JP4770334B2 - 熱可塑性樹脂の多層成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表皮材からなる表皮層と、熱可塑性樹脂からなる発泡層と、を備えた多層成形品を得るための多層成形方法に関する。
表皮材からなる表皮層と熱可塑性樹脂からなる発泡層とを含む多層の成形品(多層成形品)は、古くから様々な分野で使用されている。多層成形品のうち発泡層は、樹脂の内部に多数存在する気泡によって軽量性、断熱性、吸音性、及び質感に優れる。一方、多層成形品において表皮層が存在することにより、多層成形品に優れた外観性を付与することが出来る。近年、特に、製品に対する樹脂の使用量を減らし軽量化するために樹脂を発泡させる手段が採用され、軽量化はコスト低減につながることとあいまって、発泡層を含む多層成形品の適用分野は、更に広がっている。
多層成形品のうちの発泡層を得る方法は、樹脂に混合する発泡剤の種類によって、物理的発泡法と化学的発泡法に分類される。物理的発泡法では、物理発泡剤である窒素や二酸化炭素等の不活性ガス、又は炭化水素類やフルオロカーボン類等の気化性物質を使用する。一方、化学的発泡法では、化学発泡剤であるアゾ化合物やニトロソ化合物等の有機発泡剤、又は重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤を使用する。そして、多層成形方法によれば、発泡剤と樹脂材料とを混合した溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出充填し、それとは別に発泡剤を含まない樹脂材料からなる溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出充填し、発泡剤を混合した樹脂を発泡させることによって、層の内部に約80〜300μm程度の気泡径を有する発泡層と、非発泡層と、を含む多層成形品を得ることが可能である。
多層成形品のうちの発泡層にあたる発泡成形品を得る方法として、例えば、特許文献1には、オレフィン樹脂に化学発泡剤又は物理発泡剤を混合して溶融し、ショートショット法を用いて成形品内部に気泡を有する発泡成形品を成形する方法が開示されている。この特許文献1に開示された方法によれば、押出機、アキュムレータ、金型によって構成された成形装置に、窒素ガス等の不活性ガス、又は炭化水素類やフルオロカーボン類等の揮発性物質、若しくは化学発泡剤等と、樹脂材料を混合した溶融樹脂を、押出機でアキュムレータに送り込み、その後、アキュムレータに送り込まれた溶融樹脂を金型内へ射出し、樹脂を発泡させることによって、内部に気泡を有する発泡成形品を得ることが出来る。
又、例えば特許文献2には、物理発泡剤を使用することにより発泡成形品を得る方法として、押出機ホッパより空気、又は他の気体、若しくは気化性物質等を、樹脂材料の供給と同時に加圧下で供給し、樹脂材料の溶融と気泡の含有及び分散をスクリュ押出機で行う方法が開示されている。この特許文献2に開示された方法によれば、ポリエチレン樹脂を用い、空気を0.69〜0.78MPa程度で加圧供給することにより、独立気泡を含むスポンジ様物質の成形品を得ることが出来る。
更に、例えば特許文献3には、発泡ガスとして不活性ガスである二酸化炭素を超臨界状態で使用することにより、従来の化学発泡剤又は物理発泡剤を使用して成形品内部に形成した場合に比較して、気泡の密度(単位体積あたりの気泡数)を格段に増加させ得る方法が開示されている。この特許文献3に開示される方法によれば、超臨界流体の昇圧装置及び供給装置とガスボンベから構成されるシステムを成形装置に取付け、成形装置のシリンダより二酸化炭素を超臨界状態で注入して溶融樹脂中へ溶解させるとともに、注入した二酸化炭素を溶解した溶融樹脂を金型内に射出充填して樹脂を発泡させることにより、内部にマイクロセルと呼ばれる1μm未満の超微孔質を有する樹脂成形品を得ることが可能である。
特公昭44−6080号公報 特公昭43−9913号公報 特表平6−506724号公報 成形加工、2001、第2号、第13巻
しかしながら、表皮層と発泡層とを含む多層成形品を得るに際して、多層成形品のうちの発泡層を形成するために上記した従来の発泡成形品を得る方法を採用すると、以下のような問題が顕在化した。
即ち、樹脂と有機化学発泡剤(アゾ化合物又はニトロソ化合物等)を供給する手段を採用した場合(特許文献1を参照)においては、熱分解により腐食性のあるアンモニア、一酸化炭素や水蒸気等のガス、シアン酸、イソシアン酸等が分解生成物として生じ、大気中に放出されるとともに、分解生成物が発泡層中に残留し、表皮材(表皮層)を変色させるという問題があった。又、発泡剤として重炭酸ナトリウム(無機発泡剤)を使用すると、アルカリ性成分を含む微量の反応残留物が発泡層自体を変色させるとともに、多層成形品の耐候性を低下させるという問題に直面した。
一方、分解生成物が生じることのない物理発泡剤である炭化水素類又はフルオロカーボン類等の気化性物質を供給する手段を採用すると、環境汚染及び環境破壊物質として大気中への排出が規制されるという問題に直面した。
スクリュを用いた樹脂の押出機のホッパより窒素等の不活性ガス又は空気を供給し樹脂材料と同時に加圧下で混練して成形する手段(特許文献2を参照)では、溶融樹脂中に気体が微細に分散されず所望する気泡密度や気泡径を有した発泡層を形成することは、実際には、なかなかに難しいという問題があった。
二酸化炭素(発泡ガス)を超臨界状態で溶融樹脂中に溶解させる手段を採用した場合(特許文献3を参照)には、以下のような問題があった。先ず、超臨界流体の発生装置及び供給装置が必要となり、これらの装置は高圧のガスを取り扱うことから法的規制を受け、設備の導入や取り扱いが煩雑であるという問題である。次に、射出装置のシリンダ内に注入した発泡ガスのシール機構が複雑なものになり、装置が高価格になるという問題である。次いで、発泡ガスのシール性を高めると、樹脂の可塑化能力が低下することから、生産性も低下するという問題である。加えて、発泡ガスの注入制御は、流量制御が一般的であることから、その制御機構が複雑なものになるという問題がある。そして、最適な制御が出来ずに発泡ガスの注入量が過多になると、溶融樹脂の射出充填時に発泡ガスも噴出し、表皮材(表皮層)を損傷させたり表皮材に染み込んで劣化させるという問題がある。
又、表皮層と発泡層とを含む多層成形品を得るに際して、予め金型のキャビティに表皮層となる表皮材をセットしておく表皮インサート成形法を採用すると、溶融樹脂の射出充填時の圧力及び溶融樹脂の熱で表皮材が損傷し、所望する表面加飾表現が得られないという問題が顕在化した。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、有害な分解生成物の発生や環境汚染物質又は環境破壊物質の大気中への排出がなく、法的規制を受け導入や取り扱いが煩雑な超臨界流体の発生装置及び供給装置を用いることなく、所望する気泡密度や気泡径を有する発泡層と、所望する表面加飾が表現された表皮層と、を備えた多層成形品を得ることが可能な、環境に優しい熱可塑性樹脂の多層成形手段を提供することを目的とする。研究が重ねられた結果、以下に示される手段によって、上記目的が達成されることが見出された。
即ち、先ず、本発明によれば、成形材料である熱可塑性樹脂の可塑化及び射出を行う射出装置と、その射出装置から射出をされた熱可塑性樹脂が充填される成形空間であるキャビティを備えた金型と、その金型の型締を行うとともに金型を開閉してキャビティの容積を拡大縮小し得る型締装置と、を用い、予め金型のキャビティに表皮材をセットした後に、型締装置によって金型の型締を行うとともに、射出装置で熱可塑性樹脂の可塑化を行い、その可塑化をされた熱可塑性樹脂と発泡ガスとの混合を行い、発泡ガスが混合をされた熱可塑性樹脂を、型締をされた金型のキャビティへ射出充填し、その射出充填された熱可塑性樹脂と予めキャビティにセットされた表皮材とを一体的に貼り合わせた後に、型締装置によってキャビティの容積を拡大し、発泡ガスが混合をされた熱可塑性樹脂を発泡させて、表皮材からなる表皮層と、熱可塑性樹脂からなる発泡層と、を備えた多層成形品を得る多層成形方法であって、発泡ガスを、0.1MPa以上1.0MPa未満の圧力で、射出装置へ供給し、射出装置で可塑化をされた熱可塑性樹脂と発泡ガスとの混合を行う熱可塑性樹脂の多層成形方法が提供される(発泡ガス混合法ともいう)。
本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法においては、熱可塑性樹脂を発泡させた後に、型締装置によってキャビティの容積を更に拡大し、表皮材と金型のキャビティを形成する面との間に隙間を生じさせて、表皮材の風合い回復を図ることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法においては、射出装置へ供給される発泡ガスの圧力が、0.5MPa以上1.0MPa未満であることが、より好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法では、射出装置へ供給される前の発泡ガスに気泡核形成剤を予め含めておき、金型のキャビティへ射出充填される熱可塑性樹脂に気泡核形成剤を含有させることが好ましい。
又、本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法では、成形材料である熱可塑性樹脂に気泡核形成剤を予め含めておき、金型のキャビティへ射出充填される熱可塑性樹脂に気泡核形成剤を含有させることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法では、気泡核形成剤が、酸化鉄、珪酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、有機酸、珪酸アルミニウム、ガラス繊維、及びタルクからなる群のうちの何れか1又は2以上の混合物であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法においては、発泡ガスの射出装置への供給が、圧力制御で行われることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法においては、発泡ガスの供給先が、可塑化をされる前の熱可塑性樹脂の投入口にあたる射出装置のホッパ、又は可塑化を行う射出装置のシリンダにおける可塑化をされた(可塑化が始まった)後の熱可塑性樹脂の中であることが好ましい。即ち、本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法では、射出装置に存在する熱可塑性樹脂が可塑化をされる前に射出装置内で熱可塑性樹脂と発泡ガスとを接触させておいてもよく、射出装置に存在する熱可塑性樹脂が可塑化をされた後に射出装置内で熱可塑性樹脂の中に発泡ガスを吹き込んでもよい。
本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法においては、発泡ガスが、空気、二酸化炭素、窒素からなる無機ガス群のうちの何れか1の無機ガス又は2以上が混合された無機ガスであることが好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法において使用される熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、等のオレフィン系樹脂、及びエンジニアリング樹脂といわれるポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、及び変性ポリフェニレンエーテル、オレフィン系熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。これらの樹脂は、用途等に応じて、2種類以上を混合して使用してもよく、又、これらの熱可塑性樹脂には、必要に応じて可塑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、等の種々の添加剤や、物性改良のための各種フィラー、ガラス繊維、カーボン繊維、等更には着色剤、染料、等を混合して使用してもよい。
又、発泡層を有する多層成形において使用される、発泡ガスとしては、炭酸ガス、窒素ガス、空気、又はこれらの混合ガスが挙げられるが、得られる多層成形品の性状等の点からみて、空気、又は、炭酸ガスが好ましい。尚、これらの発泡ガスの選択に際しては、樹脂の耐酸化性を考慮することが必要である。一部に酸化され易い基を含む樹脂に対しては、空気以外のガスを使用することが好ましい。例えば、ポリプロピレン等、耐酸化性が問題とならない樹脂の場合には、空気が入手の容易性の面でも、好適に採用される。気泡核形成剤としては、酸化鉄、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、ガラス繊維、タルク、炭酸水素ナトリウム(重曹)等の無機物の微粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の有機酸の金属塩、クエン酸、酒石酸等の有機酸等が挙げられる。勿論、これらは、気泡核形成剤としての働きを考慮の上、例えば、金属塩と有機酸を混合して使用してもよい。
発泡層の形成に使用される発泡ガスは、通常、0.1MPa以上〜1.0MPa未満の圧力をかけて、射出成形装置の所定箇所に供給する。この圧力を採用したことで、射出装置のガスシール性の機構を簡素化出来、結果として、所望とする水準以上の可塑化能力を担保することが出来る。例えば、2ステージスクリュの場合は、通常、射出装置のガスシール性は、第1ステージと第2ステージの境界部のスクリュフライト隙間を狭くすることで確保されるが、あまり、スクリュフライト隙間を狭くしすぎると、溶融樹脂の通過が阻害され、可塑化能力の低下につながることがある。しかし、上記の注入圧の範囲内であれば、スクリュフライト隙間を比較的大きく設定出来、可塑化能力とガスシール性とを同時に満足させることが出来る。又、上記の圧力内とすることで、充填射出時における樹脂先端部からの発泡ガスの噴出量を適正な水準に押さえることが出来るので、所望とする多層成形品の外観を確保出来るという効果が発揮される。尚、発泡ガスの注入量を圧力制御とすることで、使用する樹脂に最適なガス溶解飽和量が成形条件に左右されることなく得られる。尚、ガス注入量は、2ステージスクリュの減圧部(ガス注入位置)の圧力と注入ガスの圧力差として与えられる。又、ポリスチレンへの窒素ガスの溶解量(200℃)は、0.4mol/kg(1MPa)〜0.6mol/kg(10MPa)と、圧力差による溶解量の差は小さい(非特許文献1を参照)ことから、上述の0.1MPa以上〜1.0MPa未満という圧力範囲内でも、発泡に必要な発泡ガス量は、十分に確保出来るといえる。従って、上述の圧力範囲内で発泡ガスを注入しても、十分な発泡が見込め、得られる製品の性質への影響は実質的にないといえる。
尚、0.1MPa未満では、所望する得られる多層成形品において所望とする気泡密度や気泡径を有する発泡層を得ることが出来ず、又、1.0MPa未満としたのは、1.0MPaでも所望とする気泡密度や気泡径を有する多層成形品も得られることはあるが、時として、発泡セルが粗大化したり、あるいは、多層成形品の部位により発泡倍率に大きな差異が生ずる等の異常が発生したりすることがあり、又、表面の状態も、スワルマークによる多層成形品の外観不良が認められることがあり、好ましくないからである。加えて、これ以上の高圧では、自動車部品等の大型多層成形品を成形出来る成形装置を高度のシール性を持たせることが必要となり、その様な高度のシール性を持たせるのは設計上かなりの困難を伴うだけでなく、施設そのものも、耐高圧化する必要があり、大型の装置を収容する屋社を、耐高圧化するには、莫大な投資が必要だけでなく、現在の技術を持ってしても、完全性を期すには、完全に不安を払拭出来ないからである。
発泡ガスの射出装置への供給は、多層成形品の発泡状態、外観、ソフト感等の点からみて、0.1MPa以上1.0MPa未満、好ましくは、0.2MPa〜0.99MPaの圧力、更に好ましくは、0.5MPa〜0.9MPaの圧力で行うことが好ましい。発泡ガスの射出装置への供給は、後述する射出成形装置に備えられている熱可塑性樹脂を供給するホッパ内又は可塑化シリンダ内の溶融樹脂中とすることとしたので、発泡ガスや気泡核形成剤を溶融樹脂中に十分に分散させ、且つ、混合させることが出来る。尚、発泡ガスの供給を可塑化シリンダ内に設けられている射出装置のスクリュは、2ステージスクリュを採用しているので、発泡ガスや気泡核形成剤を溶融樹脂中に分散させ、混合させることが出来る。溶融樹脂と発泡ガス及び気泡核形成剤の混合分散性を高める目的において、高分散性のスクリュヘッドを備えたスクリュであることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法は、発泡ガスを混合した熱可塑性樹脂を、予め表皮材をセットした金型のキャビティに射出充填して、表皮材からなる表皮層と熱可塑性樹脂からなる発泡層とを備えた多層成形品を得る方法であり、熱可塑性樹脂に発泡ガスを混合するに際し、発泡ガスを、0.1MPa以上1.0MPa未満の圧力で、射出装置へ供給し、射出装置において可塑化をされた熱可塑性樹脂と発泡ガスとの混合を行うので、環境に有害な発泡剤や、超臨界流体の発生装置と供給装置を用いることなく、所望する気泡径と気泡密度を有し有害な分解生成物の残留がない発泡層を備えた、熱可塑性樹脂の多層成形品を得ることが出来る。
又、発泡ガスの供給圧力が、0.1MPa以上1.0MPa未満であることから、射出装置のシリンダ内に注入した発泡ガスのシール機構は簡素なものでよく複雑なものにならず、樹脂の可塑化能力の低下が防止出来る。射出装置のスクリュ形状を2ステージスクリュとする場合には、1ステージと2ステージとの境界のスクリュフライトの隙間を狭くすることでガスシール性を確保するが、この際、発泡ガスの圧力が1.0MPa以上に高ければ、それに比例してスクリュフライトの隙間を、より狭くする必要が生じ、樹脂の可塑化能力の低下を招来することになる。しかし、本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法によれば、発泡ガスの供給圧力が上記の通りであるので、このような問題は回避出来る。
更に、発泡ガスの供給圧力が、0.1MPa以上1.0MPa未満であることから、射出充填時の樹脂からの発泡ガスの噴出量は、1.0MPa以上の場合に比較して、より少なくなるため、表皮材(表皮層)を損傷させたり表皮材に染み込んで劣化させるという問題が生じ難く、多層成形品(製品)の外観は、より良好なものとなる。
本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法において、発泡ガスの供給圧力を0.1MPa以上としたのは、0.1MPa以下では、所望する気泡密度や気泡径を得ることが出来ないからである。一方、発泡ガスの供給圧力を1.0MPa未満としたのは、1.0MPa以上であると、熱可塑性樹脂の伸張粘度に比して発泡圧が大きくなって気泡径が粗大化し、スワルマークによる発泡層(成形品)の外観不良が顕著となるとともに、射出充填時の充填初期と充填後半における樹脂圧力の変動が大きいことから、多層成形品の部位によって発泡の程度がばらついてしまうからである。
より好ましくは、発泡ガスを0.5MPa以上1.0MPa未満となる圧力で、且つ、圧力制御により射出装置へ供給することであり、そうすることによって、より表面が緻密で所望する気泡密度や気泡径を有した発泡層を備えた多層成形品を得ることが出来る。又、発泡ガスの射出装置への供給を0.1MPa以上1.0MPa未満の圧力としたので、発泡ガスを超臨界状態として使用する従来のような超臨界流体の発生装置及び供給装置を必要としない。
本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法における好ましい態様において、発泡ガスの射出装置への供給先を、可塑化をされる前の熱可塑性樹脂の投入口にあたる射出装置のホッパ、又は可塑化を行う射出装置のシリンダにおける可塑化をされた後の熱可塑性樹脂の中としたので、発泡ガスを、発泡層を形成する溶融樹脂の中に、十分に分散し、且つ、混合することが出来る。尚、溶融樹脂と発泡ガスとの混合分散性を高めるためには、高分散性のスクリュヘッドを備えたスクリュを用いることが、より好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法における好ましい態様において、発泡ガスの注入制御を圧力制御としたので、成形条件に影響されずに、使用する熱可塑性樹脂に最適な発泡ガスの溶解飽和量が安定して得られる。例えば、射出装置のスクリュとして2ステージスクリュを採用する場合においては、減圧部(発泡ガスの注入位置)の圧力と注入する発泡ガスの圧力との間の圧力の差分が発泡ガスの注入量になるが、ポリスチレン樹脂への窒素ガスの溶解量は、200℃で0.4mol/kg(1MPa)〜0.6mol/kg(10MPa)であり、圧力差による溶解量の差は小さいため(非特許文献1を参照)、0.1MPa以上1.0MPa未満の圧力において発泡に必要な量の発泡ガスは十分に確保出来る。更に、0.1MPa以上1.0MPa未満の圧力の範囲であれば、多層成形品(製品)への影響は小さいと判断出来る。又、最適な制御によって発泡ガスの注入量が過多にならないため、溶融樹脂の射出充填時に発泡ガスが噴出し、表皮材(表皮層)を損傷させたり表皮材に染み込んで劣化させるという問題が生じ難い。
本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法における好ましい態様では、熱可塑性樹脂を発泡させた後に、型締装置によってキャビティの容積を更に拡大し、表皮材と金型のキャビティを形成する面との間に隙間を生じさせている。そのため、溶融樹脂の射出充填時の圧力及び溶融樹脂の熱によって一旦は損傷した表皮材の風合いが自ら回復し、表皮材による所望の表面加飾表現を得ることが可能である。
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
先ず、本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法を実施するのに好適な多層成形装置について説明する。図1は、多層成形装置の一例を示す図であり、横型締タイプの射出成形装置の全体構成図である。図1に示されるように、射出成形装置100は、金型10、型締装置20、射出装置30、発泡ガス供給手段40、制御装置70とで構成されている。
金型10は、固定盤1に取付けられた固定金型3と、可動盤2に取付けられた可動金型4とからなり、固定金型3と可動金型4とは、半押込み構造を有し嵌合部で嵌め合わされ、嵌め合わされた状態で、固定金型3のキャビティを形成する面(キャビティ形成面)と可動金型4のキャビティを形成する面(キャビティ形成面)とが組み合わされて、金型10のキャビティ11を形成する構成となっている。そして、半押込み構造の嵌合部は金型10のキャビティ11の全周にわたって形成され、射出充填後に金型10のキャビティ11を拡大しても金型10のキャビティ11に充填した樹脂が金型10から漏れ出すことがない。そして、型締装置20は、金型10の型開、型閉を作動する型締シリンダ22を備えており、可動金型4が固定金型3に対して図示しないタイバーに案内されて前後進出来るように構成されている。
尚、金型10は、上記半押込み構造の金型に限るものでなく、発泡成形に適用可能であれば、それ以外の平押し構造等の金型を使用してもよい。又、直圧式の型締装置を有する横型締タイプの射出成形装置ではなく、トグル式型締装置や電動サーボモータ式又は竪型締タイプの射出成形装置を使用してもよい。
図1に示される射出装置30は、シリンダ31と、シリンダ31に内装されフライトを有するスクリュ32と、シリンダ31内に成形材料を供給するホッパ35とを備え、更に、スクリュ32を前後進させるスクリュ移動手段33と、スクリュ32を回転駆動するスクリュ回転手段34が設けられる。そして、シリンダ31の外周面には、図示しないヒータが取付けられている。加えて、射出装置30は、可塑化をされる前の熱可塑性樹脂の投入口にあたる射出装置のホッパ35(のホッパ口)、又はシリンダ31における可塑化をされた(可塑化が始まった)後の熱可塑性樹脂の中に、発泡ガス供給手段40から発泡ガスが供給されるように構成されている。
射出装置30は、スクリュ回転手段34によってスクリュ32が回転することにより、ホッパ35からペレット状の成形材料が、シリンダ31内に供給される構成となっており、供給されたペレット状の成形材料は、シリンダ31に取付けられたヒータによって加熱され、スクリュ32の回転によって混練圧縮作用を受けることにより溶融する。この際、射出装置30には発泡ガス供給手段40から発泡ガスが供給されるため、供給されたペレット状の成形材料(熱可塑性樹脂)は、混練圧縮作用を受けることにより、発泡ガスを混合、分散して溶融し、スクリュ32の前方へ送られる。そして、発泡ガスを混練、分散させた溶融樹脂は、スクリュ移動手段33により前進するスクリュ32によって、シリンダ31の先端に取付けられたノズル36から金型10のキャビティ11へ射出充填される。尚、気泡核形成剤は、後述する気泡核形成剤供給装置から予め設定された成形条件に基づいて、好適な量の気泡核形成剤を射出装置30へ供給し、熱可塑性樹脂に混合することが出来る。
尚、射出装置30では、スクリュ移動手段33を油圧シリンダとし、スクリュ回転手段34を油圧モータとしたが、電動サーボモータを用いたスクリュ移動手段やスクリュ回転手段としてもよい。又、射出装置30のように可塑化と射出を一本のスクリュで行うインラインスクリュ方式の射出装置を有する構成ではなく、可塑化と射出を別々の機構で行うスクリュプリプラ方式の射出装置としてもよい。そして、スクリュの形状は射出装置30のような2ステージスクリュではなく、例えば、発泡ガスの供給先をホッパ35とした場合においては、1(シングル)ステージスクリュとしてもよい。
発泡ガス供給手段40は、空気供給源41と、二酸化炭素供給源42と、発泡ガス供給装置43とを備え、空気供給源41と二酸化炭素供給源42とは供給路によって連結されている。更に、発泡ガス供給手段40は、射出装置30のシリンダ31及びホッパ35に設けられた発泡ガスの供給口への発泡ガス供給路を備え、制御装置70の指令に基づき、射出成形装置30へ発泡ガスを供給する。又、発泡ガス供給装置43及び射出装置30に連結された供給路の末端近傍には、気泡核形成剤を供給する気泡核形成剤供給装置61,62が設けられ、発泡ガス中に気泡核形成剤を供給する。尚、気泡核形成剤は、粉末状として予め成形材料にドライブレンドしたり、気泡核形成剤をマスターバッチ化して成形材料に添加したり、成形材料の製造時に予め混練しておくことによっても、熱可塑性樹脂に含有させることが可能である。
図1に示される制御装置70は、成形材料(熱可塑性樹脂)の可塑化、発泡ガスの供給、気泡核形成剤の供給、及び溶融樹脂の金型10のキャビティ11への射出を制御する射出制御部71、金型10の開閉及び型締力を制御する型締制御部72、表皮材を金型10のキャビティ11の所定の位置にセットする(図示しない)表皮材供給装置、並びにタイマ類等から構成されている。型締制御部72は、多層成形品のうち発泡層を得るための樹脂の発泡工程の開始時に、キャビティ11の容積が所望する容積となるように可動盤2の位置を移動させる位置及び速度の設定部を備えるとともに、その発泡工程の完了時まで可動盤2の位置を保持する型締の制御が出来るようになっている。発泡工程は、金型10のキャビティ11に樹脂が充填完了したことを検出して型締力を降圧する工程と、金型10のキャビティ11の容積を拡大する工程と、を有し、型締力の降圧工程中にスキン層と気泡核が形成され、型締力の降圧速度が速いほど多くの気泡核が形成される。又、金型10のキャビティ11の拡大速度は、成形樹脂の伸張粘度に基づいて設定する。具体的には、伸張粘度が低い場合は拡大速度を遅く、伸張粘度が高い場合は拡大速度を速く設定することが望ましい。
次に、上記した図1に示される多層成形装置を使用した場合を例にとって、図1に加えて図2を参照しながら、本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法について説明する。本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法は、予め表皮材をセットした金型のキャビティに、発泡剤を含む溶融樹脂を射出充填し、その後、金型のキャビティを拡大して樹脂を発泡させる工程を有する方法であり、表皮材からなる表皮層と熱可塑性樹脂からなる発泡層とを備えた多層成形品を得るために好適な方法である。
図2は、(a)〜(f)で構成され、本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法の一の実施形態を示す工程図であり、図2の(a)〜(e)には、図1における金型10と射出装置30のみが簡略化して描かれている。表皮材からなる表皮層と熱可塑性樹脂からなる発泡層とを備えた多層成形品を得るための多層成形を行うにあたっては、先ず、図1に示される金型10が開いた状態で、予めキャビティ11に表皮材123をセットする(表皮インサート法)。そして、型締シリンダ22のピストンヘッド側に圧油を供給してピストンロッドを前進移動させることにより、可動盤2を固定盤1の方向へ移動させ、金型10を型締して保持する(図2の(a)を参照)。尚、金型10に作用させる型締力は、樹脂充填時の際に樹脂の充填圧力で金型10が開かない最小の値とすることが、使用エネルギーや成形装置寿命の観点から望ましい。尚、図2(a)では、型締をした状態としたが、適度な隙間を設けた型開保持状態として、溶融樹脂124を射出充填した後、あるいは射出充填と同時に、金型を所望する位置まで閉じる動作としてもよい。これらは、使用する表皮材の種類、特性等に応じて、適宜、選択される。
型締完了の後、予め設定した射出充填量、射出圧力、射出速度に基づいて金型10のキャビティ11に、発泡ガスと気泡核形成剤とを含む溶融樹脂124を射出充填する(図2の(b)を参照)。具体的には、図1に示される射出装置30において、スクリュ回転手段34に圧油を供給してスクリュ32を回転する。この動作によって、ホッパ35から供給された成形材料(熱可塑性樹脂)は、シリンダ31に取付けられた図示しないヒータで加熱され、スクリュ32の回転によって混練圧縮作用を受けて、溶融するとともに、自らの中に発泡ガスと気泡核形成剤とを混合、分散し、スクリュ32前方へ送られる。スクリュ32前方へ送り込まれた発泡ガスと気泡核形成剤とを混合、分散した溶融樹脂124は、スクリュ移動手段33に圧油を供給してスクリュ32を前進させることにより、金型10のキャビティ11に予めセットされた表皮材123を押し込むように、キャビティ11の固定盤1(固定金型3)の側へ、射出充填され、予めキャビティ11にセットされた表皮材123と一体的に貼り合わされる(図2の(c)を参照)。
樹脂充填を完了したら、その後、型締シリンダ22のピストンヘッド側に作用させた圧油を減圧して型締力を降圧する。そして、型締シリンダ22のピストンロッド側に圧油を供給してピストンロッドを後退移動させることにより、可動盤2を固定盤1とは反対の方向へ移動させ、金型10を型開して金型10のキャビティ11の容積を拡大する。キャビティ11の容積の拡大制御は、型締制御部72に備えた可動盤2の位置を移動させる位置及び速度の設定部の設定値に基づいて行い、可動盤2は予め設定された位置で停止し、その位置を保持する。
このようにしてキャビティ11の容積を拡大することにより、キャビティ11の中の圧力が減少し始め、同時に、キャビティ11に充填された発泡ガスと気泡核形成剤とを含む溶融樹脂124の内部において、発泡が起こり始める。そして、更に予め設定された冷却時間だけキャビティ11の容積を保持し冷却することにより、発泡層122が成形(固化)される(図2の(d)を参照)。尚、図2に明示されるように、金型10を僅かに開いた状態であっても、固定金型3と可動金型4とは嵌合部で嵌め合わさっており、金型のキャビティ内の溶融樹脂が金型10の外へ漏れ出すことはない。
既述のように、金型10のキャビティ11に、発泡ガスと気泡核形成剤とを含む溶融樹脂124を射出充填すると、溶融樹脂124の射出充填時の圧力及び溶融樹脂124の熱によって表皮材が損傷し風合いが悪化する場合がある。これに対し、以下のように金型の再型開きを行うことで、表皮材の風合いを回復させることが可能である。
表皮材の風合いを回復させるために、具体的には、溶融樹脂(熱可塑性樹脂)を発泡させ発泡層122として成形させた後に、型締シリンダ22のピストンロッド側に圧油を供給してピストンロッドを後退移動させることにより、可動盤2を固定盤1とは反対の方向へ更に移動させ、金型10を型開して金型10のキャビティ11の容積を更に拡大し、表皮材123と金型10(可動金型4)のキャビティ形成面との間に隙間を生じさせればよい(図2の(e)を参照、この処理を金型の再型開きともいう)。キャビティ11の容積の拡大制御は、型締制御部72に備えた可動盤2の位置を移動させる位置及び速度の設定部の設定値に基づいて行い、可動盤2は予め設定された位置で停止し、その位置を保持する。
このようにしてキャビティ11の容積を更に拡大することにより、キャビティ11の中の圧力が減少し始め、キャビティ11に予めセットされた表皮材123の風合いが自ら回復し、表皮材123による所望の表面加飾表現を得ることが可能である。尚、金型の再型開きは、再型開きの動作によって発泡層122が再膨張(2次発泡)せず、且つ、表皮材の風合いが回復出来るのに必要な温度状態にあるというタイミングで開始することが重要である。
表皮材123の風合いを回復させたら、表皮材123と一体化した発泡層122を金型10から取り出し、切断線126で切断して不要な表皮材123を除去すれば、発泡層122と、表皮材123からなる表皮層125と、を備えた多層成形品を得ることが出来る(図2の(f)を参照)。
以下、実施例によって、本発明を、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によっていかなる制限を受けるものではない。
(実施例1)射出成形装置として横型トグル式射出成形機(宇部興産機械製 UBE−MD350型射出成形機)を使用し、図2に示される表皮インサート法を伴う多層成形方法(発泡ガス混合法)を用いて、表皮材からなる表皮層と発泡層とからなる2層の成形品(多層成形品)を作製した。図2に示される方法に従い、発泡後に金型の再型開きを行い、表皮材の風合い回復処理を行った。成形品(製品)の軽量化と表面の手触り感とを両立させるため、発泡層の樹脂材料としてポリプロピレン樹脂(PP、三井化学製 自動車内装グレード MFR=35)を用いた。
気泡核形成剤としてタルクの微粉末を用い、予め上記樹脂材料に混合させた。発泡ガスとしては二酸化炭素を使用し、シリンダ内の溶融樹脂中に0.9MPaの圧力で注入した。スクリュは、スクリュ先端にミキシングヘッドを装着した2ステージスクリュを用い、ガスシール部は、注入する発泡ガスの圧力に応じて調整した。
2層の成形品は、600×180mmの自動車内装品(ピラーガーニッシュ)であり、2層のうち発泡層の発泡前の厚さは2.0mmとした。又、成形条件は樹脂温度200℃、金型温度30℃に設定した。成形品の評価は、発泡状態、外観状態、及び表皮起毛感を目視で行った。結果を表1に示す。
(実施例2,4〜6)使用した発泡ガス(発泡剤)、その発泡ガスの注入圧力を変更した他は、実施例1と同様にして2層の成形品を作製し、発泡状態、外観状態、及び表皮起毛感を目視で評価した。結果を、発泡ガス、注入圧力、発泡層の発泡前の厚さと発泡後の厚さとともに、表1に示す。
(実施例3、比較例1,2)使用した発泡ガス(発泡剤)、その発泡ガスの注入圧力を変更し、更に発泡後の金型の再型開きを行わなかった他は、実施例1と同様にして2層の成形品を作製し、発泡状態、外観状態、及び表皮起毛感を目視で評価した。結果を、発泡ガス、注入圧力、発泡層の発泡前の厚さと発泡後の厚さとともに、表1に示す。
(比較例3)発泡ガスを用いずに、重炭酸ナトリウム(無機系の化学発泡剤)を使用して発泡層を形成し、更に発泡後の金型の再型開きを行わなかった他は、実施例1と同様にして2層の成形品を作製し、発泡状態、外観状態、及び表皮起毛感を目視で評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004770334
表1において、発泡状態は、Aが微細気泡の集合体がみられ良好である、Bが粗大気泡が混在している、ことを表す。又、外観状態は、Aがスワルマーク及びシルバーストリークが少なく良好である、Bが(同じく)やや多い、Cが(同じく)多い、Dが(同じく)非常に多い、ことを表す。更に、表皮起毛感は、Aが良好である、Bがやや毛倒れがみられる、Cが毛倒れが激しく表皮の風合いがよくない、ことを表す。尚、表1における可塑化能力相対値は、比較例3の可塑化能力(kg/hr)を1.0としたときの、それぞれの可塑化能力の相対値を表している。
表1に示される結果より、本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法によれば、発泡状態、外観状態、及び表皮起毛感がともに良好な成形品を、可塑化能力を大きく低下させることなく、作製することが可能であることが確認出来た。
本発明の熱可塑性樹脂の多層成形方法は、あらゆる多層成形品の成形手段として利用の可能性がある。特に、外観に対する高い品質保持と軽量化との両立が要求される製品、例えば、二輪車用部品、自動車用部品、家電製品、住宅設備部品等の成形手段として、好適に利用することが出来る。
多層成形装置の一例を示す全体構成図である。 図2の(a)〜(f)は、本発明に係る熱可塑性樹脂の多層成形方法の一の実施形態を示す工程図である。
1 固定盤
2 可動盤
3 固定金型
4 可動金型
10 金型
20 型締装置
30 射出装置
31 シリンダ
32 スクリュ
35 ホッパ
40 発泡ガス供給手段
41 空気供給源
42 二酸化炭素供給源
43 発泡ガス供給装置
61 気泡核形成剤供給装置
62 気泡核形成剤供給装置
70 制御装置
100 横型締タイプの射出成形装置

Claims (9)

  1. 成形材料である熱可塑性樹脂の可塑化及び射出を行う射出装置と、その射出装置から射出をされた熱可塑性樹脂が充填される成形空間であるキャビティを備えた金型と、その金型の型締を行うとともに金型を開閉して前記キャビティの容積を拡大縮小し得る型締装置と、を用い、
    予め前記金型のキャビティに表皮材をセットした後に、前記型締装置によって金型の型締を行うとともに、
    前記射出装置で熱可塑性樹脂の可塑化を行い、その可塑化をされた熱可塑性樹脂と発泡ガスとの混合を行い、発泡ガスが混合をされた熱可塑性樹脂を、前記型締をされた金型のキャビティへ射出充填し、その射出充填された熱可塑性樹脂と予めキャビティにセットされた前記表皮材とを一体的に貼り合わせた後に、
    前記型締装置によって前記キャビティの容積を拡大し、前記発泡ガスが混合をされた熱可塑性樹脂を発泡させて、表皮材からなる表皮層と、熱可塑性樹脂からなる発泡層と、を備えた多層成形品を得る多層成形方法であって、
    前記発泡ガスを、0.1MPa以上1.0MPa未満の圧力で、前記射出装置へ供給し、前記射出装置で可塑化をされた前記熱可塑性樹脂と発泡ガスとの混合を行う熱可塑性樹脂の多層成形方法。
  2. 熱可塑性樹脂を発泡させた後に、前記型締装置によって前記キャビティの容積を更に拡大し、前記表皮材と前記金型のキャビティを形成する面との間に隙間を生じさせて、前記表皮材の風合い回復を図る請求項1に記載の熱可塑性樹脂の多層成形方法。
  3. 射出装置へ供給される前記発泡ガスの圧力が、0.5MPa以上1.0MPa未満である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂の多層成形方法。
  4. 射出装置へ供給される前の発泡ガスに気泡核形成剤を予め含めておき、前記金型のキャビティへ射出充填される熱可塑性樹脂に気泡核形成剤を含有させる請求項1〜3の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂の多層成形方法。
  5. 成形材料である熱可塑性樹脂に気泡核形成剤を予め含めておき、前記金型のキャビティへ射出充填される熱可塑性樹脂に気泡核形成剤を含有させる請求項1〜3の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂の多層成形方法。
  6. 前記気泡核形成剤が、酸化鉄、珪酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、有機酸、珪酸アルミニウム、ガラス繊維、及びタルクからなる群のうちの何れか1又は2以上の混合物である請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂の多層成形方法。
  7. 前記発泡ガスの前記射出装置への供給が、圧力制御で行われる請求項1〜6の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂の多層成形方法。
  8. 前記発泡ガスの供給先が、可塑化をされる前の熱可塑性樹脂の投入口にあたる前記射出装置のホッパ、又は可塑化を行う前記射出装置のシリンダにおける可塑化をされた後の熱可塑性樹脂の中である請求項1〜7の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂の多層成形方法。
  9. 前記発泡ガスが、空気、二酸化炭素、窒素からなる無機ガス群のうちの何れか1の無機ガス又は2以上が混合された無機ガスである請求項1〜8の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂の多層成形方法。
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