以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<基準電圧供給回路の基本構成>
図1は、本発明に係る基準電圧供給回路の基本的な構成例を説明する図である。なお、ここでは、基準電圧供給回路1がバイポーラプロセスで生成されるものとして説明するが、これに限らず、CMOSプロセスによって構成することもできる。また、各トランジスタの極性は、等価回路とは逆極性の相補型の回路構成でもよい。
図1(A)に示すように、基準電圧供給回路1は、大元となる基準電圧Vref を生成する基準電圧生成部10と、基準電圧生成部10により生成された基準電圧Vref を各種の処理機能部(供給先の回路)に低出力インピーダンスで供給するバッファアンプ(緩衝増幅部)20とを備えている。基準電圧供給回路1の出力端子OUT から出力される基準電圧Vrefoutが各種の供給先の回路や目的に応じて定まる。なお、出力端子OUT には、必要に応じて、基準電圧Vrefoutをより安定化させるための安定化容量2が負荷容量として接続される。
基準電圧生成部10としては、本構成例では、所定の大きさのプラスの電源電圧Vccと接地電位GND の間に縦続接続された抵抗12,14で構成されている。抵抗12,14の抵抗分圧比を調整することにより、任意の基準電圧Vref を発生することができる。なお、基準電圧Vref の大きさは、基準電圧Vrefoutの供給先の回路や目的に応じて定まる。ただしこの基準電圧生成部10の構成は一例に過ぎず、たとえばSi半導体のバンドギャップ電圧を利用した構成など、様々な構成を採ることができる。
バッファアンプ20は、単一電源用のものであり、差動入力部22と、出力部24と、位相補正部26とを備えている。基準電圧供給回路1をプラス電源とマイナス電源の2電源で構成すると、信号ゼロに相当する基準電圧は接地電位GND と定義することができるので、基準電圧の変動が起きないようにすることができるが、マイナス電源が必要となりマイナス電源部分のコストが増加する。これに対して、本実施形態のように、単一電源(本例ではプラス電源)とすることで、この問題を解消し得る。ただし、基準電圧は接地電位GND と定義することができず、所定の大きさ(≠0)の基準電圧Vrefoutを仮想接地電位(無信号相当の電位)として被供給先の回路に供給する必要が生じる。
一方、基準電圧Vrefoutの被供給先にて、単一電源による信号処理ができるようにするには、消費電力などの制約を考えずにアイドリング電流を多く流した強力な基準電源を設けることが考えられる。しかしながら、アイドリング電流を多く流すと、消費電力が増加するので現実的でない。この問題を解消するべく、本実施形態では、バッファアンプ20を差動入力部22と出力部24とに分け、一方が他方に悪影響を及ぼささないようにするとともに、それぞれに適した直流バイアス電圧を供給する構成を採る。
差動入力部22は、非反転入力端子(+)に基準電圧生成部10で生成された基準電圧Vref が入力され、反転入力端子(−)に出力部24の出力(つまり基準電圧供給回路1の出力端子OUT )から帰還した基準電圧Vrefoutが入力される非反転増幅回路で構成されたボルテージフォロワ(Voltage Follower)構成を採用している。
出力部24は、その出力インピーダンスができるだけ低い回路で構成する。一例としては、直流バイアス段24aと、プッシュプルエミッタフォロワ出力段24bとで構成する。プッシュプルエミッタフォロワ出力段24bは、電源電圧Vccと接地電位GND の間にエミッタ同士が共通接続されるように縦続接続されたNPN型トランジスタ30およびPNP型トランジスタ32と、各トランジスタのコレクタ側に配された保護抵抗34,36で構成されている。共通接続されたエミッタが基準電圧供給回路1の出力端子OUT に接続される。バッファアンプ20の出力端子(つまり基準電圧供給回路1の出力端子OUT )には、エミッタ抵抗しか接続されないため、低インピーダンス出力が実現される。
直流バイアス段24aは、差動入力部22と出力部24を接続する段間信号線23の電位(基準電圧Vref に相当)と同じ電位が共通エミッタに発生するようにするとともに、NPN型トランジスタ30およびPNP型トランジスタ32のそれぞれに所定のバイアス電流を供給する。
位相補正部26は、段間信号線23に並列に接続される位相補正用の内部インピーダンス素子の並列回路でなる内部インピーダンス素子群で構成する。詳細な説明は割愛するが、各内部インピーダンス素子は、抵抗と容量の縦続回路で構成され、外付けされる安定化容量2の想定範囲と取扱い周波数とに応じて算出される複数個のポール周波数それぞれについて応じた定数のもので構成する。
<バッファアンプに求められる性能>
ここで、バッファアンプ20が満たすべき安定条件など、バッファアンプ20に求められる性能について考察する。バッファアンプ20には、たとえば以下の4つの条件を満たすことが求められる。
1)取扱い周波数の範囲で安定であること(ゲイン<1であり、かつ、位相余裕が90°以下であること)、
2)インパルス応答が安定であること、
3)外付けする負荷容量値に関係なく、十分な位相余裕を確保できること、
4)出力インピーダンスZout が十分に小さいこと、
上記1)〜3)に関しては、差動入力部22と出力部24とに分けるとともに、位相補正部26による適正定数設定で位相補正能力の改善と容量性負荷による位相遅れの低減を図ることで対処することができる。これにより、単一電源でも安定した動作が可能なバッファアンプ20、惹いては基準電圧供給回路1を実現することができる。これにより、従来型のバッファアンプには必須であったマイナス電源が不要となり、その分、回路構成を簡略化できるとともにコストの低減を実現できる。また、半導体集積回路を多数搭載するシステム(情報処理装置)についても単一電源で動作するため、システム構成の簡略化を実現できる。また、マイナス電源の使用分だけ消費電力を削減できる。
たとえば、単一電源で動作するカメラ信号処理回路に適用すれば、従来必要とされたプラス/マイナス電源を使わずに、マイナス電源のコストの削減を図る単一電源(プラス電源のみ)で動作する低インピーダンスのボルテージフォロワ構成のバッファアンプ20を使用して仮想接地を設定できるようになる。
一方、上記4)に関しては、たとえばプッシュプルエミッタフォロワ出力段24bを出力段に設けることである程度対処し得るが、それでも出力インピーダンスZout をゼロにすることは不可能で、出力インピーダンスZout が有限値になることは避けられない。
ここで、図1(B)に示すように、基準電圧Vrefoutの被供給先の回路(被供給回路5)の構成によっては、被供給先と出力端子OUT との間に供給電流Irefoutが流れるようになる。シンク(仕込み)電流となるかソース(吐出し)電流となるか、つまり供給電流Irefoutの向きは、被供給先の回路構成による。この場合において、出力インピーダンスZout が有限値である場合、出力インピーダンスZout がゼロの理想的な出力点の基準電圧Vref に対して、供給電流Irefoutと出力インピーダンスZout の積の分の差ΔVが出力端子OUT に生じる。
つまり、基準電圧Vrefoutが、基準電圧Vref と異なる値になる不具合が生じることになる。その結果が当該被供給先に自己再帰的に現われ、その被供給先での処理出力結果に様々な不具合が生じることになる。また、基準電圧Vrefoutは1つの被供給先に供給されるだけでなく、その他の被供給先にも共通に供給されるので、それぞれとの間で供給電流Irefoutが発生し、基準電圧Vref に対する基準電圧Vrefoutの変動が大きくなるとともに、1つの被供給先との間での供給電流Irefoutの影響が、その他の被供給先での処理出力結果に様々な影響を与えてしまうことにもなる。
その他の被供給先で生じる影響に関しては、たとえばバッファアンプ20を複数設置して基準電圧Vrefoutの変動を分散させることが考えられるが、ボルテージフォロワの出力バラツキ、特にプッシュプルエミッタフォロワ出力段24bを構成するトランジスタ30,32のベース−エミッタ間電圧ΔVbeバラツキのため、基準電圧が同じ値にならず共通の仮想接地として働かなくなる問題が生じてしまう。
また、被供給先の回路構成によっては、被供給先と出力端子OUT との間に流れる供給電流Irefoutが静的なものとは限らず、処理対象の信号レベルに応じて動的に変化することも起こり得る。供給電流Irefoutが動的に変化すると、各種の被供給先での処理出力結果に、動的に影響を与えてしまうことになる。この点に関しては、たとえば、出力端子OUT に大容量(たとえば1000μFなど)の安定化容量2を接続することが考えられるが、外形が大きくなり過ぎて、現実的でない。
本実施形態では、出力インピーダンスZout に関するこれらの問題を解消するべく、新たな仕組みを採用する。以下、この点について詳細に説明する。
<基準電圧変動抑制の基本原理;電子機器への応用の基本>
図2および図3は、基準電圧Vref に対する基準電圧Vrefoutの変動を抑制するための回路構成の基本原理を説明する図である。ここでは、一般的な電子機器への応用事例で説明する。
図2に示すように、電子機器3は、基準電圧供給回路1の他に、所定の信号処理を行なう信号処理回路の一例であって、基準電圧供給回路1から基準電圧Vrefoutの供給を受けて動作する被供給回路5を複数備えている。また、電子機器3は、本実施形態の特徴部分として、相殺電流判定部42および相殺電流供給部44を具備し供給電流Irefoutをキャンセル(相殺)する相殺電流源(以下キャンセル電流源ともいう)40を備えている。本件とは関わりがないので図示を割愛しているが、電子機器3には、基準電圧供給回路1から基準電圧Vrefoutの供給を受けずに動作する機能部も存在するのはいうまでもない。
先にも説明したが、出力端子OUT における基準電圧Vref に対する基準電圧Vrefoutの変動は、被供給回路5と出力端子OUT との間に生じる供給電流Irefoutが原因である。この点に着目すれば、基準電圧供給回路1としては、供給電流Irefoutと同じ値の逆相電流(キャンセル(相殺)電流)“−Irefout”を流すキャンセル電流源40を出力端子OUT に接続すれば、バッファアンプ20との間に生じる電流を抑圧でき、ほぼゼロにすることができる。その結果、基準電圧Vref に対する出力端子OUT における基準電圧Vrefoutの変動を抑圧でき、ほぼゼロにすることができる。
すなわち、被供給回路5にバッファアンプ20から基準電圧Vrefoutを供給することで生じるバッファアンプ20への電流成分を逆相の電流で相殺するようにすれば、仮想接地電圧である基準電圧Vrefoutの変動を大幅に減らすことができ、被供給回路5が入力波形に忠実に動作するようになるのである。バッファアンプ20の出力インピーダンスZout が有限であることに起因して、バッファアンプ20と被供給先の信号処理回路(被供給回路5)との間に流れる供給電流Irefoutにより、基準電圧Vrefoutが供給される被供給先の信号処理回路(被供給回路5)における処理結果に悪影響が発生する現象を抑制することができるのである。
たとえば、バッファアンプ20の出力インピーダンスZout を0.2Ωとした場合に、キャンセル電流源40なしの場合のバッファアンプ20への供給電流Irefoutが200μAである場合には、0.2Ω*200μA(流入電流)=40μVの変動が基準電圧Vrefoutに生じる。一方、キャンセル電流源40を設けることで供給電流Irefoutを相殺した場合に、キャンセル電流源40の電流誤差が5%であれば、相殺しきれない残留流入電流が10μAとなり、0.2Ω*10μA(残留流入電流)=2μVの変動が基準電圧Vrefoutに生じる。両者の比から、キャンセル電流源40有り/無しの効果は、2μV/40μV=1/20となる。
ここで、図2(A)に示すように、キャンセル電流源40としては、複数ある被供給回路5_1,_2,…,_kの回路構成によって供給電流Irefout_1,_2,…,_kがそれぞれ異なるのが基本であり、被供給回路5のそれぞれに対応して用意するのが基本である。なお、各被供給回路5_1,_2,…,_kと出力端子OUT との間に流れ得る供給電流Irefout_1,_2,…,_kが全て静的で予め決定可能なものである場合には、それらの合成成分ΣIrefout(=Irefout_1+Irefout_2+…+Irefout_k)と同じ値の逆相電流を流す相殺電流供給部44のみを備えた1つの電流源を用意すればよい。被供給回路5の構成が決まり、供給電流Irefoutが静的で予め回路構成によって設計的に決定できる場合には、動作状態を監視してキャンセルすべき電流量を実働状態に応じて決定する必要がないので、相殺電流判定部42は不要だからである。
一方、供給電流Irefoutが、被供給回路5における処理対象の信号レベルなどに応じて動的に変化する場合には、その動的に変化する供給電流Irefoutと同じ値の逆相電流を流す必要があるので、図2(B)に示すように、キャンセル電流源40を相殺電流判定部42と相殺電流供給部44とで構成し、相殺電流判定部42により被供給回路5の動作状態をそれぞれ監視し、その監視結果に基づいて相殺電流供給部44にて逆相で動的に変化する逆相電流を決定して流す構成を採るのがよい。こうすることで、供給電流Irefoutが動的に変化する場合でも、出力端子OUT に大容量の安定化容量2を接続することなく、基準電圧Vref に対する出力端子OUT における基準電圧Vrefoutの変動を抑圧でき、ほぼゼロにできる。つまり、バッファアンプ20への電流の流入を殆ど無くすことができるので、バッファアンプ20の外付け容量値を少なくすることができるのである。
また、図3(A)に示すように、被供給回路5の回路構成によっては、それぞれ基準電圧Vrefoutが供給される回路の縦続構成(図では被供給回路5a,5bの2段)を採り、これらを同時に動作させることがある。その典型例は、増幅回路における多段接続構成である。このような複数の回路を同時に動作させる構成の場合には、キャンセル電流源40の構成としては、図2(A)に示したと同様に被供給回路5a,5bのそれぞれについてキャンセル電流源40の全体を設けることができる。この場合、個別にキャンセル電流源40を設けるので、各被供給回路5の状況に応じた個別対応ができる利点があるものの、回路構成が大規模になる。
これに対して、相殺電流判定部42のみをそれぞれに対して設けることで回路をコンパクトにすることもできる。たとえば、図3(A)に示すように、相殺電流判定部42を被供給回路5a,5bのそれぞれについて設け、相殺電流判定部42a,42bの判定結果を合成部46で加算(合成)し、その加算成分に基づいて相殺電流供給部44が動作する構成を採る。この場合、個別にキャンセル電流源40を設ける訳ではないので、各被供給回路5の状況に応じた個別対応という点では劣るものの、より回路構成を簡易にすることができる利点がある。なお、個別対応の点は、各被供給回路5の構成を工夫することである程度対処することもできる(詳細は後述する)。
なお、図3(A)に示すような、相殺電流判定部42のみを各被供給回路5に対して設ける構成は、同様の機能を持つ回路の複数段縦続接続の場合に限らず、異なる機能を持つ回路の縦続接続とし、これらを同時に動作させる場合にも適用できる。また、回路の縦続接続構成の場合に限らず、任意の複数の回路(異なる機能を持つ回路も含む;図では点線で示す被供給回路5c)を同時に動作させる場合にも適用でき、図中点線で示すように、相殺電流判定部42cを設け、その判定結果を合成部46で加算(合成)し、その加算成分に基づいて相殺電流供給部44が動作する構成を採ることもできる。
また、図3(B)に示すように、被供給回路5の回路構成によっては、それぞれ基準電圧Vrefoutが供給される回路の並列配置構成(図では被供給回路5a,5b,5cの3つ)を採り、これらを択一的に動作させることがある。その典型例は、それぞれ異なるゲインが設定されたゲインアンプを並列配置し何れか1つを選択して使用する(事実上択一的に動作させることになる)可変利得増幅回路の構成である。
このような複数の回路を択一的に動作させる構成の場合には、通常、複数の被供給回路5の出力側に、何れかの処理系統を選択する選択部6が設けられる。複数の被供給回路5の内の何れかを択一的に動作させるので、キャンセル電流源40としては、実際に動作させる被供給回路5のみについて供給電流Irefoutをキャンセルするのが基本である。したがって、キャンセル電流源40をなす相殺電流判定部42および相殺電流供給部44は、選択部6の後段にそれぞれ1つ設ければよい。複数の被供給回路5のそれぞれにキャンセル電流源40を設けなくても済むので回路構成を簡易にすることができる。
なお、この場合、選択部6によって選択された被供給回路5の取扱い信号レベルや供給電流Irefoutがそれぞれ異なる場合には、選択部6の選択動作に連動してキャンセル電流源40の電流検知感度やキャンセル電流の生成ゲインを切り替える機構を設けてもよい。あるいは、このような電流検知感度や生成ゲインを切り替える機構を設けなくても済む仕組みを講じてもよい(詳細は後述する)。
なお、図3(B)に示すような、キャンセル電流源40(相殺電流判定部42および相殺電流供給部44)を選択部6の後段にそれぞれ1つ設ける構成は、可変利得増幅器のように同様の機能を持つ異ゲインが設定されたゲインアンプの択一的使用の構成の場合に限らず、たとえばモードによって使用する回路機能を切り替えるなど、異なる機能を持つ回路の並列配置とし、これらを択一的に動作させる場合にも適用できる。
<撮像装置への応用例>
図4は、キャンセル電流源40を備えた基準電圧供給回路1を撮像装置に搭載する事例を説明する図である。ここで、図4(A)は、撮像装置100の内部構成例を示す。図4(B)は、撮像装置100に内蔵される映像増幅回路の構成例を示す。
図4(A)に示すように、撮像装置100は、被写体像を光学的に取り込む撮像レンズなどを有して構成される入射光学系110と、入射光学系110で取り込まれた光学像に基づいて各原色信号SR,SG,SBを取得する撮像部120と、撮像部120で取得された各原色信号SR,SG,SBをそれぞれサンプルホールドするサンプルホールド部(SH;Sample Hold )130とを備えている。
撮像部120は、3板方式を採用しており、入射光学系110で取り込まれた光学像を原色R,G,Bのそれぞれの波長成分に分光する分光プリズム122と、各原色R,G,Bに対応するCCD素子やCMOSセンサでなる撮像素子124R,124G,124Bとを有している。
また撮像装置100は、絶対黒基準電圧を基準にサンプルホールド部130からのサンプルホールド出力を増幅する映像増幅部(VA;Video Amp )140と、映像増幅部140による映像増幅後の映像信号をディジタル映像信号に変換するAD変換部(A/D)150と、AD変換部150で変換されたディジタル映像信号をディジタル信号処理して輝度信号や色信号に変換するディジタル信号処理部(DSP;Digital Signal Processor)160とを備えている。
映像増幅部140は、図4(B)に示すように、基準電圧生成部10、バッファアンプ20、およびキャンセル電流源40を有する基準電圧供給回路1を備えている。基準電圧供給回路1は5Vの単一電源で動作するようになっている。基準電圧生成部10では、一例として、映像信号の黒信号に相当する1.5Vを基準電圧Vref として生成するようになっており、これがバッファアンプ20を介して基準電圧Vrefoutとされ、この基準電圧Vrefoutは、絶対黒基準電圧として、映像増幅部140内の各機能部に供給されるようになっている。なを。図示を割愛するが、バッファアンプ20の出力端子には、外部負荷容量Cが接続される。この外部負荷容量Cは、使用者や設計者の選択により相当広い範囲から選択される。
映像増幅部140は、基準電圧供給回路1の他に、前置増幅器(Pre AMP)142、加算器143、利得を調整可能な可変利得増幅器144、ホワイトバランス回路(WB;White Balance )145、クランプ回路146、ブラックオフセット(BO;Black Offset)回路147、ニー回路(K)148、および出力バッファアンプ(OBA;Output Buffer Amp )149を有している。
このうち、1.5Vの絶対黒基準電圧(基準電圧Vrefout)は、可変利得増幅器144、ホワイトバランス回路145、クランプ回路146、およびブラックオフセット回路147に供給されるようになっている。また、このうち、絶対黒基準電圧(1.5V=基準電圧Vrefout)をバッファアンプ20から供給する際に流れる供給電流Irefoutが問題となるのは可変利得増幅器144であり、キャンセル電流源40は、可変利得増幅器144の動作を監視して逆相電流“−Irefout”を生成するようになっている。
可変利得増幅器144は、夜景の撮影時など、映像信号が微弱な場合に、増幅率を適当な値に設定して映像信号の振幅を大きくする機能を持つ。たとえば、映像信号を数dB〜数10dBの範囲で増幅するのに使用される。
ここでは一例として、映像信号の大小に合わせてそれぞれ所定のゲイン(処理パラメータの一例)が設定され、この設定されたゲインでそれぞれ同様の信号増幅処理を行なう並列配置された複数のゲインアンプ(増幅回路)200_1〜_k(図ではk=6)を切替スイッチ(SW;選択部の一例)210により選択して、事実上何れか1系統のみを使用することで信号の最適化を図る。
何れのゲインアンプ200_1〜_kを使用するかによって増幅率を段階的に変更するステップ増幅器(Step AMP )の構成としている。このステップ増幅器では、切替制御信号ACSWに基づいて切替スイッチ210で随時ゲインアンプ200_1〜_kの何れかを選択することで、所望のゲイン(増幅率)を意図した映像信号振幅を決めることができる。
たとえば、ゲインアンプ200に設定するゲインの代表的な値としては、ゲイン=0/3/6/9/12/18/24/30/36dBなどである。このうち、本実施形態では、0/6/12/18/24//36dBを採用している。
ホワイトバランス回路145は、撮像素子124の信号感度ムラを原因とする明るさのムラが均一になるように補正する機能を持つ。クランプ回路146は、絶対黒基準電圧(1.5V)と映像信号の中の黒基準電圧を一致させる機能を持つ。ブラックオフセット回路147は、映像信号の中の黒基準電圧を直流電位とすげ替えてS/Nを改善する機能を持つ。なお、すげ替える直流電位は微調整できるようになっている。ニー回路148は、高輝度信号を圧縮変換する機能を持つ。
以上のように、映像増幅部140で必要な絶対黒基準電圧を単一電源で動作する基準電圧供給回路1から供給できるため、映像増幅部140の回路構成を簡略化できる。これは、マイナス電源を必要としないためである。また、バッファアンプ20は、外部負荷容量値によらず広帯域の周波数について安定する。すなわち、絶対黒基準電圧が変動しない。このため、この映像増幅部140は、フレームレートフリーの撮像装置にも搭載することができる。
また、基準電圧供給回路1にはキャンセル電流源40が設けられているので、映像増幅部140内の各機能部に絶対黒基準電圧(1.5V=基準電圧Vrefout)をバッファアンプ20から供給する際に各機能部との間に供給電流Irefoutが流れ得る場合であっても、その供給電流Irefoutをキャンセルする大きさの逆相電流“−Irefout”を生成することができるので、その供給電流Irefoutの影響により絶対黒基準電圧が変動してしまう現象を抑制することができる。
<ゲインアンプの構成例>
図5は、可変利得増幅器144を構成する各ゲインアンプ200の具体的な構成例を示す図である。ここで、図5(A)では、ゲインアンプ200の詳細構成例とともに、ボルテージフォロワ(VF;Voltage Follower)構成のバッファアンプ20とゲインアンプ200の接続態様を示している。また、図5(B)はその等価回路を示し、図5(C)は、高ゲイン化への対応を、等価ブロック図を用いて示している。
図5(A)に示すように、ゲインアンプ200は、差動対構成で接続された2つのNPN型のトランジスタ201,202と、トランジスタ201,202のエミッタ側に配され、各トランジスタ201,202に動作電流を供給する電流源203とを備えている。差動対の一方のトランジスタ201のコレクタは電源Vccに接続され、他方のトランジスタ202のコレクタと電源Vccとの間には負荷として電流源204が設けられている。
また、トランジスタ202のコレクタにはNPN型のトランジスタ205のベースが接続され、そのトランジスタ205のエミッタとトランジスタ202のベースとの間には抵抗値R1の帰還抵抗206が接続され、トランジスタ202のベースとバッファアンプ20の出力(つまり基準電圧供給回路1の出力端子OUT )との間にはゲイン設定に関わる抵抗値R2の入力抵抗207が接続されている。
全体としては、図5(B)に等価回路を示すように、トランジスタ201,202,205および電流源203,204で基本増幅回路が構成され、トランジスタ201のベースを信号入力端子とし、トランジスタ205のエミッタを出力端子とする非反転増幅回路が構成されており、トランジスタ201のベースに処理対象の電圧信号Vinが入力されると、所定のゲイン倍で増幅してトランジスタ205のエミッタに増幅信号Vout を出力するようになっている。
このような構成のゲインアンプ200においては、ゲイン(Vout /Vin)が帰還抵抗206と入力抵抗207の抵抗比によって規定される。すなわち、基準電圧Vrefoutに対する出力信号Vout の大きさは、抵抗206,207に流れる電流Ioと合成抵抗値“R1+R2”の積で決定され、トランジスタ201のベース(等価回路の非反転入力端子に相当)はトランジスタ202のベースに対してイマジナリーショートとなる。よって、入力信号Vinの大きさは抵抗207に流れる電流Ioとその抵抗値R2の積と等価となり、これらからゲイン(Vout /Vin)は、(R1+R2)/R2となる。たとえば、ゲインを6dB(2倍)とする場合、合成抵抗値“R1+R2”を10kΩとするには、R1=5kΩ,R2=5kΩとすればよい。
ただし、このような構成のゲインアンプ200を1つ用いて高ゲイン(たとえば36dB)を得ようとすると、位相余裕が減り、発振するなどの事象が生じ易く不安定になる(図5(C1)参照)。これでは、発振などのリスクが大きく使い難い。この問題を避けつつ高ゲインを得ようとする場合には、その対策として、強力な位相補償を掛けることが考えられる。しかしながら、位相補償によって周波数特性が犠牲になり、高ゲインかつ広帯域の増幅器を実現できない。
これに対して、図5(C2)に示すように、比較的低ゲインの増幅器を縦続接続すれば(図では18dBの2段構成で36dBを実現)、合成ゲインは各段のゲイン(dB値)の加算値となる。それぞれは完全に分離されているので、低ゲインかつ広帯域の増幅器であり発振などのリスクを少なくでき、全体としては、高ゲインかつ広帯域の増幅器にすることができる。
なお、図5(C2)では同じゲインのゲインアンプ200a,200bを縦続接続しているが、図5(C3)に示すように、異なるゲインのものを縦続接続してもよいし、また、2段に限らず、3段以上の縦続接続とすることもできる。
<可変利得増幅器の構成例>
図6は、図5に示したゲインアンプ200を用いてステップ増幅器構造の可変利得増幅器144を構成する事例を示す図である。図4を用いて説明したが、本実施形態の撮像装置100は、0/6/12/18/24//36dBを切替スイッチ210により切り替える構成を採っている。
すなわち、先ず、図6(A)では図示を割愛しているが、ゲインアンプ200を使用せずに、入力信号Vinを直接に出力信号Vout として出力することで0dBとする。また、第1のゲインアンプ200_1には6dB、第2のゲインアンプ200_2には9dB、第3のゲインアンプ200_3には12dB、第4のゲインアンプ200_4には18dBを設定している。
また、24dB用の第5のゲインアンプ200_5としては、発振などのリスクを少なくするべく、図5(C2)に示したと同様に、それぞれ12dBが設定されたゲインアンプ200_5a ,200_5b の縦続接続としている。同様に、36dB用の第6のゲインアンプ200_6としては、それぞれ18dBが設定されたゲインアンプ200_6a ,200_6b の縦続接続としている。
なお、本実施形態では採用していないが、30dB用のゲインアンプとする場合にも、発振などのリスクを少なくするべく、たとえばそれぞれ15dBが設定された2つのゲインアンプの縦続接続とするのがよい。
なお、基準電圧供給回路1からは、各ゲインアンプ200_1〜_6に対して基準電圧Vrefoutが供給される。したがって、切替スイッチ210の選択動作によって、実際に使用される系統に関して基準電圧Vrefoutが供給されるだけでなく、事実上使用されない系統に関しても基準電圧Vrefoutが供給されることになる。この場合、事実上使用されない系統に関しても動作をさせてしまうと、それぞれ設定されたゲインで入力信号Vinを増幅し出力電圧Vout が入力信号レベルに応じて変化し、その結果として、使用されない系統によっても供給電流Irefoutが動的に変化し、基準電圧Vrefoutの動的変動を招いてしまう。
これを避けるには、使用されない系統に関しても供給電流Irefoutを抑制する機構を設ける、具体的には、各系統について個別に電流検知を行なって抑制するキャンセル電流源40を設ける構成を採ることで対処することができる。あるいは、使用されない系統に関しては、動作を停止する機構を設けることで対処することもできる。
後者の場合、実際に使用される系統に関してのみ電流検知を行なって抑制するキャンセル電流源40を設けるとよく、回路構成がコンパクトになり得る(後述する図8を参照)。なお、後者の場合、実際に使用されない系統に関しても基準電圧Vrefoutが供給され続けることに変りはなく、静的な基準電圧変動は存在するが、動的な基準電圧変動に比べると問題は少ないと考えてよい。なお、この静的な基準電圧変動も抑制する必要がある場合には、実際に使用される系統のみに基準電圧Vrefoutを供給する切替機構を設けるとよい。
図6(B)では、ゲインアンプ200と切替スイッチ210との関わりをさらに詳しく示している。概念的には、切替スイッチ210としては、入力信号Vinおよび所定ゲインが設定された各ゲインアンプ200の出力を受け、切替制御信号ACSWに基づいて何れかの出力を選択して出力する多入力−1出力型のスイッチを使用することができる。
この場合、所定ゲインが設定された各ゲインアンプ200が同時並行的に動作することになり、選択されていないものまで動作することで消費電力が無駄になる。これを避けるには、たとえば、切替制御信号ACSWに基づいて何れかの出力を選択して出力するだけでなく、選択されないゲインのものの動作を無効にするのがよい。あるいは、図5(A)におけるトランジスタ201,202,205および電流源203,204でなる基本増幅回路を共通に使用しつつ、ゲイン設定に関わる抵抗206,207の定数を切り替える構成を採用してもよい。
また、何れの構成を採る場合であっても、何れのゲインが選択されたのかに応じてキャンセル電流源40の動作を制御するべく、切替制御信号ACSWの情報をキャンセル電流源40に通知するのがよい。こうすることで、たとえば、0dB時にはキャンセル電流源40の動作を停止することができるし、何れのゲインが選択されたのかに応じてキャンセル電流量を調整することもできる。
本例では、切替制御信号ACSWのそれぞれをNPN型のトランジスタ230_1〜230_6で受け、それらのエミッタを、コレクタとベースとが共通に接続され、エミッタ−接地間に制限抵抗234が設けられたトランジスタ232でなる駆動電流源に接続することで、SW1〜SW6の情報(実際には何れか1つのみがアクティブ)を一括してキャンセル電流源40に通知するようにしており、キャンセル電流源40は、どのゲインアンプ200が動作しても、ゲイン設定に関わらず同じ条件で動作し、事実上同じキャンセル電流を生成するようになっている(その意味については後述する)。
<可変利得増幅器と基準電圧変動抑制との関わり>
図7および図8は、可変利得増幅器144との関わりにおける基準電圧Vref に対する基準電圧Vrefoutの変動を抑制するための仕組み説明する図である。ここで図7(A)は、絶対黒基準電圧(1.5V=基準電圧Vrefout)をバッファアンプ20から可変利得増幅器144に供給する際に流れる供給電流Irefout(ここでは特にIoと記す)を相殺するためのキャンセル電流源40の配置態様を示している。また、図7(B)は、基準電圧変動に起因する障害の一例を説明する図である。また図8は、ステップ増幅器構成の可変利得増幅器144とキャンセル電流源40との接続態様を示している。抑制対象となる供給電流Irefoutは、処理対象信号レベルに応じて動的に変化するものであるとする。
図5を用いて説明したゲインアンプ200におけるゲインの解析から分かるように、ゲインアンプ200が増幅動作を行なう際には、基準電圧供給回路1に電流Ioが流れ込む。すなわち、ゲインアンプ200が動作すると、入力電圧Vinのゲイン倍した出力電圧Vout が出力端子(図5(A)ではトランジスタ205のエミッタ)に現われると同時に、式(1)に示すような、出力電圧Vout に比例する電流Ioが基準電圧供給回路1のバッファアンプ20(ボルテージフォロワ構成)へ流れ込むことになる(図5(A)参照)。
このとき、バッファアンプ20の出力インピーダンスZout がゼロ(Ω)でない限り、バッファアンプ20の出力電圧、つまり基準電圧Vrefoutが基準電圧Vref よりもIo*Zout 分だけ上昇することになる。このような基準電圧変動があると、可変利得増幅器144や他の機能部における信号処理に対して様々な悪影響を与えてしまうことになる。たとえば、映像信号を処理対象とする場合には、たとえばストリーキング(streaking )現象が生じてしまう。
ここで、ストリーキングとは、映像波形の歪の一種であって映像領域内に明るい部分がある場合に、その部分の右側水平方向に長く白または黒く尾を引く現象をいう。たとえば、図7(B)に示すように、画面の中央部が高輝度(白)でその周囲が低輝度(黒)である場合、本来、白信号の左右は、上下の黒信号のレベルと同じレベルで表示出力されなければならないのであるが、中央部の白信号により絶対黒基準電圧(基準電圧Vrefout)が上昇することで、その左右の黒部分が明るくなってしまう。
このような基準電圧変動に起因する各種の問題を避けるには、バッファアンプ20に流れ込む供給電流Irefout(=Io)を相殺するのがよい。具体的には、供給電流Irefout(=Io)と同じ大きさの逆相の電流“−Irefout=−Io”を引くことで、基準電圧供給回路1に流れ込む電流をほぼゼロにすることができ、ボルテージフォロワ構成のバッファアンプ20の出力電圧変動、すなわち基準電圧Vref に対する基準電圧Vrefoutの変動が起きないようにすることができる。
ここで、電流Irefout=Io,“−Irefout=−Io”に着目すると、ステップ増幅器構成の可変利得増幅器144の場合、映像信号が微弱な場合に増幅率を適当な値に設定して映像信号の振幅を大きくするので、ゲイン設定に関わらず出力電圧Vout はほぼ一定のレンジにあると考えてよい。このことは、式(1)の分子が一定であると考えてよく、結果として、電流電流Irefoutは、合成抵抗値“R1+R2”に依存することになる。
したがって、ゲイン設定に関わらず合成抵抗値“R1+R2”が一定になるようにすれば、どのゲインアンプ200が動作しても、ゲイン設定に関わらず同じ条件で動作するキャンセル電流源40(事実上同じキャンセル電流)を用いて供給電流Irefoutを相殺することができる。事実上、様々なゲイン値が設定された各ゲインアンプ200に対して、個別対応できることになる。
合成抵抗値“R1+R2”を一定にしつつ各ゲインアンプ200に所要のゲインを設定すると、図6(B)のように、切替制御信号ACSWのSW1〜SW6の情報を一括してキャンセル電流源40に通知でき、キャンセル電流源40は、どのゲインアンプ200が動作しても、キャンセル電流を生成することができる。
したがって、キャンセル電流源40は、可変利得増幅器144を構成する切替スイッチ210の後段にて、被供給回路5としての可変利得増幅器144の動作状態を相殺電流判定部42により監視し、その結果に基づいて相殺電流供給部44にて供給電流Irefoutと同じ大きさのキャンセル電流を生成すればよい。すなわち、選択的に使用される複数系統の信号処理回路(本例ではゲインアンプ200)に対して相殺電流判定部42と相殺電流供給部44とを切替スイッチ210の出力側にそれぞれ1つ設ければよい。
ただし、本実施形態の可変利得増幅器144においては、高ゲイン設定用のゲインアンプ200に関しては、複数のゲインアンプ200を縦続接続し、これらを同時に動作させる構成を採用しており、この場合には、切替スイッチ210の出力側では後段側のゲインアンプ200bの状態を監視することになり、このままでは前段側のゲインアンプ200aの監視ができない。
よって、さらに前段側のゲインアンプ200aに関しても供給電流Irefoutをキャンセル必要があり、加えて、その対象として、選択的に使用される複数系統が存在する場合には、これら複数の前段側のゲインアンプ200aの動作状態を監視する機構をどのように設けるかが問題となる。
一例としては、図8(A)に示すように、前段側のゲインアンプ200の動作状態を個別に監視するべく、前段側のゲインアンプ200_5a ,200_5b それぞれに、たとえば電圧電流変換器(V/I)で構成された相殺電流判定部42_a5 ,42_a6 を設ける構成を採ることができる。切替スイッチ210の後段で監視する相殺電流判定部42_bは、ゲインアンプ200_5,200_6が使用されるときには、後段側のゲインアンプ200_5b ,200_6b の状態を監視することになる。
このような構成の場合、各系統については、縦続接続され同時に動作する前段側と後段側についてそれぞれ個別に各供給電流供給電流Irefout_a,_bに対応した検知電流をそれぞれ判定する構成となる。したがって、相殺電流供給部44は、相殺電流判定部42_a,_bの各判定結果を合成し、その合成結果に基づいて前段側と後段側の各供給電流Irefout_a,_bを合成した合成電流Irefoutと同じ大きさの相殺電流を生成し、それを逆相“−Irefout”でバッファアンプ20の出力側に流すようにすればよい。
一方、選択的に使用される他の系統との関係においては、実際には使用されない系統についても相殺電流判定部42にて電流検知を行なうことになってしまう。したがって、相殺電流供給部44は、何れの系統が使用されるのかに応じて、前段側の供給電流Irefout_aに関しては、電流検知結果を選択して使用することになる。
また、他の例としては、選択的に使用されるゲインアンプ200_1〜_kに対して切替スイッチ210を設け、その出力側にて検知を行なう構成と同様の仕組みを採ることができる。すなわち、図8(B)に示すように、前段側のゲインアンプ200の動作状態を一箇所で監視するべく、前段側のゲインアンプ200_5a ,200_5b それぞれの動作状態をスイッチ(SW)48を介して電流電圧変換器(V/I)で構成された相殺電流判定部42_a で監視する構成を採ることができる。この場合にも、切替スイッチ210の後段で監視する相殺電流判定部42_bは、ゲインアンプ200_5,200_6が使用されるときには、後段側のゲインアンプ200_5b ,200_6b の状態を監視することになる。
図8(A)に示す構成の場合、前段側のゲインアンプ200の動作状態を個別に監視するために、相殺電流判定部42_a5 ,42_a6 を個別に設ける必要があるので、回路構成がやや大規模になるが、図8(B)とは異なりスイッチ48の影響を受けずに前段側のゲインアンプ200の動作状態を正確に監視することができる。
一方、図8(B)に示す構成の場合には図8(A)に示す構成と逆の利点が得られる。すなわち、前段側のゲインアンプ200の動作状態を1つの相殺電流判定部42_aで監視するためにスイッチ48が必要となるので、このスイッチ48の影響により前段側のゲインアンプ200の動作状態の監視精度が低下するが、回路規模を図8(A)に示す構成よりも小規模にできる。
なお、何れの場合も、前段側と後段側とでは出力信号レベル(後段側では前段側の約2倍)が異なるので、前段側/後段側のそれぞれに関してのキャンセルすべき供給電流Irefoutが異なることになる。すなわち、電流の変化は前段側(Irefout_a)ではゆっくりであり、後段側(Irefout_b)では前段側の約2倍の変化をすることになる。この場合でも、これらの合成成分がバッファアンプ20に流れ込もうとするので、合成成分に相当する逆相のキャンセル電流を相殺電流供給部44にて生成すればよい。
一方、合成抵抗値“R1+R2”が異なるように各ゲインアンプ200に所要のゲインを設定する場合には、各ゲインアンプ200に適応したキャンセル電流源40をそれそれぞれに設けるか、もしくは、何れのゲインが選択されたのかに応じてキャンセル電流源40の動作を制御して、何れのゲインが選択されたのかに応じてキャンセル電流量を調整する仕組みを採ればよい。
<キャンセル電流源の基本構成例>
図9は、キャンセル電流源40の具体的な構成例の基本構成を示す図である。先ず相殺電流判定部42は、ベースがアンプ出力(トランジスタ205のエミッタや切替スイッチ210の出力側)と接続されたPNP型のトランジスタ422と駆動電流源424とで構成されたエミッタフォロワ回路を備える。トランジスタ422のコレクタは接地に接続され、エミッタが駆動電流源424を介して電源Vccに接続される。
また、相殺電流判定部42は、トランジスタ422のエミッタにベースが接続されたNPN型のトランジスタ426と、そのエミッタ側に配された検知抵抗428と、基準電圧V430 を出力する基準電源430との直列回路を備える。
基準電圧V430 の大きさは任意の値でもよいが、好ましくは図示するように、基準電圧Vrefoutの大きさと同じである方が、回路定数の設計が容易である。基準電源430としては、基準電圧供給回路1そのものの出力を利用する構成を採ることができるし、基準電圧供給回路1とは別に、当該相殺電流判定部42用のものを用意してもよい。
基準電圧供給回路1を利用する場合には、検知抵抗428に流れる検知電流I426 によってバッファアンプ20の出力電圧(=基準電圧Vrefout)の変動が、可変利得増幅器144などの、本来キャンセルの対象なる機能部での供給電流Irefoutよりも大きくなることがないように、十分に大きな抵抗値とすることが望まれる。
基準電圧供給回路1とは別のものを用意する場合には、基準電圧V430 の生成部分をも自前で用意する構成を採ることができるが、この場合、基準電圧V430 と基準電圧Vrefoutの誤差が問題となり得る。一方、たとえば基準電圧供給回路1用の基準電圧生成部10を利用し、その出力をバッファアンプ20と同様の構成の別のバッファアンプで受ける構成を採ることで、基準電圧V430 =基準電圧Vrefoutとできるので基準電圧の誤差を防止することができるし、回路構成をコンパクトにすることができる。
一方、相殺電流供給部44は、トランジスタ426のコレクタ側に配され、トランジスタ426に流れる電流を折り返すためのカレントミラー接続されたPNP型のトランジスタ442,444と、この折り返された電流をさらに折り返すためのカレントミラー接続されたNPN型のトランジスタ452,454とを備えている。トランジスタ442,444の各エミッタにはミラー比を設定するための抵抗446,448(R446 >R448 )が電源側に設けられ、同様に、トランジスタ452,454の各エミッタにはミラー比を設定するための抵抗456,458(R456 >R458 )が接地側に設けられている。
R446 >R448 ,R456 >R458 とするのは、折返電流をより大きくする電流増幅機能を持たせることで、検知抵抗428の抵抗値R428 を大きくして相殺電流判定部42における検知感度(検知ゲイン)を小さくした場合でも、供給電流Irefoutと同じ大きさのキャンセル電流を生成できるようにするためである。
このような構成のキャンセル電流源40においては、先ず、基準電圧Vrefoutを受ける被供給回路5の原点であるアンプ出力Vout と同様の電圧がトランジスタ426のエミッタに現われ、式(2)に示すような、出力電圧Vout に比例する検知電流I426 が流れる。つまり、このような構成の相殺電流判定部42は、電圧電流変換器として機能する。
相殺電流判定部42における検知感度(検知ゲイン;I426 /Irefout)は(R1+R2)/R428 となるので、検知抵抗428の大きさできまり、抵抗値R428 が大きいほど検知感度は小さくなる。
ここで、式(1)との対比から分かるように、供給電流Irefoutと検知電流I426 の大きさは、少なくとも抵抗値“R1+R2”,R428 の大きさに依存し、特に基準電圧V430 の大きさが基準電圧Vrefoutの大きさと同じである場合には、電流比Irefout/I426 は、抵抗比(R1+R2)/R428 の逆数に比例することになり、I426 =Irefout*(R1+R2)/R428 となる。
相殺電流判定部42において検知された検知電流I426 は、トランジスタ442,444でなるカレントミラー回路により折り返される。このときの折返電流I444 は、抵抗446,448によるミラー比MR1(=R446 /R448 )で増幅され、I426 *R446 /R448 となる。
この折返電流I444 は、トランジスタ452,454でなるカレントミラー回路によりさらに折り返される。このときの折返電流I454 は、抵抗456,458によるミラー比MR2(=R456 /R458 )で増幅され、I444 *R456 /R458 となる。
2つのカレントミラー回路の各ミラー比は、折返電流I454 が、供給電流Irefoutと同じ大きさとなるようにするべく、式(3)を満たすようにする。式(3)から分かるように、相殺電流判定部42における検知感度が決定されると、キャンセル用の折返電流I454 の大きさは、ミラー比MR1,MR2を決定する抵抗値を調整することで設定することができる。
この折返電流I454 は、基準電圧供給回路1の出力であるバッファアンプ20の出力に供給され、供給電流Irefoutに対してのキャンセル電流として機能するようになる。すなわち、相殺電流判定部42において、検知抵抗428によりアンプ出力に応じ検知電流I426 を生成し、これを相殺電流供給部44において2つのカレントミラー回路により折り返す過程で合成ミラー比MR(=R446 /R448 *R456 /R458 )で増幅することにより供給電流Irefoutと同じ大きさの折返電流I454 を生成し、この折返電流I454 をキャンセル電流として引く、つまり、供給電流Irefoutに対して逆相で流すことで、ボルテージフォロワ構成のバッファアンプ20に流入する供給電流Irefoutを相殺することができる。
このとき、2つのカレントミラー回路のミラー比を大きく設定することで、検知抵抗428の抵抗値R428 を大きくしてトランジスタ426に流れる検知電流I426 を少なくすることができる。こうすることで、基準電源430として基準電圧供給回路1そのものの出力を利用する構成を採る場合に、検知抵抗428に流れる検知電流I426 によるバッファアンプ20の出力電圧(=基準電圧Vrefout)の変動を小さくすることができる。
なお、複数のゲインアンプ200_1〜_kと切替スイッチ210とを備えてゲインアンプ200を構成する場合、供給電流Irefout_1〜Irefout_kのそれぞれに対して同じ相殺電流判定部42で電流を検知し、同じ合成ミラー比MR(=R446 /R448 *R456 /R458 )で増幅して対応するキャンセル電流を生成することになる。
このことは、相殺電流判定部42と相殺電流供給部44とを、複数のゲインアンプ200に対してそれぞれ1つ設ける場合、相殺電流判定部42における供給電流Irefout_1〜Irefout_kのそれぞれに対して個別に検知感度や電流ゲインを設定することができないことを意味する。この点においては、適正な大きさのキャンセル電流(=折返電流I454 )を生成するには、各ゲインアンプ200_1〜_kにおける合成抵抗“R1+R2”を一定にして供給電流Irefout_1〜Irefout_kが同じ電流となるように設定しつつ所定のゲイン値となるようにする必要がある。
このように、複数のゲインアンプ200_1〜_kに対して共通のキャンセル電流源40を用いてキャンセル電流を生成する場合には、各ゲインアンプ200_1〜_kにおける合成抵抗“R1+R2”を一定にすることで、単一のキャンセル電流源40を使用しても、ゲインアンプ200_1〜_kの何れが動作する場合でも、何ら問題なく適正な大きさのキャンセル電流(=折返電流I454 )で供給電流Irefout_1〜Irefout_kを相殺できることになる。ゲインアンプ200_1〜_kの構成数に関わらず、単一のキャンセル電流源40でバッファアンプ20から出力される基準電圧Vrefoutの安定化を図ることができ、ゲインアンプ200_1〜_kのそれぞれに対して個別にキャンセル電流源40を設ける場合に比べて素子数を飛躍的に削減することができる。
<実施例1>
図10は、図9に示したキャンセル電流源40の実施例を説明する図である。ここでは、図8において、ゲイン6dBのゲインアンプ200_1への供給電流Irefout_1と、ゲイン12dBのゲインアンプ200_3への供給電流Irefout_3とを相殺する事例を示している。各ゲインアンプ200_1,_3における合成抵抗“R1+R2”を一定にしている。
図から分かるように、出力振幅Vout_1 に関わらず、ゲイン6dBのゲインアンプ200_1への供給電流Irefout_1に対してほぼ同じ大きさのキャンセル電流(=折返電流I454_1 )が生成され逆相(−I454_1)で供給されるようになり、また、出力振幅Vout_1 に関わらず、ゲイン12dBのゲインアンプ200_3への供給電流Irefout_3に対してほぼ同じ大きさのキャンセル電流(=折返電流I454_3 )が生成され逆相(−I454_3)で供給されるようになる。
したがって、単一のキャンセル電流源40を用いても、ゲインアンプ200_1,_3に対して、適正な大きさのキャンセル電流(=折返電流I454_1 ,_3)で供給電流Irefout_1,_3を相殺できることになる。
なお、同一の入力信号の電圧振幅INPUT に対して、ゲイン12dBのゲインアンプ200_3の出力振幅Vout_3 は、ゲイン6dBのゲインアンプ200_1の出力振幅Vout_1 の2倍となるので、供給電流Irefout_1の変化はゆっくりであり、供給電流Irefout_3は供給電流Irefout_1に対して約2倍の速度で変化する。
<キャンセル電流源の変形構成例>
図11は、キャンセル電流源40の具体的な構成例の変形構成を示す図である。この変形構成は、図3(A)に示したように、被供給回路5の回路構成が、それぞれ基準電圧Vrefoutが供給される回路の縦続構成が採られている場合への適用に好適な構成である。ここでも被供給回路5としてゲインアンプ200を有する可変利得増幅器144を例に説明する。
図示するように、可変利得増幅器144としては、図5(C2)に示したと同様に、比較的低ゲインのゲインアンプ200を多段接続した構成を採用しており、図6に示したゲインアンプ200_5a ,200_6a に相当する前段ゲインアンプ200aと、図6に示したゲインアンプ200_5b ,200_6b に相当する後段ゲインアンプ200bとを備えている。なお、図では、後段ゲインアンプ200bの出力に設けられる切替スイッチ210を割愛して示している。
このような可変利得増幅器144に対して、この変形構成のキャンセル電流源40は、図8(A)に示す構成を採用し、図9に示したと同様の構成の相殺電流判定部42を前段ゲインアンプ200aと後段ゲインアンプ200bの各出力側に備えている。
前段相殺電流判定部42aは、前段ゲインアンプ200aによる供給電流Irefout_aと対応する検知電流I426aを検知し、後段相殺電流判定部42bは、後段ゲインアンプ200bによる供給電流Irefout_bと対応する検知電流I426bを検知する。
また、キャンセル電流源40は、各段の相殺電流判定部42a,42bの各トランジスタ426a,426bのコレクタが相殺電流供給部44のカレントミラー回路を構成するトランジスタ442のベースに共通に接続されることで、相殺電流判定部42a,42bで検知された検知電流I426a,I426bを加算(合成)する合成部46が実質的に構成されるようになっている。
相殺電流供給部44では、相殺電流判定部42a,42bで検知した各検知電流I426a,I426bを加算した後に、合成検知電流I426 を合成ミラー比MR(=R446 /R448 *R456 /R458 )で増幅して、式(4)に示すようなキャンセル用の折返電流I454 を生成する。折返電流I454 は、基準電圧供給回路1の出力であるバッファアンプ20の出力に供給され、供給電流Irefoutに対してのキャンセル電流として機能するようになる。
式(4)から分かるように、実質的には、供給電流Irefout_aをキャンセルする折返電流I454a(=I444a*R456 /R458 )と、供給電流Irefout_bをキャンセルする折返電流I454b(=I444b*R456 /R458 )とを加算することにより供給電流Irefout(=Irefout_a+Irefout_b)と同じ大きさの折返電流I454 を生成し、この折返電流I454 をキャンセル電流として引く、つまり、供給電流Irefoutに対して逆相で流すことで、ボルテージフォロワ構成のバッファアンプ20に流入する供給電流Irefoutを相殺することができる。
また各段の相殺電流判定部42a,42bの各トランジスタ426a,426bのコレクタを、相殺電流供給部44のカレントミラー回路を構成するトランジスタ442のベースに共通に接続して合成部46を実質的に構成すれば、回路素子をさほど増やすことなく、合成したキャンセル電流(=折返電流I454)を生成することができる。
なお、この場合、供給電流Irefout_aと供給電流Irefout_bのそれぞれに対して同じ合成ミラー比MR(=R446 /R448 *R456 /R458 )で増幅して対応するキャンセル電流を生成することになる。このことは、前段相殺電流判定部42aと後段相殺電流判定部42bの各検知感度に対して個別に電流ゲインを設定することができないことを意味する。この点においては、図11(あるいは図8(A))に示した構成を採る場合、前段相殺電流判定部42aと後段相殺電流判定部42bの各検知感度を揃えておく必要がある。この点は、図8(B)に示したスイッチ48を利用する構成の場合も同様である。
本構成の場合、各段のゲインアンプ200a,200bに対してそれぞれ対応する相殺電流判定部42a,42bを備えているので、各段のゲインアンプ200a,200bにおける合成抵抗“R1+R2”が一定でない場合は、検知抵抗428a,428bの定数設定により各検知感度を揃えることができる。ただしこの場合には、当然のごとく、前段相殺電流判定部42aと後段相殺電流判定部42bを同一回路とすることはできない。
これに対して、前段相殺電流判定部42aと後段相殺電流判定部42bの検知抵抗428a,428bの定数を同じにして同一回路とした場合に各検知感度を揃えるためには、各段のゲインアンプ200a,200bにおける合成抵抗“R1+R2”を一定にして供給電流Irefout_a,Irefout_bが同じ電流となるように設定しつつ所定のゲイン値となるようにする必要がある。
このように、複数のゲインアンプ200_a,200_b(3段以上でも同様であるが)に対して同一構成の複数の相殺電流判定部42を用いてキャンセル電流を検知する場合にも、各ゲインアンプ200_a,200_bにおける合成抵抗“R1+R2”を一定にすることで、何ら問題なく適正な大きさのキャンセル電流(=折返電流I454 )で供給電流Irefout(=Irefout_a+Irefout_b)を相殺できることになる。
ゲインアンプ200_a〜のそれぞれに対して同一回路構成の相殺電流判定部42_a〜を用意するだけで、バッファアンプ20から出力される基準電圧Vrefoutの安定化を図ることができるのである。相殺電流供給部44を1つにできるので、ゲインアンプ200_a〜のそれぞれに対して個別に相殺電流判定部42および相殺電流供給部44を有するキャンセル電流源40を設ける場合に比べて、回路素子をさほど増やすことなく、基準電圧Vrefoutの安定化を図ることができる。
高ゲインアンプを構成する場合に、比較的低ゲインの増幅器を多段接続する場合でも、各低ゲイン増幅器に対して個別に電圧電流変換器を設けるだけの回路追加で、単一の低ゲイン増幅器における場合と同様にして、供給電流を相殺できるのである。なお、各低ゲイン増幅器のそれぞれも被供給回路5の1つであるので、低ゲイン増幅器の多段接続構成の場合に限らず、複数の被供給回路5が縦続接続されている場合においても、各被供給回路5に対して個別に電圧電流変換器を設けるだけの回路追加で、単一の被供給回路5における場合と同様にして、供給電流を相殺できるのである。
<実施例2>
図12は、図11に示したキャンセル電流源40の実施例を説明する図である。ここでは、図8において、ゲイン18dBのゲインアンプ200_6a への供給電流Irefout_6a と、ゲイン18dBのゲインアンプ200_6b への供給電流Irefout_6b とを相殺する事例を示している。各ゲインアンプ200_6a ,_6b における合成抵抗“R1+R2”を一定にしている。
図から分かるように、出力振幅Vout_6aに関わらず、ゲイン18dBのゲインアンプ200_6a への供給電流Irefout_6a に対してほぼ同じ大きさのキャンセル電流(=折返電流I454_6a)が生成され逆相(−I454_6a)で供給されるようになり、また、出力振幅Vout_6bに関わらず、ゲイン18dBのゲインアンプ200_6b への供給電流Irefout_6b に対してほぼ同じ大きさのキャンセル電流(=折返電流I454_6b)が生成され逆相(−I454_6b)で供給されるようになる。
なお、同一の入力信号の電圧振幅INPUT に対して、後段のゲイン18dBのゲインアンプ200_6b の出力振幅Vout_6bは、前段のゲイン18dBのゲインアンプ200_6a の出力振幅Vout_6aの2倍となるので、供給電流Irefout_6a の変化はゆっくりであり、供給電流Irefout_6b は供給電流Irefout_6a に対して約2倍の速度で変化する。
ゲイン36dBのゲインアンプ200_6全体としては、供給電流Irefout_6(=Irefout_6a +Irefout_6b )をバッファアンプ20の出力側に流そうとするので、アンプ電流の和(Irefout_6=Irefout_6a +Irefout_6b )とキャンセル電流の和が同じになればキャンセル成功といえ、合成キャンセル電流(=折返電流I454_6 =I454_6a+I454_6b)を引いてやる(つまり逆相で流す)ことで、供給電流Irefout_6を相殺できることになる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、図9〜図12では、被供給回路5の一例として撮像装置100に搭載される高忠実度が要求されるゲインアンプ200への適用事例で説明したが、撮像装置100以外の電子機器3に搭載される高忠実度が要求されるゲインアンプ200へも、上記説明の仕組みを同様に適用できる。
また、図9〜図12では、基準電圧変動の影響が顕著に現われる被供給回路5の一例としてゲインアンプ200への適用事例で説明したが、ホワイトバランス回路145、クランプ回路146、あるいはブラックオフセット回路147などにおいても、程度の差こそあるものの、少なからず基準電圧変動の影響が現われ得るものである。よって、これらを含むあらゆる回路、すなわち基準電圧供給回路1から基準電圧Vrefoutの供給を受けて動作する全ての被供給回路5について上記説明の仕組みを同様に適用できるし、他の電子機器3における任意の被供給回路5についても上記説明の仕組みを同様に適用できる。
1…基準電圧供給回路、2…安定化容量、3…電子機器、5…被供給回路、6…選択部、10…基準電圧生成部、20…バッファアンプ、22…差動入力部、23…段間信号線、24…出力部、26…位相補正部、40…キャンセル電流源、42…相殺電流判定部、44…相殺電流供給部、46…合成部、48…スイッチ、100…撮像装置、110…入射光学系、120…撮像部、124…撮像素子、130…サンプルホールド部、140…映像増幅部、142…前置増幅器、143…加算器、144…可変利得増幅器、145…ホワイトバランス回路、146…クランプ回路、147…ブラックオフセット回路、148…ニー回路、149…出力バッファアンプ、150…AD変換部、200…ゲインアンプ、206…帰還抵抗、207…入力抵抗、210…切替スイッチ、428…検知抵抗、430…基準電源