JP4773218B2 - 静電塗装用ガン - Google Patents

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Description

本発明は、溶剤系塗料、粉体塗料等の電気抵抗が比較的大きい塗料に適した静電塗装用ガンに関する。
自動車の車体等の塗装方法の一つに静電塗装がある。静電塗装は、被塗物、つまり車体を陽極に、塗装装置を陰極とし、これらの間に高電圧を加えて静電界(電気力線)を形成すると共に塗料粒子をマイナスに帯電させて噴出することによって、静電引力により被塗物に塗料を吸着させる方法である。この静電塗装用の塗装装置、例えば静電塗装用ガンはガン本体に荷電電極を設け、前記荷電電極に負の高電圧を供給することにより前記荷電電極と被塗物との間に高電圧を印加すると共に塗料をマイナスに帯電させている。
このような静電塗装に用いられる塗料には溶剤系塗料(油性塗料)、水系塗料(水性塗料)、粉体塗料などがある。このうち溶剤系塗料および粉体塗料は、水系塗料に比し電気抵抗が比較的高く電流をほとんど通さない。このため、溶剤系或いは粉体塗料用の静電塗装ガンは、ガン本体内の弁室に荷電電極を設けるなどして、塗料を帯電させた状態で塗装ノズルから噴射するようになっている。
この種の静電塗装用ガンにおいては、前記電極と被塗物との間に高電圧を印加する電源出力を塗料噴出時と非噴出時とで切換え、塗料噴出時の電極と被塗物との間の電位差を非噴出時よりも高く設定することで、塗着効率を向上させるようにしたものが供されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−328492号公報
しかしながら、上記構成の静電塗装用ガンでは、作業者がこれを直接操作する「手持ち式」である場合に、次のような作業環境上の問題があった。即ち、前記電極と被塗物との間に高電圧を印加した場合、作業者の方にも電気力線が及ぶため、帯電した塗料が作業者に附着するだけでなく、前記静電塗装用ガン特有の不快感(モヤモヤ感)を与えていた。殊に電圧が高く設定される塗料噴出時は、この現象が顕著となり安全性の観点からも好ましくない。
また、「手持ち式」でない静電塗装用ガンであっても、被塗物以外の物に電気力線が及ぶため、ガン本体や周囲の物に帯電した塗料が附着する問題が生じていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は作業者や周囲の物に対する汚れを抑制することができると共に、作業者の不快感を解消することができ、安全性を向上させることができる静電塗装用ガンを提供することである。
本発明は、非導電性塗料を噴出すると共に帯電させることにより被塗物に塗着させる静電塗装用ガンにおいて、塗料供給源に接続された塗料供給路と、前記塗料供給路の前端部に形成された塗料吐出口と、前記塗料吐出口から吐出される非導電性塗料を帯電させるための直流高電圧を発生する高電圧発生手段と、前記塗料吐出口に位置し、前記高電圧発生手段が発生した高電圧が供給される電極と、前記塗料吐出口の周囲に設けられ、塗料を搬送するための圧縮空気を前方に噴出するエア噴出孔と、前記電極を中心として前記エア噴出孔よりも外側に位置する略円環状の導電性部材とを備え、前記導電性部材は、アース接続され、前記電極との間に電界を発生させるものであることを特徴とする。
本発明によれば、前記電気力線は導電性部材と電極との間に形成され、作業者や周囲の物に及ばない。また、前記電極と被塗物との間に電界を形成する必要がなく、電界を発生させる距離を短くすることができる。従って、該電極に印加する電圧を低く設定することができるので安全性を向上させることができる。
<第1実施例>
以下、本発明を溶剤系塗料に用いられる静電塗装用スプレーガンに適用した第1実施例について図1乃至図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、前記スプレーガン1は、絶縁性の合成樹脂材料からなるバレル(銃身)2と、このバレル2の後端部(図1中右端部)に設けたグリップ3とから構成されている。前記バレル2内の上部には高電圧発生回路を構成する昇圧トランス、高圧整流回路(いずれも図示せず)を一体にモールドしたカスケード4(高電圧発生手段に相当)が収納されている。
バレル2内の前部には、導電性を有する連体棒5が前方に向って下方に傾斜するように配設されている。前記カスケード4の前側には、連体棒5の後部が露出するように孔6が設けられており、この孔6には導電性のスプリング6aが収容されている。前記スプリング6aは、その後部においてカスケード4の前端に位置する出力端子7に装着され、前部において連体棒5と当接している。尚、バレル2前部には、後に詳述するピン電極8を有する塗料ノズル27が設けられている。前記連体棒5とピン電極8とは電気的に接続されるようになっている。
一方、グリップ3の下部には、電源コネクタ9及びエアホース用ジョイント10が取付けられていると共に、連結部材11を介して略円筒状の塗料ホース用ジョイント12が連結されている。前記連結部材11は、ネジ13によってグリップ3の下端部に固定されている。連結部材11及びネジ13はいずれも導電性材料から構成されている。また、連結部材11には、電源コネクタ9内のアース線9aにリード線14を介して接続されたネジ15が螺挿されている。これにより、前記ジョイント12とアース線9aとが電気的に接続される。
そして、高電圧発生に必要な高周波電圧は、前記グリップ3の下部の電源コネクタ9から取り入れられ、グリップ3内の図示しない配線ケーブルを通ってカスケード4内の昇圧トランスに供給される。供給された高周波電圧は、昇圧トランスで昇圧された後、コッククロフト−ウォルトン型倍電圧整流回路を使用した高電圧整流回路で更に昇圧されると同時に整流されて数万Vの直流高電圧が発生される。
発生した直流高電圧は、カスケード4の出力端子7から前記スプリング6aを介して連体棒5に導かれ、ピン電極8に供給されるようになっている。
また、バレル2内の下部には前後方向に延びる孔部16が設けられている。前記バレル2の前端部には取付凹部17が設けられており、前記取付凹部17の後端面において前記孔部16は開口している。前記孔部16内の前部には塗料バルブ18が配設されている。また、孔部16内のうち前記塗料バルブ18の後部には空間を存して中空状のガイド部材19が配設されている。
図1、図2に示すように、前記塗料バルブ18は、導電性部材としてのバルブ本体20、前記バルブ本体20内を軸方向に貫通する弁口21、前記弁口21を開閉するニードル22を備えて構成されている。前記バルブ本体20の前部の外周には、円環状のフランジ20aが一体的に設けられており、このフランジ20aと前記連体棒5の先端部とが接触するようになっている。
前記孔部16のうち塗料バルブ18とガイド部材19との間の空間は弁室23とされている。前記ニードル22は弁室23内を貫通しており、その前端部がテーパ状に形成されている。前記ニードル22の後部は前記ガイド部材19内に挿通されており、当該ガイド部材19に沿って前後方向に移動するようになっている。弁口21は前記ニードル22の前端部が当接、離間することによって開放、閉塞される。
前記ニードル22は、バレル2の後端部に設けられた復帰バネ24により常には弁口21を閉塞する方向に付勢されている。そして、バレル2に設けられたトリガ25が引かれている間のみ前記ニードル22は復帰バネ24に抗して後退し、弁口21が開放される。前記弁室23と前記塗料ホース用ジョイント12とは塗料チューブ26により連結されている。
前記取付凹部17は前半部よりも後半部のほうが径小になっており、その径小部分には塗料ノズル27が着脱可能に螺合されている。前記塗料ノズル27は絶縁性合成樹脂材料からなり、その前半部は取付凹部17よりも前方に突出している。
前記塗料ノズル27内の中心部には前後方向に貫通する塗料流路28が設けられている。塗料流路28の後端部は塗料バルブ18の弁口21に連通している。塗料ノズル27の前端部のうち塗料流路28の前端に当たる部分は径小に構成され、塗料吐出口29とされている。
尚、前記取付凹部17に塗料ノズル27が装着されたことにより前記塗料ノズル27の周囲部には環状の空間が形成される。この環状空間はパターンエア流路30として利用される。
上記構成により、トリガ25の非操作時は、塗料供給源としての塗料タンクから塗料ホース(いずれも図示せず)を介して前記塗料ホース用ジョイント12に供給され、塗料チューブ26を通って弁室23に導かれた塗料は、前記ニードル22により塗料ノズル27への吐出が阻止される。ここで、トリガ25が操作されて塗料バルブ18が開弁すると、弁室23内に供給された塗料は塗料ノズル27内の塗料流路28に吐出される。つまり、本実施例では、前記ジョイント12、塗料チューブ26、弁室23及び塗料流路28が塗料供給路を構成する。
前記塗料流路28内にはピン電極8が挿通されている。前記ピン電極8の前端部は塗料吐出口29よりも前方に突出している。前記ピン電極8の後半部は導電性を有する保持部材31によって保持されている。塗料流路28内のうち保持部材31の後部には導電性を有するスプリング32が収容されている。前記スプリング32の後端部はバルブ本体20の前端面に当接している。上記構成によりピン電極8とバルブ本体20とは電気的に接続される。
前記塗料ノズル27内のうち前記塗料流路28の周囲部には複数の霧化エア流路33が形成されている。霧化エア流路33の前端部は、塗料ノズル27の前端部に設けられた環状の霧化エア流路33aに連通している。
前記バレル2の後端部にはエアバルブ34が設けられている。また、グリップ3には、前記エアホース用ジョイント10と該エアバルブ34とを繋ぐエア流路36が設けられている。霧化エア及びパターンエア用の圧縮空気は、圧縮空気発生装置から高圧エアホース(いずれも図示せず)を介してエアホース用ジョイント10に供給され、前記エア流路36を通ってエアバルブ34に導かれる。
エアバルブ34は、前記ニードル22と一体的に前後移動する弁体37により開閉されるようになっている。つまり、塗料バルブ18が開弁するときエアバルブ34も開弁し、塗料バルブ18が閉弁するとエアバルブ34も閉弁する。そして、エアバルブ34が開弁すると圧縮空気はバレル2内に設けられた霧化エア供給路、パターンエア供給路(いずれも図示せず)を通って塗料ノズル27の霧化エア流路33、パターンエア流路30にそれぞれ供給される。
塗料ノズル27の前端部はバレル2の前端部に取り付けられたエアキャップ38によって覆われている。エアキャップ38の後面中央には嵌合凸部39が設けられており、塗料ノズル27は霧化エア流路33aの外周面において嵌合凸部39に嵌合している。エアキャップ38の後部外周には環状段部38aが設けられており、前記環状段部38aにはリテイニングナット40が係合している。バレル2の前端部外周にはねじ山41が設けられており、前記ねじ山41に前記リテイニングナット40は螺合している。
前記塗料ノズル27は、取付凹部17に挿入された後、前端部に前記エアキャップ38を嵌合させ、前記エアキャップ38の前端からリテイニングナット40を挿入してねじ山41に螺合させることによりエアキャップ38と共にバレル2に固定される。このとき、エアキャップ38とバレル2との間には塗料ノズル27の周囲に位置する環状の空間が形成される。この空間は前記パターンエア流路30と共にパターンエア流路42として利用される。
前記エアキャップ38の中央部には霧化エア噴出孔43が穿設されている。前記霧化エア噴出孔43には塗料ノズル27の塗料吐出口29が挿通されている。霧化エア噴出孔43は前記霧化エア流路33aに連通しており、前記霧化エア流路33aに供給された霧化エアは霧化エア噴出孔43の内周面と塗料吐出口29の外周面との間の環状の隙間を通って前方に噴出される。
また、エアキャップ38のうち霧化エア噴出孔43の周囲部には複数の副パターンエア噴出孔44が設けられている。前記副パターンエア噴出孔44は前記霧化エア流路33aに連通しており、霧化エア流路33aに供給された圧縮空気は副パターンエアとして副パターンエア噴出孔44から前方に噴出される。
更に、エアキャップ38の前部の上下部には前方に突出する一対の角部45が形成されている。前記角部45には、それぞれ前記パターンエア流路42に連通する複数(図2では2個)のパターンエア噴出孔46が形成されている。前記パターンエア噴出孔46はエアキャップ38の中心軸に向かって斜め前方に傾斜している。従って、パターンエア流路42に供給された圧縮空気としてのパターンエアは前記パターンエア噴出孔46から斜め前方に向けて噴出される。
前記エアキャップ38の外周にはキャップリング47が着脱可能に装着されている。前記キャップリング47は、合成樹脂、例えばポリアセタール製のリング本体48と、前記リング本体48の前端部に固定されたステンレス製の導電性リング49(導電性部材に相当)とから構成されている。
前記導電性リング49は、リング本体48の前端部において、その外周面を覆うように固着される。そして、キャップリング47がエアキャップ38に装着された場合、導電性リング49の中心には、ピン電極8が位置するようになっている。前記導電性リング49にはリード線50の一端部がネジ止めされている。前記リード線50の他端部は、前記ネジ13に接続されている。これにより、導電性リング49はリード線50、ネジ13、連結部材11及びリード線14を介してアース線9aに接続される。
次に、上記構成のスプレーガン1を用いて静電塗装を行うときの動作について説明する。トリガ25が引かれると、塗料バルブ18が開弁して前記ジョイント12から供給された溶剤系塗料が塗料流路28に吐出され、塗料ノズル27前端の塗料吐出口29からピン電極8の表面を伝って皮膜状に吐出される。また、霧化エア流路33に圧縮空気が供給され、この圧縮空気は霧化エア噴出孔43の内周と塗料吐出口29の外周との間の狭い隙間を通り霧化エアとして前方に噴出される。更に、霧化エアの噴出と同時に副パターンエア噴出孔44からも霧化エア流路33から供給される圧縮空気が副パターンエアとして噴出される。この結果、ピン電極8の表面を伝って塗料吐出口29から吐出される溶剤系塗料は、霧化エア及び副パターンエアにより霧化される。
また、トリガ25が引かれると、カスケード4内の高電圧発生回路に高周波電圧が供給され高電圧整流回路により発生した負の直流高電圧(例えば25kV)が、前記出力端子7からスプリング6a、連体棒5を介してバルブ本体20に導かれる。バルブ本体20に導かれた高電圧はその前端部からスプリング32を介して保持部材31に導かれ、ピン電極8に供給される。これにより、ピン電極8と導電性リング49との間には強力な電界(電気力線)が発生してコロナ放電場が形成され、ピン電極8を伝う溶剤性塗料には負の電荷が誘起される。従って、塗料吐出口29から吐出され霧化された溶剤系塗料の塗料粒子はマイナスに帯電した状態で空中に飛び出す。
空中に飛び出した塗料粒子は、パターンエア噴出孔46から噴出されるパターンエア及び副パターンエア噴出孔44から噴出される副パターンエアによって、その噴霧パターンが塗装に適した小判形に形成される。
塗料粒子は主としてこのパターンエアによって被塗物近傍まで搬送される。帯電した塗料粒子が被塗物に近づくと、静電誘導により接地された被塗物の表面に塗料粒子の電荷と反対極性の電荷が誘起される。これにより、塗料粒子と被塗物との間に静電気力が働き、塗料粒子は被塗物に向かう吸引力を受ける。つまり、この吸引力とパターンエアによる吹きつけ力との双方の力により塗料粒子は被塗物表面に塗着される。静電気力による吸引力が働くため塗料粒子は被塗物の裏側にも回り込み、スプレーガン1に面しない被塗物の裏側にも塗料が塗着される。以上のような作用により被塗物に静電塗装が行なわれる。
このように本実施例によれば、ピン電極8の近傍に導電性リング49を設け、ピン電極8と被塗物との間ではなく、ピン電極8と導電性リング49との間に電気力線が形成されるように構成した。従って、電気力線が作業者や周囲の物に及ばないため、作業者の帯電の機会が減り、安全性が向上すると共に、前記塗料粒子が作業者やスプレーガン1の表面などに附着することを極力防止することができる。また、手持式の静電塗装ガン特有の作業者の不快感(モヤモヤ感)を解消することができる。
ところで、発明者の実験によると、ピン電極8に−25kVの電圧を印加することにより静電塗装を行うに充分なコロナ放電が発生させることができた。
前述の特許文献1に記載されている従来のスプレーガンでは、−60kV或いは−120kVの電圧をピン電極に印加する必要があったことを考慮すると、本実施例のスプレーガン1における印加電圧は非常に低い値であることがわかる。
これは、次の理由によると考えられる。即ち、ピン電極8との間に電気力線を発生させる導電性リング49は、エアキャップ38の外周に取付けられたキャップリング47に設けられているため、ピン電極8と導電性リング49との距離は、ピン電極8と被塗物との距離に比べて飛躍的に短い。また、キャップリング47の前端に導電性リング49を設けたため、ピン電極8を中心とする円周上に導電性リング49が位置し、且つピン電極8の先端と導電性リング49とが略同一面上に位置する。従って、低い電圧でもピン電極8は持続放電の状態に入り、ピン電極8の先端部において安定したコロナ放電を発生させることができるため、塗料粒子の帯電電荷量が増加するからである。
尚、前記塗料粒子の電荷量の増加に伴い、この電荷とは反対極性の電荷が誘起された被塗物と塗料粒子との間の静電気力(吸引力)が高まると共に、作業者や周囲の物などに対する不要な電気力線が生じない。このため、従来のスプレーガンの塗着効率と同等の塗着効率が得られるものと考えられる。
また、本実施例によれば、前述した低電圧化によって安全性を向上させることができる。更に、低電圧化に伴いカスケード4を含めた電気的構成をコンパクトにすることができるので、小型で安価なスプレーガン1を提供することができる。
前記ピン電極8と被塗物との間の電気力線を不要とすることができるので、被塗物の凸部に電気力線が集中することによるファラデーケージ効果を解消し、より均一で好適な塗膜を施すことができる。
また、前記キャップリング47は、着脱可能に構成されているため既存のスプレーガンをそのまま流用することができる。
<第2実施例>
本発明を粉体塗料に用いられる静電塗装用スプレーガンに適用した第2実施例について図4及び図5を参照しながら説明する。尚、第1実施例と同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
スプレーガン1に代わるスプレーガン51は、第1実施例のスプレーガン1とは、以下の点について相違する。即ち、グリップ3の下部には、電源コネクタ9及び粉体塗料用ジョイント54が取付けられていると共に、これら電源コネクタ9と前記ジョイント54と中間に位置してエアチューブ55が取着されている。
バレル2内の下部には、前後方向に延びる孔部57が設けられている。前記バレル2の前端部には取付凹部58が設けられており、該取付凹部58の後端面において前記孔部57は開口している。前記グリップ3には、粉体塗料用ジョイント54と孔部57とを繋ぐ塗料流入路59が設けられている。
バレル2の前端部には、塗料ノズル53が取付けられている。塗料ノズル53は、図5(a)に示すように、ノズル本体60とその後部に装着された釣鐘状のノズル固定用ナット61とを備えている。ノズル本体60は、絶縁性の合成樹脂材料からなる筒部62と、その後部に固着された導電性を有するリング部材63とを有する。
他方、ノズル固定用ナット61は、絶縁性の合成樹脂材料からなり、バレル2の前部を覆うように嵌め込まれる。そして、固定用ナット61の後部がバレル2の前部外周に設けられたねじ山(図示せず)に螺合することで、塗料ノズル53が着脱可能に取付けられるようになっている。この場合、前記リング部材63は取付凹部58に嵌合されると共に、リング部材63の後面63aにおいて連体棒5と当接する。また、筒部62及びリング部材63の内側は塗料流路64とされていて、塗料流路64の後端部はバレル2の孔部57に連通している。
前記筒部62の前部には、略円錐状をなすノズルキャップ65が装着されている。ノズルキャップ65は絶縁性の合成樹脂材料からなり、その前半部はスリット66が形成されており塗料吐出口とされている。
上記構成により、外部の塗料タンクから供給される粉体塗料は、圧縮空気と共に塗料ホース(図示せず)及び塗料ホース用ジョイント54を介して塗料流入路59に導かれ、孔部57を通って塗料ノズル53内の塗料流路64に吐出される。つまり、本実施例では、前記ジョイント54、塗料流入路59、孔部57及び塗料流路64が塗料供給路を構成する。
前記塗料流路64内にはピン電極52が挿通されている。前記ピン電極52の前端部はスリット66の後端部66aよりも前方に突出している。前記ピン電極52の後半部は導電性を有する保持部材67によって保持されている。前記リング部材63には、その軸心において保持部材67を支持し且つ電気的に接続する支持体(図示せず)が設けられている。上記構成により、ピン電極52とリング部材63とは電気的に接続される。
これにより、カスケード4内にて発生した直流高電圧は、カスケード4の出力端子7から前記スプリング6a及び連体棒5を介してリング部材63に導かれ、ピン電極52に供給されるようになっている。
また、バレル2の後端部にはロータリスイッチ56が設けられている。このスイッチ56の回動操作によって、ピン電極52に供給される直流高電圧が任意の高さに設定される。
前記バレル2内の下部には、前記孔部57の下側に位置して前後方向に延びるエア流路68が形成されている。このエア流路68は、取付凹部58の後端面において開口し、塗料流路64に連通している。他方、グリップ3内には、該エア流路68とエアチューブ55とを繋ぐエア流入路69が設けられている。
そして、圧縮空気発生装置からエアホース(図示せず)を介してエアチューブ55に供給される圧縮空気は、エア流入路69、エア流路68及び塗料流路64を通って、スリット66から前方に噴出される。この場合の圧縮空気は、保持部材67等に附着した粉体塗料を吹き飛ばして塗料ノズル53内を一掃し、塗料ノズル53のメンテナンスを容易にするものであり、静電塗装を行わない清掃時に供給される。
前記ノズルキャップ65の外周には略円筒状のキャップリング47が着脱可能に装着されている。キャップリング47を構成するリング本体48の内周部には、ノズルキャップ65外周部と嵌合する嵌合保持部48aが形成されている。リング本体48はノズルキャップ65が挿通されて嵌合保持されると共に、導電性リング49の中心にはピン電極52が位置するようになっている。前記導電性リング49にネジ止めされたリード線50の他端部は、グリップ3下端部の図示しないネジによって固定されている。これにより、導電性リング49はリード線50を介してアース接続されるようになっている。
次に、上記構成のスプレーガン51を用いて静電塗装を行うときの動作について説明する。塗料ホース用ジョイント54から圧縮空気と共に供給される粉体塗料は、塗料流路64に吐出されピン電極52の表面を伝って、塗料ノズル53前端のスリット66から前方に噴出される。
このとき、負の直流高電圧(例えば25kV)が、前記出力端子7から連体棒5を介してリング部材63に導かれる。リング部材63に導かれた高電圧は、前記支持体から保持部材67に導かれピン電極52に供給される。これにより、ピン電極52と導電性リング49との間には強力な電界が発生してコロナ放電場が形成され、ピン電極52を伝う粉体塗料には負の電荷が誘起される。従って、スリット66から噴出された粉体塗料の塗料粒子はマイナスに帯電した状態で空中に飛び出す。
空中に飛び出した塗料粒子は主として、粉体塗料と共に噴出される圧縮空気の作用によって被塗物近傍まで搬送される。帯電した塗料粒子が被塗物に近づくと、前述した静電誘導により、塗料粒子は被塗物に向かう吸引力を受ける。即ち、この吸引力と圧縮空気による吹きつけ力との双方の力により塗料粒子は被塗物表面に塗着される。
このような第2実施例によっても、電気力線はピン電極52と導電性リング49との間にのみ形成されるため第1実施例と同様の効果が得られる。即ち、粉体塗料に用いられる静電塗装用スプレーガン51においても、作業者や周囲の物に対する汚れを抑制することができると共に、作業者の不快感を解消することができ、安全性を向上させることができる。また、低電圧化に伴う電気部品の小型化を図ることができるので、小型で安価な粉体塗料用スプレーガン51を提供することができる。
<第3実施例>
図6は、本発明の第3実施例を示すものであり、第2実施例と異なるところを説明する。尚、第2実施例と同一部分には同一符号を付している。
スプレーガン51に代わるスプレーガン70は、第2実施例のスプレーガン51とは、以下の点について相違する。即ち、バレル71の後部の下面には、平坦な取付面72が形成されている。スプレーガン70は、取付面72において図示しないロボットアームに取付けるなどして粉体塗料による静電塗装が行われる。
また、バレル71の後端部には、電源コネクタ9、粉体塗料用ジョイント54及びエアチューブ55が取着されている。孔部57及びエア流路68は、バレル71を貫通するように形成されている。そして、孔部57は前記ジョイント54に、エア流路68は前記チューブ55に夫々連通している。
導電性リング49にネジ止めされたリード線50の他端部は、バレル71後端部の図示しないネジによって固定されている。これにより、導電性リング49はリード線50を介してアース接続されるようになっている。
このような第3実施例によっても、第2実施例と同様の効果が得られる。また、低電圧化に伴うスプレーガン70の小型化を図ることができるので、小型で安価な粉体塗料用塗装ロボットを提供することができる
尚、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形、拡張が可能である。
本発明は、溶剤系塗料や粉体塗料に限られず、電気抵抗が比較的大きい塗料に適した静電塗装用ガン全般に適用できる。
第1実施例において、導電性リング49が固定されたキャップリング47代えて、エアキャップ38の前端面に導電性リング49を埋設するようにしてもよい。また、第2及び第3実施例において、導電性リング49が固定されたキャップリング47代えて、ノズルキャップ65の前部に導電性リング49を埋設するようにしてもよい。
ピン電極8,52と導電性リング49との間に形成される電気力線に影響を及ぼさない程度であれば、ピン電極8,52と被塗物との間に電気力線が生じていてもよい。
このほか、本発明は、エアレス式の溶剤系塗料用スプレーガンに適用してもよいし、摩擦帯電とコロナ帯電とを組合わせた粉体塗料用スプレーガンに適用する等、要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得る。
本発明の第1実施例を示すものであり、静電塗装用スプレーガンの全体構成を示す縦断側面図 前端部分を拡大して示す縦断側面図 前端部分の正面図 本発明の第2実施例を示す図1相当図 粉体塗料用ノズルを拡大して示すもので、(a)は縦断側面図、(b)は正面図 本発明の第3実施例を示す図1相当図
符号の説明
図面中、1,51,70は静電塗装用スプレーガン(静電塗装用ガン)、4はカスケード(高電圧発生手段)、8,52はピン電極(電極)、12は塗料ホース用ジョイント(塗料供給路)、23は弁室(塗料供給路)、26は塗料チューブ(塗料供給路)、28,64は塗料流路(塗料供給路)、29は塗料吐出口、49は導電性リング(導電性部材)、54は粉体塗料用ジョイント(塗料供給路)、57は孔部(塗料供給路)、59は塗料流入路(塗料供給路)66はスリット(塗料吐出口)を示す。

Claims (2)

  1. 非導電性塗料を噴出すると共に帯電させることにより被塗物に塗着させる静電塗装用ガンにおいて、
    塗料供給源に接続された塗料供給路と、
    前記塗料供給路の前端部に形成された塗料吐出口と、
    前記塗料吐出口から吐出される非導電性塗料を帯電させるための直流高電圧を発生する高電圧発生手段と、
    前記塗料吐出口に位置し、前記高電圧発生手段が発生した高電圧が供給される電極と、
    前記塗料吐出口の周囲に設けられ、塗料を搬送するための圧縮空気を前方に噴出するエア噴出孔と、
    記電極を中心として前記エア噴出孔よりも外側に位置する略円環状の導電性部材とを備え、
    前記導電性部材は、アース接続され、前記電極との間に電界を発生させるものであることを特徴とする静電塗装用ガン。
  2. 導電性部材は、静電塗装用ガン前端部に着脱可能に装着されることを特徴とする請求項1に記載の静電塗装用ガン。
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