JP4768174B2 - 車両用ドアの補強ビーム及びその製造方法 - Google Patents

車両用ドアの補強ビーム及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ドアに配設される補強ビーム及びこの補強ビームの製造方法に係り、車両のサイドドアやテールゲートのための補強ビームに適用できるものである。
【0002】
【背景技術】
車両のサイドドアには、ドア強度を大きくし、ドア外面に作用する衝撃荷重等の荷重に対する必要な強度を確保するために補強ビームが配設される。従来の補強ビームには、大別すると、特開平5−38992号で開示されているように、パイプ材を用いて製造されるものと、特開平10−166860号で開示されているように、鋼板をプレス成形して製造されるものとがある。鋼板をプレス成形して製造される補強ビームでは、材料としての鋼板は、引張り強さが980.665N/mm2級又はこれ以上となっている高張力鋼が用いられ、これにより、補強ビームに求められる強度を、焼き入れ処理を行うことなく得るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
パイプ材を用いて製造される補強ビームでは、パイプ部分の断面積を大きくしても、荷重に対して有効に働く断面2次モーメントをそれ程大きくできず、したがって、肉厚さが大きいパイプ材を用いることになり、この結果、補強ビームの全体重量、延いてはドアの全体重量が重くなってしまう。
【0004】
これに対して鋼板のプレス成形によって補強ビームを製造するようにすると、パイプよりも断面2次モーメントが大きい断面形状にすることが可能になるため、パイプ材を用いて製造される補強ビームに比べ、重量の割りに荷重に対して有効となる強度が確保された補強ビームを得ることが可能になる。
【0005】
しかし、従来における鋼板をプレス成形して製造される補強ビームは、引張り強さが980.665N/mm2級又はこれ以上となっている高張力鋼を材料として用いているため、その大きな引張り強さのために、断面2次モーメントが充分に大きくなる断面形状、特に、絞り加工によって形成される複雑な断面形状を有する補強ビームを得ることは困難である。
【0006】
そして、車両用ドアのための補強ビームは、ドア本体を形成するアウターパネルとインナーパネルとの間の空間に配設され、この空間には、ウインドガラスを昇降させるウインドレギュレータやドアロック等のための各種部品、機構が収納されることから、補強ビームを配設するために利用できるスペースは小さい。このようなスペースに配設される補強ビームには、幅寸法の短縮で全体的に小型化され、かつ断面2次モーメントが充分に大きいことが求められるが、鋼板をプレス成形して製造する従来の補強ビームは、必ずしもこのような要求に充分応えられるものではなかった。
【0007】
本発明の目的は、断面2次モーメントが充分に大きくなる断面形状にすることが可能で、衝撃荷重等の荷重に対する充分な強度を有し、また、幅寸法の短縮で全体的に小型化することも可能になる車両用ドアの補強ビーム及びその製造方法を提供するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る車両用ドアの補強ビームは、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板が材料となっていて、この材料に対するプレス成形と焼き入れ処理で形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、補強ビームの材料として、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板が用いられ、この範囲にある引張り強さは、プレス成形で製造される従来の補強ビームの材料となっている鋼板の引張り強さよりも小さい。引張り強さTが784.532N/mm2<Tとなっている鋼板では、良好なプレス成形性、言い換えると、良好なプレス加工性を確保することは困難であるが、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板では、プレス加工性が良好となり、断面2次モーメントが充分大きくなる断面形状に材料を成形することが可能で、絞り加工を行うことも可能となる。これにより、本発明では、衝撃荷重等の荷重に対して有効に働く断面2次モーメントが大きくなった補強ビームを得られるとともに、複雑な断面形状とすることにより、補強ビームの幅寸法を小さくすることも可能になり、この結果、補強ビームの全体的な小型化を図ることができる。
【0010】
また、断面2次モーメントを大きくすることにより、板厚の小さい鋼板を用いて補強ビームを製造しても、荷重に対する大きな強度を確保できるため、補強ビーム、延いては車両用ドアの軽量化を達成できる。
【0011】
そして、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦686.4655N/mm2の範囲にある鋼板を材料として用いると、一層良好なプレス加工性を確保でき、複雑な断面形状への成形が一層容易となる。
【0012】
また、本発明に係る補強ビームは、前記引張り強さを有する材料を焼き入れ処理して形成されるため、この焼き入れ処理で補強ビームは、大きな衝撃荷重等の荷重に対する充分な強度を有するものとなる。
【0013】
また、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板は、引張り強さが980.665N/mm2級又はこれ以上となっている高張力鋼よりも価格が安いため、焼き入れ処理を行っても、補強ビームの製造コストは従来と比べてそれ程高くならない。
【0014】
また、引張り強さTがT<294.1995N/mm2となっている鋼板では、焼き入れ処理をしても荷重に対する強度をそれ程大きくすることは困難であるが、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板を用いると、焼き入れ処理によって荷重に対する大きな強度を得ることができる。
【0015】
以上のように、良好なプレス加工性と、焼き入れ処理で荷重に対する大きな強度とを得られる鋼板の最適な一例は、引張り強さが441.29925N/mm2級となっている鋼板である。
【0016】
前述したように、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板が材料となっていて、この材料に対するプレス成形と焼き入れ処理で形成される本発明に係る補強ビームの一例は、ドア外面と直角又は略直角をなす方向に立上がる少なくとも1個の立上がり壁を備えている。
【0017】
この立上がり壁はドア外面と直角又は略直角をなす方向に立ち上がっているため、ドア外面に作用する荷重に対して有効となる大きな断面2次モーメントを有している。これにより、補強ビームは荷重に対する大きな強度を備えることになる。
【0018】
このような立上がり壁は、前記材料に対する絞り加工で形成してもよく、曲げ加工で形成してもよい。
【0019】
また、前記焼き入れ処理は、立上がり壁の全部の部分について行ってもよく、立上がり壁の一部について行ってもよい。
【0020】
焼き入れ処理を立上がり壁の一部について行うと、焼き入れ処理された焼き入れ箇所によって補強ビームの強度が確保されるとともに、焼き入れ処理されていない非焼き入れ箇所によって補強ビームの靭性が確保され、補強ビームの脆性を改善するこの靭性により、補強ビームは優れた衝撃エネルギー吸収性を備えることになる。
【0021】
このように、立上がり壁に焼き入れ箇所と非焼き入れ箇所とを設ける場合には、立上がり壁の立上がり方向に焼き入れ箇所と非焼き入れ箇所を設ける。
【0022】
焼き入れ箇所と非焼き入れ箇所は、立上がり壁の立上がり方向にそれぞれ1個設けてもよいが、非焼き入れ箇所を立上がり壁の立上がり方向の途中部に設け、この非焼き入れ箇所の立上がり壁の立上がり方向両側に焼き入れ箇所を設けることが好ましい。
【0023】
これによると、補強ビームに荷重が作用したとき、非焼き入れ箇所において引張りと圧縮との間の中立軸が発生するとともに、引張り力と圧縮力が焼き入れ箇所において発生することになり、荷重に抵抗する強度と、衝撃エネルギーを吸収するための靭性とを有効に補強ビームに具備させることができる。
【0024】
このように、立上がり壁の立上がり方向に1個の非焼き入れ箇所と2個の焼き入れ箇所を設ける場合に、立上がり壁の立上がり方向における非焼き入れ箇所の領域長さと焼き入れ箇所の領域長さとの関係を調整することにより、荷重に抵抗する強度の大きさと、衝撃エネルギーを吸収するための靭性の大きさとの適切な関係を得られるようになる。
【0025】
以上の立上がり壁は、立上がり壁の厚さ方向に複数並設することが好ましい。これによると、それだけ荷重に対する強度及び靭性を増大させることができ、また、このように荷重に対する強度及び靭性を増大させつつ、補強ビームの幅寸法を短縮できる。
【0026】
立上がり壁を立上がり壁の厚さ方向に複数個並設するとともに、互いに隣接する2個の立上がり壁の車両外側の端部同士を接続させる場合には、この接続部を単にフラット形状となった接続部としてもよいが、この接続部を車両外側に湾曲突出した湾曲突出部とすることが好ましい。
【0027】
これによると、ドア外面から補強ビームに作用する荷重は湾曲突出部で最初に受けられることになり、このため、湾曲突出部のアーチ形状効果によって補強ビームが変形するのを防止できる。
【0028】
補強ビームに1個又は複数個設ける立上がり壁は、補強ビーム長手方向に同じとなった立上がり寸法を有するものとしてもよく、この立上がり寸法を、補強ビーム長手方向の途中部において大きくするとともに、この途中部の両側において次第に小さくしてもよい。
【0029】
このように立上がり壁の立上がり寸法を補強ビーム長手方向に変化させると、補強ビーム長手方向両端部がドア形成用パネルに結合される補強ビームは、ドア外面から作用する荷重に対して両持ち梁となって働き、この荷重は補強ビーム長手方向の途中部で大きな曲げモーメントとなって補強ビームに作用するため、立上がり寸法が大きくなった箇所でこの曲げモーメントを有効に支持することができ、しかも、立上がり寸法の小さい箇所で補強ビームの軽量化を図ることができる。
【0030】
このように立上がり壁の立上がり寸法を補強ビーム長手方向に変化させる場合には、立上がり壁をプレス成形のうちの絞り加工によって形成しなければならないが、本発明に係る補強ビームの材料は、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板であるため、充分にこの絞り加工を行える。
【0031】
車両用ドアの補強ビームでは、補強ビームの長手方向両側に、言い換えると、ビーム本体の長手方向両端に、ドア形成用パネルに接合される2個のブラケットが設けられる。すなわち、車両用ドアの補強ビームは、ビーム本体と、このビーム本体の長手方向両端に設けられ、ドア形成用パネルに接合される2個のブラケットとからなる。
【0032】
これらのビーム本体とブラケットは、同じ材料のプレス成形によって一体に形成してもよく、それぞれ別の材料を用いて予め別成形し、これによって得たビーム本体とブラケットを後作業で接合してもよい。
【0033】
前者によると、補強ビームの材料である鋼板をプレス成形するときに、ビーム本体とブラケットを同時成形できることになり、補強ビームの生産コストを低減できる。
【0034】
後者によると、ビーム本体とブラケットを板厚の異なる材料で形成できることになり、ブラケット用の材料をビーム本体用の材料よりも板厚が大きいものとすることにより、溶接又はスタッドボルト等の結合具で接合されるドア形成用パネルとブラケットとの接合強度を大きくできる。
【0035】
また、このようにビーム本体と2個のブラケットの厚さを異ならせるためには、これらのビーム本体とブラケットのために用意した厚さの異なる材料を予め接合しておき、そして、この接合された材料をプレス成形することにより、車両用ドアの補強ビームを製造するようにしてもよい。
【0036】
これによると、平坦な材料同士を接合するため、接合作業の容易化を図ることができる。
【0037】
また、本発明に係る補強ビームの材料は表面がメッキ処理されていないものでもよく、メッキ処理されているものでよい。補強ビームの材料をメッキ処理されたものとする場合におけるメッキ処理の一例は、防錆性に優れた亜鉛メッキ処理である。
【0038】
本発明に係る補強ビームの材料を亜鉛メッキ処理鋼板としても、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板については、前述した焼き入れ処理による充分な強度は、焼き入れ温度を900℃以下、例えば、焼き入れ温度Tを900℃≦T≦750℃としても得られ、この範囲の温度では亜鉛メッキのメッキ層が破壊されず、メッキ層を鋼板の表面に残すことができ、本発明に係る補強ビームに防錆性質を備えさせることができる。そして、焼き入れ温度Tを850℃≦T≦800℃とすると、メッキ層の破壊を確実に防止できるとともに、焼き入れ処理による補強ビームの強度の確保が一層確実になる。
【0039】
本発明に係る補強ビームの製造方法は、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板を初めにプレス成形し、次いで、このプレス成形によって得られたプレス成形品を焼き入れ処理することにより車両用ドアの補強ビームを製造することを特徴とするものである。
【0040】
この製造方法によると、先にプレス成形が行われ、次に焼き入れ処理が行われるため、材料の硬度が小さいうちに、この材料を断面2次モーメントが大きい断面形状に加工することができ、補強ビームを、衝撃荷重等の荷重に対する充分な強度を有するとともに、幅寸法が短縮されたものとすることができる。
【0041】
この補強ビームに、ドア外面と直角又は略直角をなす方向に立上がる少なくとも1個の立上がり壁を設ける場合には、補強ビームは引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にある鋼板を材料としているため、立上がり壁を絞り加工で形成することも可能となる。
【0042】
また、焼き入れ処理を立上がり壁の立上がり方向両端部から加熱することによって行うことにより、焼き入れ処理されていない非焼き入れ箇所を立上がり壁の立上がり方向の途中部に設けるとともに、この非焼き入れ箇所の立上がり壁の立上がり方向両側に焼き入れ処理された焼き入れ箇所を設けることができ、所定箇所を非焼き入れ箇所とし、所定箇所を焼き入れ箇所とすることができる。
【0043】
本発明に係る車両用ドアの補強ビーム及びその製造方法おける焼き入れ処理は、高周波によるものでもよく、レーザービームによるものでもよく、ガス火炎によるものでもよく、任意な焼き入れ手段を採用できる。
【0044】
また、立上がり壁の立上がり方向両端部から行う場合における焼き入れ処理は、これらの両端部から同時に実施してもよく、一方の端部からの焼き入れ処理を行った後に、補強ビーム又は焼き入れ手段を反転させることにより、他方の端部からの焼き入れ処理を行ってもよい。
【0045】
以上説明した本発明に係る補強ビームは、車両のサイドドアに適用されるものでもよく、バックドアとも称されるテールゲートに適用されるものでもよい。また、サイドドアは、車体に複数個のヒンジで連結され、これらのヒンジを中心に開閉するものでもよく、車体に対してスライド自在で、スライドによって開閉するものでもよい。テールゲートは、上部に複数個設けられたヒンジで車体に対して上下に開閉するものでもよく、側部に複数個設けられたヒンジで車体に対して左右に開閉するものでもよい。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態に係る車両用ドアの補強ビームを説明する。この実施形態の補強ビームは、四輪車両のサイドドアであって、車体に複数個のヒンジで連結され、これらのヒンジを中心に車体に対して開閉するサイドドアに配設されるものである。
【0047】
図1には、補強ビームの材料である鋼板10が示されている。この鋼板10は、引張り強さTが294.1995N/mm2≦T≦784.532N/mm2の範囲にあるもの、具体的には、引張り強さが441.29925N/mm2級となっているものである。また、鋼板10は、補強ビームが配設される車両用ドアに求められる強度、言い換えると、そのドアが設けられる車両の排気量や大きさに応じた厚さとなっており、その厚さは、例えば、1.2mm又は1.4mm又は1.6mmである。
【0048】
また、図1の鋼板10は所定長さに切断された材料となっているが、材料のトランスファプレス加工によって補強ビームを製造する場合には、補強ビームの材料である鋼板は、アンコイラーが繰り出されるコイル材でもよい。
【0049】
図2には、鋼板10をプレス成形することによって製造された焼き入れ処理前の補強ビーム20が示されている。鋼板10のプレス成形は、プレス機械で打ち抜き加工、プレス加工、曲げ加工、絞り加工、トリミング加工等を行うことによってなされ、これにより、左右方向に細長となっているこの補強ビーム20が製造され、この補強ビーム20は、ビーム本体21と、ビーム本体21の長手方向両端にビーム本体21と一体に形成され、ドア形成用パネルに接合されるブラケット22とからなる。
【0050】
図3は、図2のS3−S3線断面図であり、図4は、図2のS4−S4線断面図である。これらの図3及び図4に示されているとおり、ビーム本体21には、ビーム本体21の長手方向へ延びる第1立上がり壁23と第2立上がり壁24と第3立上がり壁25と第4立上がり壁26とがこれらの立上がり壁の厚さ方向に並設されており、これらの立上がり壁23〜26は、補強ビーム20が焼き入れ処理後にドア形成用パネルに配設されたときにドア外面と直角又は略直角をなす方向へ立上がっている。
【0051】
第1立上がり壁23と第4立上がり壁26のそれぞれの車両内側の端部には、補強ビーム20の幅方向外側に突出したリップ27が形成され、第2立上がり壁24と第3立上がり壁25の車両内側の端部同士は接続され、この接続部はフラットな接続部28となっている。また、第1立上がり壁23と第2立上がり壁24の車両外側の端部同士及び第3立上がり壁25と第4立上がり壁26の車両外側の端部同士は接続され、これらの接続部は、車両外側へ半円状に湾曲突出した湾曲突出部29となっている。
【0052】
このため、ビーム本体21は、第1立上がり壁23の終端部に第2立上がり壁24の始端部が接続され、第2立上がり壁24の終端部に第3立上がり壁25の始端部が接続され、第3立上がり壁25の終端部に第4立上がり壁26の始端部が接続された断面形状となっており、4個の立上がり壁23〜26によってビーム本体21は蛇腹状となっているため、ビーム本体21の上下寸法である幅寸法は短縮化されている。
【0053】
図2で示された領域Aでのビーム本体21の断面形状は図3で示されているとおりとなっており、この領域Aでは、接続部28はリップ27からビーム本体21の内側へ、言い換えると立上がり壁23〜26の立上がり方向へ寸法Bだけずれており、この領域Aでのそれぞれの立上がり壁23〜26の立上がり寸法をC1としたとき、C1とBの比率であるC1:Bは、12.3:1となっている。また、この領域Aでの第1立上がり壁23と第2立上がり壁24との間隔寸法(この寸法は、第3立上がり壁25と第4立上がり壁26との間隔寸法でもある)をD1としたとき、D1とC1の比率であるD1:C1は、1:2.55である。
【0054】
一方、図2の領域Aから外れた部分でのビーム本体21の断面形状は図4で示され、この部分では、リップ27と接続部28はビーム本体21の内外方向の同じ位置にあり、また、この部分でのそれぞれの立上がり壁23〜26の立上がり寸法をC2とし、この部分での第1立上がり壁23と第2立上がり壁24との間隔寸法(この寸法は、第3立上がり壁25と第4立上がり壁26との間隔寸法でもある)をD2としたとき、D2とC2の比率であるD2:C2は、1:1.9である。
【0055】
したがって、領域AでのD1と比較したC1は、領域Aから外れた部分でのD2と比較したC2よりも大きくなっている。また、図4は、図2において領域Aから左側へ外れた部分でのビーム本体21の断面形状であるが、このように領域AでのD1に比較したC1が、領域Aから外れた部分でのD2に比較したC2よりも大きくなっていることは、図2において領域Aから右側へ外れた部分でのビーム本体21の断面形状においても同じである。
【0056】
本実施形態においては、ビーム本体21に形成されている立上がり壁23〜26の立上がり寸法は、ビーム本体21の長手方向途中部において最も大きく、この途中部のビーム本体長手方向両側において次第に小さくなっている。
【0057】
このため、鋼板10をプレス成形することにより形成されている補強ビーム20は、ビーム本体21の箇所では絞り加工で立上がり壁23〜26が形成されている。
【0058】
引張り強さが大きい1470.9975N/mm2級の高張力鋼板では、D1:C1を1:1.38程度とすることが限界であるが、本実施形態では引張り強さがこれよりも小さい441.29925N/mm2級の鋼板10を補強ビーム20の材料としているため、前述したとおり、領域AでのD1:C1を1:2.55とすることができる。これにより、それぞれ立上がり壁23の立上がり寸法を大きくでき、また、この大きな立上がり寸法の割りに、それぞれの立上がり壁23〜26の間隔を小さくでき、これにより、ビーム本体21の上下寸法である幅寸法を充分に短縮できる。
【0059】
また、本実施形態では、図3及び図4に示されているように、領域Aでのビーム本体21の幅寸法E1は、領域Aから外れた部分での幅寸法E2よりも大きくなっており、ビーム本体21の幅寸法も、ビーム本体21の長手方向途中部において最も大きく、この途中部のビーム本体長手方向両側において次第に小さくなっている。
【0060】
図5は、鋼板10のプレス成形で形成された補強ビーム20のビーム本体21を焼き入れ処理するときを示している。この焼き入れ処理は、立上がり壁23〜26の立上がり方向両端部から高周波焼き入れ装置30でビーム本体21を加熱することにより行われる。図5の実施形態では、立上がり壁23〜26の立上がり方向を上下方向として焼き入れ処理が行われている。また、この焼き入れ処理は、焼き入れ温度を900℃以下、具体的には、焼き入れ温度Tを900℃≦T≦750℃として行われ、この焼き入れ処理後の補強ビームは水冷却され、これにより補強ビーム20に焼き入れ強度が生ずる。
【0061】
900℃以下の焼き入れ温度は、900℃を越える一般的な焼き入れ温度よりも低温である。しかし、補強ビーム20の材料である鋼板10を引張り強さが441.29925N/mm2級の鋼板とすることにより、焼き入れ処理後の強度を車両用ドアの補強ビームとして必要な強度にできる。
【0062】
また、焼き入れ温度を900℃以下とすると、補強ビーム20の材料が表面に亜鉛メッキ処理が施された亜鉛メッキ鋼板であっても、この焼き入れ温度は、亜鉛メッキの材料である合金化亜鉛の蒸発温度である900℃を越える温度よりも低温であるため、亜鉛メッキは破壊されず、焼き入れ処理後に得られる補強ビームに亜鉛メッキによる防錆性質を備えさせることができる。また、焼き入れ温度が750℃以上であると、焼き入れ処理による材料の変態が始まるため、焼き入れ強度を得られる。
【0063】
そして、焼き入れ温度Tを850℃≦T≦800℃とすると、亜鉛メッキが破壊されずかつ焼き入れ強度が確保された補強ビームを一層確実に得られる。
【0064】
高周波焼き入れ装置30によるビーム本体21の焼き入れ処理は、立上がり壁23〜26の立上がり長さの全体について行わず、立上がり壁23〜26の立上がり方向の途中部を焼き入れ処理されていない非焼き入れ箇所Fとし、この非焼き入れ箇所Fの立上がり壁23〜26の立上がり方向両側を焼き入れ処理された焼き入れ箇所Gとする。
【0065】
このように、立上がり壁23〜26の立上がり方向に非焼き入れ箇所Fと焼き入れ箇所Gを設けることは、高周波焼き入れ装置30による焼き入れ時間及び焼き入れ温度の設定で行え、また、これらの設定により、立上がり壁23〜26の立上がり方向における非焼き入れ箇所Fの領域長さと、焼き入れ箇所Gの領域長さとの関係を調整することができる。
【0066】
以上のようになされるビーム本体21についての焼き入れ処理後の補強ビーム20に焼き入れ処理等に基づく変形が生じていたときには、この変形を矯正する作業を行い、これにより、完成した補強ビーム20が得られる。
【0067】
図6は、以上述べた補強ビーム20の製造工程を示す。初めに鋼板10をプレス成形する工程があり、次の工程は、プレス成形工程で製造された補強ビーム20のビーム本体21を焼き入れ処理する工程であり、これによって得られた補強ビーム20に変形が生じているときには、この変形を矯正する工程を経て、完成した補強ビーム20が製造される。焼き入れ処理後の補強ビーム20に変形が生じていないときには、矯正工程は省略され、焼き入れ処理後の補強ビーム20が、完成した補強ビームとなる。
【0068】
なお、完成した補強ビーム20に、必要に応じて塗装等の後作業を行ってもよい。
【0069】
図7は、以上のようにして製造された補強ビーム20を、ドア形成用パネルであって、車両外側のアウターパネルと共にサイドドア本体を形成する車両内側のインナーパネル40に配設した状態を示し、この図7は、アウターパネルと接合される前のインナーパネル40を車両外側から見た斜視図である。補強ビーム20の長手方向両側のブラケット22は、インナーパネル40の窓孔用開口部40Aの下部において、インナーパネル40の車両外側面の左右両側部にスポット溶接で接合され、これにより、補強ビーム20はインナーパネル40に左右方向に架設される。
【0070】
図8は、このように補強ビーム20が配設されたインナーパネル40にアウターパネル41を接合した後を示す平断面図である。インナーパネル40の端部のフランジ40Bにアウターパネル41の端部41Aがヘミング加工とスポット溶接で接合されることにより、インナーパネル40とアウターパネル41とが一体化される。また、補強ビーム20のビーム本体21とアウターパネル41との間には、ビーム本体21の長手方向に複数のシーラー42が間隔を開けて介設される。
【0071】
図8では、ビーム本体21の車両外側の端部となっている前記湾曲突出部29は、略平坦面となっているアウターパネル41の左右方向の長さ領域に対して全体的に湾曲しており、この湾曲突出部29とアウターパネル41との間隔は、ビーム本体21の長手方向途中部で最も小さく、この途中部のビーム本体長手方向両側で次第に大きくなっている。言い換えると、図3及び図4で説明したように、ビーム本体21の長手方向途中部において最も大きく、この途中部のビーム本体長手方向両側において次第に小さくなっている立上がり壁23〜26の立上がり寸法は、この実施形態では、ビーム本体21の車両内側の端部である前記リップ27を基準として設定されている。
【0072】
このように補強ビーム20が間に配置されて互いに接合されたインナーパネル40とアウターパネル41、さらにはインナーパネル40の車両内側の面に取り付けられる図示しないライニング等により、サイドドア本体が製造される。
【0073】
サイドドアが取り付けられた車両にサイドドアの外面から衝撃荷重が作用したときには、車両内側へ変形するアウターパネル41がビーム本体21の湾曲突出部29に最初に当接する。補強ビーム20は長手方向両端のブラケット22でインナーパネル40に結合されているため、この荷重を補強ビーム20は両持ち梁となって受けることになる。
【0074】
荷重を最初に受けるビーム本体21の部分は、車両外側へ湾曲突出した湾曲突出部29であるため、この湾曲突出部29のアーチ形状効果により、湾曲突出部29は屈服座屈することなく荷重を受けることになり、初期においてビーム本体21が変形してしまうことはない。
【0075】
また、ビーム本体21を形成しているそれぞれの立上がり壁23〜26は、衝撃荷重が作用するドア外面に対して直角又は略直角となっているため、これらの立上がり壁23〜26の立上がり方向途中部に引張りと圧縮の間である断面2次モーメントの中立軸ができ、この中立軸の立上がり壁23〜26の立上がり方向両側において引張り力と圧縮力とが生ずることになり、立上がり壁23〜26の断面2次モーメントの大きさに対応した大きさの衝撃荷重を補強ビーム20は受けることができる。
【0076】
この実施形態では、補強ビーム20の材料である鋼板10の引張り強さは、従来における鋼板をプレス成形して製造される補強ビームの材料となっている引張り強さが980.665N/mm2級又はこれ以上となっている高張力鋼板よりも小さいため、この鋼板10のプレス加工性は良好である。このため、補強ビーム20の材料である鋼板10をプレス成形するときに、それぞれの立上がり壁23〜26を断面2次モーメントが大きくなる立上がり寸法にして形成することができ、これにより、補強ビーム20は荷重に対する大きな強度を有することになる。
【0077】
また、補強ビーム20には4個の立上がり壁23〜26が立上がり壁の厚さ方向に並設され、これらの立上がり壁23〜26の全部の断面2次モーメントが大きいため、荷重に対する補強ビーム20の強度を充分に大きくすることができ、これにより、補強ビーム20の材料として厚さが小さい鋼板を用いることもできるようになる。この結果、補強ビーム20の軽量化、延いてはサイドドアの軽量化を図ることができる。
【0078】
また、補強ビーム20の材料として厚さが小さい鋼板を用いることが可能になることと、この鋼板は従来における鋼板をプレス成形して製造される補強ビームの材料となっている高張力鋼板よりも引張り強さが小さいことのため、補強ビーム20の材料コストを低減できる。
【0079】
そして、前述のように補強ビーム20の材料である鋼板10の引張り強さは、引張り強さが980.665N/mm2級又はこれ以上となっている従来の高張力鋼板よりも小さいため、図3で説明したように、立上がり壁23〜26の立上がり寸法C1に対する立上がり壁同士の間隔寸法D1を、従来の高張力鋼板を用いた場合よりも小さくでき、この結果、立上がり寸法が大きい立上がり壁23〜26を形成しながらも、ビーム本体21を、断面形状が複雑な蛇腹状になって幅寸法が小さくなったものとすることができ、補強ビーム20を全体的に小型化できる。これにより、ウインドガラスを昇降させるウインドレギュレータやドアロック等のための各種部品、機構が収納されるために狭いスペースとなっているインナーパネル40とアウターパネル41との間に空間に、補強ビーム20を有効に収納できることになる。
【0080】
さらに、従来の高張力鋼板よりも引張り強さが小さい鋼板10を材料として補強ビーム20を製造しても、立上がり壁23〜26は焼き入れ処理されているため、補強ビーム20の強度をこの焼き入れ処理で補うことができ、荷重に対する充分な強度を補強ビーム20に付与できる。
【0081】
また、この実施形態では、焼き入れ処理は、鋼板10をプレス成形した後に行われ、プレス成形時の鋼板10の硬度は大きくなっていないため、鋼板10を前述した4個の立上がり壁23〜26からなる複雑な断面形状とすることができる。
【0082】
また、この実施形態の焼き入れ処理は、立上がり壁23〜26の立上がり方向途中部を非焼き入れ箇所Fと、この非焼き入れ箇所Fの立上がり壁23〜26の立上がり方向両側を焼き入れ箇所Gとするものであるため、非焼き入れ箇所Fで引張りと圧縮との間の中立軸が発生するとともに、引張り力と圧縮力が焼き入れ箇所Gで発生することになり、焼き入れ箇所Gによって荷重に抵抗する強度と、非焼き入れ箇所Fによって衝撃エネルギーを吸収するための靭性とを補強ビームに具備させることができる。
【0083】
そして、このような荷重に抵抗する強度の大きさと衝撃エネルギーを吸収するための靭性の大きさとの関係は、非焼き入れ箇所Fの領域長さと焼き入れ箇所Gの領域長さとの関係を設定することにより、調整することができる。
【0084】
さらに、非焼き入れ箇所Fは立上がり壁23〜26の立上がり方向途中部に設けられ、焼き入れ箇所Gは非焼き入れ箇所Fの立上がり壁23〜26の立上がり方向両側に設けられるため、ビーム本体21を立上がり壁23〜26の立上がり方向両端部から焼き入れ装置30で加熱することにより、簡単に非焼き入れ箇所Fと焼き入れ箇所Gとを立上がり壁23〜26の所定位置に設けることができる。
【0085】
また、補強ビーム20の材料を亜鉛メッキ鋼板とした場合には、焼き入れ温度は亜鉛メッキが破壊される温度よりも低いため、焼き入れ処理後の補強ビーム20を亜鉛メッキによる防錆性質を備えたものとすることができる。
【0086】
また、ビーム本体21の長手方向途中部に衝撃荷重が作用したとき、補強ビーム20は両持ち梁となっていることから、この長手方向途中部に大きな曲げモーメントが作用するが、立上がり壁23〜26のビーム本体21の長手方向途中部における立上がり寸法は大きくなっていて、この位置での断面2次モーメントは大きいため、この大きな曲げモーメントを有効に支持することができる。
【0087】
また、図3で示されているように、ビーム本体21の長手方向途中部におけるビーム本体21の幅寸法E1は、ビーム本体21の他の部分での幅寸法よりも大きくなっているため、長手方向途中部におけるビーム本体21の全体の断面2次モーメントも大きくなっており、この断面2次モーメントによっても大きな曲げモーメントを有効に支持することができる。
【0088】
さらに、ビーム本体21の長手方向途中部両側における立上がり壁23〜26の立上がり寸法とビーム本体21の幅寸法は、次第に小さくなっているため、こように立上がり壁23〜26の立上がり寸法とビーム本体21の幅寸法が次第に小さくなっている部分において、補強ビーム20を軽量化することができる。
【0089】
また、立上がり壁23〜26のビーム本体21の長手方向途中部における立上がり寸法を大きくし、この長手方向途中部両側の立上がり寸法を次第に小さくするためには、補強ビーム10の材料である鋼板10をプレス成形する際に、ビーム本体21の箇所で絞り加工を行わなければならないが、鋼板10の引張り強さは、従来における鋼板をプレス成形して製造される補強ビームの材料となっている高張力鋼板よりも小さいため、この絞り加工を所望どおり行える。
【0090】
また、以上説明した実施形態では、ビーム本体21と、このビーム本体21の長手方向両端の2個のブラケット22は、鋼板10についてのプレス成形で同時に一体に形成されるため、補強ビーム20の製造コストを低減できる。
【0091】
図9で示された補強ビーム50でも、前記実施形態と同じく、ビーム本体51に4個の立上がり壁が設けられ、立上がり壁の厚さ方向に隣接している2個の立上がり壁の車両外側の端部同士は、車両外側へ湾曲突出した湾曲突出部59となっているが、この湾曲突出部59と、アウターパネル41との間隔は、略平坦面となっているアウターパネル41の左右方向の長さ領域において、同じ又は略同じになっている。
【0092】
言い換えると、この実施形態では、立上がり壁の立上がり寸法を、ビーム本体51の長手方向途中部で最も大きくし、ビーム本体51の長手方向途中部両側で小さくするためには、ビーム本体51の車両内側の端部に設けられているリップ57を基準として立上がり壁の立上がり寸法を設定しておらず、湾曲突出部59を基準として、湾曲突出部59からリップ57までの長さをビーム本体51の長手方向において変化させている。これにより、アウターパネル41との間でシーラー42が介設されるビーム本体51は、ビーム本体51の長手方向において、アウターパネル41との間隔が同じ又は略同じになっている。
【0093】
この実施形態によると、ビーム本体51の長手方向のどこの箇所でアウターパネル41から衝撃荷重が作用しても、アウターパネルが41が同じ又は略同じ量だけ車両内側へ変形したときに、この荷重をビーム本体51で受けることができる。
【0094】
図10の実施形態の補強ビーム60は、ビーム本体61と、ビーム本体61の長手方向両端の2個のブラケット62が、厚さが異なる鋼板を材料としてそれぞれ別プレス成形されている。ブラケット62の材料である鋼板の厚さは、ビーム本体61の材料である鋼板の厚さよりも大きく、ビーム本体61とブラケット62は、別プレス成形された後に溶接で接合される。
【0095】
この実施形態によると、インナーパネル40と結合されるブラケット62の厚さをビーム本体61よりも大きくできるため、補強ビーム60とインナーパネル40との結合強度を大きくできることになる。
【0096】
図11及び図12の実施形態に係る補強ビーム70は、図10の実施形態と同じく、ビーム本体71と、ビーム本体71の長手方向両端の2個のブラケット72とが、厚さが異なる鋼板80,90を材料として形成されているが、この実施形態では、ビーム本体71のための鋼板80と、この鋼板80よりも厚さの大きいブラケット72のための鋼板90とを予めシーム溶接又はマッシュシーム溶接又はレーザー溶接によって接合しておき、次いで、一体化されたこれらの鋼板80,90をプレス成形することにより、補強ビーム70を製造している。
【0097】
この実施形態によると、図10の実施形態と異なり、接合作業は、プレス成形される前のフラットな形状の鋼板80,90について行われるため、この接合作業を容易に行える。
【0098】
【発明の効果】
本発明によると、補強ビームを断面2次モーメントが充分に大きくなる断面形状にすることが可能となり、この補強ビームを衝撃荷重等の荷重に対する充分な強度を有するものにでき、また、この補強ビームを幅寸法の短縮で全体的に小型化することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る補強ビームの材料である鋼板を示す斜視図である。
【図2】鋼板をプレス成形することによって製造された焼き入れ処理前の補強ビームを示す斜視図である。
【図3】図2のS3―S3線断面図である。
【図4】図2のS4−S4線断面図である。
【図5】鋼板のプレス成形で形成された補強ビームのビーム本体を焼き入れ処理するときを示す縦断面図である。
【図6】補強ビームを製造するためのそれぞれの工程を示す図である。
【図7】補強ビームを、アウターパネルと共に車両のサイドドア本体を形成するインナーパネルに配設した状態を示す図であって、アウターパネルと接合される前のインナーパネルを車両外側から見た斜視図である。
【図8】補強ビームが配設されたインナーパネルにアウターパネルを接合した後を示す平断面図である。
【図9】図8の実施形態とはビーム本体とアウターパネルとの間の間隔が異なる補強ビームの実施形態を示す図8と同様の図である。
【図10】ビーム本体とブラケットとを厚さが異なる鋼板で別成形する実施形態の補強ビームを示すビーム本体とブラケットの接合前の斜視図である。
【図11】図10の実施形態と同じく、ビーム本体とブラケットとを厚さが異なる鋼板で形成する場合であって、プレス成形前に接合されるこれらの鋼板の接合後を示す斜視図である。
【図12】接合された図11の鋼板をプレス成形することにより形成された補強ビームを示す斜視図である。
【符号の説明】
10,80,90 補強ビームの材料である鋼板
20,50,60,70 補強ビーム
21、51,61,71 ビーム本体
22,62,72 ブラケット
23〜26 立上がり壁
29,59 湾曲突出部
30 高周波焼き入れ装置
40 車両のサイドドア本体をアウターパネルと共に形成するドア形成用パネルとなっているインナーパネル
41 アウターパネル
F 非焼き入れ箇所
G 焼き入れ箇所

Claims (14)

  1. 引張り強さTが294.1995N/mm≦T≦784.532N/mmの範囲にある鋼板が材料となっていて、この材料に対するプレス成形と焼き入れ処理で形成され
    前記プレス成形には、前記材料を絞り加工することが含まれ、
    この絞り加工により形成されていて、ドア外面と直角又は略直角をなす方向に立上がっている複数個の立上がり壁を備え、
    それぞれの前記立上がり壁の一部は焼き入れ処理され、
    それぞれの前記立上がり壁には、焼き入れ処理された焼き入れ箇所と焼き入れ処理されていない非焼き入れ箇所とが前記立上がり壁の立上がり方向に設けられ、
    前記非焼き入れ箇所は、それぞれの前記立上がり壁の立上がり方向の途中部にあり、この非焼き入れ箇所の前記立上がり壁の立上がり方向両側が前記焼き入れ箇所となっており、
    前記複数個の立上がり壁は、立上がり壁の厚さ方向に並設され、
    前記複数個並設されている立上がり壁のうち、互いに隣接する2個の立上がり壁の車両外側の端部同士は接続され、この接続部は、車両外側に湾曲突出した湾曲突出部となっており、この湾曲突出部も前記焼き入れ箇所となっていることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  2. 請求項1に記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、互いに隣接する2個の前記立上がり壁の車両内側の端部同士は接続され、この接続部は、フラットな接続部となっていることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、それぞれの前記立上がり壁の立上がり寸法は、補強ビーム長手方向の途中部において大きいとともに、この途中部の両側において次第に小さくなっていることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、補強ビーム幅方向両側の2個の前記立上がり壁のそれぞれの車両内側の端部には、補強ビーム幅方向外側に突出したリップが形成されていることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  5. 請求項4に記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、前記補強ビーム幅方向両側の2個の前記立上がり壁の間で互いに隣接する2個の前記立上がり壁の車両内側の端部同士は、接続されていることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、補強ビーム長手方向の途中部におけるそれぞれの前記立上がり壁の前記立上がり寸法は、互いに隣接する2個の前記立上がり壁の間隔よりも大きくなっており、前記途中部の前記補強ビーム長手方向両側にも、互いに隣接する2個の前記立上がり壁の間隔よりも大きくなっているそれぞれの前記立上がり壁の立上がり寸法の部分があることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、ビーム本体と、このビーム本体の長手方向両端に設けられ、ドア形成用パネルに接合される2個のブラケットとからなり、これらのブラケットと前記ビーム本体とが同じ前記材料から一体に形成されていることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、ビーム本体と、このビーム本体の長手方向両端に設けられ、ドア形成用パネルに接合される2個のブラケットとからなり、これらのブラケットは前記ビーム本体の材料よりも厚さの大きい材料から形成され、それぞれ別成形されたこれらのブラケットと前記ビーム本体とが接合されていることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、ビーム本体と、このビーム本体の長手方向両端に設けられ、ドア形成用パネルに接合される2個のブラケットとからなり、これらのブラケットは前記ビーム本体の材料よりも厚さの大きい材料から形成され、予め接合されたこれらの材料をプレス成形することにより形成されていることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、前記材料は、表面が亜鉛メッキ処理された亜鉛メッキ鋼板であって、前記焼き入れ処理の温度は900℃以下であることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、前記材料の厚さは、1.2mm又は1.4mm又は1.6mmであることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の車両用ドアの補強ビームにおいて、前記材料は、441.29925N/mm級の引張り強さを有する鋼板であることを特徴とする車両用ドアの補強ビーム。
  13. 引張り強さTが294.1995N/mm≦T≦784.532N/mmの範囲にある鋼板をプレス成形する工程と、
    次いで、このプレス成形によって得られたプレス成形品を焼き入れ処理する工程と、
    を有し、
    前記プレス成形する工程には、前記鋼板に、ドア外面と直角又は略直角をなす方向に立上がっている複数個の立上がり壁をこれらの立ち上がり壁の厚さ方向に並設するとともに、前記複数個の立上がり壁のうち、互いに隣接する2個の立上がり壁の車両外側の端部同士を接続する接続部を、車両外側に湾曲突出した湾曲突出部とする絞り加工が含まれ、
    前記焼き入れ処理は、それぞれの前記立上がり壁の立上がり方向両端部から加熱することにより行われるとともに、それぞれの前記立上がり壁の立上がり方向両側と前記湾曲突出部とを焼き入れ処理された焼き入れ箇所とし、それぞれの前記立上がり壁の立上がり方向の途中部を、焼き入れ処理されていない非焼入れ箇所とするものとなっていることを特徴とする車両用ドアの補強ビームの製造方法。
  14. 請求項13に記載の車両用ドアの補強ビームの製造方法において、それぞれの前記立上がり壁の立上がり方向両端部から加熱することは、それぞれの前記立上がり壁の立上がり方向両端部の側に配置された高周波焼き入れ装置により行われることを特徴とする車両用ドアの補強ビームの製造方法。
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