装置に接続し、濃縮液貯留器60内における濃縮液のレベルに応じて開閉弁11、空気弁63および排出弁64の開閉や吸気管61の高さ位置を制御するのも好ましい。また、吸気管61の高さを調整する代りに、濃縮液返送管65の口径を調整可能としてもよい。そして、吸気管61は、予め決めた適当な高さ位置に固定することもできる。
なお、この実施の形態9では、濃縮液貯留器60に一時貯留された濃縮液は、濃縮液返送管65を経由して固液分離機3へ返送される構成となっているが、濃縮液返送管65の固液分離機3に接続している端部を、固液分離システム59のシステム外の処理施設等へ定流量で移送する構成としてもよい。このようにすると、濃縮液中の汚泥フロックを生物処理等で分解可能な施設が最寄にある場合においては、処理可能な範囲で定流量に移送することが可能である。また、この実施の形態9で示した濃縮液貯留器60、吸気管61、排気管62および空気弁63による構成に関しては、実施の形態2から実施の形態6に示した各固液分離システムにも適用可能である。
以上のように、この実施の形態9における固液分離システム59は、実施の形態1から実施の形態6に示したそれぞれの効果のほかに、以下に示す効果も得られる。「マリオット瓶の原理」に基づいて濃縮液を濃縮液貯留器60から一定の流量及び速度で固液分離機3へ供給できるので、ポンプによる流量制御の場合のような濃縮液中に集合した汚泥フロックが破壊されて解体してしまうことはない。
実施の形態10.
図14はこの発明の実施の形態10にかかる固液分離システム66を示す。実施形態10の固液分離システム66は、図13で説明した実施の形態9の固液分離システム59において、濃縮液貯留器67の容積の拡大化或いはコンパクト化を図ったものである。この濃縮液貯留器67は、水槽8下部の円錐形状外周壁面に沿って延びるように、環状に形成された濃縮液貯留器67の断面形状において下部内側部分67aを、環状部の内側に水平に突出させている。これによって、水槽8の下部空間を有効に利用できることとなり、濃縮液貯留器67の容積の増大化若しくは水槽8の小型化を促進できる。その他の構成は実施の形態9の固液分離システム59の構成と同様であるので、その説明を用いる。
実施の形態11.
図15はこの発明を実施するための実施の形態11にかかる固液分離システム68を説明するための図である。図15の実施の形態11の固液分離システム68は、図13の実施の形態9の固液分離システム59とは、水槽8の形状を図10の実施の形態6で示した水槽8と同様の形状に変えている点が図13の実施の形態9の固液分離システム59と異なる。その他は、実施の形態9と同じであるので、図13と同じ部分に同じ符号を付して重複説明を省略する。この実施の形態11における水槽8は、図10の水槽8と同様に、最上部の大径ストレート部8a、大径テーパ部8b、小径ストレート部8c、小径テーパ部8d、底部8e、底部8eの外周側壁部8fで構成されている。底部8eは水平とされ、底部8eの外周側壁部8fに濃縮液流出口8gが形成されている。汚泥はこの濃縮液流出口8gから濃縮液移送管12、開閉弁70を介して濃縮液貯留器60に導入される。その他の構成は図13の実施の形態9の固液分離システム59と同様であるので、その説明を援用する。
以上、実施の形態11における固液分離システムによれば、実施の形態9に示した効果のほかに、実施の形態6に示した効果も同時に得られる。
実施の形態12.
図16は実施の形態12にかかる固液分離システム71を説明するための図であり、図13の実施の形態9の固液分離システム59と同じ部分に同じ符号を付して重複説明を省略する。この実施の形態12における固液分離システム71は、図13の実施の形態9に示した固液分離システム59とは、吸気管61、排気管62および空気弁63からなる「マリオット瓶の原理」に基づく構成に代えて、濃縮液貯留器60に電極式のレベル計72を設置し、このレベル計72の出力を制御器73に入力させ、制御器73の出力を排出弁64の駆動モータ74に接続してある点が異なり、その他の構成は実施の形態9と同一であるので、その説明を用いる。なお、この実施の形態9で示した濃縮液貯留器60、濃縮液移送管12、および濃縮液返送管65による構成に関しては、実施の形態2から実施の形態6に示した各固液分離システムにも適用可能である。
実施の形態13.
図17は実施の形態13にかかる固液分離システム75を説明するための図であり、図13と同じ部分に同じ符号を付して重複説明を省略する。この実施の形態13における固液分離システム75は、図13の環状の濃縮液貯留器60の代りに濃縮液貯留器76を水槽8から離して設置してある点で図13の固液分離システム59と大きく異なっている。濃縮液貯留器76には濃縮液貯留器60と同様に吸気管61、排気管62および空気弁63を配置してある。
以上、実施の形態13における固液分離システムによれば、実施の形態9に示した効果のほかに、以下に示す効果も得られる。固液分離槽5と濃縮液貯留器76とを別途に設けていることから、濃縮液貯留器76は処理施設の既設槽(タンク)類を流用することができ、建設費や設備費やランニングコストの低減化を図ることができる。また、濃縮液貯留器76の上部や近傍に固液分離槽5や固液分離機3を設置すればより省スペース化が図れる。
実施の形態14.
図18はこの発明を実施するための実施の形態14における固液分離システム77を説明するための図であり、図17と同じ部分に同じ符号を付して重複説明を省略する。この実施の形態14における固液分離システム77では、実施の形態13における固液分離システム75とは、濃縮液貯留器76においては、吸気管61、排気管62および空気弁63からなる「マリオット瓶の原理」に基づく構成に代えて、実施の形態12と同様なレベル計72、制御器73、駆動モータ74を設けてある点が異なる。また、図6と同様なパンチングメタルからなる外側回転筒31と図7と同様な内側カバー38を備えてなる回転筒78が、固液分離槽5に配設されている点も異なる。なお、回転筒31に代えて、実施の形態1、実施の形態3から実施の形態6で示した各回転筒の構成としてもよく、その場合には、各実施の形態であげた効果が得られる。
以上、実施の形態14における固液分離システムによれば、実施の形態13で示した効果のほかに、濃縮液貯留器76にレベル計72、制御器73、駆動モータ74を設けた点については、実施の形態12と同様な効果が得られ、回転筒78をパンチングメタル製の回転筒31とカバー38で構成したことについては実施の形態2,3のシステムと同様な効果が得られる。
実施の形態15.
図19はこの発明を実施するための実施の形態15における固液分離システム79を説明するための図である。実施の形態15の固液分離システム79は、図11の実施の形態7の固液分離システム54の変形例であるので、図11と同じ部分については同じ符号を付して重複説明を省略する。この実施の形態15における固液分離システム79は、実施の形態7における固液分離機3をディスク型固液分離機80としてある点および流入管2と濃縮液返送管55とを合流管2aで合流し、その合流管2aをディスク型固液分離機80に接続している点が、実施の形態7における固液分離システム54と大きく異なっている。このディスク型固液分離機80は、ろ過、濃縮、および洗浄を1枚のディスク上で行うことにより、中濃度の原液をより高濃度な濃縮汚泥にするものであり、原液を濃縮処理することや、脱水処理すること等、機械的に固液分離処理することが可能である。また、このディスク型固液分離機80から排出される分離液は、移送管4を通り、誘導器16を介して回転筒9内に流入する。そして、分離液は、固液分離槽5で上澄水と濃縮液とに固液分離され、濃縮液は、濃縮液返送管55から合流管2aで凝集剤Fが注入された原液と合流した後、ディスク型固液分離機80に返送される。
図20はディスク型固液分離機80の構成を示す。ディスク型固液分離機80は、複数本の脚81a〜81cによって傾斜角度を調整可能に支持した円柱状の本体82を備えている。この本体82は、原液流入口83、分離液流出口84、および濃縮汚泥排出口85を有している。原液流入口83は合流管2aが接続され、分離液流出口84は移送管4が接続されている。本体82内には回転軸86によって支持したろ過ディスク87を回転可能に設置してあり、本体82の上部には回転軸86に連結した駆動モータ88を設けてある。そして、本体82の内部には、ろ過ディスク87上の濃縮汚泥が濃縮汚泥排出口85に向かって落下するように濃縮汚泥をろ過ディスク87から掻き落すスクレーパ89を設けてある。ろ過ディスク87は、例えば孔径0.3〜0.5mmのメッシュをもった円形のマイクロフィルタや微細目スクリーンとし、例えば0.5〜10rpmで回転駆動し、洗浄水によって連続または間欠に洗浄するようにしてある。このディスク型固液分離機における濃縮汚泥の濃縮程度は、本体82の傾斜角度とろ過ディスク87の回転速度を変化させることによって調整でき、合流管2aから供給される凝集剤Fが注入された原液と濃縮液を安定して効率よく動力費もわずかで、より高濃度に濃縮することができる。なお、上記のディスク型固液分離機は原液を濃縮処理する濃縮機であるが、上記ディスク型固液分離機に代えて遠心型、ベルトプレス型、フィルタープレス型などの原液を脱水処理する脱水機を用いたり、別途接続することもできる。なお、この実施の形態15で示したディスク型固液分離機80を適用した固液分離システムの構成に関しては、実施の形態8に示した固液分離システムにも適用可能である。
以上、実施の形態15における固液分離システムによれば、実施の形態1に示した効果のほかに、固液分離機として、ディスク型固液分離機80を適用したことにより、ディスク型固液分離機80でのSS回収率の調整を本体82の傾斜角度とろ過ディスク87の回転速度を変化させることによって容易に調整することができるので、固液分離システム79全体のバランス調整を容易に行うことができる効果がある。また、ろ過ディスク87上に捕捉された濃縮汚泥をスクレーパ89で確実に掻き落して濃縮汚泥排出口85より排出することができるので、ディスク型固液分離機80内に濃縮汚泥が長時間滞留することがない効果もある。
[実施例1]
ディスク型固液分離機80の直径は約1m、固液分離槽5の直径は約1.3mのものであり、ディスク型固液分離機80の処理量は5m3/h、原液の汚泥濃度は0.6%、凝集剤Fの注入率が0.25%であった。このような条件に基づいて固液分離システム79を運転したところ、濃縮汚泥の濃度が4%以上であり、原液からのSS回収率が98%以上であった。また、固液分離槽5で固液分離した上澄水のSS濃度は数10mg/Lと非常に良質の処理水を得ることができる。
それに対し、ディスク型固液分離機80単体で同条件で固液分離を行うと、原液からのSS回収率が94%程度と低い。SS回収率を98%以上に改善するには、凝集剤Fの注入率を0.4%にまで上げなければならず、ランニングコストが掛かってしまい、経済的とはいえない。
実施の形態16.
図21はこの発明を実施するための実施の形態16における固液分離システム90を説明するための図である。図13の実施の形態9の固液分離システム59の変形例であるので、図13の固液分離システム59と同じ部分には同じ符号を付して重複説明を省略する。この実施の形態16における固液分離システム90は、実施の形態9における固液分離機3を、実施の形態15で示したディスク型固液分離機80とした点、流入管2と濃縮液返送管65とを合流管2aで合流し、その合流管2aをディスク型固液分離機80に接続している点が、実施の形態9における固液分離システム59と大きく異なっている。環状の濃縮液貯留器60の構成は、図13で示した実施の形態9の説明と同様であるので、その説明を用いる。なお、この実施の形態16で示したディスク型固液分離機80を適用した固液分離システムの構成に関しては、実施の形態9から実施の形態14に示した各固液分離システムにも適用可能である。
以上、実施の形態16における固液分離システムによれば、実施の形態9に示した効果のほかに、実施の形態15で示した効果も同時に得られる。また、「マリオット瓶の原理」を利用した濃縮液貯留器60を備えることにより、ディスク型固液分離機80へは一定の流量の濃縮液が導入されるので、ディスク型固液分離機80では一定の割合で固液分離処理を行うことが可能であり、負荷変動の少ない運転処理を行うことができる。
実施の形態17.
図22はこの発明を実施するための実施の形態17における固液分離システム91を説明するための図である。実施の形態17にかかる固液分離システム91は、ディスク型固液分離機80で固液分離された分離液を重力式で固液分離槽5へ供給するようにしたものであり、図19の固液分離システム79と同じ部分には同じ符号を付して重複説明を省略する。この実施の形態17における固液分離システム91においては、実施の形態15におけるディスク型固液分離機80が固液分離槽5の上方に配置され、ディスク型固液分離機80の上方に混合タンク6等が配置される。また、水槽8から延びる濃縮液返送管55は、水槽8の底部から混合タンク6まで上昇して延びている。濃縮液返送管55には、開閉弁92とポンプ93が配設されており、濃縮液は、混合タンク6へ強制圧送される。このポンプ93による強制圧送の際、濃縮液中の汚泥フロックが解体されてしまうので、ディスク型固液分離機80に返送される前に新たに凝集剤Fと接触させて、汚泥フロックを再形成させる必要がある。このため、この濃縮液返送管55の返送先は混合タンク6からディスク型濃縮機80までの間とされ、凝集剤Fが導入される混合タンク6において、新たに流入する原液および濃縮液に凝集剤Fが注入されるようになっている。更に、図19の移送管4と異なってディスク型固液分離機80からの移送管94は誘導器16の上に臨んでおり、分離液が重力によって誘導器16に導入されるようになっている。その他の固液分離システム91の構成は図19の固液分離システム79と同様であるので、その説明を用いる。なお、この実施の形態17で示したディスク型固液分離機80を固液分離槽5の上方に配置した固液分離システム91の構成に関しては、実施の形態7や実施の形態8で示した固液分離機3を適用した固液分離システムにも適用可能である。
以上、実施の形態17における固液分離システム91によれば、実施の形態15で示した効果のほかに、ディスク型固液分離機80で固液分離した分離液を重力式で固液分離槽5へ移送できることから、固液分離槽5へ分離液が流入する際に、回転筒9の汚泥フロックに与える影響をより小さくすることができる効果がある。
以上説明したように、この発明に係る固液分離システムは、固液分離機3では、原液を濃縮汚泥と分離液に固液分離し、固液分離槽5では、固液分離機3により固液分離された分離液を、回転する回転筒に流入させて上澄水と濃縮液に固液分離する構成としたことにより、高濃度の余剰汚泥や混合生汚泥等、浮遊物質濃度の高い原液を処理対象とした場合においても、確実に原液を固液分離することができ、良好な水質の分離水を得ることができる。
つまり、高濃度の汚泥等を固液分離機3でまず固液分離し、排出される浮遊物質濃度の高い分離液を固液分離槽5の回転する回転筒に流入させて、さらに固液分離する。そして、通常の重力式固液分離槽では効率的で安定した固液分離が難しい浮遊物質濃度の高い分離液を、コンパクトな装置であるにもかかわらず、回転する回転筒の内壁面全体が固液分離面として機能し、分離面積を広く取ることができる固液分離槽5で固液分離することにより、流入する浮遊物質濃度の高い分離液を、速やかに且つ確実に汚泥フロックを分離させ、良好な水質の分離水を安定して得ることができるという効果がある。さらに、固液分離システムは、駆動部が少なく、設備費、ランニングコストとも低減でき、かつ維持管理がしやすい効果を発揮できるという大きな効果もある。
また、この上述の固液分離システムは、浮遊物質濃度の高い原液を処理対象とする場合でも、まず固液分離機3で一旦固液分離し、次いで固液分離槽5でさらに固液分離するため、原液への薬品注入率を増やさなくても十分に良好な水質の分離水を得ることができ、薬品費や動力費を浮遊物質濃度の低い原液を処理対象とする場合と同等に抑制できる効果もある。
さらに、上述の固液分離システムは、固液分離槽5や後述の濃縮液貯留器60の濃縮液を固液分離機3に返送する濃縮液返送管55等を有する構成としたことにより、濃縮液は原液と共に固液分離機3で再度固液分離するため、濃縮液中に含まれる汚泥フロックをさらに回収する(=システム全体のSS回収率を向上させる)ことができ、また効率よく安定して高濃度の濃縮汚泥を得る(=濃縮汚泥を大幅に減量化する)ことができ、その後の汚泥処理(脱水、乾燥、焼却、系外搬出)が容易となる効果がある。
さらに、上述の固液分離システムは、前述の如く原液を固液分離機3および固液分離槽5で効率よく安定して濃縮でき、得られた濃縮液を濃縮液貯留器60に貯留保持できるため、濃縮液を不要に撹乱(汚泥フロックの破壊等)させることなく、濃縮液を次段処理へ移行させることができる。また、濃縮液貯留器60を固液分離槽に隣接し、または一体化(パッケージ化)して配置することにより、より省スペース化することができ、小規模な処理施設にも適合できる効果もある。
また、上述の固液分離システムは、濃縮液貯留器60に液面下で開口する吸気管61および液面上で開口する排気管62を有することにより、所謂「マリオット瓶の原理」を呈する構成となり、定圧整流装置として濃縮液貯留器内の濃縮液を撹乱することなく、常にほぼ一定量を外部へ移送することができ、別途定量ポンプなどの機械装置を必要とせず、建設費や設備費やランニングコストの低減化が図れる。
とくに、濃縮液貯留器60内の濃縮液を濃縮液返送管55を用いて直接固液分離機3に返送し、濃縮液を再度固液分離し、汚泥フロックをさらに回収する(=SS回収率を向上させる)場合、上記定圧整流装置を用いることにより、濃縮液を撹乱することなく汚泥フロックを破壊させずにスムーズに一定量を固液分離機3に返送できるため、凝集剤など薬品類を使用しなくても原液と共に濃縮液を効率よく固液分離でき、安定して高いSS回収率を得ることができる。
以上、実施の形態1〜19において本発明の固液分離システムを説明してきたが、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、いろいろな修正や変更が可能であることは言うまでもない。例えば、固液分離機3、ディスク型固液分離機80、水槽8、回転筒9、31、37,41、49、誘導器16、22、24、掻寄機20、50、濃縮液返送管55、57、65、濃縮液貯留器60、76はその他の形状、材質、形態が可能である。
また、回転筒9の間隙(スリット)14は、複数の回転羽根15を間隔を持って配設して形成させてもよいが、筒状体に間隙(切れ込み)を形成しスリットとしてもよく、前述したようにパンチングメタルでもよく、また細かな格子を形成する網状体でもよい。さらに、複数の回転羽根を配設する場合、各回転羽根を接線方向に向けて配置したり、若干傾斜させたりしてもよい。また、回転羽根自体は平板なものでもよく、波形や湾曲したものを用いてもよい。
この発明の実施の形態1における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態1における固液分離システムの誘導器の変形例を説明するための側面図である。 この発明の実施の形態1における固液分離システムの誘導器及び回転筒の変形例を説明するための側面図である。 この発明の実施の形態1における固液分離システムの誘導器の変形例を説明するための側面図である。 (a)この発明の実施の形態1における固液分離システムの固液分離槽の作用を説明する側面図である。(b)この発明の実施の形態1における固液分離の回転羽根の作用を説明する平面図である。 この発明の実施の形態2における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態3における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態4における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態5における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態6における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態7における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態8における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態9における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態10における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態11における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態12における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態13における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態14における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態15における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態15における固液分離システムのディスク型固液分離機を説明するための斜視図である。 この発明の実施の形態16における固液分離システムを説明するための側面図である。 この発明の実施の形態17における固液分離システムを説明するための側面図である。
符号の説明
1、30、36、40、45、48、54、56、59、66、68、71、75、77、79、90、91 固液分離システム
2 流入管
2a 合流管
3 固液分離機
4 移送管
5 固液分離槽
6 混合タンク
8 水槽
9、31、37、41、49 回転筒
10 越流堰
11 開閉弁
12 濃縮液移送管
14 間隙(スリット)
15 回転羽根
16、21、22、24 誘導器
20、50 掻寄機
32 間隙(開口部)
38 カバー
43 メッシュ
53 ピケットフェンス
55、57、65 濃縮液返送管
60、67、76 濃縮液貯留器
61 吸気管
62 排気管
63 空気弁
80 ディスク型固液分離機

Claims (5)

  1. 原液を固液分離する固液分離機、および
    水槽と、該水槽に鉛直方向に配設され、円周に複数の羽根が間隙をもって設けられた回転筒とからなる固液分離槽
    を備えた固液分離システムにおいて、
    前記固液分離機では、原液を濃縮汚泥と分離液に固液分離し、
    記固液分離槽では、前記分離液を、回転する回転筒に流入させて上澄水と濃縮液に固液分離する
    ことを特徴とする固液分離システム。
  2. 前記濃縮液を前記固液分離機へ返送する濃縮液返送管を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の固液分離システム。
  3. 前記固液分離槽で分離された濃縮液を貯留する濃縮液貯留器を有する
    ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の固液分離システム。
  4. 濃縮液貯留器は、
    液面下で開口する吸気管および液面上で開口する排気管を有する
    ことを特徴とする請求項3記載の固液分離システム。
  5. 固液分離機は、
    原液を脱水処理する脱水機
    または原液を濃縮処理する濃縮機である
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の固液分離システム。
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